(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記判定部により再度判定された抗磁力が第1の抗磁力である場合に、前記第1の抗磁力よりも高い抗磁力である第2の抗磁力を有する磁性体が形成された前記媒体を新規発行するよう制御する、請求項2又は3に記載の媒体処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.自動取引システムの基本構成>
本発明は、多様な形態で実施され得る。以下では、本発明の一実施形態に係る自動取引装置、および自動取引装置を含む自動取引システムの基本構成について、
図1〜5を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動取引システムの構成を示す説明図である。
図1に示したように、自動取引システムは、複数の自動取引装置10と、専用網14と、金融機関ホスト18と、を含む。
【0023】
専用網14は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。自動取引装置10と金融機関ホスト18はこの専用網14を介して接続される。
【0024】
金融機関ホスト18は、専用網14を介して自動取引装置10と通信することにより、各種取引を制御する上位装置である。例えば、金融機関ホスト18は、自動取引装置10を操作する顧客の認証や、自動取引装置10において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行する。また、金融機関ホスト18は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金口座残高などの顧客情報(口座の元帳)を管理する。
【0025】
自動取引装置10は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この自動取引装置10は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置される。以下、
図2を参照し、自動取引装置10の外観構成を説明する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る自動取引装置10の外観構成を示す説明図である。
図2に示したように、自動取引装置10は、通帳挿入口22と、カード挿入口26と、硬貨投入口30と、紙幣投入口34と、操作表示部38と、を含む。
【0027】
操作表示部38は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は、例えば、タッチパネルにより実現される。なお、
図2においては、表示部および顧客操作部の機能が自動取引装置10において一体的に構成される例を示しているが、表示部および顧客操作部の機能は分離して構成されていてもよい。
【0028】
通帳挿入口22は、顧客の通帳の挿入および排出を行う。また、カード挿入口26は、顧客のカードの挿入および排出を行う。また、硬貨投入口30は、顧客による硬貨の入金口、および顧客への硬貨の出金口としての機能を有する。また、紙幣投入口34は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。
【0029】
上述した自動取引装置10が扱う通帳には、通常、磁気ストライプが設けられる。自動取引装置10は、磁気ストライプから読み取りを行うことにより、顧客に関する多様な情報を得ることが可能である。以下、
図3〜
図5を参照し、このような通帳についてより具体的に説明する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る通帳42の構成を示す説明図である。
図3に示したように、通帳42は、表紙50、裏表紙54、および取引の内容が印字される明細ページを含む中紙58が綴られた冊子状媒体である。裏表紙54には磁気ストライプ46が形成される。表紙50を1枚めくったページである見返しページ、取引内容を印字される明細ページなどを含む中紙58にはページマーク48が形成される。また、表紙50および中紙58には識別マーク44が形成される。
【0031】
ページマーク48には、ページマーク48が形成されている中紙58のページ数および科目などの情報が格納されている。自動取引装置10は、ページマーク48を読み取ることで、所望の明細ページを開いて取引情報を印字することができる。
【0032】
識別マーク44は、通帳42の抗磁力タイプを示す情報コードである。本明細書においては、高抗磁力タイプの通帳42には識別マーク44が形成され、低抗磁力タイプの通帳42には識別マーク44が形成されないものとする。自動取引装置10は、識別マーク44の有無に基づいて、通帳42が高抗磁力タイプであるか低抗磁力タイプであるかを判定することができる。
【0033】
磁気ストライプ46には、磁気データ(磁気情報)として、金融機関の店番、科目、口座番号などの口座情報が格納される。このため、自動取引装置10は、通帳42の磁気ストライプ46から口座情報を読み取り、読み取った口座情報に基づいて顧客により指示された金銭取引を実行することができる。なお、通帳42の磁気ストライプ46の抗磁力には複数種類ある。具体的には、通帳42の磁気ストライプ46には、高い抗磁力を有する高抗磁力タイプと、低い抗磁力を有する低抗磁力タイプと、の2種類が存在し得る。例えば、高抗磁力タイプの抗磁力は2750エルステッド(2750Oe=218.9kA/m)、低抗磁力タイプの抗磁力は300エルステッド(300Oe=23.9kA/m)であってもよい。そして、自動取引装置10は、高抗磁力タイプの通帳42に対しては、高抗磁力に適した電流値で情報の書き込みを行い、低抗磁力タイプの通帳42に対しては、低抗磁力に適した電流値で情報の書き込みを行う。ここで、自動取引装置10は、磁気ストライプ46の抗磁力に適さない電流値で情報を書き込んだ場合、磁気書き込み不良を引き起こし、磁気ストライプ46に正しく情報を書き込むことができない場合がある。一方で、磁気ストライプ46に書き込まれた磁気データは、低抗磁力タイプであっても高抗磁力タイプであっても、同じ条件で読み取ることが出来る。
【0034】
以下、
図4、
図5を参照して、磁気ストライプ46に格納される磁気データについて説明する。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態に係る通帳42に形成された磁気ストライプ46のプレエンコードデータを示す説明図である。
図4に示したように、通帳42に形成された磁気ストライプ46の磁気データは、少なくとも、店番、科目、口座番号、通帳種別情報、抗磁力識別情報、が書き込まれるエリアを有する。プレエンコードデータとは、通帳42が未使用の初期状態であるときに、磁気ストライプ46に格納されているデータである。未使用の通帳42は、プレエンコードデータとして通帳種別情報および抗磁力識別情報のエリアにのみ情報が書き込まれ、それら以外のエリアはすべて初期値「0」となっている。自動取引装置10は、通帳42を新規発行する際に、発行情報として、店番、科目、口座番号を書き込んで発行する。
【0036】
図4に示したように、プレエンコードデータとして、通帳42が総合口座である場合には通帳種別情報「01」が書き込まれ、普通預金である場合には通帳種別情報「02」が書き込まれる。また、通帳42が低抗磁力タイプであれば抗磁力識別情報「0」が書き込まれ、高抗磁力タイプであれば抗磁力識別情報「1」が書き込まれる。このように、同じ総合口座の通帳42であっても高抗磁力タイプの通帳42と低抗磁力タイプの通帳42とが混在する場合があり、また同様に、同じ普通預金の通帳42であっても高抗磁力タイプの通帳42と低抗磁力タイプの通帳42とが混在する場合がある。自動取引装置10は、磁気ストライプ46に格納された抗磁力識別情報を読み取ることで、通帳42の抗磁力タイプを判定することができる。
【0037】
続いて、
図5を参照して、高抗磁力タイプの通帳42が登場する前の、従来用いられてきた低抗磁力タイプの通帳に形成された磁気ストライプに格納される磁気データを説明する。
図5は、従来用いられてきた低抗磁力タイプの通帳に形成された磁気ストライプのプレエンコードデータを示す説明図である。
図5に示したように、磁気ストライプに格納の磁気データは少なくとも、店番、科目、口座番号、通帳種別情報、が書き込まれるエリアを有するが、上記
図4に示した抗磁力識別情報を有していない。
【0038】
ここで、
図5に示すように、
図4において抗磁力識別情報が書き込まれていた桁数「16」の位置には、予備エリアとして初期値「0」が格納されている。このため、自動取引装置10は、従来用いられてきた通帳42であっても、桁数「16」の値が「0」であるため、低抗磁力タイプの通帳42であると判定することができる。
【0039】
なお、自動取引装置10は、通帳42の明細ページに取引内容を印字する際に、通帳42の明細ページに取引内容を印字するための十分な余白が無い場合は、通帳42の繰り越しを行う。詳述すると、自動取引装置10は、既存の通帳42に印字できなかった分の取引の内容を、新しい通帳42に印字をして顧客に新しい通帳42を発行する。なお、このとき既存の通帳42は顧客に返却される。また、新しい通帳42の発行処理においてエラーが発生した際も、既存の通帳42は顧客に返却される。
【0040】
このような磁気ストライプ46と同様の磁性体を有し、自動取引装置10によって新規発行され得る媒体のその他の例として、例えば振込カードがある。顧客は、振込先の口座番号、店番号などの振込情報が書き込まれた振込カードを自動取引装置10に発行させることができる。また、自動取引装置10は、挿入された振込カードの磁性体から振込情報を読み取り、読み取った振込情報に基づいて顧客により指示された金銭取引を実行することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態に係る自動取引システムの基本構成について説明した。続いて、各実施形態について説明する。
【0042】
<2.第1の実施形態>
[2−1.構成]
まず、
図6〜
図7を参照して、自動取引装置10の内部構成について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る自動取引装置10の内部構成を示すブロック図である。
図7は、第1の実施形態に係る自動取引装置10の内部構成を概略的に示す説明図である。
図6および
図7に示したように、自動取引装置10は、媒体繰り出し部104と、磁気ストライプ処理部108と、媒体搬送部112と、光学的読取部116と、印字部124と、ページめくり部128と、を含む。また、
図6で示したように、自動取引装置10は、制御部100と、通信部120と、媒体取込部132と、をさらに含む。ここで、媒体取込部132は、
図7における収容部136と、取込ローラー140と、を含む。また、
図7に示したように、自動取引装置10は、通帳挿入口22と、搬送路144と、一時保留部156と、通帳取引部160と、通帳装填部164と、をさらに含む。
【0043】
(通帳装填部164)
通帳装填部164は、通帳42の新規発行のための、未使用の通帳42を保有する機能を有する。具体的には、通帳装填部164は、通帳の束152を含む通帳カセット148が装填される装填部を少なくとも1つ含み、1つ以上の通帳カセット148が装填される場合がある。
【0044】
(通帳カセット148)
通帳カセット148は、通帳の束152を含み、通帳装填部164に装填される。通帳装填部164には、通帳カセット148a〜148dの複数が装填されていてもよい。
【0045】
(通帳の束152)
通帳の束152は、新規発行の際に用いられる未使用の通帳42の束である。通帳装填部164に装填される通帳カセット148a〜148dに、それぞれ通帳の束152a〜152dが含まれていてもよい。
【0046】
(媒体繰り出し部104)
媒体繰り出し部104は、繰り出しローラー104a〜104dを含み、新規発行の際に、通帳の束152から未使用の通帳42を搬送路144に繰り出す。
【0047】
(通帳取引部160)
通帳取引部160は、通帳42に基づく取引処理を行う。例えば、通帳取引部160は、顧客により挿入された通帳42から顧客情報を読み取って顧客操作に基づく取引を行い、取引内容を通帳42に記録して顧客に発行(返却)する。他にも、通帳取引部160は、未使用の通帳42に発行情報として例えば口座番号や口座種別などの情報を記録して顧客に新規発行する。
【0048】
(制御部100)
制御部100は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って自動取引装置10内の動作全般を制御する。制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサによって実現される。なお、制御部100は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0049】
より具体的には、制御部100は、後述の磁気ストライプ処理部108および光学的読取部116による読み取り結果に基づいて、通帳42に形成された磁気ストライプ46の抗磁力を判定する判定部としての機能を有する。また、制御部100は、判定した抗磁力に基づいて、通帳42の取引処理を制御する。
【0050】
(通信部120)
通信部120は、LAN(Local Area Network)や電話回線などに接続され、
図1で示した専用網14を介して金融機関ホスト18と通信する。
【0051】
(光学的読取部116)
光学的読取部116は、通帳42に形成された識別マーク44の読み取りを行う光学読取部としての機能を有する。本実施形態では、光学的読取部116が通帳42に識別マーク44が形成されていることを読み取った場合に、制御部100により通帳42は高抗磁力タイプであると判定される。また、光学的読取部116が通帳42に識別マーク44が形成されていないことを読み取った場合に、制御部100により通帳42は低抗磁力タイプであると判定される。他にも、光学的読取部116は、通帳42の明細ページの何行目まで印字されているかを検知する。また、光学的読取部116は、明細ページに印刷されたページマーク48を読み取ることで、現在どのページを開いているかを検知する。
【0052】
(印字部124)
印字部124は、通帳42の明細ページへの取引内容の印字、または通帳42の表紙50および見返しページへの顧客名や口座番号などの印字を行う。
【0053】
(ページめくり部128)
ページめくり部128は、通帳42の表紙50およびその他明細ページに対して、制御部100により指示されたページが開かれた状態となるようページめくりを行う。
【0054】
(磁気ストライプ処理部108)
磁気ストライプ処理部108は、通帳42に形成された磁気ストライプ46の磁気データの読み取りを行う磁気読取部としての機能を有する。また、磁気ストライプ処理部108は、制御部100により判定された磁気ストライプ46の抗磁力に適する電流値で、磁気ストライプ46に書込情報の書き込みを行う書込部としての機能を有する。本実施形態では、
図4および
図5を参照して上記説明したように、磁気ストライプ処理部108が桁数「16」の位置で「1」を読み取った場合に、制御部100により通帳42は高抗磁力タイプであると判定される。また、磁気ストライプ処理部108が桁数「16」の位置で「0」を読み取った場合に、制御部100により通帳42は低抗磁力タイプであると判定される。磁気ストライプ処理部108は、磁気ストライプ46から抗磁力識別情報、店番、口座番号等を読み取り、書込情報として取引内容を磁気ストライプ46の抗磁力に適した電流値で書き込む。
【0055】
(搬送路144)
搬送路144は、自動取引装置10における通帳42の経路である。
【0056】
(媒体搬送部112)
媒体搬送部112は、搬送ローラー112a〜112lを含み、通帳42を搬送路144に沿って搬送する搬送部としての機能を有する。
【0057】
(媒体取込部132)
媒体取込部132は、顧客が取り忘れた通帳42や、処理が中断された通帳42を取り込む。上述したように、媒体取込部132は、収容部136と、取込ローラー140と、を含む。
【0058】
(取込ローラー140)
取込ローラー140は、顧客が取り忘れた通帳42や、処理が中断された通帳42を収容部136に搬送する。
【0059】
(収容部136)
収容部136は、取込ローラー140により取り込まれた通帳42を収容し保管する。
【0060】
(一時保留部156)
一時保留部156は、通帳42の繰り越しを行う際に、顧客により挿入された既存の通帳42を一時保留する。
【0061】
以上、自動取引装置10の内部構成について説明した。
【0062】
[2−2.動作処理]
本実施形態では、制御部100が、磁気ストライプ処理部108による磁気ストライプ46の読み取り結果に基づいて、磁気ストライプ46の抗磁力を判定できなかった場合に、光学的読取部116による読み取り結果に基づいて磁気ストライプ46の抗磁力を判定する。以下、
図8を参照して、本実施形態に係る自動取引装置10の動作処理について説明する。
【0063】
図8は、第1の実施形態に係る自動取引装置10の動作処理を示すフローチャートである。
図8に示したように、まず、ステップS102で、自動取引装置10は、顧客操作などにより上位からの指示で取引処理を行う場合、顧客により通帳挿入口22に挿入された通帳42を、媒体搬送部112により内部に受け入れる。
【0064】
次に、ステップS104で、磁気ストライプ処理部108は、受け入れられた通帳42の磁気ストライプ46に書き込まれた磁気データの読み取りを行う。
【0065】
次いで、ステップS106で、制御部100は、磁気ストライプ処理部108が磁気データとして抗磁力識別情報を正常に読み取ったか否かを判定する。例えば、制御部100は、抗磁力識別情報が「0」または「1」である場合に、抗磁力情報を正常に読み取ったと判定し、抗磁力識別情報が「0」および「1」以外の値である場合は異常値であるため、正常に読み取ることができなかったと判定する。
【0066】
抗磁力識別情報を正常に読み取った場合(S106/YES)、ステップS108で、制御部100は、読み取った抗磁力識別情報が「1」であるか否かを判定する。
【0067】
抗磁力識別情報が「1」である場合(S108/YES)、ステップS110で、制御部100は、通帳42が高抗磁力タイプであると判定する。次に、ステップS112で、光学的読取部116は、ページマーク48と共に識別マーク44の読み取りを行う。次いで、ステップS114で、印字部124は、通帳42に取引内容の印字を行う。このとき、ページ繰り越しが発生した場合には、ページめくり部128がページめくりを行い、印字部124は残りの印字を行う。次に、ステップS116で、磁気ストライプ処理部108は、高抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを行う。
【0068】
抗磁力識別情報が「1」ではない場合(S108/NO)、即ち「0」である場合、ステップS120で、制御部100は、通帳42が低抗磁力タイプであると判定する。次に、ステップS122で、光学的読取部116は、ページマーク48と共に識別マーク44の読み取りを行う。次いで、ステップS124で、印字部124は、通帳42に取引内容の印字を行う。このとき、ページ繰り越しが発生した場合には、ページめくり部128がページめくりを行い、印字部124は残りの印字を行う。次に、ステップS126で、磁気ストライプ処理部108は、低抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを行う
【0069】
このように、本実施形態に係る自動取引装置10は、抗磁力識別情報を正常に読み取った場合(S106/YES)、識別マーク44の読み取り結果を用いることなく、読み取った抗磁力識別情報に基づいた電流値で書き込みを行う。
【0070】
一方で、抗磁力識別情報を正常に読み取ることができなかった場合(S106/NO)、ステップS130で、光学的読取部116は、ページマーク48と共に識別マーク44の読み取りを行う。次いで、ステップS132で、制御部100は、光学的読取部116が識別マーク44を読み取ったか否か、即ち識別マーク44の有無を判定する。
【0071】
識別マーク44が有ることを読み取った場合(S132/YES)、処理は上記説明したステップS114、S116に進み、磁気ストライプ処理部108は、高抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを行う。
【0072】
識別マーク44が無いことを読み取った場合(S132/NO)、処理は上記説明したステップS124、S126に進み、磁気ストライプ処理部108は、低抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを行う。
【0073】
このように、本実施形態に係る自動取引装置10は、磁気データの読み取り結果からは抗磁力を判定できなかった場合(S106/NO)、識別マーク44の読み取り結果に基づいて判定された抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46への書き込みを行う。
【0074】
ステップS116またはステップS126の後には、ステップS140で、自動取引装置10は通帳挿入口22から通帳42を排出することで、通帳42を顧客に発行(返却)して処理を終了する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る自動取引装置10は、磁気ストライプ46から抗磁力識別情報に基づいて抗磁力タイプを判定することができる。このため、自動取引装置10は、通帳切り替えの過渡期など、同じ通帳種別で異なる抗磁力タイプの通帳42が混在する場合であっても、上位装置に問い合わせることなく、抗磁力タイプを判定して適する電流値での磁気書き込み処理を行うことができる。このため、自動取引装置10は、上位装置に磁気ストライプ46の抗磁力を判定するための機能を追加する等の変更を要することなく、通帳42の高抗磁力化に対応することができる。
【0076】
さらに、自動取引装置10は、識別マーク44の有無により抗磁力を判定することができるため、磁気ストライプ46に格納された抗磁力識別情報が消磁などにより正常に読み取ることができなかった場合であっても、処理を中止することなく継続することができる。
【0077】
また、一般的な自動取引装置では、磁気ストライプの読み取り後にページマークを読み取る場合が多い。このため、既存の自動取引装置においても、ページマーク48の読み取りに合せて識別マーク44を読み取らせることで、既存の処理を大幅に変えることなく、本実施形態に係る自動取引装置10として機能させることができる。
【0078】
以上、第1の実施形態に係る自動取引装置10の動作処理を説明した。
【0079】
<3.第2の実施形態>
本実施形態では、磁気データの読み取り結果に基づいて判定した抗磁力に適した電流値で磁気書き込み処理を行い、書き込み処理においてエラーが発生した場合に、再度抗磁力の判定を行って再度の磁気書き込み処理を行う。エラーが発生した原因として、磁気データの読み取り結果に基づいて判定した抗磁力が正しくないことが考えられるためである。
【0080】
自動取引装置10は、エラーが発生したか否か、即ち書き込み処理が正常に終了したか否かを判定するために、磁気ストライプ46への取引内容の書き込み後、磁気データの読み取りを再度行う。そして、読み取りの結果エラーが発生したと判定した場合、自動取引装置10は、識別マーク44の読み取り結果に基づいて抗磁力を再度判定し、再度判定した抗磁力に適する電流値で、磁気ストライプ46への再度の書き込みを行う。
【0081】
本実施形態に係る自動取引装置10の構成は、上記第1の実施形態において説明した通りであるため、ここでの詳細な説明は省略する。以下、
図9、
図10を参照して、本実施形態に係る自動取引装置10の動作処理を説明する。
【0082】
図9は、第2の実施形態に係る自動取引装置10の動作処理を示すフローチャートである。
図9に示したように、まず、ステップS202で、自動取引装置10は、顧客操作などにより上位からの指示で取引処理を行う場合、顧客により通帳挿入口22に挿入された通帳42を、媒体搬送部112により内部に受け入れる。
【0083】
次に、ステップS204で、磁気ストライプ処理部108は、受け入れられた通帳42の磁気ストライプ46に書き込まれた磁気データの読み取りを行う。
【0084】
次いで、ステップS208で、制御部100は、磁気ストライプ処理部108が磁気データとして読み取った抗磁力識別情報が「1」であるか否かを判定する。
【0085】
抗磁力識別情報が「1」である場合(S208/YES)、自動取引装置10は、ステップS210〜S216で、上記
図8を参照して説明したステップS110〜S116と同様の動作を行う。なお、本実施形態では、制御部100は、ステップS212における識別マーク44の読み取り結果を、通帳42を排出するまで記憶するものとする。その後、ステップS218で、制御部100は、ステップS216における磁気ストライプ処理部108による磁気書き込み処理が正常終了したか否かを判定する。例えば、制御部100は、磁気書き込み処理後に磁気ストライプ46の磁気データを再度読み取り、書き込んだ情報と読み取った情報とを比較することで、磁気書き込み処理が正常終了したか否かを判定する。
【0086】
磁気書き込み処理が正常終了した場合(S218/YES)、ステップS240で、自動取引装置10は通帳挿入口22から通帳42を排出することで、通帳42を顧客に発行(返却)して処理を終了する。一方で、磁気書き込み処理が異常終了した場合(S218/NO)、ステップS230で、自動取引装置10はリトライ処理を行う。ステップS230におけるリトライ処理については
図10を参照して後述するため、ここでの詳細な説明は省略する。リトライ処理の後は、処理はステップS240に進む。
【0087】
一方で、抗磁力識別情報が「1」ではない場合(S208/NO)、自動取引装置10は、ステップS220〜S226で、上記
図8を参照して説明したステップS120〜S126と同様の動作を行う。なお、本実施形態では、制御部100は、ステップS222における識別マーク44の読み取り結果を、通帳42を排出するまで記憶するものとする。その後、ステップS228で、制御部100は、上記ステップS218と同様に、ステップS226における磁気ストライプ処理部108による磁気書き込み処理が正常終了したか否かを判定する
【0088】
磁気書き込み処理が正常終了した場合(S228/YES)、処理はステップS240に進む。一方で、磁気書き込み処理が異常終了した場合(S228/NO)、ステップS230で、自動取引装置10はリトライ処理を行う。以下、
図10を参照して、ステップS230におけるリトライ処理について説明する。
【0089】
図10は、第2の実施形態に係る自動取引装置10のリトライ処理を示すフローチャートである。
図10に示したように、まず、ステップS300で、制御部100は、識別マーク44の有無を判定する。より詳しくは、制御部100は、上記ステップS212またはS222において、光学的読取部116が通帳42に識別マーク44が形成されていることを読み取ったか否かを判定する。
【0090】
識別マーク44が有ると判定した場合(S300/YES)、ステップS302で、制御部100は、通帳42が高抗磁力タイプであると判定する。そして、ステップS304で、磁気ストライプ処理部108は、高抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを再度行う。
【0091】
識別マーク44が無いと判定した場合(S300/NO)、ステップS312で、制御部100は、通帳42が低抗磁力タイプであると判定する。そして、ステップS314で、磁気ストライプ処理部108は、低抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを再度行う。
【0092】
以上、ステップS230におけるリトライ処理について説明した。
【0093】
以上説明したように、本実施形態に係る自動取引装置10は、磁気書き込み処理にエラーが発生した場合に、識別マーク44の有無に基づいて抗磁力タイプを再度判定し、リトライ処理における磁気書き込みの電流値を切り替えることができる。自動取引装置10は、抗磁力識別情報に基づく判定と識別マーク44の有無に基づく判定との、別観点からの抗磁力の判定を2度行うことにより、磁気書き込み処理の失敗を低減することができる。
【0094】
以上、第2の実施形態に係る自動取引装置10の動作処理を説明した。
【0095】
(変形例1)
本変形例では、識別マーク44を読み取った段階で、識別マーク44の読み取り結果が示す抗磁力タイプと磁気データが示す抗磁力タイプとを比較しておき、リトライ処理において比較結果に基づいて再度判定した抗磁力に適する電流値で書き込み処理を行う。以下、
図11を参照して、本変形例に係る自動取引装置10の動作処理について説明する。
【0096】
図11は、変形例1に係る自動取引装置10の動作処理を示すフローチャートである。
図11に示したように、本変形例に係る動作処理は、
図10に示したフローチャートにステップS213、S223を追加し、ステップS230に代えてステップS232を追加している。そこで、以下では追加したこれらの処理についてのみ説明する。
【0097】
ステップS213で、制御部100は、ステップS204における抗磁力識別情報の読み取り結果と、ステップS212における識別マーク44の読み取り結果とを比較する。即ち、制御部100は、磁気データの抗磁力識別情報が示す抗磁力タイプと、識別マーク44の有無が示す抗磁力タイプとを比較する。
【0098】
ステップS223では、ステップS213と同様に、制御部100は、磁気データの抗磁力識別情報が示す抗磁力タイプと、識別マーク44の有無が示す抗磁力タイプとを比較する。
【0099】
ステップS232で、自動取引装置10は、ステップS213またはS223における比較結果に基づいて磁気ストライプ46の抗磁力を再度判定し、再度判定した抗磁力に適する電流値で再度の磁気書き込み処理を行う。
【0100】
例えば、抗磁力識別情報が示す抗磁力タイプと識別マーク44の有無が示す抗磁力タイプが同じ場合、制御部100は、通帳42は双方が同じく示す抗磁力タイプであると再度判定する。一方で、抗磁力識別情報が示す抗磁力タイプと識別マーク44の有無が示す抗磁力タイプが異なる場合、制御部100は、通帳42はいずれかが示す抗磁力タイプであると再度判定する。このとき、制御部100は、抗磁力識別情報および識別マーク44の有無のいずれかが示す抗磁力タイプを優先させてもよい。他にも、抗磁力識別情報が示す抗磁力タイプと識別マーク44の有無が示す抗磁力タイプが異なる場合、制御部100は、通帳42はS210またはS220で判定した抗磁力タイプとは異なる抗磁力タイプである、と再度判定してもよい。
【0101】
そして、自動取引装置10は、再度判定した抗磁力タイプに適する電流値で、磁気ストライプ46に磁気書き込み処理を行う。
【0102】
以上説明したように、本変形例に係る自動取引装置10は、識別マーク44を読み取った段階での比較結果に基づいて、リトライ処理を制御することができる。
【0103】
以上、変形例1に係る自動取引装置10の動作処理を説明した。
【0104】
<3.第3の実施形態>
本実施形態では、リトライ処理において低抗磁力タイプの通帳42であると再度判定された場合に、高抗磁力タイプの通帳42への繰り越しを行う。本実施形態に係る自動取引装置10の構成は、上記第1の実施形態において説明した通りであるため、ここでの詳細な説明は省略する。以下、
図12を参照して、本実施形態に係る自動取引装置10の動作処理について説明する。なお、本実施形態では、
図9を参照して上記説明した第2の実施形態に係る動作と同様に動作し、ステップS230のリトライ処理において、
図10を参照して上記説明した動作に代えて、
図12を参照して以下説明する動作を行う。
【0105】
図12は、第3の実施形態に係る自動取引装置10のリトライ処理を示すフローチャートである。
図12に示したように、まず、ステップS400で、制御部100は、識別マーク44の有無を判定する。
【0106】
識別マーク44が有ると判定した場合(S400/YES)、ステップS402で、制御部100は、通帳42が高抗磁力タイプであると判定する。そして、ステップS408で、磁気ストライプ処理部108は、高抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に取引内容の書き込みを再度行う。
【0107】
識別マーク44が無いと判定した場合(S400/NO)、ステップS412で、制御部100は、通帳42が低抗磁力タイプであると判定する。
【0108】
そして、ステップS414で、自動取引装置10は、高抗磁力タイプの通帳42への繰越処理を行う。より詳しくは、自動取引装置10は、顧客により挿入された通帳42を一時保留部156に保留しておき、媒体繰り出し部104により通帳カセット148から未使用の高抗磁力タイプの通帳42を繰り出す。次いで、ステップS416で、印字部124は、未使用の高抗磁力タイプの通帳42に発行情報および取引内容の印字を行う。次に、ステップS418で、磁気ストライプ処理部108は、高抗磁力に適した電流値で、磁気ストライプ46に発行情報および取引内容の書き込みを行う。その後、自動取引装置10は、一時保留部156に保留した顧客により挿入された通帳42を返却すると共に、繰り越した高抗磁力タイプの通帳42を新規発行する。
【0109】
なお、ステップS414において、自動取引装置10は、顧客に対して高抗磁力タイプの通帳42への繰り越しを希望するか否かを選択させてもよい。そして、自動取引装置10は、顧客が繰り越しを希望した場合に高抗磁力タイプの通帳42への繰り越しを行い、希望しない場合には低抗磁力タイプの通帳42のまま、低抗磁力に適した電流値での再度の磁気書き込み処理を行ってもよい。
【0110】
以上説明したように、本実施形態に係る自動取引装置10は、リトライ処理において低抗磁力タイプであると判定された場合に、高抗磁力タイプの通帳42への繰り越しを行うことができる。このため、自動取引装置10は、高抗磁力タイプの通帳42の普及に寄与することができる。
【0111】
以上、第3の実施形態に係る自動取引装置10の動作処理を説明した。
【0112】
<4.まとめ>
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る自動取引装置10は、磁気データのみからでは判定が困難な場合であっても、識別マーク44に基づいた判定を行うことで、上位装置に問い合わせることなく磁気ストライプ46の抗磁力を判定することができる。
【0113】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0114】
例えば、上記実施形態では、本発明の一実施形態として自動取引装置10に適用した例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明の一実施形態として、通帳記帳機、通帳発行機、通帳証書発行装置、通帳記帳繰越機、通帳伝票プリンタ等の媒体処理装置に適用してもよい。
【0115】
また、情報処理装置に内蔵されるCPU、ROM及びRAM等のハードウェアに、上述した自動取引装置10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体も提供される。