(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
光通信モジュール等の光学装置を作製する際には、光学部品間にレンズやプリズム等を設けることなく、微細な光学部品同士を接着剤により接着することにより作製する方法がある。このような、光学部品を接着する接着剤としては、熱により硬化する熱硬化樹脂を用いたもの、紫外線や可視光を照射することにより硬化する熱硬化樹脂を用いたもの等がある。
【0003】
ところで、光学部品同士を接着する際には、一般的には、一方の光学部品の接着面に接着剤を供給し、供給された接着剤の上に、他方の光学部品を載置した後、硬化させることにより接着がなされる。光学部品同士を接着することにより作製される光学装置においては、小型化や高集積化等が求められているため、過不足なく接着剤を供給することが求められている。しかしながら、一般的なディスペンサ等により接着剤を供給する場合には、一定量の接着剤を安定的に供給することは極めて困難である。
【0004】
例えば、
図1から
図3に示されるように、ディスペンサ920のノズル920aにより、光学部品910の接着面に、接着剤930を供給する場合について考える。この場合、
図1に示されるように、光学部品910の接着面に供給される接着剤930の供給量が適正量であることが好ましい。尚、
図1は、この場合における説明図である。即ち、
図1(a)は、接着剤930を供給する前のディスペンサ920の状態を示し、
図1(b)は、接着剤930を供給した後のディスペンサ920の状態を示し、
図1(c)は、光学部品910の接着面に供給された接着剤930の状態を示す。
【0005】
しかしながら、
図2に(b)示されるように、ディスペンサ920のノズル920aより、接着剤930が過剰に引っ張り出される場合がある。この場合、
図2(c)に示されるように、光学部品910の接着面に供給される接着剤930の供給量が適正量よりも多くなる。このように、光学部品910の接着面に供給される接着剤930が適正量よりも多い場合には、接着剤のはみ出し量が多くなるため、はみ出した接着剤930の広がる領域等を考慮して設計する必要があり、光学装置を小型化にすることが困難となる。また、接着剤930のはみ出し量が多いと、光学装置の外観や形状等を損なうため、不良となる場合があり、歩留りの低下を招く。尚、
図2は、この場合における説明図である。即ち、
図2(a)は、接着剤930を供給する前のディスペンサ920の状態を示し、
図2(b)は、接着剤930を供給した後のディスペンサ920の状態を示し、
図2(c)は、光学部品910の接着面に供給された接着剤930の状態を示す。
【0006】
また、
図3(b)に示されるように、ディスペンサ920のノズル920aに、接着剤930の一部が残る場合や、
図3(c)に示されるように、ディスペンサ920のノズル920aの周囲に、接着剤930が回り込む場合がある。この場合、光学部品910の接着面に供給される接着剤930の供給量は適正量よりも少なくなる。このように、光学部品910の接着面に供給される接着剤930の供給量が適正量よりも少ない場合には、接着剤による接着が十分ではなく、強度が低くなり、信頼性の低下や歩留りの低下を招く。尚、
図3は、この場合における説明図である。即ち、
図3(a)は、接着剤930を供給する前のディスペンサ920の状態を示し、
図3(b)及び(c)は、接着剤930を供給した後のディスペンサ920の状態を示し、
図3(d)は、光学部品910の接着面に供給された接着剤930の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
ところで、できるだけ所定量の接着剤を安定的に供給する方法としては、
図4(a)に示されるように、第1の光学部品10の接着面に、ディスペンサ40により、微少量の接着剤30を複数回に分けて供給する方法が考えられる。このように、微少量の接着剤30を複数回に分けて供給することにより、接着剤を一度に供給する場合に比べて、供給される接着剤のバラツキを少なくすることができ、所定量の接着剤をできるだけ均一に供給することができる。この場合、供給される接着剤30は、供給された接着剤30同士が、接触しないように、一定の長さ以上の間隔で供給することが好ましい。これは、接着剤30を供給する際に、既に供給されている接着剤30と接触してしまうと、接着剤30の表面張力等の影響により、供給される接着剤30の量にバラツキが生じやすくなるからである。尚、
図4は、この場合における説明図であり、
図4(a)は、接着剤30をディスペンサ40により供給している様子を示し、
図4(b)は、第1の光学部品10の接着面に供給された接着剤30の状態を示す。
【0014】
しかしながら、第1の光学部品10の接着面に、ディスペンサ40により、微少量の接着剤30を複数回に分けて供給すると、接着後の接着剤30の内部に気泡等が発生する場合があり、この場合には不良となるため、歩留りの低下を招いてしまう。具体的には、
図5(a)に示されるように、第1の光学部品10の接着面に、複数の微少量の接着剤30を供給し、第2の光学部品20を載置して接着した場合、
図5(b)及び(c)に示されるように、接着剤30の内部に気泡31が発生する場合がある。このように、接着剤30の内部に気泡31が発生すると、接着剤30による接着強度の低下や、気泡31により特性が低下し不良となるため、歩留りの低下を招く。
【0015】
このように、接着剤30の内部に気泡31が生じる理由としては、第1の光学部品10の接着面に、所定の間隔を隔てて供給された微少量の接着剤30が、接着の際に均一に広がるように、濡れ広がらないためと考えられる。尚、
図5は、この場合における説明図であり、
図5(a)は、第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着前の状態を示し、
図5(b)は、第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着後の上面図、
図5(c)は、接着後の側面図を示す。
【0016】
また、第1の光学部品10に供給される接着剤30が所定量であっても、所定の位置とはずれた位置に接着剤30が供給されると、第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着強度の低下や、接着位置の位置ズレ等が生じる場合がある。具体的には、
図6に示されるように、接着剤30が所定の位置とずれた位置に供給されると、第2の光学部品20の接着面積が狭くなり、接着強度が低下する場合がある。また、接着剤30を硬化させる際に生じる硬化収縮により、第2の光学部品20が接着剤30の多く供給されている側に引っ張られるため、第1の光学部品10に対して第2の光学部品20の接着位置がずれる場合がある。このように、第1の光学部品10に対して第2の光学部品20の接着位置がずれてしまうと、所望の特性を得ることができず不良となるため、歩留りの低下を招く。尚、
図6は、この場合における説明図であり、
図6(a)は、この場合における第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着後の上面図、
図6(b)は、接着後の側面図を示す。
【0017】
(接着装置)
次に、第1の実施の形態における接着剤による接着方法に用いられる接着装置について説明する。第1の光学部品10は、接着面が略正方形または略長方形の形状により形成されており、接着面に接する4つの側面を有している。本実施の形態における接着装置は、
図7に示すように、表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)を発生させる4つの表面弾性波発生部を有している。即ち、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140を有している。これらは、
図7に示される場合では、第1の光学部品10の左側に第1の表面弾性波発生部110、右側に第2の表面弾性波発生部120、上側に第3の表面弾性波発生部130、下側に第4の表面弾性波発生部140が設置されている。このように、第1の表面弾性波発生部110と第2の表面弾性波発生部120は、第1の光学部品10をはさみ、第1の光学部品10における対向する側面に設置されている。また、第3の表面弾性波発生部130と第4の表面弾性波発生部140は、第1の光学部品10をはさみ、第1の光学部品10における残りの対向する側面に設置されている。尚、第1の光学部品10の接着面には、
図7に示されるように、分離して微少量の接着剤230a、230b、230cが供給されている。
【0018】
次に、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140の設置方法について説明する。最初に、
図8に示されるように、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140の間に第1の光学部品10を設置する。次に、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140を第1の光学部品10に近づけることにより、各々を第1の光学部品10の側面に接触させる。これにより、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140を設置する。
【0019】
第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140は、各々圧電基板と、圧電基板に設けられた櫛形電極を有している。具体的には、第1の表面弾性波発生部110は、圧電基板111と圧電基板111に設けられた櫛形電極112を有している。第2の表面弾性波発生部120は、圧電基板121と圧電基板121に設けられた櫛形電極122を有している。第3の表面弾性波発生部130は、圧電基板131と圧電基板131に設けられた櫛形電極132を有している。第4の表面弾性波発生部140は、圧電基板141と圧電基板141に設けられた櫛形電極142を有している。尚、本実施の形態における櫛形電極は、交差指状電極(IDT:Inter Digital Transducer)とも呼ばれている。
【0020】
第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140においては、各々の櫛形電極に、所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板において表面弾性波を発生させることができる。このように、発生された表面弾性波は、接触している第1の光学部品10に伝達され、第1の光学部品10の表面に供給されている硬化される前の状態の液体の接着剤230a、230c等に対し、斥力として働く。
【0021】
よって、本実施の形態においては、
図9に示されるように、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130、第4の表面弾性波発生部140により、分離して供給された接着剤を1つの塊にすることができる。即ち、
図7に示されるように、分離して供給された接着剤230a、230b、230cを表面弾性波により移動させて接触させることにより、
図9に示されるように、1つ接着剤230の塊とすることができる。このように、分離して供給された接着剤230a、230b、230cを1つの接着剤230の塊にすることにより、
図5(b)及び(c)に示されるように、接着剤30の内部に、気泡31が発生することを防ぐことができる。
【0022】
(接着方法)
次に、本実施の形態における接着剤による接着方法について
図10から
図12に基づき説明する。尚、本実施の形態においては、第1の光学部品10は、PLC(Planar Lightwave Circuit)等の光導波路等が形成されている光学部品であり、第2の光学部品20は、フォトダイオード、半導体レーザ、光ファイバ等である。また、本実施の形態において用いた接着剤は、紫外線等の光を照射することにより硬化し、接着剤として機能するものである。具体的には、例えば、光路結合用接着剤と呼ばれるものである。
【0023】
最初に、
図10(a)に示すように、第1の光学部品10の側面に接触するように、第1の表面弾性波発生部110、第2の表面弾性波発生部120、第3の表面弾性波発生部130及び第4の表面弾性波発生部140を設置する。この後、第1の光学部品10に複数の微少量の接着剤230a、230b、230cを供給する。接着剤230a、230b、230cの供給方法は、
図4に示される方法により、微少量の接着剤230a、230b、230cを複数回に分けて供給する。
【0024】
次に、
図10(b)に示すように、第2の表面弾性波発生部120において表面弾性波を発生させる。具体的には、第2の表面弾性波発生部120の櫛形電極122に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板121に表面弾性波を発生させる。このように、第2の表面弾性波発生部120において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10に伝達される。
【0025】
次に、
図10(c)に示すように、第2の表面弾性波発生部120において発生させた表面弾性波により、第1の光学部品10の表面に供給されている接着剤230cが接着剤230bの側に移動し、接着剤230cと接着剤230bとが接触する。第2の表面弾性波発生部120において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10における液体の接着剤230cに対し斥力として働くため、接着剤230cを接着剤230bの側に移動させることができる。これにより、接着剤230cと接着剤230bとを接触させる。尚、本実施の形態においては、接着剤230cと接着剤230bとが接触するように、第2の表面弾性波発生部120の櫛形電極122に印加される周波数及び電圧の調整がなされている。
【0026】
次に、
図11(a)に示すように、第1の表面弾性波発生部110において表面弾性波を発生させる。具体的には、第1の表面弾性波発生部110の櫛形電極112に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板111に表面弾性波を発生させる。このように、第1の表面弾性波発生部110において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10に伝達される。
【0027】
次に、
図11(b)に示すように、第1の表面弾性波発生部110において発生させた表面弾性波により、第1の光学部品10の表面に供給されている接着剤230aが接着剤230bの側に移動し、接着剤230aと接着剤230bとが接触する。第1の表面弾性波発生部110において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10における液体の接着剤230aに対し斥力として働くため、接着剤230aを接着剤230bの側に移動させることができる。これにより、接着剤230aと接着剤230bとを接触させる。尚、本実施の形態においては、接着剤230aと接着剤230bとが接触するように、第1の表面弾性波発生部110の櫛形電極112に印加される周波数及び電圧の調整がなされている。
【0028】
次に、
図11(c)に示すように、接着剤同士が接触、即ち、接着剤230cと接着剤230bとが接触し、接着剤230aと接着剤230bとが接触することにより、接着剤230a、接着剤230b及び接着剤230cは、1つの塊の接着剤230となる。
【0029】
次に、
図12(a)に示すように、第3の表面弾性波発生部130における櫛形電極132に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板141において表面弾性波を発生させる。または、
図12(b)に示すように、第4の表面弾性波発生部140における櫛形電極142に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板141において表面弾性波を発生させる。このように、第3の表面弾性波発生部130において発生させた表面弾性波、または、第4の表面弾性波発生部140において発生させた表面弾性波により、第1の光学部品10の接着面において、1つの塊となった接着剤230を所定の位置に移動させる。これにより、第1の光学部品10の接着面において、1つの塊となった接着剤230の位置の微調整を行う。
【0030】
次に、
図12(c)に示すように、1つの塊となった接着剤230の上に、第2の光学部品20を載置した後、紫外線等の光を照射して硬化させることにより、第1の光学部品10と第2の光学部品20とを接着剤230により接着する。
【0031】
本実施の形態においては、微少量の接着剤を複数回に分けて供給することにより、接着剤の供給量を略一定にすることができる。また、第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着の際には、接着剤230は1つの塊となっているため、接着剤230の内部に気泡等が発生することはなく、高い歩留りで接着を行うことができる。
【0032】
尚、本実施の形態において、複数の微少量の接着剤230a、230b、230cを1つの塊の接着剤230にする際には、第1の表面弾性波発生部110及び第2の表面弾性波発生部120の2つの表面弾性波発生部が用いられる。
【0033】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の光学部品10が異なる材料を接合することにより形成されている場合の接着方法である。具体的には、第1の光学部品10がPLC等であって、2種類の異なる材料を接合することにより形成されている場合であって、供給された接着剤の濡れ性が、2種類の異なる材料において異なる場合の接着方法である。ここで、第1の光学部品10が、シリコン10aと酸化シリコン等を含むガラス10bとが接合されている場合について考える。この場合、供給された接着剤30は、
図13に示されるように、均等であることが好ましいが、実際には、接着剤30における濡れ性が、シリコン10aとガラス10bとで異なるため、
図14に示されるように、接着剤30は、シリコン10a側の方に多く偏る。即ち、接着剤30における濡れ性がシリコン10aとガラス10bとでは異なるため、供給された接着剤30は、ガラス10b側ではじかれ、シリコン10a側に多くなり偏る。尚、
図13(a)は上面図であり、
図13(b)は側面図である。また、
図14(a)は上面図であり、
図14(b)は側面図である。
【0034】
このように、接着剤30が偏っている場合、
図15に示されるように、接着剤30を硬化させると硬化収縮により、接着剤30が多く偏っているシリコン10a側に引っ張られて、第2の光学部品20が動く。即ち、第1の光学部品10の上に、接着剤30を介し、所定の位置に第2の光学部品20を載置しても、接着剤30の硬化収縮により、第2の光学部品20の位置が動くと、第2の光学部品20が所定の接着位置からずれた位置で接着される。このように、第1の光学部品10と第2の光学部品20とが所定の接着位置からずれた位置で接着されると、所望の特性を得ることができないため不良となる。尚、
図15は、この場合の説明図であり、
図15(a)は、第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着後の上面図を示し、
図15(b)は接着後の側面図を示す。
【0035】
(接着装置)
次に、第2の実施の形態における接着剤による接着方法に用いられる接着装置について説明する。本実施の形態における接着装置は、
図16に示すように、表面弾性波(SAW)を発生させる6つの表面弾性波発生部を有している。即ち、第1の表面弾性波発生部310、第2の表面弾性波発生部320、第3の表面弾性波発生部330、第4の表面弾性波発生部340、第5の表面弾性波発生部350、第6の表面弾性波発生部360を有している。具体的には、
図16に示されるように、第1の光学部品10の左側の側面に接触して、第1の光学部品10のシリコン10a側に第1の表面弾性波発生部310が設置され、ガラス10b側に第2の表面弾性波発生部320が設置されている。また、第1の光学部品10の右側の側面に接触して、第1の光学部品10のシリコン10a側に第3の表面弾性波発生部330が設置され、ガラス10b側に第4の表面弾性波発生部340が設置されている。更に、第1の光学部品10の上側のシリコン10a側の側面に接触して、第5の表面弾性波発生部350が設置され、下側のガラス側10bに接触して、第6の表面弾性波発生部360が設置されている。
【0036】
即ち、第1の表面弾性波発生部310と第3の表面弾性波発生部330は、第1の光学部品10のシリコン10a側において、シリコン10aをはさみ対向する側面に設置されている。また、第2の表面弾性波発生部320と第4の表面弾性波発生部340は、第1の光学部品10のガラス10b側において、ガラス10bをはさみ対向する側面に設置されている。また、第5の表面弾性波発生部350と第6の表面弾性波発生部360は、第1の光学部品10において、第1の光学部品10をはさみ残りの対向する側面に設置されている。尚、
図16では、第1の光学部品10の接着面おいて、接着剤230が1つの塊となっている状態を示す。
【0037】
第1の表面弾性波発生部310、第2の表面弾性波発生部320、第3の表面弾性波発生部330、第4の表面弾性波発生部340、第5の表面弾性波発生部350、第6の表面弾性波発生部360は、各々圧電基板と、圧電基板に設けられた櫛形電極を有している。具体的には、第1の表面弾性波発生部310は、圧電基板311と圧電基板311に設けられた櫛形電極312を有している。第2の表面弾性波発生部320は、圧電基板321と圧電基板321に設けられた櫛形電極322を有している。第3の表面弾性波発生部330は、圧電基板331と圧電基板331に設けられた櫛形電極332を有している。第4の表面弾性波発生部340は、圧電基板341と圧電基板341に設けられた櫛形電極342を有している。第5の表面弾性波発生部350は、圧電基板351と圧電基板351に設けられた櫛形電極352を有している。第6の表面弾性波発生部360は、圧電基板361と圧電基板361に設けられた櫛形電極362を有している。
【0038】
第1の表面弾性波発生部310、第2の表面弾性波発生部320、第3の表面弾性波発生部330、第4の表面弾性波発生部340においては、各々の櫛形電極に、所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板において表面弾性波を発生させることができる。同様に、第5の表面弾性波発生部350、第6の表面弾性波発生部360においては、各々の櫛形電極に、所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板において表面弾性波を発生させることができる。このように、発生した表面弾性波は、接触している第1の光学部品10に伝達され、第1の光学部品10の接着面における硬化する前の状態の液体の接着剤に対し、斥力として働く。
【0039】
よって、本実施の形態においては、第1の表面弾性波発生部310、第2の表面弾性波発生部320、第3の表面弾性波発生部330、第4の表面弾性波発生部340により、分離して供給された接着剤を1つの塊にすることができる。また、第1の光学部品10の接着面において、接着剤の濡れ性が異なる部分が存在している場合であっても、第5の表面弾性波発生部350、第6の表面弾性波発生部360により、接着剤が偏ることを防ぎ、均一にすることができる。
【0040】
(接着方法)
次に、本実施の形態における接着剤による接着方法について
図17から
図19に基づき説明する。
【0041】
最初に、
図17(a)に示すように、第1の光学部品10の側面に接触するように、各々の表面弾性波発生部を設置し、第1の光学部品10の接着面に複数の微少量の接着剤230a、230b、230cを供給する。具体的には、第1の光学部品10のシリコン10a側の側面に接触するように、第1の表面弾性波発生部310、第3の表面弾性波発生部330及び第5の表面弾性波発生部350を設置する。同様に、第1の光学部品10のガラス10b側の側面に接触するように、第2の表面弾性波発生部320、第4の表面弾性波発生部340及び第6の表面弾性波発生部360を設置する。この後、第1の光学部品10の接着面に複数の微少量の接着剤230a、230b、230cを供給する。接着剤230a、230b、230cの供給方法は、
図4に示される方法により、微少量の接着剤230a、230b、230cを複数回に分けて供給する。
【0042】
次に、
図17(b)に示すように、第3の表面弾性波発生部330及び第4の表面弾性波発生部340において表面弾性波を発生させる。具体的には、第3の表面弾性波発生部330の櫛形電極332に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板331に表面弾性波を発生させる。また、第4の表面弾性波発生部340の櫛形電極342に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板341に表面弾性波を発生させる。尚、本実施の形態においては、第3の表面弾性波発生部330の櫛形電極332に印加される周波数及び電圧と、第4の表面弾性波発生部340の櫛形電極342に印加される周波数及び電圧とは異なっている。即ち、第1の光学部品10におけるシリコン10aとガラス10bとは、物性値が異なっていることから、各々に適した周波数及び電圧を印加されるため、印加される周波数及び電圧は異なっている。具体的には、第3の表面弾性波発生部330の櫛形電極332には、シリコン10aに対応した周波数及び電圧が印加され、第4の表面弾性波発生部340の櫛形電極342には、ガラス10bに対応した周波数及び電圧が印加される。このように、第3の表面弾性波発生部330において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10におけるシリコン10aに伝達され、第4の表面弾性波発生部340において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10におけるガラス10bに伝達される。
【0043】
次に、
図17(c)に示すように、第3の表面弾性波発生部330及び第4の表面弾性波発生部340において発生させた表面弾性波により、第1の光学部品10の表面に供給されている接着剤230cが接着剤230bの側に移動する。これにより、接着剤230cと接着剤230bとが接触する。第3の表面弾性波発生部330及び第4の表面弾性波発生部340において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10における液体の接着剤230cに対し斥力として働くため、接着剤230cを接着剤230bの側に移動させることができる。これにより、接着剤230cと接着剤230bとを接触させる。尚、本実施の形態においては、接着剤230cと接着剤230bとが接触するように、第3の表面弾性波発生部330の櫛形電極332及び第4の表面弾性波発生部340の櫛形電極342に印加される周波数及び電圧の調整がなされている。
【0044】
次に、
図18(a)に示すように、第1の表面弾性波発生部310及び第2の表面弾性波発生部320において表面弾性波を発生させる。具体的には、第1の表面弾性波発生部310の櫛形電極312に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板311に表面弾性波を発生させる。また、第2の表面弾性波発生部320の櫛形電極322に所定の周波数の電圧を印加することにより、圧電基板321に表面弾性波を発生させる。尚、本実施の形態においては、第1の表面弾性波発生部310の櫛形電極312に印加される周波数及び電圧と、第2の表面弾性波発生部320の櫛形電極322に印加される周波数及び電圧とは異なっている。即ち、第1の光学部品10におけるシリコン10aとガラス10bとは、物性値が異なっていることから、各々に適した周波数及び電圧を印加されるため、印加される周波数及び電圧は異なっている。具体的には、第1の表面弾性波発生部310の櫛形電極312には、シリコン10aに対応した周波数及び電圧が印加され、第2の表面弾性波発生部320の櫛形電極322には、ガラス10bに対応した周波数及び電圧が印加される。このように、第1の表面弾性波発生部310において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10におけるシリコン10aに伝達され、第2の表面弾性波発生部340において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10におけるガラス10bに伝達される。
【0045】
次に、
図18(b)に示すように、第1の表面弾性波発生部310及び第2の表面弾性波発生部320において発生させた表面弾性波により、第1の光学部品10の表面に供給されている接着剤230aが接着剤230bの側に移動する。これにより、接着剤230aと接着剤230bとが接触する。第1の表面弾性波発生部310及び第2の表面弾性波発生部320において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10における液体の接着剤230aに対し斥力として働くため、接着剤230aを接着剤230bの側に移動させることができる。これにより、接着剤230aと接着剤230bとを接触させる。尚、本実施の形態においては、接着剤230aと接着剤230bとが接触するように、第1の表面弾性波発生部310の櫛形電極312及び第2の表面弾性波発生部320の櫛形電極322に印加される周波数及び電圧の調整がなされている。
【0046】
次に、
図18(c)に示すように、接着剤同士を接触、即ち、接着剤230cと接着剤230bとが接触し、接着剤230aと接着剤230bとが接触することにより、接着剤230a、接着剤230b及び接着剤230cは、1つの塊の接着剤230となる。
【0047】
次に、
図19(a)に示すように、第5の表面弾性波発生部350において表面弾性波を発生させて、第1の光学部品10の表面における接着剤230に、シリコン10a側からガラス10b側に向かって力を加える。このように、第1の光学部品10の表面における接着剤230に、シリコン10a側からガラス10b側に向かって力を加えることにより、接着剤230が移動し、シリコン10a側とガラス10b側とにおいて、接着剤30が均等となるようにすることができる。第5の表面弾性波発生部350において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10における液体の接着剤230に対し斥力として働くため、第1の光学部品10の接着面において、接着剤230に力を加え、移動等させることができる。尚、本実施の形態においては、接着剤230が所定の位置となるように、第5の表面弾性波発生部350の櫛形電極352に印加される周波数及び電圧の調整がなされている。
【0048】
尚、第1の光学部品10の表面における接着剤230において、ガラス10b側からシリコン10a側に力を加えたい場合には、
図19(b)に示すように、第6の表面弾性波発生部360において表面弾性波を発生させる。このように、第6の表面弾性波発生部360において表面弾性波を発生させることにより、第1の光学部品10における接着剤230に、ガラス10b側からシリコン10a側に力を加えることができる。第6の表面弾性波発生部360において発生させた表面弾性波は、第1の光学部品10における液体の接着剤230に対し斥力として働くため、第1の光学部品10の接着面において、接着剤230に力を加え、移動等させることができる。
【0049】
次に、
図19(c)に示すように、第5の表面弾性波発生部350における表面弾性波の発生を停止し、この直後に1つの塊となった接着剤230の上に、第2の光学部品20を載置し、紫外線等の光を照射して硬化させる。これにより、第1の光学部品10と第2の光学部品20とを接着剤230により接着させることができる。
【0050】
本実施の形態においては、第1の光学部品10が、2種類の異なる材料を接合することにより形成されている場合であっても、接着剤230により第1の光学部品10と第2の光学部品20とを所定の位置において接着することができる。また、微少量の接着剤を複数回に分けて供給することにより、接着剤の供給量を略一定にすることができる。また、第1の光学部品10と第2の光学部品20との接着の際には、接着剤230は1つの塊となっているため、接着剤の内部に気泡等が発生することはなく、高い歩留りで接着を行うことができる。
【0051】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0052】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0053】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
接着剤により第1の部品と第2の部品とを接着する接着方法において、
表面弾性波を発生させる表面弾性波発生部を前記第1の部品の側面に接触させて設置する工程と、
前記第1の部品の接着面に、微少量の前記接着剤を複数に分けて供給する工程と、
前記表面弾性波発生部において発生させた表面弾性波により、前記接着剤を移動させることにより、前記接着剤同士を接触させて接着剤の塊にする工程と、
前記塊となった接着剤の上に、第2の部品を載置し、前記接着剤を硬化させる工程と、
を有することを特徴とする接着剤による接着方法。
(付記2)
前記表面弾性波発生部は、2つ設けられており、
前記表面弾性波発生部は、前記第1の部品の対向する側面の各々に設置されていることを特徴とする付記1に記載の接着剤による接着方法。
(付記3)
前記表面弾性波発生部は、4つ設けられており、
前記表面弾性波発生部は、前記第1の部品の側面の各々に設置されていることを特徴とする付記1に記載の接着剤による接着方法。
(付記4)
前記第1の部品は、異なる2種類の材料を接合することにより形成されており、
前記表面弾性波発生部は、前記異なる2種類の材料に対応して、各々の側面に設置されていることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の接着剤による接着方法。
(付記5)
前記接着剤の塊にする工程の後、前記表面弾性波発生部により、前記塊となった接着剤を所定の位置に動かす工程を含み、
前記塊となった接着剤を所定の位置に動かした後、前記塊となった接着剤の上に、第2の部品を載置し、前記接着剤を硬化させる工程を行うことを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の接着剤による接着方法。
(付記6)
複数の微少量の前記接着剤を供給する工程は、前記接着剤をディスペンサにより供給することにより行うことを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の接着剤による接着方法。
(付記7)
前記接着剤は、紫外線を照射することにより硬化するものであって、
前記接着剤を硬化させる工程は、前記接着剤に前記紫外線を照射する工程を含むものであることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の接着剤による接着方法。
(付記8)
前記第1の部品は第1の光学部品であり、
前記第2の部品は第2の光学部品であることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の接着剤による接着方法。
(付記9)
前記第1の光学部品には、光導波路が形成されていることを特徴とする付記8に記載の接着剤による接着方法。