(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可変動弁装置は、前記吸気バルブの作動特性を、第1の特性と、前記作動特性が前記第1の特性であるときよりも前記リフト量および前記作用角の少なくとも一方が大きい第2の特性と、前記作動特性が前記第2の特性であるときよりも前記リフト量および前記作用角の少なくとも一方が大きい第3の特性とのうちのいずれかに切替可能に構成される、請求項1に記載のハイブリッド車両。
前記可変動弁装置は、前記吸気バルブの作動特性を、第1の特性と、前記作動特性が前記第1の特性であるときよりも前記リフト量および前記作用角の少なくとも一方が大きい第2の特性とのいずれかに切替可能に構成される、請求項1に記載のハイブリッド車両。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお図中同一または相当部分には同一の符号を付してその説明は繰返さない。
【0023】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による制御装置が適用されるハイブリッド車両の全体構成を示すブロック図である。
図1を参照して、ハイブリッド車両1は、エンジン100と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割装置4と、減速機5と、駆動輪6と、蓄電装置Bと、PCU(Power Control Unit)20と、制御装置200とを含む。
【0024】
ハイブリッド車両1は、エンジン100およびモータジェネレータMG2の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行する。エンジン100が発生する駆動力は、動力分割装置4によって2経路に分割される。一方は減速機5を介して駆動輪6へ駆動力が伝達される経路であり、もう一方はモータジェネレータMG1へ駆動力が伝達される経路である。
【0025】
蓄電装置Bは、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置Bは、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などの二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなどの蓄電素子のセルを含んで構成される。
【0026】
蓄電装置Bは、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するためのPCU20に接続される。そして、蓄電装置Bは、ハイブリッド車両1の駆動力を発生させるための電力をPCU20に供給する。また、蓄電装置Bは、モータジェネレータMG1,MG2で発電された電力を蓄電する。蓄電装置Bの出力は、たとえば200Vである。
【0027】
PCU20は、蓄電装置Bから供給される直流電力を交流電力に変換し、モータジェネレータMG1,MG2を駆動する。また、PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2が発電した交流電力を直流電力に変換し、蓄電装置Bを充電する。
【0028】
制御装置200は、アクセルペダルの開度を示すアクセル開度信号および車両の走行状態に基づいて車両要求出力を算出し、算出された車両要求出力に基づいてエンジン100およびモータジェネレータMG2の駆動力を制御する。具体的には、制御装置200は、車両要求出力がしきい値よりも小さいときに、エンジン100を停止してモータジェネレータMG2の駆動力を用いて走行する「EV走行」と、車両要求出力がしきい値を超えたときに、エンジン100を始動してエンジン100の駆動力およびモータジェネレータMG2の駆動力の双方を用いて走行する「HV走行」とを切り替えて実行する。
【0029】
図2は、
図1に示すエンジン100の構成を示す図である。
図2を参照して、エンジン100には、エアクリーナ102から空気が吸入される。吸入空気量は、スロットルバルブ104により調整される。スロットルバルブ104はスロットルモータ312により駆動される電機制御式スロットルバルブである。
【0030】
インジェクタ108は、吸気ポートに向けて燃料を噴射する。吸気ポートにおいて燃料と混合された空気は、シリンダ106内へ導入される。
【0031】
なお、本実施の形態においては、インジェクタ108の噴射孔が吸気ポート内に設けられたポート噴射式エンジンとしてエンジン100を説明するが、ポート噴射用のインジェクタ108に加えて、シリンダ106内へ直接燃料を噴射する直噴用のインジェクタを設けてもよい。さらに、直噴用のインジェクタのみを設けるようにしてもよい。
【0032】
シリンダ106内の混合気は、点火プラグ110により着火され、燃焼する。燃焼後の混合気、すなわち排気ガスは、三元触媒112により浄化された後、車外に排出される。混合気の燃焼によりピストン114が押し下げられ、クランクシャフト116が回転する。
【0033】
シリンダ106の頭頂部には、吸気バルブ118および排気バルブ120が設けられる。シリンダ106に導入される空気の量および時期は、吸気バルブ118により制御される。シリンダ106から排出される排気ガスの量および時期は、排気バルブ120により制御される。吸気バルブ118はカム122により駆動される。排気バルブ120はカム124により駆動される。
【0034】
吸気バルブ118は、後に詳細に説明するように、VVL(Variable Valve Lift)装置400によってリフト量および作用角が制御される。なお、排気バルブ120についても、リフト量および作用角を制御するようにしてもよい。また、開閉タイミングを制御するVVT(Variable Valve Timing)装置をVVL装置400に組み合わせもよい。
【0035】
制御装置200は、エンジン100が所望の運転状態になるように、スロットル開度θth、点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量、吸気バルブの作動状態(開閉タイミング、リフト量、作用角等)を制御する。制御装置200には、カム角センサ300、クランク角センサ302、ノックセンサ304、スロットル開度センサ306から信号が入力される。
【0036】
カム角センサ300は、カムの位置を表す信号を出力する。クランク角センサ302は、クランクシャフト116の回転数(エンジン回転数)およびクランクシャフト116の回転角度を表す信号を出力する。ノックセンサ304は、エンジン100の振動の強度を表す信号を出力する。スロットル開度センサ306は、スロットル開度θthを表す信号を出力する。
【0037】
図3は、VVL装置400において実現されるバルブ変位量とクランク角の関係を示す図である。
図3を参照して、排気行程において排気バルブ120が開いて閉じ、吸気行程において吸気バルブ118が開いて閉じる。排気バルブ120のバルブ変位量が波形EXに示されており、これに対して吸気バルブ118のバルブ変位量が波形IN1,IN2に示されている。
【0038】
なお、バルブ変位量とは、吸気バルブ118が閉じた状態からの吸気バルブ118の変位量である。リフト量とは、吸気バルブ118の開度がピークに達したときのバルブ変位量である。作用角とは、吸気バルブ118が開いてから閉じるまでのクランク角度である。
【0039】
吸気バルブ118の作動特性は、VVL装置400によって波形IN1,IN2の間で変化する。波形IN1は、リフト量および作用角が最小の場合を示す。波形IN2は、リフト量および作用角が最大の場合を示す。VVL装置400においては、リフト量が増大するにつれて、作用角も増大する。
【0040】
図4は、吸気バルブ118のリフト量と作用角とを制御する装置の一例であるVVL装置400の正面図である。
図4を参照して、VVL装置400は、一方向に延びる駆動軸410と、駆動軸410の外周面を覆う支持パイプ420と、支持パイプ420の外周面上で駆動軸410の軸方向に並んで配置された入力アーム430および揺動カム440とを備える。駆動軸410の先端には、駆動軸410を直線運動させるアクチュエータ(図示せず)が接続される。
【0041】
VVL装置400には、各気筒に設けられた1つのカム122に対応して、1つの入力アーム430が設けられる。入力アーム430の両側には、各気筒に設けられた一対の吸気バルブ118のそれぞれに対応して、2つの揺動カム440が設けられる。
【0042】
支持パイプ420は、中空円筒状に形成されており、カムシャフト130に対して平行に配置される。支持パイプ420は、軸方向へ移動したり、回転したりしないようにシリンダヘッドに固定される。
【0043】
支持パイプ420の内部には、その軸方向に摺動可能なように駆動軸410が挿入される。支持パイプ420の外周面上には、駆動軸410の軸芯を中心として揺動可能で、かつ、その軸方向には移動しないように、入力アーム430および2つの揺動カム440が設けられる。
【0044】
入力アーム430は、支持パイプ420の外周面から離れる方向に突出するアーム部432と、アーム部432の先端に回転可能に接続されたローラ部434とを有する。入力アーム430は、ローラ部434がカム122に当接可能な位置に配置されるように設けられる。
【0045】
揺動カム440は、支持パイプ420の外周面から離れる方向に突出する略三角形状のノーズ部442を有する。ノーズ部442の一辺には、凹状に湾曲したカム面444が形成される。吸気バルブ118に設けられたバルブスプリングの付勢力により、ロッカアーム128に回転可能に取り付けられたローラがカム面444に押し付けられる。
【0046】
入力アーム430および揺動カム440は、一体となって駆動軸410の軸芯を中心として揺動する。このため、カムシャフト130が回転すると、カム122に当接された入力アーム430が揺動し、この入力アーム430の動きに連動して揺動カム440も揺動する。この揺動カム440の動きが、ロッカアーム128を介して吸気バルブ118に伝わり、吸気バルブ118が開閉される。
【0047】
VVL装置400は、さらに、支持パイプ420の軸芯周りにおいて、入力アーム430と揺動カム440との相対位相差を変更する装置を備える。相対位相差を変更する装置によって、吸気バルブ118のリフト量および作用角が適宜変更される。
【0048】
つまり、両者の相対位相差を拡大すれば、入力アーム430および揺動カム440の揺動角に対するロッカアーム128の揺動角が拡大され、吸気バルブ118のリフト量および作用角が増大される。
【0049】
また、両者の相対位相差を縮小すれば、入力アーム430および揺動カム440の揺動角に対するロッカアーム128の揺動角が縮小され、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さくされる。
【0050】
図5は、VVL装置400を部分的に示した斜視図である。
図5中では、内部構造が明確に把握できるように一部が破断されて表わされる。
【0051】
図5を参照して、入力アーム430および2つの揺動カム440と、支持パイプ420の外周面との間に規定された空間には、支持パイプ420に対して、回転可能で、かつ軸方向に摺動可能に支持されたスライダギヤ450が収容される。スライダギヤ450は、支持パイプ420上を軸方向に摺動可能に設けられる。
【0052】
スライダギヤ450には、その軸方向の中央部に位置して、右ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギヤ452が設けられる。また、スライダギヤ450には、ヘリカルギヤ452の両側に位置し、ヘリカルギヤ452とは逆に左ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギヤ454が各々に設けられる。
【0053】
一方、スライダギヤ450を収容する空間を規定する入力アーム430および2つの揺動カム440の内周面には、ヘリカルギヤ452および454に対応したヘリカルスプラインがそれぞれ形成される。つまり、入力アーム430には、右ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されており、そのヘリカルスプラインがヘリカルギヤ452に噛み合っている。また、揺動カム440には、左ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されており、そのヘリカルスプラインがヘリカルギヤ454に噛み合っている。
【0054】
スライダギヤ450には、一方のヘリカルギヤ454とヘリカルギヤ452との間に位置して、周方向に延びる長穴456が形成される。また、図示しないが、支持パイプ420には、長穴456の一部と重なるように、軸方向に延びる長穴が形成される。支持パイプ420の内部に挿通された駆動軸410には、これら長穴456および図示しない長穴の重なった部分を通じて突出する係止ピン412が一体に設けられる。
【0055】
駆動軸410に連結されるアクチュエータ(図示せず)によって、駆動軸410がその軸方向に移動すると、スライダギヤ450が係止ピン412により押され、ヘリカルギヤ452および454が同時に駆動軸410の軸方向に移動する。このようなヘリカルギヤ452および454の移動に対して、これらにスプライン係合された入力アーム430および揺動カム440は、軸方向に移動しない。そのため、入力アーム430と揺動カム440は、ヘリカルスプラインの噛み合いを通じて駆動軸410の軸芯周りに回動する。
【0056】
このとき、入力アーム430と揺動カム440とでは、形成されたヘリカルスプラインの向きが逆である。そのため、入力アーム430と揺動カム440の回動方向は互いに逆方向となる。これにより、入力アーム430と揺動カム440との相対位相差が変化し、既に説明したように吸気バルブ118のリフト量および作用角が変更される。なお、VVL装置は、このような形式のものに限られない。たとえば、電気的にバルブを駆動するVVL装置や油圧を用いてバルブを駆動するVVL装置などを用いてもよい。
【0057】
制御装置200は、駆動軸410を直線運動させるアクチュエータの操作量を調整することによって吸気バルブ118のリフト量および作用角を制御する。
【0058】
図6は、吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きい場合の動作を説明する図である。
図7は、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さい場合の動作を説明する図である。
図6および
図7を参照して、吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きい場合には、吸気バルブ118を閉じるタイミングが遅くなるため、エンジン100は、アトキンソンサイクルにて運転される。すなわち、吸気行程にてシリンダ106内に吸入された空気の一部がシリンダ106外へ戻されるため、圧縮行程において空気を圧縮するための力である圧縮反力が低減する。このため、エンジン始動時の振動を低減することができる。しかしながら、圧縮比が減少するため、着火性が悪化してしまう。
【0059】
一方、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さい場合には、吸気バルブ118を閉じるタイミングが早くなるため、圧縮比が上昇する。このため、低温での着火性を向上することができる。しかしながら、圧縮反力が増加するため、エンジン始動時の振動が増加してしまう。また、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さい場合には、以下に説明するようにエンジントルクの応答性が向上する。
【0060】
図8は、吸気バルブ118の特性によるエンジントルクの応答性の違いを説明するタイムチャートである。
図8においては、横軸には時間が示され、縦軸にはエンジン回転数が示される。
図9は、吸気バルブ118の特性によるエンジントルクの違いを説明するグラフである。
図9においては、横軸にはエンジン回転数が示され、縦軸にはエンジントルクが示される。なお、
図8および
図9において、実線はリフト量および作用角が小さい場合を示し、破線はリフト量および作用角が大きい場合を示す。
【0061】
図8および
図9を参照して、エンジン回転数が低い領域においては、リフト量および作用角が小さい場合が大きい場合よりも出力可能なエンジントルクが大きい。リフト量および作用角が大きい場合には、シリンダ内へ吸入された空気の一部がシリンダ外へ戻される。これに対し、リフト量および作用角が小さい場合には、吸気バルブ118が早く閉じられるためより多くの空気を導入することができ、エンジン100の出力可能なトルクが増加する。
【0062】
一方、エンジン回転数が高い領域においては、リフト量および作用角が大きい場合が小さい場合よりも出力可能なエンジントルクが大きい。これは、リフト量および作用角が大きい場合には、空気の慣性力を利用してより多くの空気を導入することができるからである。
【0063】
したがって、エンジン100の回転数をエンジン始動時の目標回転数である所定値Aまで上昇させる場合においては、リフト量および作用角が小さい場合の方が低回転域で出力できるエンジントルクが大きいため、エンジン回転数を速やかに上昇させることができる。一方、リフト量および作用角が大きい場合には、低回転域で出力できるエンジントルクが小さいためエンジントルクの応答性が低下する。
【0064】
以上のような構成において、エンジン100が始動される際には、始動ショックを低減するために、吸気バルブ118のリフト量を大きくしてエンジン100を始動することが考えられる。この場合、デコンプ作用によってエンジン始動時の振動が低減し、乗り心地を向上することができる。
【0065】
しかしながら、吸気バルブ118のリフト量を大きくしてエンジン100を始動する場合、エンジントルクの応答性が低下するので、エンジン100の始動が完了するまでモータジェネレータMG2のトルクによって駆動力を補う必要がある。この場合、モータジェネレータMG2の消費電力の増大によって蓄電装置Bからの出力電力が過大となる前に、エンジン100の駆動力を予め高めておく必要がある。これに対し、エンジン100の始動時の吸気バルブ118の作用角に関わらず一律にエンジン100の始動タイミングが早められると、EV走行が必要以上に減少するので燃費が悪化してしまう。
【0066】
本実施の形態においては、エンジン100の始動時に吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が小さいときは、リフト量および作用角の少なくとも一方が大きいときよりもエンジン100を始動するための車両要求出力を高くする処理が実行される。以下、この内容について詳しく説明する。
【0067】
図10は、
図1に示す制御装置200が実行する始動制御に関する機能ブロック図である。
図10の機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、制御装置200によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
【0068】
図10を参照して、制御装置200は、走行制御部201と、モータ制御部202と、エンジン制御部203と、動弁制御部204とを含む。
【0069】
走行制御部201は、アクセル開度や走行状態に基づいて車両要求出力を算出し、算出された車両要求出力に基づいてエンジン100およびモータジェネレータMG1,MG2の運転状態を制御する。具体的には、走行制御部201は、エンジンが停止している場合に、算出された車両要求出力がエンジン始動しきい値を超える場合には、エンジン100を始動するための信号を生成し、エンジン制御部203へ出力する。
【0070】
ここで、走行制御部201は、動弁制御部204から受ける吸気バルブ118のリフト量および作用角を示す信号に基づいてエンジン始動しきい値を設定する。具体的には、走行制御部201は、エンジン100の始動ショックが許容されない場合、または、吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きい場合には、エンジン始動しきい値を所定値Xに設定する。一方、走行制御部201は、エンジン100の始動ショックが許容され、かつ、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さい場合には、エンジン始動しきい値を所定値Yに設定する。
【0071】
なお、所定値X,Yは、車両要求出力を満足するためにエンジン100の始動が必要であるか否かを判定するための値であって、所定値Yは、所定値Xよりも大きい値である。これにより、エンジン100の始動ショックが許容され、かつ、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さい場合には、エンジン100の始動ショックが許容されない場合、または、吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きい場合よりもエンジン100の始動タイミングが遅くなるので、EV走行が継続されやすくなる。
【0072】
また、エンジン100の始動ショックが許容される場合とは、エンジン100の再始動時、ハイブリッド車両1が高車速にて走行しているとき、VVL装置400の故障時(たとえば、吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が小さい状態にて作動不能となるとき)、燃費が優先されるとき(たとえば、燃費を優先するためのエコモードが選択されているとき)、加速が優先されるとき(たとえば、アクセルペダルの操作量が最大量であるとき)などである。このような場合には、エンジン100の始動ショックを低減することに比べて所望の運転状態にてエンジン100を運転することの重要性が高くなる。したがって、エンジン100の始動ショックを許容することによって、所望の運転状態にてエンジン100を運転することを優先することが可能となる。
【0073】
また、走行制御部201は、車両要求出力に基づいてエンジン要求パワーを算出し、算出されたエンジン要求パワーをエンジン制御部203へ出力する。
【0074】
エンジン制御部203は、走行制御部201から受けるエンジン要求パワーに基づいてエンジン100の動作点の目標値を設定する。エンジン100の動作点とは、エンジン回転数およびエンジントルクによって定められる。エンジン制御部203は、エンジン100の動作点の目標値を示す信号を走行制御部201および動弁制御部204へ出力する。
【0075】
動弁制御部204は、エンジン制御部203から受ける目標値に基づいて吸気バルブ118のリフト量および作用角を制御する。動弁制御部204は、VVL装置400を制御するための信号VLVを生成し、生成した信号をVVL装置400へ出力する。動弁制御部204は、吸気バルブ118のリフト量および作用角を示す信号を走行制御部201へ出力する。
【0076】
走行制御部201は、エンジン100を始動する場合に、エンジン100をクランキングするようにモータジェネレータMG1の回転数の目標値を算出する。エンジン100がクランキングされると、エンジン100の動作点を所望の動作点に維持するようにモータジェネレータMG1の回転数の目標値を算出する。走行制御部201は、算出されたモータジェネレータMG1の回転数の目標値をモータ制御部202へ出力する。
【0077】
モータ制御部202は、モータジェネレータMG1の回転数が走行制御部201から受けた目標値となるようにPCU20を制御するための指令を生成し、生成された指令をPCU20へ出力する。
【0078】
図11は、
図1に示す制御装置200が実行する始動制御の制御構造を示すフローチャートである。
図11に示すフローチャートは、制御装置200に予め格納されたプログラムを所定周期で実行することによって実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である(以降に説明する
図17,
図18に示されるフローチャートについても同様である。)。
【0079】
図11を参照して、制御装置200は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、エンジン100が停止中であるか否かを判定する。エンジン100が停止中ではないと判定された場合は(S100にてNO)、以降の処理はスキップされて処理がメインルーチンに戻される。エンジン100が停止中であると判定された場合は(S100にてYES)、制御装置200は、始動ショックが許容されるか否かを判定する(S110)。
【0080】
始動ショックが許容されないと判定された場合は(S110にてNO)、制御装置200は、エンジン始動しきい値を所定値Xに設定する(S120)。始動ショックが許容されると判定された場合は(S110にてYES)、制御装置200は、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さいか否かを判定する(S130)。
【0081】
吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きいと判定された場合は(S130にてNO)、制御装置200は、エンジン始動しきい値を所定値Xに設定する(S120)。吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さいと判定された場合は(S130にてYES)、制御装置200は、エンジン始動しきい値を所定値Xよりも大きい所定値Yに設定する(S140)。
【0082】
続いてS150にて、制御装置200は、車両要求出力がエンジン始動しきい値よりも大きいか否かを判定する。車両要求出力がエンジン始動しきい値以下であると判定された場合は(S150にてNO)、以降の処理はスキップされて処理がメインルーチンに戻される。車両要求出力がエンジン始動しきい値よりも大きいと判定された場合は(S150にてYES)、制御装置200は、エンジン100を始動するための信号を生成し、生成された信号をPCU20およびエンジン100へ出力する(S160)。
【0083】
図12は、
図1に示す制御装置200が実行する始動制御を示すタイムチャートである。
図12においては、横軸には時間が示され、縦軸には車両要求出力、蓄電装置Bの出力、エンジン出力、エンジン回転数、吸気バルブ118のリフト量および作用角が示される。なお、リフト量および作用角が小さい場合は実線で表わされ、リフト量および作用角が大きい場合は一点鎖線で表わされる。
【0084】
図12を参照して、時刻t0において、エンジン100は停止しているものとする。リフト量および作用角が大きい場合には、時刻t1において、車両要求出力がエンジン始動しきい値(所定値X)を超えると、エンジン100の始動が開始される。リフト量および作用角が大きい場合には、エンジントルクの応答性が低いので、車両要求出力に対してエンジン出力が不足している分をモータジェネレータMG2の出力で補う必要がある。その結果、必要とされるモータジェネレータMG2のトルクが増大する。モータジェネレータMG2のトルクの増大によって蓄電装置Bの出力が放電制限値を超える前に、エンジン出力を予め高めておく必要がある。よって、エンジン100の始動タイミングを早めるようにエンジン始動しきい値が設定される。
【0085】
一方、リフト量および作用角が小さい場合には、時刻t2において、車両要求出力がエンジン始動しきい値(所定値Y)を超えると、エンジン100の始動が開始される。リフト量および作用角が小さい場合には、エンジントルクの応答性が高いので、必要とされるモータジェネレータMG2のトルクが減少する。これにより、放電制限値に対する蓄電装置Bの出力に余裕が生じるので、エンジン100の始動タイミングを遅らせるようにエンジン始動しきい値が設定される。
【0086】
このように、リフト量および作用角が小さい場合には、リフト量および作用角が大きい場合よりもエンジン始動しきい値が大きくされるので、EV走行が実行される領域を拡大することができる。したがって、燃費の悪化を抑制することができる。
【0087】
以上のように、この実施の形態1においては、制御装置200は、エンジン100の始動時に吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が小さいときは、リフト量および作用角の少なくとも一方が大きいときよりもエンジン100を始動するための車両要求出力を高くする処理を実行する。
【0088】
吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が小さいときは、リフト量および作用角の少なくとも一方が大きいときよりもエンジン100の始動時におけるトルク応答性が高い。よって、エンジン100が出力するトルクが速やかに増大するので、モータジェネレータMG2の出力を抑制することができる。これにより、エンジン100の始動時におけるモータジェネレータMG2の消費電力を低減することができるので、蓄電装置Bの出力電力に余裕が生じ、エンジン100の始動タイミングを遅らせることが可能となる。その結果、EV走行が増大するので、燃費の悪化を抑制することができる。したがって、このハイブリッド車両1によれば、吸気バルブ118の作動特性を変更するためのVVL装置400を有するハイブリッド車両1において、エンジン100の始動による燃費の悪化を抑制することができる。
【0089】
また、エンジン100の始動時におけるトルク応答性が高くなることによって、エンジン100の回転数が速やかに上昇するので、エンジン100の動作点を燃費が良い動作点に速やかに移行させることができる。よって、燃費が悪い動作点にてエンジン100が運転されることを抑制でき、ハイブリッド車両1の燃費を向上できる。また、エンジン100の回転数の上昇レートが高くなることによって、エンジン100のパワーが速やかに上昇するため、加速性能を向上することができる。さらに、吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が大きい場合には、エンジン100の始動タイミングが相対的に早められるので蓄電装置Bの出力電力が過大となることを抑制することができる。
【0090】
また、この実施の形態1においては、制御装置200は、エンジン100の始動ショックが許容される場合に、上記処理を実行する。この場合、エンジン100の始動ショックを低減することに優先して、燃費の悪化を抑制することができる。一方、エンジン100の始動ショックが許容されない場合には、上記処理が実行されない。これにより、エンジン100の始動ショックの低減を優先することができる。
【0091】
なお、吸気バルブ118のリフト量および作用角は、連続的に(無段階に)変更されてもよいし、離散的に(段階的に)変更されてもよい。
【0092】
図13は、吸気バルブ118の作動特性を3段階に変更可能なVVL装置400Aにおいて実現されるバルブ変位量とクランク角の関係を示す図である。VVL装置400Aは、第1〜第3の特性のいずれかに作動特性を変更可能に構成される。第1の特性は、波形IN1aで示される。第2の特性は、波形IN2aで示され、作動特性が第1の特性であるときよりもリフト量および作用角が大きい。第3の特性は、波形IN3aで示され、作動特性が第2の特性であるときよりもリフト量および作用角が大きい。
【0093】
図14は、
図13に示す作動特性を有するVVL装置400Aを備えるエンジン100Aの動作線を示す図である。
図14においては、横軸にはエンジン回転数が示され、縦軸にはエンジントルクが示される。なお、
図14における一点鎖線は、第1〜第3の特性(IN1a〜IN3a)に対応するトルク特性を示す。また、
図14において実線で表わされる円は、等燃費線を示す。等燃費線は、燃料消費量が等しい点を結んだ線であり、円の中心に近づくほど、燃費が向上する。エンジン100Aは、基本的には、
図14に実線で表わされるエンジン動作線上で運転されるものとする。
【0094】
ここで、領域R1で示される低回転域では、エンジン始動時のショックを低減することが重要となる。また、EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスの導入が停止され、アトキンソンサイクルによる燃費の向上が図られる。よって、リフト量および作用角が大きくなるように吸気バルブ118の作動特性として第3の特性(IN3a)が選択される。領域R2で示される中回転域では、EGRガスの導入量の増加による燃費の向上が図られる。よって、リフト量および作用角が中間となるように吸気バルブ118の作動特性として第2の特性(IN2a)が選択される。
【0095】
すなわち、吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きい場合(第3の特性)は、EGRガスの導入による燃費向上よりもアトキンソンサイクルによる燃費向上が優先される。一方、中間のリフト量および作用角が選択された場合(第2の特性)は、アトキンソンサイクルによる燃費向上よりもEGRガスの導入による燃費向上が優先される。
【0096】
領域R3で示される高回転域では、吸気慣性によって多量の空気をシリンダ内へ導入し、実圧縮比の上昇による出力性能の向上が図られる。よって、リフト量および作用角が大きくなるように吸気バルブ118の作動特性として第3の特性(IN3a)が選択される。
【0097】
また、エンジン100Aが低回転域において高負荷運転されるとき、エンジン100Aが極低温において始動されるとき、または触媒が暖機されるときは、リフト量および作用角が小さくなるように吸気バルブ118の作動特性として第1の特性(IN1a)が選択される。このように、エンジン100Aの運転状態に応じてリフト量および作用角が決定される。
【0098】
図15は、
図13に示す作動特性を有するVVL装置400Aを制御する制御装置200Aが実行する始動制御の制御構造を示すフローチャートである。
図15を参照して、S100〜S120,S140〜S160については、
図11のフローチャートと同様であるので説明を繰り返さない。
【0099】
S110にて、始動ショックが許容されると判定された場合は(S110にてYES)、制御装置200Aは、吸気バルブ118の作動特性が第1の特性であるか否かを判定する(S135)。
【0100】
吸気バルブ118の作動特性が第1の特性ではないと判定された場合は(S135にてNO)、制御装置200Aは、エンジン始動しきい値を所定値Xに設定する(S120)。吸気バルブ118の作動特性が第1の特性であると判定された場合は(S135にてYES)、制御装置200Aは、エンジン始動しきい値を所定値Xよりも大きい所定値Yに設定する(S140)。
【0101】
このような構成においては、吸気バルブ118のリフト量および作用角の作動特性が3つに限られるため、吸気バルブ118のリフト量および作用角が連続的に変化する場合に比べ、エンジン100Aの運転状態を制御するための制御パラメータの適合に要する時間を低減することができる。さらに、吸気バルブ118のリフト量および作用角を変更するためのアクチュエータに必要とされるトルクが低減するため、アクチュエータを小型化し軽量化することができる。このため、アクチュエータの製造コストを低減することができる。
【0102】
図16は、吸気バルブ118の作動特性を2段階に変更可能なVVL装置400Bにおいて実現されるバルブ変位量とクランク角の関係を示す図である。VVL装置400Bは、第1および第2の特性のいずれかに作動特性を変更可能に構成される。第1の特性は、波形IN1bで示される。第2の特性は、波形IN2bで示され、作動特性が第1の特性であるときよりもリフト量および作用角が大きい。
【0103】
このような構成においては、吸気バルブ118のリフト量および作用角の作動特性が2つに限られるため、エンジン100の運転状態を制御するための制御パラメータの適合に要する時間をさらに低減することができる。さらに、アクチュエータの構成をより簡素化することができる。なお、吸気バルブ118のリフト量および作用角の作動特性は、2段階または3段階に変更される場合に限られず、4段階以上の任意の段階に変更されてもよい。
【0104】
[実施の形態2]
実施の形態2においては、エンジン100の始動時にリフト量および作用角の少なくとも一方が小さいときは、リフト量および作用角の少なくとも一方が大きいときよりもモータジェネレータMG1の回転数の上昇レートが高くされる場合について説明する。
【0105】
図17は、この発明の実施の形態2による制御装置200Bが実行する始動制御の制御構造を示すフローチャートである。なお、実施の形態2による制御装置200Bの他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0106】
図17を参照して、S100〜S120,S130〜S140,S150〜S160については、実施の形態1と同様であるので説明は繰り返さない。S120にて、エンジン始動しきい値が所定値Xに設定されると、制御装置200Bは、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを所定値Sに設定する(S125)。
【0107】
S140にて、エンジン始動しきい値が所定値Yに設定されると、制御装置200Bは、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを所定値Sよりも大きい所定値Tに設定する(S145)。なお、所定値S,Tは、エンジン100の始動時におけるエンジン100の回転数の上昇レートに応じて設定される値である。すなわち、エンジン100の出力軸はモータジェネレータMG1の回転軸に連結されているため、エンジン回転数の上昇を阻害しないように所定値S,Tが設定される。
【0108】
吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さい場合には、エンジントルクの応答性が高くエンジン回転数が速やかに上昇するので、所定値Tは所定値Sよりも大きい値に設定される。制御装置200Bは、エンジン100の始動時に、設定されたモータジェネレータMG1の回転数の上昇レートに従ってモータジェネレータMG1を制御する。
【0109】
以上のように、この実施の形態2においては、制御装置200Bは、エンジン100の始動時にリフト量および作用角の少なくとも一方が小さいときは、リフト量および作用角の少なくとも一方が大きいときよりもモータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを高くするようにモータジェネレータMG1を制御する。これにより、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを高くすることによってエンジン100の回転数の上昇を阻害することを抑制することができる。
【0110】
[実施の形態3]
実施の形態3においては、エンジン100の始動開始後に、吸気バルブ118のリフト量および作用角が変更される場合を説明する。
【0111】
図18は、この発明の実施の形態3による制御装置200Cが実行する始動制御の制御構造を示すフローチャートである。なお、実施の形態3による制御装置200Cの他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0112】
図18を参照して、制御装置200Cは、S200にて、エンジン始動中であるか否かを判定する。なお、エンジン始動中とは、エンジン始動制御の実行中であって、エンジン100のクランキングの開始からエンジン100が所望の動作点で運転されるまでの期間である。
【0113】
エンジン始動中ではないと判定された場合は(S200にてNO)、以降の処理はスキップされて処理がメインルーチンに戻される。エンジン始動中であると判定された場合は(S200にてYES)、制御装置200Cは、始動ショックが許容されるか否かを判定する(S210)。
【0114】
始動ショックが許容されないと判定された場合は(S210にてNO)、制御装置200Cは、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを所定値Sに設定する(S220)。始動ショックが許容されると判定された場合は(S210にてYES)、制御装置200Cは、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さいか否かを判定する(S230)。
【0115】
吸気バルブ118のリフト量および作用角が大きいと判定された場合は(S230にてNO)、制御装置200Cは、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを所定値Sに設定する(S220)。吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さいと判定された場合は(S230にてYES)、制御装置200Cは、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを所定値Sよりも大きい所定値Tに設定する(S240)。
【0116】
制御装置200Cは、エンジン100の始動時に、設定されたモータジェネレータMG1の回転数の上昇レートに従ってモータジェネレータMG1を制御する。
【0117】
図19は、この発明の実施の形態3による制御装置200Cが実行する始動制御を示すタイムチャートである。
図19においては、横軸には時間が示され、縦軸には車両要求出力、蓄電装置Bの出力、エンジン出力、エンジン回転数、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レート、吸気バルブ118のリフト量および作用角が示される。
【0118】
図19を参照して、時刻t3において、エンジン100は停止しており、吸気バルブ118のリフト量および作用角は大きいものとする。時刻t4において、車両要求出力がエンジン始動しきい値(所定値X)を超えると、エンジン100の始動が開始される。エンジン100の始動が開始されると、リフト量および作用角が大きいので、エンジン出力およびエンジン回転数は緩やかに上昇する。
【0119】
時刻t5において、吸気バルブ118のリフト量および作用角が小さく変更されると、エンジントルクの応答性が向上することに伴って、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートが高く設定される。これにより、エンジン出力およびエンジン回転数が急峻に上昇する。
【0120】
以上のように、この実施の形態3においては、制御装置200Cは、エンジン100の始動時に、吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方を小さくなるように変更する場合に、リフト量および作用角の少なくとも一方が大きいときよりもモータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを高くするようにモータジェネレータMG1を制御する。これにより、エンジン100の始動中にリフト量および作用角の少なくとも一方が小さくなるように変更されることに合わせて、モータジェネレータMG1の回転数の上昇レートを高くすることによってエンジン100の回転数の上昇を阻害することを抑制することができる。
【0121】
なお、上記の実施の形態においては、吸気バルブ118のリフト量とともに作用角が変更される場合を説明したが、この発明は、吸気バルブ118のリフト量のみが変更可能な構成にも適用可能であり、吸気バルブ118の作用角のみが変更可能な構成にも適用可能である。吸気バルブ118のリフト量および作用角のいずれかが変更可能な構成においても、吸気バルブ118のリフト量および作用角の双方が変更可能である場合と同様な効果を得ることができる。なお、吸気バルブ118のリフト量および作用角のいずれかが変更可能な構成は、周知の技術を利用して実現することができる。
【0122】
なお、上記の実施の形態においては、動力分割装置4によりエンジン100の動力を駆動輪6とモータジェネレータMG1,MG2とに分割して伝達可能なシリーズ/パラレル型のハイブリッド車両について説明したが、この発明は、その他の形式のハイブリッド車両にも適用可能である。すなわち、たとえば、モータジェネレータMG1を駆動するためにのみエンジン100を用い、モータジェネレータMG2でのみ車両の駆動力を発生する、いわゆるシリーズ型のハイブリッド車両や、エンジン100が生成した運動エネルギーのうち回生エネルギーのみが電気エネルギーとして回収されるハイブリッド車両、エンジンを主動力として必要に応じてモータがアシストするモータアシスト型のハイブリッド車両などにもこの発明は適用可能である。また、モータを切り離してエンジンのみの動力によって走行するハイブリッド車両にもこの発明は適用可能である。
【0123】
なお、上記において、エンジン100は、この発明における「内燃機関」の一実施例に対応し、モータジェネレータMG2は、この発明における「回転電機」の一実施例に対応する。また、モータジェネレータMG1は、この発明における「もう1つの回転電機」の一実施例に対応し、VVL装置400は、この発明における「可変動弁装置」の一実施例に対応する。また、この発明における「第1の状態が選択されている時」とは、吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が小さい状態であることを指し、この発明における「第2の状態が選択されている時」とは、吸気バルブ118のリフト量および作用角の少なくとも一方が大きい状態であることを指す。
【0124】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、各実施の形態の構成を適宜組合せてもよい。
【0125】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。