(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端子は、前記ボルト締結部と連なる端子本体部と、前記ボルト締結部から前記端子本体部に亘って連続して設けられることで前記ボルト締結部と前記端子本体部との間を補強する補強部とを有しており、
前記覆い部は、前記補強部に設けられた受孔に同覆い部に設けられた支持軸を嵌合させることで、前記支持軸を中心に前記開放位置と前記閉止位置との間を回動可能とされている請求項1または請求項2に記載のカバー付き端子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、機器側接続部にボルト締結された端子に対して他の部材が接触することを防ぐためにボルト締結部を覆う合成樹脂製のカバーを端子に組み付けることが検討されている。
【0006】
ところが、機器側接続部に端子を接続し、カバーを後から端子に組み付ける構成の場合には、端子やカバーなど複数種類の部品を別々に供給する必要があり、部品供給面に対する負担が大きい。だからといって、端子にカバーを組み付けた状態で端子の供給を行う場合、部品供給面の負担は軽減されるものの、ボルト締結部をボルト締結する際に、端子からカバーを取り外す必要があるなど、取り扱いが不便である。
【0007】
また、機器側接続部の周辺部に機器などが配されている場合には、ボルト締結部の側縁にカバーに設けられた係止片を係止させるスペースを確保することができないなど、ボルト締結部を覆うようにカバーをボルト締結部に固定することができず、その対策が切望されていた。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子からカバーを取り外すことなくボルト締結できるようにすると共に、機器の周辺部のスペースが限られている場合においてもボルト締結部を覆った状態にカバーを固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、車両に搭載される機器にボルト締結される端子と、この端子に組み付け固定されたカバーとを備えたカバー付き端子であって、前記端子は、前記機器に設けられた機器側接続部にボルト締結されるボルト締結部を有し、前記ボルト締結部には、ボルト締結の際に、前記機器側接続部と係合することにより同ボルト締結部が連れ回りすることを防止する回り止め部が設けられており、前記カバーは、前記ボルト締結部の締め付け方向後方を開放する開放位置と、前記ボルト締結部を後方から覆う閉止位置との間を変位可能に設けられた覆い部を有し、前記覆い部には、前記閉止位置に至った際に、前記回り止め部と係止して前記覆い部を前記閉止位置に保持固定する係止部が設けられて
おり、前記回り止め部は、前記ボルト締結部の締め付け方向と交差する方向に前記ボルト締結部から突出して形成され、前記機器側接続部に設けられた壁部に近接して配されることで、ボルト締結の際に、ボルト締結部が連れ回りする方向に前記壁部と係合するようになっており、
前記係止部は、前記回り止め部の外面に沿うように前記覆い部から前方に向かって延出され、前記回り止め部の先端に前方から係止するところに特徴を有する。
このような構成のカバー付き端子によると、覆い部を開放位置に変位させてボルト締結部をボルト締結することができ、また、ボルト締結後に覆い部を閉止位置に変位させることで端子のボルト締結部を保護できる。これにより、端子からカバーを取り外すことなく、覆い部を開放位置に変位させるだけで機器側接続部にカバー付き端子を接続することができる。
また、覆い部の係止部と回り止め部とを係止させることで覆い部を閉止位置に保持固定できるから、例えば、機器側接続部の周辺部に機器などが配されている場合においても、ボルト締結部を覆った状態に覆い部を固定し、ボルト締結部を保護することができる。
【0010】
さらに、機器側接続部の壁部と係合する回り止め部の構成を変更することなく、係止部を回り止め部に係止させることができる。つまり、カバーの構成を変更するだけで、回り止め部の構成を変更することなく、覆い部を閉止状態に保持することができる。
【0011】
また、上記の目的を達成するための手段として本発明は、車両に搭載される機器にボルト締結される端子と、この端子に組み付け固定されたカバーとを備えたカバー付き端子であって、前記端子は、前記機器に設けられた機器側接続部にボルト締結されるボルト締結部を有し、前記ボルト締結部には、ボルト締結の際に、前記機器側接続部と係合することにより同ボルト締結部が連れ回りすることを防止する回り止め部が設けられており、前記カバーは、前記ボルト締結部の締め付け方向後方を開放する開放位置と、前記ボルト締結部を後方から覆う閉止位置との間を変位可能に設けられた覆い部を有し、前記覆い部には、前記閉止位置に至った際に、前記回り止め部と係止して前記覆い部を前記閉止位置に保持固定する係止部が設けられており、前記回り止め部の先端部は後方に向かって屈曲された屈曲部とされており、前記係止部は、前記屈曲部よりも前記ボルト締結部側に配され、前記屈曲部に設けられた被係止部に係止される構成としてもよい。
このような構成によると、係止部が回り止め部よりもボルト締結部側に配されているから、ボルト締結部とは反対側から他の部材が係止部に接触するなどして係止部と被係止部との係止が解除されたり、係止部が損傷したりすることを抑制することができる。
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
【0012】
前記端子は、前記ボルト締結部と連なる端子本体部を有しており、前記カバーは、前記端子本体部に組み付け固定されるカバー本体を有しており、前記覆い部は、前記カバー本体とヒンジを介して連結されることにより、前記ヒンジを中心に前記開放位置と前記閉止位置との間を回動可能とされている構成としてもよい。
このような構成によると、端子本体をカバー本体で保護しつつ、ボルト締結に必要な部分のみを開放してボルト締結を行うことできる。これにより、他の部材が端子本体部に接触するなどして端子本体部が破損することを防ぐことができる。
【0013】
前記端子は、前記ボルト締結部と連なる端子本体部と、前記ボルト締結部から前記端子本体部に亘って連続して設けられることで前記ボルト締結部と前記端子本体部との間を補強する補強部とを有しており、前記覆い部は、前記補強
部に設けられた受孔に同覆い部に設けられた支持軸を嵌合させることで、前記支持軸を中心に前記開放位置と前記閉止位置との間を回動可能とされている構成としてもよい。
このような構成によると、補強部に設けた受孔に覆い部の軸部を嵌合させることで、覆い部を回動可能にしつつ、カバーを端子に保持固定させることができる。これにより、例えば、端子によりカバーを保持する機能と覆い部を回動させる機能との双方の機能を個別に設ける場合に比べて、端子およびカバーの構造を簡素化することができる。
【0014】
前記覆い部には、同覆い部が閉止位置に至った際に、前記端子本体部と当接することにより前記覆い部が過度に回動することを防ぐ位置決め部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、覆い部が閉止位置よりも過度に回動することを防ぐことができる。これにより、覆い部が過度に回動して係止部が他の部材に接触するなど係止部が損傷することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端子からカバーを取り外すことなくボルト締結できるようにすると共に、機器の周辺部のスペースが限られている場合においてもボルト締結部を覆った状態にカバーを固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について
図1乃至
図14を参照して説明する。
本実施形態は、
図5乃至
図7に示すように、車両に搭載されたオルタネータなどの発電機(「機器」に相当する)80に設けられた機器側接続部81にボルト締結されるカバー付き端子10を例示している。なお、以下の説明において、上下方向とは
図2における上下方向を基準とし、本実施形態における「上方」がボルト締結の「締め付け方向後方」に相当する。また、前後方向については、
図3における図示左側を前側とし、図示右側を後側として説明する。
【0018】
機器側接続部81は、
図5乃至
図7に示すように、カバー付き端子10が上方から載置される載置部82と、載置部82の幅方向両側に設けられた一対の囲部83と、載置部82の前方に設けられた一対の回転防止壁(「壁部」に相当する)84とを備えて構成されている。
載置部82は、略円形状をなす平坦な載置面82Aの中央から略円筒状のスタッドボルト85が上方に向かって立ち上がった形態をなしている。載置部82の両側縁には、
図5に示すように、載置部82を幅方向両側から取り囲む囲部83が設けられている。
一対の回転防止壁84は、幅方向に対向する形態とされ、各回転防止壁84は一対の囲部83の前端部に連設されている。
【0019】
カバー付き端子10は、
図1および
図3に示すように、電線Wの端末に接続されて発電機80に接続される端子20と、端子20に上方(締め付け方向後方)から組み付け固定されるカバー40とを備えて構成されている。
端子20は、
図9に示すように、機器側接続部81にボルト締結されるボルト締結部21と、電線Wの端末に接続される電線接続部22と、ボルト締結部21と電線接続部22との間を前後方向に繋ぐ端子本体部23と、ボルト締結部21から端子本体部23に亘って幅方向両側縁に設けられた一対の周壁(「補強
部」に相当する)24とを備えて構成されている。
【0020】
ボルト締結部21は、
図9に示すように、平板の略円形状をなし、ボルト締結部21の中央には、機器側接続部81のスタッドボルト85が下方から挿通されるボルト挿通孔21Aが上下方向に貫通して形成されている。このボルト挿通孔21Aにスタッドボルト85を下方から挿通してボルト締結部21を載置部82の載置面82Aに上方から載置し、例えばソケットレンチSによってナットNをスタッドボルト85に上方(「締め込み方向後方」に相当する)から下方に向かって締め込むことによりボルト締結部21が機器側接続部81にボルト締結されるようになっている(
図7参照)。
【0021】
ボルト締結部21の前端部には、
図9に示すように、前方(ボルト締結部の締め付け方向と交差する方向)に突出する回り止め部25が形成されている。回り止め部25は、
図3および
図7に示すように、ボルト締結部21から前方に真っ直ぐ延出され、前端部が下方に屈曲した屈曲部26とされている。屈曲部26は、ボルト締結部21が載置面82Aに載置されると、
図5および
図8に示すように、載置部82の前端面に沿って配されると共に、一対の回転防止壁84の間に配され、一対の回転防止壁84と幅方向に近接した状態となる。これにより、スタッドボルト85にナットNを締め込む際に、回転防止壁84に対して回り止め部25が幅方向(ボルト締結が連れ回りする方向)に当接し、ボルト締結部21の連れ回りが防止される。
【0022】
電線接続部22は、
図1および
図3に示すように、電線Wの端末において露出された芯線W1に圧着されるワイヤバレル22Aと、電線Wの絶縁被覆W2に圧着されるインシュレーションバレル22Bとを電線Wが延びる前後方向に連ねた形態とされている。
端子本体部23は、
図9および
図13に示すように、ボルト締結部21の後端縁と電線接続部22の底板おける前端縁とに連なるようにして形成されており、ボルト締結部21よりも幅狭で前後方向に長い形態をなしている。
【0023】
一対の周壁24は、ボルト締結部21の前後方向略中央部から端子本体部23の前後方向略中央部まで連続して形成されており、一対の周壁24がボルト締結部21と端子本体部23との境界部分を補強している。
端子本体部23における周壁24のうち前半分は、後半分よりも上下方向に高い前側周壁24Aとされており、前側周壁24Aには、幅方向に貫通する略矩形状の係止孔29がそれぞれ設けられている。
【0024】
カバー40は、
図1および
図3に示すように、ボルト締結部21を上方から覆う覆い部41と、端子本体部23において一対の周壁24が設けられた領域を上方から覆うカバー本体42とを備えて構成されている。
覆い部41は、
図10乃至
図14に示すように、上端部が閉塞された略円筒状に形成されている。覆い部41の前端部は、ボルト締結部21の回り止めに対応するようにやや前方に張り出した形態をなしており、覆い部41の後端部は、幅方向に真っ直ぐ切り欠かれることにより後方に開口した形態とされている。
【0025】
カバー本体42は、箱形状をなし、端子本体部23の上面と上下方向に対向する略矩形状の天井壁44と、端子本体部23の幅方向両側を覆うように天井壁44の幅方向両側縁に設けられた一対の側壁45と、天井壁44の後端縁と一対の側壁45の後端縁とによって囲まれた領域を閉塞する後壁47とを備えて構成されている。
【0026】
天井壁44の幅方向略中央部には、
図11に示すように、前後方向に対向する一対の位置決め片50が設けられている。
一対の位置決め片50は、天井壁44から下方に向けて延出された平板状に形成されており、一対の位置決め片50は、同位置決め片50の幅方向略中央部を前後方向に繋ぐ連結部51によって補強されている。また、位置決め片50および連結部51は、カバー本体42が端子本体部23に対して正規の位置まで組み付けられると、
図7に示すように、端子本体部23の上面に当接し、カバー40を正規の高さ位置に位置決めするようになっている。
【0027】
天井壁44における一対の側壁45の内側には、
図4、
図7および
図11に示すように、一対の前側周壁24Aに係止することでカバー本体42を端子本体部23に固定する一対の固定片48が設けられている。
一対の固定片48は、天井壁44から下方に向けて延出されており、幅方向に対向する形態とされている。一対の固定片48の間隔は、
図4に示すように、カバー本体42が端子本体部23に組み付けられた際に、一対の周壁24が内側に緊密に嵌まり込む大きさとされている。また、各固定片48の先端には、端子本体部23に対してカバー本体42が正規の位置に組み付けられた際に、幅方向外側から係止孔29に嵌まり込む係止爪49が設けられている。
【0028】
係止爪49は、その下面が固定片48の下端部から上方に向かうほど内側に向かって傾斜した形態とされており、その上面が係止孔29の上側内面29Aに下方から係止する係止面49Aとされている。そして、端子20にカバー40を組み付ける過程では、係止爪49が前側周壁24Aに乗り上げることで固定片48が外側に弾性変位し、端子本体部23に対してカバー本体42が正規の位置に組み付けられると、係止爪49が係止孔29に嵌まり込んで固定片48が弾性復帰する。これにより、係止孔29の上側内面29Aに固定片48の係止面49Aが下方から係止し、端子本体部23にカバー本体42が保持固定される。
【0029】
さて、覆い部41とカバー本体42とは、
図1、
図3、
図7および
図8に示すように、ヒンジ52を介して一体に連結されている。詳細には、ヒンジ52は、覆い部41およびカバー本体42の幅寸法よりも幅狭で、かつ覆い部41の天井壁44の板厚よりも薄く形成されており、覆い部41の上端後縁における幅方向略中央部とカバー本体42の天井壁44における前端縁の幅方向略中央部とを前後方向に一体に連結している。そして、覆い部41は、このヒンジ52を中心に、覆い部41の上面とカバー本体42の上面とが面一となってボルト締結部21を上方から覆う閉止位置(
図7参照)と、ヒンジ52が後方に屈曲され覆い部41とカバー本体42とが上下方向に対向した状態となることでボルト締結部21の上方を開放する開放位置(
図8参照)との間を回動可能とされている。
【0030】
これにより、端子20を機器側接続部81にボルト締結する際には、ヒンジ52を中心に覆い部41を開放位置に回動変位させ、ボルト締結部21を載置部82に載置してソケットレンチSなどによってナットNをスタッドボルト85に締め込むことによりボルト締結部21を機器側接続部81に接続することができる。また、ボルト締結後、覆い部41を閉止位置に回動変位させることで、ボルト締結部21とスタッドボルト85の上方を覆い部41によって覆うことができる。
【0031】
また、覆い部41の前端下部には、
図2、
図3および
図7に示すように、端子20の回り止め部25と係止することで覆い部41を閉止位置に保持固定する係止片(「係止部」に相当する)53が設けられている。
係止片53は、覆い部41の前端面から僅かに前方に張り出した形態で下方に延出されており、前後方向に弾性変位可能とされている。また、係止片53の下端部には後方に突出する係止突起54が設けられており、覆い部41が開放位置から閉止位置に至る過程において、係止突起54が回り止め部25の屈曲部26に乗り上げることで係止片53が前方に弾性変位し、覆い部41が閉止位置に至ると、係止片53が弾性復帰して回り止め部25における屈曲部26の前面に沿うように配され、係止突起54が屈曲部26の下面に下方から係止する。これにより、覆い部41が閉止位置に留められるようになっている。
【0032】
また、係止片53の上端部には、前方に突出する操作部55が設けられており、この操作部55を上方に押し上げるように操作することで屈曲部26の下面と係止突起54との係止が解除され、覆い部41を閉止位置から開放位置へと回動変位させることができるようになっている。
【0033】
本実施形態のカバー付き端子10は、以上のような構成であって、次に電線Wの端末に接続された端子20にカバー40を組み付ける手順を説明し、続けて、カバー付き端子10を発電機80の機器側接続部81にボルト締結する手順を説明すると共に、その作用効果を説明する。なお、本実施形態では、カバー40を端子20に固定する前に、端子20に電線Wが接続された構成としたが、例えば、端子20にカバー40を固定した後に、端子20に電線を接続してもよい。
【0034】
まず、
図12乃至
図14に示すように、端子20の上方にカバー40を配置し、カバー40を端子20に上方から組み付ける。この組み付け過程では、一対の固定片48の係止爪49が前側周壁24Aの外側上縁に当接して前側周壁24Aに乗り上げ、固定片48が外側に弾性変位する。そして、端子本体部23にカバー本体42が正規位置に組み付けられると、
図4に示すように、係止爪49が係止孔29に嵌まり込んで固定片48が弾性復帰し、係止爪49の係止面49Aが係止孔29の上側内面29Aに下方から係止することで、カバー本体42が端子本体部23に保持固定される。また、このとき、覆い部41を閉止位置に配置することで、
図7に示すように、係止片53の係止突起54が回り止め部25の屈曲部26における下面に下方から係止し、覆い部41が閉止位置に保持される。
これにより、端子20にカバー40が確実に保持固定されカバー付き端子10が完成する。
【0035】
次に、カバー付き端子10を発電機80の機器側接続部81にボルト締結する。ボルト締結の際には、まず、覆い部41の操作部55を上方に押し上げるように操作して屈曲部26の下面と係止突起54との係止を解除し、
図8に示すように、覆い部41を閉止位置から開放位置へと変位させる。これにより、カバー40からボルト締結部21が露出されボルト締結部21の上方が開放された状態となる。
【0036】
次に、ボルト締結部21のボルト挿通孔21Aにスタッドボルト85を挿通させて、載置部82の載置面82A上にボルト締結部21を載置する。
そして、ソケットレンチSによってナットNをスタッドボルト85に締め付けてボルト締結部21を載置部82にボルト締結する。ここで、本実施形態によると、覆い部41が開放位置に配され、ボルト締結部21の上方が開放されているから、端子20からカバー40を取り外すことなく、
図8に示すように、ボルト締結部21と機器側接続部81とを電気的および機械的に容易に接続することができる。
【0037】
ボルト締結部21と機器側接続部81とが接続されたところで、
図3および
図7に示すように、覆い部41を開放位置から閉止位置に回動変位させる。この回動変位過程では、係止片53の係止突起54が回り止め部25の屈曲部26に乗り上げることで係止片53が前方に弾性変位し、覆い部41が閉止位置に至ると、係止片53が弾性復帰して回り止め部25における屈曲部26の前面に沿って配され、係止突起54が屈曲部26の下面に下方から係止する。これにより、覆い部41が閉止位置に保持され、ボルト締結部21およびスタッドボルト85が上方から覆い部41によって覆われることで、ボルト締結された部分が他の部材から保護される。
【0038】
以上のように、本実施形態のカバー付き端子10によると、ボルト締結部21の上方を覆う覆い部41とカバー本体42とをヒンジ52を介して連結しているから、覆い部41を開放位置に変位させることでボルト締結部21をボルト締結することができ、また、ボルト締結後に覆い部41を閉止位置に変位させることでボルト締結部21を保護することができる。
【0039】
すなわち、端子20からカバー40を取り外すことなく機器側接続部81に端子20を接続することができる。また、例えば、端子20にカバー40を固定した後に電線Wを接続する構成の場合、カバー付き端子10を部品供給する際には、端子20やカバー40を別々に供給することなく、端子20とカバー40とを組み付けた状態で供給できるから、端子とカバーとを別々に供給する場合に比べて、部品供給面に対する負担を小さくすることができる。
また、本実施形態によると、覆い部41のみを開放位置に変位させることができるから、他の部材から端子本体部23を保護しつつ、ボルト締結部21のみを露出させてボルト締結を行うことできる。これにより、他の部材が端子本体部23に接触するなどして端子本体部23が破損することを防ぐことができる。
【0040】
また、本実施形態のように、囲部83によって包囲されることでボルト締結部21の外周部分にスペースを確保できなかったとしても、覆い部41には、ボルト締結部21に設けられた回り止め部25と係止することで覆い部41を閉止位置に保持する係止片53が設けられているから、覆い部41を閉止位置に保持することができ、ひいては、ボルト締結部21を他の部材から確実に保護することができる。
【0041】
また、本実施形態によると、回り止め部25の前面に沿わせるようにして係止片53を配し、回り止め部25における屈曲部26の下面に係止突起54を下方から係止させるようにしたから、回り止め部25の形状を変更することなく、覆い部41を閉止位置に保持することができる。つまり、例えば、係止突起が係止される係止枠などを回り止め部に別途設ける場合に比べて、端子20の構造を簡素化することができると共に、端子20の加工費が増加することを抑制することができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について
図15乃至
図19を参照して説明する。
実施形態2のカバー付き端子110は、実施形態1における端子20の周壁24および回り止め部25と、カバー40の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0043】
実施形態2における端子120の回り止め部125は、
図18および
図19に示すように、ボルト締結部21から前方に真っ直ぐ延出され、前端部が上方に屈曲した屈曲部126とされている。
屈曲部126は、ボルト締結部21が載置面82Aに載置されると、一対の回転防止壁84の間に配され、一対の回転防止壁84と幅方向に近接した状態となるように設定されている。また、屈曲部126には、
図16および
図18に示すように、前後方向に貫通する略矩形状の被係止孔130が形成されている。
端子120における端子本体部23の周壁124は、
図18および
図19に示すように、周壁124のうち後端部に位置する後側周壁124Aが前側の周壁124に比べて上下方向に高く形成されており、後側周壁124Aには、幅方向に貫通する円形状の受孔129がそれぞれ設けられている。
【0044】
一方、カバー140は、
図15、
図18および
図19に示すように、ボルト締結部21と端子本体部23における一対の周壁124が設けられた領域とを一括して覆う前後方向に長い覆い部141を有しており、実施形態1と異なり、カバー本体が設けられていない形態とされている。
覆い部141の後端部における幅方向両側壁145には、
図17に示すように、端子20の受孔129に嵌合させることで、覆い部141を回動可能に支持する支持軸156が設けられており、覆い部141は、この支持軸156を中心にボルト締結部21の上方を覆う閉止位置(
図18参照)と、ボルト締結部21の上方を開放する開放位置(
図19参照)との間を回動可能とされている。
また、覆い部141の前端部は、
図15および
図18に示すように、回り止め部125の屈曲部126よりも後方に位置しており、覆い部141の前端下部には、屈曲部126の被係止孔130に後方から嵌まり込んで被係止孔130の上側内面と係止することにより覆い部41を閉止位置に保持する係止片153が設けられている。
係止片153は、覆い部141の前端面から前方に突出した形態をなし、前後方向に弾性変位可能とされている。また、係止片153は、覆い部41が開放位置から閉止位置に至る過程において、屈曲部26の後面に乗り上げることで後方に弾性変位し、覆い部41が閉止位置に至ると、被係止孔130に嵌まり込んで弾性復帰することにより、覆い部141を閉止位置に保持するようになっている。
【0045】
すなわち、本実施形態によると、後側周壁124Aにそれぞれ設けられた一対の受孔129に覆い部141の一対の支持軸156を嵌合させることで、覆い部141を回動可能にしつつ、カバー140を端子120に保持固定させることができる。つまり、端子によりカバーを保持する機能と覆い部を回動させる機能との双方の機能を個別に設ける場合に比べて、端子120およびカバー140の構造を簡素化することができ、ひいては、カバー付き端子110の製造コストを低減させることができる。
また、本実施形態によると、係止片153が回り止め部125よりも後側(ボルト締結部21側)に配されているから、前方から他の部材が係止片153に接触するなどして被係止孔130から係止片153が外れたり、係止片153が損傷したりすることを抑制することができる。
また、本実施形態によると、覆い部141が閉止位置に至ると、
図18に示すように、位置決め片50が端子本体部23の上面に当接し、覆い部141が閉止位置よりも過度に回動することを防ぐことができる。これにより、覆い部141が過度に回動して係止片153が回り止め部125に接触して損傷することを抑制することができる。
【0046】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、下方に屈曲された屈曲部26に係止片53が下方から係止し、上記実施形態2では、上方に屈曲された屈曲部126の被係止孔130に係止片153が後方から嵌まり込む構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、実施形態1における屈曲部と係止片との係止構造と、実施形態2における屈曲部と係止片との係止構造とが互いに入れ替わった構成にしてもよい。
(2)上記実施形態1では、ヒンジ52が覆い部41の後端縁における幅方向略中央部に形成された構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ヒンジが覆い部の後端縁の全幅に亘って形成された構成にしてもよく、ヒンジが覆い部の幅方向両端部の二箇所に形成された構成にしてもよい。
(3)上記実施形態では、ボルト締結部21の前端部に回り止め部25,125が設けられ、覆い部41,141の前端部に係止片が設けられた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、機器側接続部の構造に対応して、回り止め部や係止片がボルト締結部や覆い部の幅方向の一側部に設けられるように構成してもよい。
(4)上記実施形態では、覆い部41,141が閉止位置と開放位置との間を回動する構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、覆い部を幅方向や前後方向にスライドさせることで、覆い部がボルト締結部を覆う閉止位置とボルト締結部の上方を開放する開放位置との間を変位する構成にしてもよい。
(5)上記実施形態では、ボルト締結部21をスタッドボルト85が設けられた載置部82に載置し、ナットNをスタッドボルト85に締め付けることによりボルト締結部21が機器側接続部81にボルト締結される構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ナットが固定された載置部にボルトを締め込むことによりボルト締結部が機器側接続部にボルト締結される構成にしてもよい。