特許第6040909号(P6040909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040909
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】シート搭載装置及びシート搭載方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/14 20060101AFI20161128BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B62D65/14 A
   B23P21/00 303A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-218489(P2013-218489)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-80964(P2015-80964A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 英昭
(72)【発明者】
【氏名】畑尻 悦子
(72)【発明者】
【氏名】中墳 了輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和彦
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−015635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/14
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
跳ね上げ可能なシートレッグ部を有する左右の後部座席用シートを、自動車ボディの開口部から該自動車ボディの室内に搭載するシート搭載装置において、
上記後部座席用シートを把持する把持部と、
上記シートレッグ部を下方に垂下する状態から上方へ跳ね上げる跳上げ機構と、
該跳上げ機構及び上記把持部が配設された移動先端部を、上記自動車ボディの前後方向、上下方向及び左右方向に移動させる移動機構と、を備えており、
上記跳上げ機構は、上記移動先端部に設けられた駆動本体部と、該駆動本体部における駆動源の推力を受けてスライドするスライド部と、該スライド部に対して回動可能に設けられて上記シートレッグ部を跳ね上げるよう構成された跳上げアーム部と、該跳上げアーム部の回動を案内する案内部とを有しており、
上記跳上げアーム部は、上記後部座席用シートの上方に位置して上記シートレッグ部から退避する退避位置と、上記後部座席用シートの下方に回動して上記シートレッグ部を跳ね上げる跳上げ位置とに切り換わるよう構成されていることを特徴とするシート搭載装置。
【請求項2】
上記駆動源によって上記スライド部をスライドさせる動作を上記案内部によって案内することにより、上記跳上げアーム部における、上記シートレッグ部に接触する接触部が上記後部座席用シートの上方から下方へ移動する第1の軌道と、上記接触部が上記後部座席用シートの下方において上記シートレッグ部を跳ね上げる第2の軌道とを形成するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搭載装置。
【請求項3】
上記案内部は、上記駆動本体部におけるフレームに設けられ、上記スライド部のスライド方向に平行な直線状レール部及び該直線状レール部から斜めに屈曲する傾斜状レール部が形成されたレール部材と、一端が上記フレームに回動可能に支持され、他端が上記跳上げアーム部に係合されたリンク部材とを有しており、
該リンク部材の他端は、上記跳上げアーム部をその軸方向の回りに回動可能にするヒンジ部に対して回動可能に連結されており、
上記跳上げアーム部における回動基端部には、第1軸部と第2軸部とを連結する連結部において交差する状態で上記第1軸部から上記第2軸部への回動の伝達を可能にした等速ジョイントが設けられており、
該等速ジョイントの上記第1軸部は、その軸方向の回りに回動可能に上記スライド部に連結されており、上記等速ジョイントの上記第2軸部は、上記跳上げアーム部における回動基端部に連結されており、
上記等速ジョイントの上記第1軸部には、上記直線状レール部及び上記傾斜状レール部に沿って移動可能な移動部材が設けられており、
上記跳上げアーム部は、上記スライド部がスライドして上記移動部材が上記直線状レール部に沿って移動する際に、上記リンク部材を上記フレームに対して回動させながら、上記等速ジョイントの連結部によって上記スライド方向に回動して上記退避位置から中間位置まで移動し、かつ、上記スライド部がさらにスライドして上記移動部材が上記傾斜状レール部に沿って移動する際に、上記等速ジョイントの上記第1軸部及び上記第2軸部によって上記ヒンジ部に対して回動して、上記中間位置から上記跳上げ位置まで移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搭載装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート搭載装置を用いて、上記左右の後部座席用シートを上記自動車ボディの室内に搭載するシート搭載方法において、
上記左右の後部座席用シートのうちのいずれか一方である第1の後部座席用シートが上記自動車ボディの室内に搭載された後、上記左右の後部座席用シートのうちの他方である第2の後部座席用シートを上記自動車ボディの室内に搭載するに当たって、
上記跳上げアーム部を上記跳上げ位置にして上記第2の後部座席用シートの上記シートレッグ部を跳ね上げ、上記把持部に把持する上記第2の後部座席用シートを、上記開口部としての後方開口部から上記自動車ボディの室内に挿入し、上記第2の後部座席用シートの上記シートレッグ部が上記第1の後部座席用シートに干渉することを避けて、上記第2の後部座席用シートの一部が上記第1の後部座席用シートの上方を通過するように、上記第2の後部座席用シートを上記移動機構によって上記自動車ボディの前方へ移動させる第1搭載工程と、
上記把持部に把持する上記第2の後部座席用シートを上記移動機構によって上記自動車ボディの左右方向の外側へ移動させ、上記跳上げアーム部を上記退避位置にして、上記第2の後部座席用シートの上記シートレッグ部が自らの力によって跳上げ位置から元のシート支持位置に戻った後、上記第2の後部座席用シートを上記移動機構によって上記自動車ボディの下方へ移動させて、上記第2の後部座席用シートを上記自動車ボディの室内に搭載する第2搭載工程と、を含むことを特徴とするシート搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳ね上げ可能なシートレッグ部を有する左右の後部座席用シートを自動車ボディの室内に搭載するシート搭載装置及びシート搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミニバン、ワンボックス等の自動車においては、後部座席用シートとしての3列目シート等の左右方向中央側の脚部は、シートを左右に折り畳んで室内の収納空間を増やす際に、シートの底部に跳ね上げ可能なシートレッグ部が設けられていることが多い。このシートレッグ部は、3列目シートを使用する場合には、シートの下方に伸びてシートを支える。一方、シートレッグ部は、3列目シートを自動車の室内における左右に収納するときには、スプリングの力によって跳ね上げられ、収納空間を遮らないようになっている。
【0003】
上記跳ね上げ可能なシートレッグ部を有するシートを、自動車ボディの後方開口部から、自動車の室内に搭載する際には、シートを把持して移動可能なシート搭載装置が用いられる。このシート搭載装置は、シートを把持する把持部を自動車ボディの後方開口部に挿入した状態で、この把持部を自動車の前後方向、上下方向及び左右方向に移動させて、シートを目標とするシート組付位置に移動させている。
【0004】
また、例えば、特許文献1の自動車シート搬送搭載装置においては、自動車製造ラインである搬送コンベアの近傍に、リアシート搭載装置と、左右それぞれのフロントシート搭載装置とを有することが開示されている。この自動車シート搬送搭載装置によれば、各搭載装置によってリアシート及び左右のフロントシートを車体に搭載することができる。
また、例えば、特許文献2の車両用シート搭載装置においては、車両用シートを把持装置で把持しつつ車体内部に搭載することが開示されている。この車両用シート搭載装置においては、車両用シートの車体への搬入を容易にするために、車両用シートを支える挿入部材の傾きを、水平から所定の傾き角度まで傾動することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−347357号公報
【特許文献2】特開2005−238945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、後部座席用シートを自動車ボディに取り付けるための取付部の左右方向の幅が大きい場合、後部座席用シート全体の左右方向の幅が自動車ボディの後方開口部の左右方向の幅よりも大きい場合等には、次の問題が生じる。具体的には、この場合には、例えば、先に室内に搭載した後部座席用シートに対して、後から室内に搭載する後部座席用シートのシートレッグ部が干渉したり、後部座席用シートを把持するシート搭載装置の把持部が後方開口部に干渉したりする問題が生じる。そのため、これらの干渉の問題を避けて、後部座席用シートを搭載するためには更なる工夫が必要とされる。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、シートレッグ部を有する後部座席用シートの自動車ボディへの搭載を円滑に行うことができるシート搭載装置及びシート搭載方法を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、跳ね上げ可能なシートレッグ部を有する左右の後部座席用シートを、自動車ボディの開口部から該自動車ボディの室内に搭載するシート搭載装置において、
上記後部座席用シートを把持する把持部と、
上記シートレッグ部を下方に垂下する状態から上方へ跳ね上げる跳上げ機構と、
該跳上げ機構及び上記把持部が配設された移動先端部を、上記自動車ボディの前後方向、上下方向及び左右方向に移動させる移動機構と、を備えており、
上記跳上げ機構は、上記移動先端部に設けられた駆動本体部と、該駆動本体部における駆動源の推力を受けてスライドするスライド部と、該スライド部に対して回動可能に設けられて上記シートレッグ部を跳ね上げるよう構成された跳上げアーム部と、該跳上げアーム部の回動を案内する案内部とを有しており、
上記跳上げアーム部は、上記後部座席用シートの上方に位置して上記シートレッグ部から退避する退避位置と、上記後部座席用シートの下方に回動して上記シートレッグ部を跳ね上げる跳上げ位置とに切り換わるよう構成されていることを特徴とするシート搭載装置にある。
【0009】
本発明の他の態様は、上記シート搭載装置を用いて、上記左右の後部座席用シートを上記自動車ボディの室内に搭載するシート搭載方法において、
上記左右の後部座席用シートのうちのいずれか一方である第1の後部座席用シートが上記自動車ボディの室内に搭載された後、上記左右の後部座席用シートのうちの他方である第2の後部座席用シートを上記自動車ボディの室内に搭載するに当たって、
上記跳上げアーム部を上記跳上げ位置にして上記第2の後部座席用シートの上記シートレッグ部を跳ね上げ、上記把持部に把持する上記第2の後部座席用シートを、上記開口部としての後方開口部から上記自動車ボディの室内に挿入し、上記第2の後部座席用シートの上記シートレッグ部が上記第1の後部座席用シートに干渉することを避けて、上記第2の後部座席用シートの一部が上記第1の後部座席用シートの上方を通過するように、上記第2の後部座席用シートを上記移動機構によって上記自動車ボディの前方へ移動させる第1搭載工程と、
上記把持部に把持する上記第2の後部座席用シートを上記移動機構によって上記自動車ボディの左右方向の外側へ移動させ、上記跳上げアーム部を上記退避位置にして、上記第2の後部座席用シートの上記シートレッグ部が自らの力によって跳上げ位置から元のシート支持位置に戻った後、上記第2の後部座席用シートを上記移動機構によって上記自動車ボディの下方へ移動させて、上記第2の後部座席用シートを上記自動車ボディの室内に搭載する第2搭載工程と、を含むことを特徴とするシート搭載方法にある。
【発明の効果】
【0010】
上記シート搭載装置は、後部座席用シートのシートレッグ部を、下方に垂下する状態から上方へ跳ね上げる跳上げ機構を備えている。この跳上げ機構は、駆動本体部、スライド部、跳上げアーム部及び案内部を有しており、駆動本体部における駆動源の推力を受けてスライド部をスライドさせる際に、跳上げアーム部が案内部によって案内されながら回動するよう構成されている。シート搭載装置は、特に、後部座席用シートが左右方向に大きく、後部座席用シートを自動車ボディの後方開口部から挿入するときに干渉の問題が生じ得る場合に有効である。
【0011】
把持部に把持する後部座席用シートを、移動機構によって自動車ボディの後方開口部から室内に挿入する際には、跳上げ機構の跳上げアーム部を跳上げ位置にする。このとき、跳上げアーム部が、後部座席用シートの下方に回動して後部座席用シートのシートレッグ部を跳ね上げる。これにより、先に室内に搭載した後部座席用シートの上方を、後から室内に搭載する後部座席用シートの一部が通過する場合でも、先に室内に搭載した後部座席用シートに対して、後から室内に搭載する後部座席用シートのシートレッグ部が干渉することを防止することができる。
また、先に室内に搭載した後部座席用シートの上方を、後から室内に搭載する後部座席用シートの一部を通過させることにより、後から室内に搭載する後方座席用シートをできるだけ低い高さで後方開口部に挿入することができる。そのため、後部座席用シートを把持する把持部又は跳上げ機構が後方開口部に干渉することを防止することができる。
【0012】
また、後部座席用シートが室内に挿入された後には、跳上げ機構の跳上げアーム部を退避位置にする。このとき、シートレッグ部に接触する跳上げアーム部が、後部座席用シートの上方に回動してシートレッグ部から退避する。これにより、シートレッグ部が下方に垂下する状態に復帰し、後部座席用シートを室内に設置する際に、跳上げアーム部が障害になることを防止することができる。
それ故、上記シート搭載装置によれば、シートレッグ部を有する後部座席用シートの自動車ボディへの搭載を円滑に行うことができる。
【0013】
上記シート搭載方法は、特に、後部座席用シートが左右方向に大きく、後部座席用シートを自動車ボディの後方開口部から挿入するときに干渉の問題が生じ得る場合に有効である。この場合において、第1の後部座席用シートが自動車ボディの室内に搭載された後、第2の後部座席用シートを自動車ボディの室内に搭載する際に、上記シート搭載装置を用いた第1搭載工程及び第2搭載工程を行う。これにより、上記シート搭載方法によれば、シートレッグ部を有する後部座席用シートの自動車ボディへの搭載を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例にかかる、シート搭載装置によって、後部座席用シートを自動車ボディの後方開口部から室内に挿入する状態を、左右方向から見た状態で示す説明図。
図2】実施例にかかる、跳上げアーム部が退避位置にある状態の跳上げ機構を示す斜視図。
図3】実施例にかかる、跳上げアーム部が中間位置に回動した状態の跳上げ機構を示す斜視図。
図4】実施例にかかる、跳上げアーム部が中間位置から跳上げ位置に回動を開始した状態の跳上げ機構を示す斜視図。
図5】実施例にかかる、跳上げアーム部が跳上げ位置に回動した状態の跳上げ機構を示す斜視図。
図6】実施例にかかる、シート搭載装置の把持部によって後部座席用シートを把持し、跳上げアーム部が退避位置にある状態の跳上げ機構を、後方から見た状態で示す説明図。
図7】実施例にかかる、シート搭載装置の把持部によって後部座席用シートを把持し、跳上げアーム部が中間位置に回動した状態の跳上げ機構を、後方から見た状態で示す説明図。
図8】実施例にかかる、シート搭載装置の把持部によって後部座席用シートを把持し、跳上げアーム部が跳上げ位置に回動した状態の跳上げ機構を、後方から見た状態で示す説明図。
図9】実施例にかかる、跳上げアーム部が退避位置にある状態の跳上げ機構を、上方から見た状態で示す説明図。
図10】実施例にかかる、跳上げアーム部が跳上げ位置に回動した状態の跳上げ機構を、上方から見た状態で示す説明図。
図11】実施例にかかる、跳上げ機構の跳上げアーム部が跳上げ位置にあり、シート搭載装置によって、後部座席用シートを自動車ボディの後方開口部から室内に挿入する状態を、後方から見た状態で示す説明図。
図12】実施例にかかる、シート搭載装置によって、後部座席用シートを左右方向の外側に移動させた状態を、後方から見た状態で示す説明図。
図13】実施例にかかる、跳上げ機構の跳上げアーム部を退避位置に回動させた状態を、後方から見た状態で示す説明図。
図14】実施例にかかる、跳上げ機構の跳上げアーム部が退避位置にあり、シート搭載装置によって、後部座席用シートを自動車ボディの下方に移動させた状態を、後方から見た状態で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述したシート搭載装置における好ましい実施の形態につき説明する。
上記シート搭載装置は、上記駆動源によって上記スライド部をスライドさせる動作を上記案内部によって案内することにより、上記跳上げアーム部における、上記シートレッグ部に接触する接触部が上記後部座席用シートの上方から下方へ移動する第1の軌道と、上記接触部が上記後部座席用シートの下方において上記シートレッグ部を跳ね上げる第2の軌道とを形成するよう構成されていてもよい。
この場合には、跳上げアーム部の接触部を、第1の軌道と第2の軌道とに沿って移動させることにより、接触部を、後部座席用シートの上方に退避させる動作と、後部座席用シートの上方から下方に回り込んでシートレッグ部を跳ね上げる動作とを適切に行うことができる。
【0016】
また、上記案内部は、上記駆動本体部におけるフレームに設けられ、上記スライド部のスライド方向に平行な直線状レール部及び該直線状レール部から斜めに屈曲する傾斜状レール部が形成されたレール部材と、一端が上記フレームに回動可能に支持され、他端が上記跳上げアーム部に係合されたリンク部材とを有しており、該リンク部材の他端は、上記跳上げアーム部をその軸方向の回りに回動可能にするヒンジ部に対して回動可能に連結されており、上記跳上げアーム部における回動基端部には、第1軸部と第2軸部とを連結する連結部において交差する状態で上記第1軸部から上記第2軸部への回動の伝達を可能にした等速ジョイントが設けられており、該等速ジョイントの上記第1軸部は、その軸方向の回りに回動可能に上記スライド部に連結されており、上記等速ジョイントの上記第2軸部は、上記跳上げアーム部における回動基端部に連結されており、上記等速ジョイントの上記第1軸部には、上記直線状レール部及び上記傾斜状レール部に沿って移動可能な移動部材が設けられており、上記跳上げアーム部は、上記スライド部がスライドして上記移動部材が上記直線状レール部に沿って移動する際に、上記リンク部材を上記フレームに対して回動させながら、上記等速ジョイントの連結部によって上記スライド方向に回動して上記退避位置から中間位置まで移動し、かつ、上記スライド部がさらにスライドして上記移動部材が上記傾斜状レール部に沿って移動する際に、上記等速ジョイントの上記第1軸部及び上記第2軸部によって上記ヒンジ部に対して回動して、上記中間位置から上記跳上げ位置まで移動するよう構成されていてもよい。
【0017】
この場合には、駆動本体部における1つの駆動源によって、跳上げアーム部の退避位置から中間位置までの回動、及び跳上げアーム部の中間位置から跳上げ位置までの回動の2つの動作を行うことができる。そのため、駆動源の数を減らして、跳上げ機構をコンパクトに形成することができる。また、案内部としてのレール部材及びリンク部材、移動部材、ユニバーサルジョイント等を備えた跳上げ機構の構成により、跳上げアーム部が、退避位置と中間位置との間を回動する第1の軌道、中間位置と跳上げ位置との間を回動する第2の軌道を円滑に形成することができる。
等速ジョイントは、種々の自在継手(ユニバーサルジョイント)とすることができ、例えば、十字形のクロススパイダを用いたカルダンジョイント、ボールを用いたツェッパジョイント等とすることができる。
【実施例】
【0018】
以下に、シート搭載装置及びシート搭載方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例のシート搭載装置1は、図1に示すごとく、跳ね上げ可能なシートレッグ部73を有する左右の後部座席用シート7A,7Bを、自動車ボディ8の後方開口部81から自動車ボディ8の室内82に搭載するものである。シート搭載装置1は、後部座席用シート7A,7Bを把持する把持部22と、シートレッグ部73を下方に垂下する状態から上方へ跳ね上げる跳上げ機構3と、跳上げ機構3及び把持部22を移動先端部21に配設し、移動先端部21を自動車ボディ8の前後方向L、上下方向H及び左右方向Wに移動させる移動機構2とを備えている。
【0019】
跳上げ機構3は、図2図5に示すごとく、移動先端部21に設けられた駆動本体部31と、駆動本体部31における駆動源としてのエアシリンダ32の推力を受けてスライドするスライド部33と、スライド部33に対して回動可能に設けられてシートレッグ部73を跳ね上げるよう構成された跳上げアーム部4と、跳上げアーム部4の回動を案内する案内部5とを有している。跳上げアーム部4は、図6に示すごとく、後部座席用シート7Bの上方に位置してシートレッグ部73から退避する退避位置401と、図8に示すごとく、後部座席用シート7Bの下方に回動してシートレッグ部73を跳ね上げる跳上げ位置403とに切り換わるよう構成されている。
【0020】
以下に、本例のシート搭載装置1及びシート搭載方法につき、図1図14を参照して詳説する。
図1図14に示すごとく、本例のシート搭載装置1は、後部座席用シート7A,7Bとしての3列目シートを、自動車ボディ8の後方開口部81から搭載するものである。後部座席用シート7A,7Bは、左右に分割して自動車ボディ8の室内82に設置され、各後部座席用シート7A,7Bは、自動車ボディ8の室内82の左右側部に取付部72によって取り付けられる。取付部72は、後部座席用シート7A,7Bを自動車ボディ8の左右方向Wに回動可能にする回動支点を形成する構造を有している。自動車ボディ8の後方開口部81は、バックドアが開閉可能に配設される部位である。後部座席用シート7A,7Bを自動車ボディ8の室内82に搭載する際には、後方開口部81からバックドアが取り外された状態にある。
【0021】
図11に示すごとく、シートレッグ部73は、後部座席用シート7A,7Bにおける左右方向Wの中央側の底面71において、左右方向Wの外側に回動して折り畳める構造を有している。シートレッグ部73は、バネの付勢力によって後部座席用シート7A,7Bの底面71から垂直に垂下するよう構成されている。シートレッグ部73は、後部座席用シート7A,7Bをシート形成位置にするときに、下方に垂下して後部座席用シート7A,7Bを支持するシート支持位置と、後部座席用シート7A,7Bを取付部72において回動させて自動車ボディ8の室内82の左右側部に収納するときに、後部座席用シート7A,7Bの底面71に折り畳まれる収納位置とに回動可能である。
跳上げ機構3の跳上げアーム部4によって、第2の後部座席用シート7Bのシートレッグ部73を跳ね上げるときには、シートレッグ部73を、バネの付勢力に対抗して、第1の後部座席用シート7Aに干渉しない傾斜位置まで回動させる。
【0022】
図1に示すごとく、シート搭載装置1の把持部22は、移動機構2の移動先端部21に配設されており、後部座席用シート7A,7Bの前後の端部を把持するよう構成されている。移動機構2は、移動先端部21を3次元に移動させることができる構造を有しており、多関節ロボット等を用いて構成することができる。図11に示すごとく、跳上げ機構3は、後部座席用シート7Bの後方側に位置して、跳上げアーム部4によって、後部座席用シート7Bの左右方向Wの中央側の側部74の側からシートレッグ部73を跳ね上げるよう構成されている。
【0023】
図6図8に示すごとく、跳上げ機構3の駆動本体部31における駆動源は、エアシリンダ32であり、駆動本体部31は、エアシリンダ32を移動機構2の移動先端部21に取り付ける部位として形成されている。エアシリンダ32は、空気圧によってシリンダロッド部322を複動させるものであり、把持部22に後部座席用シート7A,7Bを把持した際に、シリンダロッド部322を水平方向に複動させる。なお、図6図8においては、把持部22を省略して示す。
スライド部33は、レール331と、レール331に対して直線的にスライドするスライダー332とを有するリニヤガイド330によって形成されている。リニヤガイド330のレール331は、エアシリンダ32の複動方向に対して平行な状態でエアシリンダ32の本体部321に設けられている。リニヤガイド330のスライダー332は、スライドブラケット333によってシリンダロッド部322に取り付けられている。
【0024】
図2図9に示すごとく、跳上げアーム部4の回動を案内する案内部5は、駆動本体部31におけるフレーム311に設けられたレール部材51と、フレーム311及び跳上げアーム部4に係合するリンク部材52とを有している。レール部材51には、スライド部33のスライド方向Sに平行な直線状レール部511と、直線状レール部511から斜めに屈曲する傾斜状レール部512とが形成されている。直線状レール部511及び傾斜状レール部512は、図3図5に示すごとく、跳上げアーム部4が回動する際の第1の軌道X1及び第2の軌道X2を形成するものである。直線状レール部511及び傾斜状レール部512は、レール部材51に形成された溝(本例では貫通穴)である。
【0025】
図2に示すごとく、駆動本体部31におけるフレーム311は、跳上げアーム部4に対する左右両側に設けられている。各フレーム311は、リンク部材52の一端を回動可能に支持する部分から2つに分かれて、駆動本体部31に取り付けられている。リンク部材52の一端は、フレーム311に回動可能に支持されており、リンク部材52の他端は、跳上げアーム部4に回動可能に連結されている。リンク部材52の他端は、跳上げアーム部4をその軸方向の回りに回動可能にするヒンジ部53に対して回動可能に連結されている。リンク部材52とヒンジ部53とは、リンク部材52の他端における回動部によって連結されている。ヒンジ部53は、跳上げアーム部4の回動基端部41の軸方向にスライド不能な状態で、回動基端部41の軸方向の回りに回動可能になっている。
【0026】
シート搭載装置1は、レール部材51、リンク部材52及びヒンジ部53によって跳上げアーム部4の回動を案内することによって、図7に示すごとく、跳上げアーム部4の接触部42が後部座席用シート7Bの上方から下方へ移動する第1の軌道X1と、図8に示すごとく、跳上げアーム部4の接触部42が後部座席用シート7Bの下方においてシートレッグ部73を跳ね上げる第2の軌道X2とを形成するよう構成されている。
【0027】
図2図5に示すごとく、跳上げアーム部4の回動基端部41には、連結部613において交差する状態で第1軸部611から第2軸部612への回動の伝達を可能にした等速ジョイント(自在継手)61が設けられている。等速ジョイント61は、角度を有する2軸の軸方向の回りの回動を可能にするものであり、第1軸部611と第2軸部612とが種々の角度を有する場合でも、連結部613を介して第1軸部611から第2軸部612への回動の伝達が可能である。
【0028】
等速ジョイント61の第1軸部611は、その軸方向の回りに回動可能にリニヤガイド330のスライダー332に連結されている。等速ジョイント61の第2軸部612は、跳上げアーム部4の回動基端部41に連結されている。等速ジョイント61の第1軸部611には、直線状レール部511及び傾斜状レール部512に沿って移動可能な移動部材62が設けられている。移動部材62には、溝として形成された直線状レール部511及び傾斜状レール部512内に配置されて移動するカムフォロア(ローラ)621が設けられている。
図6図7に示すごとく、等速ジョイント61の連結部613は、第1軸部611に対して第2軸部612がスライド部33のスライド方向Sに回動できる状態で設けられている。
【0029】
図2図9に示すごとく、跳上げアーム部4が退避位置401にあるときには、移動部材62におけるカムフォロア621がレール部材51における直線状レール部511の端部に位置する。図5図10に示すごとく、跳上げアーム部4が跳上げ位置403にあるときには、移動部材62におけるカムフォロア621がレール部材51における傾斜状レール部512の端部に位置する。また、図3図4に示すごとく、移動部材62におけるカムフォロア621が直線状レール部511と傾斜状レール部512との接続箇所513の近傍に位置するときに、跳上げアーム部4が中間位置402になる。接続箇所513は、曲線状のコーナー部分として形成されている。
【0030】
なお、図9においては、跳上げアーム部4が中間位置402にあるときの移動部材62を二点鎖線によって示す。また、図3は、カムフォロア621が接続箇所513の近傍の直線状レール部511に位置したときの跳上げアーム部4の状態を示し、図4は、カムフォロア621が接続箇所513に位置したときの跳上げアーム部4の状態を示す。カムフォロア621が接続箇所513を移動するときには、跳上げアーム部4は、第2の軌道X2を回動することになる。
【0031】
図2に示すごとく、跳上げアーム部4は、回動基端部41が設けられた基端側部分411と、基端側部分411から屈曲して接触部42が設けられた先端側部分421とを有している。跳上げアーム部4は、図6図7に示すごとく、退避位置401から中間位置402へ移動する際に、接触部42が後部座席用シート7Bの上方に位置する状態から、接触部42が後部座席用シート7Bの側方又は下方に位置する状態に旋回する。跳上げアーム部4が退避位置401から中間位置402へ移動する際には、基端側部分411は、スライド部33に略並行な状態からスライド部33に対して傾斜する状態に起立される。また、跳上げアーム部4は、中間位置402から跳上げ位置403へ移動する際に、接触部42がシートレッグ部73を跳ね上げる。
【0032】
次に、跳上げ機構3の動作につき説明する。
跳上げ機構3は、第1の後部座席用シート7Aが自動車ボディ8の室内82に搭載された後、第2の後部座席用シート7Bを自動車ボディ8の室内82に搭載する際に利用する。第2の後部座席用シート7Bを搭載するに当たっては、図1に示すごとく、シート搭載装置1の把持部22に第2の後部座席用シート7Bを把持する。このとき、跳上げ機構3の跳上げアーム部4は、第2の後部座席用シート7Bとの干渉を避けるために退避位置401にしておく。
【0033】
そして、把持部22に第2の後部座席用シート7Bが把持された状態で、エアシリンダ32を動作させ、スライダー332をスライドさせる。このとき、図2図3に示すごとく、スライダー332に連結された等速ジョイント61の第1軸部611がスライダー332とともにスライドし、第1軸部611に設けられた移動部材62におけるカムフォロア621がレール部材51における直線状レール部511に沿って移動する。また、図9に示すごとく、移動部材62は、スライダー332のスライド方向Sに近い向きで傾斜したままの状態で移動する。
【0034】
また、スライダー332をスライドさせるときには、図6図7に示すごとく、等速ジョイント61の第2軸部612が連結部613において第1軸部611に対してスライド方向Sに回動するとともに、リンク部材52がスライド方向Sに回動する。また、跳上げアーム部4の回動基端部41及び第2軸部612が、リンク部材52をフレーム311に対して回動させながら、かつリンク部材52の回動による位置の制約を受けながら、水平方向に向けられた状態からスライド方向Sに対して傾斜する状態に起立される。また、このとき、跳上げアーム部4の接触部42が、後方座席用シート7Bにおけるシートレッグ部73の側方に対向する。こうして、跳上げアーム部4が退避位置401から中間位置402に移動する。
【0035】
次いで、エアシリンダ32によってスライダー332がさらにスライドするときには、図4図5に示すごとく、スライダー332に連結された等速ジョイント61の第1軸部611がスライダー332とともに若干スライドしつつ、第1軸部611に設けられた移動部材62におけるカムフォロア621がレール部材51における傾斜状レール部512に沿って移動する。このとき、図10に示すごとく、移動部材62は、カムフォロア621が傾斜状レール部512に案内されることにより、第1軸部611を中心にして、スライダー332のスライド方向Sに直交する方向に近づくように回動する。そして、移動部材62は第1軸部611に固定されているので、移動部材62の回動と同時に第1軸部611も回動する。
【0036】
また、図8図10に示すごとく、第1軸部611が回動するときには、第2軸部612も同時に回動し、跳上げアーム部4の回動基端部41が、リンク部材52が連結されたヒンジ部53に対して、回動基端部41の軸方向の回りに回動する。また、このとき、シートレッグ部73の側方に対向する跳上げアーム部4の接触部42が回動することにより、シートレッグ部73が所定の傾斜状態になるまで跳ね上げられる。こうして、跳上げアーム部4が中間位置402から跳上げ位置403に移動する。
このように、エアシリンダ32によってスライダー332がスライドする動作によって、跳上げアーム部4を2段階の軌道X1,X2で円滑に回動させることができる。
なお、跳上げアーム部4を跳上げ位置403から退避位置401へ回動させるときには、エアシリンダ32によってスライダー332を逆方向にスライドさせて、上記と同様の動作が行われる。
【0037】
次に、シート搭載装置1を用いて、左右の後部座席用シート7A,7Bを自動車ボディ8の室内82に搭載するシート搭載方法につき説明する。
左右の後部座席用シート7A,7Bのうちのいずれか一方である第1の後部座席用シート7Aが自動車ボディ8の室内82に搭載された後、左右の後部座席用シート7A,7Bのうちの他方である第2の後部座席用シート7Bを自動車ボディ8の室内82に搭載する際に、シート搭載装置1を用いた第1搭載工程及び第2搭載工程を行う。本例の後部座席用シート7A,7Bは、取付部72の左右方向Wの幅が大きくなっている。
【0038】
そして、図11に示すごとく、第1の後部座席用シート7Aが自動車ボディ8の室内82に搭載された状態において、第1の後部座席用シート7Aの左右方向Wの中央側の側部74から後方開口部81までの左右方向Wの幅w1が、第2の後部座席用シート7B全体の左右方向Wの幅w2よりも小さい。そのため、第2の後部座席用シート7Bは、その一部を第1の後部座席用シート7Aの上方を通過させない限り、後方開口部81から室内82に挿入することができない。
【0039】
第1搭載工程においては、同図に示すごとく、第1の後部座席用シート7Aが室内82に搭載された状態で第2の後部座席用シート7Bを室内82に搭載するに当たり、把持部22によって第2の後部座席用シート7Bを把持し、また、跳上げアーム部4を跳上げ位置403にして第2の後部座席用シート7Bのシートレッグ部73を跳ね上げる。そして、図1に示すごとく、移動機構2の移動先端部21を前方へ移動させ、把持部22に把持する第2の後部座席用シート7Bを、後方開口部81から自動車ボディ8の室内82に挿入する。
【0040】
このとき、図11に示すごとく、第2の後部座席用シート7Bのシートレッグ部73が、垂下状態から傾斜する状態に跳ね上げられていることにより、このシートレッグ部73が第1の後部座席用シート7Aの左右方向Wの中央側の側部74に干渉することを避けることができる。そして、第2の後部座席用シート7Bの一部が第1の後部座席用シート7Aの上方を通過するように、第2の後部座席用シート7Bを移動機構2によって自動車ボディ8の前方へ移動させる。
【0041】
次いで、第2搭載工程においては、図12に示すごとく、把持部22に把持する第2の後部座席用シート7Bを移動機構2によって自動車ボディ8の左右方向Wの外側へ移動させる。次いで、図13に示すごとく、跳上げアーム部4を退避位置401にすると、バネの付勢力によって、第2の後部座席用シート7Bのシートレッグ部73が、跳ね上げられた状態から元の垂下状態に戻る。その後、図14に示すごとく、第2の後部座席用シート7Bを移動機構2によって自動車ボディ8の下方へ移動させて、第2の後部座席用シート7Bを自動車ボディ8の室内82に搭載する。
【0042】
次に、本例のシート搭載装置1及びシート搭載方法による作用効果につき説明する。
本例においては、第1の後部座席用シート7Aが室内82に搭載された状態で第2の後部座席用シート7Bを室内82に搭載する際に、第2の後部座席用シート7Bの側方又は上方に配置された跳上げ機構3によって、第2の後部座席用シート7Bのシートレッグ部73を所定の角度に跳ね上げる。
そして、案内部5としてのレール部材51及びリンク部材52、移動部材62、等速ジョイント61等を備えた跳上げ機構3の構成により、跳上げアーム部4の接触部42を、第2の後部座席用シート7Bよりも上方に位置する状態から、第2の後部座席用シート7Bよりも下方に位置する状態に移動させて、シートレッグ部73を跳ね上げることができる。
【0043】
ところで、跳上げアーム部4を第2の後部座席用シート7Bから退避させる動作と、跳上げアーム部4によってシートレッグ部73を跳ね上げる動作とを形成するためには、一般的には2つの駆動源を用いてこれらの動作を別々に行う。しかし、2つの駆動源を用いる場合には、跳上げ機構3の全体の重量が増加するだけでなく、一方の駆動源を第2の後部座席用シート7Bから退避させることが困難になる。
この問題を解決するために、本例のシート搭載装置1においては、レール部材51、リンク部材52、移動部材62、等速ジョイント61等を利用することにより、1つの駆動源であるエアシリンダ32のスライド方向Sへの推力のみによって、上記退避動作と上記跳上げ動作とを実現することができる。そのため、駆動源の数を減らして、跳上げ機構3をコンパクトに形成することができる。
【0044】
また、跳上げアーム部4が上記退避動作と上記跳上げ動作との2つの回動方向に回動する際に生じる、跳上げアーム部4とスライダー332との間に生じる捩れを、等速ジョイント61を用いることによって吸収することができる。そして、跳上げ機構3においては、跳上げアーム部4が、上記退避動作を実現するために退避位置401と中間位置402との間を回動する第1の軌道X1と、上記跳上げ動作を実現するために中間位置402と跳上げ位置403との間を回動する第2の軌道X2とを円滑に形成することができる。
また、先に室内82に搭載した第1の後部座席用シート7Aの上方において、後から室内82に搭載する第2の後部座席用シート7Bの一部を通過させることにより、第2の後部座席用シート7Bをできるだけ低い高さで後方開口部81に挿入することができる。そのため、第2の後部座席用シート7Bを把持する把持部22又は跳上げ機構3が、後方開口部81における上辺部に干渉することを防止することができる。
【0045】
また、第2の後部座席用シート7Bが後方開口部81から室内82に挿入された後には、跳上げ機構3の動作によって、第2の後部座席用シート7Bを室内82に設置する際の障害にならない位置に跳上げアーム部4を容易に退避させることができる。
それ故、本例のシート搭載装置1及びシート搭載方法によれば、跳上げ機構3をコンパクトに形成し、シートレッグ部73を有する後部座席用シート7A,7Bの自動車ボディ8への搭載を円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 シート搭載装置
2 移動機構
21 移動先端部
22 把持部
3 跳上げ機構
31 駆動本体部
311 フレーム
32 エアシリンダ(駆動源)
33 スライド部
4 跳上げアーム部
401 退避位置
402 中間位置
403 跳上げ位置
41 回動基端部
42 接触部
5 案内部
51 レール部材
511 直線状レール部
512 傾斜状レール部
52 リンク部材
53 ヒンジ部
61 等速ジョイント
611 第1軸部
612 第2軸部
613 連結部
62 移動部材
7A,7B 後部座席用シート
72 取付部
73 シートレッグ部
8 自動車ボディ
81 後方開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14