(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の接着フィルムは、回路が形成された回路部材同士を電気的に接続する際に用いられる接着フィルムであって、前記接着フィルムは基材層と、接着剤層と、を有し、前記接着剤層は充填材、エポキシ樹脂、および硬化剤を有する化合物を含み、前記接着剤層における基材層と接触する第一面における充填材の含有率と、前記接着剤層における第一面と反対側の第二面における充填材の含有率と、が異なることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電子部品の製造方法は、第一の回路基板に本発明の接着フィルムの前記第二面を貼り付ける貼り付け工程、前記基材層を剥がす剥離工程、第二の回路基板に前記第一面を貼り付ける接着工程、を含む。
【0013】
また、本発明の電子部品は、本発明の接着フィルムにおける接着剤層を有する。
【0014】
以下、本発明の接着フィルム、電子部品の製造方法、電子部品を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<電子部品>
図1は、本発明の接着フィルムを用いて製造された電子部品の一例を示す模式図(
図1(a)は、平面図、
図1(b)は、
図1(a)中のA−A線断面図)である。なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0016】
図1に示す電子部品100は、半導体チップ(第一の回路部材)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(第二の回路部材)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70とを有している。
【0017】
半導体チップ20の平面視形状は、
図1(a)に示すように、正方形状である。また、半導体チップ20は、その下面に、インターポーザー30と電気的に接合するための複数の端子21を有している。この端子21は、半導体チップ20の下面に凸状に形成されており、特に限定されないが、例えば、銅等の導電性金属材料で構成されている。
【0018】
また、インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、
図1(a)に示すように、正方形状である。さらに、インターポーザー30は、その上面(一方の面)に、例えば、銅等の導電性金属材料で構成されている複数の端子31を有している。
【0019】
端子31は、電子部品100において、半導体チップ20に設けられている端子21に対応するように、インターポーザー30上面に設けられている。そして、それぞれ対応する端子21と端子31とは、接続部81を介して電気的に接続されている。接続部81は、例えば低融点の導電性金属で構成されている。接続部81を構成する低融点の導電性金属は、半導体チップ20に設けられている端子21表面や、端子21の先端部に予め設けられていてもよく、インターポーザー30に設けられた端子31表面に予め設けられていてもよい。例えば、端子21を下側に導電性金属を予め設けた金属ポストを用いることができる。金属ポストは、導電性の金属で形成されていれば特に限定されないが、銅、ニッケル、チタン、タンタル、タングステン、金等を用いることができる。
【0020】
また、金属ポストと導電性金属の間に、金属による薄膜を設けることができる。例えば、金等で構成される薄膜を有することで、低融点の導電性金属の濡れ性を促進させる効果を有し、ニッケル等のバリアメタル層を有することで、低融点の導電性金属が、端子21内に拡散することを防止するという効果を有する。このような薄膜は、単層であってもよく、複数の層を有してもよい。また、複数の層を有する場合、同じ金属より構成される層を複数有してもよく、また、異なる金属より構成される層を複数有してもよい。また、このような薄膜は、0.01μm以上、2μm以下が好ましく、0.05μm以上、1μm以下がより好ましい。前記下限値以上であることにより、低融点の導電性金属との密着性において、十分な効果を有することができ、また前記下限値以下であることにより、コストの観点から有利になる。さらに、端子21、31自体を接続部81を構成する低融点の導電性金属で構成することもでき、これらを組み合わせることもできる。
【0021】
このような低融点の導電性金属とは、特に限定されないが、例えば、錫、銀、鉛、亜鉛、ビスマス、インジウム及び銅からなる群から選択される少なくとも2種以上を含む合金等が挙げられる。
【0022】
また、本実施形態では、
図1に示すように、端子31は、インターポーザー30に形成されている凹部内に設置されている。また、端子21は、半導体チップ20から突出する構成をなしている。ここで、端子21は、金属ポストであって、円柱形状をなしているが、円柱形状に限られず、直方体形状や、円錐形状等をなすこともできる。
【0023】
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
【0024】
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子31の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
【0025】
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
【0026】
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0027】
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成される封止材が充填され、この封止材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
かかる構成の電子部品100において、封止層80の形成に、本発明の接着フィルムが適用される。
【0028】
上記のように、本発明における電子部品について、
図1に記載の実施形態を中心に説明したが、当該実施形態に限定されない。例えば、第一の回路部材には、半導体チップの他に、電子回路が作り込まれた半導体ウエハ及びシリコン基板、または、インターポーザー、リジット基板、フレキシブル基板、リジットフレキシブル基板等のプリント配線板を用いることもでき、第二の回路部材には、インターポーザーの他に、半導体チップ、電子回路が作り込まれた半導体ウエハ及びシリコン基板、または、リジット基板、フレキシブル基板、リジットフレキシブル基板等のプリント配線板を用いることができる。また、本発明の電子部品は、インターポーザー上に複数の半導体チップを、その厚み方向に複数個積層し、複数の半導体チップ間、および半導体チップとインターポーザー間を電気的に接合する接合部を有し、該接合部を封止する複数の封止層を有し、これらの封止層に本発明の接着フィルムが適用された電子部品も含まれる。このような電子部品には、半導体チップにおいて、TSVチップ(Through Silicon Vear Chip)を好適に用いることができる。
【0029】
<接着フィルム>
本発明の接着フィルムは、回路が形成された回路部材同士を電気的に接続する際に用いられる接着フィルムであって、前記接着フィルムは基材層と、接着剤層と、を有し、前記接着剤層は充填材、エポキシ樹脂、および硬化剤を有する化合物を含み、前記接着剤層における基材層と接触する第一面における充填材の含有率と、前記接着剤層における第一面と反対側の第二面における充填材の含有率と、が異なることを特徴とする。
【0030】
本発明の接着フィルムは、上記のような構成を有することで、半田接合部の信頼性を向上し得る接着フィルムを提供することができる。
【0031】
本発明の接着フィルムは、接着剤層において、エポキシ樹脂、および硬化剤を有することで、回路部材同士の密着をより強くすることができ、これにより、本発明の電子機器における半田接合部の信頼性を向上することができる。さらに、本発明の接着フィルムは、その接着剤層により回路部材同士を接着すること、及び当該接着剤層に充填材を含むことにより、接合する回路部材間に、均一な厚さの接着剤層を構成することができ、これにより接合部の信頼性を向上することができる。
【0032】
また、本発明の接着フィルムは、回路部材に貼り付ける際、回路部材に前記第二面を回路部材に貼り付け、基材を剥離する工程を好適に行うことができる。これは、基材層と接触する第一面における充填材の含有率と、回路部材に貼り付ける第二面における充填材の含有率が異なるため、基材層と前記第一面との密着力と、回路部材と前記第二面との密着力との間で、好適なバランスをとることができる。これにより、基材を剥離する工程における作業性が特に向上し、回路部材の製造において、その生産性を向上させることができる。
【0033】
また、回路部材同士を電気的に接続する接合工程において、第一の回路部材に設けられた端子と、第二の回路部材に設けられた端子間等の、電気的に接続する接続部において、充填材が多く残存することを好適に防ぐことができる。このように接続部において、充填材が多く残存することを防ぐことで、接続部の信頼性を向上することができる。
【0034】
[第一実施形態]
まず、本発明の接着フィルムの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の接着フィルムの第1実施形態を示す模式図である。
なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
第1実施形態では、接着フィルム10は、
図1に示すように、基材層13と、接着剤層14とからなり、接着剤層14は、基材層13と接する第一接着剤層11と、第二接着剤層12を有する。つまり、本実施形態では、基材層13と、第一接着剤層11と、第二接着剤層12と、がこの順に互いに接合するように積層された3層構造をなす積層体で構成されるものである。
【0035】
《第一接着剤層》
第一接着剤層11は、樹脂成分を含有する第一樹脂組成物で構成される。この樹脂組成物は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物が好ましい。硬化性樹脂組成物としては、加熱により硬化する熱硬化性樹脂組成物や、化学線を照射することにより硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられ、これらの中でも、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。加熱により硬化する硬化性樹脂組成物は、硬化後の機械特性に優れることや、保存安定性に優れる。
【0036】
加熱により硬化する硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂成分を含有し、熱硬化性樹脂成分の他に、必要に応じてフラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、充填材等を含んでもよい。
【0037】
硬化性樹脂成分は、加熱することにより溶融し硬化するものであれば特に限定されないが、通常、半導体装置製造用の接着剤成分として使用できるものが用いることができる。
【0038】
このような硬化性樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。特に、これらの中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂を用いることで、回路部材同士の密着をより強くすることができ、これにより、本発明の電子機器における半田接合部の信頼性を向上することができる。また、硬化による体積収縮が小さいため、封止層形成の際における厚み均一性がより良好となる。なお、これらの硬化性樹脂成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されず、室温で液状および室温で固形状のいずれのエポキシ樹脂をも使用することができる。また、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを併用することも可能である。液状のエポキシ樹脂を用いる場合、特に、液状のエポキシ樹脂を単独で用いる場合は、さらに、フィルム形成性樹脂成分を硬化性樹脂組成物が含有する構成とするのが好ましい。
【0040】
室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
【0041】
室温で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜300g/eqであることが好ましく、160〜250g/eqであることがより好ましく、170〜220g/eqであることが特に好ましい。前記エポキシ当量が前記下限未満になると、用いるエポキシ樹脂の種類によっては、硬化物の収縮率が大きくなる傾向があり、半導体装置10やこの半導体装置10を備える電子機器に反りが生じるおそれがある。また、前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物にフィルム形成性樹脂成分を併用する構成とした場合に、フィルム形成性樹脂成分、特にポリイミド樹脂との反応性が低下する傾向をしめすことがある。
【0042】
さらに、室温(25℃)で固形状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、固形3官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
【0043】
なお、室温で固形状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜3000g/eqが好ましく、160〜2500g/eqがより好ましく、170〜2000g/eqが特に好ましい。
【0044】
室温で固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、40〜120℃程度であることが好ましく、50〜110℃程度であることがより好ましく、60〜100℃程度であることが特に好ましい。前記軟化点が前記範囲内にあると、硬化性樹脂組成物のタック性を抑えることができ、容易に取り扱うことが可能となる。
【0045】
また、第一樹脂組成物において、前述した硬化性樹脂成分の配合量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
【0046】
例えば、硬化性樹脂成分の配合量は、第一樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることがさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、60重量%以下であることが特に好ましい。
【0047】
第一樹脂組成物における硬化性樹脂成分の配合量が前記範囲内にあると、回路部材間の接着強度を十分に確保することが可能となる。
【0048】
(ii)フィルム形成性樹脂成分
前述したように、第一樹脂組成物は、前記硬化性樹脂成分の他に、さらにフィルム形成性樹脂成分を含有するのが好ましい。フィルム形成性樹脂成分を含むことで、接着剤層の成膜性が向上し、接着フィルムの生産性が向上する。併せて、接着剤層の厚み均一性が向上し、封止層を形成する際における厚み均一性も向上させることができる。
【0049】
このようなフィルム形成性樹脂成分としては、単独で成膜性を有するものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれのものも使用することができ、また、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0050】
具体的には、フィルム形成性樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
【0051】
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の重合体、または(メタ)アクリル酸およびその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」等と表記するときは、「アクリル酸またはメタクリル酸」等を意味する。
【0052】
(メタ)アクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル等のポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体が好ましい。
【0053】
また、フェノキシ樹脂の骨格は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェノールタイプおよびビフェニルタイプ等が挙げられる。
【0054】
また、ポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。
【0055】
ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサンジアミンが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
また、酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
ポリイミド樹脂としては、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分(硬化性樹脂成分)と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものが好ましい。特に、様々な有機溶媒に溶解できる点でシロキサン変性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0058】
フィルム形成性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、8,000〜1,000,000程度であるのが好ましく、8,500〜950,000程度であるのがより好ましく、9,000〜900,000程度であるのがさらに好ましい。フィルム形成性樹脂の重量平均分子量が前記の範囲であると、成膜性を向上させることが可能で、かつ、硬化前の接着剤層の流動性を抑制することができる。
【0059】
なお、フィルム形成性樹脂の重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0060】
また、フィルム形成性樹脂成分としては、このものの市販品を使用することができ、さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、可塑剤、安定剤、無機フィラー、帯電防止剤、低応力剤、酸化防止剤、レベリング剤や顔料等の各種添加剤を配合したものを使用することもできる。
【0061】
また、第一樹脂組成物において、前述したフィルム形成性樹脂成分の配合量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
【0062】
例えば、フィルム形成性樹脂成分の配合量は、第一樹脂組成物中において、0.1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましい。また、50重量%以下であることが好ましく、35重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。フィルム形成性樹脂成分の配合量が前記範囲内にあると溶融前の第一樹脂組成物の流動性を抑制することができ、接着剤層を容易に取り扱うことが可能となる。
【0063】
(iii)フラックス機能を有する化合物
第一樹脂組成物は、前記硬化性樹脂成分の他に、さらにフラックス機能を有する化合物を含有する構成とするのが好ましい。フラックス機能を有する化合物は、端子等の表面に形成された金属酸化膜を除去する作用を有するものである。そのため、第一樹脂組成物中に、かかる化合物が含まれていると、後述する、電子部品の製造方法で詳述するように、たとえ端子等の表面における低融点の金属における表面に、酸化膜が形成されたとしても、この化合物の作用により酸化膜を確実に除去することができる。その結果、回路部材同士を電気的に接続させる接合工程の際に、低融点の金属の濡れ性が向上することで、端子間において広い範囲に濡れ拡がり、広い範囲で接合されることにより、回路部材同士を確実に電気的に接続させることができる。これにより、接合部における信頼性が向上し、温度サイクル試験等においても十分な結果を示し、電子部品の製造における歩留まりを向上させることができる。
【0064】
このようなフラックス機能を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を有する化合物が好ましく用いられる。
【0065】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メシトール、3,5−キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、p−tert−アミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のフェノール製水酸基を含有する樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
また、カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。前記脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。前記脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。前記芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
脂肪族カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ピメリン酸等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、下記式(1):
HOOC−(CH
2)
n−COOH (1)
(式(1)中、nは1〜20の整数である。)
で表される脂肪族カルボン酸が好ましく用いられ、これらのうち、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸がより好ましく用いられる。
【0068】
芳香族カルボン酸の構造は、特に限定されないが、下記式(2)または下記式(3)で表される化合物が好ましい。
【0069】
【化1】
[式中、R
1〜R
5は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R
1〜R
5の少なくとも一つは水酸基である。]
【0070】
【化2】
[式中、R
6〜R
20は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R
6〜R
20の少なくとも一つは水酸基またはカルボキシル基である。]
【0071】
このような芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
このようなフラックス機能を有する化合物は、フラックス作用を示すとともに、硬化性樹脂成分を硬化する硬化剤としての機能、すなわち、硬化性樹脂成分と反応可能な官能基を有するものであるのが好ましい。
【0073】
このような官能基は、硬化性樹脂成分の種類に応じて適宜選択され、例えば、硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂の場合、カルボキシル基、水酸基、アミノ基のようなエポキシ基と反応可能な官能基が挙げられる。このようなフラックス機能を有する化合物は、硬化性樹脂組成物の溶融時には端子自体が低融点の金属層で形成された場合は、端子の表面、または端子の表面に形成した低融点の金属の表面に形成された酸化膜を除去してこれらの表面の濡れ性を高め、接続部81を容易に形成し、端子間を電気的に接続することが可能となる。さらに、接続部により端子間に電気的な接続が完了した後においては、この化合物は、硬化剤として作用し、硬化性樹脂成分に付加して樹脂の弾性率またはTgを高める機能を発揮する。したがって、このようなフラックス機能を有する化合物をフラックスとして用いるとフラックス洗浄が不要であり、また、フラックスの残存に起因するイオンマイグレーションの発生等を的確に抑制または防止することが可能となる。
【0074】
このような作用を備えるフラックス機能を有する化合物としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。例えば、硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂の場合、脂肪族ジカルボン酸およびカルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物等が挙げられる。
【0075】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2個結合した化合物が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は、飽和または不飽和の非環式であってもよいし、飽和または不飽和の環式であってもよい。また、脂肪族炭化水素基が非環式の場合には直鎖状でも分岐状でもよい。
【0076】
このような脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、前記式(1)においてnが1〜20の整数である化合物が挙げられる。前記式(1)中のnが前記範囲内にあると、フラックス活性、接着時のアウトガスおよび硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率およびガラス転移温度のバランスが良好となる。特に、硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率の増加を抑制し、インターポーザー30等の被接着物との接着性を向上させることができるという観点から、nは3以上であることが好ましく、弾性率の低下を抑制し、接続信頼性をさらに向上させることができるという観点から、nは10以下であることが好ましい。
【0077】
また、前記式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。中でも、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデンカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
【0078】
さらに、カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物としては、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。中でも、フェノールフタリン、ゲンチジン酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましく、フェノールフタリン、ゲンチジン酸がより好ましい。
【0079】
前述のようなフラックス機能を有する化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用して用いるようにしてもよい。
【0080】
なお、いずれの化合物も吸湿しやすく、ボイド発生の原因となるため、本発明においては、使用前に予め乾燥させることが好ましい。
【0081】
フラックス機能を有する化合物の含有量は、使用する樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
【0082】
このようなフラックス機能を有する化合物の含有量は、第一樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
【0083】
フラックス機能を有する化合物の含有量が前記範囲内であると、端子表面等に形成された酸化膜を確実に除去することができ、これにより回路部材同士を確実に電気的に接合させることができる。さらに、フラックス機能を有する化合物が硬化性樹脂成分と反応可能な化合物の場合、硬化時に、硬化性樹脂成分に効率よく付加して硬化性樹脂組成物の弾性率またはTgを高めることができる。また、未反応のフラックス機能を有する化合物に起因するイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。これにより、半田接合部における信頼性が向上し、温度サイクル試験等でも高い信頼性を実現し、電子部品の製造における歩留まりを向上させることができる。
【0084】
(iv)硬化剤
硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール類、アミン類、チオール類等が挙げられる。このような硬化剤は、硬化性樹脂成分の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との良好な反応性、硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)が得られる点で硬化剤としてフェノール類を用いることが好ましく、硬化性樹脂成分の硬化後の物性が優れている点で2官能以上のフェノール類がより好ましく用いられる。なお、このような硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0085】
フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶融粘度、エポキシ樹脂との反応性が良好であり、硬化後の物性が優れている点でフェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0086】
また、硬化性樹脂組成物において、前述した硬化剤の配合量は、使用する硬化性樹脂成分や硬化剤の種類、およびフラックス機能を有する化合物が硬化剤として機能する官能基を有する場合、その官能基の種類や使用量によって適宜設定される。
【0087】
例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、硬化剤の含有量は第一樹脂組成物の全重量に対して、0.1〜50重量%程度であるのが好ましく、4〜40重量%程度であるのがより好ましく、8〜30重量%程度であるのがさらに好ましい。硬化剤の含有量が前記範囲内にあると端子間に形成された接続部の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することができる。
【0088】
(v)硬化促進剤
また、前述したように、硬化性樹脂組成物には、さらに、硬化促進剤を添加することができる。これにより、硬化性樹脂組成物を、確実かつ容易に硬化させることができる。
【0089】
硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
また、第一樹脂組成物において、前述した硬化促進剤の配合量は、使用する硬化促進剤の種類に応じて適宜設定することができる。
【0091】
例えば、イミダゾール化合物を使用する場合には、イミダゾール化合物の配合量は、第一樹脂組成物中において0.001重量%以上であることが好ましく、0.003重量%以上であることがより好ましく、0.005重量%以上であることがさらに好ましい。また、1.0重量%以下であることが好ましく、0.7重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。イミダゾール化合物の配合量が前記下限未満になると、用いる硬化促進剤の種類によっては、硬化促進剤としての作用が十分に発揮されず、硬化性樹脂組成物を十分に硬化できない傾向を示すことがある。また、イミダゾール化合物の配合量が前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化が完了する前に溶融状態の低融点の金属が十分な濡れ性を発揮できず、電気的な接続が不十分となるおそれがある。
【0092】
(vi)シランカップリング剤
また、前述したように、第一樹脂組成物には、さらに、シランカップリング剤を添加することができる。
【0093】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。このようなシランカップリング剤を添加することにより、インターポーザー等の接合部材(被着体)と第一樹脂組成物との密着性を高めることができる。
【0094】
なお、このようなシランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
【0095】
また、硬化性樹脂組成物において、前述したシランカップリング剤の配合量は、前記接合部材や硬化性樹脂成分等の種類に応じて適宜設定される。例えば、第一樹脂組成物中において0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることがさらに好ましい。また、2重量%以下であることが好ましく、1.5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。
【0096】
(vii)充填材
また、第一樹脂組成物は、充填材を更に含んでもよい。これにより、接着層に様々な物性を付加することや、信頼性の向上を図ることができる。充填材としては、ゴム粒子等の有機材料による充填材や、シリカ等の無機充填材を挙げることができるが、信頼性の向上という観点から、無機充填材が好ましい。無機充填材を含むことで、接着剤層の線膨張係数を低下することができ、それによって信頼性を向上することができる。
【0097】
無機充填材は、特に限定されないが、例えば、銀、酸化チタン、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができ、これらを複数種含めることもできる。このように無機充填材は複数種から選択することができるが、コスト等の観点からシリカを好ましく用いることができる。また、熱伝導性等の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化ホウ素、等を用いることもできる。シリカの形状としては、破砕シリカと球状シリカがあるが、球状シリカが好ましい。
【0098】
前記無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、0.005μm以上、1μm以下であるのが好ましく、0.01μm以上、0.5μm以下であるのがより好ましく、0.05μm以上、0.3μm以下であるのがより好ましい。上記範囲とすることで、接着剤層でフィラーの凝集を抑制し、外観を向上させることができる。
【0099】
前記充填材の含有量は、前記接合部材や硬化性樹脂成分等の種類に応じて適宜設定される。特に限定されないが、例えば、第一樹脂組成物に対して0.1〜85重量%であるのが好ましく、20〜80重量%であるのがより好ましい。上記範囲とすることで、硬化後の接着剤層とインターポーザー等の被接体との間の線膨張係数差が小さくなり、熱衝撃の際に発生する応力を低減させることができるため、被接体との密着をさらに向上させることができる。さらに、硬化後の接着剤層の弾性率が高くなりすぎるのを抑制することができ、併せて接合部に充填材が巻き込まれることを防止するため、電子部品の信頼性が上昇する。
【0100】
なお、第一樹脂組成物には、前述した各成分の他に、さらに、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、低応力剤、レベリング剤および顔料等が配合されていてもよい。また、熱硬化成分に併せて、潜在性硬化剤を配合されていてもよい。潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド型潜在性硬化剤、アミンアダクト型潜在性硬化剤、有機酸ヒドラジド型潜在性硬化剤、芳香族スルホニウム塩型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、光硬化型潜在性硬化剤が挙げられ、中でもアミンアダクト型潜在性硬化剤等を含むことで、接着剤層の保存安定性と、速硬化性のバランスを取ることができる。
【0101】
《第二接着剤層》
第二接着剤層12は、樹脂成分を含有する第二樹脂組成物で構成される。この樹脂組成物は、特に限定されないが、第一樹脂組成物層と同様のものを用いることができる。このため、第二接着剤層については、第一接着剤層と異なる部分を中心に説明する。
【0102】
つまり、第二樹脂組成物は、第一樹脂組成物と同様に加熱により硬化する硬化性樹脂組成物が好ましく、熱硬化性樹脂成分を含有し、熱硬化性樹脂成分の他に、必要に応じてフラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、充填材等を含んでもよい。第二樹脂組成物に用いられるフラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、充填材等は、第一樹脂組成物に用いられるものと同様のものを用いることができる。ここからは第一樹脂組成物と異なる部分を中心に説明する。
【0103】
第二接着剤層は充填材を含むことが好ましいが、その含有量は、第一接着剤層と異なる含有量とすることが好ましい。このようにすることで、接着剤層の第一面における充填材の含有量と、接着剤層の第二面における充填材の含有量と、を異なるものとするこができる。ここで、接着剤層の第一面における充填材の含有率Aは、重量含有率で5重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、25重量%以上であればさらに好ましい。また、80重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましく、70重量%以下であればさらに好ましい。また、体積含有率で2体積%以上が好ましく、8体積%以上がより好ましく、15体積%以上であればさらに好ましい。また、70体積%以下が好ましく、65体積%以下がより好ましく、60体積%以下であればさらに好ましい。接着剤層の第二面における充填材の含有率Bは、重量含有率で5重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、25重量%以上であればさらに好ましい。また、80重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましく、70重量%以下であればさらに好ましい。また、体積含有率で2体積%以上が好ましく、8体積%以上がより好ましく、15体積%以上であればさらに好ましい。また、70体積%以下が好ましく、65体積%以下がより好ましく、60体積%以下であればさらに好ましい。このとき、第一接着剤層表面における充填材の含有率をAとし、第二接着剤層表面における充填材の含有率をBとすることで、接着剤層の第一面における充填材の含有率をAとし、接着剤層の第二面における充填材の含有率をBとするように設計することができる。このとき、AとBの関係は特に限定されず、使用する回路部材の種類、電子部品の種類により、適宜設定することができる。ここで、A<Bとなるように充填材の含有量を設計すると、例えば第二面を半導体チップ20等の凸状の端子を有する回路部材に貼り付ける場合、第一面における充填材の含有量を小さくすることで、第二の回路部材に設けられた端子に接着する際に、接着性が向上するとの効果や、回路部材同士を電気的に接続する接合行程において、充填材が接合部に巻き込まれることによる信頼性の低下を防止できるとの効果を発揮することができる。
【0104】
第二樹脂組成物における充填材の含有量は、前記接続部や硬化性樹脂成分や、前述のような第一樹脂組成物における充填材の含有量等に応じて適宜設定される。特に限定されないが、例えば、第二樹脂組成物に対して0.1〜85重量%であるのが好ましく、20〜80重量%であるのがより好ましい。上記範囲とすることで、硬化後の接着剤層とインターポーザー等の被接体との間の線膨張係数差が小さくなり、熱衝撃の際に発生する応力を低減させることができるため、被接体との密着をさらに向上させることができる。さらに、硬化後の接着剤層の弾性率が高くなりすぎるのを抑制することができるため、電子部品の信頼性が上昇する。
【0105】
また、第二樹脂組成物は、第二面を半導体チップ20等の凸状の端子を有する回路部材に貼り付ける場合を考慮し、特に充填材の含有量を増加させる場合を考慮して、熱硬化性樹脂成分、硬化剤の含有量を好適に設計し、最低溶融粘度を低下させることが好ましい。溶融粘度を低下させることで、第二接着剤層の端子への濡れ性が向上し、端子の埋め込み性が向上し、ボイド無く貼り付けることができる。このようにして、電子部品の信頼性をより向上させることができる。このような観点から、第二樹脂組成物における熱硬化性樹脂成分には、室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
【0106】
最低溶融粘度は、第一樹脂組成物については、50,000Pa・s以下が好ましく、20,000Pa・s以下がより好ましく、10,000Pa・s以下であればさらに好ましい。また、0.01Pa・s以上が好ましく、0.05Pa・s以上がより好ましく、0.1Pa・s以上であればさらに好ましい。また、第二樹脂組成物については、50,000Pa・s以下が好ましく、20,000Pa・s以下がより好ましく、10,000Pa・s以下であればさらに好ましい。また、0.01Pa・s以上が好ましく、0.05Pa・s以上がより好ましく、0.1Pa・s以上であればさらに好ましい。
【0107】
このような最低溶融粘度は、特に限定されないが、本発明においては粘弾性測定装置(HAAKE社製「RheoStress RS150」)を用いて、パラレルプレート20mmφ、ギャップ0.05mm、周波数0.1Hz、昇温速度は、10℃/分の条件で測定した溶融粘度が最小となる値を測定値とした。
【0108】
また、第一接着剤層と、第二接着剤層は、接着剤層間の密着性を向上させることで、電子部品の信頼性をより向上させることができる。このように接着剤層間の密着性を向上させるために、第一接着剤層と第二接着剤層の組成や、機械特性を近似させることが好ましい。例えば、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物のTgや、線膨張係数等を近似させることが好ましい。このようにすることで、第一接着剤層と第二接着剤層間の密着が十分となり、電子部品の信頼性がより向上する。
【0109】
第一樹脂組成物のTgは80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。第二樹脂組成物のTgは80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。前記好ましい範囲内であることで、電子部品の信頼性がより向上する。また、第一樹脂組成物のTgと第二樹脂組成物のTgの差は20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
【0110】
また、接着剤層の平均線膨張率としては、第一樹脂組成物のα1は100ppm以下が好ましく、75ppm以下がより好ましく、50ppm以下であればさらに好ましい。第二樹脂組成物のα1は100ppm以下が好ましく、75ppm以下がより好ましく、50ppm以下であればさらに好ましい。前記好ましい範囲内であることで、電子部品の信頼性がより向上する。また、第一樹脂組成物のα1と第二樹脂組成物のα1の差は70ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましい。
【0111】
このようなTg、α1は、樹脂組成物をフィルム状のサンプルとして作製し、それを接着剤層を用いる際に想定される硬化条件、例えば180℃で2時間等の硬化条件で処理し、一般的に用いられるTMA等で測定することができる。
【0112】
接着剤層の厚みは、使用する回路部材の種類、電子部品の種類により、適宜設定することができる。特に、電子部品に用いられる端子および接続部の設計により、適宜設定することが好ましい。例えば、第一接着剤層の厚みは、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。また、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。一方、第二接着剤層の厚みは、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。また、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。また、接着剤層の厚みは、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。また、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。
【0113】
《基材層》
基材層13は、接着剤層を支持し、接着剤層の第二面を、第一の回路部材等の被着体に貼り付けた後に好適に剥がすことができるものであれば特に限定されない。例えば、ポリエステルシートや、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリイミドシート、ポリスチレンシート、ポリカーボネートシート等を用いることができる。また、接着剤層を被着体に貼り付けた後に好適に剥がすために、表面を剥離処理してもよい。剥離処理には、表面にシリコン離型剤を形成する方法や、アルキッド樹脂離型剤を形成する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
基材層の破断強度は、特に限定されないが、160MPa以上、300MPa以下が好ましく、180MPa以上、280MPa以下がより好ましい。前記下限値以上であることにより、接着フィルムの製造中や、使用時に、意図せず破断してしまうことを防ぐことができ、前記下限値以下であることで、製造中や、使用時に好適にフィードすることができ、取扱い易く、生産性が向上する。
【0115】
《接着フィルムの製造方法》
次に本発明の接着フィルムは、例えば、以下のような製造方法により、製造することができる。
【0116】
第1接着剤層11を構成する第一樹脂組成物を、有機溶剤に溶解させて得られたワニスを、基材層13条に塗布した後、所定の温度で乾燥させることにより、基材層と第一接着剤層の積層体を得ることができる。同様にして、第二接着剤層12を構成する第二樹脂組成物を有機溶剤に溶解させて得られたワニスを、剥離処理させたポリエステルシート等の剥離フィルムに塗布した後、所定の温度で乾燥させることにより、剥離フィルムと第ニ接着剤層の積層体を得ることができる。ここで、第二接着剤層を塗布する剥離フィルムは、基材層と同様のものを用いることもでき、また、基材層より軽い剥離処理をしたものを用いることがより好ましい。基材層よりも軽い剥離処理をしたものを用いることで、基材層よりも剥離フィルムが剥がれ易くなり、接着フィルムの製造中や、搬送中等において、基材層が意図せず剥がれることを防止することができる。
【0117】
次に、前記工程により得られた基材層と第一接着剤層の積層体と、剥離フィルムと第二接着剤層の積層体を、第一接着剤層と第二接着剤層を内側にして、熱ロールでラミネートすることにより、基材層13、第一接着剤層11、第二接着剤層12がこの順に形成された接着フィルム10を製造することができる。この時、剥離フィルムは剥がしても、剥がさずにカバーフィルムとして使用してもよい。
【0118】
なお、接着フィルム10の製造方法は、上述した方法に限定されるものではなく、例えば、基材層と第一接着剤層の積層体上に、さらに第二樹脂組成物を溶解させたワニスを塗布するような方法等もあり、接着フィルムの製造方法は、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
【0119】
《電子部品の製造方法》
次に本発明の接着フィルムを用いた電子部品の製造方法について説明する。本発明の接着フィルムは、特に限定されないが、接着フィルムにおける接着剤層の第二面を凸状の端子を有する回路部材に貼り付ける場合と、接着フィルムにおける接着剤層の第一面を凸状の端子を有する回路部材に貼り付ける場合の二通りの電子部品の製造方法に用いることができる。まず、接着フィルムの第二面を凸状の端子を有する回路部材に貼り付ける場合について説明する。
【0120】
[1]積層工程
[1−1]貼り付け工程
図3(a)に示すように、接着フィルム10の接着剤層14と、半導体ウエハ40とを密着させつつ、接着フィルム10と半導体ウエハ40(第一の回路部材の集合体)とを積層する。ここで、接着フィルム10は、予め半導体ウエハ40とほぼ同じサイズに作製されている。また、半導体ウエハ40において、接着フィルム10と接着する面は、凸状の端子(図示せず)を有するものである。この半導体ウエハ40の端子を接着フィルム10における第二面で覆うように、接着フィルム10を半導体ウエハ40に貼り付ける(
図3(a))。
【0121】
接着フィルム10を半導体ウエハ40に貼り付ける方法としては、例えばロールラミネーター、平板プレス、ウエハラミネーター、弾性体プレス等により接着フィルム10を半導体ウエハ40にラミネートする方法が挙げられる。
これらの中でもラミネート時に空気を巻き込まないようにするため、真空下でラミネートする方法(真空ラミネーター)が好ましい。
【0122】
また、ラミネートする条件としては、特に限定されず、ボイドなくラミネートできればよいが、具体的には50〜150℃で1秒〜120秒間加熱する条件が好ましく、特に60〜120℃で5〜60秒間加熱する条件が好ましい。ラミネート条件が前記範囲内であると、貼着性と、樹脂のはみ出しの抑制効果と、樹脂の硬化度とのバランスに優れる。
また、加圧条件も特に限定されないが、0.2〜2.0MPaが好ましく、特に0.5〜1.5MPaが好ましい。
【0123】
上記積層の結果、
図3(b)に示すように、接着フィルム10と半導体ウエハ40とが積層されてなる積層体が得られる。
【0124】
次に、半導体ウエハ40における接着フィルムが接着した面と反対側の面に、ダイシングシート50を貼り付ける。ダイシングシート50は、特に限定されず、一般的に用いられているものを用いることができる。ダイシングシート50の貼り付けは、ウエハラミネーター等を用いることができる。この時、同時にウエハリング51を貼り付け、半導体ウエハを固定することが好ましい。ウエハリング51は、一般にステンレス鋼、アルミニウム等の各種金属材料等で構成されるため、剛性が高く、積層体の変形を確実に防止することができる。
【0125】
[1−2]剥離工程
次に、接着フィルム10における基材層13を剥がす。このとき、積層体をダイシングシート側から吸着して固定しながら行うこともできる。
【0126】
[2]ダイシング工程
次に、図示しないダイサーテーブルを用意し、ダイサーテーブルとダイシングシート50とが接触するように、ダイサーテーブル上に積層体を載置する。
続いて、
図4(e)に示すように、ダイシングブレード52を用いて積層体に複数の切り込み53を形成する(ダイシング)。ダイシングブレード52は、円盤状のダイヤモンドブレード等で構成されており、これを回転させつつ積層体の半導体ウエハ40側の面に押し当てることで切り込み53が形成される。そして、半導体ウエハ40に形成された回路パターン同士の間隙に沿って、ダイシングブレード52を相対的に移動させることにより、半導体ウエハ40が複数の個片化された半導体チップ20に個片化される。このとき、個片化された半導体チップ20は、それぞれ外部に電気的に接続するための端子21を有している。また、接着フィルムにおける接着層14も同様に、複数の接着層に個片化される。このようなダイシングの際には、半導体ウエハ40に振動や衝撃が加わるが、半導体ウエハ40の下面がダイシングテープ50で支持されているため、上記の振動や衝撃が緩和されることとなる。その結果、半導体ウエハ40および半導体チップ20における割れや欠け等の不具合の発生を確実に防止することができる。
【0127】
[3]ピックアップ工程
[3−1]エキスパンド工程
次に、複数の切り込み53が形成された積層体8を、図示しないエキスパンド装置により、放射状に引き延ばす(エキスパンド)。これにより、
図4(f)に示すように、積層体に形成された切り込み53の幅が広がり、それに伴って個片化された半導体チップ20同士の間隔も拡大する。その結果、個片化された半導体チップ20同士が干渉し合うおそれがなくなり、個々の個片化された半導体チップ20をピックアップし易くなる。なお、エキスパンド装置は、このようなエキスパンド状態を後述する工程においても維持し得るよう構成されている。
【0128】
[3−2]ピックアップ工程
次に、図示しないダイボンダー、又はダイソーターにより、半導体チップ20のうちの1つを、コレット(チップ吸着部)で吸着するとともに上方に引き上げ、接着層14付きの半導体チップ20を得ることができる(ピックアップ)。このとき、ダイシングテープ50を下方から突き上げる針状体(ニードル)等が用いることができる(図示せず)。また、ダイシングテープ50が紫外線の照射や、加熱によりその粘着性を低下させることで、ピックアップ性を向上させるものである場合、ピックアップ前に、紫外線の照射や、加熱処理を行うこともできる。
【0129】
[4]接合工程
[4−1]接着工程
次に、個片化された半導体チップ(第一の回路部材)20を搭載(マウント)するためのインターポーザー(第二の回路部材)30を用意する。
このインターポーザー30は、前記接着剤層14と接着する面に端子(図示せず)を有するものである。
なお、半導体チップ20の端子21とインターポーザー30の端子31としては、例えば電極パッド、半田バンプ、金属ポストの表面に低融点の導電性金属を設けたもの等が挙げられる。また、端子21、端子31の少なくとも一方に低融点の導電性金属が存在することが好ましい。
【0130】
次いで、
図4(g)に示すように、ピックアップされた半導体チップ20を、接着剤層14を介してインターポーザー30上に載置する。この際、個片化された半導体チップ(第一の回路基板)20の端子21と、インターポーザー(第二の回路部材)30の端子31とを位置合わせしながら、接着剤層14を介して仮圧着する。
【0131】
インターポーザー30は、
図5(a)に示すように、基材32上に配線回路33が設けられており、端子として、電極パッド34を有する。配線回路52は、電極パッド34を除き、絶縁部35が設けられている。また、絶縁部35には位置合わせに用いるパターンとして複数のアライメントマーク36が設けられている。
なお、インターポーザー30では、そのアライメントマーク36に換えて、例えば、
図5(a)に示す電極パッド34(凹部)等のインターポーザー30の所定部位をアライメントマークとして用いることができる。
【0132】
図5(b)に個片化された半導体チップ(第一の回路基板)20と接着剤層14とが積層された積層体の詳細を例示する。個片化された半導体チップ20の端子21は表面に低融点の導電性金属を有する金属バンプである。また、個片化された半導体チップ20には位置合わせに用いるパターンとして複数のアライメントマーク22が設けられている。
なお、個片化された半導体チップ20では、アライメントマーク22に換えて、例えば、
図4(b)に示す端子21(突起)等の個片化された半導体チップ20の所定部位をアライメントマークとして用いることができる。
すなわち、インターポーザー(第二の回路部材)30と個片化された半導体チップ(第一の回路部材)20との位置合わせに用いられるパターンとしては、その位置合わせ専用のアライメントマーク36、22に限らず、この他、例えば、端子、電極、バンプ、配線パターン(配線)、パッド部(例えば、ボンディングパッド、電極パッド)、ダイシングライン等が挙げられる。
【0133】
インターポーザー30のアライメントマーク36と、個片化された半導体チップ20のアライメントマーク22とを、インターポーザー30や個片化された半導体チップ20の厚さ方向から見て一致させることにより、インターポーザー30に対して、個片化された半導体チップ20の位置合わせを行う。そして、インターポーザー30と個片化された半導体チップ20と接着剤層14を介して仮圧着し、インターポーザー30上に個片化された半導体チップ20を固定する(
図5(c))。仮圧着する方法としては、特に制限されないが、圧着機、フリップチップボンダー等を用いて行うことができる。仮圧着する条件は、特に制限されないが、温度は40℃〜200℃が好ましく、60℃〜180℃が特に好ましい。また、時間は0.1秒〜60秒が好ましく、1〜60秒が特に好ましい。さらに圧力は0.1MPa〜2.0MPaが好ましく、0.3MPa〜1.5MPaが特に好ましい。仮圧着する条件が前記範囲内であると、個片化された半導体チップ20をインターポーザー30上に確実に仮圧着することができる。
【0134】
[4−2]接合工程
次に、インターポーザー30と半導体チップ20を電気的に接合する。
インターポーザー30と半導体チップ20の電気的な接合は、端子21表面の低融点の導電性金属を溶融して電極パッド34と半田接合することにより電気的に接続する接続部81を形成することで行うことができる(
図4(d))。
半田接合する条件は、使用する低融点の導電性金属の種類にもよるが、例えばSn−Agの場合、220〜260℃で5〜500秒間加熱して半田接合することが好ましく、特に230〜240℃で10〜100秒間加熱することが好ましい。
この半田接合は、低融点の導電性金属が融解した後に、接着剤層14が硬化するような条件で行うことが好ましい。すなわち、半田接合は、低融点の導電性金属を融解させるが、接着剤層14の硬化反応があまり進行させないような条件で実施することが好ましい。これにより、半田接続する際の接続部81の形状を接続信頼性に優れるような安定した形状とすることができる。
【0135】
[4−3]硬化工程
次に、接着フィルム14を加熱して硬化させ、封止層80を形成する。硬化させる条件は、特に制限されないが、温度は130〜220℃が好ましく、150〜200℃が特に好ましい。また、時間は30〜500分が好ましく、60〜180分が特に好ましい。さらに、加圧雰囲気下で接着剤層14を硬化させてもよい。加圧方法としては、特に制限されないが、オーブン中に窒素、アルゴン等の加圧流体を導入することにより行うことができる。前記圧力は0.1MPa〜10MPaが好ましく、0.5MPa〜5MPaが特に好ましい。硬化させる条件が前記範囲内であると、接着剤層14中のボイドを低減することができる。
【0136】
[5]バンプ形成工程
次に、マザーボードに電子部品100を実装するためのバンプ70を形成する(
図4(e))。バンプ70は導電性を有する金属材料であれば、特に制限されないが、導電性と応力緩和性に優れる半田が好ましい。また、バンプ70の形成方法は、特に制限されないが、フラックスを利用して半田ボールを接続することにより形成することができる。
このようにして、
図4(e)に示すような、インターポーザー30と個片化された半導体チップ20とが接着剤層14の硬化物による封止層80で接着された電子部品100を得ることができる。
以上のような方法によれば、別途アンダーフィルやフラックス剤等を用意する必要がなく、半導体チップ20とインターポーザー30とを電気的に接続した電子部品100の製造効率をより高めることができる。
【0137】
なお、本実施形態では、半導体ウエハ40に接着フィルム10を貼り付け、さらにダイシングシート50を貼り付けた後、基材層13を剥がすとの順番で説明したが、この順番に限定されず、例えば半導体ウエハ40をダイシングシート50に貼り付け、接着フィルム10を貼り付けた後、基材層を剥がすような順番で行ってもよい。
【0138】
また、本実施形態では、接着フィルム10を半導体ウエハ40に形成された端子21を覆うように貼り付けたが、この場合、半導体ウエハ40に貼り付ける接着剤層14の第二面における充填材の含有率をBとして、接着剤層14の第一面における充填材の含有率をAとしたとき、B>Aとすることが好ましい。このようにすることで、接合部81において、充填材が接合部81に巻き込まれることを抑制することができる。
【0139】
また、本実施形態では、接着フィルム10を半導体ウエハ40に貼り付けたが、このような製造方法に限られず、接着フィルム10を個片化し、接着フィルム10における接着層の第二面を、個片化された半導体チップに貼り付け、基材層13を剥がし、接着層の第一面を、インターポーザー30に仮圧着し、その後電気的に接続させるという製造方法を用いることができる。
【0140】
次に、接着フィルムにおける接着剤層の第一面を凸状の端子を有する回路部材に貼り付ける場合について、説明する。
【0141】
[1]積層工程
[1−1]貼り付け工程
図6(a)に示すように、接着フィルム10の接着剤層14と、インターポーザー30(第一の回路部材)とを積層する。ここで、接着フィルム10は、予めインターポーザーに積層される半導体チップ20とほぼ同じサイズに作製されている。また、インターポーザー30において、接着フィルム10と接着する面は、インターポーザー30の表面において、平面上に形成された端子(図示せず)を有するものである。このインターポーザー30の端子を接着フィルム10における第二面で覆うように、接着フィルム10をインターポーザー30に貼り付ける(
図6(a))。
【0142】
接着フィルム10をインターポーザー30に貼り付ける方法としては、例えばロールラミネーター、平板プレス、ウエハラミネーター、弾性体プレス等により接着フィルム10をインターポーザー30にラミネートする方法が挙げられる。
これらの中でもラミネート時に空気を巻き込まないようにするため、真空下でラミネートする方法(真空ラミネーター)が好ましい。
【0143】
また、ラミネートする条件としては、特に限定されず、ボイドなくラミネートできればよいが、具体的には50〜150℃で1秒〜120秒間加熱する条件が好ましく、特に60〜120℃で5〜60秒間加熱する条件が好ましい。ラミネート条件が前記範囲内であると、貼着性と、樹脂のはみ出しの抑制効果と、樹脂の硬化度とのバランスに優れる。
また、加圧条件も特に限定されないが、0.2〜2.0MPaが好ましく、特に0.5〜1.5MPaが好ましい。
【0144】
上記積層の結果、
図5(b)に示すように、接着フィルム10とインターポーザー30とが積層されてなる積層体が得られる。
【0145】
[1−2]剥離工程
次に、接着フィルム10における基材層13を剥がす(
図6(c))。このとき、基材層13に粘着テープ等を貼り付けて剥がすこともできる。
【0146】
[2]接合工程
[2−1]接着工程
次に、個片化された半導体チップ(第二の回路部材)20を用意する。
この半導体チップ20は、前記接着剤層14と接着する面に端子21を有するものであり、当該端子は凸状のものが好ましい。
なお、半導体チップ20の端子21とインターポーザー30の端子31としては、例えば電極パッド、半田バンプ、金属ポストの表面に低融点の導電性金属を設けたもの等が挙げられる。また、端子21、端子31の少なくとも一方に半田が存在することが好ましい。
【0147】
次いで、
図6(d)に示すように、半導体チップ20を、接着剤層14を介してインターポーザー30上に載置する。この際、個片化された半導体チップ(第二の回路基板)20の端子21と、インターポーザー(第一の回路部材)30の端子31とを位置合わせしながら、接着剤層14を介して仮圧着する。仮圧着する方法としては、特に制限されないが、圧着機、フリップチップボンダー等を用いて行うことができる。仮圧着する条件は、特に制限されないが、温度は40℃〜200℃が好ましく、60℃〜180℃が特に好ましい。また、時間は0.1秒〜60秒が好ましく、1〜60秒が特に好ましい。さらに圧力は0.1MPa〜2.0MPaが好ましく、0.3MPa〜1.5MPaが特に好ましい。仮圧着する条件が前記範囲内であると、個片化された半導体チップ20をインターポーザー30上に確実に仮圧着することができる。
【0148】
[2−2]接合工程
次に、インターポーザー30と半導体チップ20を電気的に接合する。
【0149】
次に、端子21表面の低融点の導電性金属を溶融して電極パッド34と半田接合することにより電気的に接続する接続部81を形成する(
図6(e))。
半田接合する条件は、使用する半田の種類にもよるが、例えばSn−Agの場合、220〜260℃で5〜500秒間加熱して半田接合することが好ましく、特に230〜240℃で10〜100秒間加熱することが好ましい。
この半田接合は、低融点の導電性金属が融解した後に、接着剤層14が硬化するような条件で行うことが好ましい。すなわち、半田接合は、低融点の導電性金属を融解させるが、接着剤層14の硬化反応があまり進行させないような条件で実施することが好ましい。これにより、半田接続する際の接続部81の形状を接続信頼性に優れるような安定した形状とすることができる。
【0150】
[2−3]硬化工程
次に、接着フィルム14を加熱して硬化させ、封止層80を形成する。硬化させる条件は、特に制限されないが、温度は130〜220℃が好ましく、150〜200℃が特に好ましい。また、時間は30〜500分が好ましく、60〜180分が特に好ましい。さらに、加圧雰囲気下で接着剤層14を硬化させてもよい。加圧方法としては、特に制限されないが、オーブン中に窒素、アルゴン等の加圧流体を導入することにより行うことができる。前記圧力は0.1MPa〜10MPaが好ましく、0.5MPa〜5MPaが特に好ましい。硬化させる条件が前記範囲内であると、接着剤層14中のボイドを低減することができる。
【0151】
[3]バンプ形成工程
次に、マザーボードに電子部品100を実装するためのバンプ70を形成する(
図6(f))。バンプ70は導電性を有する金属材料であれば、特に制限されないが、導電性と応力緩和性に優れる半田が好ましい。また、バンプ70の形成方法は、特に制限されないが、フラックスを利用して半田ボールを接続することにより形成することができる。
このようにして、
図6(f)に示すような、インターポーザー30と個片化された半導体チップ20とが接着剤層14の硬化物による封止層80で接着された電子部品100を得ることができる。
以上のような方法によれば、別途アンダーフィルやフラックス剤等を用意する必要がなく、半導体チップ20とインターポーザー30とを電気的に接続した電子部品100の製造効率をより高めることができる。
【0152】
本実施形態においては、接着フィルム10における第二面をインターポーザー30に形成された端子31を覆うように貼り付けることが好ましく、この場合、インターポーザー30に貼り付ける接着剤層14の第二面における充填材の含有率をBとして、半導体チップ20を貼り付ける接着剤層14の第一面における充填材の含有率をAとしたとき、B<Aとすることが好ましい。このようにすることで、接合部81において、充填材が接合部81に巻き込まれることを抑制することができる。
【0153】
また、本実施形態においては、インターポーザーに個片化させた接着フィルムを貼り付けたが、このような電子部品の製造方法に限られず、表面に平面状に形成された端子を有する半導体ウエハ(第一の回路部材の集合体)に接着フィルムにおける接着剤層の第
二面を貼り付け、次に基材層13を剥がし、さらに予め個片化された半導体チップであって、当該半導体チップの一面において凸状の端子を有するものを用意し、当該半導体チップの凸状の端子を有する面を前記接着剤層の第
一面に仮圧着した後、端子同士を電気的に接続するとの工程を含む電子部品の製造方法を用いることもできる。
【0154】
[第二実施形態]
次に、本発明の接着フィルムの第二実施形態について説明する。
図7は、本発明の接着フィルムの第二実施形態を示す模式図である。
なお、以下の説明では、
図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
第二実施形態では、接着フィルム10は、
図7に示すように、基材層13と、接着剤層14とからなり、接着剤層14は、基材層13と接する第一接着剤層11と、中間層15と、第二接着剤層12を有する。つまり、本実施形態では、基材層13と、第一接着剤層11と、中間層15と、第二接着剤層12と、がこの順に互いに接合するように積層された4層構造をなす積層体で構成されるものである。
【0155】
第一接着剤層11、第二接着剤層12は、第一実施形態と同様に、第一樹脂組成物、第二樹脂組成物で構成されており、第一実施形態と同様のものを用いることができる。また、基材層13についても、第一実施形態と同様のものを用いることができる。また、中間層15は、樹脂組成物から構成される。
【0156】
中間層15を構成する樹脂組成物は、特に限定されないが、第一樹脂組成物層と同様のものを用いることができる。このため、中間層15を構成する樹脂組成物については、第一接着剤層と異なる部分を中心に説明する。
【0157】
つまり、中間層15を構成する樹脂組成物は、第一樹脂組成物と同様に加熱により硬化する硬化性樹脂組成物が好ましく、熱硬化性樹脂成分を含有し、熱硬化性樹脂成分の他に、必要に応じてフラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、充填材等を含んでもよい。中間層15を構成する樹脂組成物に用いられるフラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、充填材等は、第一樹脂組成物に用いられるものと同様のものを用いることができる。ここからは第一樹脂組成物と異なる部分を中心に説明する。
【0158】
中間層15を構成する樹脂組成物は、充填材を含むことが好ましいが、その含有量は、第一接着剤層および第二接着剤層と異なる含有量とすることが好ましく、第一接着剤層の充填材含有量が、第二接着剤層の充填材含有量より多い場合は、中間層15を構成する樹脂組成物の充填材含有量を、第二接着剤層における充填材含有量より多く、第一接着剤層における充填材含有量より少なくすることが好ましく、第一接着剤層の充填材含有量が、第二接着剤層の充填材含有量より少ない場合は、中間層15を構成する樹脂組成物の充填材含有量を、第一接着剤層における充填材含有量より多く、第二接着剤層における充填材含有量より少なくすることが好ましい。
中間層15を構成する樹脂組成物の充填材含有量を前記好ましい関係にすることで、第一接着剤層11と、中間層15と、第二接着剤層12とが、隣合う層同士の間で、熱特性等の樹脂特性が近似することにより、隣合う層同士が十分に接着し、電子部品における信頼性の低下を防止できるとの効果を発揮することができる。
【0159】
このような中間層15は、上記に示すような樹脂組成物から構成される一層から構成されるものに限られず、複数の層から構成されてもよい。
【0160】
次に本実施形態における接着フィルムは、第一実施形態における接着フィルムの製造方法と同様に、各層を構成する樹脂組成物をワニス化して、塗布、ラミネートすることで製造する方法が用いられる。
【0161】
また、本実施形態における接着フィルムを用いた電子部品の製造方法についても、第一実施形態における接着フィルムを用いた電子部品の製造方法と同様の方法で行うことができる。
【0162】
[第三実施形態]
次に、本発明の接着フィルムの第三実施形態について説明する。
図8は、本発明の接着フィルムの第三実施形態を示す模式図である。
なお、以下の説明では、
図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
第三実施形態では、接着フィルム10は、
図8に示すように、基材層13と、接着剤層14とからなり、基材層13と、接着剤層14とがこの順に互いに接合するように積層された2層構造をなす積層体で構成されるものである。
【0163】
本実施形態における基材層13は、第一実施形態における基材層と同様のものを用いることができる。また、接着剤層14は、樹脂組成物から構成され、接着剤層14を構成する樹脂組成物は、第一実施形態における第一接着剤層を構成する第一樹脂組成物と同様の樹脂組成物を用いることができる。
【0164】
本実施形態における接着剤層は充填材を含むことが好ましいが、その含有量は、接着剤層の基材層と接している第一面における充填材の含有量と、接着剤層の第二面における充填材の含有量と、を異なるものとすることが好ましい。また、接着剤層の第一面における充填材の含有率をAとし、第二面における充填材の含有率をBとしたときA<Bとなるように充填材の含有量を設計することが好ましく、接着剤層の第一面から第二面にかけて、連続的に充填材の含有量が増加していくように設計することがより好ましい。このように設計することで、第二の回路部材に設けられた端子に接着する際に、接着性が向上するとの効果や、回路部材同士を電気的に接続する接合行程において、充填材が接合部に巻き込まれることによる信頼性の低下を防止できるとの効果を発揮することができる。
【0165】
このような接着フィルムは、特に限定されないが、例えば接着剤層を構成する樹脂組成物をワニス化して、基材層13上に塗布した後、片面からのみ乾燥させる等の方法により、接着剤層の厚み方向に温度傾斜を発生させることにより、充填材の含有量を接着剤層の厚み方向に変化するように製造することができる。また、充填材の含有量の異なる複数層の接着剤層を作成し、それらをラミネートして、さらに加熱することで、接着層を再溶融させて一層化して製造することができる。
【0166】
また、本実施形態における接着フィルムを用いた電子部品の製造方法については、第一実施形態における接着フィルムを用いた電子部品の製造方法と同様の方法で行うことができる。
【0167】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0168】
[接着フィルムの作製]
(実施例1)
<第一接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)14.26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)39.73重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)10.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)5.07重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.09重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.35重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)30重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0169】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0170】
<第二接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)6.11重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)17.03重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)4.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)2.17重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.04重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0171】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0172】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、第二接着剤層を、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、第二接着剤層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離して、接着フィルムを作製した。
【0173】
(実施例2)
第一接着剤層の厚さを5.0μm、第二接着剤層の厚さを20.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、接着フィルムを得た。
【0174】
(実施例3)
<第一接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)20.38重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)56.75重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)15.0重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)7.25重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.13重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.5重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0175】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0176】
<第二接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)6.11重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)17.03重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)4.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)2.17重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.04重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0177】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0178】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、第二接着剤層を、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、第二接着剤層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離して、接着フィルムを作製した。
【0179】
(実施例4)
<第一接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)20.38重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)56.75重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)15.0重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)7.25重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.13重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.5重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0180】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ14μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ7μmの第一接着剤層を得た。
【0181】
<中間層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)14.26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)39.73重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)10.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)5.07重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.09重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.35重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)30重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0182】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ16μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ8μmの中間層を得た。
【0183】
<第二接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)6.11重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)17.03重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)4.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)2.17重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.04重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0184】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ20μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ10μmの第二接着剤層を得た。
【0185】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、中間層を、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、中間層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離した。次に、中間層と、第二接着剤層とを、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、第二接着剤層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離して、接着フィルムを作製した。
【0186】
(実施例5)
<第一接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)20.38重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)56.75重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)15.0重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)7.25重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.13重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.5重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0187】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ10μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ5μmの第一接着剤層を得た。
【0188】
<中間層(1)の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)14.26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)39.73重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)10.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)5.07重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.09重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.35重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)30重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0189】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ10μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ5μmの中間層を得た。
【0190】
<中間層(2)の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)12.33重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)34.05重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)9重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)4.35重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.08重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.3重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)40重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0191】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ10μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ5μmの中間層を得た。
【0192】
<中間層(3)の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)8.15重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)22.7重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)6重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)2.9重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.05重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.2重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)60重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0193】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ10μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ5μmの中間層を得た。
【0194】
<第二接着剤層の作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)6.11重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)17.03重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)4.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)2.17重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.04重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0195】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ10μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ5μmの第二接着剤層を得た。
【0196】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、中間層(1)とを、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、中間層(1)に設けられていたポリエステルフィルムを剥離した。同様に、中間層(2)、中間層(3)、第二接着剤層を貼り合せて、第一接着剤層〜第二接着剤層が積層されたフィルムを得た。さらにこのフィルムを、加熱式のロールラミネーターで、120℃、0.2MPa、4m/minの条件で加熱・加圧することで、接着剤層を再溶融させて一体化し、接着フィルムを得た。
【0197】
(実施例6)
<第一接着剤層の作製>
実施例1の第二接着剤層と同様にして、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0198】
<第二接着剤層の作製>
実施例1の第一接着剤層と同様にして、厚さ12.5μmの第二接着剤層を得た。
【0199】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、第二接着剤層を、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、第二接着剤層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離して、接着フィルムを作製した。
【0200】
(実施例7)
<第一接着剤層の作製>
ザイロック型フェノール樹脂(三井化学社製 XLC−4L)22.23重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 840)34.2重量部と、フラックス機能を有する化合物であるジフェノール酸(東京化成工業社製)19重量部と、成膜性樹脂としてアクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテックス社製、SG−P3)19重量部と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)0.1重量部と、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−503)0.47重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)5重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0201】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0202】
<第二接着剤層の作製>
ザイロック型フェノール樹脂(三井化学社製 XLC−4L)7.02重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 840)10.8重量部と、フラックス機能を有する化合物であるジフェノール酸(東京化成工業社製)6重量部と、成膜性樹脂としてアクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテックス社製、SG−P3)6重量部と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)0.03重量部と、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−503)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0203】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0204】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、第二接着剤層を、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、第二接着剤層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離して、接着フィルムを作製した。
【0205】
(実施例8)
<第一接着剤層の作製>
フェノール樹脂(住友ベークライト社製 PR−55617)32.68重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 840)38.95重量部と、フラックス機能を有する化合物であるフェノールフタリン(東京化成工業社製)9.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)13.3重量部と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)0.1重量部と、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−503)0.47重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)5重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0206】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0207】
<第二接着剤層の作製>
フェノール樹脂(住友ベークライト社製 PR−55617)10.32重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 840)12.3重量部と、フラックス機能を有する化合物であるフェノールフタリン(東京化成工業社製)3重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)4.2重量部と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)0.03重量部と、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−503)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0208】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ25μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ12.5μmの第一接着剤層を得た。
【0209】
<接着フィルムの作製>
得られた第一接着剤層と、第二接着剤層を、加熱式のロールラミネーターで、60℃、0.2MPa、4m/minの条件で貼り合せ、第二接着剤層側に設けられていたポリエステルフィルムを剥離して、接着フィルムを作製した。
【0210】
(比較例1)
<接着フィルムの作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)6.11重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)17.03重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)4.5重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)2.17重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.04重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.15重量部と、シリカフィラー(アドマテックス社製、SC1050)70重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0211】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmの接着フィルムを得た。
【0212】
(比較例2)
<接着フィルムの作製>
クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 KA−1160)20.38重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−830LVP)56.75重量部と、フラックス機能を有する化合物であるトリメリット酸(東京化成工業社製)15.0重量部と、成膜性樹脂としてフェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX−6954)7.25重量部と、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.13重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)0.5重量部を、メチルエチルケトンに溶解、分散し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0213】
得られた接着フィルム用ワニスを、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmの接着フィルムを得た。
【0214】
[接着フィルムの評価]
<溶融粘度測定>
各実施例および比較例で得られた接着剤層を積層することによって厚み100μmの測定用サンプルを作製し、粘弾性測定装置(HAAKE社製「RheoStress RS150」)を用いて、パラレルプレート20mmφ、ギャップ0.05mm、周波数0.1Hz、昇温速度は、10℃/分の条件で溶融粘度を測定し、最低となる溶融粘度を測定値とした。結果を表1〜3に示す。
【0215】
<平均線膨張係数>
各実施例および比較例で得られた接着剤層を、180℃2時間処理し、幅4mm、厚さ100μmの短冊状のサンプルを用いて線膨張係数を測定した。測定条件は、引張モード、昇温速度10℃/分、荷重30mN、チャック間距離10mmで測定した。結果を表1〜3に示す。
【0216】
<充填材含有量の測定>
得られた接着フィルムについて、基材層と接触する第一面、および第二面について、表面切削装置にて接着フィルムの表面から深さ方向に3μm厚さ分を切削することによって5mgの分析用サンプルを取得し、熱重量分析計(TGA)で空気雰囲気下で昇温速度10℃/分で30℃から900℃まで昇温することによって、有機成分を燃焼し充填材の含有率を算出した。結果を表1〜3に示す。
【0217】
<電子部品の製造>
実施例1〜5、7〜8、比較例1および2で得られた接着フィルムについては、以下の方法で電子部品の製造を行った。まず、表面に低融点の導電性金属として錫、銀を含む合金からなる半田を有する銅バンプを片面に複数有するシリコンウエハー(直径8インチ、厚さ100μm)を用意した。予めシリコンウエハーと同じサイズにカットした接着フィルムの第二面を、シリコンウエハーの銅バンプを有する面に接するように、接着フィルムとシリコンウエハーを積層した。これをラミネーターで、貼り合わせ温度80℃、圧力0.8MPa、2mm/sでラミネートして、接着フィルムとシリコンウエハーの積層体を得た。
【0218】
次に、シリコンウエハーの、接着フィルムと貼り合せた面と逆の面に、ダイシングテープをラミネーターで貼り合せた。このとき、貼り合せ温度は25℃、圧力0.8MPa、2mm/s接着フィルムとシリコンウエハーの積層体と、ダイシングテープを貼り合せた。
【0219】
次いで、ダイシングテープをウエハリングに固定して、ダイシングソー(DFD6360、(株)ディスコ製)のダイシングテーブルに積層し、シリコンウエハーを固定した上で、基材層を剥離した。さらに、シリコンウエハー側から、ダイシングソーを用いて以下の条件でダイシング(切断)した。これにより、シリコンウエハーが個片化され、以下のダイシングサイズの半導体チップを得た。
【0220】
≪ダイシング条件≫
ダイシングサイズ :10mm×10mm角
ダイシング速度 :50mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
ダイシング最大深さ :0.130mm(シリコンウエハーの表面からの切り込み量)
ダイシングブレードの厚さ:15μm
【0221】
次いで、半導体チップの1つをダイシングテープ一体型接着シートの支持フィルム側(裏面)からニードルで突き上げ、突き上げた半導体チップの表面をダイボンダーのコレットで吸着しつつ上方に引き上げた。これにより、接着フィルム付き半導体チップをピックアップした。
【0222】
次に、ピックアップした半導体チップを反転させて、銅バンプおよび接着剤層を下側にした。さらに、パッドを有するインターポーザーを用意し、インターポーザーのパッドと、銅バンプとが当接するように位置あわせを行いながらインターポーザーに半導体チップを150℃、1秒間、1kgの条件で貼り付けた。
【0223】
さらに、フリップチップボンダーのヘッドで、半導体チップを235℃、5秒間加熱して、バンプ表面の合金を溶融させて半導体チップとインターポーザーを半田接合を行った。
そして、180℃、60分間、0.8MPaの流体圧(空気圧)の雰囲気下で加熱して、接着フィルムを硬化させて、半導体チップと、インターポーザーとが接着剤層の硬化物で封止された電子部品を得た。
【0224】
次に、実施例6で得られた接着フィルムについては、以下の方法で電子部品の製造を行った。まず、片面に表面に低融点の導電性金属として錫、銀を含む合金からなる半田を有する銅バンプを片面に複数有するシリコンウエハー(直径8インチ、厚さ100μm)を用意した。
【0225】
次に、シリコンウエハーの、銅バンプを有する面と逆の面に、ダイシングテープをラミネーターで貼り合せた。このとき、貼り合せ温度は25℃、圧力0.8MPa、2mm/sとした。
【0226】
次いで、ダイシングテープをウエハリングに固定して、ダイシングソー(DFD6360、(株)ディスコ製)のダイシングテーブルに積層し、シリコンウエハー側から、ダイシングソーを用いて以下の条件でダイシング(切断)した。これにより、シリコンウエハーが個片化され、以下のダイシングサイズの半導体チップを得た。
【0227】
≪ダイシング条件≫
ダイシングサイズ :10mm×10mm角
ダイシング速度 :50mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
ダイシング最大深さ :0.110mm(シリコンウエハーの表面からの切り込み量)
ダイシングブレードの厚さ:15μm
【0228】
次に、パッドを有するインターポーザーを用意し、そのパッドを有する面に、予め10mm×10mmサイズにカットした接着フィルムの第二面を、貼り合わせ温度80℃、圧力0.8MPa、2mm/sでラミネートして、接着フィルムとインターポーザーの積層体を得た。
【0229】
得られた積層体から基材層を剥離して、半導体チップにおける銅バンプを下側にし、インターポーザーのパッドと、銅バンプとが当接するように位置あわせを行いながらインターポーザーに半導体チップを150℃、1秒間、1kgの条件で貼り付けた。
【0230】
さらに、フリップチップボンダーのヘッドで、半導体チップを235℃、5秒間加熱して、バンプ表面の合金を溶融させて半導体チップとインターポーザーを半田接合を行った。
そして、180℃、60分間、0.8MPaの流体圧(空気圧)の雰囲気下で加熱して、接着フィルムを硬化させて、半導体チップと、インターポーザーとが接着剤層の硬化物で封止された電子部品を得た。
【0231】
<接続信頼性>
各実施例および比較例の接着フィルムを用いて得られた電子部品それぞれ20個ずつについて、−55℃の条件下に30分、125℃の条件下に30分ずつ交互に晒すことを1サイクルとする、温度サイクル試験を100サイクル行い、試験後の半導体装置について、半導体チップと回路基板の接続抵抗値をデジタルマルチメーターで測定し、接続信頼性を評価した。結果を表1〜3に示す。各符号は、以下の通りである。
【0232】
◎ :20個すべての半導体装置の接続抵抗値が10Ω未満であった。
○ :1個以上の半導体装置の接続抵抗値が10Ω以上、20Ω未満であった。
× :1個以上の半導体装置の接続抵抗値が20Ω以上であった。
【0233】
<接続部の充填材噛み込み>
各実施例および比較例の接着フィルムを用いて得られた電子部品について、切断し、SEMにより接続部を20箇所確認し、接続部に噛み込んだ充填材を観察して評価した。結果を表1〜3に示す。各符号は以下の通りである。
◎ :20個すべての接続部に充填材の噛み込みが無かった。
○ :1〜3個接続部に充填材の噛み込みがあった。
× :4個以上の接続部に充填材の噛み込みがあった。
【0237】
実施例、比較例から明らかなように、本発明によれば、半田接合部の信頼性を向上し得る接着フィルムを提供することができる。また、併せて、歩留まりおよび生産性の向上をし得る電子部品の製造方法を提供することができる。