(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接線と前記カーブ内側曲線とが接する点を接線方向接点と定義し、前記道路情報検出部で検出した道路情報、及び前記車速検出手段で検出した車速に基づき、前記基準点から前記接線方向接点までの距離を車速で除算した値を接線方向接点時間として算出する接線方向接点時間算出部と、
前記接線方向交点時間算出部で算出した接線方向交点時間、及び前記接線方向接点時間算出部で算出した接線方向接点時間の平均を接線方向注視時間として算出する接線方向注視時間算出部と、
前記基準点を通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線がカーブ外側曲線と交差する点を進行方向交点と定義し、前記道路情報検出部で検出した道路情報、及び前記車速検出手段で検出した車速に基づき、前記基準点から前記進行方向交点までの距離を車速で除算した値を進行方向交点時間として算出する進行方向交点時間算出部と、
前記進行方向交点時間算出部で算出した進行方向交点時間、及び前記接線方向注視時間算出部で算出した接線方向注視時間の平均を前方注視時間として算出する前方注視時間算出部と、を備え、
前記減速制御部は、
前記前方注視時間算出部で算出した前方注視時間が、予め定めた前方注視時間用の閾値よりも短いときに、自車両を減速させることを特徴とする請求項1に記載の旋回走行制御装置。
前記基準点を通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線がカーブ外側曲線と交差する点を進行方向交点と定義し、前記道路情報検出部で検出した道路情報、及び前記車速検出手段で検出した車速に基づき、前記基準点から前記進行方向交点までの距離を車速で除算した値を進行方向交点時間として算出する進行方向交点時間算出部を備え、
前記減速制御部は、
走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度が予め定めた閾値より大きいときには、前記進行方向交点時間算出部で算出した進行方向交点時間が、予め定めた進行方向交点時間用の閾値よりも短いときに、自車両を減速させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の旋回走行制御装置。
前記基準点を通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線がカーブ外側曲線と交差する点を進行方向交点と定義し、前記道路情報検出部で検出した道路情報、及び前記車速検出手段で検出した車速に基づき、前記基準点から前記進行方向交点までの距離を車速で除算した値を進行方向交点時間として算出する進行方向交点時間算出部と、
自車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記現在位置検出手段で検出した現在位置、前記進行方向交点時間算出部で算出した前記進行方向交点、及び進行方向交点時間を、走行履歴として記憶する走行履歴記憶部と、を備え、
前記減速制御部は、
前記基準点を通り、且つ自車両の進行方向を中心とする予め定めた角度範囲から前記接線方向交点が外れているときには、前記現在位置検出部で検出した現在位置に応じて前記走行履歴記憶部で記憶した走行履歴を参照し、前記走行履歴として記憶された前記進行方向交点時間のうち、前記角度範囲内に前記進行方向交点が含まれる最も長い前記進行方向交点時間を、前記接線方向交点時間として代用することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の旋回走行制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
《構成》
図1は、旋回走行制御装置を示す概略構成図である。
本実施形態における旋回走行制御装置は、前方カメラ11と、ナビゲーションシステム12と、アクセルセンサ13と、ブレーキストロークセンサ14と、6軸モーションセンサ15と、車速センサ16と、操舵角センサ17と、輪荷重センサ18と、コントローラ19と、を備える。
前方カメラ11は、車体の前方を撮像する。この前方カメラ11は、車室内のフロントウィンドウ上部に設けられた例えばCCDの広角カメラからなり、撮像した車体前方の画像データをコントローラ19に入力する。
【0009】
ナビゲーションシステム12は、自車両の現在位置と、その現在位置における道路情報を認識する。このナビゲーションシステム12は、GPS受信機を有し、四つ以上のGPS衛星から到着する電波の時間差に基づいて自車両の位置(緯度、経度、高度)と進行方向とを認識する。そして、DVD‐ROMドライブやハードディスクドライブに記憶された道路種別、道路線形、車線幅員、車両の通行方向等を含めた道路情報を参照し、自車両の現在位置における道路情報を認識しコントローラ19に入力する。なお、安全運転支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)として、双方向無線通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)を利用し、各種データをインフラストラクチャから受信してもよい。
【0010】
アクセルセンサ13は、アクセルペダルの操作位置(踏み込み量)を検出する。このアクセルセンサ13は、例えばポテンショメータであり、アクセルペダルの操作位置を電圧信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力された電圧信号からアクセルペダルの操作位置を判断する。
ブレーキストロークセンサ14は、ブレーキペダルの操作位置(踏み込み量)を検出する。このブレーキストロークセンサ14は、例えばポテンショメータであり、ブレーキペダルの操作位置を電圧信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力された電圧信号からブレーキペダルの操作位置を判断する。
【0011】
6軸モーションセンサ15は、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)において、各軸方向の加速度(Ax、Ay、Az)、及び各軸周りの角速度(ωx、ωy、ωz)を検出する。ここでは、車体前後方向をX軸とし、車体左右方向をY軸とし、車体上下方向をZ軸とする。この6軸モーションセンサ15は、加速度の場合には、例えば固定電極に対する可動電極の位置変位を静電容量の変化として検出しており、各軸方向の加速度、及び加速度と方向に比例した電圧信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力された電圧信号から加速度(Ax、Ay、Az)を判断する。なお、6軸モーションセンサ15は、前後方向では加速、左右方向では右旋回、上下方向ではバウンドを正の値として検出し、前後方向では減速、左右方向では左旋回、上下方向ではリバウンドを負の値として検出する。また、6軸モーションセンサ15は、角速度の場合には、例えば水晶音叉からなる振動子を交流電圧によって振動させ、そして角速度入力時のコリオリ力によって生じる振動子の歪み量を電気信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力された電気信号から角速度(ωx、ωy、ωz)を判断する。なお、6軸モーションセンサ15は、前後方向軸(ロール軸)周りでは右旋回、左右方向軸(ピッチ軸)周りでは加速、上下方向軸(ヨー軸)周りでは右旋回を正の値として検出し、前後方向軸(ロール軸)周りでは左旋回、左右方向軸(ピッチ軸)周りでは減速、上下方向軸(ヨー軸)周りでは左旋回を負の値として検出する。
【0012】
車速センサ16は、車体速度(以下、車速と称す)Vを検出する。この車速センサ16は、例えばトランスミッションにおける出力側のドリブンギヤに設けられ、センサロータの磁力線を検出回路によって検出しており、センサロータの回転に伴う磁界の変化をパルス信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力されたパルス信号から車速Vを判断する。
【0013】
操舵角センサ17は、ステアリングシャフトの操舵角θsを検出する。この操舵角センサ17は、例えばステアリングシャフトと同期して回転する検出ギヤに内蔵された磁石の回転を、二つのMR(ferro-Magneto Resistance)素子で検出し、ステアリングシャフトの回転に伴う磁界方向のベクトル変化を電気信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力された電気信号からステアリングシャフトの操舵角θsを判断する。なお、操舵角センサ17は、右旋回を正の値として検出し、左旋回を負の値として検出する。
【0014】
輪荷重センサ18は、各車輪の輪荷重Wを検出する。この輪荷重センサ18は、例えばサスペンションのアッパマウント部に設けた歪ゲージであり、抵抗体の歪を電気抵抗の変化として検出し、上下荷重に比例した電圧信号に変換してコントローラ19に出力する。コントローラ19は、入力された電圧信号から各車輪の輪荷重Wを判断する。
なお、前後輪を区別する際には、前輪に関わる符号に“F”を付し、後輪に関わる符号に“R”を付して説明する。また、前後左右輪を区別する際には、前左輪に関わる符号に“FL”を付し、前右輪に関わる符号に“FR”を付し、後左輪に関わる符号に“RL”を付し、後右輪に関わる符号に“RR”を付して説明する。
【0015】
コントローラ19は、例えばマイクロコンピュータからなり、各センサからの検出信号に基づいて後述する旋回走行制御処理を実行し、駆動力制御装置20と、ブレーキ制御装置50と、を駆動制御する。
駆動力制御装置20は、回転駆動源の駆動力を制御する。例えば、回転駆動源がエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料噴射量、点火時期などを調整することで、エンジン出力(回転数やエンジントルク)を制御する。回転駆動源がモータであれば、インバータを介してモータ出力(回転数やモータトルク)を制御する。
駆動力制御装置20の一例として、スロットルバルブの開度を制御する電子制御スロットルの構成について説明する。
【0016】
図2は、電子制御スロットルのシステム構成図である。
吸気管路21(例えばインテークマニホールド)内には、径方向に延びるスロットルシャフト22を軸支してあり、このスロットルシャフト22に、吸気管路21の内径未満の直径を有する円盤状のスロットルバルブ23を固定してある。また、スロットルシャフト22には、減速機24を介してスロットルモータ25が連結してある。
【0017】
したがって、スロットルモータ25を回転させてスロットルシャフト22の回転角を変化させるときに、スロットルバルブ23が吸気管路21内を閉じたり開いたりする。すなわち、スロットルバルブ23の面方向が吸気管路21の軸直角方向に沿うときに、スロットル開度が全閉位置となり、スロットルバルブ23の面方向が吸気管路21の軸方向に沿うときに、スロットル開度が全開位置となる。なお、スロットルモータ25、モータ駆動系、アクセルセンサ26系統、スロットルセンサ29系統等に異常が発生した場合に、スロットルバルブ23が全閉位置から所定量だけ開くように、スロットルシャフト22を開方向に機械的に付勢してある。
【0018】
アクセルセンサ26は、二系統としてあり、アクセルペダル27の踏込み量(操作量)であるペダル開度PPOを検出する。アクセルセンサ26は、例えばポテンショメータであり、アクセルペダル27のペダル開度を電圧信号に変換してエンジンコントローラ28へ出力する。エンジンコントローラ28は、入力した電圧信号からアクセルペダル27のペダル開度PPOを判断する。
【0019】
スロットルセンサ29は、二系統としてあり、スロットルバルブ23のスロットル開度SPOを検出する。このスロットルセンサ29は、例えばポテンショメータであり、スロットルバルブ23のスロットル開度を電圧信号に変換してエンジンコントローラ28へ出力する。エンジンコントローラ28は、入力した電圧信号からスロットルバルブ23のスロットル開度SPOを判断する。
【0020】
エンジンコントローラ28は、通常は、ペダル開度PPOに応じて目標スロットル開度SPO
*を設定し、この目標スロットル開度SPO
*と実際のスロットル開度SPOとの偏差ΔPOに応じてモータ制御量を設定する。そして、このモータ制御量をデューティ比に変換し、パルス状の電流値によってスロットルモータ25を駆動制御する。また、エンジンコントローラ28は、コントローラ19からの駆動指令を受けるときに、その駆動指令を優先してスロットルモータ25を駆動制御する。例えば、駆動力を低下させる駆動指令を受けたときに、ペダル開度PPOに応じた目標スロットル開度SPO
*を減少補正してスロットルモータ25を駆動制御する。
上記が、駆動力制御装置20の説明である。
【0021】
次に、ブレーキ制御装置50について説明する。
ブレーキ制御装置50は、各車輪の制動力を制御する。例えば、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)等に用いられるブレーキアクチュエータにより、各車輪に設けられたホイールシリンダの液圧を制御する。
【0022】
ブレーキ制御装置50の一例として、ブレーキアクチュエータの構成について説明する。
図3は、ブレーキアクチュエータの概略構成図である。
ブレーキアクチュエータ51は、マスターシリンダ52と各ホイールシリンダ53FL〜53RRとの間に介装してある。
マスターシリンダ52は、運転者のペダル踏力に応じて2系統の液圧を作るタンデム式のもので、プライマリ側をフロント左・リア右のホイールシリンダ53FL・53RRに伝達し、セカンダリ側を右前輪・左後輪のホイールシリンダ53FR・53RLに伝達するダイアゴナルスプリット方式を採用している。
【0023】
各ホイールシリンダ53FL〜53RRは、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧して制動力を発生させるディスクブレーキや、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧して制動力を発生させるドラムブレーキに内蔵してある。
プライマリ側は、第1ゲートバルブ61Aと、インレットバルブ62FL(62RR)と、アキュムレータ63と、アウトレットバルブ64FL(64RR)と、第2ゲートバルブ65Aと、ポンプ66と、ダンパー室67と、を備える。
【0024】
第1ゲートバルブ61Aは、マスターシリンダ52及びホイールシリンダ53FL(53RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型のバルブである。インレットバルブ62FL(62RR)は、第1ゲートバルブ61A及びホイールシリンダ53FL(53RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型のバルブである。アキュムレータ63は、ホイールシリンダ53FL(53RR)及びインレットバルブ62FL(62RR)間に連通してある。アウトレットバルブ64FL(64RR)は、ホイールシリンダ53FL(53RR)及びアキュムレータ63間の流路を開放可能なノーマルクローズ型のバルブである。第2ゲートバルブ65Aは、マスターシリンダ52及び第1ゲートバルブ61A間とアキュムレータ63及びアウトレットバルブ64FL(64RR)間とを連通した流路を開放可能なノーマルクローズ型のバルブである。ポンプ66は、アキュムレータ63及びアウトレットバルブ64FL(64RR)間に吸入側を連通し、且つ第1ゲートバルブ61A及びインレットバルブ62FL(62RR)間に吐出側を連通してある。ダンパー室67は、ポンプ66の吐出側に設けてあり、吐出されたブレーキ液の脈動を抑制し、ペダル振動を弱める。
【0025】
また、セカンダリ側も、プライマリ側と同様に、第1ゲートバルブ61Bと、インレットバルブ62FR(62RL)と、アキュムレータ63と、アウトレットバルブ64FR(64RL)と、第2ゲートバルブ65Bと、ポンプ66と、ダンパー室67と、を備えている。
【0026】
第1ゲートバルブ61A・61Bと、インレットバルブ62FL〜62RRと、アウトレットバルブ64FL〜64RRと、第2ゲートバルブ65A・65Bとは、夫々、2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式の電磁操作弁である。また、第1ゲートバルブ61A・61B及びインレットバルブ62FL〜62RRは、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ64FL〜64RR及び第2ゲートバルブ65A・65Bは、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成してある。
また、アキュムレータ63は、シリンダのピストンに圧縮バネを対向させたバネ形のアキュムレータで構成してある。
また、ポンプ66は、負荷圧力に係りなく略一定の吐出量を確保できる歯車ポンプ、ピストンポンプ等、容積形のポンプで構成してある。
【0027】
上記の構成により、プライマリ側を例に説明すると、第1ゲートバルブ61A、インレットバルブ62FL(62RR)、アウトレットバルブ64FL(64RR)、及び第2ゲートバルブ65Aが全て非励磁のノーマル位置にあるときに、マスターシリンダ52からの液圧がそのままホイールシリンダ53FL(53RR)に伝達され、通常ブレーキとなる。
【0028】
また、ブレーキペダルが非操作状態であっても、インレットバルブ62FL(62RR)、及びアウトレットバルブ64FL(64RR)を非励磁のノーマル位置にしたまま、第1ゲートバルブ61Aを励磁して閉鎖すると共に、第2ゲートバルブ65Aを励磁して開放し、更にポンプ66を駆動することで、マスターシリンダ52の液圧を第2ゲートバルブ65Aを介して吸入し、吐出される液圧をインレットバルブ62FL(62RR)を介してホイールシリンダ53FL(53RR)に伝達し、増圧させることができる。
【0029】
また、第1ゲートバルブ61A、アウトレットバルブ64FL(64RR)、及び第2ゲートバルブ65Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ62FL(62RR)を励磁して閉鎖すると、ホイールシリンダ53FL(53RR)からマスターシリンダ52及びアキュムレータ63への夫々の流路が遮断され、ホイールシリンダ53FL(53RR)の液圧が保持される。
【0030】
さらに、第1ゲートバルブ61A及び第2ゲートバルブ65Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ62FL(62RR)を励磁して閉鎖すると共に、アウトレットバルブ64FL(64RR)を励磁して開放すると、ホイールシリンダ53FL(53RR)の液圧がアキュムレータ63に流入して減圧される。アキュムレータ63に流入した液圧は、ポンプ66によって吸入され、マスターシリンダ52に戻される。
【0031】
セカンダリ側に関しても、通常ブレーキ・増圧・保持・減圧の動作は、上記プライマリ側の動作と同様であるため、その詳細説明は省略する。
ブレーキコントローラ54は、第1ゲートバルブ61A・61Bと、インレットバルブ62FL〜62RRと、アウトレットバルブ64FL〜64RRと、第2ゲートバルブ65A・65Bと、ポンプ66とを駆動制御することによって、各ホイールシリンダ53FL〜53RRの液圧を増圧・保持・減圧する。
【0032】
なお、本実施形態では、ブレーキ系統をフロント左・リア右とフロント右・リア左とで分割するダイアゴナルスプリット方式を採用しているが、これに限定されるものではなく、フロント左右とリア左右とで分割する前後スプリット方式を採用してもよい。
また、本実施形態では、バネ形のアキュムレータ63を採用しているが、これに限定されるものではなく、各ホイールシリンダ53FL〜53RRから抜いたブレーキ液を一時的に貯え、減圧を効率よく行うことができればよいので、重錘形、ガス圧縮直圧形、ピストン形、金属ベローズ形、ダイヤフラム形、ブラダ形、インライン形など、任意のタイプでよい。
【0033】
また、本実施形態では、第1ゲートバルブ61A・61B及びインレットバルブ62FL〜62RRが、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ64FL〜64RR及び第2ゲートバルブ65A・65Bが、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成しているが、これに限定されるものではない。要は、各バルブの開閉を行うことができればよいので、第1ゲートバルブ61A・61B及びインレットバルブ62FL〜62RRが、励磁したオフセット位置で流路を開放し、アウトレットバルブ64FL〜64RR及び第2ゲートバルブ65A・65Bが、励磁したオフセット位置で流路を閉鎖するようにしてもよい。
【0034】
ブレーキコントローラ54は、通常は、アンチスキッド制御、トラクション制御、スタビリティ制御に従って、ブレーキアクチュエータ51を駆動制御することにより、各ホイールシリンダ53FL〜53RRの液圧を制御する。また、ブレーキコントローラ54は、コントローラ19からの駆動指令を受けたときに、その駆動指令を優先してブレーキアクチュエータ51を駆動制御する。例えば、4輪のうち、所定のホイールシリンダを増圧させる駆動指令を受けたときに、通常の目標液圧を増加補正してブレーキアクチュエータ51を駆動制御する。
上記が、ブレーキ制御装置60の説明である。
【0035】
次に、コントローラ19で所定時間(例えば10msec)毎に実行する旋回走行制御処理について説明する。
図4は、旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS101では、各種データを読込む。
続くステップS102では、接線方向交点時間Teを算出する。
図5は、接線方向交点Peについて説明した図である。
自車両の基準点Pvを通り、且つカーブ内側曲線L
INに接する接線Ltが自車進路前方のカーブ外側曲線L
OUTと交差する点(extended tangent point)を接線方向交点Peと定義する。また、接線Ltとカーブ内側曲線L
INとが接する点(tangent point)を接線方向接点Ptと定義する。そして、基準点Pvから接線方向交点Peまでの距離Deを車速Vで除算した値(=De/V)を接線方向交点時間Teとして算出する。
【0036】
接線方向交点Peは、前方カメラ11で撮像した画像データ、及びナビゲーションシステム12で取得した現在位置とその道路情報の少なくとも一方に基づいて算出する。
例えば、前方カメラ11で撮像した画像データに基づき、画素と距離の関係から道幅Wを求める。そして、カーブ内側曲線L
INを二次曲線でカーブフィッティングして、その二次曲線の凸部(頂点)と自車両の基準点Pvと結ぶ接線Ltを算出する。そして、カーブ外側曲線L
OUTの延長線を予測し、その予測線と接線Ltとの交点を接線方向交点Peとして算出する。
【0037】
接線方向接点Ptから接線方向Peまでの距離Dは下記の要領で算出する。
図6は、距離Dについて説明した図である。
ここでは、旋回中心をO、旋回半径をRで表しており、道路曲率ρが一定であるとすると、距離Dは下記の式で表される。
D
2+R
2=(R+W)
2
D
2+R
2=R
2+2RW+W
2
【0038】
ここで、道路幅Wが旋回半径Rよりも非常に小さいとすると、距離Dは下記の式で表される。
D
2+R
2≒R
2+2RW
D
2≒2RW
D≒√(2RW)
【0039】
また、接線方向交点Peを算出する他の方法もある。
図7は、平面座標上の接線方向交点Peについて説明した図である。
ここでは、横軸をY軸とし、縦軸をX軸とすると、道路の傾きaは下記の式によって表される。
a=(x
i+1−x
i)/(y
i+1−y
i)
【0040】
そして、傾きaの逆数(1/a)の符号によってカーブの方向を判断する。傾きaが無限大となる場合もあるため、ここでは逆数(1/a)によって判断している。そして、カーブ内側曲線L
IN上にある接線方向接点Ptの位置座標(y
i,x
i)、及び傾きaiに応じて、接線Ltの式(x=ay+b)のbを算出する。
b=x
i−a
ix
i
【0041】
また、下記の式に示すように、傾きaの逆数(1/a)に応じて、Y座標における接線方向交点時間Teの検出範囲を設定する。
S=(80/6)×(1/a
i)+5
そして、下記の式に示すように、接線ベクトルのyの範囲を定める。
y
i−S≦y≦y
i+S
そして、Yの範囲内で接線ベクトルのxを求める。
x=a
iy+b
【0042】
そして、カーブ外側曲線L
OUTのベクトルと接線ベクトルとの間の距離が最小となる点を接線方向交点時間Teとして算出する。なお、メモリ上では、道路も接線も離散データであり、交点を求めるには二つの離散データ郡(ベクトル)の距離が最小になる点を交点とするしかない。
上記が前方カメラ11で撮像した画像データに基づく接線方向交点時間Teの算出方法である。
一方、ナビゲーションシステム12で取得した道路情報によれば、道幅D及び道路曲率ρを取得できるので、それらに基づいて接線方向交点Peを算出する。
【0043】
ステップS103では、接線方向交点時間Teが予め定めた閾値T1より短いか否かを判定する。この閾値T1は例えば4秒程度である。ここで、判定結果がTe≧T1であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクは低いと判断してそのまま所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果がTe<T1であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがあると判断してステップS104に移行する。
【0044】
ステップS104では、アクセルセンサ13、及び6軸モーションセンサ15の検出結果に基づいて、自車両が加速中であるか否かを判定する。ここで、自車両が減速中であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクは低下すると判断してそのまま所定のメインプログラムに復帰する。一方、自車両が加速中であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まると判断してステップS105に移行する。
【0045】
ステップS105では、横加速度Ayの絶対値が予め定めた閾値A1より大きいか否かを判定する。この閾値は例えば0.15G程度である。ここで、判定結果が|Ay|≦A1であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断してステップS106に移行する。一方、判定結果が|Ay|>A1であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まっていると判断してステップS107に移行する。
ステップS106では、例えば駆動力をオフ(0)にする等、エンジンブレーキによって車両を減速させる駆動指令を駆動力制御装置20に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
【0046】
ステップS107では、接線方向交点時間Teが閾値T1よりも小さいな範囲で予め定めた閾値T2より短いか否かを判定する。この閾値T2は例えば2.75秒程度である。ここで、判定結果がTe≧T2であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断して前述したステップS106に移行する。一方、判定結果がTe<T2であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクが高いと判断してステップS108に移行する。
【0047】
ステップS108では、例えば駆動力をオフ(0)にする等、エンジンブレーキによって車両を減速させる駆動指令を駆動力制御装置20に出力すると共に、制動力を増加させる駆動指令をブレーキ制御装置50に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。このときの目標制動力Fbは、例えば接線方向交点時間Teに応じて設定したり、横加速度Ayに応じて設定したりする。
例えば、接線方向交点時間Teに応じて目標制動力Fbを設定する場合には、例えば接線方向交点時間Teと閾値T2との偏差ΔTに応じて目標制動力Fbを設定したり、接線方向交点時間Teの逆数(1/Te)に応じて目標制動力Fbを設定したりする。
【0048】
図8は、目標制動力Fbの設定に用いるマップである。図中の(a)は偏差ΔT(=T2−Te)に応じた目標制動力Fbのマップであり、偏差ΔTが大きいほど目標制動力Fbを大きく設定し、目標制動力Fbを最大値で制限するように設定している。また、図中の(b)は逆数(1/Te)に応じた目標制動力Fbのマップであり、逆数(1/Te)が大きいほど目標制動力Fbを大きく設定し、目標制動力Fbを最大値で制限するように設定している。
【0049】
また、横加速度Ayに応じて目標制動力Fbを設定する場合には、例えば横加速度Ayと閾値A1との偏差に応じて目標制動力Fbを設定する。
図9は、目標制動力Fbの設定に用いるマップである。
ここでは、偏差ΔAy(=Ay−A1)が大きいほど目標制動力Fbを大きく設定し、目標制動力Fbを最大値で制限するように設定している。
こうして目標制動力Fbを設定し、制動力を増加させる駆動指令をブレーキ制御装置50に出力する。
上記が、
図4のフローチャートに基づく旋回走行制御処理である。
【0050】
《作用》
次に、第1実施形態の作用について説明する。
カーブに対するオーバースピードのリスク度合は、カーブ曲率ρだけではなく、車両の向きや通行位置(ライン取り)、また道路幅やカーブ区間の距離(深さ)等によっても変化する。したがって、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるだけでは、カーブに進入する際に必ずしも最適な車速Vとはならず、旋回走行時の安定性に影響を与える可能性がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、自車両の基準点Pvを通り、且つカーブ内側曲線L
INに接する接線Ltが自車進路前方のカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を接線方向交点Peと定義する。そして、基準点Pvから接線方向交点Peまでの距離Deを車速Vで除算した値(=De/V)を接線方向交点時間Teとして算出し(ステップS102)、この接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる。
具体的には、接線方向交点時間Teが閾値T1よりも短いときには(ステップS103の判定が“Yes”)、カーブに対するオーバースピードのリスクがあると判断し、エンジンブレーキのみで減速するか、エンジンブレーキと制動力制御との併用によって減速するかを決定する。
【0052】
すなわち、横加速度Ayが閾値A1以下であるとき(ステップS105の判定が“No”)、又は接線方向交点時間Teが閾値T2以上であるときには(ステップS107の判定が“No”)、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断し、エンジンブレーキのみで減速制御を行う(ステップS106)。一方、接線方向交点時間Teが閾値T2より短いときには(ステップS108の判定が“Yes”)、カーブに対するオーバースピードのリスクが高いと判断し、エンジンブレーキと制動力制御との併用によって減速制御を行う(ステップS108)。
【0053】
このように、自車両の基準点Pvから接線方向交点Peまでの距離Deを車速Vで除算した値を接線方向交点時間Teとして算出し、その接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させている。したがって、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、接線方向交点Pe及び車速Vによって導かれる接線方向交点時間Teという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0054】
また、ブレーキ作動回数の低減を図ることもできる。
図10は、ブレーキの作動回数を示す図である。
前述したように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるだけでは、カーブに進入する際に必ずしも最適な車速Vとはならない可能性がある。すなわち、カーブに進入する直前に一回だけブレーキを作動させたとしても、例えばカーブ区間の距離(深さ)が長い等して、カーブに進入した後に二回目のブレーキ作動が必要になることがある。これに対して、本実施形態では、接線方向交点時間Teという指標に応じて車両を減速させることにより、カーブに進入する前に十分に車両を減速させることができるので、ブレーキ作動回数の低減を図ることもできる。
【0055】
《変形例》
本実施形態では、前方カメラ11、及びナビゲーションシステム12で道路情報を検出できることを前提にしているが、検出した道路情報に不備があったり、又は検出できなかったときには、減速制御処理を中止してもよい。
図11は、変形例の旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS101とS102の間に、新たなステップS111を追加している。このステップS111では、道路情報を検出できたか否かを判定し、道路情報を検出できているときにはステップS102に移行する。一方、道路情報を検出できていないときにはそのまま所定のメインプログラムに復帰する。
【0056】
このように、道路情報に不備があったり、又は道路情報を検出できなかったりしたときには、減速制御を中止することで、不確かな減速制御を継続しないで済み、減速制御の信頼性を保つことができる。
以上より、前方カメラ11、ナビゲーションシステム12が「道路情報検出部」に対応し、車速センサ16が「車速検出部」に対応する。また、ステップS102の処理が「接線方向交点時間算出部」に対応し、ステップS103〜S108の処理が「減速制御部」に対応する。
【0057】
《効果》
次に、第1実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、自車進路前方におけるカーブの道路情報を検出し、自車両の車速Vを検出する。そして、自車両の予め定めた基準点Pvを通り、且つカーブ内側曲線L
INに接する接線Ltが自車進路前方のカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を接線方向交点Peと定義し、基準点Pvから接線方向交点Peまでの距離Deを車速Vで除算した値を接線方向交点時間Teとして算出する。そして、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる減速制御を行う。
このように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、接線方向交点Pe及び車速Vによって導かれる接線方向交点時間Teという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0058】
(2)本実施形態の旋回走行制御装置は、接線方向交点時間Teが予め定めた閾値T1よりも短いときに自車両を減速させる。
このように、接線方向交点時間Teが閾値T1よりも短いときに自車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0059】
(3)本実施形態の旋回走行制御装置は、道路情報を検出できないときには、減速制御を中止する。
このように、道路情報に不備があったり、又は道路情報を検出できなかったりしたときには、減速制御を中止することで、不確かな減速制御を継続しないで済み、減速制御の信頼性を保つことができる。
【0060】
(4)本実施形態の旋回走行制御方法は、自車進路前方におけるカーブの道路情報を検出し、自車両の車速Vを検出する。そして、自車両の予め定めた基準点Pvを通り、且つカーブ内側曲線L
INに接する接線Ltが自車進路前方のカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を接線方向交点Peと定義し、基準点Pvから接線方向交点Peまでの距離Deを車速Vで除算した値を接線方向交点時間Teとして算出する。そして、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる減速制御を行う。
このように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、接線方向交点Pe及び車速Vによって導かれる接線方向交点時間Teという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0061】
《第2実施形態》
《構成》
本実施形態は、前方注視時間Tfに応じて車両を減速させるものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の旋回走行制御処理について説明する。
図12は、第2実施形態の旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第1実施形態におけるステップS102とS103との間に新たなステップS201〜S203の処理を追加すると共に、ステップS103、S107の処理を新たなステップS204、S205の処理に変更してある。他のステップS101、S102、S104〜106、S108の処理については、前述した第1実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
【0062】
ステップS201では、接線方向接点時間Ttを算出する。
図13は、第2実施形態で用いる各種指標について説明した図である。
接線Ltとカーブ内側曲線L
INとが接する点を接線方向接点Ptと定義し、基準点Pvから接線方向接点Ptまでの距離Dtを車速Vで除算した値を接線方向接点時間Ttとして算出する。
続くステップS202では、下記に示すように、接線方向交点時間Te及び接線方向接点時間Ttの平均を接線方向注視時間Twとして算出する。
Tw=(Te+Tt)/2
【0063】
続くステップS203では、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線Lrがカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を進行方向交点Prと定義し、基準点Pvから進行方向交点Prまでの距離Drを車速Vで除算した値を進行方向交点時間Trとして算出する。
続くステップS204では、下記に示すように、進行方向交点時間Tr及び接線方向注視時間Twの平均を前方注視時間Tfとして算出する。
Tf=(Tw+Tr)/2
【0064】
続くステップS205では、前方注視時間Tfが予め定めた閾値T3より短いか否かを判定する。ここで、判定結果がTf≧T3であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクは低いと判断してそのまま所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果がTf<T3であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがあると判断してステップS104に移行する。
【0065】
ステップS206では、前方注視時間Tfが閾値T3よりも小さいな範囲で予め定めた閾値T4より短いか否かを判定する。ここで、判定結果がTf≧T4であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断して前述したステップS106に移行する。一方、判定結果がTf<T4であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクが高いと判断してステップS108に移行する。
上記が第2実施形態の旋回走行制御処理である。
【0066】
《作用》
次に、第2実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、接線方向接点時間Ttを算出し(ステップS201)、接線方向交点時間Te及び接線方向接点時間Ttに応じて接線方向注視時間Twを算出する(ステップS202)。そして、進行方向交点時間Trを算出し(ステップS203)、接線方向注視時間Tw及び進行方向交点時間Trに応じて前方注視時間Tfを算出する(ステップS204)。そして、この前方注視時間Tfに応じて自車両を減速させる。
具体的には、前方注視時間Tfが閾値T3よりも短いときには(ステップS205の判定が“Yes”)、カーブに対するオーバースピードのリスクがあると判断し、エンジンブレーキのみで減速するか、エンジンブレーキと制動力制御との併用によって減速するかを決定する。
【0067】
すなわち、前方注視時間Tfが閾値T4以上であるときには(ステップS206の判定が“No”)、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断し、エンジンブレーキのみで減速制御を行う(ステップS106)。一方、前方注視時間Tfが閾値T4より短いときには(ステップS206の判定が“Yes”)、カーブに対するオーバースピードのリスクが高いと判断し、エンジンブレーキと制動力制御との併用によって減速制御を行う(ステップS108)。
【0068】
このように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、前方注視点Pf及び車速Vによって導かれる前方注視時間Tfという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
【0069】
以上、ステップS201の処理が「接線方向接点時間算出部」に対応し、ステップS202の処理が「接線方向注視時間算出部」に対応し、ステップS203の処理が「進行方向交点時間算出部」に対応する。また、ステップS204の処理が「前方注視時間算出部」に対応し、ステップS205、S206の処理が「減速制御部」に含まれる。
【0070】
《効果》
次に、第2実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、接線Ltとカーブ内側曲線L
INとが接する点を接線方向接点Ptと定義し、基準点Pvから接線方向接点Ptまでの距離Dtを車速Vで除算した値を接線方向接点時間Ttとして算出する。また、接線方向交点時間Te、及び接線方向接点時間Ttの平均を接線方向注視時間Twとして算出する。また、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線Lrがカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を進行方向交点Prと定義し、基準点Pvから進行方向交点Prまでの距離Drを車速Vで除算した値を進行方向交点時間Trとして算出する。そして、進行方向交点時間Tr、及び接線方向注視時間Twの平均を前方注視時間Tfとして算出する。そして、前方注視時間Tfが、予め定めた閾値T3よりも短いときに自車両を減速させる。
このように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、前方注視点Pf及び車速Vによって導かれる前方注視時間Tfという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0071】
《第3実施形態》
《構成》
本実施形態は、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには、減速制御を中止するものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の旋回走行制御処理について説明する。
図14は、第3実施形態の旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第1実施形態におけるステップS101とS102との間に新たなステップS301の処理を追加してあり、他のステップS101〜S108の処理については、前述した第1実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
【0072】
ステップS301では、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいか否かを判定する。ここで、判定結果がα≦α1であるときには、自車両が概ね走行車線に沿って走行しており、自車進路前方のカーブに沿って走行すると判断してステップS102に移行する。一方、判定結果がα>1であるときには、自車両が走行車線から離脱しようとしており、自車進路前方のカーブに沿っては走行しないと判断してそのまま所定のメインプログラムに復帰する。
図15は、角度αについて説明した図である。
上記が第3実施形態の旋回走行制御処理である。
【0073】
《作用》
次に、第3実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには(ステップS301の判定が“No”)、減速制御を中止する。このように、自車両が走行車線から離脱しようとしている状況では、接線方向交点時間Teに応じた減速制御が不要となるので、この減速制御を中止する。一方、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1以下であるときには(ステップS301の判定が“Yes”)、減速制御を続行する。このように、運転者がカーブに沿って走行しようとしている状況では、接線方向交点時間Teに応じた減速制御が有益であるため、この減速制御を実行する。したがって、運転者の意思に応じた減速制御を実現することができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
以上、ステップS301の処理が「減速制御部」に含まれる。
【0074】
《効果》
次に、第3実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには、減速制御を中止する。
このように、自車両が走行車線から離脱しようとしている状況では、減速制御を中止することで、運転者の意思に応じた減速制御を実現することができる。
【0075】
《第4実施形態》
《構成》
本実施形態は、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには、進行方向交点時間Trに応じて自車両を減速させるものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の旋回走行制御処理について説明する。
図16は、第4実施形態の旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第3実施形態において、ステップS301の判定が“No”となって所定のメインプログラムに復帰するまでの間に、新たなステップS401〜S405の処理を追加してある。他のステップS101〜108、S301の処理については、前述した第3実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
【0076】
ステップS401では、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線Lrがカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を進行方向交点Prと定義し、基準点Pvから進行方向交点Prまでの距離Drを車速Vで除算した値を進行方向交点時間Trとして算出する。
ステップS402では、進行方向交点時間Trが予め定めた閾値T5より短いか否かを判定する。ここで、判定結果がTr≧T5であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクは低いと判断してそのまま所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果がTr<T5であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがあると判断してステップS403に移行する。
【0077】
ステップS403では、進行方向交点時間Trが閾値T5よりも小さいな範囲で予め定めた閾値T6より短いか否かを判定する。ここで、判定結果がTr≧T6であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断してステップS404に移行する。一方、判定結果がTr<T6であるときには、カーブに対するオーバースピードのリスクが高いと判断してステップS405に移行する。
【0078】
ステップS404では、例えば駆動力をオフ(0)にする等、エンジンブレーキによって車両を減速させる駆動指令を駆動力制御装置20に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS405では、例えば駆動力をオフ(0)にする等、エンジンブレーキによって車両を減速させる駆動指令を駆動力制御装置20に出力すると共に、制動力を増加させる駆動指令をブレーキ制御装置50に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が第4実施形態の旋回走行制御処理である。
【0079】
《作用》
次に、第4実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには(ステップS301の判定が“No”)、接線方向交点時間Teの代わりに進行方向交点時間Trを用いて減速制御を行う。すなわち、進行方向交点時間Trを算出し(ステップS401)、この進行方向交点時間Trに応じて自車両を減速させる。
具体的には、進行方向交点時間Trが閾値T5よりも短いときには(ステップS402の判定が“Yes”)、カーブに対するオーバースピードのリスクがあると判断し、エンジンブレーキのみで減速するか、エンジンブレーキと制動力制御との併用によって減速するかを決定する。
【0080】
すなわち、進行方向交点時間Trが閾値T6以上であるときには(ステップS403の判定が“No”)、カーブに対するオーバースピードのリスクがそれほど高くはないと判断し、エンジンブレーキのみで減速制御を行う(ステップS404)。一方、進行方向交点時間Trが閾値T6より短いときには(ステップS403の判定が“Yes”)、カーブに対するオーバースピードのリスクが高いと判断し、エンジンブレーキと制動力制御との併用によって減速制御を行う(ステップS405)。
【0081】
このように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、進行方向交点Pr及び車速Vによって導かれる進行方向交点時間Trという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
本実施形態において、その他、前述した第3実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
以上、ステップS401の処理が「進行方向交点時間算出部」に対応し、ステップS402〜S405の処理が「減速制御部」に含まれる。
【0082】
《効果》
次に、第4実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線Lrがカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を進行方向交点Prと定義し、基準点Pvから進行方向交点Prまでの距離Drを車速Vで除算した値を進行方向交点時間Trとして算出する。そして、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには、進行方向交点時間Trが、予め定めた閾値T5よりも短いときに自車両を減速させる。
このように、単にカーブ曲率ρに応じて車両を減速させるものとは異なり、進行方向交点Pr及び車速Vによって導かれる進行方向交点時間Trという指標によって車両を減速させることで、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0083】
《第5実施形態》
《構成》
本実施形態は、進行方向交点時間Trを現在位置と対応付けて走行履歴として記憶しておき、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向を中心とする予め定めた角度範囲βから接線方向交点Peが外れているときには、記憶された走行履歴に応じて自車両を減速させるものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の旋回走行制御処理について説明する。
図17は、第5実施形態の旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第1実施形態におけるステップS102とS103との間に新たなステップS501〜S506の処理を追加してある。他のステップS101〜S108の処理については、前述した第1実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
【0084】
ステップS501では、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線Lrがカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を進行方向交点Prと定義し、基準点Pvから進行方向交点Prまでの距離Drを車速Vで除算した値を進行方向交点時間Trとして算出する。
続くステップS502では、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいか否かを判定する。ここで、判定結果がα≦α1であるときには、自車両が概ね走行車線に沿って走行しており、進行方向交点Pr及び進行方向交点時間Trを走行履歴として記憶できると判断してステップS503に移行する。一方、判定結果がα>1であるときには、自車両が走行車線から離脱しようとしており、進行方向交点Pr及び進行方向交点時間Trを走行履歴として記憶できないと判断してそのままステップS504に移行する。
【0085】
続くステップS503では、ナビゲーションシステム12で検出した現在位置に対応付けて、進行方向好転Pr及び進行方向交点時間Trを、走行履歴として記憶する。
続くステップS504では、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向を中心とする予め定めた角度範囲βから現在の接線方向交点Peが外れているか否かを判定する。ここで、接線方向交点Peが角度範囲β内にあるときには、車両の通行位置(ライン取り)が旋回外側寄りではない(膨らんではいない)と判断してステップS103に移行する。一方、接線方向交点Peが角度範囲βから外れているときには、車両の通行位置(ライン取り)が旋回外側寄りである(膨らんでいる)と判断してステップS505に移行する。
【0086】
ステップS505では、自車両の現在位置に応じて走行履歴を参照し、走行履歴として記憶されている進行方向交点時間Tr
(z)のうち、角度範囲β内に進行方向交点Pr
(z)が含まれる最も長い進行方向交点時間Trを選出する。
図18は、進行方向交点時間Trの選出について説明した図である。
続くステップS506では、選出した進行方向交点時間Trを、新たな接線方向交点時間Teとして設定してからステップS103に移行する。
上記が第5実施形態の旋回走行制御処理である。
【0087】
《作用》
次に、第5実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1以下であるときに(ステップS502の判定が“Yes”)、
走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには(ステップS301の判定が“No”)、現在位置に対応付けて、進行方向好転Pr及び進行方向交点時間Trを、走行履歴として予め蓄積しておく(ステップS503)。
【0088】
そして、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向を中心とする予め定めた角度範囲βから現在の接線方向交点Peが外れたときには(ステップS504の判定が“No”)、車両の通行位置(ライン取り)が旋回外側寄りであると判断する。このようなシーンでは、接線方向交点時間Teに応じた減速制御が、運転者の感覚と一致しない可能性があるので、この場合には、現在位置に応じて走行履歴を参照し、角度範囲β内に進行方向交点Prが含まれる最も長い進行方向交点時間Trを、新たな接線方向交点時間Teとして設定する(ステップS505、S506)。
【0089】
これにより、旋回外側に膨らみながらカーブに沿って走行しようとしている状況では、前述した第3実施形態のように減速制御を中止するのではなく、走行履歴として記憶された進行方向交点時間Trを代用して自車両を減速させることで、運転者の意思に応じた減速制御を実現することができる
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
以上、ステップS501の処理が「進行方向交点時間算出部」に対応し、ステップS502、S503の処理が「走行履歴記憶部」に対応し、ステップS504〜S506の処理が「減速制御部」に含まれる。
【0090】
《効果》
次に、第5実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向に延ばした延長線Lrがカーブ外側曲線L
OUTと交差する点を進行方向交点Prと定義し、基準点Pvから進行方向交点Prまでの距離Drを車速Vで除算した値を進行方向交点時間Trとして算出する。そして、ナビゲーションシステム12で検出した現在位置、進行方向交点Pr、及び進行方向交点時間Trを、走行履歴として記憶しておく。そして、基準点Pvを通り、且つ自車両の進行方向を中心とする予め定めた角度範囲βから接線方向交点Peが外れているときには、ナビゲーションシステム12で検出した現在位置に応じて走行履歴を参照し、走行履歴として記憶された進行方向交点時間Trのうち、角度範囲β内に進行方向交点Prが含まれる最も長い進行方向交点時間Trを、接線方向交点時間Teとして代用する。
このように、旋回外側に膨らみながらカーブに沿って走行しようとしている状況では、減速制御を中止するのではなく、走行履歴として記憶された進行方向交点時間Trを代用して自車両を減速させることで、運転者の意思に応じた減速制御を実現することができる。
【0091】
(2)本実施形態の旋回走行制御装置は、走行車線に対して自車両の進行方向のなす角度αが予め定めた閾値α1より大きいときには、走行履歴の記憶を中止する。
このように、自車両が走行車線から離脱しようとしている状況では、走行履歴の記憶を中止することで、接線方向交点時間Teの代わりとなるような進行方向交点時間Trだけを走行履歴として記憶することができる。したがって、走行履歴として記憶された進行方向交点時間Trを代用して自車両を減速させる際にも、運転者の意思に応じた減速制御を実現することができる。
【0092】
《第6実施形態》
《構成》
本実施形態は、運転者が減速操作を行ったときの減速開始位置と減速操作量を、走行履歴として記憶しておき、その走行履歴に応じて減速制御を行う際の減速タイミングや減速制御量を変化させるものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の旋回走行制御処理について説明する。
図19は、第6実施形態の旋回走行制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第1実施形態におけるステップS101とS102との間に新たなステップS601〜S603の処理を追加すると共に、ステップS108を新たなステップS604の処理に変更している。他のステップS101〜107の処理については、前述した第1実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
【0093】
ステップS601では、運転者が減速操作を開始したか否かを判定する。この減速操作とは、アクセルペダルを開放すること、ブレーキペダルを踏込むこと、変速機の変速比を減速側に切替えること等を指す。ここで、運転者が減速操作を開始したときにはステップS602に移行する。一方、運転者が減速操作を開始していないときにはそのままステップS603に移行する。
ステップS602では、運転者が減速操作を開始したときにナビゲーションシステム12で検出した現在位置となる減速開始位置、及びそのときの減速操作量を、走行履歴として記憶する。
【0094】
続くステップS603では、現在位置に応じて走行履歴を参照し、運転者が減速操作を開始した減速開始位置に応じて、閾値T1及びT2を設定する。すなわち、減速開始位置のヒストグラムの最頻値がまだ先(前方)であるなら、減速制御の介入タイミングが遅くなるように、閾値T1及びT2を減少補正する。また、減速開始位置のヒストグラムの最頻値を既に通過しているなら、減速制御のタイミングが早くなるように、閾値T1及びT2を増加補正する。
【0095】
ステップS604では、例えば駆動力をオフ(0)にする等、エンジンブレーキによって車両を減速させる駆動指令を駆動力制御装置20に出力すると共に、制動力を増加させる駆動指令をブレーキ制御装置50に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。このとき、現在位置に応じて走行履歴を参照し、減速操作量のヒストグラムの最頻値に応じて目標制動力Fbを設定する。
上記が第6実施形態の旋回走行制御処理である。
【0096】
《作用》
次に、第6実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、運転者のブレーキ操作が開始されたときに(ステップS601の判定が“Yes”)、そのときの減速開始位置と減速操作量とを走行履歴として予め記憶しておく(ステップS602)。その後、ナビゲーションシステム12で検出した現在位置に応じて走行履歴を参照し、運転者が減速操作を開始した減速開始位置に応じて、閾値T1及びT2を設定する(ステップS603)。これにより、過去に同じカーブを通過した際の、運転者の減速タイミングに近づくように、減速制御の介入タイミングを調整することができる。すなわち、運転者の特徴を減速制御に反映し、個人に適合する減速制御を実現することができる。
【0097】
また、減速制御を行う際にも、現在位置に応じて走行履歴を参照し、減速操作量のヒストグラムの最頻値に応じて目標制動力Fbを設定する(ステップS604)。これにより、過去に同じカーブを通過した際の、運転者の減速操作による減速度に近づくように、減速制御量を調整することができる。すなわち、運転者の特徴を減速制御に反映し、個人に適合する減速制御を実現することができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
以上、ステップS601、S602の処理が「走行履歴記憶部」に対応し、ステップS603、S604の処理が「減速制御部」に含まれる。
【0098】
《効果》
次に、第6実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、運転者が減速操作を開始したときにナビゲーションシステム12で検出した現在位置となる減速開始位置を、走行履歴として記憶しておく。そして、ナビゲーションシステム12で検出した現在位置に応じて走行履歴を参照し、走行履歴として記憶された減速開始位置に応じて、閾値T1及びT2の少なくとも一方を変化させる。
このように、走行履歴として記憶された減速開始位置に応じて、閾値T1及びT2の少なくとも一方を変化させることで、運転者の特徴を減速制御に反映し、個人に適合する減速制御を実現することができる。
【0099】
(2)本実施形態の旋回走行制御装置は、運転者が減速操作を行ったときにナビゲーションシステム12で検出した現在位置での減速操作量を、走行履歴として記憶しておく。そして、ナビゲーションシステム12で検出した現在位置に応じて走行履歴を参照し、走行履歴として記憶された減速操作量に応じて、自車両を減速させる。
このように、走行履歴として記憶された減速操作量に応じて自車両を減速させることにより、運転者の特徴を減速制御に反映し、個人に適合する減速制御を実現することができる。
【0100】
《第7実施形態》
《構成》
本実施形態は、カーブ曲率ρ、道路幅W、車速V、路面勾配θ、路面摩擦係数μ等、各種パラメータに応じて、車両を減速させるタイミングや減速制御量を変化させるものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
また、旋回走行制御処理については、減速制御の介入タイミングや減速制御量を補正することを除いては、前述した第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0101】
次に、本実施形態における減速制御の介入タイミング、及び減速制御量について説明する。
図20は、第7実施形態の減速制御内容を示すテーブルである。
ここでは、カーブ曲率ρ、道路幅W、車速V、路面勾配θ、路面摩擦係数μ等、各種パラメータに応じて、車両を減速させるタイミングや減速制御量を変化させる。
先ず、カーブ曲率ρが大きいほど、閾値T1及びT2を増加補正し、減速制御の介入タイミングを早めること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。カーブ曲率ρは、前方カメラ11で撮像した画像データ、及びナビゲーションシステム12で取得した現在位置とその道路情報の少なくとも一方に基づいて算出する。
【0102】
また、道路幅Wが狭いほど、閾値T1及びT2を増加補正し、減速制御の介入タイミングを早めること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。道路幅Wは、前方カメラ11で撮像した画像データ、及びナビゲーションシステム12で取得した現在位置とその道路情報の少なくとも一方に基づいて算出する。
また、車速Vが高いほど、閾値T1及びT2を増加補正し、減速制御の介入タイミングを早めること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。車速Vは、車速センサ16で検出する。
【0103】
また、路面勾配θが下り方向に大きいほど、閾値T1及びT2を増加補正し、減速制御の介入タイミングを早めること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。路面勾配θは、輪荷重センサ18の前後配分や、6軸モーションセンサ15で検出した車体前後方向の加減速度に応じて算出する。
また、路面摩擦係数μが低いほど、閾値T1及びT2を増加補正し、減速制御の介入タイミングを早めること、及び減速制御量を減少補正することのうち、少なくとも一方を行う。路面摩擦係数μは、例えば車速V、ヨーレートγ、及び横加速度Ygに基づいて算出する。また、各輪の制駆動力とスリップ率との関係に従い、路面摩擦係数μを推定してもよいし、路面摩擦係数μをインフラストラクチャから入手可能であれば、それを用いればよい。
上記が第7実施形態の制御内容である。
【0104】
《作用》
次に、第7実施形態の作用について説明する。
減速制御の介入タイミングや減速制御量は、走行シーンによって最適値が変化するものである。そこで、本実施形態では、各種パラメータに応じて、減速制御の介入タイミングや減速制御量を変化させている。
先ず、カーブ曲率ρが大きいほど、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まることになるので、減速制御の介入タイミングを早めたり、減速制御量を大きくする。これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0105】
また、道路幅Wが狭いほど、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まることになるので、減速制御の介入タイミングを早めたり、減速制御量を大きくする。これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
また、車速Vが高いほど、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まることになるので、減速制御の介入タイミングを早めたり、減速制御量を大きくする。これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0106】
また、路面勾配θが下り方向に大きいほど、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まることになるので、減速制御の介入タイミングを早めたり、減速制御量を大きくする。これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
また、路面摩擦係数μが低いほど、カーブに対するオーバースピードのリスクが高まることになるので、減速制御の介入タイミングを早めたり、減速制御量を
大きくする。これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
【0107】
《効果》
次に、第7実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、カーブ曲率ρが大きいほど、閾値T1及びT2を増加補正すること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。
これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0108】
(2)本実施形態の旋回走行制御装置は、道路幅Wが狭いほど、閾値T1及びT2を増加補正すること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。
これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
(3)本実施形態の旋回走行制御装置は、車速Vが高いほど、閾値T1及びT2を増加補正すること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。
これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0109】
(4)本実施形態の旋回走行制御装置は、路面勾配θが下り方向に大きいほど、閾値T1及びT2を増加補正すること、及び減速制御量を増加補正することのうち、少なくとも一方を行う。
これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
(5)本実施形態の旋回走行制御装置は、路面摩擦係数μが低いほど、閾値T1及びT2を増加補正すること、及び減速制御量を減少補正することのうち、少なくとも一方を行う。
これにより、カーブに進入する際の車速Vを最適化し、旋回走行時の安定性を向上させることができる。
【0110】
《第8実施形態》
《構成》
本実施形態は、接線方向交点時間Teに応じて車両を減速させる際に、クルーズコントロール装置、レーンキープ装置、及びアクティブサスペンション装置で協調制御を実行するものである。
図21は、第8実施形態における旋回走行制御装置を示す概略構成図である。
ここでは、クルーズコントロール装置81と、レーンキープ装置82と、アクティブサスペンション装置83と、を新たに追加しており、他の装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
【0111】
クルーズコントロール装置81では、自車速Vを予め定めた設定車速Vsに維持する制御を実行し、レーンキープ装置82では、走行車線からの逸脱傾向を抑制する制御を実行し、アクティブサスペンション装置83では、前後輪のバネ定数及び減衰力の少なくとも一方を制御する。
なお、旋回走行制御処理については、減速制御の介入タイミングや減速制御量を補正することを除いては、前述した第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0112】
次に、クルーズコントロール装置81、レーンキープ装置82、及びアクティブサスペンション装置83で実行する協調制御について説明する。
先ず、クルーズコントロール装置81では、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる際には、自らのクルーズコントロール機能を停止させる。
また、レーンキープ装置82では、自車両が前輪駆動車両(FF車両)であり、旋回外側への逸脱傾向があるときには、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる際には、自らのレーンキープ装置を抑制する。
また、アクティブサスペンション装置83では、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる際に、後輪よりも前輪のバネ定数及び減衰力の少なくとも一方を大きくする。
上記がクルーズコントロール装置81、レーンキープ装置82、及びアクティブサスペンション装置83で実行する協調制御の内容である。
【0113】
《作用》
次に、第8実施形態の作用について説明する。
先ず、クルーズコントロール装置81は、自車速Vを予め定めた設定車速Vsに維持する制御を実行するので、旋回走行制御処理によって自車両を減速させようとすると、齟齬を来たすことになる。そこで、旋回走行制御処理によって自車両を減速させる際には、クルーズコントロール機能を停止させる。これにより、接線方向交点時間Teに応じた減速制御とクルーズコントロール装置81との間で、齟齬を来たすことがない。
【0114】
また、レーンキープ装置82は、走行車線からの逸脱傾向を抑制する制御を実行するものであり、例えば旋回外側への逸脱傾向があるときには、旋回内側へのヨーモーメントを付与することになる。ところで、自車両を減速させると、前輪側への荷重移動によって前輪コーナリングフォースが増加するので、オーバーステア傾向になりやすく、前輪駆動車両(FF車両)の場合に特に顕著となる。そこで、旋回走行制御処理によって自車両を減速させる場合、自車両が前輪駆動車両(FF車両)であり、旋回外側への逸脱傾向があるときには、レーンキープ機能を抑制する。これにより、オーバーステア傾向を抑制し、旋回走行時の車両挙動を乱れにくくすることができる。
【0115】
また、アクティブサスペンション装置83は、前後輪のバネ定数及び減衰力の少なくとも一方を制御するものである。ところで、自車両を減速させると、前輪側への荷重移動によって車体の姿勢変化、つまり車体前部が車体後部に比べて沈み込むノーズダイブが生じる。そこで、旋回走行処理によって自車両を減速させる際には、サスペンション制御によって後輪よりも前輪のバネ定数及び減衰力の少なくとも一方を大きくする。これにより、車体の姿勢変化を抑制し、旋回走行時の乗り心地が低下するのを抑制することができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
【0116】
《効果》
次に、第8実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の旋回走行制御装置は、自車速Vを予め定めた設定車速Vsに維持するクルーズコントロール装置を備え、このクルーズコントロール装置では、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる際には、自らのクルーズコントロール機能を停止させる。
これにより、接線方向交点時間Teに応じた減速制御とクルーズコントロール装置81との間で、齟齬を来たすことがない。
【0117】
(2)本実施形態の旋回走行制御装置は、走行車線からの逸脱傾向を抑制するレーンキープ装置を備え、このレーンキープ装置では、自車両が前輪駆動車両(FF車両)であり、旋回外側への逸脱傾向があるときには、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる際には、自らのレーンキープ装置を抑制する。
これにより、オーバーステア傾向を抑制し、旋回走行時の車両挙動を乱れにくくすることができる。
【0118】
(3)本実施形態の旋回走行制御装置は、前後輪のバネ定数及び減衰力の少なくとも一方を制御するアクティブサスペンション装置を備え、このアクティブサスペンション装置では、接線方向交点時間Teに応じて自車両を減速させる際に、後輪よりも前輪のバネ定数及び減衰力の少なくとも一方を大きくする。
これにより、車体の姿勢変化を抑制し、旋回走行時の乗り心地が低下するのを抑制することができる。
【0119】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。また、各実施形態は、任意に組み合わせて採用することができる。