特許第6040801号(P6040801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6040801半導体集積回路装置およびスイッチングレギュレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040801
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置およびスイッチングレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20161128BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H02M3/155 C
   H03K17/08 C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-31268(P2013-31268)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-161183(P2014-161183A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】荒内 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】安井 清
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5867014(US,A)
【文献】 特許第3841083(JP,B2)
【文献】 特開2009−206119(JP,A)
【文献】 特開2007−218671(JP,A)
【文献】 特開2007−020315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00−3/44
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電圧を入力する入力端子と、出力電圧を出力する出力端子と、前記入力端子と前記出力端子の間に接続された絶縁ゲート型パワーFETと、前記絶縁ゲート型パワーFETの動作を制御する制御論理回路と、前記絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流を監視し所定値以上の過電流の発生を検出したとき検出信号を前記制御論理回路に伝達するように構成された過電流検出回路部と、を含む半導体集積回路装置であって、
前記過電流検出回路部は、前記絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流に応じた電圧を出力する測定回路と、バイアス電圧生成回路と、基準電圧回路と、スイッチ回路と、比較回路と、を含み、
前記半導体集積回路装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板に形成され互いに分離して配置された複数の第2導電型のウエル領域と、前記ウエル領域のそれぞれに形成された、第1導電型のソース・ドレイン領域と前記ソース・ドレイン領域間に配置された絶縁ゲート電極と前記ソース領域を対応するウエル領域に接続する導電手段とで構成される絶縁ゲート型FETと、を少なくとも含み、
前記基準電圧回路は、前記半導体基板に形成された前記複数の絶縁ゲート型FETで構成され、最上段の絶縁ゲート型FETのソース領域を前記入力端子に、ドレイン領域を次段のソース領域に、次段の絶縁ゲート型FETのドレイン領域を次次段のソース領域にとそれぞれ電気的に接続することで前記複数の絶縁ゲート型FETが直列に接続され、前記複数の絶縁ゲート型FETのゲート電極のそれぞれは前記バイアス電圧生成回路から出力されるバイアス電圧によって導通状態に維持され、前記複数の絶縁ゲート型FETのオン抵抗の合成値とこれらの絶縁ゲート型FETに流れる電流値によって決定される基準電圧を生成するように構成されており、
前記比較回路は、一方の入力ノードに前記基準電圧が入力され、他方の入力ノードに前記測定回路から出力される電圧が入力され、その比較結果に応じた信号を前記制御論理回路に伝達するように接続されており、
前記スイッチ回路は、前記基準電圧回路と前記比較回路の間に接続され、前記絶縁ゲート型パワーFETが導通の期間同時に導通とされて前記基準電圧を前記比較回路に伝達し、前記絶縁ゲート型パワーFETが非導通の期間非導通とされ前記比較回路への前記基準電圧の供給を遮断する構成となっており、
前記基準電圧回路と前記比較回路の接続は前記スイッチ回路によって選択的に行われるが、前記スイッチ回路が非導通の期間においても前記基準電圧回路を構成する前記複数の絶縁ゲート型FETは前記バイアス電圧によって導通状態に維持される構成の半導体集積回路装置。
【請求項2】
スイッチングレギュレータを内蔵する半導体集積回路装置であって、
前記半導体集積回路装置は、内部機能ブロック部と、前記内部機能ブロックに電力を供給するスイッチングレギュレータ部を含み、
前記スイッチングレギュレータ部は、外部電源が接続される入力端子と、前記内部機能ブロックに電力を供給する出力ノードと、前記入力端子と前記出力ノードの間に接続された絶縁ゲート型パワーFETと、前記絶縁ゲート型パワーFETの動作を制御する制御論理回路と、前記絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流を監視し所定値以上の過電流の発生を検出したとき検出信号を前記制御論理回路に伝達するように構成された過電流検出回路部と、を含み、さらに第1導電型の半導体基板領域と、前記半導体基板領域に形成され互いに分離して配置されたN個(N≧3)の第2導電型のウエル領域と、前記ウエル領域のそれぞれに形成された、第1導電型のソース・ドレイン領域と前記ソース・ドレイン領域間に配置された絶縁ゲート電極と前記ソース領域を対応するウエル領域に接続する導電手段とで構成される絶縁ゲート型FETと、を少なくとも含み、
前記過電流検出回路部は、前記絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流に応じた電圧を出力する測定回路と、バイアス電圧生成回路と、基準電圧回路と、スイッチ回路と、比較回路と、を含み、
前記基準電圧回路は、最上段の絶縁ゲート型FETのソース領域を前記入力端子に、ドレイン領域を次段のソース領域に、次段の絶縁ゲート型FETのドレイン領域を次次段のソース領域にとそれぞれ電気的に接続することで直列に接続されたN−1個の前記絶縁ゲート型FETで構成されており、前記N−1個の絶縁ゲート型FETのゲート電極のそれぞれは前記バイアス電圧生成回路から出力されるバイアス電圧によって導通状態に維持され、前記N−1個の絶縁ゲート型FETのオン抵抗の合成値とこれらの絶縁ゲート型FETに流れる電流値によって決定される基準電圧を生成するように構成されており、
前記スイッチ回路は、他の一個の前記ウエル領域に形成された前記絶縁ゲート型FETで構成され、ソース領域が前記基準電圧回路の最下段の絶縁ゲート型FETのドレイン領域に接続され、ドレイン領域が前記比較回路の一方の入力ノードに接続され、ゲート電極には前記パワーFETが導通とされる期間に導通となる制御電圧が印加されるように接続されており、
前記比較回路は、一方の入力ノードに前記スイッチ回路から伝達される前記基準電圧が入力され、他方の入力ノードに前記測定回路から伝達される電位が入力され、その比較結果に応じた信号を前記制御論理回路に伝達するように接続されており、
前記絶縁ゲート型パワーFETが非導通の期間、前記スイッチ回路を構成する前記絶縁ゲート型FETも非導通となり前記比較回路への前記基準電圧の供給が遮断されるが、前記絶縁ゲート型FETが非導通の期間においても前記基準電圧回路を構成する前記N−1個の前記絶縁ゲート型FETは前記バイアス電圧によって導通状態に維持される構成の半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体集積回路装置において、
前記ウエル領域に形成された前記絶縁ゲート型FETのそれぞれは、前記絶縁ゲート型パワーFETに対応する高耐圧特性を備える、半導体集積回路装置。
【請求項4】
基準電圧発生回路と、基準電圧を基にして比較を行う比較回路と、スイッチ回路と、を具備し、
前記基準電圧発生回路は、1個の半導体基板に形成され、第1導電型の半導体基板領域と、前記半導体基板領域上に形成され互いに分離して配置された複数の第2導電型の領域と、前記第2導電型の領域のそれぞれに形成された第1導電型のドレイン領域およびソース領域を有し、それぞれのソースとドレイン間のチャンネルが直列となるように直列接続された複数の第1MISFETで構成され、前記複数の第1MISFETのゲートのそれぞれには、前記複数の第1MISFETのそれぞれのチャンネルを導通状態に維持するバイアスが印加され、前記複数の第1MISFETのオン抵抗の合成値とこれらの複数の第1MISFETに流れる電流値によって決定される基準電圧を生成するように構成されており、
前記スイッチ回路は前記基準電圧発生回路を選択的に前記比較回路に接続するように構成されており、
前記スイッチ回路が非導通の期間においても前記基準電圧発生回路を構成する前記複数の第1MISFETのチャンネルを導通状態に維持し、前記基準電圧発生回路の前記比較回路への接続を前記スイッチ回路によって選択的に制御する構成の半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路装置において、
前記基準電圧発生回路が前記比較回路と電気的に分離されているときにおいても、前記複数の第1MISFETのそれぞれのチャンネルを導通状態に維持するバイアス電圧を、前記複数の第1MISFETのゲートに供給する、半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体集積回路装置において、
出力端子と、
前記半導体基板に形成され、入力信号に従って、前記出力端子に電流を供給するパワーMISFETと、
前記出力端子に供給される電流に比例した測定電圧を形成し、前記比較回路へ供給する測定回路と、
前記比較回路からの出力によって、前記入力信号を制限する制御回路と、
をさらに具備し、
前記スイッチ回路は、前記パワーMISFETの動作時に前記基準電圧発生回路を前記比較回路に接続し、前記パワーMISFETの非動作時には、前記比較回路を前記基準電圧発生回路から電気的に分離する、半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体集積回路装置において、
前記測定回路は、前記半導体基板に形成され、前記入力信号に従って動作する第2MISFETを具備する、半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路装置において、
前記スイッチ回路は、直列接続された前記複数の第1MISFETと前記比較回路との間に接続された第3MISFETを具備する、半導体集積回路装置。
【請求項9】
外部電圧を入力する入力端子と、出力電圧を出力する出力端子と、前記入力端子と前記出力端子の間に接続された絶縁ゲート型パワーFETと、前記絶縁ゲート型パワーFETの動作を制御する制御論理回路と、前記絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流を監視し所定値以上の過電流の発生を検出したとき検出信号を前記制御論理回路に伝達するように構成された過電流検出回路部と、を含むスイッチングレギュレータであって、
前記過電流検出回路部は、前記絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流に応じた電圧を出力する測定回路と、バイアス電圧生成回路と、基準電圧回路と、スイッチ回路と、比較回路と、を含み、
前記スイッチングレギュレータは、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板に形成され互いに分離して配置された複数の第2導電型のウエル領域と、前記ウエル領域のそれぞれに形成された、第1導電型のソース・ドレイン領域と前記ソース・ドレイン領域間に配置された絶縁ゲート電極と前記ソース領域を対応するウエル領域に接続する導電手段とで構成される絶縁ゲート型FETと、を少なくとも含み、
前記基準電圧回路は、前記半導体基板に形成された前記複数の絶縁ゲート型FETで構成され、最上段の絶縁ゲート型FETのソース領域を前記入力端子に、ドレイン領域を次段のソース領域に、次段の絶縁ゲート型FETのドレイン領域を次次段のソース領域にとそれぞれ電気的に接続することで前記複数の絶縁ゲート型FETが直列に接続され、前記複数の絶縁ゲート型FETのゲート電極のそれぞれは前記バイアス電圧生成回路から出力されるバイアス電圧によって導通状態に維持され、前記複数の絶縁ゲート型FETのオン抵抗の合成値とこれらの絶縁ゲート型FETに流れる電流値によって決定される基準電圧を生成するように構成されており、
前記比較回路は、一方の入力ノードに前記基準電圧が入力され、他方の入力ノードに前記測定回路から出力される電圧が入力され、その比較結果に応じた信号を前記制御論理回路に伝達するように接続されており、
前記スイッチ回路は、前記基準電圧回路と前記比較回路の間に接続され、前記絶縁ゲート型パワーFETが導通の期間導通となり、前記基準電圧を前記比較回路に伝達し、前記絶縁ゲート型パワーFETが非導通の期間非導通となり、前記比較回路への前記基準電圧の供給を遮断する構成となっており、
前記基準電圧回路と前記比較回路の接続は前記スイッチ回路によって選択的に行われるが、前記スイッチ回路が非導通の期間においても前記基準電圧回路を構成する前記複数の絶縁ゲート型FETはバイアス電圧によって導通状態に維持される構成のスイッチングレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置およびスイッチングレギュレータに関し、特にスイッチングレギュレータを内蔵した半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3841083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチングレギュレータを内蔵する半導体集積回路装置は、半導体集積回路装置の外部に設けられたコイルに、時間的に変化する電流を供給するパワーMISFET(絶縁ゲート電界効果型トランジスタ)を有している。スイッチングレギュレータにより所望の電圧を形成するためには、パワーMISFETにより供給する電流を比較的大きくする必要が生じる。この電流により、パワーMISFETが破壊されてしまうのを防ぐために、スイッチングレギュレータには、パワーMISFETに流れる電流を検出する過電流検出回路が設けられる。過電流検出回路では、パワーMISFETに流れる電流に応じた電圧と基準電圧との比較を比較回路で行い、過電流を判定する。基準電圧を発生する基準電圧発生回路での消費電力が大きいと、スイッチングレギュレータを内蔵した半導体集積回路装置の消費電力も大きくなってしまう。
【0005】
特許文献1には、その図6に電源回路が示されている。しかしながら、基準電圧発生回路の低消費電力化については、意識されていない。
【0006】
本発明の目的は、低消費電力化が可能な基準電圧発生回路を内蔵した半導体集積回路装置を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
すなわち、本発明による半導体集積回路装置は、内部機能ブロック部(マイクロコントローラやアプリケーション機能を実現する機能ブロック)と、内部機能ブロックに電力を供給するスイッチングレギュレータ部を含み、上記スイッチングレギュレータ部は、外部電源が接続される入力端子と、内部機能ブロックに電力を供給する出力ノードと、入力端子と出力ノードの間に接続されたパワーMISFET(以下、絶縁ゲート型パワーFETあるいはパワーFETと称する)と、上記パワーFETの動作を制御する制御論理回路と、絶縁ゲート型パワーFETに流れる電流を監視し所定値以上の過電流の発生を検出したとき検出信号を制御論理回路に伝達するように構成された過電流検出回路部と、を含む。
【0010】
さらに上記半導体集積回路装置は、第1導電型の半導体基板領域と、上記半導体基板領域に形成され互いに分離して配置されたN個の第2導電型のウエル領域と、ウエル領域のそれぞれに形成された、第1導電型のソース・ドレイン領域とソース・ドレイン領域間に配置された絶縁ゲート電極とソース領域を対応するウエル領域に接続する導電手段とで構成される絶縁ゲート型FETとを含むように構成される。
【0011】
上記過電流検出回路部は、基準電圧発生回路(以下、基準電圧回路とも称する)とスイッチ回路を具備する。上記基準電圧回路は、最上段の絶縁ゲート型FET(絶縁ゲート電界効果型トランジスタ)のソース領域を上記外部電源入力端子に、ドレイン領域を次段のソース領域に、次段の絶縁ゲート型FETのドレイン領域を次次段のソース領域にとそれぞれ電気的に接続することで直列に接続されたN−1個の絶縁ゲート型FETで構成され、N−1個の絶縁ゲート型FETのゲート電極のそれぞれはバイアス電圧生成回路から出力されるバイアス電圧によって導通状態に維持され、N−1個の絶縁ゲート型FETのオン抵抗の合成値とこれらの絶縁ゲート型FETに流れる電流値によって決定される基準電圧を生成するように構成される。
【0012】
前記スイッチ回路は、他の一個の上記ウエル領域に形成された絶縁ゲート型FETで構成され、ソース領域が基準電圧回路の最下段の絶縁ゲート型FETのドレイン領域に接続され、ドレイン領域が比較回路の一方の入力ノードに接続され、ゲート電極にはパワーFETが導通とされるとき同時に導通となる制御電圧が印加されるように接続される。
【0013】
上記比較回路は、一方の入力ノードに上記スイッチ回路から伝達される基準電圧が入力され、他方の入力ノードに測定回路から伝達される電位が入力され、その比較結果に応じた信号を制御論理回路に伝達するように接続される。
【0014】
以上の構成によりパワーFETが非導通の期間、上記スイッチ回路を構成する上記絶縁ゲート型FETも非導通となり上記比較回路への上記基準電圧の供給が遮断されるが、上記スイッチ回路が非導通の期間においても上記基準電圧回路を構成する上記N−1個の上記絶縁ゲート型FETは上記バイアス電圧によって導通状態に維持される構成となっている。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
低消費電力化が可能な基準電圧発生回路を内蔵した半導体集積回路装置を提供することができる。
【0017】
また、スイッチ回路を構成する絶縁ゲート型FETが非導通の状態においても、基準電圧回路を構成する絶縁ゲート型FETのチャンネルは導通状態とされるので寄生バイポーラトランジスタが動作することを防ぐことが可能となり、これにより寄生バイポーラトランジスタに起因する消費電力の増大を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態に係わる半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態に係わる過電流検出回路の回路図である。
図3】本発明を説明するための半導体集積回路装置の断面図である。
図4】本発明を説明するための等価回路図である。
図5】本発明を説明するための半導体集積回路装置の断面図である。
図6】本発明を説明するための等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態による半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、1は、半導体集積回路装置であり、外部端子FB、PIN、およびOUT(出力端子とも称する)を有している。半導体集積回路装置1においては、1個の半導体チップに、スイッチングレギュレータを含む複数の回路ブロックが形成されているが、同図には図面の複雑化を避けるために、スイッチングレギュレータに関するブロックのみが示されている。スイッチングレギュレータは、パワーMISFET2、3、ドライバー回路4、5、出力段制御論理回路7、過電流検出回路6を有している。また、スイッチングレギュレータは、過電圧検出回路10、PWM(パルス幅変調)比較回路9、発振回路8、エラーアンプ11、基準電圧発生回路12、抵抗素子13、14を有している。図1において、Lは、半導体集積回路装置1の外部に設けられたコイルであり、Cは半導体集積回路装置1の外部に設けられた容量素子である。
【0022】
本明細書では、MISFETの例として絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(以下、MOSFETと称する)を用いた例を示す。従って、以下の説明では、例えばパワーMISFET2、3はMOSFET2、3として説明する。パワーMOSFET2は、外部端子PINに接続されたソース、出力端子OUTに接続されたドレインおよびドライバー回路4からの入力信号を受けるゲートを有するPチャンネル型MOSFETである。また、パワーMOSFET3は、接地電圧(本明細書では半導体集積回路装置を動作させる際の基準電位配線路または中性点となる配線路の電圧をいう。以下単に「接地電圧」という。外部端子PINに印加される外部電圧は当該基準電位配線路を基準として印加される。)が印加されるソース、出力端子OUTに接続されたドレインおよびドライバー回路5からの入力信号を受けるゲートを有するNチャンネル型MOSFETである。言い換えるならば、Pチャンネル型MOSFET2のソース・ドレイン経路は、外部端子PINと出力端子OUTとの間に接続され、Nチャンネル型MOSFET3のソース・ドレイン経路は出力端子OUTと接地電圧との間に接続されていると見なすことができる。
【0023】
外部端子PINには、外部電圧が印加され、Pチャンネル型MOSFET2、Nチャンネル型MOSFET3は、ドライバー回路4、5により、相補的にオン/オフ制御される。これにより、出力端子OUTには、外部端子PINからの電流と接地電圧への電流とが交互に供給される。コイルLには、出力端子OUTからの電流と出力端子OUTへの電流が交互に流れることにより、逆起電圧が形成され、形成された逆起電圧が出力電圧Voutとなる。なお、容量素子Cは、出力電圧Voutに乗るリップルを低減するために設けられている。
【0024】
出力電圧Voutは、外部端子FBに供給される。外部端子FBには、該外部端子と接地電圧との間に直接接続された抵抗素子13、14が設けられている。抵抗素子13、14は、直列接続されることにより、外部端子FBに供給される出力電圧Voutを、抵抗素子13、14との抵抗値に従った分圧電圧を形成する。形成された分圧電圧は、エラーアンプ11の正入力端子(+)に供給される。エラーアンプ11の負入力端子(−)には、基準電圧発生回路12により形成された基準電圧が供給される。これにより、エラーアンプ11は、基準電圧発生回路12により形成された基準電圧と分圧電圧との電圧差に従った出力信号を形成する。エラーアンプ11の出力信号は、PWM比較回路9の正入力端子(+)に供給される。PWM比較回路9の負入力端子(−)には、発振回路8により形成された発振信号が供給される。
【0025】
特に制限されないが、発振回路8は、2種類の発振信号を形成する。すなわち、PWM比較回路9へ供給する第1発振信号と後で述べる出力段制御論理回路7へ供給する第2発振信号を形成する。第2発振信号は、出力段制御論理回路7を動作させるためのクロック信号として使われる。同図では、第2発振信号は、1本の信号線として示してあるが、第2発振信号は、互いに位相あるいは/および周波数の異なる複数種類のクロック信号であっても良い。特に制限されないが、第1発振信号は、周期的な三角形のクロック信号である。PWM比較回路9は、周期的な三角形のクロック信号とエラーアンプ11からの出力信号とを比較し、例えば、エラーアンプ11からの出力信号の電圧を、三角形のクロック信号の電圧が超えている期間を検出する。これにより、基準電圧発生回路12により形成された基準電圧と分圧電圧との間の電圧差が、PWM比較回路9によってパルスの時間幅に変換され、出力段制御論理回路7に出力される。いわゆる、PWM制御のためのパルス幅(時間)変調された信号が、PWM比較回路9から出力されることになる。
【0026】
過電圧検出回路10には、特に制限されないが、抵抗分圧回路(抵抗素子13と14による)により形成された分圧電圧が供給される。出力電圧Voutが、所定値よりも高くなった場合、分圧電圧も高くなる。過電圧検出回路10は、出力電圧Voutが所定値よりも高くなったことを、分圧電圧を基にして検出を行い、出力段制御論理回路7に伝える。すなわち、出力電圧Voutが所定値を超えた場合、出力段制御論理回路7に、その旨が伝達されることになる。
【0027】
出力段制御論理回路7は、特に制限されないが、本実施の形態では、発振回路8からのクロック信号に従って動作する。すなわち、PWM比較回路9から供給される出力信号(PWM制御用のパルス幅変調された信号)に従って、ドライバー回路4、5に供給される入力信号を形成する。例えば、PWM制御用のパルス幅変調された信号がハイレベルとなっている期間(三角形のクロック信号の電圧が、例えばエラーアンプ11の出力電圧に比べて高い期間)は、Pチャンネル型MOSFET2をオンさせる様な入力信号を、出力段制御論理回路7は形成する。一方、PWM制御用のパルス幅変調された信号がロウレベルとなっている期間は、Nチャンネル型MOSFET3をオンさせる様な入力信号を、出力段制御論理回路7は形成する。これにより、出力電圧Voutの電圧は、基準電圧発生回路12により形成された基準電圧に従った値を有する様にフィードバック制御される。
【0028】
なお、ドライバー回路4、5は、出力段制御論理回路7からの入力信号を受け、パワーMOSFET2、3を駆動する入力信号を形成し、パワーMOSFET2、3のゲートに供給する。パワーMOSFET2、3は、コイルLに対して電流の供給を行うために、それぞれのサイズが比較的大きくされる。そのため、パワーMOSFETのゲートに供給される入力信号の波形を整形するために、特に制限されないが、本実施の形態では、ドライバー回路が設けられている。また、出力段制御論理回路7は、過電圧検出回路10から、出力電圧Voutが所定値を超えている旨の伝達を受けた場合、例えば、Nチャンネル型MOSFET3をオンにし、Pチャンネル型MOSFET2をオフにする様な入力信号を形成する。これにより、出力電圧Voutが所定値よりも低下する様にし、出力電圧Voutが給電される装置に過電圧が印加されるのを防ぐことを可能としている。
【0029】
過電流検出回路6は、後で図2を用いてその詳細を説明するが、Pチャンネル型MOSFET2のゲートに供給される入力信号と、外部端子PINに供給される外部電圧とを受け、Pチャンネル型MOSFET2のソース・ドレイン経路を流れる電流が、所定値を超えているか否かを検出し、出力段制御論理回路7へ伝達する。この検出の伝達を受けて、出力段制御論理回路7は、Pチャンネル型MOSFET2がオフする様な入力信号を形成して、ドライバー回路4に供給する。これにより、所定値を超える電流がPチャンネル型MOSFET2を流れてしまうことにより、Pチャンネル型MOSFET2が破壊されてしまうのを防ぐことが可能となる。
【0030】
図2は、過電流検出回路6の回路図である。なお、図1との関係を分かり易くするために、図2には、Pチャンネル型MOSFET2と出力端子OUTも図示してある。また、Nチャンネル型MOSFET3は、省略されているが、接続場所は破線で示してある。さらに、図1に示したところのドライバー回路4の出力が、図2では端子VGPとして示されている(後で説明する図3から図6においても同じ)。
【0031】
過電流検出回路6は、基準電圧回路15と、基準電圧回路15にバイアス電圧を供給するレベルシフト回路20と、過電流比較回路23と、スイッチ回路16とを有している。レベルシフト回路20により形成されたバイアス電圧が、基準電圧回路15に印加されることにより、基準電圧が発生される。そのため、基準電圧回路15とレベルシフト回路20とを含む二点破線のブロックを基準電圧発生回路24と称する。また、過電流検出回路6は、抵抗素子18、MOSFET17(第2MISFET)、定電流源19を有している。
【0032】
基準電圧回路15は、後で図3を用いて説明するが、1個の半導体チップに形成された複数のPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9(第1MISFET)を有している。なお、図2には、基準電圧回路15を9個のPチャンネル型MOSFETで構成した例が記載されているが、これに限定されずパワーMOSFET2の電流容量に応じて適宜選択可能で、理論的には最低1個でもあり得るが、段数が少ないほどIC内部で消費される電流が増加するので、IC内部で消費される電流を減らすため、許容される電流を勘案して多数個で構成される。
【0033】
Pチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のそれぞれは、ソース、ドレインおよびゲートを有しており、それぞれのソースとドレイン間に形成されるチャンネルが、直列となるように、直列接続されている。すなわち、MOSFET15−1のドレインはMOSFET15−2のソースに接続され、MOSFET15−2のドレインはMOSFET15−3のソースに接続されている。以下、MOSFET15−3〜15−9も同様に接続されている。
【0034】
言い換えるならば、Pチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のそれぞれは、それぞれのソース・ドレイン経路が直列になるように接続されている。また、MOSFET15−1〜15−9のそれぞれのゲートには、レベルシフト回路20により形成されたバイアス電圧が共通に印加される。基準回路15(基準電圧発生回路24)の一方の端子であるMOSFET15−1(最上段の絶縁ゲート型FET)のソースは、外部端子PINに接続され、他方の端子であるMOSFET15−9(最下段の絶縁ゲート型FET)は、スイッチ回路16に接続されている。スイッチ回路16は、ソース、ドレインおよびゲートを有するPチャンネル型MOSFET16−1(第3MISFET)を含んでおり、スイッチ回路16の一方の端子であるMOSFET16−1のソースは、上記基準回路15(基準電圧発生回路24)の他方の端子に接続されている。
【0035】
また、スイッチ回路16の他方の端子であるMOSFET16−1のドレインは、過電流比較回路23の正入力端子(+)に接続されている。スイッチ回路16の制御端子であるMOSFET16−1のゲートには、上述したドライバー回路4からの入力信号が供給される。これにより、Pチャンネル型MOSFET16−1は、Pチャンネル型のパワーMOSFET2がオン状態にされる期間において、オン状態となる。すなわち、スイッチ回路16は、パワーMOSFET2がオン状態となるとき、オン状態となり、基準電圧回路15(基準電圧発生回路24)の他方の端子を過電流比較回路23に電気的に接続する。
【0036】
言い換えるならば、パワーMOSFET2がオフ状態となる期間においては、基準電圧回路15(基準電圧発生回路24)と過電流比較回路23の正入力端子との間は、スイッチ回路16により電気的に分離される。これにより、基準電圧発生回路24(基準電圧回路15)から過電流比較回路23へ電流が流れるのを防ぐことが可能となり、低消費電力化を図ることが可能となる。
【0037】
過電流比較回路23の負入力端子(−)は、Pチャンネル型MOSFET17と、抵抗素子18を介して外部端子PINとに接続されている。Pチャンネル型MOSFET17は、ソース、ドレインおよびゲートを有し、そのソースが、抵抗素子18を介して外部端子PINに接続され、そのドレインが電流源19を介して接地電圧に接続されている。また、該Pチャンネル型MOSFET17のゲートには、Pチャンネル型のパワーMOSFET2のゲートと同様に、ドライバー回路4からの入力信号が供給される。このPチャンネル型MOSFET17は、パワーMOSFET2より、そのサイズが小さくされているが、パワーMOSFET2と同じ1個の半導体チップに形成され、同じ入力信号をゲートに受けるようにしてあるため、パワーMOSFET2を流れる電流に比例した電流が、そのソース・ドレイン間を流れる。すなわち、Pチャンネル型MOSFET17は、パワーMOSFET2を模擬するトランジスタと見なすことができる。
【0038】
パワーMOSFET2から出力端子OUTを流れる電流に比例した電流が、Pチャンネル型MOSFET17を介して電流源19に流れるため、抵抗素子18には、パワーMOSFET2から出力端子OUTへ供給される電流の値に応じた電圧が発生する。Pチャンネル型MOSFET17、抵抗素子18、電流源19により、パワーMOSFET2を流れる電流を測定していると見なすことができるので、これらの素子により測定回路が構成されていると見なすことができる。測定回路からの出力である電圧(測定電圧)は、過電流比較回路23により比較される。すなわち、過電流比較回路23は、パワーMOSFET2がオン状態にされているとき、スイッチ回路16を介して基準電圧REFが供給され、さらに抵抗素子18で生じている測定電圧が供給され、両者の比較を行う。
【0039】
比較結果は、出力段制御論理回路7に供給される。パワーMOSFETから出力端子OUTに供給される電流が所定値よりも高い値のときに、基準電圧発生回路24により形成される基準電圧よりも、測定電圧が高くなるように、基準電圧の値を設定することにより、過電流比較回路23からはハイレベルの検出結果が出力段制御論理回路7に供給される。このハイレベルの検出結果に応答して、出力段制御論理回路7は、パワーMOSFET2のゲートに供給される入力信号を、該パワーMOSFET2がオフする様なレベル(ハイレベル)に制限する。
【0040】
基準電圧回路15に設けられているPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のゲートには、前述したように、レベルシフト回路20により形成されたバイアス電圧が共通に印加される。レベルシフト回路20は、特に制限されないが、外部端子PINと接地電圧との間に直列接続された抵抗素子21と可変電流源22とを有し、抵抗素子21と可変電流源22との接続ノードに発生する電圧が上記バイアス電圧として供給される。可変電流源22は、例えばNチャンネル型MOSFETで構成することができる。この場合、Nチャンネル型MOSFETのソース・ドレイン経路が抵抗素子21と接地電圧との間に直列に接続される。また、このNチャンネル型MOSFETのゲートには、例えば出力段制御論理回路7に設けた制御回路(図示せず)からの制御信号CNTが供給される。制御信号CNTの電圧を変更することにより、抵抗素子21を流れる電流が変わるため、レベルシフトの量を変更し、バイアス電圧を変更することができる。
【0041】
レベルシフト回路20より形成されたバイアス電圧は、互いに直列接続されたPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のそれぞれのゲートに共通に供給され、その電圧値は、それぞれのMOSFETにおいて、ソースとドレイン間にチャンネルが形成される様な値にされる。例えば、外部端子PINに印加される外部電圧に対して−5Vシフトした様な電圧が、バイアス電圧としてレベルシフト回路20により形成される。もちろん、上記したバイアス電圧は、レベルシフト回路ではなく、基準電圧発生回路によって形成することもできる。従って、上記バイアス電圧を形成する回路はレベルシフト回路20に限定されず、バイアス発生回路であれば良い。
【0042】
基準電圧回路15内のPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9は、レベルシフト回路20により形成されたバイアス電圧により、それぞれのソースとドレイン間にチャンネルが形成される。そのため、スイッチ回路16がオン状態にされている期間においては、Pチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のそれぞれのオン抵抗の合成値と、これらのMOSFETを流れる電流値によって、形成される基準電圧の値が決定される。この期間における基準電圧は、過電流比較回路23における比較の基準として用いられる。
【0043】
一方、スイッチ回路16がオフ状態にされている期間においては、基準電圧発生回路24と過電流比較回路23の正入力端子との間が電気的に分離される。このとき、Pチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のそれぞれにおいて、ソースとドレイン間にチャンネルが形成されているため、これらのMOSFET15−1〜15−9のそれぞれのソースおよびドレインの電圧はほぼ同じ電圧値となる。これにより、後で、図3から図6を用いて説明する様に、寄生の電流が生じるのを防ぐことが可能となり、低消費電力化を更に図ることが可能となる。
【0044】
図6は、本発明を説明するための等価回路図である。同図には、図2の接続状態とは異なり、基準電圧回路15に含まれているPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9のそれぞれのゲートと、スイッチ回路16用のPチャンネル型MOSFET16−1のゲートとを、ドライバー回路4の出力(VGP)に接続した場合の等価回路が示されている。
【0045】
また、図5は、本発明を説明するための半導体集積回路装置の断面図である。同図には、図6に示したPチャンネル型MOSFETの内、Pチャンネル型MOSFET15−8、15−9および16−1について、半導体集積回路装置の断面が示されている。
【0046】
Pチャンネル型MOSFET15−1〜15−9および16−1は、1個の半導体チップに形成される。これらのMOSFETは、外部端子PINに高電圧が印加されることから、パワーMOSFET2、3と同様に、高耐圧のMOSFETの構造を有している。また、これらのMOSFET15−1〜15−9および16−1は、互いに同様な構造となっているため、図5では、MOSFET15−8、15−9および16−1が、これらのMOSFETの代表として、その断面が示されている。図5において、25はP型半導体基板であり、26は、P型半導体基板25に形成され、素子間を分離するアイソレーション領域である。また、27はP型半導体基板25に形成されたN型ウエル領域であり、この領域にPチャンネル型MOSFETが形成される。同図では、3個のN型ウエル領域27が形成され、それぞれのN型ウエル領域27に、MOSFET15−8、15−9、16−1が形成されている。
【0047】
すなわち、28は、N型ウエル領域27に形成されたP型半導体領域であり、MOSFET15−8、15−9および16−1のそれぞれのドレインとして機能する。29は、N型ウエル領域に形成されたP型半導体領域であり、MOSFET15−8、15−9、16−1のそれぞれのソースとして機能する。30は、N型ウエル領域27に形成されたN+型半導体領域であり、MOSFET15−8、15−9、16−1のそれぞれのバックゲート用の電極として機能する。スイッチ回路16に設けられるPチャンネル型MOSFET16−1のドレイン28は、過電流比較回路23の正入力端子(+)に接続され、基準電圧REFを出力する。また、MOSFET16−1のソース29およびバックゲート領域30は、基準電圧回路15内のMOSFET15−9のドレイン28に接続される。基準電圧回路15内に設けられたMOSFET15−9のソース29およびバックゲート領域30は、MOSFET15−8のドレインに接続される。同様に、基準電圧回路15内のMOSFET15−8のソース29およびバックゲート領域30は、MOSFET15−7(図示せず)のドレインに接続される。
【0048】
以下同様にして、各MOSFETは直列に接続されている。この例では、それぞれのMOSFET15−1〜15−9および16−1のゲートが、ドライバー回路4により共通に駆動される。そのため、パワーMOSFET2をオフ状態している期間では、各MOSFET15−1〜15−9および16−1のそれぞれがオフ状態となり、スタンバイ状態(パワーMOSFET2の過電流を検出していない状態)となる。このスタンバイ状態では、各MOSFETがオフ状態のため、それぞれのソートとドレイン間にチャンネルが形成されない。従って、各MOSFETのチャンネルを介して流れる電流を減らすことができる。
【0049】
しかしながら、例えば、図5において右側に示したPチャンネル型MOSFET16−1を見た場合、P型半導体領域28(ドレイン)をエミッタ領域とした寄生のPNP型バイポーラジャンクショントランジスタ(以下、PNP−BJTと称する)B16が形成されている。この場合、N型ウエル領域27(バックゲート)がベース領域として働き、P型半導体基板25がコレクタ領域として働く。ベースとして機能してしまうバックゲート(N型ウエル領域27)は、ソース領域29とともに、基準電圧回路15内のPチャンネル型MOSFET15−9(図5では中央に示した)のドレイン領域28に接続されている。
【0050】
スタンバイ状態では、各MOSFET15−1〜15−9および16−1はオフ状態となっているため、MOSFET15−9のドレインおよびMOSFET16−1のソース(バックゲート)は、フローテイング状態となるため、リーク電流がMOSFET15−9のドレインおよび/あるいはMOSFET16−1のソースに発生すると、寄生PNP−BJT(B16)が動作し、電流がドレイン領域28(エミッタ)から半導体基板2(コレクタ)へ流れることになり、消費電力の増加となる。Pチャンネル型MOSFET16−1を例にして説明したが、他のPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9についても、同様に寄生PNP−BJTが形成され、消費電力の増加につながる。
【0051】
特に、複数のPチャンネル型MOSFET15−1〜15−9および16−1を直列に接続した場合、MOSFET16−1の寄生PNP−BJT(B16)のベースは、前段のMOSFET15−9の寄生PNP−BJT(B15−9)のエミッタに接続されることになる。同様に、MOSFET15−9の寄生PNP−BJT(B15−9)のベースは、前段のMOSFET15−8の寄生PNP−BJT(B15−8)のエミッタに接続されることになる。
【0052】
以下同様にして、図6に示されている様に、寄生PNP−BJT(B15−8〜B15−2)のベースは、前段の寄生PNP−BJT(B15−7〜B15−1)のエミッタに接続されることになる。すなわち、寄生PNP−BJTがダーリントン接続された状態が形成されてしまう。例えば、各寄生PNP−BJTの電流増幅率hfeが10であり、ダーリントン接続された寄生PNP−BJTの初段(B15−1)に1pAのサブリーク電流が流れた場合、順次寄生PNP−BJTにより増幅され、寄生PNP−BJT(B16)では、10mAのリーク電流が流れてしまい、消費電力を大きく増大させてしまう。
【0053】
これに対して、図2で図示される本実施の形態においては、スイッチ回路16を構成するMOSFET16−1のゲートは、基準電圧回路15を構成するMOSFET15−1〜15−9のそれぞれのゲートとは別の制御電圧によって制御される。すなわち、パワーMOSFET2のオン/オフに合わせて、基準電圧発生回路24からの基準電圧の供給が、スイッチ回路16により切り替えられる。一方、基準電圧回路15を構成するMOSFET15−1〜15−9は、それぞれのソースとドレイン間にチャンネルが形成される様にバイアスされている。
【0054】
図3は、本発明による実施例を説明するための半導体集積回路装置の断面図である。同図には、本実施の形態に従って、MOSFET15−1〜15−9のゲートをMOSFET16−1のゲートとは別の制御電圧で制御した場合の半導体集積回路装置の断面が示されている。また、図4は、本発明による実施例を説明するための等価回路図である。同図には、MOSFET15−1〜15−9のゲートをMOSFET16−1のゲートとは別の制御電圧で制御した場合の等価回路が示されている。図3図4は、それぞれ図5図6に類似しているので、相違点のみを以下説明する。
【0055】
図3において、スイッチ回路16のMOSFET16−1のゲート31には、ドライバー回路4の出力(VGP)が供給される。一方、基準電圧回路15を構成するMOSFET15−1〜15−9(図3では、図5における説明と整合する様に、MOSFET15−8と15−9のみが示されている)のゲートには、バイアス回路(レベルシフト回路)20からのバイアス電圧が印加される。例えば、外部端子PINに印加される電圧が30Vとした場合、30V−5V=25Vのバイアス電圧が印加される。これにより、基準電圧回路15内の各MOSFET15−1〜15−9のそれぞれは、そのソースとドレイン間にチャンネルが形成される。チャンネルが形成されることにより、スイッチ回路16内のMOSFET16−1がオフ状態にされたときにおいても、各MOSFET15−1〜15−9のソースおよびドレインはチャンネルを介して電圧が伝達される。そのため、ソースあるいはドレインがフローテイング状態になるのを防ぐことが可能となり、寄生PNP−BJT(B15−1〜B15−9、B16)が動作してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0056】
各MOSFET15−1〜15−9を直列接続することにより、寄生PNP−BJTによるダーリントン接続は形成されてしまうが、寄生PNP−BJTが動作してしまうことを防ぐことが可能であるため、消費電力の増大を防ぐことが可能となる。また、基準電圧発生回路24は、パワーMOSFET2を動作させる状態(センス状態)のときだけ、スイッチ回路16により、過電流比較回路23に接続され、スタンバイ状態のときには、電気的に分離される。これにより、消費電力の低減を図ることが可能である。なお、図4および図6において、Dは、ウエル領域27とP型半導体基板25との間で形成されるPN接合を表している。
【0057】
上述したようにMOSFET15−1〜15−9及び16−1はパワーMOSFET2、3と同様に高耐圧のMOSFETの構造とすることが望ましい。高耐圧のMOSFETの構成の1例として、図3に図示される半導体集積回路装置において、半導体基板領域25は、不純物濃度2.0E+14cm−3(2.0×1014/cm、以下同様)であり、分離領域26は、不純物濃度1.0E+16cm−3である。また、ウエル領域27は、不純物濃度5.0E+15cm−3で、拡散深さ4.0μmである。ドレイン領域28は、不純物濃度5.0E+16cm−3であり、拡散深さ1.0μmである。ソース領域29は、不純物濃度1.0E+19cm−3であり、拡散深さ0.2μmである。また、ソース・ドレイン間幅は、1.7μmで形成することにより、印加される外部電圧及び発生する電圧の最高値は、45Vの耐圧を実現することができる。
【0058】
Pチャンネル型MOSFETを例にして説明したが、MISFET一般に本発明は適用できる。また、レベルシフト回路20内の可変電流源22は、固定電流源であっても良い。基準電圧回路15を構成するMOSFET15−1〜15−9のそれぞれは、パワーMOSFET2の特性に整合する様に、同じ高耐圧の構造を有することが望ましいが、レベルシフト回路20を構成するのに用いる素子は、パワーMOSFET2と異なる構成の素子を用いることも可能である。従って、レベルシフト回路20の代わりに種々のバイアス回路を使うことが可能である。基準電圧回路15へ供給するバイアス電圧は、少なくともスタンバイ状態のときに供給すれば、寄生のBJTが動作するのを防ぐことができる。センス状態の際には、例えば間欠的にバイアス電圧が基準電圧回路15に供給される様にしても良い。
【0059】
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 半導体集積回路装置
2 パワーMOSFET
6 過電流検出回路
7 出力段制御論理回路
15−1〜15−9、16−1 Pチャンネル型MOSFET
15 基準電圧回路
16 スイッチ回路
20 レベルシフト回路
23 過電流比較回路
24 基準電圧発生回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6