(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる解析モデル生成プログラム、解析モデル生成方法、および解析モデル生成装置の実施の形態を詳細に説明する。船舶、自動車、建築物などに適用されてきたSEA法を用いた音響解析は、電子機器についても適用対象となる。船舶、自動車、建築物などは大きな開口部のない物体であり、主に振動伝達による騒音伝達経路のため、SEA法により伝達経路毎の伝達パワーが推定され、騒音低減のため、その伝達特性を変更する対策が行われる。
【0012】
一方、電子機器などの音響解析の場合、騒音源は冷却ファンなどが挙げられる。この場合、主な騒音伝達経路は、板金部分の振動伝達ではなく、通風のための開口部(吸気口、排気口)から放射される放射音である。また、電子機器の中でも、情報処理機器(サーバ、ワークステーション、パソコンなど)は冷却ファン、ハードディスクドライブ、ヒートシンク、PSU(Power Supply Unit)、メモリ、拡張カード等を高密度に実装しており、冷却用の風およびファン騒音の伝達経路は、複雑である。複雑な騒音の伝達経路を有する電子機器からSEA解析モデルを生成するには、人手であると、多大な手間がかかる事や、SEA解析モデル生成におけるサイズなどの制約条件を十分に認識していないと騒音の予測精度が悪化する。
【0013】
そこで、本実施の形態にかかる解析モデル生成装置では、騒音の伝達経路上の拡大、縮小が生じる箇所でSEA要素を分割する。
【0014】
図1は、解析モデル生成装置による一動作例を示す説明図である。解析モデル生成装置100は、音響解析に最適なSEA要素を生成するために解析対象の物体のモデル化を行うコンピュータである。物体は、たとえば、PC(Personal Computer)、サーバ、携帯情報端末、自動車、家電製品などの機械製品やビルなどの建物などの3次元グラフィックスにおけるオブジェクトである。
【0015】
解析モデル生成装置100は、物体を示す3次元の設計情報101に基づいて、物体を囲う直方体を示す第1情報102を生成する。3次元の設計情報101は、物体を構成する部品の位置データ、材料データ、色データなどを含む3次元のCAD(Computer Aided Design)データである。CADデータの詳細なデータ構造は、
図8を用いて後述する。3次元の設計情報101には、X軸とY軸とZ軸とからなる3次元の直交座標系が定義されている。たとえば、設計情報101は、解析モデル生成装置100がアクセス可能な記憶装置に記憶されている。物体を囲う直方体とは、たとえば、バウンディングボックスである。
【0016】
解析モデル生成装置100は、生成した第1情報102が示す直方体の直交する3つの辺の各方向について、直方体の当該方向に直交する複数の断面CS1〜CSr(r≧1)を示す第2情報103を生成する。たとえば、解析モデル生成装置100は、直方体の方向に直交する端の面から所定単位で区切ることにより、複数の断面CS1〜CSrを得る。
図1の例では、直方体の各辺が3次元の直交座標系を示すX軸、Y軸およびZ軸のいずれかの軸と平行となるように生成されることとし、3つの辺の各方向はX軸方向とY軸方向とZ軸方向との3つの方向である。
図1の例では、X軸方向についての複数の断面CS1〜CSrを示す。
【0017】
解析モデル生成装置100は、生成した第2情報103が示す複数の断面CS1〜CSrの各々について、設計情報101に基づいて、断面の中の物体の占める割合に応じた指標値を算出する。指標値は、たとえば、断面の中の物体のない部分の面積であったり、断面の中の物体のある部分の面積である。
【0018】
解析モデル生成装置100は、複数の断面のうちの算出した指標値の差が所定値を超える隣り合う断面を検出する。これにより、騒音の伝達経路である部品のない空間の変化が大きい箇所を検出することができる。
図1の例では、隣り合う断面CSnと断面CS(n+1)とが検出され、隣り合う断面CSmと断面CS(m+1)とが検出される。
【0019】
そして、解析モデル生成装置100は、検出した隣り合う断面の各々について、隣り合う断面に応じた位置に方向と直交して設けられる板を示す板モデルを生成する。板モデルは、音場を囲む壁を表すものである。
図1の例では、隣り合う断面CSnと断面CS(n+1)とに応じた位置にX軸方向と直交する板p1を示す板モデルが生成され、隣り合う断面CSmと断面CS(m+1)とに応じた位置にX軸方向と直交する板p2を示す板モデルが生成される。
【0020】
図1で示していないが、複数の断面を生成する処理と、指標値を算出する処理と、隣り合う断面を検出する処理と、板モデルを生成する処理と、は、上述した3つの辺の各方向について、行われる。これにより、壁のある場所に板を示す板モデルを生成することができる。したがって、SEA要素の分割作業が自動で行われるため、騒音解析を効率よく行うことができる。そして、騒音の伝達経路の幅の急激な変化を考慮した騒音解析ができ、騒音の解析精度が向上する。
【0021】
ここで、本実施の形態の詳細な説明の前に、SEA法による音響解析について簡単に説明する。
【0022】
図2は、音響解析例を示す説明図である。音響解析では、たとえば、電子機器に含まれる騒音源となる冷却用ファン、HDDなどの内蔵ユニットが発生する音響パワーと、電子機器をモデル化することによって得られるSEA解析モデルと、を入力として、電子機器の音響パワーを予測する。
【0023】
図3は、SEA解析モデル例を示す説明図である。SEA解析モデルは、複数のSEA要素を有する。SEA要素は、空間を示す空間モデルと、空間を囲む板を示す板モデルと、を有する。SEA要素のサイズが小さい場合、複数のSEA要素は、連結される。板モデルや空間モデルの詳細なデータ構造例については、後述する。
【0024】
図4は、SEA法による解析例を示す説明図である。SEA法による音響解析では、SEA要素ごとに内部減衰と、隣接するSEA要素間の伝達による減衰と、SEA要素間のエネルギーの流れが計算される。内部減衰とは、たとえば、物体内の壁に衝突した音の減衰である。隣接するSEA要素間の伝達による減衰とは、壁の穴から漏れ出てくる音の減衰である。そのため、壁が存在する場所でSEA要素を分割することが望ましい。伝達による減衰は、結合損失率によって表され、内部減衰は、内部損失率によって表される。
【0025】
図5は、SEA要素間のエネルギー伝達を表す式の一例を示す説明図である。SEA要素間のエネルギー伝達を表す行列式は、エネルギーEと結合損失率ηと騒音源パワーPとによって表される。
【0026】
板から音場を示す空間へのエネルギー伝達による減衰を表す結合損失率η
svを以下式(1)に示し、音場を示す空間から板へのエネルギー伝達による減衰を表す結合損失率η
vsを以下式(2)に示す。
【0027】
η
sv=(ρ
v・c
v・σ)/(ω・ρ
s・t)・・・(1)
η
vs=(ρ
v・c
v・σ・n
s)/(ω・ρ
s・n
v)・・・(2)
【0028】
σは音響放射効率を表し、ρは密度を表し、n
vは音場のモード密度を表し、n
sは板のモード密度を表す。板のモード密度n
sを以下式(3)と、音場のモード密度n
vを以下式(4)と、に示す。
【0029】
n
s=(S・√12)/(4・π・c
L・t)・・・(3)
n
v=(V・ω
2)/(2・π
2・c
v3)・・・(4)
【0030】
Sは表面積を表し、tは板の厚さを表し、cは音場要素の媒質の音速を表し、Vは体積を表す。また、板モデルには、板の厚さ、材質、内部損失率、開口率または開口面積が設定される。空間モデルには、媒質、内部損失率が設定される。媒質とは、波動が伝播する場となる物質や物体のことであり、たとえば、媒質は、空気、水や金属などである。騒音源を含む空間を示す空間モデルには、騒音源単体の音響パワーが設定される。内部損失率は、SEA要素内で振動エネルギーが熱エネルギーに変換されることによる損失を示す。板厚さ1[mm]の鋼板の場合、内部損失率は既知であり、面積によらず内部損失率は0.041f
-0.7である。内部損失率が既知でない場合、以下式(5)によって算出される。
【0032】
Vは体積を表し、Sは表面積を表し、cは音場要素の媒質の音速を表す。α(式(5)中ではαの上に長音記号)は平均吸音率を表す。平均吸音率は以下式(6)によって算出される。以下式(6)において、fは周波数を表す。
【0034】
また、SEA法による音響解析において、SEA要素内では各モードのエネルギーは等しいという前提がある。そして、音響解析の予測精度を得るためには、SEA要素のサイズは、以下式(7)を満たすサイズとなる。
【0036】
式(7)において、cは音場要素の媒質の音速を表し、Vは体積を表し、Aは面積を表し、Pは周長を表し、f0は下限遮断周波数を表し、f1は上限遮断周波数を表す。
【0037】
図6は、許容最小のSEA要素の事例を示す説明図である。たとえば、1.6[kHz]バンド(1/3オクターブバンド)で、1つのSEA要素に含まれるモード数が1以上とすると、各SEA要素のサイズを
図6に示すようなサイズを満たすようにする。
【0038】
(解析モデル生成装置100のハードウェア構成例)
図7は、解析モデル生成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図7において、解析モデル生成装置100は、CPU701と、ROM702と、RAM703と、ディスクドライブ704と、ディスク705と、を有する。解析モデル生成装置100は、I/F706と、入力装置707と、出力装置708と、を有する。また、各部はバス700によってそれぞれ接続される。
【0039】
ここで、CPU701は、解析モデル生成装置100の全体の制御を司る。ROM702は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶する。RAM703は、CPU701のワークエリアとして使用される。ディスクドライブ704は、CPU701の制御にしたがってディスク705に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク705は、ディスクドライブ704の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク705としては、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
【0040】
I/F706は、通信回線を通じてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワークNETに接続され、このネットワークNETを介して他の装置に接続される。そして、I/F706は、ネットワークNETと内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F706には、たとえばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0041】
入力装置707は、キーボード、マウス、タッチパネルなど利用者の操作により、各種データの入力を行うインターフェースである。また、入力装置707は、カメラから画像や動画を取り込むこともできる。また、入力装置707は、マイクから音声を取り込むこともできる。出力装置708は、CPU701の指示により、データを出力するインターフェースである。出力装置708には、ディスプレイやプリンタが挙げられる。
【0042】
図8は、CADデータ例を示す説明図である。3次元のCADデータは、解析対象の物体を示す情報であり、
図8の例では、理解の容易化のために、簡易なデータ例を示す。ここでは、CADデータ800は、立方体であるボクセルの集合として表される。CADデータ800は、Number(No)、座標データ、ボクセルの有無、部品No、材料名、色のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(801−1、801−2、・・・)として登録される。CADデータ800がCADツールによって読み込まれることにより、
図8の下側に示すように、CADデータ800が示す立体図形がディスプレイなどに表示される。CADデータ800は、ROM702やディスク705などの記憶装置に記憶される。
【0043】
Numberのフィールドには、各レコードを識別するための情報が設定される。座標データのフィールドには、X座標のデータと、Y座標のデータと、Z座標のデータと、が設定される。
【0044】
ボクセルの有無のフィールドには、座標データが示す位置に部品を示すボクセルの有無が設定される。部品Noのフィールドには、ボクセルが示す部品の識別情報が設定される。材料名のフィールドにはボクセルが示す部品の材料名が設定される。色のフィールドには、ボクセルが示す部品の色情報が設定される。
【0045】
(解析モデル生成装置100の機能的構成例)
図9は、解析モデル生成装置の機能的構成例を示すブロック図である。解析モデル生成装置100は、第1設計情報生成部901と、第1情報生成部902と、第2情報生成部903と、指標値算出部904と、検出部905と、板モデル生成部906と、を含む。解析モデル生成装置100は、開口面積算出部907と、抽出部908と、空間モデル生成部909と、体積算出部910と、を含む。第1設計情報生成部901から体積算出部910までの各部の処理は、たとえば、CPU701がアクセス可能な記憶装置に記憶された算出プログラムにコーディングされる。そして、CPU701が記憶装置から算出プログラムを読み出して、試験支援プログラムにコーディングされている処理を実行する。これにより、第1設計情報生成部901から体積算出部910までの各部の処理が実現される。また、第1設計情報生成部901から体積算出部910までの各部の処理結果は、たとえば、RAM703、ディスク705などの記憶装置に記憶される。
【0046】
まず、第1設計情報生成部901は、第2CADデータが示す第2物体から、第2物体に含まれる複数の部品のうちの大きさが所定の大きさ以下である部品を除いた解析対象の第1物体を示す第1CADデータを生成する。大きさとしては、たとえば、容積が挙げられる。また、所定の大きさについては、予め設計者によって指定され、ディスク705などの記憶装置に記憶される。所定の大きさについては、たとえば、上述した式(7)に基づいて定められる。第1CADデータと第2CADデータのいずれもデータ構造は、
図8に示したCADデータ800と同一である。
【0047】
図10は、第1CADデータの生成例を示す説明図である。たとえば、第1設計情報生成部901は、第2CADデータ1002に含まれる部品Noに基づいて各部品を示すボクセルの数によって部品の容積を算出する。そして、第1設計情報生成部901は、各部品の容積が所定の容積以下であるか否かを判断する。第1設計情報生成部901は、第2CADデータ1002から、所定の容積以下であると判断された部品を示す部品Noを有するレコードを取得する。そして、第1設計情報生成部901は、取得したレコードについてボクセルの有無のフィールドを「有」から「無」に変更した第1CADデータ1001を生成する。
図10では、第2CADデータ1002が示す第2物体に含まれる小さい部品がすべて削除される。
【0048】
つぎに、第1情報生成部902は、第1CADデータ1001に基づいて、第1物体を囲う直方体を示す第1情報を生成する。ここで、第1情報を部品除外空間モデルA1と称する。また、第1情報生成部902は、第2CADデータ1002に基づいて、第2物体を囲う直方体を示す部品除外空間モデルA2を生成する。
【0049】
図11は、部品除外空間モデル例を示す説明図である。部品除外空間モデルA1は、第1CADデータ1001が示す第1物体を囲う直方体を示すモデルである。部品除外空間モデルA1は、第1物体を囲う直方体の中で第1物体がない空間を示す。部品除外空間モデルA2は、第2CADデータ1002が示す第2物体を囲う直方体を示すモデルである。部品除外空間モデルA2は、第2物体を囲う直方体の中で第2物体がない空間を示す。ここで、部品除外空間モデルA1と部品除外空間モデルA2とは、ボクセルのようにメッシュ状にそれぞれ複数の要素C1〜Cpと複数の要素C1〜Cqに区切られて表される。各要素は、各物体に含まれる部品がない空間であるか否かを示す情報を有する。
【0050】
つぎに、第2情報生成部903と、指標値算出部904と、検出部905と、板モデル生成部906と、は、生成した部品除外空間モデルA1が示す直方体の直交する3つの辺の各方向について、各部の処理が行われる。ここでは、直方体は、たとえば、該直方体の各辺がX軸、Y軸およびZ軸のいずれかの軸と平行となるように作成されることとし、3つの辺の各方向はX軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向と、である。
【0051】
第2情報生成部903は、各方向について、部品除外空間モデルA1が示す直方体の方向に直交する複数の断面を示す第2情報を生成する。たとえば、第2情報生成部903は、各方向について、部品除去空間モデルA1の要素のサイズに沿って、部品除外空間モデルAが示す直方体の方向に直交する複数の断面を示す第2情報を生成すればよい。
【0052】
図12は、板モデルの生成例を示す説明図である。
図12の例では、X軸方向に直交する複数の断面CS1〜CStを示す。図示しないが、複数の断面CS1〜CStを示す第2情報は、たとえば、各断面の頂点の座標データを有する。
【0053】
指標値算出部904は、生成された第2情報が示す複数の断面CS1〜CStの各々について、断面の中の物体の占める割合に応じた指標値を算出する。上述したように、たとえば、指標値は、断面の中の第1物体のない部分の面積である。または、たとえば、指標値は、断面の中の第1物体のある部分の面積である。
図12の例では、断面の中の第1物体のない部分の面積である。
【0054】
指標値算出部904は、各断面について、部品除外空間モデルA1が示す直方体の断面に含まれる要素の数と、断面に含まれる要素のうちの部品がないことを示す情報が設定された要素の数と、に基づいて、断面の中の第1物体のない部分の面積を算出する。
【0055】
検出部905は、複数の断面CS1〜CStのうちの算出した指標値の差が所定値を超える隣り合う断面を検出する。所定値については、利用者によって予め定められ、ディスク705などの記憶装置に記憶されることとする。
図12の例では、検出部905は、複数の断面CS1〜CStのうちの最も端にある断面も検出する。さらに、検出部905は、X軸方向に順に隣り合う断面の指標値の差を算出して、差が大きな断面を検出する。
【0056】
板モデル生成部906は、検出された隣り合う断面の各々について、隣り合う断面に応じた位置に、方向に直交して設けられる板を示す板モデルを生成する。
図12では、X軸方向について着目しているため、板モデル生成部906は、X軸方向に直交して設けられる板を示す板モデルを生成する。
【0057】
図12の例では、端の断面である断面CS1が検出され、断面CS1に対応する位置に、板pl1を示す板モデルが生成される。つぎに、断面CS1の指標値と断面CS2の指標値とが比較されるが、変化がないため、板モデルが生成されない。
【0058】
また、板モデル生成部906は、隣り合う断面に応じた位置に、隣り合う断面のうちの一方の断面の中の第1物体のある部分を含む板を示す板モデルと、一方の断面の中の第1物体のない部分を含む板を示す板モデルと、を生成する。
図12の例では、断面CS2の指標値と断面CS3の指標値とが比較され、変化が大きいため、断面CS3のうちの部品がない部分を含む板pl2を示す板モデルと、断面CS3のうちの部品のある部分を含む板pl3を示す板モデルと、が生成される。また、部品のある部分が複数に分かれていた場合、板モデル生成部906は、部品のある部分ごとに板モデルを生成してもよい。
【0059】
また、開口面積算出部907は、生成された板モデルの各々について、板モデルが示す板のうち第2CADデータ1002が示す第2物体のない部分の面積に基づく値を算出する。第2物体のない部分の面積(以下、「開口面積」と称する。)に基づく値とは、開口面積そのものであったり、板モデルが示す板のうちの第2物体のない部分が占める割合を示す開口率である。
【0060】
また、抽出部908は、板モデルの各々について、第2CADデータ1002が示す第2物体に含まれる複数の部品のうち、板モデルが示す板の位置と同一の位置にある部品の中で、最も面積が大きい部品の物性値を第2CADデータ1002から抽出する。抽出部908は、生成された板モデルの各々について、第2物体に含まれる部品のうちの板モデルが示す板と少なくとも一部が重複する部品の中で、板に重複する部分の割合が最も大きい部品の物性値を第2CADデータ1002から抽出する。部品の物性値としては、たとえば、部品の材質や部品の厚さなどが挙げられる。また、生成された板モデルと、算出された第1物体のない部分の面積に基づく値と、部品の物性値と、は関連付けて記憶装置に記憶される。
【0061】
図13は、板モデルのデータ構造例を示す説明図である。データベース1300では、各レコードが1つの板モデルについての情報である。データベース1300は、Plate No、Plate名、連結Cavity No、始点の座標データ、終点の座標データ、開口率、厚さ、材質のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(1301−1、1301−2、・・・)として登録される。データベース1300は、ディスク705などの記憶装置に記憶される。
【0062】
Plate Noのフィールドには、板モデルを識別するための番号が設定される。Plate名のフィールドには、板モデルが示す板がある位置にある部品の名称が設定される。連結Cavity Noのフィールドには、板モデルが示す板と連結している空間を示す空間モデルを識別するための番号が設定される。
【0063】
開口率のフィールドには、第1物体のない部分の面積に応じた指標値として、板モデルが示す板の開口率が設定される。開口率の代わりに開口面積が設定されてもよい。厚さのフィールドには、板モデルが示す板の厚さが設定される。たとえば、厚さのフィールドには、板モデルが示す板と同一位置にある部品の厚さが設定されてもよい。材質のフィールドには、板モデルが示す板と同一位置にある部品の材質が設定される。
【0064】
板モデル生成部906は、板モデルを生成する都度、データベース1300に各情報を設定する。また、開口率のフィールドには、初期状態では「−(Null)」が設定され、開口面積算出部907によって開口率が算出されることによって設定される。材質や厚さのフィールドには、初期状態では「−(Null)」が設定され、抽出部908によって第2CADデータ1002から材質や厚さが抽出されることによって設定される。
【0065】
つぎに、空間モデル生成部909は、生成された板モデルが示す板によって囲われた直方体に基づく空間を示す空間モデルを生成する。また、空間モデル生成部909は、空間モデルを生成する際に、データベース1300に各板モデルが示す板と連結する空間を示す空間モデルの番号を登録する。
【0066】
そして、体積算出部910は、生成された空間モデルの各々について、空間モデルが示す空間の体積と、空間モデルが示す空間の中で第2物体のある部分の体積と、に基づいて、空間モデルが示す空間の中で第2物体のない部分の体積を算出する。生成された空間モデルと、算出された体積とは、関連付けられて記憶装置に記憶される。
【0067】
図14は、体積の算出例を示す説明図である。たとえば、体積算出部910は、部品除外空間モデルA2が示す空間の中で、生成された複数の空間モデル1400の各々が示す空間の部分において、物体がないことを示す情報が設定された要素の数に基づいて、複数の空間モデル1400の各々が示す空間のうちの物体がない部分の体積を算出する。
【0068】
図15は、空間モデルのデータ構造例を示す説明図である。データベース1500では、各レコードが1つの空間モデルについての情報である。Cavity No、Cavity Name、音源割当No、始点の座標データ、終点の座標データ、媒質、Cavity体積、Cavity内部品体積のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(1501−1、1501−2、1501−3、・・・)として登録される。データベース1500は、ディスク705などの記憶装置に記憶される。
【0069】
Cavity Noのフィールドには、空間モデルを識別するための番号が設定される。Cavity Nameのフィールドには、空間モデルが示す空間にある部品のうち、空間に占める割合が最も大きい部品の名称が設定される。音源割当Noのフィールドには、Cavity Nameのフィールドに設定された名称が示す部品が音源となる場合に、後述する各音源を識別するための番号が設定される。
【0070】
始点の座標データは、X軸、Y軸およびZ軸からなる直交座標系における空間モデルが示す直方体の頂点のうち、X座標、Y座標およびZ座標がそれぞれ最小となる点の座標データが設定される。終点の座標データは、X軸、Y軸およびZ軸からなる直交座標系における空間モデルが示す直方体の頂点のうち、X座標、Y座標およびZ座標がそれぞれ最大となる点の座標データが設定される。
【0071】
媒質のフィールドには、空間モデルが示す空間の媒質が設定される。媒質は、たとえば、空気や水などが挙げられる。Cavity体積のフィールドには、空間モデルが示す空間のうち部品のない部分の体積が設定される。Cavity内部品体積のフィールドには、空間モデルが示す空間のうち部品のある部分の体積が設定される。
【0072】
空間モデル生成部909は、空間モデルを生成する都度、データベース1500に各情報を設定する。なお、Cavity体積やCavity内部品体積のフィールドには、初期状態では「−(Null)」が設定され、体積算出部910によって体積が算出されることによって設定される。
【0073】
図16は、サーバ装置のSEA解析モデル例を示す説明図である。SEA解析モデル1600は、解析モデル生成装置100によってサーバ装置がモデル化されることによって得られる。右側に示す2つのSEA解析モデル1600は、左側に示すSEA解析モデル1600からアッパーカバーを示す板モデルを除いた例である。
【0074】
無数の音の線が乱反射しながらサーバ装置の外側に向かってのび、一部のエネルギーが開口端で反射して再びサーバ装置内に入るなどという騒音の流れは複雑であるが、
図16では、簡易的な騒音の流れを矢印によって示す。
図16の例では、斜線が粗い板であるほど開口率が大きく、斜線が細かい板であるほど開口率が小さいことを示す。アッパーカバーは斜線が細かいため開口率が小さいが、ファンからの騒音が流れる排気側の部品は、斜線が粗いため、開口率が大きい。アッパーカバーを示す板モデルが除かれた右側に示すSEA解析モデル1600のように、騒音経路の形状が変化する箇所に板を示す板モデルが生成され、騒音の経路の形状が変化しない箇所には、板を示す板モデルが生成されない。
【0075】
図17は、音源データ構造例を示す説明図である。データベース1700は、各音源についての動作点における音響パワーを有する。データベース1700は、音源名、音源割当No、各周波数の音響パワーのフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(1701−1、1701−2、・・・)として登録される。データベース1700は、ディスク705などの記憶装置に記憶される。
【0076】
音源名のフィールドには、音源を示す名称が設定される。音源割当Noのフィールドには、音源を識別可能な番号が設定される。各周波数の音響パワーのフィールドには、動作点における音源の音響パワー[W]が設定される。周波数の範囲は、100[Hz]〜10000[Hz]である。たとえば、上述したデータベース1700に含まれる音源割当Noは、データベース1500に含まれる音源割当Noと関連付けられる。
【0077】
板モデルに関する情報が設定されたデータベース1300と、空間モデルに関する情報が設定されたデータベース1500と、音源パワーに関する情報が設定されたデータベース1700と、によってSEAの音響解析が行われる。
【0078】
(解析モデル生成装置100による解析モデル生成処理手順例)
図18〜
図24は、解析モデル生成装置による解析モデル生成処理手順例を示すフローチャートである。解析モデル生成装置100は、第2物体を示す第2CADデータ1002を取得し(ステップS1801)、第2物体を囲う直方体を示す部品除外空間モデルA2を生成する(ステップS1802)。解析モデル生成装置100は、部品除外空間モデルA2を要素C1〜Cqに分割し(ステップS1803)、j=1とする(ステップS1804)。
【0079】
解析モデル生成装置100は、j≦qであるか否かを判断する(ステップS1805)。j≦qである場合(ステップS1805:Yes)、解析モデル生成装置100は、要素Cjを選択し(ステップS1806)、要素Cjに第2物体内の部品があるか否かを判断する(ステップS1807)。要素Cjに第2物体内の部品がある場合(ステップS1807:Yes)、解析モデル生成装置100は、部品があることを示す情報を要素Cjに設定し(ステップS1808)、ステップS1810へ移行する。
【0080】
要素Cjに第2物体内の部品がない場合(ステップS1807:No)、解析モデル生成装置100は、部品がないことを示す情報を要素Cjに設定し(ステップS1809)、ステップS1810へ移行する。ステップS1808またはステップS1809のつぎに、解析モデル生成装置100は、j=j+1とし(ステップS1810)、ステップS1805へ戻る。
【0081】
j≦qでない場合(ステップS1805:No)、解析モデル生成装置100は、第2CADデータ1002が示す第2物体に含まれる部品の各々について、部品の容積を算出する(ステップS1901)。解析モデル生成装置100は、第2物体に含まれる部品のうち、容積が所定の容積以下の部品を除いた第1物体を示す第1CADデータ1001を生成し(ステップS1902)、第1物体を囲う直方体を示す部品除外空間モデルA1を生成する(ステップS1903)。
【0082】
解析モデル生成装置100は、部品除外空間モデルA1を要素C1〜Cpに分割し(ステップS1904)、部品除外空間モデルA1を選択する(ステップS1905)。解析モデル生成装置100は、j=1とし(ステップS1906)、j≦pであるか否かを判断する(ステップS1907)。j≦pである場合(ステップS1907:Yes)、解析モデル生成装置100は、要素Cjを選択し(ステップS1908)、要素Cjに第1物体内の部品があるか否かを判断する(ステップS1909)。
【0083】
要素Cjに第1物体内の部品がある場合(ステップS1909:Yes)、解析モデル生成装置100は、部品があることを示す情報を要素Cjに設定し(ステップS1910)、ステップS1912へ移行する。要素Cjに第1物体内の部品がない場合(ステップS1909:No)、解析モデル生成装置100は、部品がないことを示す情報を要素Cjに設定し(ステップS1911)、ステップS1912へ移行する。ステップS1910またはステップS1911のつぎに、解析モデル生成装置100は、j=j+1とし(ステップS1912)、ステップS1907へ戻る。
【0084】
j≦pでない場合(ステップS1907:No)、解析モデル生成装置100は、部品除外空間モデルA1を選択し(ステップS2001)、未選択な軸方向があるか否かを判断する(ステップS2002)。未選択な軸方向がある場合(ステップS2002:Yes)、解析モデル生成装置100は、未選択な軸方向から1つの軸方向を選択する(ステップS2003)。
【0085】
解析モデル生成装置100は、選択した軸方向に直交する部品除外空間モデルA1が示す直方体の複数の断面を示す第2情報を生成し(ステップS2004)、断面ごとに断面内の部品のない部分の断面積を算出する(ステップS2005)。解析モデル生成装置100は、i=1とし(ステップS2006)、i≦断面数であるか否かを判断する(ステップS2007)。i≦断面数でない場合(ステップS2007:No)、ステップS2002へ戻る。
【0086】
i≦断面数である場合(ステップS2007:Yes)、解析モデル生成装置100は、断面CSiを選択し(ステップS2008)、断面CS(i−1)があるか否かを判断する(ステップS2101)。断面CS(i−1)がない場合(ステップS2101:No)、解析モデル生成装置100は、断面CSi内の部品がない部分を含む板を示す板モデルを生成し(ステップS2102)、断面CSi内の部品がある部分を含む板を示す板モデルを生成し(ステップS2103)、ステップS2108へ移行する。
【0087】
断面CS(i−1)がある場合(ステップS2101:Yes)、解析モデル生成装置100は、断面CSiの断面積と断面CS(i−1)の断面積とを比較し(ステップS2104)、断面積の差が所定値を超えるか否かを判断する(ステップS2105)。断面積の差が所定値を超えない場合(ステップS2105:No)、ステップS2108へ移行する。断面積の差が所定値を超える場合(ステップS2105:Yes)、解析モデル生成装置100は、断面CSi内の部品がない部分を含む板を示す板モデルを生成する(ステップS2106)。そして、解析モデル生成装置100は、断面CSi内の部品がある部分を含む板を示す板モデルを生成し(ステップS2107)、断面CS(i+1)があるか否かを判断する(ステップS2108)。
【0088】
断面CS(i+1)がある場合(ステップS2108:Yes)、ステップS2111へ移行する。断面CS(i+1)がない場合(ステップS2108:No)、解析モデル生成装置100は、断面CSi内の部品がない部分を含む板を示す板モデルを生成し(ステップS2109)、断面CSi内の部品がある部分を含む板を示す板モデルを生成する(ステップS2110)。そして、解析モデル生成装置100は、i=i+1とし(ステップS2111)、ステップS2007へ戻る。
【0089】
ステップS2002において、未選択な軸方向がない場合(ステップS2002:No)、解析モデル生成装置100は、板モデルが示す板に囲まれた空間を示す空間モデルを生成する(ステップS2201)。解析モデル生成装置100は、未選択な空間モデルがあるか否かを判断する(ステップS2202)。未選択な空間モデルがある場合(ステップS2202:Yes)、解析モデル生成装置100は、未選択な空間モデルから1つの空間モデルを選択する(ステップS2203)。解析モデル生成装置100は、選択した空間モデルが示す空間に重複する空間を示す空間モデルがあるか否かを判断する(ステップS2204)。
【0090】
重複する空間を示す空間モデルがない場合(ステップS2204:No)、ステップS2202へ戻る。重複する空間を示す空間モデルがある場合(ステップS2204:Yes)、解析モデル生成装置100は、選択した空間モデルと、重複する空間を示す空間モデルとの各々の容積を算出する(ステップS2205)。たとえば、立方体であれば、解析モデル生成装置100は、選択した空間モデルと、重複する空間を示す空間モデルとの各々の容積を、縦、横、高さのサイズによって算出することができる。解析モデル生成装置100は、容積が大きい方の空間モデルから小さい方の空間モデルが示す空間の部分を削除し(ステップS2206)、ステップS2202へ戻る。また、ステップS2204と、ステップS2205と、ステップS2206と、に代わって、解析モデル生成装置100は、選択した空間モデルに包含されるメッシュの数によって容積を算出してもよい。
【0091】
ステップS2202において、未選択な空間モデルがない場合(ステップS2202:No)、解析モデル生成装置100は、あらたに未選択な空間モデルがあるか否かを判断する(ステップS2301)。未選択な空間モデルがある場合(ステップS2301:Yes)、解析モデル生成装置100は、未選択な空間モデルから1つの空間モデルを選択し(ステップS2302)、選択した空間モデルが示す空間の体積を算出する(ステップS2303)。
【0092】
解析モデル生成装置100は、部品除外空間モデルA2に基づいて、選択した空間モデルが示す空間に含まれる部品の体積を算出する(ステップS2304)。解析モデル生成装置100は、空間の体積から部品の体積を減算して、空間モデルが示す空間内の部品のない部分の体積を算出する(ステップS2305)。解析モデル生成装置100は、選択した空間モデルと、選択した空間モデルが示す空間内の部品のない部分の体積と、当該空間内の部品のある部分の体積と、を関連付けて出力し(ステップS2306)、ステップS2301へ戻る。
【0093】
未選択な空間モデルがない場合(ステップS2301:No)、解析モデル生成装置100は、未選択な板モデルがあるか否かを判断する(ステップS2401)。未選択な板モデルがある場合(ステップS2401:Yes)、解析モデル生成装置100は、未選択な板モデルから1つの板モデルを選択する(ステップS2402)。
【0094】
解析モデル生成装置100は、選択した板モデルが示す板と重複する第2物体内の部品を特定し(ステップS2403)、特定した部品ごとに、特定した部品のうち板モデルが示す板に平行して重複する部分の面積を算出する(ステップS2404)。解析モデル生成装置100は、板モデルが示す板の面積を算出し(ステップS2405)、算出した板の面積から重複する部分の面積を減算して板のうち部品が重複しない部分の面積を算出する(ステップS2406)。ステップS2406において算出された面積が選択された板モデルが示す板の開口面積である。
【0095】
解析モデル生成装置100は、特定した部品のうち、重複する部分の面積が最も大きい部品を特定し(ステップS2407)、第2CADデータ1002から特定した最も大きい部品の材質を抽出する(ステップS2408)。解析モデル生成装置100は、選択した板モデルと、算出した面積と、抽出した材質と、を関連付けて出力し(ステップS2409)、ステップS2401へ戻る。未選択な板モデルがない場合(ステップS2401:No)、一連の処理を終了する。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態にかかる解析モデル生成装置100は、物体を囲う直方体の複数の断面の中で部品の占める割合の変化が大きい隣り合う断面を検出し、検出した断面の位置によりSEA要素を分割する。これにより、音場が異なると推定される箇所で区切った解析モデルを自動で提供でき、騒音解析を効率よく行うことができる。そして、騒音の伝達経路の幅の急激な変化を考慮した騒音解析ができ、騒音の解析精度が向上する。したがって、人手の作業時間の短縮を図ることができる。
【0097】
また、解析モデル生成装置100は、検出した隣り合う断面のうちの一方の断面の部品がある部分を含む板を示す板モデルと、当該一方の断面の部品がない部分を含む板を示す板モデルと、を生成する。これにより、物体内にある複数の部品のうち壁となる部品がある位置によりSEA要素を分割することができる。
【0098】
また、解析モデル生成装置100は、断面のうちの部品の占める割合に応じた指標値として、断面のうちの部品のない部分の面積を算出する。または、解析モデル生成装置は、断面のうちの部品の占める割合に応じた指標値として、断面のうちの部品のある部分の面積を算出する。これにより、部品の占める割合の変化が大きい隣り合う断面を単純な計算によって検出することができる。
【0099】
また、解析モデル生成装置100は、小さな部品を除去してから板モデルを生成する。これにより、SEA解析モデルの作成時間の短縮を図る。また、各SEA要素が単純な形状となるため、SEA要素間の連結数が少なくなり、SEA解析時間の短縮を図る。
【0100】
また、解析モデル生成装置100は、生成した板モデルが示す板によって囲われる空間を示す空間モデルを生成し、空間モデルの部品のない部分の体積を算出する。これにより、人手による作業の手間を省くことができ、騒音解析を効率よく行うことができる。
【0101】
また、解析モデル生成装置100は、板モデルの各々について、板モデルが示す板の開口面積を算出する。また、解析モデル生成装置は、板モデルの各々について、板に設定する物性値を抽出する。これにより、人手による作業の手間を省くことができ、騒音解析を効率よく行うことができる。
【0102】
なお、本実施の形態で説明した解析モデル生成方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。本解析モデル生成プログラムは、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本解析モデル生成プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布してもよい。
【0103】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0104】
(付記1)コンピュータに、
解析対象の物体を示す3次元の設計情報に基づいて、前記物体を囲う直方体を示す第1情報を生成し、
生成した前記第1情報が示す前記直方体の直交する3つの辺の各方向について、
前記方向に直交する前記直方体の複数の断面を示す第2情報を生成し、
生成した前記第2情報が示す前記複数の断面の各々について、前記設計情報に基づいて、前記断面の中の前記物体の占める割合に応じた指標値を算出し、
前記複数の断面のうちの算出した前記指標値の差が所定値を超える隣り合う断面を検出し、
検出した前記隣り合う断面の各々について、前記隣り合う断面に応じた位置に前記方向と直交して設けられる板を示す板モデルを生成する、
処理を実行させることを特徴とする解析モデル生成プログラム。
【0105】
(付記2)前記板モデルを生成する処理では、
前記隣り合う断面の各々について、前記隣り合う断面に応じた位置に、前記隣り合う断面のうちの一方の断面の中の前記物体がある部分を含む板を示す板モデルと、前記一方の断面の中の前記物体がない部分を含む板を示す板モデルと、を生成することを特徴とする付記1に記載の解析モデル生成プログラム。
【0106】
(付記3)前記物体の占める割合に応じた指標値は、前記断面の中の前記物体のない部分の面積であることを特徴とする付記1または2に記載の解析モデル生成プログラム。
【0107】
(付記4)前記物体の占める割合に応じた指標値は、前記断面の中の前記物体のある部分の面積であることを特徴とする付記1または2に記載の解析モデル生成プログラム。
【0108】
(付記5)前記コンピュータに、
第2設計情報が示す第2物体に含まれる複数の部品のうちの大きさが所定の大きさ以下である部品を除いた前記物体(以下、「第1物体」と称する。)を示す前記設計情報(以下、「第1設計情報」と称する。)を生成する処理を実行させ、
前記第1情報を生成する処理では、
生成した前記第1設計情報に基づいて、前記第1物体を囲う直方体を示す前記第1情報を生成することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の解析モデル生成プログラム。
【0109】
(付記6)前記コンピュータに、
生成した前記板モデルが示す前記板によって囲われた空間を示す空間モデルを生成し、
生成した前記空間モデルの各々について、前記空間モデルが示す空間の中で前記物体がない部分の体積を算出する、
処理を実行させることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の解析モデル生成プログラム。
【0110】
(付記7)前記コンピュータに、
生成した前記板モデルの各々について、前記板モデルが示す板のうち前記物体のない部分の面積に基づく値を算出する処理を実行させることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の解析モデル生成プログラム。
【0111】
(付記8)前記設計情報は、前記物体に含まれる部品の各々について、前記部品の物性値を有し、
前記コンピュータに、
生成した前記板モデルの各々について、前記物体に含まれる部品のうちの前記板モデルが示す板と少なくとも一部が重複する部品の中で、前記板に重複する部分の割合が最も大きい部品の物性値を前記設計情報から抽出する処理を実行させることを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の解析モデル生成プログラム。
【0112】
(付記9)コンピュータが、
解析対象の物体を示す3次元の設計情報に基づいて、前記物体を囲う直方体を示す第1情報を生成し、
生成した前記第1情報が示す前記直方体の直交する3つの辺の各方向について、
前記方向に直交する前記直方体の複数の断面を示す第2情報を生成し、
生成した前記第2情報が示す前記複数の断面の各々について、前記設計情報に基づいて、前記断面の中の前記物体の占める割合に応じた指標値を算出し、
前記複数の断面のうちの算出した前記指標値の差が所定値を超える隣り合う断面を検出し、
検出した前記隣り合う断面の各々について、前記隣り合う断面に応じた位置に前記方向と直交して設けられる板を示す板モデルを生成する、
処理を実行することを特徴とする解析モデル生成方法。
【0113】
(付記10)解析対象の物体を示す3次元の設計情報に基づいて、前記物体を囲う直方体を示す第1情報を生成する第1情報生成部と、
前記第1情報生成部によって生成された前記第1情報が示す前記直方体の直交する3つの辺の各方向について、
前記方向に直交する前記直方体の複数の断面を示す第2情報を生成する第2情報生成部と、
前記第2情報生成部によって生成された前記第2情報が示す前記複数の断面の各々について、前記設計情報に基づいて、前記断面の中の前記物体の占める割合に応じた指標値を算出する指標値算出部と、
前記複数の断面のうちの前記指標値算出部によって算出された前記指標値の差が所定値を超える隣り合う断面を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記隣り合う断面の各々について、前記隣り合う断面に応じた位置に前記方向と直交して設けられる板を示す板モデルを生成する板モデル生成部と、
を有することを特徴とする解析モデル生成装置。