特許第6040781号(P6040781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040781
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20161128BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20161128BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B62D5/04
   F16H25/22 Z
   F16H7/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-5087(P2013-5087)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2014-136467(P2014-136467A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 利浩
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−025246(JP,A)
【文献】 特開平05−281775(JP,A)
【文献】 特開2010−210083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
F16H 7/02
F16H 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

ハウジングと、このハウジングに軸方向に移動可能に設けられた転舵軸と、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、この電動モータの回転を前記転舵軸の軸方向の移動に変換するボールネジ機構と、前記電動モータの出力軸の回転を前記ボールネジ機構に回転伝達するプーリ機構とを備え、前記ボールネジ機構は、前記ハウジングに回転可能に支持されるボールナットと、転舵軸に設けたボールネジと、前記ボールナットおよび前記ボールネジ間に介挿されたボールとからなり、前記プーリ機構は、前記出力軸に取付けられ、第1直径を有する駆動プーリと、前記ボールナットと一体的に取付けられ、前記第1直径よりも大きな第2直径を有する従動プーリと、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに掛け渡され輪状のベルトとからなる電動パワーステアリング装置であって、前記ベルトは、前記駆動プーリおよび前記従動プーリのいずれにも掛け渡されていない状態では、前記第1直径を持つ第1円弧および前記第2直径を持つ第2円弧を有し、前記従動プーリに掛け渡されて前記駆動プーリには掛け渡されていない状態では、前記第2円弧の中心は前記従動プーリの回転軸線上に位置し、前記第1円弧の中心は前記駆動プーリの回転軸線上に位置することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】

前記ベルトが、ゴム製であり、ゴム製の内部に塑性変形可能な輪状の心線を有することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの回転をボールネジ機構によって転舵軸の直線運動に変換するようにした電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記電動パワーステアリング装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このものは、電動モータの出力軸の回転を、駆動プーリ、ベルトを介して従動プーリに伝え、従動プーリの回転を、ボールナット、ボール、ボールネジを介してラック軸の軸方向移動に変換している。
【0003】
ラックハウジングに転がり軸受を介して従動プーリおよびボールナットが回転可能に支持され、ラックハウジングに電動モータがラック軸と平行になるように取付けられている。ラックハウジングは、電動モータが取付けられる第2ハウジングと、転がり軸受を嵌合支持する第1ハウジングとからなり、第1ハウジングおよび第2ハウジングはボルトを介して互いに連結されている。第1ハウジングおよび第2ハウジングには、駆動プーリおよび従動プーリが回転し、ベルトが走行するための作動空間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−25246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動パワーステアリングの組み立ては、ボールネジに螺合しているボールナットの外周に転がり軸受を取付け、この転がり軸受を第1ハウジングの内周に嵌合させ、従動プーリにベルトを掛け、第1ハウジングおよび第2ハウジングを互いに嵌め合わせ、かかる状態でこれらをボルトによって一体的に連結し、駆動プーリをベルトに掛けるとともに電動モータを第2ハウジングに取付けることによってなされている。ベルトは、両側の半円を略直線で結ぶ陸上のトラック形状を有する。この半円は従動プーリの外径よりも大きい。このため、第1ハウジングおよび第2ハウジングを互いに嵌め合わせるときに、ベルトが第2ハウジングに引っ掛かったり、駆動プールをベルトに掛けるときに駆動プーリがベルトに引っ掛かったりして組付け作業性が悪い問題があった。本発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ベルトの組付け作業性を改善した電動パワーステアリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】

上記課題を解決する電動パワーステアリング装置は、ハウジングと、このハウジングに軸方向に移動可能に設けられた転舵軸と、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、この電動モータの回転を前記転舵軸の軸方向の移動に変換するボールネジ機構と、前記電動モータの出力軸の回転を前記ボールネジ機構に回転伝達するプーリ機構とを備え、前記ボールネジ機構は、前記ハウジングに回転可能に支持されるボールナットと、転舵軸に設けたボールネジと、前記ボールナットおよび前記ボールネジ間に介挿されたボールとからなり、前記プーリ機構は、前記出力軸に取付けられ、第1直径を有する駆動プーリと、前記ボールナットと一体的に取付けられ、前記第1直径よりも大きな第2直径を有する従動プーリと、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに掛け渡され輪状のベルトとからなる電動パワーステアリング装置であって、前記ベルトは、前記駆動プーリおよび前記従動プーリのいずれにも掛け渡されていない状態では、前記第1直径を持つ第1円弧および前記第2直径を持つ第2円弧を有し、前記従動プーリに掛け渡されて前記駆動プーリには掛け渡されていない状態では、前記第2円弧の中心は前記従動プーリの回転軸線上に位置し、前記第1円弧の中心は前記駆動プーリの回転軸線上に位置することを特徴とするものである。

請求項2の電動パワーステアリング装置は、前記ベルトが、ゴム製であり、ゴム製の内部に塑性変形可能な輪状の心線を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ベルトの組付け作業性を改善した電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の全体図。
図2】本発明の一実施形態にかかる図1のA矢視図。
図3】本発明の一実施形態にかかる図1のB−B線断面図。
図4】本発明の一実施形態にかかる図1相当の電動モータ取付け状態図。
図5】本発明の一実施形態にかかる図1相当の第1ハウジングおよび第2ハウジングの嵌め合わせ前の状態図。
図6】本発明の一実施形態にかかる図5のC矢視図。
図7】本発明の一実施形態にかかる図5のD矢視図。
図8】本発明の一実施形態にかかるベルト形状形成治具の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について、図1乃至図5を参酌しつつ説明する。図1は電動パワーステアリング装置の全体図であり、図2図1のA矢視図であり、図3図1のB−B線断面図であり、図4図1相当の電動モータ取付け状態図であり、図5図1相当の第1ハウジングおよび第2ハウジングの嵌め合わせ前の状態図であり、図6図5のC矢視図であり、図7図5のD矢視図であり、図8はベルト形状形成治具の断面図である。
【0010】
電動パワーステアリング装置は、図1に示すようにピニオンシャフト13の回転をラック軸14の軸方向の移動に変換するラックアンドピニオン機構10と、ハンドルの操舵をアシストする電動モータ30と、電動モータ30の回転を伝達するプーリ機構20と、プーリ機構20によって伝達された回転をラック軸14の軸方向の移動に変換するボールネジ機構40とを有する。
【0011】
ラックアンドピニオン機構10は、ギヤハウジング11と、ギヤハウジング11に対し交差する方向に延びるラックハウジング12と、ギヤハウジング11に回転可能に支持されたピニオンシャフト13と、ラックハウジング12の挿通穴12cに挿通されるラック軸14とを有する。ピニオンシャフト13にはピニオンギヤ13aが形成され、ラック軸14にはラックギヤ14aが形成されている。ピニオンギヤ13aおよびラックギヤ14aは互いに噛合している。ラックアンドピニオン機構10は、ピニオンシャフト13の回転をラック軸14の軸方向の移動に変換する機能を有している。
【0012】
ピニオンシャフト13の一端には、図略のステアリングシャフトを介してハンドルが回転連結されている。ラック軸14の両端には、図示しないボールジョイントを介して操舵輪が連結されている。
【0013】
図1および図3に示すようにプーリ機構20は、電動モータ30の出力軸に取付けられた駆動プーリ22と、ラック軸14上に配置された従動プーリ23と、駆動プーリ22および従動プーリ23に掛け渡されたベルト24とを有する。プーリ機構20は、電動モータ30の回転を減速してボールナット42に伝える機能を有する。従動プーリ23は、ボールナット42、一対のラジアル軸受32を介してラックハウジング12に回転可能に支持されている。駆動プーリ22および従動プーリ23の外周には複数の外歯が形成され、ベルト24の内周には前記外歯に噛み合う内歯が形成されている。駆動プーリ22の外歯のピッチ円を小径の第1直径とし、従動プーリ23の外歯のピッチ円を大径の第2直径とする。
【0014】
ベルト24は、従動プーリ23に掛ける前は、第1直径を持つ第1円弧24aおよび第2直径を持つ第2円弧24bを有し、従動プーリ23にベルト24の第2円弧24bを掛け渡したときには、図5および図6に示すように第2円弧24bの中心は従動プーリ23の回転軸線上に位置し、第1円弧24aの中心は駆動プーリ22の回転軸線上に位置する。第1円弧24aの内歯のピッチ円は第1直径を有し、第2円弧24bの内歯のピッチ円は第2直径を有する。ベルト24は、ゴム製で、ゴム製の内部に複数のグラスファイバー製で輪状の心線を有する。図示しない心線は、従動プーリ23の軸線方向に等間隔に並べられている。
【0015】
ベルト24は、従動プーリ23に掛ける前は、図8に示すベルト形状形成治具70に掛けられる。ベルト形状形成治具70は、小径プーリ71と、大径プーリ72と、小径プーリ71および大径プーリ72を連結する連結板73と、連結板73の一端を小径プーリ71に取付ける調整ボルト74と、連結板73の他端を大径プーリ72に取付ける連結ボルト75とからなっている。連結ボルト75は連結板73の挿通穴77に挿通され、大径プーリ72に螺合されている。調整ボルト74は連結板73の調整穴76に挿通され、小径プーリ71に螺合されている。調整穴76は長穴形状に形成され、調整ボルト74を緩めると小径プーリ71を大径プーリ72に対して接近離間させることができる。
【0016】
小径プーリ71を大径プーリ72に接近させ、調整ボルト74を締め付けると、大径プーリ72および小径プーリ71からベルト24を取り外し、取付けが可能となり、小径プーリ71を大径プーリ72に対して離間させ、ベルト24にテンションをかけると、ベルト24を所定の形状に形成することが可能となる。ゴムおよび心線が塑性変形し、形状を記憶することによって、第1円弧24aおよび第2円弧24bが形作られる。
【0017】
図3および図8に示すように、ベルト24を所定の形状に形成するときの小径プーリ71および大径プーリ72間の距離は、従動プーリ23および駆動プーリ22間の距離に等しい。大径プーリ72は、従動プーリ23と同数の複数の外歯を有し、大径プーリ72の外歯のピッチ円は、従動プーリ23の外歯のピッチ円と等しく、第2直径を持つ。大径プーリ72は、従動プーリ23と同一の断面形状を有し、複数のベルト24を同時に掛けられるように、従動プーリ23に比べて軸方向に長い。小径プーリ71は、駆動プーリ22と同数の複数の外歯を有し、小径プーリ71の外歯のピッチ円は、駆動プーリ22の外歯のピッチ円と等しく、第1直径を持つ。小径プーリ71は、駆動プーリ22と同一の断面形状を有し、複数のベルト24を同時に掛けられるように、駆動プーリ22に比べて軸方向に長い。
【0018】
図1に示すようにボールネジ機構40は、ラックハウジング12に一対のラジアル軸受32を介して回転可能に支持されたボールナット42と、ラック軸14の外周に形成されたボールネジ41と、ボールナット42およびボールネジ41間に介挿されたボール43とを有する。ボール43は、ボールナット42の一端で内周側へ移動し、ボールネジ41上を転動し、ボールナット42の他端で外周側へ移動し、図略の戻し通路を経てボールナット42の一端側へ戻されるようになっている。ボールネジ機構40は、電動モータ30の回転をラック軸14の軸方向の移動に変換する機能を有する。
【0019】
一対のラジアル軸受32の内輪は、軸方向において後述するボールナット42のフランジ部および止め輪46間で挟み込まれている。一対のラジアル軸受32の外輪は、後述する第1ハウジング12aの内周に嵌合され、第1ハウジング12aの段部および後述する第2ハウジング12bの端面によって軸方向に挟み込まれている。
【0020】
ボールナット42に外周には、一対のラジアル軸受32が嵌合されるとともに従動プーリ23が螺着され、軸方向の一側に設けた環状溝に止め輪46が嵌め込まれている。ボールナット42の軸方向の他側には、外径方向に突出したフランジ部が形成され、フランジ部に一対のラジアル軸受32の内輪が当接することによって従動プーリ23の軸方向の他側への移動が拘束される。すなわち、フランジ部および止め輪46によって一対のラジアル軸受32および従動プーリ23は軸方向に挟み込まれるような形で拘束されている。
【0021】
ラックハウジング12は、ギヤハウジング11と一体形成された鋳物製である。ラックハウジング12は、ギヤハウジング11と反対側の第1ハウジング12aと、ギヤハウジング11側の第2ハウジング12bとからなり、ボルト16を介して互いに連結されている。第1ハウジング12aにはボルト16が挿通される挿通穴12jが形成され、第2ハウジング12bにはボルト16が螺合されるネジ穴12fが形成されている。第1ハウジング12aおよび第2ハウジング12bは、端面同士が互いに密接し、第1ハウジング12aの内周に第2ハウジング12bの一部が嵌合されている。第1ハウジング12aおよび第2ハウジング12bによって内部には作動空間12hが形成されている。作動空間12h内を駆動プーリ22および従動プーリ23が回転し、ベルト24が走行する。
【0022】
第2ハウジング12bには外部から作動空間12h内へ駆動プーリ22を挿入する挿入穴12mが形成されている。第1ハウジング12aには外部から作動空間12hを覗く覗き穴12kが形成されている。挿入穴12mおよび覗き穴12kは、ラック軸14の軸方向に貫通している。覗き穴12kは、ベルト24に駆動プーリ22を掛けるときに覗く穴である。ベルト24に駆動プーリ22を掛けた後は、閉塞するために覗き穴12kにキャップ80が嵌め込まれる。
【0023】
第2ハウジング12bにはボルト15を介して電動モータ30が取付けられている。第2ハウジング12bにはボルト15を挿通する挿通穴12dが形成され、電動モータ30にはボルト15が螺合される図略のネジ穴が形成されている。挿通穴12dは、ラック軸14に対し接近離間する方向に延びる長穴形状に形成されており、長穴の範囲でボルト15を移動させることによってベルト24のテンションを調整できる。
【0024】
図3に示すように一対のラジアル軸受32の軸方向の両側には、第1スペーサ44および第2スペーサ45が配置され、これらは第1ハウジング12aの内周に嵌合されている。第1スペーサ44、一対のラジアル軸受32および第2スペーサ45は、第1ハウジング12aの段部および第2ハウジング12bの端面によって軸方向に挟み込まれている。第1スペーサ44および一対のラジアル軸受32間には、図示しない皿バネが介挿され、一対のラジアル軸受32および第2スペーサ45間には、図示しない皿バネが介挿されている。
【0025】
次に上述した構成にもとづいて組付け動作を説明する。
【0026】
前準備としてベルト24を所定形状に形成する。この作業手順を説明する。図8に示すように調整ボルト74を緩め、小径プーリ71を大径プーリ72に接近させ、大径プーリ72に複数のベルト24を掛け、小径プーリ71を大径プーリ72に対して離間させ、小径プーリ71にもベルト24を掛け、複数のベルト24に同時にテンションを多少かけた状態で調整ボルト74を完全に締め付ける。この状態で塑性変形するまで放置する。
【0027】
組付け開始前に、調整ボルト74を緩め、小径プーリ71を大径プーリ72に対して接近させ、調整ボルト74を締めていつでもベルト24を取り外せる状態にして置く。
【0028】
ギヤハウジング11にピニオンシャフト13を組付け、ラック軸14にボール43を介してボールナット42を螺合させる。ボールナット42に一対のラジアル軸受32を嵌合し、ボールナット42に従動プーリ23を螺合させる。従動プーリ23の緩み止めとして、ボールナット42の環状溝に止め輪46を嵌める。
【0029】
ボールナット42、ラック軸14および従動プーリ23等を組付けた一対のラジアル軸受32を、第1ハウジング12aの内周に嵌合させる。一対のラジアル軸受32を第1ハウジング12aに嵌合させる前に、第1ハウジング12aに第1スペーサ44を嵌合させ、一対のラジアル軸受32を第1ハウジング12aに嵌合させた後に、第1ハウジング12aに第2スペーサ45を嵌合させる。
【0030】
ベルト形状形成治具70からベルト24を外し、従動プーリ23にベルト24の第2円弧24bを掛ける。ボールナット42、一対のラジアル軸受32および従動プーリ23等を組付けたラック軸14を、第2ハウジング12bの挿通穴12cに挿通し、ピニオンギヤ13aにラックギヤ14aを噛合させる(図5図6)。
【0031】
第1ハウジング12aの内周に第2ハウジング12bの一部を嵌合させ、第1ハウジング12aの端面および第2ハウジング12bの端面を互いに密接させ、第1スペーサ44、一対のラジアル軸受32および第2スペーサ45を、第1ハウジング12aの段部および第2ハウジング12bの端面によって軸方向に挟み込んだ状態で、第1ハウジング12aおよび第2ハウジング12bをボルト16で連結する。
【0032】
第1ハウジング12aの内周に第2ハウジング12bの一部を嵌合させるときに、ベルト24は第2ハウジング12bの内周側に位置するので、ベルト24に第2ハウジング12bが干渉することがない。
【0033】
駆動プーリ22は電動モータ30の出力軸に予め取付けられており、電動モータ30と一体の駆動プーリ22を挿入穴12mから作動空間12hに挿入し、ベルト24に駆動プーリ22を掛ける。このとき、作業者は覗き穴12kから作動空間12hを覗き、ベルト24の内周側に駆動プーリ22が入ったのを確認する(図4)。
【0034】
ベルト24に駆動プーリ22を掛けるときに、第1円弧24aの中心がこれから取付けられる駆動プーリ22の回転中心に位置し、第1円弧24aの内歯のピッチ円の直径(第1直径)が、駆動プーリの外歯のピッチ円の直径(第1直径)に等しいので、駆動プーリ22はベルト24に干渉しないで簡単にベルト24に掛けることができる。
【0035】
ボルト15を挿通穴12dに挿通して電動モータ30に螺合させる。ボルト15を完全に締めていない状態で、挿通穴12dに沿って駆動プーリ22および電動モータ30を従動プーリ23から離間する方向へ移動させ、離間する方向に力を加える。離間する方向に力を加えると、ベルト24にテンションがかかる。所定のテンションとなったら、離間する方向に加える力を維持したままボルト15を完全に締め付ける。覗き穴12kにキャップ80を嵌めて組付けが完了する(図1図2)。
【0036】
続いてこのように組み付けられた電動パワーステリング装置の動作を説明する。
【0037】
ハンドルを操作すると、ピニオンシャフト13が回転し、ラックアンドピニオン機構10によってピニオンシャフト13の回転はラック軸14の軸方向の移動に変換される。ピニオンシャフト13に加えられるハンドルトルクを図略のセンサで感知し、ハンドルトルクに応じた駆動電流を電動モータ30に印加する。
【0038】
電動モータ30の出力軸の回転は、駆動プーリ22、ベルト24および従動プーリ23を介してボールナット42に伝達される。ボールネジ機構40によって、ボールナット42の回転はラック軸14の軸方向の移動に変換される。こうして、ハンドルトルクに応じたパワーアシストがラック軸14に加えられる。
【0039】
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0040】
上述した実施形態は、ベルト形状形成治具70からベルト24が外した時点で、ベルト24の第1円弧24aのピッチ円が、駆動プーリ22のピッチ円と同じ第1直径を有した。他の実施形態として、ベルト24の第1円弧24aのピッチ円は、駆動プーリ22のピッチ円よりも若干大きくても良い。
【0041】
上述した実施形態は、ベルト形状形成治具70からベルト24を外した時点で、ベルト24の第2円弧24bのピッチ円が、従動プーリ23のピッチ円と同じ第2直径を有した。他の実施形態として、ベルト24の第2円弧24bのピッチ円は、従動プーリ23のピッチ円よりも若干大きくても良い。
【符号の説明】
【0042】
12:ラックハウジング(ハウジング)、14:ラック軸(転舵軸)、20:プーリ機構、22:駆動プーリ、23:従動プーリ、24:ベルト、24a:第1円弧、24b:第2円弧、30:電動モータ、40:ボールネジ機構、41:ボールネジ、42:ボールナット、43:ボール、60:玉軸受(転がり軸受)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8