(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各周辺領域において所定の時間あたりに検出される前記移動体の数が、予め規定された閾値を超えたか否かを判定する移動体数判定手段(10,S142)、をさらに備え、
前記有益性判定手段(S123)は、検出された前記移動体の数が前記閾値未満となった周辺領域に対し、監視の有益性が低いと判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
【0012】
(第一実施形態)
図1に示す本発明の第一実施形態による車両用監視システム100は、車両に搭載され、例えば車両の駐車時等に作動することにより、車両の周囲を監視する装置である。車両用監視システム100は、複数のカメラ21〜24、複数のソナー31,32、衝撃センサ36、警告用LED38、及び制御部10等によって構成されている。これらの構成には、図示しない車載バッテリから電力が供給されている。
【0013】
カメラ21〜24は、
図2,3に示すように、互いに異なる方向に撮像面を向けた姿勢にて、車両に搭載されている。カメラ21〜24は、車両周囲の周辺領域をそれぞれ撮影可能である。具体的に、前方カメラ21は、撮像面を車両の前方向に向けた姿勢にて、車両の前端に取り付けられている。後方カメラ22は、撮像面を車両の後方向に向けた姿勢にて、車両の後端に取り付けられている。右方カメラ23は、撮像面を車両の右方向に向けた姿勢にて、右側のサイドミラー近傍に取り付けられている。左方カメラ24は、撮像面を車両の左方向に向けた姿勢にて、左側のサイドミラー近傍に取り付けられている。各カメラ21〜24は、各撮像面の向けられた周辺領域を撮影することで撮影画像を生成し、制御部10(
図1参照)に逐次出力する。
【0014】
ソナー31,32は、車両の周囲に向けて超音波を発することにより、車両から各周辺領域に存在する物体までの距離を計測できる。前方ソナー31は、車両前方のパンパー内において、幅方向の両端部分に一つずつ設置されている。前方ソナー31は、車両の右前方から左前方までの領域に向けて、物体検知のための超音波を射出する。後方ソナー32は、車両後方のパンパー内において、幅方向の両端部分に一つずつ設置されている。後方ソナー32は、車両の右後方から左後方までの領域に向けて、物体検知のための超音波を射出する。
【0015】
図1に示す衝撃センサ36は、車両に生じた加速度を計測する検出器である。衝撃センサ36は、制御部10と接続されており、計測結果を制御部10に出力する。衝撃センサ36の出力から、制御部10は、車両に入力される衝撃の有無を判定する。
【0016】
警告用LED38は、例えば赤色に発光する光源であって、車両の室内において、車外から視認可能な複数の位置に設置されている。警告用LED38は、車両用監視システム100が正常に動作している旨を、点滅によって車両の周囲に向けて通知する機能を有する。
【0017】
制御部10は、プログラムによって作動するマイクロコンピュータ等により構成されている。制御部10は、上述した各構成21〜24、31,32、36、38、及び記憶媒体13と電気的に接続されている。制御部10は、各カメラ21〜24によって撮影された周辺領域毎の撮影画像を解析することにより、各周辺領域内を移動する移動体(例えば、人間等,
図8参照)を検出する。また、制御部10は、各ソナー31,32が受信した超音波から、各周辺領域に存在する物体(例えば、他の駐車車両や壁等,
図9参照)を検知する。
【0018】
記憶媒体13は、例えばフラッシュメモリ等のストレージである。記憶媒体13には、後述する各処理を実施するためのプログラム及びデータ等が格納されている。加えて記憶媒体13は、各カメラ21〜24によって撮影された一連の撮像画像よりなる監視映像を記憶することができる。
【0019】
以上の制御部10には、通信装置40、ホーン46、及びナビゲーション装置50等が電気的に接続されている。
【0020】
通信装置40は、無線によって信号を送受信するための通信モジュールである。通信装置40は、情報センター80との間で情報をやり取りすることができる。通信装置40は、情報センター80を通じ、車両の所有者の所持する携帯端末90に向けて、種々の情報を通知することができる。
【0021】
ホーン46は、車両に搭載され、運転者の操作に基づいて、他の車両等に向けた警笛を発する構成である。ホーン46は、制御部10からの制御信号に基づいて警笛を発することができる。ホーン46は、当該ホーン46の搭載された自車両に生じた異常を、周囲に通知することができる。
【0022】
ナビゲーション装置50は、運転者によって設定された目的地に向けて、経路の案内を行う装置である。ナビゲーション装置50は、通信装置40を介して、制御部10と間接的に接続されている。ナビゲーション装置50は、GPS受信部51及び電子コンパス52を有しており、車両の現在位置を示す位置情報と、車両が現在向いている方位を示す方位情報とを取得できる。ナビゲーション装置50は、取得した位置情報及び方位情報を、制御部10に取得させることができる。
【0023】
以上の車両用監視システム100において、車両が駐車された際に制御部10によって実施される監視のための各処理を、以下説明する。
図4に示す設定処理は、例えば車両のシフトレバーのポジションがパーキング(P)に入れられたことに基づいて、制御部10により開始される。制御部10は、例えば車両の各ドアの施錠が解除されるまで、設定処理を継続する。
【0024】
S101では、車両のイグニッションがオフ状態にされたか否かを判定する。イグニッシィオンがオフ状態であると判定した場合には、S102に進む。一方で、イグニッシィがオン状態のままであると判定した場合には、S101の判定を繰り返すことにより、オフ状態となるまで待機する。
【0025】
S102〜S105では、後述する判定処理により、各周辺領域について、移動体の検出頻度の高低を設定し、S106に進む。具体的にS102では、車両前方の周辺領域について、移動体の検出頻度の高低を設定する。同様に、S103、S104、及びS105では、それぞれ車両後方、車両右方、及び車両左方の各周辺領域について、移動体の検出頻度の高低を設定する。尚、S102〜S105において、検出頻度を設定する周辺領域の順序は、適宜変更されてよい。
【0026】
S106では、S102〜S105によって検出頻度が設定されてから、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する。S106において、今回の判定処理の開始から、所定時間が経過していないと判定した場合、S106の判定を繰り返すことにより、所定時間の経過を待つ。そして、所定の時間が経過した場合には、S102〜S105の設定処理を再び実施する。以上の繰り返しによって、各周辺領域における監視の有益性の判定結果は、予め設定された周期にて更新される。
【0027】
次に、各周辺領域について監視の有益性の高低を判定する判定処理を、
図5に基づいて説明する。この判定処理は、
図4のS102〜S105のそれぞれにて実施されるものである。これらの判定処理により、監視の有益性が低いと判定された周辺領域に対する移動体の検出頻度は、監視の有益性が高いと判定された周辺領域に対する移動体の検出頻度よりも、低く設定される。尚、
図5、及び後述する
図6,7には、車両前方の周辺領域に対する各処理が記載されているが、他の各周辺領域についての各処理も、実質的に同一である。即ち、他の各周辺領域に対する処理のフローでは、
図5〜7の括弧内における「前方の」という記載が、「後方の」、「右方の」、及び「左方の」のいずれかに、適宜読み替えられるものとする。
【0028】
図5に示すS121では、ソナー31(32)からの出力に基づいて、前方の周辺領域に存在する障害物の有無を判定する。S121にて検出の対象とされる障害物は、所定の距離よりも車両に近接し、且つ、静止状態にある物体である(
図9参照)。この判定での所定距離は、移動体として想定されているもの(例えば人間)が通過不可能な間隔に設定されている。即ち、所定距離は、人間等の水平方向における最小サイズよりも、小さい値に設定されている。S121にて、前方の周辺領域から障害物が検出された場合、監視の有益性が低いと判定し、S125に進む。一方で、S121にて、前方の周辺領域から障害物が検出されない場合、S122に進む。
【0029】
S122では、往来区域として設定される場所の情報を記憶媒体13から取得すると共に、駐車された自車両の位置情報及び方位情報を取得する。往来区域は、例えば大通りに面した歩道等、人通りの多い場所に対し規定されている。S122では、往来区域の位置情報と、位置情報及び方位情報とを比較することにより、各周辺領域が往来区域と重なっているか否かを判定する。S122にて、前方の周辺領域が往来区域と重なっていた場合、監視の有用性が低いと判定し、S125に進む。一方で、S122にて、前方の周辺領域が往来区域と重ならない場合、S123に進む。
【0030】
S123では、後述する学習処理の結果(
図6 S143参照)であって、検出頻度を低下させる低下指示の有無を判定する。S123にて、前方の周辺領域に対し検出頻度の低下指示が有ると判定した場合、監視の有用性が低いと判定し、S125に進む。一方で、S123にて、前方の周辺領域に対する低下指示が無いと判定した場合、S124に進む。
【0031】
S124では、S121〜S123により、前方の周辺領域について監視の有益性が高いと判定されたことに基づいて、当該周辺領域に対する移動体の検出頻度を「高頻度」に設定する。そして、前方の周辺領域に対する判定処理を終了する。一方で、S121〜S123のいずれかにて、監視の有益性が低いと判定された場合のS125では、前方の周辺領域に対する移動体の検出頻度を「低頻度」に設定し、前方の周辺領域に対する判定処理を終了する。
【0032】
次に、各周辺領域についての監視の重要度を学習し、検出頻度の高低を適宜調整するための学習処理を、
図6に基づいて説明する。
図6に示す学習処理は、全ての周辺領域に対し、個別に実施される。各周辺領域に対する学習処理は、制御部10によって並列的に実施されてもよく、又は、制御部10によって順次実施されてもよい。
【0033】
S141では、カメラ21によって撮影された撮像画像を解析することにより、単位時間あたりに車両前方の周辺領域にて検出された移動体の数を測定し、S142に進む。S142では、S141にて検出された移動体の数が、予め設定された閾値以上か否かを判定する。S142にて、検出された移動体の数が閾値未満であると判定した場合、S143に進む。S143では、前方の周辺領域における移動体の検出頻度を低頻度にする旨の指示を設定し、学習処理を終了する。一方で、S142にて、検出された移動体の数が閾値以上であると判定した場合、S144に進む。S144では、検出頻度を下げる旨の指示を設定することなく、学習処理を終了する。
【0034】
以上の複数の処理による設定に基づいて各周辺領域を監視する監視処理を、
図7を用いて説明する。
図7に示す監視処理は、全ての周辺領域に対し、個別に実施される。これらの各周辺領域に対する監視処理は、制御部10によって並列的に実施され、例えば車両の各ドアの施錠が解除されるまで継続される。
【0035】
S161では、設定処理(
図4のS102参照)の設定結果に基づいて、前方の周辺領域に対する移動体の検出頻度を設定し、S162に進む。具体的にS161では、後述するS165にて判定に用いられる所定時間が設定される。以上により、判定処理にて高頻度とされた場合の所定時間は、低頻度とされた場合の所定時間よりも短くされる。また、判定処理による判定結果が更新された場合には、更新後の判定結果に基づいて、所定時間は再設定される。
【0036】
S162では、前方の周辺領域に対して移動体の検出処理を実施し、S163に進む。S163では、前方の周辺領域に向けられたカメラ21を起動させ、当該周辺領域を撮影した一連の撮影画像を取得する。そして、撮影画像を画像解析することにより、周辺領域内を移動する移動体を検出する(
図8参照)。
【0037】
S163では、S162において移動体が検出されたか否かを判定する。S163にて、移動体の検出が無い旨の否定判定をした場合には、S164に進む。S164では、前方の周辺領域に向けられたカメラ21を停止状態にし、S165に進む。S165では、S162の検出処理が開始されてから、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する。S165にて判定に用いられる所定時間は、上述したようにS161の処理にて決定され、判定処理にて判定された検出頻度が高いほど、短く設定される。S165において、今回の検出処理の開始から、所定時間が経過していないと判定した場合、S165の判定を繰り返すことにより、所定時間の経過を待つ。そして、所定時間の経過によってS161に戻り、車両が駐車状態である場合には、各周辺領域内を移動する移動体の検出を繰り返し実施する。
【0038】
一方で、S163にて、移動体を検出した旨の肯定判定をした場合には、S166に進む。S166では、S163にて移動体が検出されたことを条件に、前方の周辺領域に向けられたカメラ21を、停止状態から撮影可能な待機状態にし、S167に進む。S167では、前方の周辺領域に対応する警告用LED38の点滅を開始させ、S168に進む。
【0039】
S168では、衝撃センサ36の出力に基づいて、衝撃が検知されたか否かを判定する。S168にて、衝撃の検知が無いと判定した場合、S169に進む。S169では、衝撃の検知が開始されてから、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する。S169において、所定時間が経過していないと判定した場合、S168の判定を繰り返すことにより、衝撃の検知を継続する。そして、所定の時間が経過した場合には、S170に進む。S170では、S166にて待機状態にしたカメラ21、及びS167にて点滅を開始させた警告用LED38を、共に停止状態にしてS165に進み、次回の移動体の検出まで待機状態を維持する。
【0040】
一方で、S168にて、衝撃が検知されたと判定した場合のS171では、S166にて撮影可能な状態とされたカメラ21に撮影を開始させ、S172に進む。これにより、周辺領域を監視する監視映像の録画が開始される。S172では、撮影が開始された旨の情報を通知する通知処理を実施し、S173に進む。具体的に、S172の通知処理では、ホーン46が鳴らされると共に、情報センター80を通じて車両の所有者に撮影開始の情報が通知される。S173では、S167にて点滅を開始させた警告用LED38を停止状態にして、S174に進む。
【0041】
S174では、S171にて録画が開始されてから、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する。S174において、所定時間が経過していないと判定した場合、S174の判定を繰り返すことにより、所定の時間が経過するまで録画を継続する。そして、所定の録画時間が経過した場合には、S175に進む。S175では、カメラ21を停止状態にしてS165に進み、次回の移動体の検出まで待機状態を維持する。以上の監視処理によれば、周辺領域にて移動体が検知され、且つ、衝撃が入力された場合には、所定の長さの監視映像が、記憶媒体13に保存される。
【0042】
ここまで説明した第一実施形態では、S165にて判定に用いられる経過時間が、監視の有益性の高低に応じて変更される。そのため、監視の有益性が低いと判定された周辺領域に対し実施される移動体の検出頻度は、有益性が高いと判定された他の周辺領域に対する検出頻度よりも低くなる。故に、各カメラ21〜24及び制御部10によって消費される電力を小さく抑えることができる。一方で、監視の有益性が高いと判断された周辺領域に対しては、高い検出頻度にて移動体の検出が実施される。故に、監視の必要な周辺領域に対しては、十分な監視機能が発揮され得る。したがって、高い監視機能を確保しつつ、省電力化の可能な車両用監視システム100が実現される。
【0043】
加えて、障害物が車両に非常に近接して存在する場合、移動体は、障害物と車両との間に侵入困難となる。そのため第一実施形態では、車両のごく近くに障害物の存在する周辺領域は、監視の有益性が低いと判定される。こうした判定によれば、監視機能を損なうことなく、確実な省電力化が可能となる。
【0044】
また、周辺領域にある障害物が例えば他の駐車車両である場合、この障害物は、自車両の駐車中に無くなり得る。そのため第一実施形態では、各周辺領域における有益性の高低の判定結果は、予め設定された周期にて更新される。以上の処理によれば、障害物の存在していた周辺領域から当該障害物が無くなった場合でも、この周辺領域に対する移動体の検出頻度は、適宜、高く再設定され得る。また、いずれかの周辺領域に障害物が新たに生じた場合には、この周辺領域に対する移動体の検出頻度は、適宜、低く再設定され得る。以上により、車両用監視システム100は、高い監視機能の維持と消費電力の低減とを、確実に両立させることができるようになる。
【0045】
さらに、人通りの多い場所では、移動体が頻繁に検出されてしまう。加えて、人通りの多い場所では、通行人の人目に付き易いため、監視の有益性は、低くなる。故に第一実施形態では、人通りの多い場所が特定の往来区域とされ、この往来区域と重なって位置する周辺領域に対する移動体の検出頻度は、低く設定される。こうした判定によれば、十分な監視機能を発揮させつつ、確実な省電力化が可能となる。
【0046】
また加えて、周辺領域にて実際に検出される移動体の数が少ない場合、その周辺領域は、当然に監視の有益性が低い領域である。そこで第一実施形態では、単位時間に検出される移動体の数に応じて、検出頻度が適宜調整される。こうした学習処理に基づくことにより、十分な監視機能の発揮と、消費電力の抑制とが、さらに高いレベルで両立可能となる。
【0047】
さらに加えて、衝撃の入力があった直後でも、衝撃を入力した移動体は、依然として周辺領域に存在し得る。そのため、第一実施形態のように衝撃を検知してからカメラ21〜24による撮影を開始したとしても、衝撃を入力した移動体は、監視映像に確実に映り得る。故に、複数のカメラ21〜24による撮影が開始されるタイミングを上述の如く制御しても、防犯に有益な監視映像は、確実に取得され得る。そして、監視映像の録画時間を低減させることにより、さらなる省電力化が可能となる。
【0048】
またさらに第一実施形態では、撮影が開始された場合に、その通知が、車両の所有者等に通知される。こうした通知処理を実施して、所有者に情報を迅速に伝達するよう構成された車両用監視システム100であれば、省電力化が図られていたとしても、所有者は、このシステム100の監視機能に対して高い信頼を寄せることができる。
【0049】
そして第一実施形態のように、監視映像を取得するための複数のカメラ21〜24を移動体の検出に用いる形態であれば、車両用監視システム100の構成の複雑化を抑えつつ、移動体の検出を確実に実施することができる。
【0050】
尚、第一実施形態において、制御部10が特許請求の範囲に記載の「撮影制御手段」,「有益性判定手段」,「検出制御手段」,「移動体数判定手段」,「通知手段」に相当する。加えて、制御部10及びカメラ21〜24が特許請求の範囲に記載の「移動体検出手段」に相当し、制御部10及びソナー31,32が特許請求の範囲に記載の「障害物検出手段」に相当する。さらに、制御部10及び記憶媒体13が特許請求の範囲に記載の「区域情報取得手段」に相当し、制御部10及び衝撃センサ36が特許請求の範囲に記載の「衝撃検知手段」に相当し、カメラ21〜24が特許請求の範囲に記載の「撮像手段」に相当する。
【0051】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、
図1に示す第一実施形態の各ソナー31,32に相当する構成が省略されている。そのため、制御部10は、各カメラ21〜24によって撮影された周辺領域毎の撮影画像を画像解析することにより、各周辺領域の障害物を検出する。以上のように、第二実施形態では、制御部10のうちで移動体を検出する画像処理のための回路及びプログラムが、障害物を検出する構成を兼ねることとなる。
【0052】
ここまで説明した第二実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を奏する。加えて第二実施形態では、各カメラ21〜24を障害物の検出に用いることで、車両監視システムの構成の複雑化を抑えつつ、省電力化を図ることが可能となる。尚、第二実施形態において、制御部10及びカメラ21〜24が特許請求の範囲に記載の「移動体検出手段」及び「障害物検出手段」に相当する。
【0053】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態において、制御部10(
図1参照)は、各ソナー31,32が受信した超音波に基づいて、各周辺領域内を移動する移動体を検出する。以上のように、第三実施形態では、制御部10のうちで各ソナー31,32から取得した信号処理を行う回路及びプログラムが、移動体を検出する構成と、障害物を検出する構成とを兼ねることとなる。
【0054】
ここまで説明した第三実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を奏する。加えて第三実施形態では、ソナー31,32の受信結果を移動体及び障害物の検出に用いることにより、車両監視システムの構成の複雑化を抑えつつ、省電力化を図ることが可能となる。尚、第三実施形態において、制御部10及びソナー31,32が特許請求の範囲に記載の「移動体検出手段」及び「障害物検出手段」に相当する。
【0055】
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0056】
上記実施形態では、S121〜S123(
図5参照)に示すように、障害物の有無等の複数の判断基準を組み合わせた判定により、監視の有益性の高低が設定されていた。しかし、監視の有益性を設定するための判定手法は、上記実施形態のものに限定されない。例えば、障害物の有無の判定だけに基づいて、監視の有益性の高低が設定されてもよい。さらに、S121〜S123に示す以外の判定基準を用いて、有益性の高低が設定されてもよい。
【0057】
上記実施形態では、移動体の検出頻度は、「高頻度」及び「低頻度」の二段階で切り替えられていた。しかし、移動体の検出頻度は、三段階以上に設定可能であってもよい。具体的には、
図6に示す学習処理のS142にて、判定に用いられる閾値を複数設けておく。そして、S141にて検出される移動体の数に応じて、検出頻度を段階的に変化させる。こうした処理によれば、
図7に示す監視処理のS165にて、判定に用いられる経過時間を段階的に変化させ、移動体の検出頻度を三段階以上に切り替えることが可能となる。
【0058】
上記実施形態では、各周辺領域についての有益性の判定結果は、所定の周期で更新されていた。しかし、判定結果の更新は、なされなくてもよい。例えば、駐車後に設定された判定結果が、駐車中継続して使用され続けてもよい。また、判定結果を更新する形態においては、更新の周期は、適宜変更されてよい。
【0059】
上記実施形態では、車両の前後左右に向けて四台のカメラ21〜24が設置され、且つ、車両の四隅に四台のソナー31,32が設置されていた。こうしたカメラ及びソナーの設置位置及び設置台数は、適宜変更されてよい。例えば、カメラは、車両の前後に一台ずつ設けられる構成であってもよく、又は、車両の前方に二台、後方に一台、設けられる構成であってもよい。また、各カメラが撮影可能な範囲、及びソナーが走査可能な範囲は、車両周囲の全周を網羅していなくてもよい。さらに、カメラ及びソナーを共に移動体及び障害物の検出に用いることにより、検出可能な範囲の拡大が図られていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、衝撃が検知されたことに基づいて、監視映像の録画が開始されていた。しかし、衝撃を検知するステップが省略されることにより、移動体の検出後、即座に監視映像の録画が開始されてもよい。
【0061】
上記実施形態では、ホーン46による警笛と、通信による携帯端末90への情報発信により、車両に生じた異常の通知がなされていた。こうした通知手段は、上記のものに限定されず、適宜変更されてよい。さらに、車両用監視システムは、通知手段を備えていなくてもよい。また、警告用LED38も、適宜省略されてよい。
【0062】
上記実施形態では、車両用監視システムの作動が駐車時に開始されるように、シフト位置のパーキングへの切り替えが、設定処理の開始のトリガーに設定されていた。しかし、設定処理は、例えば車両の各ドアの施錠に基づいて開始されてもよく、又は、運転者のボタン操作に基づいて開始されてもよい。
【0063】
上記実施形態では、録画された監視映像は、記憶媒体13に保存されていた。しかし、車両の盗難等を鑑みて、監視映像は、通信装置40を通じ、ネットワーク上(例えば情報センター80)に設けられた記憶領域にアップロードされてもよい。
【0064】
上記実施形態において、制御部10によって提供されていた種々の機能は、上述の構成と異なるハードウェア及びソフトウェア、或いはこれらの組み合わせによって提供されてよい。例えば、プログラムによらないで所定の機能を果たすアナログ回路によって、「有益性判定手段」及び「検出制御手段」等の機能が提供されていてもよい。