特許第6040903号(P6040903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040903
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20161128BHJP
   F16K 31/53 20060101ALI20161128BHJP
   F02M 26/70 20160101ALI20161128BHJP
   F02D 9/04 20060101ALI20161128BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20161128BHJP
   F02D 9/10 20060101ALI20161128BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20161128BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   F16K31/04 A
   F16K31/53
   F02M26/70 301
   F02D9/04 Z
   F02D9/02 351N
   F02D9/02 351Z
   F02D9/10 G
   F02D11/10 N
   F02D9/02 351J
   F16K31/04 G
   F16K1/22 A
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-199506(P2013-199506)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-64097(P2015-64097A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100124752
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 真司
(72)【発明者】
【氏名】小林 高史
(72)【発明者】
【氏名】島根 修
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−252923(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3089902(JP,U)
【文献】 特開2002−206656(JP,A)
【文献】 特開2013−117267(JP,A)
【文献】 特開2013−104391(JP,A)
【文献】 特開2012−57547(JP,A)
【文献】 特開2013−104309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
F02D 9−11
F02M 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(E)の気筒に連通する流路(21〜24)を開閉するバルブ(11〜14)と、このバルブ(11〜14)を支持する出力シャフト(15)を有し、前記出力シャフト(15)を回転駆動して前記バルブ(11〜14)を開閉動作させるアクチュエータ(5、6)とを備えた流体制御弁(1〜4)において、
前記アクチュエータ(5、6)は、
(a)前記バルブ(11〜14)を駆動する動力を発生するモータ(M)と、
(b)このモータ(M)の動力を受けて回転するギア(18)を有し、前記モータ(M)の回転を減速して前記出力シャフト(15)に伝える減速機構(49、51〜53)と、
(c)この減速機構のギア(18)に対して、前記バルブ(11〜14)を閉弁方向または開弁方向に付勢する弾性力を発生するスプリング(7、8)と、
(d)内部に少なくとも前記減速機構(49、51〜53)と前記スプリング(7、8)を収容するハウジング(19)と
を備え、
前記ギア(18)は、前記バルブ(11〜14)を閉弁方向に付勢するスプリング(7)の一端側の端末(44)を係止または保持する第1フック(41)、および前記バルブ(11〜14)を開弁方向に付勢するスプリング(8)の他端側の端末(77)を係止または保持する第2フック(73)を有し、
前記ハウジング(19)は、前記バルブ(11〜14)を閉弁方向に付勢するスプリング(7)の他端側の端末(45)を係止または保持する第3フック(42)、および前記バルブ(11〜14)を開弁方向に付勢するスプリング(8)の一端側の端末(76)を係止または保持する第4フック(74)を有し、
前記ギア(18)の回転中心は、前記ハウジング(19)の短手方向に直交する長手方向中心線上に配置されており、
前記第1フック(41)および前記第2フック(73)は、前記ギア(18)の半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されており、
前記第3フック(42)および前記第4フック(74)は、前記ハウジング(19)の長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御弁において、
前記ハウジング(19)は、前記ギア(18)が、前記バルブ(11〜14)の回転可能範囲に対応した回転角度範囲で回転可能なスペース(S)を有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流体制御弁において、
前記ハウジング(19)は、前記バルブ(11〜14)を全閉した際に前記ギア(18)のこれ以上の閉弁方向への回転動作を規制する第1規制部(62)、および前記バルブ(11〜14)を全開した際に前記ギア(18)のこれ以上の開弁方向への回転動作を規制する第2規制部(72)を有し、
前記第1規制部(62)および前記第2規制部(72)は、前記ハウジング(19)の長手方向中心軸線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項4】
請求項3に記載の流体制御弁において、
前記ギア(18)は、前記バルブ(11〜14)を全閉した際に、前記第1規制部(62)に当接して係止される第1係止部(61)、および前記バルブ(11〜14)を全開した際に、前記第2規制部(72)に当接して係止される第2係止部(71)を有し、
前記第1係止部(61)および前記第2係止部(71)は、前記ギア(18)の半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記スプリングとしては、
前記減速機構のギア(18)に対して、前記バルブ(11、13)を全閉方向または全開方向に付勢する弾性力を発生する第1、第3スプリング(7)、
あるいは前記減速機構のギア(18)に対して、前記第1、第3スプリング(7)の付勢方向とは逆方向に付勢する弾性力を発生する第2、第4スプリング(8)が使用されることを特徴とする流体制御弁。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記スプリング(7、8)は、前記第1フック(41)または前記第2フック(73)と前記第3フック(42)または前記第4フック(74)との間に螺旋状に巻装されたコイル(43、75)、およびこのコイル(43、75)の両端部分から半径方向の外側へ向けて延びる2つの端末(44、45、76、77)を有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項7】
請求項6に記載の流体制御弁において、
前記2つの端末のうちの前記コイル(43)の一端部分から延びる端末(44)は、前記第1フック(41)に係止または保持されており、
前記2つの端末のうちの前記コイル(43)の他端部分から延びる端末(45)は、前記第2フック(73)に係止または保持されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項8】
請求項6に記載の流体制御弁において、
前記2つの端末のうちの前記コイル(75)の一端部分から延びる端末(76)は、前記第4フック(74)に係止または保持されており、
前記2つの端末のうちの前記コイル(75)の他端部分から延びる端末(77)は、前記第3フック(42)に係止または保持されていることを特徴とする流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力ギアシャフトを回転駆動してバルブを開閉動作させるアクチュエータを備えた流体制御弁に関するもので、特に内燃機関(エンジン)の気筒から排出される排出ガスの一部をEGRガスとして吸気管へ再循環させる排出ガス循環装置に使用される流量制御弁に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、ディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)においては、エンジンの気筒から排出される排出ガス(以下排気)中に含まれる窒素酸化物(NOx)を低減する排気循環装置(EGRシステム)が搭載されている。
EGRシステムは、エンジンの気筒から排出される排気の一部をEGRガスとして吸気管内の吸気通路へ再循環(還流)させ、エアクリーナを通過した吸入空気(新気)に混入させて燃焼温度を下げることによってNOxの発生を抑制している。
【0003】
ここで、EGRガスを吸気通路に還流させると、エンジンの気筒の燃焼室内での混合気の着火性が低下して、エンジン出力の低下を招くので、エンジンの気筒へ導入されるEGRガスの流量をエンジンの運転状況に応じて調整する必要がある。
そこで、EGRシステムにおいては、排気管内の排気通路の分岐部と吸気管内の吸気通路の合流部とを接続するEGRガスパイプの途中にEGRガス流量制御弁(以下EGR制御弁)を設置し、EGR制御弁の弁体であるバルブの開度を調整することで、エンジンの気筒へ導入されるEGRガスの流量を制御している(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
ここで、特許文献2には、EGRシステムとして、排気管内の排気通路からEGRガス流路へ分岐する分岐部が、ターボチャージャのタービンよりも上流側に設けられる高圧ループEGRシステムと、排気管内の排気通路からEGRガス流路へ分岐する分岐部が、ターボチャージャのタービンよりも下流側に設けられる低圧ループEGRシステムとが記載されている。
【0005】
高圧ループEGRシステムには、エンジンの気筒へEGRガスを大量に導入してエンジンの排出ガス性能をより改善したいという要望から、EGR制御弁の第1バルブが開弁している時に、新気の流量が少なくなるように新気の流量を調整する第2バルブを備えた吸気絞り弁が使用されている。
また、低圧ループEGRシステムには、エンジンの気筒へEGRガスを大量に導入してエンジンの排出ガス性能をより改善したいという要望から、EGR制御弁の第3バルブが開弁している時に、大気へ排出される排気の流量が少なくなるように排気の流量を調整する第4バルブを備えた排気絞り弁が使用されている。
【0006】
EGR制御弁は、EGRガスが流れる第1、第3流路を開閉する円形板状の第1、第3バルブと、これらの第1、第3バルブと一体回転可能に連結した第1、第3出力シャフトを有し、第1、第3出力シャフトを回転駆動して第1、第3バルブを開閉動作させる第1、第3アクチュエータとを備えている。
第1、第3アクチュエータは、第1、第3バルブを駆動する回転動力を発生する第1、第3モータと、この第1、第3モータの各回転軸の回転を2段減速する第1、第3減速機構と、これらの第1、第3減速機構の各出力部(第1、第3出力ギア、第1、第3出力ギアシャフト)に対し、第1、第3バルブを閉弁方向(全閉方向)に付勢する弾性力を発生する第1、第3リターンスプリングとを備えている。
第1、第3減速機構は、第1、第3ピニオンギア、第1、第3中間ギア、第1、第3出力ギア、第1、第3中間ギアシャフトおよび第1、第3出力ギアシャフト等を有している。
なお、EGR制御弁は、モータへの通電停止時に、第1、第3流路を全閉し、第1、第3モータへの駆動電流の増加または印加電圧の増大に伴って第1、第3流路の流路断面積を増加させるノーマリクローズ(N/C)タイプの流量制御弁となっている。
【0007】
吸気絞り弁は、新気が流れる第2流路を開閉する第2バルブと、これらの第2バルブと一体回転可能に連結した第2出力シャフトを有し、第2出力シャフトを回転駆動して第2バルブを開閉動作させる第2アクチュエータとを備えている。
第2アクチュエータは、第2モータ、第2減速機構および第2リターンスプリングを備えている。また、第2減速機構は、第2ピニオンギア、第2中間ギア、第2出力ギア、第2中間ギアシャフトおよび第2出力ギアシャフト等を有している。
なお、吸気絞り弁は、第2モータへの通電停止時に、第2流路を全開し、第2モータへの駆動電流の増加または印加電圧の増大に伴って第2流路の流路断面積を減少させるノーマリオープン(N/O)タイプの流量制御弁となっている。
【0008】
一方、排気絞り弁は、排気の残部が流れる第4流路を開閉する第4バルブと、これらの第4バルブと一体回転可能に連結した第4出力シャフトを有し、第4出力シャフトを回転駆動して第4バルブを開閉動作させる第4アクチュエータとを備えている。
第4アクチュエータは、第4モータ、第4減速機構および第4リターンスプリングを備えている。また、第4減速機構は、第4ピニオンギア、第4中間ギア、第4出力ギア、第4中間ギアシャフトおよび第4出力ギアシャフト等を有している。
なお、排気絞り弁は、第4モータへの通電停止時に、第4流路を全開し、第4モータへの駆動電流の増加または印加電圧の増大に伴って第4流路の流路断面積を減少させるノーマリオープン(N/O)タイプの流量制御弁となっている。
【0009】
[従来の技術の不具合]
以上のように、特許文献2に記載の高圧ループEGRシステムには、ノーマリクローズ(全閉)構造のEGR制御弁、およびノーマリオープン(全開)構造の吸気絞り弁が設けられており、第1、第2モータへの通電停止時における各第1、第2バルブの停止位置、つまり第1、第2リターンスプリングの付勢方向が異なる。
また、特許文献2に記載の低圧ループEGRシステムには、ノーマリクローズ(全閉)構造のEGR制御弁と、ノーマリオープン(全開)構造の排気絞り弁とがあり、第3、第4モータへの通電停止時における各第3、第4バルブの停止位置、つまり第3、第4リターンスプリングの付勢方向が異なるため、EGR制御弁の各第1、第3アクチュエータと吸気または排気絞り弁の各第2、第4アクチュエータとは、互いに個別に設計されて、個別の生産ラインによって生産(製造)されている。
【0010】
ここで、ノーマリ全閉構造の流量制御弁とノーマリ全開構造の流量制御弁との仕様が異なる2種類の流量制御弁において、共通部品を使用し、また、共用生産ラインを使用してコストダウンを図るという目的で、共通部品を使用してノーマリ全閉構造の流量制御弁とノーマリ全開構造の流量制御弁の構成を同時に実現することが考えられる。
ところが、ノーマリ全閉構造の流量制御弁とノーマリ全開構造の流量制御弁の構成を同時に実現するためには、アクチュエータ部品(リターンスプリング、出力ギア、ハウジング等)の大幅な設計変更や構造変更が必要となるという問題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−057547号公報
【特許文献2】特開2013−104309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、部品の使用状態(仕様)が異なる2種類以上の流体制御弁の間で部品の共通化および生産ラインの共用化を図ることで、2種類以上の流体制御弁の構成を同時に実現することのできる流体制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明(流体制御弁)によれば、減速機構のギアに、流体制御弁の弁体であるバルブを閉弁方向に付勢するスプリングの一端側の端末を係止または保持する第1フック、およびバルブを開弁方向に付勢するスプリングの他端側の端末を係止または保持する第2フックを設けている。
また、ハウジングに、バルブを閉弁方向に付勢するスプリングの他端側の端末を係止または保持する第3フック、およびバルブを開弁方向に付勢するスプリングの一端側の端末を係止または保持する第4フックを設けている。
【0014】
そして、第1フックおよび第2フックを、ギアの半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置する。さらに、第3フックおよび第4フックを、ハウジングの長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置することにより、部品の使用状態(仕様)の異なる2種類以上の流体制御弁を生産または製造する場合において、部品の共通使用、共用生産ラインでの生産が容易となる。
また、共通部品の使用状態(仕様)の異なる2種類以上の流体制御弁を生産または製造する際の設計工数の削減および生産ラインの共用化を図ることができるので、2種類以上の流体制御弁を生産する上でのコスト削減を図ることができる。
また、共用部品(共通部品)の構造変更を伴わず、部品の使用状態(仕様)の異なる2種類以上の流体制御弁の間で部品の共通化および生産ラインの共用化を図ることができるので、2種類以上の流体制御弁の構成を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】内燃機関の制御装置(エンジン制御システム)の概略構成を示した構成図である(実施例1)。
図2】センサカバーを外した状態のノーマリ全閉構造の流量制御弁を示した上面図である(実施例1)。
図3】センサカバーを外した状態のノーマリ全閉構造の流量制御弁を示した正面図である(実施例1)。
図4】センサカバーを外した状態のノーマリ全開構造の流量制御弁を示した上面図である(実施例1)。
図5】センサカバーを外した状態のノーマリ全開構造の流量制御弁を示した正面図である(実施例1)。
図6】ノーマリ全閉構造の流量制御弁を示した断面図である(実施例1)。
図7】センサカバーを外した状態のノーマリ全閉構造の流量制御弁を示した斜視断面図である(実施例1)。
図8】減速機構の出力ギアを示した正面図である(実施例1)。
図9】減速機構の出力ギアを示した上面図である(実施例1)。
図10】減速機構の出力ギアを示した斜視図である(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
[実施例1の構成]
図1ないし図10は、本発明の流体制御弁を適用したEGR制御弁およびディーゼルスロットル弁(実施例1)を示したものである。
【0018】
本実施例の内燃機関の制御装置(以下エンジン制御システム)は、例えば自動車等の車両走行用の内燃機関(多気筒ディーゼルエンジン:以下エンジン)Eの排気管から吸気管へ排出ガス(以下排気)の一部であるEGRガスを再循環(還流)させる排気循環装置(以下EGRシステム)と、エンジンEの気筒から排出された排気の圧力を利用して吸入空気(吸気)を過給(圧縮)するターボチャージャと、EGRシステムを電子スロットルや燃料供給システム等の各システムと関連して制御するエンジン制御ユニット(後述する)とを備え、エンジンEから排出された排気を浄化する排気浄化装置として使用されるものである。
【0019】
ターボチャージャは、エンジンEの吸気管の途中に設けられたコンプレッサCおよびエンジンEの排気管の途中に設けられたタービンTを備え、吸気管内の吸気通路を流れる吸気をコンプレッサCで圧縮し、この圧縮された圧縮空気(吸気)をエンジンEの各気筒へ送り込むターボ過給機である。このターボチャージャは、タービンTが排気の圧力により回転駆動されると、タービンTに駆動連結されたコンプレッサCも回転し、このコンプッサCが吸気を圧縮する。
【0020】
一方、EGRシステムは、「高圧ループ(HPL)−EGRシステム」と「低圧ループ(LPL)−EGRシステム」を備えている。
HPL−EGRシステムは、図1に示したように、排気管内の排気通路からのEGRガスの取り出し口が、ターボチャージャのタービンTよりも排気流方向の上流側に設けられている。
【0021】
HPL−EGRシステムは、エキゾーストマニホールドまたは排気管内の排気通路からインテークマニホールドまたは吸気管内の吸気通路へEGRガスを還流させるEGRガスパイプを備えている。このEGRガスパイプには、EGRガスの流量を制御(調整)するノーマリクローズタイプの流量制御弁1が設置されている。また、吸気管に対するEGRガスパイプの合流部よりも吸気流方向の上流側には、新気の流量を制御(調整)するノーマリオープンタイプの流量制御弁2が設置されている。
【0022】
LPL−EGRシステムは、図1に示したように、排気管内の排気通路からのEGRガスの取り出し口が、ターボチャージャのタービンTよりも排気流方向の下流側に設けられている。
LPL−EGRシステムは、排気管内の排気通路から吸気管内の吸気通路へEGRガスを還流させるEGRガスパイプを備えている。このEGRガスパイプには、EGRガスの流量を制御(調整)するノーマリクローズタイプの流量制御弁3が設置されている。また、排気管に対するEGRガスパイプの分岐部よりも排気流方向の下流側には、排気の流量を制御(調整)するノーマリオープンタイプの流量制御弁4が設置されている。
【0023】
EGRガスパイプには、流量制御弁1、3の各第1、第3弁体(後述する)および第1、第3弁軸(後述する)を開弁方向または閉弁方向へ開閉駆動する電動アクチュエータ5が搭載されている。また、吸気管および排気管には、流量制御弁2、4の各第2、第4弁体(後述する)および第2、第4弁軸(後述する)を閉弁方向または開弁方向へ開閉駆動する電動アクチュエータ6が搭載されている。
【0024】
電動アクチュエータ5は、流量制御弁1、3の各第1、第3弁体を閉弁(全閉)方向に付勢する第1、第3コイルスプリング(第1、第3リターンスプリング:以下スプリング)7、流量制御弁1、3の各第1、第3弁体を駆動する回転動力(トルク)を発生する第1、第3電動モータ(以下モータ)M、およびこのモータMの出力軸(後述する)の回転を2段減速する減速機構等を備えている。
電動アクチュエータ6は、流量制御弁2、4の各第2、第4弁体を開弁(全開)方向に付勢する第2、第4コイルスプリング(第2、第4リターンスプリング:以下スプリング)8、流量制御弁2、4の各第2、第4弁体を駆動する回転動力(トルク)を発生する第2、第4電動モータ(以下モータ)M、およびこのモータMの出力軸(後述する)の回転を2段減速する減速機構等を備えている。
【0025】
エンジンEのインテークマニホールドの分岐部に接続する吸気管には、新気(外気)中に含まれる異物を濾過するエアクリーナAC、ターボチャージャのコンプレッサC、このコンプレッサCを通過した吸気を冷却水と熱交換して冷却する水冷式のインタークーラIC、およびこのインタークーラICを通過した新気の流量を調量する流量制御弁2が設置されている。
エンジンEのエキゾーストマニホールドの集合部に接続する排気管には、ターボチャージャのタービンT、排気中に含まれる排気微粒子(パティキュレートマター:PM)を補集するディーゼルパティキュレートフィルタ(排気浄化装置:以下DPF)9、およびこのDPF9を通過した排気の流量を調量する流量制御弁4が設置されている。
【0026】
HPL−EGRシステムおよびLPL−EGRシステムは、エンジンの運転状況に基づいて、流量制御弁1〜4の第1〜第4弁体である第1〜第4バルブ11〜14を開閉制御するEGRバルブ制御装置(内燃機関のEGR制御装置)として使用される。
このEGRバルブ制御装置は、流量制御弁1、3の第1、第3弁軸である第1、第3出力シャフト(以下出力シャフト)15を回転駆動する電動アクチュエータ5に組み込まれるモータMと、流量制御弁2、4の第2、4弁軸である第2、第4出力シャフト(以下出力シャフト)15を回転駆動する電動アクチュエータ6に組み込まれるモータMとを他のシステムと連動して制御するエンジン制御ユニット(電子制御装置:ECU)16を備えている。
なお、出力シャフト15は、減速機構の第1、第3出力軸であり、この出力シャフト15には、第1、第3出力ギア(以下出力ギア)19が一体回転可能に連結されている。また、出力シャフト15は、減速機構の出力軸であり、この出力シャフト15には、第2、第4出力ギア(以下出力ギア)18が一体回転可能に連結されている。
【0027】
ここで、燃料供給システムは、ディーゼルエンジン用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)によって構成されている。
コモンレール式燃料噴射システムは、燃料タンクから燃料フィルタを介して燃料を汲み上げるフィードポンプを内蔵した超高圧燃料ポンプ(以下サプライポンプ)P、このサプライポンプPから吐出された高圧燃料が導入される燃料分配管(以下コモンレール)R、およびこのコモンレールRから分配された高圧燃料が導入される複数の燃料噴射弁(以下インジェクタ)Iを備え、コモンレールRの内部(蓄圧室)に蓄圧された高圧燃料を各インジェクタIを介してエンジンEの各気筒の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
【0028】
次に、本実施例の流量制御弁1〜4の詳細を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。
流量制御弁1、3は、電動アクチュエータ5の動力源であるモータMへの通電停止時に、EGRガスが流れる第1、第3流路21、23を全閉し、モータMへの駆動電流の増加または印加電圧の増大に伴って第1、第3流路21、23の流路断面積を段階的または連続的に増加させるノーマリクローズ(N/C)タイプの流量制御弁となっている。
流量制御弁1には、EGRガスを冷却水と熱交換して冷却する水冷式のEGRクーラEC1を通過したEGRガスが導入される。また、流量制御弁3には、EGRガスを冷却水と熱交換して冷却する水冷式のEGRクーラEC2を通過したEGRガスが導入される。 なお、第1、第3流路21、23は、排気管から導入されたEGRガスが流れる。
【0029】
流量制御弁2は、モータMへの通電停止時に、新気が流れる第2流路22を全開し、モータMへの駆動電流の増加または印加電圧の増大に伴って第2流路22の流路断面積を段階的または連続的に減少させるノーマリオープン(N/O)タイプの流量制御弁となっている。
なお、第2流路22は、エアクリーナACを通過した新気が流れる。
また、本実施例の吸気管内には、第1流路21から導入されたEGRガスと第2流路22から導入された新気とを混合した吸気をエンジンEの各気筒の燃焼室内へ導く第3流路23が設けられている。
【0030】
流量制御弁4は、モータMへの通電停止時に、排気が流れる第4流路24を全開し、モータMへの駆動電流の増加または印加電圧の増大に伴って第4流路24の流路断面積を段階的または連続的に減少させるノーマリオープン(N/O)タイプの流量制御弁となっている。
なお、第4流路24は、エンジンEの各気筒の燃焼室から排出され、且つターボチャージャのタービンTおよびDPF9を通過した排気が流れる。
【0031】
また、本実施例の排気管内には、上記の第4流路24が設けられている。この第4流路24を流れる排気は、流量制御弁3、4とのバルブ開度に応じて、第3流路23へ流入するEGRガスの流量と、そのまま第4流路24へ流入する排気の流量とに振り分けられる。
以上のように、流量制御弁1、3と流量制御弁2、4とは、共通部品の使用状態(仕様)の異なる2種類の流体制御弁、つまりノーマリ全閉構造の流量制御弁とノーマリ全開構造の流量制御弁とを構成している。
【0032】
次に、本実施例の流量制御弁1、3の詳細を図1図3及び図6図10に基づいて簡単に説明する。
ここで、流量制御弁1の構成と流量制御弁3との構成とは、同じであるため、一方の流量制御弁1の構成のみを説明し、他方の流量制御弁3の説明は省略する。
【0033】
流量制御弁1は、第1流路21を流れるEGRガスの流量を調量する第1バルブ11と、この第1バルブ11と一体回転可能に連結した出力シャフト15を有し、出力シャフト15を回転駆動して第1バルブ11を開閉動作させる電動アクチュエータ5と、第1バルブ11、出力シャフト15および電動アクチュエータ5を収容(内蔵)するハウジング19とを備えている。
【0034】
ハウジング19は、回転角度センサ25を搭載する電気絶縁性を有する合成樹脂製のセンサカバー26との間に、電動アクチュエータ5を収容する凹部を備えている。
センサカバー26には、モータMのフロントブラケットより突出する一対のブラシターミナル20と一対のモータターミナルとの電気接続を行う内部接続用コネクタと、一対のモータターミナルおよび回転角度センサ25の複数のセンサターミナルと外部回路(ECUやバッテリ)との電気接続を行う外部接続用コネクタとが設けられている。
また、ハウジング19は、第1バルブ11またはスロットルバルブ15を開閉自在に収容するバルブボディ27、モータMを収容する円筒状のモータケース28、および出力シャフト15と電動アクチュエータ5を収容するギアケース29等を備えている。
なお、ハウジング19の詳細は、後述する。
【0035】
流量制御弁1は、ハウジング19の内部に形成されるEGRガス流路(第1流路21)の開口面積を連続的または段階的に変更することで、第1流路21を経由して、排気通路から吸気通路へ再循環(還流)されるEGRガスの流量(EGRガス量)を可変制御するEGRガス流量制御弁(EGR制御弁)として使用される。
流量制御弁1は、ハウジング19のバルブボディ27およびギアケース29に対して、出力シャフト15を回転自在に支持するシャフト支持機構(出力シャフト15の支持機構)を備えている。このシャフト支持機構は、滑り軸受(ガイドブッシュ)31、ガスシール(またはダストシール)32および転がり軸受(以下ボールベアリング)33等によって構成されている。
【0036】
流量制御弁1は、出力シャフト15のバルブ保持部に形成されたスリット孔34内に第1バルブ11を挿入した状態で、第1バルブ11を出力シャフト15にスクリュー(締結体)35の螺子締結による軸力で固定(締結固定)するバルブ支持構造を採用している。 ここで、一対のスクリュー35は、十字溝または六角溝等の工具係合部を有する頭部と、この頭部より軸線方向の一方側に延びる軸方向部(軸部)とを備えている。軸部には、出力シャフト15の貫通孔36に形成される雌螺子と螺合してねじ込まれる雄螺子が設けられている。
【0037】
第1バルブ11は、全閉位置から全開位置に至るまでの動作可能範囲で回転動作されることで第1流路21の流路断面積を絞る排気絞り弁の弁体であって、エンジンEの各気筒の燃焼室内に供給される吸気(新気のみ、あるいは新気+EGRガス)の全流量に対するEGRガス流量の比率であるEGR率を調整する。
第1バルブ11は、例えばステンレス鋼等の鉄系金属または合成樹脂によって平板形状となるように一体的に形成されている。この第1バルブ11は、出力シャフト15のスリット孔34に挿入された後に、スクリュー35で出力シャフト15のバルブ保持部に螺子締結(支持固定)されている。
【0038】
第1バルブ11の軸方向部には、スクリュー35の軸部がその軸線方向(締結方向)に貫通(挿通)する一対のスクリュー挿通孔37が形成されている。
第1バルブ11の板厚方向の両端面は、全面的にフラットな平坦面(平面)である。つまり第1バルブ11は、全体が同じ板厚を有している。
第1バルブ11は、ハウジング19のバルブボディ27の流路方向の中心軸線と、出力シャフト15の中心軸線(回転軸線)との交点(O)を中心にして半径方向の外側に放射状に拡がる円板状のバタフライバルブである。
【0039】
第1バルブ11の外周端面には、上記の交点(O)を中心とする曲率半径の凸曲面が設けられている。
第1バルブ11は、流量制御弁1の全閉時に、バルブボディ27の流路方向に対して直交する垂直方向に配置される円板状のプレートバルブである。
第1バルブ11には、流量制御弁1の全開時にバルブボディ27の流路方向の一方側(EGRガス流方向の一方側:例えば上流側)に配される第1ディスク(バルブプレート)と、流量制御弁1の全開時にバルブボディ27の流路方向の他方側(EGRガス流方向の他方側:例えば下流側)に配される第2ディスク(バルブプレート)とが設けられている。
【0040】
出力シャフト15は、例えばステンレス鋼等の鉄系金属または合成樹脂によって円柱形状(一部四角形状)となるように一体的に形成されている。この出力シャフト15は、ハウジング19のバルブボディ27の第1流路21を、バルブボディ27の流路方向(吸気流方向)に対して直交する垂直方向に横切るように配設されている。
出力シャフト15のバルブ保持部には、直径方向(半径方向)に貫通するスリット状のスリット孔34が形成されている。このスリット孔34は、第1流路21の幅に対応した回転軸方向長を有し、例えばプレス成形機による孔開け加工、ブローチによる切削加工、レーザー加工、放電加工、研削加工等の加工方法により形成されている。
【0041】
出力シャフト15のバルブ保持部の外周面の一部には、スクリュー35の頭部に形成された円錐テーパ面が着座(当接)可能な円錐テーパ状の受圧座面が2箇所形成されている。また、出力シャフト15には、スリット孔34の長軸方向(出力シャフト15の回転軸方向)に直交する一対のスクリュー取付孔である貫通孔36が形成されている。
なお、一対の受圧座面および一対の貫通孔36は、出力シャフト15の軸線方向(回転軸方向)に所定の軸方向距離を隔てて配置されている。
【0042】
出力シャフト15は、その回転軸方向の両側に第1、第2突出軸部をそれぞれ備えている。第1、第2突出軸部間には、第1バルブ11を螺子締結する薄肉状のバルブ保持部および軸方向部が設けられている。このバルブ保持部には、スクリュー35の頭部が突き出さないように平面状の2面幅を有している。
第1突出軸部は、円形断面を有し、バルブボディ27の第1軸受孔内において回転可能に収容されている。なお、第1軸受孔の開口部は、例えばステンレス鋼等の鉄系金属または合成樹脂製のプラグ39で気密的に塞がれている。
第2突出軸部は、2面幅を有している。なお、第2突出軸部が多角形状の断面を有していても良い。
軸方向部は、円形断面を有し、バルブボディ27の第2軸受孔内において回転可能に収容されている。この軸方向部の外周には、ボールベアリング33の内輪が圧入嵌合によって嵌合保持されている。
【0043】
電動アクチュエータ5は、第1バルブ11を閉弁(全閉)方向に付勢するスプリング7と、電力の供給を受けると第1バルブ11および出力シャフト15を回転駆動する回転動力(トルク)を発生するモータMと、このモータMのモータシャフト40の回転を2段減速して出力シャフト15に伝達する減速機構と、第1バルブ11および出力シャフト15の回転角度を検出する回転角度検出装置とを備えている。
【0044】
スプリング7は、出力ギア18のスプリングフック(係合凹部:以下可動フック)41と、ハウジング19のギアケース29のスプリングフック(段差面:以下固定フック)42との間に螺旋状に巻装して成形されたコイル43、このコイル43の両端部分を半径方向の外側へ折り曲げた2つの第1、第2屈曲部、およびこれらの第1、第2屈曲部から半径方向の外側へ向けて真っ直ぐに延伸した2つの端末線(スプリング側フック:以下端末)44、45を有している。
スプリング7の一端側の端末44は、出力ギア18の可動フック41に弾性接触(当接)して係止または保持されている。また、スプリング7の他端側の端末45は、ハウジング19の固定フック42に弾性接触(当接)して係止または保持されている。
【0045】
スプリング7は、1本の金属素線(断面円形状の線材)を所定の形状に成形することで製造される。このスプリング7は、減速機構の出力ギア18に対して、第1バルブ11を閉弁方向に付勢する弾性力を発生するコイル状のコンプレッションスプリングである。また、スプリング7は、出力シャフト15の周囲、ギアケース29の円筒部(ベアリングホルダ)46、および出力ギア18の円筒ボス47の周囲を螺旋状に取り囲むように設置されている。
【0046】
ここで、減速機構は、第1バルブ11と一体回転可能に連結した出力シャフト15と、この出力シャフト15と一体回転可能に連結したバルブギア(以下出力ギア)18と、出力シャフト15と並列配置された中間ギアシャフト49と、モータシャフト40と一体回転可能に連結したモータギア(以下ピニオンギア)51と、このピニオンギア51と噛み合って回転する中間減速ギア(以下中間ギア)52とを備えている。
出力ギア18、ピニオンギア51および中間ギア52は、ギアケース29のギア収納凹部内に回転自在に収容されている。
【0047】
中間ギアシャフト49は、出力シャフト15およびモータシャフト40と並列配置されている。この中間ギアシャフト49の軸線方向の一端側は、ギアケース29の内面で開口した凹溝内に圧入嵌合等により固定されている。また、中間ギアシャフト49の軸線方向の他端側は、センサカバー26の内面で開口した凹溝内に挿入されている。
ピニオンギア51は、合成樹脂または鉄系金属によって一体的に形成されている。このピニオンギア51は、モータMのモータシャフト40の先端外周に圧入嵌合等により固定される円筒部を有している。この円筒部の外周には、中間ギア52と噛み合うピニオンギア歯54が円周方向全体に形成されている。
【0048】
中間ギア52は、合成樹脂または鉄系金属によって一体的に形成されている。この中間ギア52は、中間ギアシャフト49の外周に回転自在に嵌め合わされて、中間ギアシャフト49の中心軸線周りに回転する円筒部を有している。
円筒部の軸線方向の一端部には、円筒部の外径よりも大きい大径ギア部が形成されている。この大径ギア部の外周には、ピニオンギア歯54と噛み合う大径ギア(中間ギア歯)55が円周方向全体に形成されている。
また、円筒部の軸線方向の他端部には、円筒部の外径と同一で、且つ大径ギア部の外径よりも小さい小径ギア部が形成されている。この小径ギア部の外周には、出力ギア18と噛み合う小径ギア(中間ギア歯)56が円周方向全体に形成されている。
【0049】
出力ギア18は、合成樹脂または鉄系金属によって一体的に形成されている。この出力ギア18は、出力シャフト15と共に減速機構の出力部を構成し、中間ギア52と噛み合って回転する。
また、出力ギア18の内周部には、内部に円形状の貫通孔を有する円筒ボス47が一体的に形成されている。
【0050】
また、出力ギア18は、扇状のプレート57を介して、円筒ボス47よりも半径方向の外側に一体的に形成された部分円筒状(扇状)の歯形成部58を有している。この歯形成部58は、所定の角度(例えば80°〜95°)分だけ扇状に形成されている。また、歯形成部58の外周部(出力ギア18の最大外径部)には、小径ギア56と噛み合う出力ギア歯59が形成されている。
また、歯形成部58の回転方向の一端側面(閉じ側面)には、平坦面(平面)形状の全閉ストッパ部61が一体的に形成されている。この全閉ストッパ部61は、第1バルブ11を全閉した際に、ギアケース29の全閉ストッパ62に当接して係止される。
【0051】
出力ギア18の円筒ボス47の先端側には、インサート部材である金属製のインサートプレート(以下金属プレート)63がインサート成形されている。この金属プレート63の中央部には、2面幅(出力シャフト15の空回りを防ぐ構造、回り止め構造)を有する嵌合孔64が貫通形成されている。この嵌合孔64には、出力シャフト15の回転軸方向の一端部(出力シャフト15の嵌合部65)が嵌合する。この嵌合部65は、嵌合孔64を貫通した後にカシメ等の結合手段を用いて固定される。これにより、出力ギア18は、出力シャフト15の嵌合部65に回り止めされた状態で嵌合固定される。
なお、出力ギア18の詳細は、後述する。
【0052】
モータMは、有底円筒状のモータケース28のモータ収納凹部内に収容保持されている。このモータMは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載された外部電源(バッテリ)に電気的に接続されている。
ECUには、CPU、メモリ(ROMおよびRAM)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
モータ駆動回路は、マイクロコンピュータから与えられる制御信号(例えばPWM信号のデューティ比)に対してモータMの内部導体(電機子コイル)への供給電力(モータ駆動電流またはモータ印加電圧)を可変制御する。
【0053】
そして、回転角度センサ25からのセンサ出力信号(アナログ電圧信号)、各種センサからのセンサ出力信号(電気信号)は、A/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータの入力部に入力されるように構成されている。
ここで、マイクロコンピュータの入力部には、回転角度センサ25だけでなく、エアフロメータ、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、吸気温センサ、水温センサおよび排出ガスセンサ(空燃比センサ、酸素濃度センサ)等が接続されている。
【0054】
ECUは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、先ず、エンジンの運転状況(エンジン情報)または運転条件(状態)を計算(算出)するのに必要な各種センサ出力信号を取得(入力)し、エンジンの運転状況または運転条件およびROMに格納されたプログラムに基づいて、電動アクチュエータ5のモータMを電子制御するように構成されている。
【0055】
ECUは、エンジンの運転状況(例えばエアフロメータから出力されるセンサ出力信号(吸気流量信号)から測定された新気量、クランク角度センサのNE信号から測定されたエンジン回転数(NE)に対応して制御目標値(目標EGR率)を算出(決定)し、回転角度センサ25のアナログ電圧信号から測定された実EGR率と目標EGR率との偏差がなくなるように、モータ駆動回路に与える駆動DUTY(デューティ比:Duty(%))を可変制御するように構成されている。
そして、モータ駆動回路に駆動DUTY値が与えられると、モータMの内部導体(電機子コイル)にDuty(%)に対応したモータ印加電圧が印加され、モータMの内部導体(電機子コイル)に開弁方向(第1、第3バルブ11、13の開き側)または閉弁方向(第1バルブ11の閉じ側)のモータ駆動電流が流れる。これにより、第1バルブ11が開き側または閉じ側へ駆動される。
【0056】
回転角度検出装置は、出力ギア18の円筒ボス47に一体回転可能に設けられた円筒状の磁気回路部と、この磁気回路部の回転角度を測定して流量制御弁1のバルブ開度を検出する回転角度センサ25とを備え、磁気回路部と回転角度センサ25との相対回転角度の変化を回転角度センサ25に磁気回路部から与えられる磁気変化によって検出する。
磁気回路部は、円筒ボス47の直径方向に分割された一対の部分円筒状ヨーク66と、このヨーク66の分割部(対向部)に同一方向に磁極が向いて配置された一対のマグネット(永久磁石)67とを備え、出力ギア18の円筒ボス47の内周に接着剤等により固定されている。
なお、円筒ボス47の材質が合成樹脂の場合には、磁気回路部が円筒ボス47にインサート成形されていても構わない。
【0057】
回転角度センサ25は、センサカバー26のセンサ搭載部に設置された一対のステータコアの対向部間に挟み込まれて保持されている。この回転角度センサ25は、センサカバー26の内面から出力ギア18の円筒ボス47内へ突出するように設置されている。
回転角度センサ25は、半導体ホール素子の感磁面を鎖交する磁束密度に対応したアナログ電圧信号をECUへ向けて出力するホールICを主体として構成されている。このホールICは、ホール素子および集積回路が1つのICチップ(半導体チップ)として集積回路化された磁気センサである。
なお、ホールICの代わりに、ホール素子単体、磁気抵抗素子等の非接触式の磁気検出素子を使用しても良い。
【0058】
次に、本実施例の流量制御弁2、4の詳細を図1及び図4図10に基づいて簡単に説明する。
ここで、流量制御弁2の構成と流量制御弁4との構成とは、同じであるため、一方の流量制御弁2の構成のみを説明し、他方の流量制御弁4の説明は省略する。また、流量制御弁1、3と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
【0059】
流量制御弁2は、ハウジング19の内部に形成される吸気流路(第2流路22)の開口面積を連続的または段階的に変更することで、第2流路22を経由して、エンジンEの各気筒の燃焼室へ供給される新気の流量を可変制御する吸気絞り弁である。また、流量制御弁4は、ハウジング19の内部に形成される吸気流路(第4流路24)の開口面積を連続的または段階的に変更することで、第4流路24を経由して、マフラーへ向かう排気の流量を可変制御する排気絞り弁である。
【0060】
流量制御弁2の電動アクチュエータ6は、第2バルブ12を開弁(全開)方向に付勢するスプリング8と、電力の供給を受けると第2バルブ12および出力シャフト15を回転駆動する回転動力(トルク)を発生するモータMと、このモータMのモータシャフト40の回転を2段減速して出力シャフト15に伝達する減速機構と、第2バルブ12および出力シャフト15の回転角度を検出する回転角度検出装置とを備えている。
【0061】
減速機構は、流量制御弁1、3の減速機構と同様に、出力シャフト15、中間ギアシャフト49、ピニオンギア51、中間ギア52および出力ギア18を備えている。
出力ギア18は、小径ギア56と噛み合う出力ギア歯59が形成された歯形成部58を有している。この歯形成部58の回転方向の一端側面(開き側面)には、平坦面(平面)形状の全開ストッパ部71が一体的に形成されている。この全開ストッパ部71は、第2バルブ12を全開した際に、ギアケース29の全開ストッパ72に当接して係止される。
【0062】
スプリング8は、流量制御弁1、3のスプリング7と同様に、1本の金属素線(断面円形状の線材)を所定の形状に成形することで製造される。このスプリング8は、出力シャフト15の周囲、ギアケース29のベアリングホルダ46、および出力ギア18の円筒ボス47の周囲を螺旋状に取り囲むように設置されている。
スプリング7は、出力ギア18に対して、第2バルブ12を閉弁方向に付勢する弾性力を発生するコンプレッションスプリングである。
【0063】
スプリング8は、ハウジング19のギアケース29のスプリングフック(第2フック:以下固定フック)73と、出力ギア18のスプリングフック(第4フック:以下可動フック)74との間に螺旋状に巻装して成形されたコイル75、このコイル75の両端部分を半径方向の外側へ折り曲げた2つの第1、第2屈曲部、およびこれらの第1、第2屈曲部から半径方向の外側へ向けて真っ直ぐに延伸した2つの端末線(スプリング側フック:以下端末)76、77を有している。
スプリング8の一端側の端末76は、ハウジング19の固定フック73に弾性接触(当接)して係止または保持されている。また、スプリング7の他端側の端末77は、出力ギア18の可動フック74に弾性接触(当接)して係止または保持されている。
【0064】
[実施例1の特徴]
次に、本実施例の出力ギア18、ハウジング19およびスプリング7、8の詳細を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。
【0065】
ハウジング19は、例えばアルミニウムを主体とするアルミニウム合金よりなるダイカスト製品(アルミニウムダイカスト製品)であって、このアルミニウムダイカストにより所定の形状に形成されている。このハウジング19には、バルブボディ27およびモータケース28に加えて、内部に出力シャフト15、スプリング7および減速機構を収容するギアケース29が一体的に形成されている。
【0066】
バルブボディ27の内部には、エンジンの各気筒の燃焼室に連通する流路であり、EGRガスまたは新気または排気が流れる断面円形状のスロットルボアを形成する第1〜第4流路21〜24が形成されている。
モータケース28は、モータMの円筒ヨークの周囲を円周方向に取り囲む有底円筒状の側壁部、およびこの側壁部の一端側で開口し、モータ組み付け時にモータMをモータ収納凹部内に挿入するための開口部(モータ挿入口)を有している。このモータ挿入口は、モータMのブラシターミナル20を有するフロントブラケットにより塞がれている。
【0067】
ギアケース29は、電動アクチュエータ6を収容するギア収納凹部81、このギア収納凹部81の周囲を周方向に取り囲む側壁部82、およびこの側壁部82の一端側が開口し、電動アクチュエータ6の組み付け時に電動アクチュエータ6をギア収納凹部81内に挿入するための開口部を有している。この開口部は、センサカバー26により塞がれている。
ギアケース29の開口周縁には、センサカバー26の結合部83との間に環状のガスケット84を挟んだ状態で、センサカバー26の結合部83を螺子締結により固定する鍔状の結合部85が設けられている。
【0068】
ギアケース29の内部には、ガスシール12およびボールベアリング13の外輪の外周を保持する円筒状のベアリングホルダ46が設けられている。
ベアリングホルダ46は、ガスシール12およびボールベアリング13の周囲を円周方向に取り囲むように配置されて、ガスシール12およびボールベアリング13を介して出力シャフト15の軸方向部を回転方向に摺動可能に支持している。このベアリングホルダ46の内部には、出力シャフト15の回転軸方向(軸線方向)に真っ直ぐに延びる第2軸受孔が形成されている。
ここで、ギアケース29のベアリングホルダ46の外周面、および出力ギア18の円筒ボス47の外周面は、スプリング7、8のコイル43、75の内径側を保持するコイル内径ガイドを構成している。
【0069】
ここで、仕様の異なる2種類の流量制御弁1〜4の生産ラインを共用することで、2種類の流量制御弁1〜4の構成を同時に実現するという目的で、流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との間でスプリング7、8、出力ギア18およびハウジング19を同一形状(構成)の共通部品としている。
なお、スプリング7、8は、その付勢方向を逆向きにすることで、流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との間で、第1、第3バルブ11、13をその全閉方向に付勢するスプリング7と、第2、第4バルブ12、14をその全閉方向に付勢するスプリング8とを共通使用することができる。
【0070】
先ず、ハウジング19のギアケース29の側壁部82の内部には、流量制御弁1、3のスプリング7の一端側の端末44が係止または保持される固定フック42が設けられている。この固定フック42は、ギアケース29の側壁部82の内面に設けられる段差面である。
また、ハウジング19のギアケース29の側壁部82の内部には、流量制御弁2、4のスプリング8の他端側の端末77が係止または保持される固定フック74が設けられている。この固定フック74は、ギアケース29の側壁部82の内面に設けられる段差面である。
また、固定フック42および固定フック74は、ハウジング19のギアケース29の短手方向に直交する長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
【0071】
ギアケース29の側壁部82の内部には、流量制御弁1、3の出力ギア18の全閉ストッパ部61に係止される全閉ストッパ62が設けられている。この全閉ストッパ62は、本発明の第1規制部に相当するもので、ギアケース29の側壁部82の内面に設けられる段差面である。
また、ギアケース29の側壁部82の内部には、流量制御弁2、4の出力ギア18の全開ストッパ部71に係止される全開ストッパ72が設けられている。この全開ストッパ72は、本発明の第2規制部に相当するもので、ギアケース29の側壁部82の内面に設けられる段差面である。
【0072】
全閉ストッパ62および全開ストッパ72は、ハウジング19のギアケース29の長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
ハウジング19のギアケース29は、全閉ストッパ62と全開ストッパ72との間に、出力ギア18が、第1〜第4バルブ11〜14の回転可能範囲(例えば80°〜95°)に対応した回転角度範囲で回転可能な部分円筒状のスペースSを備えている。
出力ギア18の回転中心は、ハウジング19のギアケース29の長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
【0073】
出力ギア18のプレート57の表面の回転方向の一方側には、ギアケース29の凹部の底面側に突出したブロック状の第1、第3突出壁91、93が一体的に形成されている。これらの第1、第3突出壁91、93には、スプリング7の他端側の端末45を係止または保持するU字スリット溝形状の可動フック(係合凹部)41が形成されている。
また、出力ギア18のプレート57の表面の回転方向の他方側には、ギアケース29の凹部の底面側に突出したブロック状の第2、第4突出壁92、94が一体的に形成されている。これらの第2、第4突出壁92、94には、スプリング8の一端側の端末76を係止または保持するU字スリット溝形状の可動フック(係合凹部)73が形成されている。 可動フック41と可動フック73とは、出力ギア18の回転方向において対向する側で開口している。つまり可動フック41、73とは、逆向きに開口している。
また、可動フック41および可動フック73は、出力ギア18の半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
【0074】
出力ギア18のプレート57の回転方向の一方側の側面には、ギアケース29の全閉ストッパ62に当接して係止される第1係止部である全閉ストッパ部61が設けられている。これにより、出力ギア18の全閉ストッパ部61が全閉ストッパ62に当接した際に、第1、第3バルブ11、13、および第1、第3バルブ11、13と一体回転可能に連結した回転部材(出力シャフト15、出力ギア18)のこれ以上の閉弁方向への回転動作が規制される。
また、出力ギア18のプレート57の回転方向の他方側の側面には、ギアケース29の全開ストッパ72に当接して係止される第2係止部である全開ストッパ部71が設けられている。これにより、出力ギア18の全開ストッパ部71が全開ストッパ72に当接した際に、第2、第4バルブ12、14、およびこの第2、第4バルブ12、14と一体回転可能に連結した回転部材(出力シャフト15、出力ギア18)のこれ以上の開弁方向への回転動作が規制される。
また、全閉ストッパ62および全開ストッパ72は、出力ギア18の半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
【0075】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のエンジン制御システム、特にEGRシステムは、少なくともスプリング7、8、減速機構の出力ギア18、およびハウジング19のギアケース29を1種類の共通部品としたとき、これらの共通部品の使用状態(仕様)の異なる2種類の流量制御弁1〜4を備えている。
具体的には、流量制御弁1、3は、第1、第3バルブ11、13を閉弁(全閉)方向に付勢するスプリング7を備え、ノーマリクローズ(全閉)構造のEGR制御弁である。また、流量制御弁2、4は、第2、第4バルブ12、14を開弁(全開)方向に付勢するスプリング8を備え、ノーマリオープン(全開)構造の吸気、排気絞り弁である。
【0076】
出力ギア18の回転中心は、ハウジング19のギアケース29の長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
出力ギア18のプレート57の表面の回転方向の一方側には、スプリング7の他端側の端末45を係止または保持する可動フック41が設けられ、また、出力ギア18のプレート57の表面の回転方向の他方側には、スプリング8の一端側の端末76を係止または保持する可動フック73が設けられている。これらの可動フック41および可動フック73は、出力ギア18の半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
これにより、1種類の出力ギア18を、流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との間で共通使用することがきる。
【0077】
また、ハウジング19のギアケース29の側壁部82の内部には、スプリング7の一端側の端末44が係止または保持される固定フック42、およびスプリング8の他端側の端末77が係止または保持される固定フック74が設けられている。これらの固定フック42および固定フック74は、ハウジング19のギアケース29の短手方向に直交する長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
また、ハウジング19のギアケース29の全閉ストッパ62、72間には、出力ギア18が、2種類の流量制御弁1〜4の各第1〜第4バルブ11〜14の回転可能範囲に対応した回転角度範囲で回転可能なスペースSが構成されている。
これにより、1種類のハウジング19を、2種類の流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との間で共通使用することがきる。
【0078】
また、ノーマリ全閉構造の第1、第3流量制御弁とノーマリ全開構造の第2、第4流量制御弁との間で共通部品とされた、出力ギア18のプレート57の回転方向の一方側の側面には、ギアケース29の全閉ストッパ62に当接して係止される全閉ストッパ部61が設けられ、また、出力ギア18のプレート57の回転方向の他方側の側面には、ギアケース29の全開ストッパ72に当接して係止される全開ストッパ部71が設けられている。これらの全閉ストッパ62および全開ストッパ72は、出力ギア18の半径方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
【0079】
また、ノーマリ全閉構造の第1、第3流量制御弁とノーマリ全開構造の第2、第4流量制御弁との間で共通部品とされた、ギアケース29の側壁部82の内部には、出力ギア18の全閉ストッパ部61に係止される全閉ストッパ62、および出力ギア18の全開ストッパ部71に係止される全開ストッパ72が設けられている。これらの全閉ストッパ62および全開ストッパ72は、ハウジング19のギアケース29の長手方向中心線を挟んで左右対称にそれぞれ配置されている。
これにより、1種類の出力ギア18を、2種類の流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との間で共通使用することがきる。
【0080】
これによって、部品の使用状態(仕様)の異なる2種類の流量制御弁1〜4を生産または製造する場合において、電動アクチュエータ5、6の部品の共通使用、共用生産ラインでの生産が容易となる。
また、共通部品の使用状態(仕様)の異なる2種類の流量制御弁1〜4を生産または製造する際の設計工数の削減および生産ラインの共用化を図ることができるので、2種類の流量制御弁1〜4を生産する上でのコスト削減を図ることができる。
また、共用部品(共通部品)の構造変更を伴わず、部品の使用状態(仕様)の異なる2種類以上の流量制御弁1〜4の間で部品の共通化および生産ラインの共用化を図ることができるので、2種類の流量制御弁1〜4の構成を同時に実現することができる。
【0081】
また、ノーマリ全閉構造の流量制御弁1、3に使用されるスプリング7と、ノーマリ全開構造の流量制御弁2、4に使用されるスプリング8との間で付勢方向を逆向きとなるようにハウジング19のギアケース29内に組み込むことができる。つまりスプリング7とスプリング8とは、同一構成のコイルスプリングを逆向きに組み付けるだけで両タイプのスプリング7、8を構成できるので、1種類のスプリング7、8を、2種類の流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との間で共通使用することができる。
これによって、ノーマリ全閉構造の第1、第3流量制御弁とノーマリ全開構造の第2、第4流量制御弁との間で共通部品とされたスプリング7、8を使用して流量制御弁1、3と流量制御弁2、4との構成を実現することができる。また、スプリング7の付勢方向を逆向きにすることで、スプリング8を構成できるので、流量制御弁1、3の構成から流量制御弁2、4の構成への変更を容易に実施することができる。
【0082】
[変形例]
本実施例では、本発明の流体制御弁を、第1、第3バルブ11、13を閉弁(全閉)方向に付勢するスプリング7を備え、ノーマリ全閉構造のEGR制御弁として使用される流量制御弁1、3と、第2、第4バルブ12、14を開弁(全開)方向に付勢するスプリング8を備え、ノーマリ全開構造の吸気、排気絞り弁として使用される流量制御弁2、4に適用しているが、本発明の流体制御弁を、流量制御弁1または流量制御弁3と、流量制御弁2または流量制御弁4とに適用しても良い。
【0083】
なお、本発明の流体制御弁を、流量制御弁1のみに適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、流量制御弁2のみに適用しても良い。本発明の流体制御弁を、流量制御弁3のみに適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、流量制御弁4のみに適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、流量制御弁1、2のみに適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、流量制御弁3、4のみに適用しても良い。
また、本発明の流体制御弁を、ディーゼルエンジンの気筒に連通する流路を開閉(流路の流路断面積を変更)する第1〜第4バルブ11〜14を有する流体制御弁だけでなく、ガソリンエンジンの気筒に連通する流路を開閉(流路の流路断面積を変更)するバルブを有する流体制御弁に適用しても良い。
【0084】
また、本発明の流体制御弁を、内燃機関の排気浄化装置に供給される2次空気が流れる2次空気流路管(ハウジング)内の空気流路を開閉するバルブを備えた2次空気制御弁に適用しても良い。
また、本発明の流体制御弁を、内燃機関の燃焼室から排出される排出ガス(排気)が流れる排気管(ハウジング)内の排気通路を開閉するバルブを備えた排気絞り弁や流量制御弁1、3等の排気制御弁に適用しても良い。
また、流体制御弁の弁体を構成するバルブとして、バタフライバルブを採用しているが、フラップバルブ、プレートバルブ、ロータリバルブ等の回転型バルブを採用しても良い。
【0085】
また、流体制御弁の一例である吸気制御弁としては、吸気絞り弁(吸気スロットル弁)として使用される流量制御弁2の他に、タンブル制御弁、スワール制御弁、吸気圧力制御弁、吸気流路切替弁等が考えられる。
また、流体制御弁の一例である排気制御弁としては、EGR制御弁として使用される流量制御弁1、3や排気絞り弁(排気スロットル弁)として使用される流量制御弁4の他に、ウェイストゲート弁、スクロール切替弁、排気圧力制御弁、排気流路切替弁等が考えられる。
【符号の説明】
【0086】
1 流量制御弁(流体制御弁、EGR制御弁)
2 流量制御弁(流体制御弁、吸気絞り弁)
3 流量制御弁(流体制御弁、EGR制御弁)
4 流量制御弁(流体制御弁、排気絞り弁)
5 電動アクチュエータ
6 電動アクチュエータ
11 第1バルブ
12 第2バルブ
13 第3バルブ
14 第4バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10