特許第6040841号(P6040841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000002
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000003
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000004
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000005
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000006
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000007
  • 特許6040841-静電容量式スイッチ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040841
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】静電容量式スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20161128BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01H36/00 F
   H01H36/00 J
   H01H9/18 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-76203(P2013-76203)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-203542(P2014-203542A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 義英
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−312123(JP,A)
【文献】 特開平03−225719(JP,A)
【文献】 特開2007−242571(JP,A)
【文献】 特開2005−317422(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/058841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
H01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体(F)により接触操作される操作面(11a、11b)を形成する操作プレート(10)と、
前記操作プレートに対して前記操作面の反対側に配置される電極板(14)と、
前記操作体と前記電極板との間で生じる静電容量の変化に応じて、前記操作面が接触操作されたか否かを判定する判定回路(22)と、
前記電極板に接続され、前記判定回路へ信号を出力する配線(15)と、
前記電極板の外周部(14a)に配置され、前記操作プレートに比べて誘電率の高い高誘電率材(30)と、
を備え、
前記操作プレート、前記電極板前記配線および前記高誘電率材は、互いに一体成形された多色成形品であることを特徴とする静電容量式スイッチ。
【請求項2】
前記高誘電率材は、前記外周部の全体に配置されて前記電極板を取り囲む形状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の静電容量式スイッチ。
【請求項3】
前記高誘電率材は、前記電極板の板面と水平な方向のうち前記電極板から離れる向きに延出する延出部(30p)を有することを特徴とする請求項またはに記載の静電容量式スイッチ。
【請求項4】
前記配線は、前記電極板を取り囲むように環状に延びる環状部(15a)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電容量式スイッチ。
【請求項5】
前記電極板は透光性を有する材質で形成され、
前記操作プレートを前記操作面の反対側から透過照明する光源(23)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電容量式スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作体(例えばユーザの指先)で接触操作することにより生じる静電容量変化に応じてオンオフ作動する、静電容量式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの指先により接触操作される操作面を表面に形成する操作プレートと、操作プレートの裏面に貼り付けられた電極シートと、を備えた静電容量式スイッチが開示されている。電極シートは、可撓性を有するフィルムに電極および配線を蒸着して構成されており、電極は、操作面に対向して配置されている。
【0003】
指先と電極との間で生じる静電容量の変化を表した検出信号は、電極に接続された配線を通じて判定回路へ出力され、判定回路は、この検出信号に基づき操作面が接触操作されたか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−113893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成では、操作プレートに電極シートを貼り付ける作業が必要となり、この貼り付け作業が製造コスト低減の妨げとなっている。特に、電極シートとともに操作プレートに照明光を透過させて操作面を透過照明する構造の場合には、電極シートと操作プレートとの接着面に気泡が生じないように貼り付け作業を実施しなければならないので、貼り付け作業の手間が大きい。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、その目的は、電極シートの貼り付け作業を不要にした静電容量式スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示されたひとつの発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示された発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
上記目的を達成する発明は以下の点を特徴とする。すなわち、操作体(F)により接触操作される操作面(11a、11b)を形成する操作プレート(10)と、操作プレートに対して操作面の反対側に配置される電極板(14)と、を備える。さらに上記発明は、操作体と電極板との間で生じる静電容量の変化に応じて、操作面が接触操作されたか否かを判定する判定回路(22)と、電極板に接続され、判定回路へ信号を出力する配線(15)と、電極板の外周部(14a)に配置され、操作プレートに比べて誘電率の高い高誘電率材(30)と、を備える。そして、操作プレート、電極板配線および高誘電率材は、互いに一体成形された多色成形品であることを特徴とする。
【0009】
これによれば、電極板および配線は、操作プレートとともに多色成形されるので、電極板および配線が操作プレートに一体化され、電極板および配線を操作プレートに貼り付ける作業を不要にできる。よって、従来必要であった電極シートの貼り付け作業を不要にでき、静電容量式スイッチの製造コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る静電容量式スイッチの全体図であって、図2のI−I断面図。
図2図1のII矢視図。
図3】本発明の第2実施形態に係る静電容量式スイッチの断面図。
図4】本発明の第3実施形態に係る静電容量式スイッチの全体図であって、図5のIV−IV断面図。
図5図4のV矢視図。
図6】本発明とは異なり高誘電率材を配置しない場合の比較例を示す図。
図7】第3実施形態の構造において、電極板から出る電気力線の分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示す操作プレート10は、板状の基板13と、透光性を有する樹脂で形成された操作部13aとを備えて構成されている。これらの樹脂材料の具体例としては、PC(ポリカーボネート)、アクリル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)等が挙げられる。基板13および操作部13aは、多色成形により樹脂で一体に形成されている。なお、基板13には、透光性を有する材料を用いる必要はないが、透光性材料を用いた場合には遮光性を有する塗料を印刷することが望ましい。
【0013】
基板13および操作部13aの表面、つまり操作プレート10のうちユーザ側の面は、ユーザに視認される意匠面11である。そして、意匠面11のうち操作部13aの部分、およびその周囲の部分が操作面11a、11bとして機能する。操作面11a、11bは、ユーザの指先F(操作体)で接触操作されるものである。操作面11a、11bには、操作対象を表した文字や記号等が印刷されている。
【0014】
意匠面11には、3つ以上の操作面が限られた範囲に密集して配置されているが、図1では2つの操作面11a、11bを図示している。なお、図1の例では、2つの操作面11a、11bが並ぶ方向(図1の左右方向)において、2つの操作面11a、11bの間隔は、操作面11a、11bの長さよりも小さい。
【0015】
操作プレート10には電極板14が設けられている。電極板14は、透光性を有するとともに、基板13に比べて誘電率の高い材料で形成されている。電極板14を形成する材料の具体例としては、導電性を有する物質(例えばガラスフィラー、カーボンフィラー等)を樹脂(例えばポリカーボネート、アクリル、ABS等)に混入させたものが挙げられる。そして、電極板14は、基板13および操作部13aとともに、多色成形により樹脂で一体に形成されている。なお、電極板14は、意匠面11には露出しないように配置されている。また、電極板14と操作部13aとは、意匠面11に対して垂直な方向(図1の上下方向)に積層配置され、互いに接触している。
【0016】
操作プレート10の裏面12には、電極板14に接続された配線15が設けられている。この配線15は、導電性を有する材料で形成されており、基板13、操作部13aおよび電極板14とともに、多色成形により樹脂で一体に形成されている。なお、配線15は、電極板14に比べて誘電率が高い高誘電率材である。配線15には、透光性を有する材料を用いる必要はない。
【0017】
配線15の一端は電極板14に接続されている。配線15の他端は、接続配線(フラットケーブル21)を介して回路基板20に接続されている。これにより、電極板14から出力される検出信号は、配線15およびフラットケーブル21を通じて、回路基板20に実装されたマイクロコンピュータ(マイコン22)に入力される。この検出信号は、指先Fと電極板14との間で生じる静電容量の変化に応じた、電圧変化の信号である。なお、電極板14は、複数の操作面11a、11bの各々に対して配置されており、各々の電極板14から出力される検出信号がマイコン22に入力される。
【0018】
マイコン22は、検出信号に変化に基づき、操作面11a、11bに指先Fが接触したか否かを判定し、接触していると判定した場合には、操作対象に対してオン信号を出力し、操作対象が所望の作動をするように操作する。操作対象の具体例としては、車両に搭載された空調装置の起動、風量設定、温度設定、車両に搭載されたオーディオ装置の音量設定、選曲、車両に搭載されたナビゲート装置の目的地設定等が挙げられる。
【0019】
また、上記判定の具体例としては、検出信号が基準電圧に対して所定値以上変化した場合に、接触していると判定することが挙げられる。換言すれば、自己容量検出方式の原理にしたがって、先述した静電容量が所定量以上増大した場合に、接触していると判定する。
【0020】
より詳細に説明すると、操作面11a、11bに指先Fを接触させていない時には、電極板14の周辺にある回路基板20のグランドパターン等と電極板14との間に寄生容量が発生している。そして、導体である人体が仮想グランドに接地されているため、操作面11a、11bに指先Fを近づけると、電極板14と指先Fとの間に静電容量が発生する。これによる静電容量の増加量を測定する事により、指先Fの接近(接触操作)を感知する。なお、このように接触操作の有無を判定している時のマイコン22は「判定回路」に相当する。
【0021】
電極板14に対して意匠面11の反対側には、発光ダイオード等の光源23が配置されている。光源23は回路基板20の表側に実装されている。光源23は、各々の電極板14に対向して配置されている。光源23から出射した光は、図示しない導光部材により対応する電極板14に導かれ、その電極板14および操作部13aを透過する。そして、複数の操作面11a、11bのうち対応する操作面を透過することで、その操作面を透過照明する。
【0022】
図2に示すように、電極板14および操作部13aは矩形である。操作部13aは、電極板14の投影範囲に重なるように配置されている。「投影範囲」とは、電極板14の裏面14rから、該裏面14rに対して垂直な方向に操作プレート10を見た場合において、意匠面11のうち電極板14と重なる範囲のことである。配線15は、電極板14を取り囲むように環状に延びる環状部15aを有する。環状部15aの内周端面は電極板14の外周端面と接触している。配線15および電極板14は、操作プレート10の裏面12に露出している。
【0023】
以上により、本実施形態によれば、操作プレート10の基板11、電極板14および配線15を、多色成形で樹脂で一体に形成する。そのため、電極板14および配線15を操作プレート10に貼り付ける作業を不要にできる。よって、従来必要であった電極シートの貼り付け作業を不要にでき、静電容量式スイッチの製造コスト低減を図ることができる。
【0024】
さらに本実施形態では、配線15は、電極板14を取り囲む環状部15aを有する。そのため、電極板14の外周端面の全体と配線15は接触するようになるので、電極板14の外周端面の一部と接触する場合に比べて、接触面積を大きくできる。よって、電極板14と配線15との結合容量が大きくなるので、配線15により送信される検出信号の電圧変化を大きくできる。よって、操作面11aに軽く触れただけで、つまり、指先Fの操作面11aへの接触面積が小さい状態であっても、検出信号が基準電圧に対して所定値以上変化するようになる。よって、スイッチの感度を向上できる。
【0025】
さらに本実施形態では、操作プレート10の操作部13aおよび電極板14は、透光性を有する材質で形成されている。そのため、電極板14を基板13と樹脂で一体に形成しつつも、操作面11a、11bを透過照明することを実現できる。
【0026】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、透光性を有する材料で操作部13aを形成することで、光源23から出射した光が操作部13aを透過して透過照明するように構成している。これに対し、本実施形態では、操作部13aを廃止して、透光性を有する材料で基板13を形成し、意匠面11のうち特定範囲A、Bを除く部分に遮光性の塗料を印刷している。
【0027】
特定範囲A、Bは、電極板14の投影範囲に位置しており、基板13のうち特定範囲A、Bの部分が操作面11a、11bとして機能する。これにより、光源23から出射した光は、図示しない導光部材により対応する電極板14に導かれ、その電極板14および基板13を透過する。そして、複数の操作面11a、11bのうち対応する操作面を透過することで、その操作面を透過照明する。
【0028】
以上により、遮光性を有する基板13を採用して電極板14、配線15および基板13を多色成形した場合であっても、意匠面11に遮光性の印刷を施すことで、透過照明する構成が実現可能になる。
【0029】
(第3実施形態)
図4および図5に示す本実施形態では、図1に示す第1実施形態の構造に、以下に説明する高誘電率材30をさらに追加したものである。また、上記第1実施形態に係る配線15は環状部15aを有するのに対し、本実施形態では環状部15aを廃止している。
【0030】
高誘電率材30は、基板13に比べて誘電率の高い材料で形成されている。具体的には、樹脂よりも高誘電率の物質(例えばガラスフィラー、カーボンフィラー等)を樹脂(例えばポリカーボネート、アクリル等)に混入させて高誘電率材30を形成する。
【0031】
高誘電率材30は、電極板14の外周部14aに配置されている。「外周部14a」とは、電極板14の裏面14r(電極板14のうち意匠面11の反対側の面)のうち、電極板14の外周端面14bと隣接する所定範囲の部分のことを言う。したがって、電極板14の外周部14aの形状は環状であり、本実施形態では、外周部14aの全体を覆うように高誘電率材30は配置されている。但し、電極板14の裏面14rの中央部分であって、外周部14a以外の部分の一部については、高誘電率材30は配置されていない。換言すれば、本実施形態に係る高誘電率材30は環状に形成されている。
【0032】
さらに厳密に説明すると、高誘電率材30は、電極板14の裏面14rと水平な方向(図4の左右方向)のうち外周端面14bから離れる向きに延出する延出部30pを有する。換言すれば、図2の如く電極板14の板面に垂直な方向から見て、高誘電率材30の外周端部30aは、電極板14の外周端面14bの外側に位置する。また、高誘電率材30は、電極板14の外周端面14bの全体を覆う形状である。
【0033】
次に、高誘電率材30を配置することによる作用効果について、図6および図7を用いて説明する。なお、図6中の点線は、本発明に反して高誘電率材を廃止した場合の電気力線分布を示し、図7中の点線は、本実施形態の場合における電気力線分布を示す。両図に示すように、電極板14から出る電気力線は、表面14fと裏面14rの両方から出る。表面14fから出る電気力線は、基板13を介して、電極として機能する指先Fに通じる。一方、裏面14rから出る電気力線の一部は、空気中に出てから指先Fに向かう経路となる。
【0034】
そして、空気は誘電率が極めて低いので、図7に示す如く電極板14の外周部14aに高誘電率材30が配置されていると、空気中の電気力線は高誘電率材30に強く引き寄せられることとなる。そのため、裏面14rから出た電気力線がUターンして指先Fへ向かうにあたり、高誘電率材を廃止した図6の場合に比べて図7の場合にはUターンすることが促進される。よって、裏面14rから出た電気力線の、対応する操作面11aに接触する指先Fへ向かう指向性が強くなるとともに、その指先Fに通じる電気力線の本数が増大する。
【0035】
以上により、本実施形態によれば、電極板14の外周部14aに高誘電率材30を配置することにより、裏面14rから出た電気力線の、対応する操作面11aへの指向性が強くなる。そのため、隣の操作面11bに接触させている指先との間で電極板14の検出信号が変化することを抑制できる。よって、ユーザの意図しない隣の操作面に対応する操作対象がオン作動するといった誤作動を抑制できる。
【0036】
しかも、上述の如く指向性が強くなることに起因して、対応する操作面11aに接触する指先Fに通じる電気力線の本数が増大するので、操作面11aに指先Fを接触した場合に生じる電極板14の検出信号の変化を大きくできる。よって、操作面11aに軽く触れただけで、つまり、指先Fの操作面11aへの接触面積が小さい状態であっても、検出信号が基準電圧に対して所定値以上変化するようになる。よって、スイッチの感度を向上できる。
【0037】
さらに本実施形態では、高誘電率材30を、外周部14aの全体に配置して電極板14を取り囲む形状に形成している。そのため、外周部14aの一部にだけ高誘電率材30を配置した場合に比べて、先述した指向性向上および電気力線の本数増大の作用を大きくできる。よって、誤作動抑制および感度向上の効果が促進される。
【0038】
さらに本実施形態では、高誘電率材30は、電極板14の外周端面14bから離れる向きに延出する延出部30pを有する。そのため、延出部30pの裏面(図7に示す延出部裏面30b)と指先Fとの間に電極板14が位置しなくなるので、延出部裏面30bから出る電気力線が直線的に指先Fへ向かうことを促進できる。よって、高誘電率材30に引き寄せられた電気力線の、対応する操作面11aへの指向性を向上できる。よって、誤作動抑制の効果が促進される。
【0039】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0040】
・上記第1実施形態では、配線15は導電体であり、電極板14は配線15よりも誘電率の低い材料で形成されている。これに対し、電極板14も導電体で形成してもよく、この場合には、電極板14と配線15を同じ材料で形成して、多色成形の作業性向上を図るようにしてもよい。
【0041】
・上記各実施形態では、意匠プレート10が肉厚均一の平板形状であるため、操作面11a、11bと電極板14との距離を均一に保つことができている。これに対し、意匠プレート10が肉厚不均一であったり、凹凸を有する形状であったりする場合の如く、操作面11a、11bと電極板14との距離を均一に保つことができない場合でも、本発明は適用可能である。そして、このような場合には、第3実施形態に係る高誘電率材30の形状および大きさを調節することで、所望の静電容量変化になるように調整することができる。
【0042】
・上記各実施形態では、操作面11a、11bを透過照明する構成にしているが、透過照明の構成を廃止して、透光性を有していない材料で電極板14を形成してもよい。
【0043】
・上記第1実施形態では、電極板14の形状および大きさが操作面11a、11bと同一であるが、異なっていても良い。この場合、操作面11a、11bの投影範囲の全面を覆いつつ、その投影範囲よりも大きい形状に電極板14を形成してもよいし、投影範囲の一部を覆う形状に電極板14を形成してもよい。
【0044】
図5に示す例では、高誘電率材30は電極板14の一部を覆う範囲に配置されているが、全面を覆う範囲に配置されていてもよい。
【0045】
・上記第3実施形態では、高誘電率材30が延出部30pを有しており、高誘電率材30の外周端部30aが、電極板14の外周端面14bの外側に位置している。これに対し、延出部30pを有していない高誘電率材30を用いて、外周端部30aを外周端面14bに位置させる、または外周端面14bの内側に位置させるようにしてもよい。
【0046】
・上記各実施形態では、ユーザの指先Fを操作面11a、11bに接触させて操作することを想定しており、指先Fを操作体としている。これに対し、例えばペン形状の操作部材をユーザが持ち、その操作部材を操作面11a、11bに接触させて操作することを想定し、人体以外の操作部材を操作体としてもよい。
【0047】
・上記各実施形態では、操作面11a、11bが複数設けられた静電容量式スイッチに本発明を適用しているが、操作面が1つ設けられた静電容量式スイッチに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…操作プレート、11a、11b…操作面、14…電極板、14a…電極板の外周部、15…配線、22…マイコン(判定回路)、30…高誘電率材、30p…延出部、F…ユーザの指先(操作体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7