特許第6040893号(P6040893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040893
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】順序搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20161128BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20161128BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B65G1/137 A
   B65G43/08 A
   B65G47/68 E
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-180102(P2013-180102)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48195(P2015-48195A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 大
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−184784(JP,A)
【文献】 特開2002−356207(JP,A)
【文献】 実開昭62−179207(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/20
B65G 43/08
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な棚板を上下方向に複数段備えた収納棚と、
前記複数段の棚板の夫々に対応する複数の物品払出部と、
前記複数の物品払出部の夫々に物品を搬送する一群の1次搬送部と、
前記1次搬送部により前記物品払出部に搬送された物品を搬送先に搬送する2次搬送部と、
搬送対象の物品を指定する搬送要求情報に基づいて、前記1次搬送部及び前記2次搬送部の作動を制御する制御部と、が設けられ、
前記制御部が、複数の前記搬送要求情報に基づいて前記1次搬送部により前記複数の物品払出部に搬送された複数の物品を、複数の前記搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序にて前記搬送先に搬送すべく、前記一群の1次搬送部及び前記2次搬送部の作動を制御するように構成された順序搬送システムであって、
前記2次搬送部は、前記複数の物品払出部に対応する単一の昇降搬送部を、昇降自在に有し、
前記昇降搬送部は、前記複数の物品払出部夫々との間で物品を受け取り自在に構成され、かつ、前記2次搬送部に物品を受け渡し自在に構成され、
前記制御部は、前記昇降搬送部が前記搬送順序に対応する順序で前記複数の物品払出部から物品を受け取って前記搬送先に搬送するように、前記昇降搬送部の作動を制御する順序搬送システム。
【請求項2】
前記一群の1次搬送部が複数群設けられ、
前記複数群の1次搬送部の夫々に対応する前記2次搬送部は、共通の前記搬送先としての合流部に物品を搬送するように構成され、
前記合流部から合流搬送先に物品を搬送する3次搬送部が設けられ、
前記搬送要求情報の夫々に設定される前記搬送順位は、前記複数群の1次搬送部の群同士の間で前記搬送順位が重複することを許容する状態で設定され、
前記制御部は、複数の前記搬送要求情報に基づいて、前記3次搬送部が当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品を前記搬送順序で前記合流搬送先に搬送すべく、前記1次搬送部、前記2次搬送部、前記合流部、及び、前記3次搬送部の作動を制御するように構成されている請求項1に記載の順序搬送システム。
【請求項3】
前記合流搬送先は、複数の物品を複数の仕分ステーションに仕分ける形態で物品を搬送する仕分け搬送装置を有し、
前記搬送要求情報は、前記仕分ステーション及び当該仕分ステーションへの搬送順位を示すステーション別順位情報を有し、
前記制御部は、複数の前記搬送要求情報に基づいて、当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品を、前記ステーション別順位情報通りに前記複数の仕分ステーションに仕分ける形態で搬送すべく、前記1次搬送部、前記2次搬送部、前記合流部、前記3次搬送部、及び、前記仕分搬送装置の作動を制御する請求項2に記載の順序搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品払出部の夫々に物品を搬送する一群の1次搬送部と、前記1次搬送部により前記物品払出部に搬送された物品を搬送先に搬送する2次搬送部と、搬送対象の物品を指定する搬送要求情報に基づいて、前記1次搬送部及び前記2次搬送部の作動を制御する制御部と、が設けられ、前記制御部が、複数の前記搬送要求情報に基づいて前記1次搬送部により前記複数の物品払出部に搬送された複数の物品を、複数の前記搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序にて前記搬送先に搬送すべく、前記一群の1次搬送部及び前記2次搬送部の作動を制御するように構成された順序搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような順序搬送システムの従来例として、一群の1次搬送部のそれぞれに対応する物品払出部に、当該物品払出部から物品を切り出す切出コンベヤを設け、これらの複数の切出コンベヤを経由するように、搬送先に物品を搬送するラインコンベヤを配設したものがある(例えば、特許文献1参照)。このような従来の順序搬送システムにおいては、複数の切出コンベヤとラインコンベヤとで2次搬送部が構成されることになる。
【0003】
特許文献1の順序搬送システムにおいては、複数の搬送要求情報により指令される搬送対象の複数の物品が、それらの搬送要求情報のそれぞれについて設定された搬送順位により定まる搬送順序にて搬送先に搬送されるように、2次搬送部の作動が制御される。すなわち、各1次搬送部により物品払出部に搬送された物品を切出コンベヤでラインコンベヤに切り出すタイミングを、他の切出コンベヤから切り出される物品のタイミングを把握しながら制御することで、搬送先に物品が搬送順序にて搬送されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−184784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の順序搬送システムの構成であると、一群の1次搬送部の夫々に対応する切出コンベヤの切り出しタイミングを、他の切出コンベヤからラインコンベヤに切り出される物品の位置を考慮しながら調整しなければならない。つまり、切出コンベヤの制御を他の切出コンベヤの動作と相互に関連させるため、2次搬送部の制御形態が複雑となる。
【0006】
そこで、簡素な制御構成でありながら、複数の搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序にて物品を搬送先に搬送することができる順序搬送システムの実現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明にかかる順序搬送システムは、物品を収納可能な棚板を上下方向に複数段備えた収納棚と、前記複数段の棚板の夫々に対応する複数の物品払出部と、前記複数の物品払出部の夫々に物品を搬送する一群の1次搬送部と、前記1次搬送部により前記物品払出部に搬送された物品を搬送先に搬送する2次搬送部と、搬送対象の物品を指定する搬送要求情報に基づいて、前記1次搬送部及び前記2次搬送部の作動を制御する制御部と、が設けられ、前記制御部が、複数の前記搬送要求情報に基づいて前記1次搬送部により前記複数の物品払出部に搬送された複数の物品を、複数の前記搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序にて前記搬送先に搬送すべく、前記一群の1次搬送部及び前記2次搬送部の作動を制御するように構成された順序搬送システムであって、前記2次搬送部は、前記複数の物品払出部に対応する単一の昇降搬送部を、昇降自在に有し、前記昇降搬送部は、前記複数の物品払出部夫々との間で物品を受け取り自在に構成され、かつ、前記2次搬送部に物品を受け渡し自在に構成され、前記制御部は、前記昇降搬送部が前記搬送順序に対応する順序で前記複数の物品払出部から物品を受け取って前記搬送先に搬送するように、前記昇降搬送部の作動を制御する点を特徴とする。
【0008】
すなわち、複数の物品払出部を経由する搬送経路に沿って移動自在で且つ物品払出部との間で物品を授受自在な単一の昇降搬送部が、複数の物品払出部のうちの何れかから物品を受け取り、その受け取り順で物品を搬送先に搬送することになる。
ここで、単一の昇降搬送部が複数の物品払出部から物品を受け取る受け取り順を、複数の搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序に対応する順序となるように制御することにより、搬送先には、その搬送順序に対応する順序で物品を搬送することができる。
つまり、搬送先に搬送順序で物品を搬送するに当たり、2次搬送部における単一の昇降搬送部が複数の物品払出部から物品を受け取る受け取り順を管理しながら単一の昇降搬送部の作動を制御すればよく、例えば、一群の1次搬送部により複数の物品払出部に搬送された物品を2次搬送部における複数の切出コンベヤの1つで切り出すタイミングを、他の切出コンベヤによる物品の切り出しタイミングや切り出された後の物品の位置を管理しながら調整する形態で、複数の切出コンベヤの作動を制御するような煩雑な制御構成とする場合に比べて、制御構成の簡素化を図れるものとなる。
【0009】
このように、簡素な制御構成でありながら、複数の搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序を確実に維持した状態で、物品を搬送先に搬送することができる。
【0010】
本発明に係る順序搬送システムにおいては、前記一群の1次搬送部が複数群設けられ、前記複数群の1次搬送部の夫々に対応する前記2次搬送部は、共通の前記搬送先としての合流部に物品を搬送するように構成され、前記合流部から合流搬送先に物品を搬送する3次搬送部が設けられ、前記搬送要求情報の夫々に設定される前記搬送順位は、前記複数群の1次搬送部の群同士の間で前記搬送順位が重複することを許容する状態で設定され、前記制御部は、複数の前記搬送要求情報に基づいて、前記3次搬送部が当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品を前記搬送順序で前記合流搬送先に搬送すべく、前記1次搬送部、前記2次搬送部、前記合流部、及び、前記3次搬送部の作動を制御するように構成されていることが好ましい。
【0011】
すなわち、複数群設けられた一群の1次搬送部の夫々から2次搬送部に搬送される物品は、上述のように、複数の搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序に対応する順序で並ぶことになる。そして、搬送要求情報の夫々に設定される搬送順位は、複数群の1次搬送部の群同士の間で搬送順位が重複することを許容する状態で設定されているが、各2次搬送部では、物品が搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序に対応する順序で並んでいるから、夫々の1次搬送部の群に対応する2次搬送装置から搬送された物品を、それらの共通の搬送先である合流部にて合流させたとしても、合流させた複数の物品の夫々についてその物品の搬送順位が入れ替わってしまうことがない。このため、3次搬送部は、合流部にて合流した物品を搬送順位により定まる搬送順序で合流搬送先に搬送することができる。
このように、上記構成によれば、複数群の1次搬送部の夫々に対応する2次搬送部にて搬送される物品を合流部にて合流させ、3次搬送部が合流部から合流搬送先に物品を搬送するような構成においても、搬送順序を適確に維持して合流搬送先に物品を搬送することができる。
【0012】
本発明に係る順序搬送システムにおいては、前記合流搬送先は、複数の物品を複数の仕分ステーションに仕分ける形態で物品を搬送する仕分け搬送装置を有し、前記搬送要求情報は、前記仕分ステーション及び当該仕分ステーションへの搬送順位を示すステーション別順位情報を有し、前記制御部は、複数の前記搬送要求情報に基づいて、当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品を、前記ステーション別順位情報通りに前記複数の仕分ステーションに仕分ける形態で搬送すべく、前記1次搬送部、前記2次搬送部、前記合流部、前記3次搬送部、及び、前記仕分搬送装置の作動を制御することが好ましい。
【0013】
すなわち、搬送要求情報が、仕分ステーション及び当該仕分ステーションへの搬送順位を示すステーション別順位情報を有し、当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品を、ステーション別順位情報通りに複数の仕分ステーションに仕分ける形態で搬送することになるが、3次搬送部においては、搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序で物品が搬送されるから、複数の仕分ステーションに対しても、当該搬送順序は守られていることになる。
したがって、複数の物品を複数の仕分ステーションに仕分ける形態で物品を搬送する場合においても、搬送要求情報の夫々について設定された搬送順位により定まる搬送順序を維持した状態で、当該複数の物品を複数の仕分ステーションに仕分けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】順序搬送システムの平面図
図2】順序搬送システムの要部側面図
図3】搬送要求情報の内容を示す模式図
図4】搬送要求情報の指令順に物品を搬送した場合における物品の出庫コンベヤへの到達パターンを示す図
図5】出庫コンベヤへの到達順に出庫した場合の物品の搬送順序を示す図
図6】制御ブロック図
図7】制御部の制御を示すフローチャート
図8】合流順決定処理の第1段階を示す図
図9】合流順決定処理の第2段階を示す図
図10】合流順決定処理の第3段階を示す図
図11】合流順決定処理に基づいて合流順を修正した結果の物品の搬送順序を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の順序搬送システムの実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、複数の物品Wを収納自在な自動倉庫Rが複数備えられている(図1においては自動倉庫R1〜自動倉庫R3の3つが備えられている)。自動倉庫Rの夫々は、図1及び図2に示すように、物品Wを横並びに収納可能な棚板3を上下方向に複数備えた収納棚1を、前面を対向させる形態で一対備えて構成されている。一対の収納棚1における棚板3は、同じ段に属するもの同士が同じ高さに位置するように構成され、夫々の段に搬送車用の走行レールが取り付けられている。搬送車2は、棚板3の夫々の段に対応して1台ずつ設けられ、走行レールに案内されて、棚板3の長手方向に沿って走行自在に構成されている。また、搬送車2には移載装置が備えられており、棚板3と自己との間で物品Wを移載自在に構成されている。
【0016】
各段の棚板3の端部に隣接して、物品Wをリフタ7に向けて搬送自在な出庫コンベヤ4が、各段の棚板3の夫々に対応して各別に設けられている。また、リフタ7が、出庫コンベヤ4の棚板3と逆側の端部に隣接して設けられている。走行レールは棚板3の長手方向に沿って、棚板3から出庫コンベヤ4の存在部分に亘って設けられ、搬送車2は、走行レールに案内されて出庫コンベヤ4の横側部まで走行自在に構成されている。そして、出庫コンベヤ4は、搬送車2から物品Wを受け取って、その受け取った物品Wを、後述するリフタ7の昇降搬送部7Lに受け渡し自在に構成されている。リフタ7は、昇降用支柱に沿って単一の昇降搬送部7Lが昇降自在に備えられている。そして、昇降搬送部7Lが、各段の出庫コンベヤ4との間で物品Wを受け取り自在に構成され、かつ、単一のラック接続コンベヤ8に物品Wを受け渡し自在に構成されている。
【0017】
ラック接続コンベヤ8は、自動倉庫R1〜自動倉庫R3の夫々について各別に1つずつ設けられている(図1のラック接続コンベヤ8a、ラック接続コンベヤ8b、ラック接続コンベヤ8c参照)。また、ラック接続コンベヤ8夫々の下流端に、メインコンベヤ9が接続されている。ラック接続コンベヤ8aとメインコンベヤ9との接続部には、ラック接続コンベヤ8aの搬送方向とメインコンベヤ9の搬送方向とを切換えるメインコンベヤ合流装置11aが設けられている。同様に、ラック接続コンベヤ8bとメインコンベヤ9との接続部にはメインコンベヤ合流装置11bが設けられ、ラック接続コンベヤ8cとメインコンベヤ9との接続部にはメインコンベヤ合流装置11cが設けられている。以下、メインコンベヤ合流装置11a、11b、11cを特に区別する必要がない場合には、メインコンベヤ合流装置11と総称する。
【0018】
図示は省略するが、メインコンベヤ合流装置11は、メインコンベヤ9の搬送方向に物品を搬送すべく、回転軸心を平面視でメインコンベヤ9の搬送方向と直交させて配置した複数の搬送ローラを備え、当該複数の搬送ローラの間に、ラック接続コンベヤ8の搬送方向に巻回駆動される搬送チェーンを、その搬送チェーンの搬送面(物品Wと当接する部分)が搬送ローラの搬送面よりも上下方向で上方に位置する状態と下方に位置する状態とに昇降自在に構成されている。
したがって、ラック接続コンベヤ8から物品をメインコンベヤ9に合流させるときには、搬送チェーンを上昇状態に切換えて、物品Wをメインコンベヤ合流装置11上に位置させ、その後搬送チェーンを下降状態に切換えることで、物品Wをメインコンベヤ9に受け渡すことができる。
【0019】
メインコンベヤ9の下流端には、自動倉庫Rから出庫された物品WをカートCに積付ける積付箇所として、第1積付箇所Na及び第2積付箇所Nbが設けられている。
また、メインコンベヤ9の搬送経路途に、メインコンベヤ9から第1積付箇所Naに向かう第1分岐コンベヤ13aに物品Wを分岐させる分岐装置12aと、メインコンベヤ9から第2積付箇所Nbに向かう第2分岐コンベヤ13bに物品Wを分岐させる分岐装置12bとが設けられている。
【0020】
本実施形態においては、各自動倉庫Rの複数段の棚板3に対応する複数の出庫コンベヤ4が複数の物品払出部に相当し、各自動倉庫Rの複数段の棚板3に対応する複数の搬送車2が、複数の物品払出部の夫々に物品Wを搬送する一群の1次搬送部T1に相当する。また、自動倉庫R2、R3に対応するラック接続コンベヤ8b、8c、及び、自動倉庫R1に対応するラック接続コンベヤ8a、メインコンベヤ合流装置11a、及びメインコンベヤ9の搬送部分9aからなる搬送部が、搬送車2により出庫コンベヤ4に搬送された物品Wを搬送先に搬送する2次搬送部T2(図1のT2a〜T2c)に相当する。
さらに、本実施形態では、リフタ7の昇降搬送部7Lが搬送用移動体に相当する。つまり、2次搬送部T2は、複数の出庫コンベヤ4を経由する搬送経路に沿って移動自在で且つ出庫コンベヤ4との間で物品を授受自在な単一のリフタ7の昇降搬送部7Lを有している。
【0021】
本実施形態においては、一群の搬送車2(すなわち、各自動倉庫Rごとの搬送車2の群)が複数群設けられ、メインコンベヤ合流装置11b、11c、及びそれらの間に位置するメインコンベヤ9の搬送部分9bを含む部分が合流部Yとなる。
つまり、複数群の搬送車2の群の夫々に対応するラック接続コンベヤ8は、共通の搬送先としての合流部Yに物品を搬送するように構成されている。
【0022】
さらに、本実施形態では、メインコンベヤ9における分岐装置12a及び12bを含む部分が合流搬送先Sに相当し、メインコンベヤ9における搬送部分9cが合流搬送先Sに物品Wを搬送する3次搬送部T3に相当する。
つまり、合流部Yから合流搬送先Sに物品Wを搬送する3次搬送部T3が設けられている。
【0023】
加えて、本実施形態では、第1積付箇所Na及び第2積付箇所Nbが複数の仕分ステーションに相当し、合流搬送先Sが、複数の物品Wを第1積付箇所Na及び第2積付箇所Nbに仕分ける形態で物品Wを搬送する仕分け搬送装置に相当する。
【0024】
詳細な図示は省略するが、積付ロボットPは、旋回作動自在な台座部と、台座部に支持されて屈伸作動自在なアーム部と、アーム部の先端に取り付けられた吸着パッドと、を備えている。吸着パッドは、真空吸着式のノズルを複数備えて構成され、物品Wの表面に対して吸着作用する吸着状態と、物品Wの表面に対して吸着作用しない非吸着状態とを切換えることができるようになっている。
積付ロボットPは、台座部の旋回作動とアーム部の屈伸作動とによって、第1積付箇所Na、第2積付箇所Nb、及び、夫々に対応するカートCに亘って吸着パッドを移動させることができるようになっている。
【0025】
図6に示すように、当該自動ピッキング設備の作動を管理する制御部Hが設けられている。制御部Hは、例えば中央処理装置とハードディスク等の記憶装置とを備えたパーソナルコンピュータやPCサーバ等の汎用コンピュータにて構成されている。
制御部Hには、ラックコントローラH1、リフタコントローラH2、コンベヤコントローラH3、ロボットコントローラH4、及び、上位管理装置Huが、相互に通信自在に接続されている。
【0026】
ラックコントローラH1は、後述の搬送要求情報に基づいて制御部Hから送信される物品Wの出庫指示を受け取ると、その出庫指示に基づいて、いずれの自動倉庫Rのいずれの棚板3の段に収納されている物品Wを出庫するかを引当てる。そして、引当てられた物品Wを出庫すべく、自動倉庫Rにおける搬送車2の走行作動及び図示しない移載装置の移載作動を制御するとともに、出庫コンベヤ4の搬送作動を制御するように構成されている。また、ラックコントローラH1は、制御部Hから物品Wの出庫指示に基づいて物品Wの引当てが完了すると、引当済み情報を制御部Hに送信するようになっている。
リフタコントローラH2は、リフタ7における昇降搬送部7Lの昇降作動及び物品Wの授受作動を制御するように構成されている。
コンベヤコントローラH3は、メインコンベヤ9、ラック接続コンベヤ8、メインコンベヤ合流装置11、及び分岐装置12の夫々の作動を制御するように構成されている。なお、メインコンベヤ9については、メインコンベヤ合流装置11aからメインコンベヤ合流装置11bまでの搬送部分9a、メインコンベヤ合流装置11bからメインコンベヤ合流装置11cまでの搬送部分9b、メインコンベヤ合流装置11cから分岐装置12aまでの搬送部分9cの夫々について各別に搬送作動を制御可能に構成されている。
ロボットコントローラH4は、第1分岐コンベヤ13aに搬送されて第1積付箇所Naに到達した物品W又は第2分岐コンベヤ13bに搬送されて第2積付箇所Nbに到達した物品Wを、夫々に対応するカートCに積み付けるべく各積付ロボットPの作動を制御するように構成されている。
また、上位管理装置Huは、物品Wがいずれの自動倉庫Rに収納されているかを示す在庫情報を管理している。なお、上記在庫情報には、物品Wが自動倉庫Rにおける棚板3の何れの位置に載置されているかの情報は含んでいない。
【0027】
制御部Hは、搬送対象の物品Wを指定する搬送要求情報に基づいて、搬送車2、出庫コンベヤ4、リフタ7、ラック接続コンベヤ8、メインコンベヤ9、メインコンベヤ合流装置11、分岐装置12、並びに、第1分岐コンベヤ13a及び第2分岐コンベヤ13b(以降、これらの装置をまとめて「搬送装置」と略称することがある。)の作動を制御するように構成されている。
【0028】
ここで、搬送要求情報は、物品Wの種別と、当該物品Wの搬送元となる自動倉庫Rと、当該物品Wの搬送先とを指定するデータであり、さらに、図3に示すように、要求搬送順序に対応する搬送IDと、合流搬送先(最終搬送先)である第1積付箇所Na及び第2積付箇所Nb(図3及び図8〜10では夫々「A」、「B」と表示)と、搬送順位としてのグループ番号(図3及び図8〜10ではグループNo.と表示)とを対応付けて管理する一群のデータより構成される。この搬送要求情報は、上位管理装置Huによって管理されている。搬送要求情報の夫々に設定されるグループ番号は、複数群の搬送車2の群(つまり複数の自動倉庫R)同士の間で当該グループ番号が重複することを許容する状態で設定されている。また、グループ番号は、第1積付箇所Na(A)及び第2積付箇所Nb(B)の夫々について各別に設定されている。つまり、搬送要求情報は、第1積付箇所Na(A)又は第2積付箇所Nb(B)の別、及び、当該第1積付箇所Na又は第2積付箇所Nbへの搬送順位としての搬送グループを示すステーション別順位情報を有している。なお、搬送要求情報は、第1積付箇所Na(A)及び第2積付箇所Nb(B)の夫々について、同一のグループ番号は連続する搬送IDとなるように設定されている。
そして、上位管理装置Huは、搬送要求情報を制御部Hに送信し、物品Wについての搬送を要求する。
【0029】
複数の物品Wについての搬送要求情報は、要求搬送順序である搬送ID順に制御部Hにて順次処理される。制御部Hは、搬送ID順で、物品Wを棚板3から掬い出庫コンベヤ4に卸すべく搬送車2を作動させる搬送指令をラックコントローラH1に指令する。ラックコントローラH1は、搬送要求情報にて指令された種別の物品を引き当てるとともに、当該物品を出庫すべく搬送車2を作動させる。そして、ラックコントローラH1は、出庫コンベヤ4が物品Wを受け取ると、その物品Wをリフタ7への受け渡し側の端部(以降、出庫側端部と称する)に搬送するように出庫コンベヤ4の作動を制御する。なお、当該物品Wの出庫に併せて、ラックコントローラH1は、物品Wを出庫したことを示す出庫済み情報を上位管理装置Huに送信する。これにより、上位管理装置Huは、物品Wの在庫情報を更新することができる。
【0030】
ここで、物品Wは、自動倉庫Rの夫々に対して、入庫効率を考慮した入庫ロジックで入庫される。したがって、搬送順序と、搬送対象の物品Wが収納される自動倉庫R、棚板3の上下位置、及び、棚板3におけるその長手方向での物品Wの載置位置との間に規則性はない。このため、制御部Hが、搬送要求情報を搬送ID順に順次搬送すべく、搬送車2及び出庫コンベヤ4を順次作動させ出庫コンベヤ4の出庫側端部に搬送したとしても、その到達順序が搬送ID順とはならない虞がある。つまり、例えば、図4及び図5に示すように、物品Wをグループ番号順に搬送しようとしても、ラック接続コンベヤ8でグループ番号の順位が入れ替わってしまう虞がある。また、このようにグループ番号が入れ替わってしまうと、合流部Yでの合流時に、グループ番号の上位の物品をグループ番号が下位の物品よりも先に合流させることができなくなり、デッドロックが発生する虞がある。
【0031】
このため、制御部Hは、複数の搬送要求情報の夫々について設定されたグループ番号により定まる搬送順序にて合流部Yに搬送すべく、一群の搬送車2並びにリフタ7及びラック接続コンベヤ8(自動倉庫R1についてはメインコンベヤ9の搬送部分9aも含む)の作動を制御する(合流順決定処理と称する)ように構成されている。
【0032】
具体的には、制御部Hが、リフタ7の昇降搬送部7Lが上記搬送順序に対応する順序で複数の出庫コンベヤ4から物品Wを受け取って合流部Yに搬送するように、リフタ7の昇降搬送部7Lの作動を制御する。
そして、制御部Hは、複数の搬送要求情報に基づいて、メインコンベヤ9の搬送部分9cが当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品Wを上記搬送順序で合流搬送先(最終搬送先)である第1積付箇所Na及び第2積付箇所Nbに搬送すべく、上記リフタ7に加えて、一群の搬送車2及びラック接続コンベヤ8(自動倉庫R1についてはメインコンベヤ9の搬送部分9aも含む)、合流部Y、及び、メインコンベヤ9の搬送部分9cの作動を制御するように構成されている。
さらに、制御部Hは、複数の搬送要求情報に基づいて、当該複数の搬送要求情報の搬送対象となっている物品Wを、ステーション別順位情報通りに第1積付箇所Na又は第2積付箇所Nbに仕分ける形態で搬送すべく、上記リフタ7、一群の搬送車2及びラック接続コンベヤ8(自動倉庫R1についてはメインコンベヤ9の搬送部分9aも含む)、合流部Y、並びに、メインコンベヤ9の搬送部分9cに加えて、合流搬送先S(分岐装置12a、分岐装置12b、及びその間に存在するメインコンベヤ9の搬送部分)の作動を制御するように構成されている。
【0033】
次に、制御部Hが合流順決定処理を実行するに当たっての具体的な制御を、図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明において、合流点Gとは、図1におけるメインコンベヤ合流装置11b、メインコンベヤ合流装置11c、及び、リフタ7a、リフタ7b、リフタ7cを指す。また、以下の説明では、メインコンベヤ合流装置11cを便宜的に符号(I)で表し、リフタ7cを符号(II)で表し、メインコンベヤ合流装置11bを符号(III)で表し、リフタ7bを符号(IV)で表し、リフタ7aを符号(V)で表す。また、最下流の合流点(I)を起点とした場合、合流点(II)と合流点(III)とが上流側で同階層の合流点であり、合流点(III)を起点とした場合、合流点(IV)と合流点(V)とが上流側で同階層の合流点である。
【0034】
制御部Hは、まず、いずれの搬送要求情報も発生していない待ち受け状態において、新たな搬送要求情報が発生したか否かを判別する(ステップ#11)。新たな搬送要求情報が発生したと判別すると(ステップ#11:Yes)、続いて、起点合流点を最下流の合流点G(図1に(I)で示す。)に設定する。続いて、上流側階層に2以上の合流点があるか否かを判別し(ステップ#13)、上流側階層に2以上の合流点がある場合(ステップ#13:Yes)には、合流順決定処理を実行する。続いて、同階層で合流順決定処理を実行していない合流点Gが他にあるか否かを判別し(ステップ#15)、同階層で合流順決定処理を実行していない合流点Gが他にある場合(ステップ#15:Yes)には、ステップ#13の処理に戻る。また、ステップ#11、ステップ#13、ステップ#15にてNoと判別した場合には、一連の処理を終了する。
【0035】
また、制御部Hは、発生済みの搬送要求情報に基づく搬送装置の作動の制御を行っている間も、新たな搬送要求情報の発生を所定の時間間隔で監視しており、先に合流順決定処理を実行した搬送要求情報のうちラックコントローラH1から引当済み情報を受け取っていない搬送要求情報(未引当搬送要求情報と称する)が存在している状態において、1つ又は複数の新たな搬送要求情報が発生したときは、当該未引当搬送要求情報と新たに発生した搬送要求情報とからなる搬送要求情報群を対象としてステップ#11以降の処理を実行することによって、新たに発生した搬送要求情報を含めた状態で合流順決定処理をやり直す。これにより、随時搬送要求情報が発生するようなシステムにおいても、適切に合流順序を決定することができる。
【0036】
ここで、合流順決定処理の具体的な処理方法を説明すると、まず、図8に示すように、複数の搬送要求情報の全てについて、搬送される物品Wが通過する合流点(I)〜(V)を列挙する。
なお、以下では、簡単のため、自動倉庫R2及び自動倉庫R3からのみ物品Wを出庫する場合を例に説明する。したがって、最下流の合流点が合流点(I)となり、上流側の合流点が合流点(II)及び合流点(IV)となる。
【0037】
図8では、搬送IDが01の搬送要求情報について、搬送先がA(第1積付箇所Na)でありグループ番号が001である物品が、合流点(I)と(II)とを通過し、搬送IDが02の搬送要求情報について、搬送先がAでありグループ番号が001である物品が、合流点(I)と(IV)とを通過し、・・・搬送先がB(第2積付箇所Nb)でありグループ番号が001である物品が合流点(I)と(II)とを通過し、・・・搬送先がBでありグループ番号が003である物品が合流点(I)と(II)とを通過する、というように、夫々の物品の通過点を列挙することになる。
【0038】
上記図8で書き出した通過点を合流点Gごとに整理すると図9に示すようになる。その後、図10に示すように、上流側の合流点(II)及び合流点(IV)における物品の通過順を、グループ番号の小さい順に並べ直す。上記のように並べ直した合流点(II)及び合流点(IV)における物品の通過順が、すなわち、リフタ7における物品Wの受け取り順となる。
なお、本実施形態のように合流点が複数階層存在する場合は、下流側に存在する合流点から1つ上流側の合流点に向けて、上記のような処理を繰り返す。つまり、合流点(I)の1階層上流の合流点は合流点(II)及び合流点(III)であるが、合流点(III)を起点とすると、1階層上流の合流点がさらに2つ(合流点(IV)及び合流点(V))存在する。この場合、合流点(I)を起点に合流点(II)及び合流点(III)での通過順を決定した上で、その決定した合流点(III)での通過順について、上記で説明した手順を適用して、合流点(IV)及び合流点(V)での通過順を決定することになる。
【0039】
このように、下流側の合流点Gでの物品Wの通過順通りに上流側の合流点Gでの物品Wの通過順を設定することによって、図11に示すように、物品Wがグループ番号により定まる搬送順序で並ぶことになり、物品Wを、搬送順序に対応する順序で搬送先である合流部Y、及び、合流搬送先である第1積付箇所Na又は第2積付箇所Nbに搬送することができる。
【0042】
〔別実施形態〕
)上記実施形態では、一群の1次搬送部としての複数の搬送車2を備えた自動倉庫Rを複数備える構成を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、自動倉庫Rを1つだけ備えるものであってもよい。この場合、合流部Yは不要となる。
【0043】
)上記実施形態では、合流搬送先として仕分ステーションとしての第1積付箇所Na又は第2積付箇所Nbを有し、複数の物品Wを第1積付箇所Na又は第2積付箇所Nbに仕分ける形態で物品を搬送する仕分け搬送装置としての分岐装置12a及び12bを備える構成を例示したが、仕分ステーションとしての第1積付箇所Na又は第2積付箇所Nbを備えず、単一のステーションとしてもよい。また、仕分ステーションを3つ以上備える構成としてもよい。
【0044】
)上記実施形態では、搬送要求情報の夫々に設定されるグループ番号が、複数の自動倉庫R同士の間で重複することを許容する状態で設定される構成を例示したが、複数の自動倉庫R同士の間でのグループ番号の重複を許容しない構成としてもよい。この場合、合流部Yにおいて、当該グループ番号により定まる搬送順序となるように、搬送順序を制御することになる。
【0045】
)上記実施形態では、未引当搬送要求情報が存在している状態において、1つ又は複数の新たな搬送要求情報が発生したときに、当該未引当搬送要求情報と新たに発生した搬送要求情報とからなる搬送要求情報群を対象として合流順決定処理をやり直す構成を説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、制御部Hが、複数の搬送要求情報のまとまりであるバッチ搬送要求情報ごとに合流順決定処理を実行するように構成し、そのバッチ搬送要求情報に対応する物品Wの搬送が終了するまでは、新たな搬送要求情報が発生してもその新たな搬送要求情報についての合流順決定処理の実行を待たせるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0046】
2 1次搬送部
T1 一群の1次搬送部
4 物品払出部
7L 昇降搬送部
T2 2次搬送部
T3 3次搬送部
Y 搬送先、合流部
12a、12b 仕分搬送装置
H 制御部
Na、Nb 仕分ステーション
S 合流搬送先
W 物品

以上
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11