(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御パルス信号を利用してモードを切り換える構成では、ノイズが入った場合、誤検知してスイッチング電源のモードを切り換えてしまう恐れがあることから、上記特許文献1では、スイッチング電源のモード設定の内容を記憶しておき、実際のモードを記憶した内容と照合する構成をとっている。そして、実際のモードと記憶した内容が不一致な場合に、制御パルス信号を再出力し、設定されている本来のモードに復旧させるようにしている。
しかしながら、モード設定を記憶しておくことが必要であることからメモリを余分に消費することになり、またモード復旧を行うための処理が専用に必要になることから、制御装置の処理負担が大きくなる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、制御パルス信号による制御方式に比べてノイズに対する誤動作の少ないスイッチング電源の制御方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるスイッチング電源は、トランスと、前記トランスの一次コイルに接続された半導体スイッチング素子と、前記トランスの二次側に設けられる整流平滑回路と、前記半導体スイッチング素子をオンオフさせるスイッチング制御を実行するスイッチ制御部と、を備え、前記スイッチ制御部は、第1レベルの制御信号が入力された場合に、前記スイッチング制御を停止させる停止処理を実行する停止回路と、前記第1レベルとはレベルの異なる第2レベルの制御信号が入力された場合に、前記スイッチング制御を再開させる再起動回路と、前記スイッチング電源の起動時に、前記スイッチング電源の出力電圧が目標電圧まで上昇するまでの間、前記停止回路による前記停止処理の実行を制限する制限回路とを有する。
【0007】
この構成では、制御信号のレベルによってスイッチング電源を制御する。そのため、パルス信号による制御方式に比べてノイズに対する誤動作が少ない。
また、スイッチング電源の出力電圧が目標電圧になるまでの間は、制限回路が停止回路の動作を制限するので、電源投入直後に停止回路が働いてスイッチング制御を停止させることがなく、スイッチング電源を確実に起動できる。
【0008】
上記スイッチング電源の実施態様として以下の構成が好ましい。
前記スイッチ制御部は、制御入力ポートを備え、前記制御信号として、前記制御入力ポートの電圧に応じたレベル信号が、前記停止回路と前記再起動回路に入力される構成である。この構成では、制御入力ポートの電圧を切り換えることで、制御信号のレベルを切り換えられる。
【0009】
前記制限回路は、前記制御入力ポートの電圧の切り換わりを検出して、前記停止処理の実行の制限を解除する。この構成では、制御入力ポートの電圧が切り換わるまでの間、停止回路に対する制御信号の入力を制限することが出来る。
【0010】
前記制限回路は、前記停止回路にする前記制御信号の入力の可否を切り換えるゲート回路と、前記ゲート回路を制御するゲート制御回路とを備え、前記ゲート制御回路は、前記ゲート回路を、前記スイッチング電源の出力電圧が目標電圧まで上昇するまでの間は、前記停止回路に対する前記制御信号の入力を制限する状態に制御し、前記スイッチング電源の出力電圧が目標電圧に達した以降は、前記停止回路に対して前記電圧の入力可能な状態に制御する。スイッチング電源の出力電圧が目標電圧まで上昇するまでの間は、制御信号の入力が制限されるため、停止回路による停止処理の実行を制限することが出来る。
【0011】
前記スイッチ制御部の電源電圧を発生する電圧発生回路であって、前記スイッチング電源の出力電圧が目標電圧まで上昇した後に、出力電圧が基準値に達する電圧発生回路と、前記電圧発生回路の出力電圧を前記基準値と比較して出力電圧が基準値に達した時に、前記ゲート制御回路に対してタイミング信号を出力する信号出力部を備え、前記ゲート制御回路は、起動後、前記信号出力部からタイミング信号が入力されるまでの間は、前記ゲート回路に対して前記制御信号の入力を制限する指令を出力し、前記信号出力部からタイミング信号が入力された時点で、前記ゲート回路に対して前記制御信号の入力を許可する指令を出力する。この構成では、電圧発生回路の出力電圧を利用してゲート回路を制御する。そのため、スイッチング電源の出力電圧を検出する検出部を専用に設ける場合、すなわち専用に設けた検出部の検出値を利用してゲート回路を制御する場合に比べて、回路構成を簡素化できる。
【0012】
前記スイッチング電源の出力電圧が目標電圧まで上昇するのに必要な必要時間をカウントするタイマを備え、前記ゲート制御回路は、前記ゲート回路を、前記タイマが前記必要時間をカウントしている間は、前記停止回路に対する前記制御信号の入力を制限する状態に制御し、前記タイマが前記必要時間をカウントし終わった以降は、前記停止回路に対して前記制御信号が入力可能な状態に制御する。スイッチング電源の出力電圧を計測する必要がないので、タイマを設けるだけのシンプルな構成で、制御信号の入力を制限することが可能となる。
【0013】
前記スイッチ制御部は、前記半導体スイッチング素子をオンオフさせるスイッチング制御を実行するドライバ回路と、前記ドライバ回路の電源として機能する第1電源回路と、主電源側から電力を受けて動作し前記第1電源回路を起動させる起動回路と、記主電源側から電力供給を受け、前記制限回路に電力を供給する第2電源回路と、を有し、前記停止回路は、前記制御信号として第1レベルの信号が入力された場合に前記第1電源回路を停止させることにより、前記停止処理を実行し、前記再起動回路は、前記制御信号として第2レベルの信号が入力された場合に、前記起動回路を動作させて前記第1電源回路を再起動させることにより、前記ドライバ回路に前記スイッチング制御を再開させる。
【0014】
この構成では、主電源を投入すると、起動回路が動作して第1電源回路が起動させる。これにより、ドライバ回路がスイッチング制御を実行開始するため、スイッチング電源は出力状態となる。また、スイッチング電源が出力状態の時に、第1レベルの制御信号が入力されると、停止回路が第1電源回路を停止させる。これにより、ドライバ回路が停止することからスイッチング制御が停止してスイッチング電源は出力停止する。また、スイッチング電源が出力停止状態の時に、第2レベルの制御信号が入力されると、再起動回路が起動回路を動作させて第1電源回路を再起動させる。これにより、ドライバ回路がスイッチング制御を再開するため、スイッチング電源は出力状態となる。
【0015】
本明細書によって開示される電源システムは、本明細書によって開示されるスイッチング電源と、前記スイッチング電源から電力供給を受けて動作する制御装置を備え、前記制御装置は、前記スイッチング電源の前記スイッチ制御部に切換信号を送って前記制御信号のレベルを切り換えることにより、前記スイッチング制御部が前記スイッチング制御を実行して出力状態となる出力モードと、前記スイッチング制御部が前記スイッチング制御を停止して出力停止状態となる出力停止モードとに、前記スイッチング電源のモードを切り換える。この構成では、切換信号により、前記スイッチング電源を出力モードと出力停止モードに切り換えることが出来る。
【0016】
上記電源システムの実施態様として以下の構成が好ましい。
前記スイッチング電源は、前記制御装置から出力される切換信号に応答して制御入力ポートの電圧を切り換える切換回路を備え、前記切換回路は、一方側が前記制御入力ポートに接続され、他方側が前記第2レベルの電位に接続された受光素子と、前記切換信号に応答して発光することで、前記受光素子を導通させる発光素子と、を備え、前記スイッチング電源は、前記発光素子を消灯させた場合に、前記制御入力ポートの電圧が前記第1レベルとなることで、前記制御信号が前記第1レベルに移行して前記出力停止モードとなり、前記発光素子を点灯させた場合に、前記受光素子が導通して前記制御入力ポートの電圧が前記第2レベルとなることで、前記制御信号が前記第2レベルに移行して前記出力モードとなり、前記制御装置は、前記スイッチング電源から電力供給を受けて起動した直後は、前記切換信号として、前記発光素子を点灯させる信号を出力する。
【0017】
この構成では、出力モード中は発光素子が点灯し、出力停止モード中は、発光素子が消灯する。もし仮に、点灯/消灯を逆にすると、出力停止モード中、発光素子を点灯させ続けることが必要となる。この場合、出力停止モード中の消費電力が多くなる。この点、本電源システムSでは、出力停止モード時は、発光素子は消灯しているので、出力停止モード中の消費電力が少なくできる。
【0018】
また、スイッチング電源から電力供給を受けて起動した直後、発光素子が消灯状態になると、スイッチング電源は出力停止モードに移行するため、電源システムを立ち上げることが出来ない恐れがある。すなわち、AC電源を投入して電源システムを立ち上げようとすると、スイッチング電源が出力停止モードに移行して電源システムの起動が停止する恐れがある。この点、本構成では、スイッチング電源から電力供給を受けて起動した直後は、制御装置は、切換信号として、発光素子を点灯させる信号を出力する。このようにしておけば、起動時に、スイッチング電源が出力モードを維持するため、電源システムを確実に立ち上げることが可能となる。
【0019】
前記制御装置は、前記スイッチング電源の出力により充電され、前記出力停止モード時に前記制御装置の電源となる蓄電部を有する。スイッチング電源が停止している場合に、補助電源として機能する蓄電部を設けているので、制御装置はスイッチング電源が出力を停止しているかどうかに関係なく、スイッチング電源のモードをコントロールできる。しかし、電源投入時には、蓄電部が充電されていないことから、制御装置からスイッチング電源に対して意図した信号が出力できず、スイッチング電源が誤動作する恐れがある。このような構成の装置に、本発明を適用することで、スイッチング電源の誤動作を防ぐことが出来る。
【0020】
本明細書によって開示される電源システムは、印刷処理を実行する印刷部を備える画像形成装置に適用できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スイッチング電源や電源システムの誤作動を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図5によって説明する。
1.プリンタの説明
図1はプリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)1の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ1は、印刷部2と、通信部3aと、画像メモリ3bと、電源システムSとを備えている。電源システムSは、電源装置10と制御装置80とから構成されている。電源装置10はプリンタ1の電源となるものであり、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80に対して電力を供給する。
【0024】
印刷部2は、感光ドラム2a、感光ドラム2aの表面を帯電させる帯電プロセスを実行する帯電器2b、感光ドラム2aの表面に静電潜像を形成する露光プロセスを実行する露光装置2c、感光ドラム2aの表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像プロセスを実行する現像器2d、記録媒体に現像剤像を転写する転写プロセスを実行する転写器2e、記録媒体上に転写された現像剤像を定着させる定着プロセスを実行する定着器2f等から構成されている。
【0025】
印刷部2は帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスを実行して、記録媒体上に印刷データを印刷する印刷処理を実行するものである。通信部3aはPC等の情報端末装置との間で通信を行うものであり、情報端末装置から印刷指示や印刷データを受信する機能を担う。画像メモリ3bは、情報端末装置から受信した印刷データを一時記憶するものである。
【0026】
上記プリンタ1は、通信部3aが情報端末装置から印刷指示を受けて印刷データを受信すると、制御装置80が、印刷部2に帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスからなる印刷処理を実行させることで、記録媒体に印刷データを印刷させる。尚、印刷部2の動作電圧は24Vであるのに対して、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80の動作電圧は3.3Vである。
【0027】
2.電源システムの回路説明
まず、
図2を参照して電源システムSにおける電源装置10の構成について説明する。電源装置10は、スイッチング電源20と、DC−DCコンバータ35と、DC−DCコンバータ45と、を備える。スイッチング電源20は、整流平滑回路21と、トランス23と、FET(電界効果トランジスタ)25と、整流平滑回路27と、電圧検出回路29と、FET25をスイッチング制御する制御IC50と、を備える。尚、FETが本発明の「半導体スイッチング素子」の一例であり、制御ICが、本発明の「スイッチ制御部」の一例である。
【0028】
整流平滑回路21は、いわゆるコンデンサインプット型であり、AC電源15(本発明の「主電源」に相当)の交流電圧(220V)を整流するブリッジダイオードD1と、整流後の電圧を平滑化するコンデンサC1とから構成されている。そして、整流平滑回路21の出力側には、トランス23が設けられていて、交流電圧を整流平滑化した入力電圧Vin(約DC322V)が、入力ラインLinを通じてトランス23の一次コイルN1に印加される構成となっている。
【0029】
FET25はNチャンネルのMOSFETであり、ドレインDを一次コイルN1に接続すると共に、ソースSを一次側の基準電位Veに接続している。そして、FET25は、制御IC50からゲートGにオンオフ信号(PWM信号)が与えられることにより、一定周期でオンオフ動作する。これにより、トランス23の一次側が発振して、トランス23の二次コイルN2に電圧を誘起させる構成となっている。
【0030】
また、トランス23の一次側には電圧発生回路31が設けられている。電圧発生回路31は、トランス23の一次側に設けられた補助コイルN3に誘起される電圧を、ダイオードD2とコンデンサC2により整流平滑化するものである。この電圧発生回路31は制御IC50の電源(概ね20V)となる。
【0031】
整流平滑回路27はトランス23の二次側に設けられていて、ダイオードD3とコンデンサC3とからなる。整流平滑回路27はトランス23の二次コイルN2に誘起された電圧を整流平滑化する。これにより、スイッチング電源20は、出力ラインLo1を通じてDC24Vの電圧を出力する。
【0032】
そして、出力ラインLo1は、
図2に示すように分岐点Jにて3分岐していて、分岐した各ラインにはそれぞれDC−DCコンバータ35、45が設けられている。DC−DCコンバータ35は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を5Vに降圧して出力ラインLo2より出力する。また、DC−DCコンバータ45は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を3.3Vに降圧して出力ラインLo3より出力する。このように、本電源装置10は、24V/5V/3.3Vの3出力となっている。
【0033】
また、整流平滑回路27と出力ラインの分岐点Jの間には、電圧検出回路29が設けられている。電圧検出回路29は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1(DC24V)のレベルを検出するものであり、一対の検出抵抗R1、R2と、シャントレギュレータReと、シャントレギュレータReと直列接続された発光ダイオードLED1と、から構成されている。
【0034】
検出抵抗R1、R2は、出力ラインLo1とグランドラインLg間に設けられていて、出力電圧Vo1を抵抗比により分圧した分圧電圧Vgを検出するものである。シャントレギュレータReは、シャントレギュレータRe内の基準電圧と分圧電圧Vgとのレベル差に応じた電流を流す。これにより、発光ダイオードLED1に電流が流れ、発光ダイオードLED1は基準電圧と分圧電圧Vgとのレベル差に応じた光量の光信号を出力する。
【0035】
そして、発光ダイオードLED1は、制御IC50のフィードバックポートFBに接続されたフォトトランジスタPT1と共に、フォトカプラを構成している。そのため、発光ダイオードLED1の光信号はフォトトランジスタPT1にて電気信号に戻される。これにて、シャントレギュレータReの基準電圧に対する分圧電圧Vgのレベル差を示す信号(以下、フィードバック信号)が、制御IC50のフィードバックポートFBに入力(フィードバック)される構成となっている。
【0036】
図2にて示すように、制御IC50は、電圧発生回路31に接続される電源ポートVCCと、ツェナーダイオードD4を介して入力ラインLinに接続される高電圧入力ポートVHと、フィードバック信号(出力電圧の検出信号)が入力されるフィードバックポートFBと、オンオフ信号(PWM信号)を出力する出力ポートOUTと、制御入力ポートENの5つのポートを備えている。尚、制御入力ポートENは、プルアップ抵抗Ruを介して、制御IC50内に設けられた第2電源回路69に接続されている。
図2や
図3では、制御ICのうち、プルアップ接続用のポートは省略してある。
【0037】
図3を参照して、制御IC50の回路ブロックを説明する。制御IC50は、高電圧入力ポートVHに接続された起動回路51と、第1電源回路53と、ソフトスタート回路55と、電源ポートVCCに接続されたVCC検出回路56と、出力ポートOUTに接続されたドライバ回路57と、一定周波数の三角波を発振する発振回路59と、フィードバックポートFBに接続された比較演算回路63と、再起動回路65と、停止回路67と、第2電源回路69と、停止許可回路71とを備える。
【0038】
VCC検出回路56は、電圧発生回路31の出力電圧Vccを検出して、出力電圧Vccが基準値(一例として16V)を超えているかどうか判定する回路である。起動回路51は、高電圧入力ポートVHに印加される入力電圧を降圧して第1電源回路53に与えるものである。すなわち、起動回路51は、主電源であるAC電源15から電力を受けて動作し第1電源回路53を起動させる。また、第1電源回路53は、再起動回路65、停止回路67、停止許可回路71、第2電源回路69を除くそれ以外の回路55、56、57、59、63に電力を供給するものである。これら第1電源回路53を電源とする各回路55、56、57、59、63は、第1電源回路53の停止時(発振停止時)には非通電となる。一方、第2電源回路69を電源とする再起動回路65、停止回路67、停止許可回路71は、AC電源の投入後は、常時通電状態となる。
【0039】
第1電源回路53は起動直後、電圧発生回路31の出力電圧Vccが第2基準値まで上昇するまでの間は、起動回路51から電力供給されて電源電圧5Vを生成して各回路55、56、57、59、63に電力を供給する。一方、電圧発生回路31の出力電圧Vccが基準値に達した以降は、VCC検出回路56の指令により電源を切り換え、電圧発生回路31から電力供給されて電源電圧5Vを生成して各回路55、56、57、59、63に電力を供給する。
【0040】
ソフトスタート回路55は、ドライバ回路57を通じてFET25のゲートGに印加するオンオフ信号(PWM信号)のデューティ比を段階的に高くすることにより、起動時において、スイッチング電源20の出力をゆっくり上昇させる機能を果たすものである。
【0041】
比較演算回路63は、フィードバック信号の信号レベルと基準電圧のレベルを比較する演算を行い、演算結果に応じて、フィードバック信号をドライバ回路57へ出力するものである。
【0042】
ドライバ回路57は、FET25のゲートGに対してオンオフ信号(PWM信号)を出力することにより、FET25をスイッチング制御するものである。尚、PWM信号のPWM値(デューティー比)は、フィードバックポートFBに入力されたフィードバック信号に基づいて決定されたPWM値である。
【0043】
再起動回路65と停止回路67は、制御入力ポートENに共通接続されていて、制御入力ポートENの電圧のレベルに応じた制御信号(レベル信号)SrBが、両回路65、67に入力される構成となっている。すなわち、制御入力ポートENの電圧がハイレベルである場合には、両回路65、67に対して、制御入力ポートENを通じてハイレベルの制御信号SrBが入力され、制御入力ポートENの電圧がロウレベルである場合には、両回路65、67に対して、制御入力ポートENを通じてロウレベルの制御信号SrBが入力される。
【0044】
停止回路67は、制御入力ポートENを通じてハイレベル(本発明の「第1レベル」に相当)の制御信号SrBが入力されることを条件として、第1電源回路53を遮断することにより、ドライバ回路57によるスイッチング制御を停止させる停止処理を実行する。すなわち、第1電源回路53が遮断すると、各回路56、57、59、63に対する電力供給が断たれて、ドライバ回路57が出力を停止する(出力ポートOUTがハイインピーダンスになる)ことから、ドライバ回路57によるスイッチング制御が停止する。これにて、トランス23の発振が停止する。尚、遮断とは、電圧発生回路31から第1電源回路53への電力供給を断って、第1電源回路53を停止させることを意味している。
【0045】
また、再起動回路65は、制御入力ポートENを通じてロウレベル(本発明の「第二レベル」に相当)の制御信号SrBが入力されることを条件として、起動回路51に再起動信号を出力して起動回路51を再起動させるものである。第2電源回路69は、起動回路51と共に高電圧入力ポートVHに接続されている。そして、高電圧入力ポートVHから入力される電圧を降圧して電源電圧5Vを生成し、再起動回路65、停止回路67、停止許可回路71に電力供給する。すなわち、第2電源回路69は、主電源であるAC電源15から電力供給を受けて動作して、上記各回路65、67、71に電力を供給する。
【0046】
停止許可回路71は、本発明の制限回路の一例である。停止許可回路71は、制御入力ポートENに接続されていて、再起動回路65や停止回路67と同様に、制御入力ポートENに入力される制御信号SrBが、入力される構成となっている。そして、停止許可回路71は、スイッチング電源20の起動直後は、停止回路67に対して停止処理の実行を制限する制限信号(例えば、ロウレベルのレベル信号)S1を送る。これにより、スイッチング電源20の起動直後、停止回路67が停止処理を実行することを禁止(制限)できる。
【0047】
そして、停止許可回路71は、スイッチング電源20の起動直後、制御入力ポートENの電圧がハイレベルである期間は、停止回路67に対する制限信号S1の出力を維持する。停止許可回路71は、制御入力ポートENの電圧の切り換わりを検出して、制限信号S1の出力を停止する。この例では、制御入力ポートENの電圧がハイレベルからロウレベルに切り換わると、停止許可回路71は電圧の切り換わりを検出して、制限信号S1の出力を停止し、それ以降は、停止回路67に対して停止処理の実行を許可する許可信号(例えば、ハイレベルのレベル信号)S2を送る。これにより、許可信号S2を受けた以降、停止回路67は停止処理を実行可能となる。上記のより、本発明の「前記制限回路(この例では、停止許可回路)は、前記制御入力ポートの電圧の切り換わりを検出して、前記停止処理の実行の制限を解除(この例では制限信号S1の停止)する」が実現されている。
【0048】
次に、
図4を参照して制御装置80について説明する。制御装置80は、プリンタ1の印刷部2を制御するメインブロックB1と、モード制御ブロックB2とから構成されている。これらメインブロックB1とモード制御ブロックB2は1つ以上のCPU、ASIC等のハード回路、又はCPUとハード回路の組み合わせのいずれかにより構成することが出来る。
【0049】
メインブロックB1の電源ポートP1は、DC−DCコンバータ45の出力ラインLo3に接続されており、DC−DCコンバータ45を介してスイッチング電源20から電力供給される。尚、メインブロックB1は後述する出力モード中に限り電力が供給されて動作状態となり、スイッチング電源20が後述する出力停止モードに移行すると、電力の供給が断たれて停止状態になる。
【0050】
一方、モード制御ブロックB2の電源ポートP2は、DC−DCコンバータ35側に接続されており、DC−DCコンバータ35を介してスイッチング電源20から電力供給される。具体的に説明すると、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2には、ダイオードD4を介してコンデンサ(蓄電用の電気二重層キャパシタ)C4が接続されている。ダイオードD4はコンデンサC4からDC−DCコンバータ35側への逆流を防止するものである。尚、コンデンサC4が、本発明の「蓄電部」の一例である。
【0051】
そして、コンデンサC4とダイオードD4の接続点(
図4中のa点)から中継ラインL1が引き出されている。中継ラインL1はモード制御ブロックB2の電源ポートP2に接続されている。そのため、出力モード中、モード制御ブロックB2に対して、DC−DCコンバータ35を介して、スイッチング電源20から電力が供給される構成となっている。コンデンサC4は出力停止モード中、モード制御ブロックB2の電源となるものであり、出力モード中は出力ラインLo2を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給される構成となっている。
【0052】
図4に示すように、モード制御ブロックB2には、制御ポートP3が設けられていて、トランジスタ85のベースBに接続されている。トランジスタ85は、エミッタEを0Vに接続すると共に、コレクタCを発光ダイオードLED2のカソードに接続している。また、モード制御ブロックB2には、入力ポートP4が設けられている。入力ポートP4には、モード制御ブロックB2にモードの切り換えをユーザが指示するためのモード切換スイッチSW2が接続されている。
【0053】
発光ダイオードLED2は、中継ラインL1にアノードを接続している。そして、この発光ダイオードLED2は、フォトトランジスタPT2と共に、フォトカプラを構成している。
図2に示すように、フォトトランジスタPT2は、コレクタ(本発明の「一方側」に対応)を制御入力ポートENに接続し、エミッタ(本発明の「他方側」に対応)を一次側の基準電位(本発明の「第2レベルの電位」に対応)Veに接続している。モード制御ブロックB2の制御ポートP3からトランジスタ85のベースにハイレベルの切換信号SrAを出力して、フォトカプラを構成する発光ダイオードLED2を点灯させると、フォトトランジスタPT2が導通状態(オン状態)となり、制御IC50の制御入力ポートENはロウレベル(基準電位Ve)となる。また、モード制御ブロックB2の制御ポートP3からトランジスタ85のベースにロウレベルの切換信号SrAを出力して、フォトカプラを構成する発光ダイオードLED2を消灯させると、フォトトランジスタPT2が非導通状態(オフ状態)となり、制御IC50の制御入力ポートENはハイレベル(第2電源回路69の出力電位)となる。
【0054】
尚、発光ダイオードLED2が本発明の「発光素子」に対応し、フォトトランジスタPT2が本発明の「受光素子」に対応する。また、発光ダイオードLED2、フォトトランジスタPT2から構成されるフォトカプラが本発明の「切換回路」に対応する。
【0055】
モード制御ブロックB2は、制御IC50に対して切換信号SrBを出力して制御入力ポートENの電圧のレベルを切り換えることにより、スイッチング電源20を出力モードと出力停止モードとに切り換える機能を果たすものである。出力モードとは、制御IC50にスイッチング制御を実行させてトランス23の一次側を発振させることにより、スイッチング電源20を出力状態にするモードである。また、出力停止モードは、制御IC50によるスイッチング制御を停止させてスイッチング電源20の出力を停止させるモードである。
【0056】
尚、この実施形態では、スイッチング電源20を出力モードにする場合は、ハイレベルの切換信号SrAを出力して発光ダイオードLED2を点灯しフォトトランジスタPT2を導通させることにより、制御入力ポートENの電圧をロウレベル(本発明の「第2レベル」に相当)にする。一方、スイッチング電源20を出力停止モードにする場合は、ロウレベルの切換信号SrAを出力して、発光ダイオードLED2を消灯しフォトトランジスタPT2を非導通にすることにより、制御入力ポートENの電圧をハイレベル(本発明の「第1レベル」に相当)にする。また、モード制御ブロックB2は、スイッチング電源20から電力供給を受けて起動した直後は、制御IC50に対してハイレベルの切換信号SrAを出力して発光ダイオードLED2を点灯させる。これは、モード制御ブロックB2の起動時に、制御IC50に対してロウレベルの切換信号SrAを出力して発光ダイオードLED2を消灯させてしまうと、AC電源の投入直後、スイッチング電源20が出力停止モードに移行して電源システムSを立ち上げることが出来ない状態になるからである。
【0057】
また、
図4に示す検出回路87は、中継ラインL1のライン電圧(
図4に示す(a)点の電圧であって、コンデンサC4の充電電圧)Vddを検出する検出回路である。検出回路87は、中継ラインL1のライン電圧Vddを検出する検出抵抗R3、R4と、検出抵抗R3、R4により検出された電圧値を基準電圧Vsと比較して出力するコンパレータCPとから構成されている。
【0058】
コンパレータCPは、ライン電圧Vddが基準電圧Vsを上回っている場合には、ハイレベルの検出信号をモード制御ブロックB2のポートP5に出力し、ライン電圧Vddが基準電圧を下回っている場合には、ロウレベルの検出信号をポートP5に出力する。
【0059】
そして、モード制御ブロックB2は、コンパレータCPからロウレベルの検出信号が出力された場合、スイッチング電源20を出力モードに移行させることにより、コンデンサC4を再充電させる構成となっている。このようにすることで、出力停止モードが長時間続いてコンデンサC4の充電電圧が低下しても、コンデンサC4を再充電することで、モード制御ブロックB2の電源電圧を維持できる。また、
図4に示すスイッチSW2は、モード制御ブロックB2にモードの切り換えをユーザが指示するためのモード切換スイッチである。
【0060】
3.電源システムSの動作説明
3−1.AC電源投入時の動作
電源スイッチSW1が投入(時刻t1)されると、スイッチング電源20の入力ラインLinに対して、AC電源15の交流電圧を整流平滑化した入力電圧Vinが印加される。これにより、AC電源15側から高電圧入力ポートVHを通じて電力供給されるので、制御IC50の起動回路51と第2電源回路69が起動する(時刻t2)。第2電源回路69は、起動後、再起動回路65、停止回路67、停止許可回路71に電力を供給する。電力の供給により、再起動回路65や停止回路67は動作状態となるが、電力供給開始直後、停止許可回路71から停止回路67に対して制限信号S1が出力されるため、停止回路67は停止処理の実行を制限された状態となる。また、第2電源回路69の起動後、制御入力ポートENの電圧はハイレベルとなる(時刻t2)。
【0061】
一方、起動回路51は起動後、入力電圧Vinを降圧して第1電源回路53に出力する。これにより、第1電源回路53が起動する。第1電源回路53の出力電圧は起動後、次第に上昇する。そして、出力電圧が所定値に達すると、第1電源回路53を電源とする各回路55、56、57、59、63は起動状態となる。その後、起動したソフトスタート回路55は、ドライバ回路57を通じてFET25のゲートGにオンオフ信号(PWM信号)を与える。これにより、FET25がオン、オフを繰り返す状態になるので、スイッチング電源20のトランス23の一次側が発振を開始し、トランス23の二次側に電圧が誘起される(時刻t3:発振開始)。
【0062】
そして、ソフトスタート回路55は、PWM値を段階的に高くする結果、FET25のオン時間が段階的に長くなり、スイッチング電源20の出力はゆっくりと上昇してゆく。これにより、24V系の出力ラインLo1、5V系の出力ラインLo2、3.3V系の出力ラインLo3のライン電圧が上昇してゆく。
【0063】
また、5V系の出力ラインLo2のライン電圧の上昇に伴って、中継ラインL1のライン電圧Vdd(モード制御ブロックB2の電源電圧Vddであって、
図4中の(a)点の電圧)が上昇してゆく。そして、中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧(制御装置80が動作可能となる動作可能電圧以上であり、かつ発光ダイオードLED2が点灯可能となる電圧で、一例として、3V)に達すると、モード制御ブロックB2が起動する(時刻t4)。起動後、モード制御ブロックB2は、制御ポートP3からトランジスタ85に対してハイレベルの切換信号SrAを出力する。ハイレベルの切換信号SrAが出力されると、トランジスタ85がオンして発光ダイオードLED2が点灯する。これにより、フォトトランジスタPT2が導通(オン)するため、制御IC50の制御入力ポートENのレベルがハイレベルからロウレベルに切り換わる。
【0064】
そして、モード制御ブロックB2が起動する時刻t4にて、制御IC50の制御入力ポートENのレベルが、ハイレベルからロウレベルに切り換わると、停止許可回路71にて、電圧の切り換わりが検出される。そして、電圧の切り換わりを検出した停止許可回路71から停止回路67に対して許可信号S2が送信される(時刻t5)。これにより、AC電源投入時から続く停止処理の制限状態が解除され、時刻t5以降、停止回路67は停止処理の実行を許可される。
【0065】
このように、AC電源投入時の所定期間は停止回路67による停止処理を制限しておくことで、電源システムSを確実に立ち上げることが出来る。理由は、AC電源投入から中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧に達するまで(時刻t1〜t4)は、モード制御ブロックB2は動作できない。この場合、トランジスタ85はオフ、フォトカプラの発光ダイオードLED2は消灯した状態となる。そのため、制御IC50の制御入力ポートENのレベルがハイレベルになることから、停止回路67による停止処理を制限しておかないと、停止回路67が停止処理を実行して第1電源回路53を遮断し、第1電源回路から電力の供給を受ける各回路55、56、57、59、63を停止させる可能性があるためである。言い換えれば、停止回路67による停止処理を制限しておけば、AC電源投入時に第1電源回路53が遮断する心配がないので、各回路55、56、57、59、63が停止することがなく、電源システムSを確実に立ち上げることが出来る。
【0066】
説明を続けると、時刻t4の段階では、24V系の出力ラインのライン電圧は、目標とする電圧に達しておらず、スイッチング電源20は更に出力上昇してゆく。そして、VCC検出回路56は電圧発生回路31の出力電圧Vccをモニタしており、出力電圧Vccが基準値を超えると、第1電源回路53に指令を与えて、電力の供給元を起動回路51側から電圧発生回路31側に切り換える(時刻t6)。これにより、電圧発生回路31の出力電圧Vccが基準値を超えた以降(時刻t6以降)、第1電源回路53は電圧発生回路31側から電力が供給され、起動回路51は停止する。
【0067】
また、VCC検出回路56は、電圧発生回路31の出力電圧Vccが基準値を超えると、ソフトスタート回路55を停止させる。そして、ソフトスタート回路55が停止した以降、フィードバック制御に切り換わり、ドライバ回路57は、フィードバックポートFBに入力されるフィードバック信号に基づいたPWM出力を行う。これにより、電圧検出回路29の検出する出力電圧Vo1が目標電圧である24Vになるように、スイッチング電源20は出力調整される(出力モード)。尚、
図5の例では、時刻t1にてAC電源を投入した後、時刻t7の時点で、スイッチング電源20の24V系のライン電圧が目標電圧である24Vに達している。
【0068】
出力モードでは、電源装置10によってプリンタ1の各部品に電力供給される。すなわち、印刷部2には、出力ラインLo1を通じて、スイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧24V)。また、通信部3a、画像メモリ3b及びメインブロックB1には、DC−DCコンバータ45を介して、スイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。また、制御装置80のモード制御ブロックB2には、DC−DCコンバータ35を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧5V)。
【0069】
従って、プリンタ1は印刷可能な状態、すなわち、PC等の情報端末装置から印刷指示を受信し、印刷指示に応じた印刷処理を実行できる状態となる。また、出力モード中、コンデンサC4にはスイッチング電源20の出力ラインLo1、ダイオードD4を通じて充電電流が供給されるので、コンデンサC4は充電される。
【0070】
3−2.出力モードから出力停止モード、出力停止モードから出力モードへの移行
そして、出力モード中にモード切換スイッチSW2が操作された場合や、プリンタ1の待機状態が所定時間続いた場合は、出力停止モードへ移行するため、制御装置80のモード制御ブロックB2は、トランジスタ85にロウレベルの切換信号SrAを出力する(時刻t8)。
【0071】
ロウレベルの切換信号SrAが出力されると、トランジスタ85がオフして発光ダイオードLED2が消灯する。これにより、フォトトランジスタPT2が非導通(オフ)になるため、制御IC50の制御入力ポートENのレベルがロウレベルからハイレベルに切り換わる。これにより、再起動回路65と停止回路67には、制御入力ポートENを通じて、ハイレベルの制御信号SrBが入力される。そしてハイレベルの制御信号SrBを受けると、停止回路67が第1電源回路53を遮断する停止処理を実行する。これにより、第1電源回路53を電力供給元とする各回路55、56、57、59、63に対する電力の供給がストップする。
【0072】
そのため、ドライバ回路57が停止して、出力ポートOUTがハイインピーダンスになる結果、トランス23の一次側の発振が停止する。その結果、スイッチング電源20は出力を停止する出力停止モードに移行する。
【0073】
そして、出力停止モード中、スイッチング電源20は出力停止状態になるから、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80のメインブロックB1に対する電力供給は全てストップする。一方、制御装置80のモード制御ブロックB2は、コンデンサC4から電力供給されるため動作状態となる。
【0074】
その後、コンパレータCPからロウレベルの検出信号がポートP5に出力された場合や、出力停止モード中に切り換えスイッチSW2が操作された場合には、制御装置80のモード制御ブロックB2は出力モードへ移行するため、トランジスタ85にハイレベルの切換信号SrAを出力する(時刻t9)。
【0075】
ハイレベルの切換信号SrAが出力されると、トランジスタ85がオンして発光ダイオードLED2が点灯する。これにより、フォトトランジスタPT2が導通(オン)するため、制御IC50の制御入力ポートENのレベルがハイレベルからロウレベルに切り換わる。これにより、再起動回路65と停止回路67には、制御入力ポートENを通じて、ロウレベルの制御信号SrBが入力される。そしてロウレベルの制御信号SrBを受けると、再起動回路65が、起動回路51を再起動させる。
【0076】
これにより、AC電源投入時と同様に、第1電源回路53が、起動回路51から与えられる電圧から電源電圧5Vを生成して、第1電源回路53を電力供給元とする各回路55、56、57、59、63、67に電力を供給する。すると、ソフトスタート回路55が作動して、スイッチング電源20の出力をゆっくりと上昇させてゆき、スイッチング電源20は出力モードに再び移行する。
【0077】
4.効果説明
以上説明したように、本電源システムSでは、レベル信号(制御信号SrB)によって、スイッチング電源20のモードを制御する。そのため、パルス信号による制御方式に比べてノイズに対する誤動作が少ない。また、スイッチング電源20の出力電圧(中継ラインL1のライン電圧Vdd)が目標電圧になるまでの間(この例ではt1〜t4の期間)は、制限回路である停止許可回路71が停止回路67の動作を制限するので、AC電源投入直後に停止回路67が働いて第1電源回路53を遮断することがなく、スイッチング電源20を確実に起動できる。
【0078】
また、本電源システムSでは、出力停止モード中、トランス23の一次側の発振を停止させるので、電力消費を抑えることが可能である。また、本電源システムでは、制御入力ポートENの電圧を切り換えることで制御信号SrBのレベルを切り換えることができる。
【0079】
また、本電源システムSでは、フォトカプラLED2、PT2を利用して、制御入力ポートENの電圧、すなわち制御信号SrBのレベルを切り換える。フォトカプラLED2、PD2を利用して制御入力ポートENの電圧を切り換える場合、モード制御ブロックB2とスイッチング電源20を絶縁することが出来る。しかし、フォトカプラLED2、PT2に電力が供給されていない状態では、意図したように制御入力ポートの電圧を切り換え行うことが出来ず、スイッチング電源20が誤動作する恐れがある。このような構成の装置に、本発明を適用することで、スイッチング電源20の誤動作を防ぐことが出来る。
【0080】
また、本電源システムSでは、出力モード中は発光ダイオードLED2を点灯させ、出力停止モード中は、発光ダイオードLED2を消灯させている。もし仮に、点灯/消灯を逆にすると、出力停止モード中、発光ダイオードLED2を点灯させ続けることが必要となる。この場合、出力停止モード中の消費電力が多くなり、コンデンサC4の電力を短時間で消費する。この点、本電源システムSでは、出力停止モード時は、発光ダイオードLED2は消灯しているので、出力停止モード中の消費電力が少なく、コンデンサC4の充電状態を長時間維持できる。
【0081】
尚、電源投入時には、コンデンサC4が充電されていないことから、モード制御ブロックB2からスイッチング電源20に対して意図した切換信号が出力できず、又発光ダイオードLED2を点灯させることも出来ないので、スイッチング電源20が誤動作する恐れがある。このような構成の装置に、本発明を適用することで、スイッチング電源20の誤動作を防ぐことが出来る。
【0082】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図6、
図7によって説明する。
図6は実施形態2における制御ICのブロック図であり、
図7はスイッチング電源の出力波形を示す図である。
【0083】
実施形態1では、AC電源の投入後、中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧まで上昇するまでの間(時刻t1〜時刻t4)、制限回路(具体的には停止許可回路71)により、停止回路67による停止処理の実行を制限するようにした。
【0084】
実施形態2では、停止処理の実行を制限する制限回路を、実施形態1の停止許可回路71とは別の回路により構成する。具体的に説明すると、実施形態2では、制限回路Uを、ゲート回路73と、ゲート制御回路75とから構成している。
【0085】
図6に示すように、ゲート回路73には、再起動回路65と停止回路67が共通接続されており、制御入力ポートENの電圧に応じた制御信号SrBが、ゲート回路73を介して再起動回路65及び停止回路67に対して入力される構成となっている。
【0086】
そして、ゲート回路73は、ゲート制御回路75から出力されるゲート制御信号Sgに基づいて、再起動回路65及び停止回路67に対する制御信号SrBの入力の可否を切り換える機能を果たす。すなわち、ゲート制御信号Sgとしてロウレベルの信号が出力されている期間は、制御信号SrBが再起動回路65及び停止回路67に対して入力しないように、制御信号SrBをブロック(ゲート閉)する。一方、ゲート制御信号Sgとしてハイレベルの信号が出力されている期間は、制御入力ポートENに入力された制御信号SrBを、再起動回路65及び停止回路67に入力させる(ゲート開)させる。
【0087】
ゲート制御回路75は、ゲート回路73に対して上記のゲート制御信号Sgを出力して、再起動回路65及び停止回路67に対する制御信号SrBの入力の可否を制御する回路である。
【0088】
ゲート制御回路75は、AC電源投入後、中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧まで上昇するまでの間(時刻t1〜時刻t4)は、少なくともゲート回路73に対してロウレベルの制御信号Sgを出力する。このようにすれば、停止許可回路71を用いて停止回路67による停止処理を制限した場合と同様に、AC電源投入直後に停止回路67が働いて第1電源回路53を遮断することがないことから、スイッチング電源20を確実に起動できる。
【0089】
尚、
図7に示すように、電圧発生回路31の出力電圧Vccが基準値に到達するタイミング(時刻t6)は、中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧に達するタイミング(時刻t4)に比べて遅い(常に遅い)。これは、中継ラインL1は5V系の出力であることから、スイッチング電源20の起動後の初期段階、すなわちソフトスタート回路55の起動により、スイッチング電源20の24V系の出力が上昇を始める初期の段階で目標電圧に到達する。それに対し、電圧発生回路31の出力電圧Vccの基準電圧は、スイッチング電源20の24V系の出力が概ね安定する時期(ソフトスタート回路55の停止時期)に対応して設定されているためである。
【0090】
そのため、VCC検出回路56からゲート制御回路75に対して、電圧発生回路31の出力電圧Vccが基準値になる時点(時刻t6)でタイミング信号Stを出力し、ゲート制御回路75は、VCC検出回路56からタイミング信号Stを受けることを条件に、ゲート制御信号Sgをロウレベル(ゲート閉)からハイレベル(ゲート開)に、切り換える構成としている。このようにすれば、第1電源回路53に対する電源供給先(電源)を切り換えるVCC検出回路56を利用して、ゲート制御信号Sgの切り換えタイミングを決定することが出来る。
【0091】
ゲート制御信号Sgの切り換えタイミングを決定する方法は、例えば、モード制御ブロックB2の電源電圧Vddを検出して目標電圧と比較する方法も可能である。しかし、この場合は、モード制御ブロックB2の電源電圧Vddを検出する検出部や、検出部の検出値を目標電圧と比較する比較部が必要となる。上記のように、VCC検出回路56を利用してゲート制御信号Sgの切り換えタイミングを決定する方法であれば、検出部や比較部をそれ専用に設ける必要がないので、スイッチング電源20の構成を簡素化することが可能となる。
【0092】
尚、上記により、本発明の「前記ゲート制御回路は、起動後、前記信号出力部(この例ではVCC検出回路56)からタイミング信号Stが入力されるまでの間(この例では、時刻t1〜時刻t6)は、前記ゲート回路に対して前記制御信号SrBの入力を制限する指令(この例では、ロウレベルのゲート制御信号Sg)を出力し、前記信号出力部(この例ではVCC検出回路56)からタイミング信号Stが入力された時点(この例では、時刻t6)で、前記ゲート回路に対して前記制御信号SrBの入力を許可する指令(この例では、ハイレベルのゲート制御信号Sg)を出力する」が実現されている。
【0093】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図8、
図9によって説明する。
図8は実施形態3における制御ICのブロック図であり、
図9はスイッチング電源の出力波形を示す図である。
【0094】
実施形態2では、ゲート制御信号Sgの切り換えタイミング(ゲート閉からゲート開に切り換えるタイミング)を、VCC検出回路56を利用して決定する例を示した。実施形態3では、ゲート制御信号Sgの切り換えタイミング(ゲート閉からゲート開に切り換えるタイミング)を、タイマ回路77を利用して決定する。尚、タイマ回路77が本発明の「タイマ」の一例である。
【0095】
タイマ回路77は、第2電源回路69を電源として動作する。タイマ回路77は、電源供給を受けて起動(時刻t2)した後、所定時間TAを計時する。タイマ回路77の計時する所定時間TAは、AC電源投入から中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧に達する時間(t1〜t4)よりも十分長く設定されている。
【0096】
タイマ回路77は、所定時間Aの計時後、ゲート制御回路75に対してタイミング信号Stを出力し、ゲート制御回路75は、タイマ回路77からタイミング信号Stを受けることを条件に、ゲート制御信号Sgをロウレベル(ゲート閉)からハイレベル(ゲート開)に切り換える(時刻t10)。このようにすることで、AC電源投入から中継ラインL1のライン電圧Vddが目標電圧に達する時間(t1〜t4)は、停止回路67に対する制御信号SrBの入力をブロックできるので、停止回路67による停止処理を制限できる。そのため、実施形態1や実施形態2と同様、スイッチング電源20を確実に起動できる。
【0097】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0098】
(1)実施形態1〜実施形態3では、電源システムSを、プリンタに使用する例を挙げたが、電気機器であれば、適用可能であり、電源システムSの用途はプリンタに限定されない。例えば、テレビやビデオなどの家電製品に広く使用できる。また、実施形態1〜実施形態3では、電子写真式のプリンタを例示したが、インクジェット式のプリンタへの適用も可能である。
【0099】
(2)実施形態1〜実施形態3では、半導体スイッチング素子としてFET(電界効果トランジスタ)を例示したが、バイポーラトランジスタを使用してもよい。
【0100】
(3)実施形態1〜実施形態3では、制御装置80の構成例としてメインブロックB1と、モード制御ブロックB2の2つの機能ブロックを備えたものを例示した。制御装置80は、少なくともモード制御ブロックB2を備えていればよく、例えば、メインブロックB1を制御装置80とは別構成としてよい。
【0101】
(4)実施形態1〜実施形態3では、出力停止モードに対応する制御信号SrBをハイレベル、出力モードに対応する制御信号SrBをロウレベルとした例を示したが、制御信号SrBのハイ/ロウは逆であってもよい。すなわち、出力停止モードに対応する制御信号SrBをロウレベル、出力モードに対応する制御信号SrBをハイレベルとしてもよい。この場合、
図10に示すように、制御入力ポートENを、プルダウン抵抗Rdを介して基準電位Veに接続する。そして、フォトトランジスタPT2のコレクタを、第二電源回路69側に接続し、エミッタを制御入力ポートENに接続する回路構成にすればよい。
【0102】
(5)実施形態1〜実施形態3では、制御入力ポートENの電圧を切り換える切換回路の一例に、フォトカプラ(発光ダイオードLED2、フォトトランジスタPT2)を例示した。切換回路は、制御装置から出力される切換信号SrAに応答して、制御入力ポートENの電圧を切り換えるものであればよく、例えば、切換信号の入力によりオン、オフするFETやトランジスタ等のスイッチング素子により構成してもよい。また、実施形態1では、停止回路67を用いて第1電源回路53を遮断することにより、ドライバ回路57によるスイッチング制御を停止させる構成を例示したが、停止回路67からドライバ回路57に停止指令を与えることにより、スイッチング制御を停止させるようにしてもよい。