【実施例】
【0015】
各実施例は、本発明を適用するEGRバルブ装置の代表例として、吸排気系に過給機を搭載する内燃機関(エンジン)に好適なEGRバルブ装置を示しており、以下の説明では、まず、エンジンの吸排気システムの基本的な構成を概説したのち、本発明の各実施例における特徴点および本発明の基本的機能について順次説明し、最後に本発明の特徴点毎の作用効果を要約列挙する。
なお、各実施例において、同一または均等部分には、同一符号を付し、重複説明を省略することとする。
【0016】
[実施例1]
〔吸排気システムの基本構成〕
本発明を適用するエンジンの吸排気システムの全体構成について、
図5に基づいて説明する。
エンジン1は、例えば、燃料に軽油を使用するディーゼルエンジン、あるいは、ガソリンを使用するガソリンエンジンであり、吸入空気(吸気、新気)をエンジン1の気筒内に導入する吸気流路2と、気筒内で燃料の燃焼によって発生した排気ガスを大気に排出する排気流路3とを備える。
過給機Kは、例えば、エンジン1より排出される排気ガスのエネルギを回転力に変換する排気タービン4と、この排気タービン4と同軸に連結されるコンプレッサ5とを有し、このコンプレッサ5の回転によって吸気を圧縮して吸気流路2からエンジン1へ供給するターボチャージャである。
【0017】
吸気流路2には、吸気口6aより取り込んだ外気に含まれる砂埃などの異物を取り除くエアクリーナ6、上記のコンプレッサ5、このコンプレッサ5で圧縮された吸気を冷却するインタークーラ7、吸気量を調整するスロットルバルブ8を組み込んだスロットルボディ9、および、所定の容積室を形成するサージタンク10等が配設されている。
排気流路3には、上記の排気タービン4、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を補集するDPF11(ディーゼルパティキュレートフィルターの略)等が設けられている。
なお、DPF11は、排気浄化装置の一例である。
【0018】
〔EGR装置の基本構成〕
次に、EGR装置について説明する。
エンジン1の吸排気系には、高圧EGR装置と低圧EGR装置とが設けられている。
【0019】
高圧EGR装置は、エンジン1から排出された直後の比較的高温および高圧の排気ガスの一部を高圧EGRガスとして吸気側へ還流させる高圧系の排気還流装置である。
この高圧EGR装置は、
図5の上方に示しているように、排気タービン4より排気上流側の排気流路3とスロットルバルブ8より吸気下流側の吸気流路2(本実施例ではサージタンク10)とを接続する高圧EGR流路12と、この高圧EGR流路12を通って吸気側へ還流する高圧EGRガスの流量を調整する高圧EGRバルブ13と、吸気側へ還流する高圧EGRガスを冷却する高圧EGRクーラ14と、この高圧EGRクーラ14をバイパスするバイパスEGR流路15と、高圧EGRガスが高圧EGRクーラ14を経由して吸気側に還流するEGR経路とバイパスEGR流路15を通って吸気側に還流するEGR経路とを切り替えるEGR流路切替バルブ16とを備える。
【0020】
低圧EGR装置は、比較的低温および低圧の排気ガスの一部を低圧EGRガスとして吸気側へ還流させる低圧系の排気還流装置である。
この低圧EGR装置は、
図5の下方に示しているように、排気タービン4より排気下流側(本実施例ではDPF11の排気下流側)の排気流路3とコンプレッサ5より吸気上流側の吸気流路2とを接続する低圧EGR流路17と、この低圧EGR流路17を通って吸気側へ還流する低圧EGRガスの流量を調整する低圧EGRバルブ18と、吸気側へ還流する低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ19と、低圧EGRバルブ18が低圧EGR流路17を開閉する動作に連動して吸気流路2の開度を調整する吸気絞りバルブ20とを備える。
【0021】
続いて、本発明に係る低圧EGRバルブ18と吸気絞りバルブ20との基本的な連携関係について、主として
図1を参照しながら説明する。
なお、以下の説明では、各機能要素が低圧系に係るものであるため、特別な場合を除き、「低圧EGR流路17および低圧EGRバルブ18」等の低圧系機能要素を、それぞれ単に「EGR流路17およびEGRバルブ18」等と略称することする。
【0022】
EGRバルブ18と吸気絞りバルブ20は、後述する連動機構と共に、1つのバルブハウジングVHに集約され、EGRバルブユニットUとして一体的に構成されている。なお、このEGRバルブユニットUが本発明のEGRバルブ装置を構成するものであって、バルブハウジングVHには、吸気流路2の一部およびEGR流路17の一部がT字状に配設されている。
【0023】
EGRバルブ18は、円板状の弁体18aがシャフト18bと一体に回転するバタフライバルブであり、吸気流路2に接続されるEGR流路17の出口(
図2の合流側開口部17a)付近に配置される。なお、
図1に示す吸気流路2は、図示左側がエアクリーナ6側、図示右側がエンジン1側である。
このEGRバルブ18は、弁体18aの開度が最小となる全閉位置と、弁体18aの開度が最大となる全開位置(
図1に示す破線位置)との間でシャフト18bを中心として回動可能に設けられ、電動アクチュエータ(図示せず)に発生する回転力が動力伝達装置(以下に説明する)を介してシャフト18bに伝達されることで回動変位する。
【0024】
電動アクチュエータは、例えば、直流モータを使用したバルブ駆動手段であり、EGRバルブ18の回動位置をバルブ角度として検出するバルブ角度センサ(図示せず)の検出角度が、エンジン1の運転状態に応じて設定される制御目標値と一致するように、電子制御装置であるECU(図示せず)によってフィードバック制御される。
動力伝達装置は、直流モータの回転速度を減速して駆動トルクを増幅する歯車列によって構成される。この歯車列は、直流モータの出力軸に取り付けられるピニオン21と、このピニオン21に噛み合う減速ギヤ22と、この減速ギヤ22と共通の中心軸22aに支持されて減速ギヤ22と一体に回転する小径ギヤ23と、この小径ギヤ23に噛み合うバルブギヤ24とで構成され、このバルブギヤ24がEGRバルブ18のシャフト18bに固定されている。
【0025】
吸気絞りバルブ20は、EGRバルブ18と同様に、円板状の弁体20aがシャフト20bと一体に回転するバタフライバルブであり、EGR流路17からEGRガスが流れ込む吸気流路2のEGRガス流入部(EGR流路17との接続部=
図2の合流部C)に配置されている。
この吸気絞りバルブ20は、以下に説明する連動機構を介してEGRバルブ18に連結され、標準作動として、EGRバルブ18がEGR流路17を開く開弁動作に連動して吸気流路2の開度を絞ることにより、吸気流路2に還流するEGRガスの流量を増加させる働きを行う。
連動機構は、スクリュ25によりバルブギヤ24に固定されてEGRバルブ18と一体に回転する駆動プレート26と、吸気絞りバルブ20のシャフト20bに固定されて吸気絞りバルブ20と一体に回転する従動プレート27と、駆動プレート26の回転を従動プレート27に伝達するカム手段(以下に説明する)とで構成される。
【0026】
カム手段は、駆動プレート26に形成されたカム溝28と、従動プレート27に取り付けられるローラ29とで構成され、このローラ29がカム溝28に収容されている。
カム溝28は、カムプロフィールが異なる第1のカム面28aと第2のカム面28bとを有しているが、このカムプロフィールは、標準作動の場合、例えば次のように設定されている。つまり、第1のカム面28aは、EGRバルブ18が全閉位置から中間開度(例えば全閉位置と全開位置との間の所望位置、例えば
図2の実線位置)まで回転する間、吸気絞りバルブ20が
全開位置(図2に示す位置)に保持されるように、駆動プレート26の回転中心から同一長さの円弧によってカムプロフィールが形成されている。第2のカム面28bは、第1のカム面28aから連続して設けられ、EGRバルブ18が中間開度から
図1に示す全開位置まで回転する時に、吸気絞りバルブ20を全閉位置まで駆動するカムプロフィールが形成されている。
【0027】
ローラ29は、従動プレート27に設けられるアーム部27aに回転自在に支持されている。
従動プレート27は、外周形状が略円形状に設けられ、径方向の中心部を挿通するシャフト20aに固定されている。ローラ29を支持するアーム部27aは、従動プレート27の周方向の一部に設けられて、従動プレート27の径方向外側へ突き出ている。また、アーム部27aの先端形状は、一定の曲率を有する円弧状に形成されている。
上記のカム手段は、EGRバルブ18と一体に駆動プレート26が回転すると、駆動プレート26に形成されたカム溝28のカムプロフィールにローラ29が追従しながらカム溝28内を移動することで、駆動プレート26の回動が従動プレート27に伝達されて、従動プレート27と一体に吸気絞りバルブ20が回動する。
【0028】
スプリング30は、EGRバルブ18の開弁動作に連動して吸気絞りバルブ20が吸気流路2を閉じる方向へ回転する時の閉弁方向
とは逆方向、つまり、図1において時計回転方向へ吸気絞りバルブ20を付勢している。
【0029】
〔本実施例の特徴〕
本発明のEGRバルブ装置(EGRバルブユニットU)は、とりわけ、バルブハウジングVHにおける流路構成と吸気絞りバルブ20の配置関係に特徴を有するもので、
図2をも参照しながら詳細に説明する。
【0030】
バルブハウジングVHは、3つの接続口VH1〜VH3を有する全体としてT字形を呈している。対向する2つの接続口VH1、2には、エンジン1への吸気を供給する吸気流路2が設けられており、この吸気流路2にエンジン1の排気ガスをEGRガスとして導くEGR流路17が、残りの接続口VH3に設けられている。また、バルブハウジングVHの中央部分には、吸気流路2における吸気上流側2a(エアクリーナ6側)と吸気下流側2b(エンジン1側)との間にEGR流路17をT字状に合流させる合流部Cを有している。
吸気流路2において、吸気上流側2aと吸気下流側2bとは、合流部Cを除き、基本的には同一径の横断面円形の流通面積を有している。
そして、バルブハウジングVHには、EGR流路17の開度調整を行うEGRバルブ18と、吸気流路2の開度調整を行う吸気絞りバルブ20とが装着されている。
【0031】
吸気絞りバルブ20は、合流部Cに配設されており、吸気流路2の開度調整を行うとともに、吸気流路2の流通面積を絞る(閉じていく)ことで、合流部Cに吸気負圧を発生させる。
図1の破線で示す全閉位置から
図2の実線で示す全開位置まで回動変位するが、配設位置の関係上、全開位置では弁体20aがEGR流路17の合流側開口部17aと完全に対向することになる。
【0032】
そこで、バルブハウジングVHには、合流部Cにおける吸気絞りバルブ20の配設位置より吸気下流側2bに、EGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを連接する拡大流路部CXを設けている。この拡大流路部CXが本発明の特徴とするところである。
【0033】
本実施例においては、この拡大流路部CXとして、EGR流路17の合流側開口部17aを吸気下流側2bに向かって拡開させながら吸気流路2の吸気下流側2bに連通させる傾斜状の合流路C1を設けている。換言すれば、合流部Cにおいて、EGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとがなす角部(破線で示す)C0を削り取って当該両流路17a、2bが斜めに且つ円滑に連なるがごとき形状を呈している。
【0034】
そして、この合流路C1を設けることにより、バルブハウジングVH内の流路構成を次のような流通面積に設定している。
吸気流路2において、この吸気流路2の有効最大流通面積は、吸気上流側2aの流通面積を最大限に活用する場合であって、吸気絞りバルブ20の弁体20aを全開位置にしたときの吸気上流側2aの最大有効流通面積に該当し、これをSと呼ぶ。一方、EGR流路17の最大有効流通面積は、合流側開口部17aの開口面積を最大限に活用する場合であって、EGRバルブ18の弁体18aを全開位置にしたときのバルブ開口面積(R1+R2)に該当するが、吸気絞りバルブ20の全開位置では弁体20aがEGR流路17の合流側開口部17aと完全に対向することになるため、吸気絞りバルブ20の全開位置に制約されることになる。そこで、吸気絞りバルブ20の弁体20aの下面(EGR流路17との対向面)周縁と、EGR流路17の合流側開口部17aとで形成される流通面積を、最小有効流通面積Tと呼ぶとき、T≧S/2の関係を満足するように、合流路C1(拡大流路部CX)を形成している。
【0035】
なお、破線で示す角部C0が存在する場合には、吸気絞りバルブ20の全開時にここを通過するEGRガスの有効流通面積T0は弁体20aの板厚等を考慮すると、最大でも吸気流路2の有効最大流通面積Sの1/2未満(T0<S/2)であった。
【0036】
ここで、本発明の要である流通面積を決定するS、T、(R1+R2)の大小関係について補足すると、一般的なEGR装置の場合には、吸気流路2の流通面積がEGR流路17の流通面積に対して充分に大きく、S>2×(R1+R2)の関係にあることから、上記のごとく、T≧S/2に設定したが、例えば、両者の流通面積がS<2×(R1+R2)のごとく逆関係になる場合には、吸気流路2の流通面積の如何にかかわらず、T≧(R1+R2)に設定することは勿論である。
【0037】
かくして、合流路C1を設けることにより、吸気絞りバルブ20の全開状態時において、EGRバルブ18を全開位置にしたときは、EGR流路17の合流側開口部17aから合流部Cへ流出するEGRガスを、最小有効流通面積Tを最大限活用して(吸気絞りバルブ20の弁体20aとの干渉を回避して)、吸気下流側2bへ供給することができる。
【0038】
〔本実施例の効果〕
EGR装置は、標準的にはエンジン1の出力性能を犠牲にできる運転領域で使用されるものであり、前述したように、EGRバルブ18が例えば
図2に示す所望の中間開度から
図1に示す全開位置まで回転する時に、吸気絞りバルブ20を全閉位置まで駆動するようにしているが、近年、エンジン1に高出力性能を確保しながら、つまり、吸気絞りバルブ20を全開にした状態で、最大限のEGRガスを還流させる特殊運転領域が出現するようになってきた。
このような特殊運転領域において、上記構成のEGRバルブ装置(EGRバルブユニットU)は、次のような作用効果を奏する。
(1)吸気絞りバルブ20の全開状態時においては、ここを通過するEGRガスの有効流通面積(吸気絞りバルブ20の弁体20aの下面周縁と、EGR流路17の合流側開口部17aとで形成される流通面積)を、最小でもT0より大きい流通面積T(≧S/2)を確保することができるため、EGRバルブ18の開度に応じて、例えば、
図2の所望の中間開度位置から
図1の全開位置までの範囲においても、白抜き矢印のごとく所望量のEGRガスを還流させることができる。
【0039】
(2)拡大流路部CXとして、特に、傾斜状の合流路C1を採用しており、この合流部C1は、関係する両流路、即ちEGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを斜めに且つ円滑に連ねているため、EGRガスの流れが滑らかになり(流通抵抗が低減し)、EGRガスの還流量を増量できる。
(3)バルブハウジングVHに拡大流路部CXとして傾斜状の合流路C1を付加するだけの簡単な構成であり、EGRバルブ装置として、コンパクトな1ユニット化を実現することができる。
【0040】
〔バルブハウジングVHの製造方法〕
次に、上記実施例1に係るバルブハウジングVHの製造方法の一例について、
図3を参照しながら説明する。
バルブハウジングVHは、全体としてT字状を呈しており、成型材料により形成される成型品であって、素材の成型材料としては、アルミニウム合金のごとき軽合金、あるいは、ポリイミド樹脂のごとき耐熱樹脂が用いられ、ダイキャスト(金型鋳造)や射出成形等の成型手段で作製されるものである。
本実施例においては、内部流路構成として拡大流路部CXを備えているが、拡大流路部CXを傾斜状の合流路C1で形成しているため、いずれの成型手段を採用したとしても、
図3に3種類のハッチングX、Y、Zで示すごとく、3つの接続口VH1〜VH3、つまり、T字状の3方向から型抜きして作製することができる。
したがって、拡大流路部CX(傾斜状の合流路C1)を設けるために、切削加工等の特別な加工を一切要しない。
【0041】
[実施例2]
次に、本発明の第2実施形態について、上述の実施例1との相違点を中心に
図4に基づいて説明する。
EGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の
吸気下流側2bとを連接する拡大流路部CXとして、上述の実施例1ではEGR流路17の合流側開口部17aを吸気下流側2bに向かって拡開させながら吸気流路2の吸気下流側2bに連通させる傾斜状の合流路C1を採用したが、この実施例2はバルブハウジングVHの組付け手段がパイプ嵌合方式ではなくフランジ締結方式である場合に好適な適用例を示すものである。
【0042】
図4に示すように、バルブハウジングVHは、エンジン1側の接続口VH2にフランジVFが設けられており、このフランジVFでエンジン1からの配管(
図5のコンプレッサ5の吸入側の配管)PのフランジPFと締結されている。
本実施例においては、EGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを連接する拡大流路部CXとして、拡径状の合流路C2を備えている。
この拡径状の合流路C2は、吸気通路2の吸気下流側2b全体を、
吸気上流側2aに対し所定量Qだけ径の大きい大径部C21にするとともに、EGR流路17の合流側開口部17aに欠円状切欠きC22を設けて、EGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを段差的に連接している。
なお、(R1+R2)は、EGRバルブ18の弁体18aを全開位置にしたときのバルブ開口面積を示している。
かくして、吸気絞りバルブ20の全開位置とEGR流路17の合流側開口部17aとの間で形成される最小有効流通面積Tを、上記バルブ面積(R1+R2)以上、または、吸気流路2の有効最大流通面積Sの1/2以上にしている。
【0043】
上記構成によれば、吸気絞りバルブ20の全開状態時においては、ここを通過するEGRガスの有効流通面積(吸気絞りバルブ20の弁体20aの下面周縁と、EGR流路17の合流側開口部17aとで形成される流通面積)を、最小でもT0より大きい流通面積T〔T≧(R1+R2)もしくはT≧S/2〕を確保することができるため、EGRバルブ18を全開位置にすることにより、所望のEGRガスを還流させることができる。
また、吸気通路2の吸気下流側2b全体を大径部C21にするだけであるため、バルブハウジングVHは、3つの接続口VH1〜VH3、つまり、T字状の3方向から型抜きすることができる。
したがって、本実施例においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施例によれば、接続口VH2の口径(拡径量Q)の調整で拡大流路部CXの流通面積を自由に選定することができ、しかも、接続口VH2の口径と配管Pとの孔径の相違を、フランジVF、PFによって調整することができるため、拡大流路部CXの流通面積の設計自由度が向上する。
【0044】
〔変形例〕
以上本発明の実施形態を2つの実施例について詳述してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、その変形例を例示する。
【0045】
(1)実施例1、2では、EGR流路17が吸気流路2に対し直角に合流する正T字状にしたが、
図6あるいは特許文献1のごとくEGR流路17が斜めに合流する変則T字状タイプであっても良く、この変則T字状タイプも、本発明の特許請求の範囲に記載の「T字状」に包含されることは勿論である。
(2)実施例2において、拡径状の合流部C2は、吸気通路2の吸気下流側2b全体を大径部C21に形成することによって設けたが、吸気上流側2aと同一径の吸気下流側2bに所定量Qだけ膨出させる断面U字状の拡径部を追加形成したダルマ型にしても良い。
【0046】
(3)本実施形態では低圧側のEGR装置に対し本発明を適用したが、高圧側のEGR装置にも吸気絞りバルブが装備される場合には本発明のEGRバルブ装置を同様に適用することができる。
(4)また、本実施形態では、吸排気系にターボチャージャを搭載したエンジン1に本発明のEGRバルブ装置を適用した一例を示したが、ターボチャージャに限定されるものではなく、例えば、吸気通路2に配置されるコンプレッサ5をエンジン1によって駆動するスーパチャージャを搭載したエンジン1に本発明を適用することもできる。この場合、低圧RGR通路17の上流端(低圧EGRガスの取入口)は、排気浄化装置(実施例1ではDPF11)より下流側の排気通路3に接続され、排気浄化装置で浄化された排気ガスの一部が低圧EGRガスとして吸気通路2に還流する。
【0047】
以上詳述してきた本発明の特徴点および特記すべき作用効果を、特許請求の範囲において従属項として記載した各手段にしたがって構造面および方法面の両面から要約列挙すれば、次の通りである。
【0048】
(特徴点1=請求項3の手段)
請求項1または2に記載のEGRバルブ装置において、拡大流路部CXは、合流部Cにおける吸気絞りバルブ20の配設位置より吸気下流側2bに、EGR流路17の合流側開口部17aを吸気下流側2bに向かって拡開させながら吸気流路2の吸気下流側2bに連接する傾斜状の合流路C1で形成されていることを特徴としている(実施例1)。
上記手段によれば、特に、傾斜状の合流路C1を採用しており、この合流部C1は、関係する両流路、即ちEGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを斜めに且つ円滑に連ねているため、EGRガスの流れが滑らかになり、EGRガスの還流量を増量できる。
【0049】
(特徴点2=請求項4の手段)
請求項1または2に記載のEGRバルブ装置において、拡大流路部CXは、合流部Cにおける吸気絞りバルブ20の配設位置より吸気下流側2bに、吸気流路2の吸気下流側流路断面積を拡大し、EGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを段差的に連接する拡径状の合流路C2で形成されていることを特徴としている(実施例2)。
上記手段によれば、特に、拡径状の合流路C2を採用しており、この合流部C2は、関係する両流路、即ちEGR流路17の合流側開口部17aと吸気流路2の吸気下流側2bとを段差的に連ねているため、拡径量Qの調整で合流路C2の流通面積を自由に選定することができ、設計自由度が増す。
【0050】
(特徴点3=請求項5の手段)
請求項3または4に記載のEGRバルブ装置において、バルブハウジングVHは成型材料によりT字状に形成される成型品であって、T字状の3方向から型抜きされて作製されていることを特徴としている。
上記手段によれば、拡大流路部CX(傾斜状の合流路C1、拡径状の合流路C2)を設けるために、切削加工等の特別な加工を一切要しない。