特許第6040770号(P6040770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040770
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】タイヤ解析システムおよび解析方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/245 20060101AFI20161128BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20161128BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20161128BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G01B11/245 H
   G01M17/02 B
   G01B11/25 H
   B60C19/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-288364(P2012-288364)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130084(P2014-130084A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 昌志
(72)【発明者】
【氏名】花田 亮治
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−27509(JP,A)
【文献】 特開2009−264852(JP,A)
【文献】 特開平10−38533(JP,A)
【文献】 特開2007−85836(JP,A)
【文献】 特開2010−145231(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0083347(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
B60C 19/00
G01M 17/02
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに付された複数の格子パターンのそれぞれが所定の位置にあるときの画像を撮影する撮像部と、
前記撮像部によって撮影された画像を用いて形状解析を行うことにより前記格子パターンの空間座標を算出する空間座標算出部と、
前記空間座標に基づいて前記格子パターンの配置のバラツキを検出するバラツキ検出部と、
前記バラツキに基づいて前記格子パターンの配置を補正する補正部と、
を備える解析システム。
【請求項2】
前記空間座標算出部は、サンプリングモアレ法により前記形状解析を行う請求項1に記載の解析システム。
【請求項3】
前記撮像部は、前記格子パターンを異なる角度から撮影する複数のカメラを有し、
前記空間座標算出部は、前記複数のカメラによって同時に撮影された複数の画像を用いて形状解析を行うことにより前記格子パターンの空間座標を算出する請求項1または2に記載の解析システム。
【請求項4】
前記バラツキ検出部は、前記タイヤに荷重が付加されない状態で撮影された前記画像を用いて前記空間座標算出部が算出した空間座標に基づいて、前記格子パターンの配置のバラツキを検出する請求項1から3のいずれか1項に記載の解析システム。
【請求項5】
前記格子パターンは、第1の方向および第2の方向に、それぞれ、少なくとも2つのマークが配置されるパターンである請求項1から4のいずれか1項に記載の解析システム。
【請求項6】
タイヤに付された複数の格子パターンのそれぞれが所定の位置にあるときの画像を撮影するステップと、
撮影された前記画像を用いて形状解析を行うことにより前記格子パターンの空間座標を算出するステップと、
前記空間座標に基づいて前記格子パターンの配置のバラツキを検出するステップと、
前記バラツキに基づいて前記格子パターンの配置を補正するステップと、
を備える解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ解析システムおよび解析方法に関し、さらに詳しくは、高精度な解析を実現できるタイヤ解析システムおよび解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤ解析システムは、高速度ビデオカメラを用いて試験タイヤを連続撮影したデジタル画像を用いて、タイヤ形状解析を行っている。かかる従来のタイヤ解析装置として、特許文献1、2に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−27509号公報
【特許文献2】特開2011−237258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、高精度な解析を実現できるタイヤ解析システムおよび解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、解析システムは、タイヤに付された複数の格子パターンのそれぞれが所定の位置にあるときの画像を撮影する撮像部と、前記撮像部によって撮影された画像を用いて形状解析を行うことにより前記格子パターンの空間座標を算出する空間座標算出部と、前記空間座標に基づいて前記格子パターンの配置のバラツキを検出するバラツキ検出部と、前記バラツキに基づいて前記格子パターンの配置を補正する補正部と、を備える。
【0006】
他の態様において、解析方法は、タイヤに付された複数の格子パターンのそれぞれが所定の位置にあるときの画像を撮影するステップと、前記画像を用いて形状解析を行うことにより前記格子パターンの空間座標を算出するステップと、前記空間座標に基づいて前記格子パターンの配置のバラツキを検出するステップと、前記バラツキに基づいて前記格子パターンの配置を補正するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
解析システムおよび解析方法は、態様の1つにおいて、高精度な解析を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかるタイヤ解析システムを示す構成図である。
図2図2は、図1に記載したタイヤ解析装置の機能を示すブロック図である。
図3図3は、解析用格子面の配置のバラツキの例を示す図である。
図4図4は、タイヤ解析システムによる解析方法を示すフローチャートである。
図5図5は、タイヤ解析システムによる解析方法によって得られる値の例を示す図である。
図6図6は、補正前の解析用格子面の格子の中心のY座標の変動の例を示す図である。
図7図7は、補正後の解析用格子面の格子の中心のY座標の変動の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0010】
[タイヤ解析システム]
図1は、この発明の実施の形態にかかるタイヤ解析システムを示す構成図である。図2は、図1に記載したタイヤ解析システムのタイヤ解析装置の機能を示すブロック図である。これらの図において、図1は、タイヤ解析システムの全体構成を模式的に示し、図2は、タイヤ解析装置の主たる機能を示している。
【0011】
このタイヤ解析システム1は、所定条件を入力したときのタイヤ中心軸にかかる変位、タイヤ形状の変化、タイヤ表面歪みの変化等を測定することにより、タイヤの挙動解析(例えば、振動計測)を行うシステムに適用される。タイヤ解析システム1は、タイヤ試験機2と、撮像装置3と、タイヤ解析装置4とを備える(図1参照)。
【0012】
タイヤ試験機2は、試験タイヤに試験条件を付与する装置であり、例えば、ドラム式タイヤ試験機、ベルト式タイヤ試験機などにより構成される。図1の構成では、タイヤ試験機2が、ドラム式タイヤ試験機であり、支持装置21と、駆動装置22とを有する。支持装置21は、試験タイヤ10を回転可能に支持する装置であり、試験タイヤ10を装着するリム211を有する。駆動装置22は、試験タイヤ10に駆動力を付与する装置であり、回転ドラム221と、回転ドラム221を駆動するモータ222と、モータ222を駆動制御するモータ制御装置223とから構成される。
【0013】
このタイヤ試験機2では、支持装置21が、試験タイヤ10をリム211に装着して支持し、試験タイヤ10を駆動装置22の回転ドラム221に押圧して試験タイヤ10に荷重を付与する。また、支持装置21が、リム211を変位させて試験タイヤ10と回転ドラム221との位置関係を調整することにより、試験タイヤ10にスリップ角やアングル角を付与する。また、駆動装置22が、モータ制御装置223によりモータ222を駆動して回転ドラム221を回転させることにより、試験タイヤ10に回転速度を付与する。これにより、車両走行時におけるタイヤの転動状態が、回転ドラム221の周面を路面として再現される。また、支持装置21および駆動装置22が、上記の荷重、回転速度、スリップ角、アングル角などを調整することにより、試験条件を変更できる。
【0014】
撮像装置3は、一対のカメラ31、31と、一対の照明用ランプ32、32とを有する。カメラ31は、試験タイヤ10を撮像する手段であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラにより構成される。カメラ31は、例えば、高速度カメラである。また、一対のカメラ31、31が、試験タイヤ10を相互に異なる方向から撮像できる位置に配置される。これらのカメラ31、31は、試験タイヤ10を左右方向から同時に撮像して、タイヤ画像(試験タイヤ10のデジタル画像データ)を生成する。照明用ランプ32は、カメラ31の撮像範囲を照らすランプであり、例えば、ハロゲンランプにより構成される。これらの照明用ランプ32は、常時点灯タイプであっても良いし、フラッシュ点灯タイプであっても良い。
【0015】
タイヤ解析装置4は、例えば、所定の解析プログラムをインストールしたPC(personal computer)であり、撮像装置3からのタイヤ画像を画像処理してタイヤ解析処理を行う(図2参照)。このタイヤ解析装置4は、空間座標算出部41と、バラツキ検出部42と、解析部43と、補正部44とを備える。空間座標算出部41は、タイヤ画像を用いて形状解析を行うことにより、試験タイヤ10に円状に付される解析用格子面(格子パターン)Sの空間座標を算出する。バラツキ検出部42は、算出された空間座標に基づいて、解析用格子面Sの配置のバラツキを検出する。解析部43は、所定のタイヤ解析処理を行う。補正部44とは、解析部43による解析の精度を向上させるために、バラツキ検出部42によって検出されたバラツキに基づいて、解析用格子面Sの配置を補正する。
【0016】
[タイヤ解析方法]
従来より、タイヤ転動時におけるタイヤ形状を解析するための手法として、サンプリングモアレ法が知られている。
【0017】
サンプリングモアレ法は、デジタル画像からモアレ縞を生成して撮像対象の三次元形状を算出する数学的手法である。このサンプリングモアレ法は、高精度な形状解析を行い得るメリットを有する。
【0018】
タイヤ解析システム1は、サンプリングモアレ法を用いた形状解析を利用して、試験タイヤ10の振動(タイヤ中心軸に対する変位)を解析する。具体的には、図1に示すように試験タイヤ10のタイヤ周上に複数の解析用格子面S(S#1〜S#n)が円状に付される。このような試験タイヤ10を回転させながら撮影された画像に、サンプリングモアレ法を用いた形状解析を適用することにより、タイヤ転動時における解析用格子面Sの空間座標が算出される。こうして算出された空間座標を比較することにより、試験タイヤ10の振動を解析することができる。
【0019】
ただし、人間の貼り位置精度には限度があるため、試験タイヤ10に付される解析用格子面Sの配置にバラツキが生じることがある。図3は、解析用格子面Sの配置のバラツキの例を示す図である。図3は、解析用格子面S#1が所定位置にあるときのタイヤ画像における解析用格子面S#1の像と、解析用格子面S#2が所定位置にあるときのタイヤ画像における解析用格子面S#2の像とを並べて図示している。
【0020】
解析用格子面Sは、ほぼ同一形状のマークが周期性をもって配置されるシートである。解析用格子面Sには、縦方向および横方向に、それぞれ、少なくとも2個のマークが配置される。例えば、解析用格子面Sは、2.5[mm]間隔でマトリクス状に配列された複数の円形のマークを有する。マークの形状、サイズ、および間隔は、図3の例に限定されない。解析用格子面Sは、それぞれの解析用格子面Sの中心と試験タイヤ10とを結ぶ直線とマークの配置方向の一方とが平行になるように、ほぼ等間隔に、試験タイヤ10に付される。
【0021】
図3に示す例では、解析用格子面S#1の格子の中心C1と、解析用格子面S#2の格子の中心C2とには、Y方向ズレ(半径方向のズレ)が生じている。配置のバラツキは、Y方向だけでなく、X方向(周方向)やZ軸方向(幅方向)に生じることもある。配置のバラツキは、傾きの成分を含むこともある。このような配置のバラツキは、算出された空間座標の比較に影響を与え、比較に基づく解析の精度を低下させる。
【0022】
解析用格子面Sを試験タイヤ10のタイヤ周上に付すために、解析用格子面Sが、リム211、またはリム211の端部に取り付けられた環状盤212という変形が比較的小さい部分に固定されることがある。この場合、解析用格子面Sを試験タイヤ10のゴム部分に固定した場合と比較して、試験タイヤ10を回転させた場合におけるタイヤ中心軸に対する解析用格子面Sの変位は比較的小さい。このような小さな変位に基づいて精度の高い解析を行うには、解析用格子面Sの配置のバラツキの影響をできるだけ排除することが非常に重要である。
【0023】
そこで、タイヤ解析システム1は、解析用格子面Sの配置のバラツキを検出し、検出したバラツキに基づいて、算出される空間座標を補正する。
【0024】
図4は、タイヤ解析システム1による解析方法を示すフローチャートである。図5は、タイヤ解析システム1による解析方法によって得られる値の例を示す図である。
【0025】
ステップST1では、タイヤ試験機2が、タイヤ周上に複数の解析用格子面Sが付された試験タイヤ10を、荷重を負荷しない状態で回転させる。荷重を負荷せずに試験タイヤ10を回転させれば、試験タイヤ10に振動は生じない。
【0026】
この状態で、ステップST2では、撮像装置3が、一対のカメラ31、31を用いて、試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像する。具体的には、撮像装置3は、旋回している解析用格子面Sのそれぞれが所定の位置(例えば、試験タイヤ10と路面または路面を模した面とが接触する位置)に到達する度に撮影を行い、1対のタイヤ画像を取得する。
【0027】
このように複数のカメラで異なる角度から解析用格子面Sを撮影することにより、タイヤ幅方向(奥行き方向)の座標も計測することができる。さらに、複数のカメラを用いることにより、カメラのレンズの歪曲収差による測定誤差を補正することができる。
【0028】
ステップST3では、空間座標算出部41が、1対のタイヤ画像毎にサンプリングモアレ法を用いた形状解析を行い、画像中の解析用格子面Sの空間座標を算出する。そして、ステップST4では、バラツキ検出部42が、空間座標算出部41によって算出された空間座標に基づいて、それぞれの解析用格子面Sの配置のバラツキを検出する。
【0029】
本実施の形態では、空間座標算出部41は、図3に示したように、解析用格子面Sの格子の中心の座標に基づいて、Y方向ズレがバラツキとして検出される。図5に示す例では、空間座標算出部41によって算出された空間座標に基づいて、それぞれの解析用格子面Sの格子の中心のY座標が算出されている。そして、解析用格子面S#1の中心のY座標を基準としたY方向の配置のズレがY方向ズレとして算出されている。それぞれの解析用格子面Sの格子の中心のY座標は、複数の画像から算出されたY座標の平均値であってもよい。
【0030】
配置のバラツキの検出の仕方は、これに限定されない。空間座標算出部41は、X方向(周方向)、Z方向(幅方向)、または任意の方向のズレをバラツキとして検出してもよい。空間座標算出部41は、複数の方向のズレをバラツキとして検出してもよい。空間座標算出部41は、このような位置のズレに加えて、またはこれに代えて、傾きのバラツキを検出してもよい。
【0031】
配置のバラツキを検出する基準とする位置は、解析用格子面Sの格子の中心に限定されない。基準とする位置は、形状解析によって空間座標を高精度に算出できる位置であればよい。具体的には、格子1周期あたりの画素数が急に変化しないところであれば、解析用格子面Sの格子の内部の領域のうち、中心以外の位置を基準としてもよい。
【0032】
こうして配置のバラツキが検出された後、ステップST5では、タイヤ試験機2が、試験タイヤ10を、荷重を負荷した状態で回転させる。負荷する荷重は、解析の目的に応じて決定される。
【0033】
この状態で、ステップST6では、撮像装置3が、一対のカメラ31、31を用いて、試験タイヤ10に付された解析用格子面Sを左右方向から同時に撮像する。具体的には、撮像装置3は、旋回している解析用格子面Sのそれぞれが所定の位置(例えば、試験タイヤ10と路面または路面を模した面とが接触する位置)に到達する度に撮影を行い、1対のタイヤ画像を取得する。
【0034】
ステップST7では、空間座標算出部41が、1対のタイヤ画像毎にサンプリングモアレ法を用いた形状解析を行い、画像中の解析用格子面Sの空間座標を算出する。そして、ステップST8では、補正部44が、ステップST4で検出されたバラツキに基づいて、それぞれの解析用格子面Sの空間座標を補正する。
【0035】
図5に示す例では、ステップST3で算出された空間座標と、ステップST7で算出された空間座標とに基づいて、荷重を負荷した場合の格子の中心のY座標の変位を示す値が、解析用格子面S毎に算出されている。そして、変位を示す値から、ステップST4で算出されたY方向ズレを減算することによって、変位を示す値が補正されている。解析用格子面S#1の格子の中心のY座標の変位を示す値からは、解析用格子面S#1の格子の中心のY方向ズレが減算され、解析用格子面S#nの格子の中心のY座標の変位を示す値からは、解析用格子面S#nの格子の中心のY方向ズレが減算される。
【0036】
ステップST9では、補正後の解析用格子面Sの空間座標に基づいて、解析部43が所定の解析を行う。
【0037】
上記の実施の形態では、解析用格子面Sの空間座標を算出するためにサンプリングモアレ法を用いる例について説明した。しかしながら、解析用格子面Sの空間座標を算出する手法は、これに限定されない。タイヤ解析システム1は、サンプリングモアレ法以外の形状解析の手法を用いて、解析用格子面Sの空間座標を算出してもよい。サンプリングモアレ法以外の形状解析の手法には、例えば、フーリエ変換法、ディジタル画像相関法等が含まれる。
【0038】
上記の実施の形態では、タイヤ解析システム1による解析方法をタイヤの振動の解析に用いる例について説明した。しかしながら、タイヤ解析システム1による解析方法の適用可能な解析は、これに限定されない。タイヤ解析システム1による解析方法は、タイヤの変位または変形に関する任意の解析に適用することができる。
【0039】
上記の実施の形態では、撮像装置3が2つのカメラ31を有する例について説明したが、撮像装置3が有するカメラ31の数はこれに限定されない。例えば、撮像装置3が有するカメラ31の数は1つであってもよい。すなわち、タイヤ解析システム1は、1台の高速度カメラだけで撮像し、形状解析手法(サンプリングモアレ法、フーリエ変換法など)を用いて解析用格子面Sの空間座標を算出しても良い。
【0040】
[効果]
以上説明したように、タイヤ解析システム1は、タイヤに付された複数の格子パターンのそれぞれが所定の位置にあるときの画像を撮影する撮像装置3と、撮像装置3によって撮影された画像を用いて形状解析を行うことにより格子パターンの空間座標を算出する空間座標算出部41と、空間座標に基づいて格子パターンの配置のバラツキを検出するバラツキ検出部42と、バラツキに基づいて格子パターンの配置を補正する補正部44とを備える。
【0041】
空間座標算出部41は、例えば、サンプリングモアレ法により前記形状解析を行う。
【0042】
かかる構成では、形状解析に基づいて格子パターンの配置が精度よく補正されるので、高精度な解析が可能となる。
【0043】
図6および図7は、配置のバラツキの補正の効果を示す図である。図6は、補正前の解析用格子面Sの格子の中心のY座標の変動の例を示している。図7は、補正後の解析用格子面Sの格子の中心のY座標の変動の例を示している。図6が示すように、補正前のY座標の変動は、振幅が大きく、周期が短い。一方、図7が示すように、補正後のY座標の変動は、振幅が小さく、周期が長い。図7に示す例では、図6に示す例と比較して、変動の振幅が約80%低減されている。さらに、図7に示す例では、変動の周期と、試験タイヤ10の回転の周期とが一致している。このように、配置のバラツキの補正により、解析用格子面Sの貼り位置精度の影響がほぼ除去されている。
【0044】
また、撮像装置3は、格子パターンを異なる角度から撮影する複数のカメラを有し、空間座標算出部41は、複数のカメラによって同時に撮影された複数の画像を用いて形状解析を行うことにより格子パターンの空間座標を算出する。これにより、任意の方向への配置のバラツキを検出することができる。さらに、カメラのレンズの歪曲収差の影響を低減できる。
【0045】
また、バラツキ検出部42は、タイヤに荷重が付加されない状態で撮影された画像を用いて空間座標算出部41が算出した空間座標に基づいて、格子パターンの配置のバラツキを検出する。これにより、格子パターンの配置のバラツキを高精度に検出することができる。
【0046】
また、格子パターンは、第1の方向および第2の方向に、それぞれ、少なくとも2つのマークが配置されるパターンである。これにより、形状解析を用いて空間座標を高精度に算出することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:タイヤ解析システム、2:タイヤ試験機、21:支持装置、211:リム、212:環状盤、22:駆動装置、221:回転ドラム、222:モータ、223:モータ制御装置、3:撮像装置、31:カメラ、32:照明用ランプ、4:タイヤ解析装置、41:空間座標算出部、42:バラツキ検出部、43:解析部、44:補正部、10:試験タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7