(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出ステップは、前記差分処理を行うことによって前記検査対象部位におけるスケール及び無害模様の画像信号を除去することにより、検査対象部位における凹凸性の表面欠陥を検出するステップを含むことを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか1項に記載の表面欠陥検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の方法によれば、無害模様やスケールの反射率が地鉄部分の反射率とは異なることから、健全な無害模様やスケールを表面欠陥と誤検出してしまう可能性がある。このため、特許文献1記載の方法では、ビレットの形状が直線状であることを利用してビレットとスケールとを弁別している。しかしながら、鋼材の表面欠陥は直線状だけでなく円形状等の様々な形状を有している。このため、特許文献1記載の方法を鋼材の表面欠陥の検出処理に適用することは難しい。一方、特許文献2記載の方法では、欠陥、スケール、無害模様等の種類が膨大にあることから、単純に像を組み合わせるだけではスケールや無害模様と表面欠陥とを弁別することは困難である。また、膨大な像の組み合わせに対応した検出ロジックを構築することは現実的には困難である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、スケールや無害模様と表面欠陥とを精度よく弁別可能な表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、鋼材の表面欠陥を光学的に検出する表面欠陥検出方法であって、2つ以上の弁別可能な光源を利用して同一の検査対象部位に異なる方向から照明光を照射する照射ステップと、各照明光の反射光による画像を取得し、取得した画像間で差分処理を行うことによって前記検査対象部位における表面欠陥を検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする。ここで述べる差分処理とは、単純な画像間の差分だけでなく、画像間を比較し差異もしくは差異の程度を抽出する処理を指す。
【0007】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記検出ステップは、前記差分処理を行うことによって前記検査対象部位におけるスケール及び無害模様の画像信号を除去することにより、検査対象部位における凹凸性の表面欠陥を検出するステップを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記照射ステップは、2つ以上のフラッシュ光源を互いの発光タイミングが重ならないよう繰り返し発光させることによって照明光を照射するステップを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記照射ステップは、2つ以上の互いに波長領域が重ならない光源の照明光を同時に照射するステップを含み、前記検出ステップは、混ざり合った各照明光の反射光を照明光の波長と同じ波長を有する光を透過するフィルターを用いて分離することによって各照明光の反射光による画像を取得するステップを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記照射ステップは、互いに直交する直線偏光特性を有する2つの光源の照明光を同時に照射するステップを含み、前記検出ステップは、混ざり合った各照明光の反射光を互いに直交する直線偏光特性を有する2つの偏光板を用いて分離することによって各照明光の反射光による画像を取得するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記検査対象部位に対する各光源の照明光の入射角が25°以上55°以下の範囲内にあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記検出ステップは、ハーフミラー、ビームスプリッター、及びプリズムのうちのいずれかを用いて、各照明光の反射光による画像を取得する複数の撮像装置の光軸が同軸となるように調整するステップを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る表面欠陥検出装置は、鋼材の表面欠陥を光学的に検出する表面欠陥検出装置であって、2つ以上の弁別可能な光源を利用して同一の検査対象部位に異なる方向から照明光を照射する照射手段と、各照明光の反射光による画像を取得し、取得した画像間で差分処理を行うことによって前記検査対象部位における表面欠陥を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置によれば、スケールや無害模様と表面欠陥とを精度よく弁別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成及びその動作について説明する。
【0017】
〔表面欠陥検出装置の構成〕
始めに、
図1を参照して、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置1は、図示矢印方向に搬送される円筒形状の鋼管Pの表面欠陥を検出する装置であり、光源2a,2b、ファンクションジェネレータ3、エリアセンサ4a,4b、画像処理装置5、及びモニター6を主な構成要素として備えている。
【0019】
光源2a,2bは、ファンクションジェネレータ3からのトリガー信号に従って鋼管Pの表面上の同一の検査対象部位に弁別可能な照明光Lを照射する。光源2a,2bは、検査対象部位に対して対称に配置されることが望ましい。従って、光源2a,2bは、鋼管P表面の法線ベクトルに対して同一の角度だけずらし、照明光Lの照射方向ベクトルと鋼管P表面の法線ベクトルとが同一平面状となるように配置されている。ここで述べる入射角の同一性とは、異なる方向の光源を弁別したときに光学条件をできるだけ等しくし、スケールや無害模様を含む健全部の信号を差分処理によって大きく低減することを目的とする。また、健全部の信号は対象の表面性状に大きく依存し、同一性を一概に一定角度で保証することは困難である。従って、25〜55°の範囲内であれば、多少角度が異なっていても健全部の信号を差分処理によって低減できている限り同一角と表現する。なお、本実施形態では、光源の数を2つとしたが、弁別可能であれば光源の数を3つ以上にしてもよい。ここで述べる弁別可能な光源とは、対象から得られる反射光についてそれぞれの光源別に反射光量を求めることが可能となる光源を示す。
【0020】
エリアセンサ4a,4bは、ファンクションジェネレータ3からのトリガー信号に従って光源2a,2bから照射された照明光Lの反射光による2次元画像を撮影する。エリアセンサ4a,4bは、撮影した2次元画像のデータを画像処理装置5に入力する。エリアセンサ4a,4bは、それぞれの撮像視野を確保した状態で可能な限り検査対象部位の法線ベクトル上に設置することが望ましい。
【0021】
なお、位置合わせの問題を解決するため、エリアセンサ4a,4bをできる限り近づけ、それぞれの光軸をできる限り互いに平行にすることが望ましい。また、
図2に示すように、ハーフミラー、ビームスプリッター、及びプリズムのうちのいずれかを用いてエリアセンサ4a,4bの光軸が同軸になるように調整してもよい。これにより、後述する差分画像を精度よく取得することができる。
【0022】
画像処理装置5は、エリアセンサ4a,4bから入力された2つの2次元画像間で後述する差分処理を行うことによって検査対象部位における表面欠陥を検出する装置である。画像処理装置5は、エリアセンサ4a,4bから入力された2次元画像や表面欠陥の検出結果に関する情報をモニター6に出力する。
【0023】
このような構成を有する表面欠陥検出装置1は、以下に示す表面欠陥検出処理を実行することによって、検査対象部位におけるスケールや無害模様と表面欠陥とを弁別する。ここで述べる表面欠陥とは凹凸性の欠陥とする。また、スケールや無害模様とは、厚さ数〜数十μm程度の地鉄部分とは光学特性の異なる表面皮膜や表面性状を有する部分のことを意味し、表面欠陥検出処理においてノイズ要因となる部分である。以下、本発明の第1から第3の実施形態である表面欠陥検出処理について説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
始めに、
図3から
図6を参照して、本発明の第1の実施形態である表面欠陥検出処理について説明する。
【0025】
図3は、光源2a,2bとエリアセンサ4a,4bとの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。図中、dは光源2a,2bの発光時間、Tはエリアセンサ4a,4bによる2次元画像の撮影周期を表す。本発明の第1の実施形態である表面欠陥検出処理では、光源2a,2bをフラッシュ光源として、フラッシュ光源を互いの発光タイミングが重ならないように繰り返し発光させることによって光源2a,2bを弁別する。
【0026】
すなわち、
図3に示すように、本実施形態では、始めに、ファンクションジェネレータ3が光源2a及びエリアセンサ4aにトリガー信号を送信し、光源2aが照明光Lを照射し、時間d以内にエリアセンサ4aが2次元画像の撮影を完了する。そして、エリアセンサ4aによる2次元画像の撮影完了後にファンクションジェネレータ3が光源2bとエリアセンサ4bとにトリガー信号を送信し、同様に2次元画像を撮影する。本実施形態によれば、時間差dで光量低下を発生することなく各光源から照射された照明光Lに対する個々の反射光による2次元画像を撮影することができる。
【0027】
なお、鋼管Pの搬送速度が速い場合には、フラッシュ光源は発光時間dが短いものであることが望ましい。これは、発光時間dが短ければ短いほど、エリアセンサ4a,4bによって得られる2つの2次元画像間のシャッター遅延が小さくなり、シャッター遅延による2次元画像の位置ズレを小さくできるためである。また、個々の反射光による2次元画像の差分画像を用いて表面欠陥を検出することを目的とした時、フラッシュ光源の発光時間dは以下の数式(1)に示す条件を満足する必要がある。
【0029】
検出目標の表面欠陥の大きさを例えば20mmとすると、経験上、表面欠陥を検出するためには最小5角画素の信号が必要になるので、4mm/画素の分解能があればよい。また、この場合、許容される照明光Lの照射タイミングによる位置ずれは、経験上、0.2画素以内とする必要があるので、鋼管Pの搬送速度が1、3、5m/sである場合、光源2a,2bの発光時間はそれぞれ、800、270、160μsec以下でなくてはならない。なお、鋼管Pの搬送速度や搬送方向が一定である場合には、この位置ずれは2次元画像の撮影後に補正できる。
【0030】
本実施形態では、画像処理装置5は、エリアセンサ4a,4bから入力された2次元画像に対して予め導出しておいたカメラパラメータを用いてキャリブレーション、シェーディング補正やノイズ除去等の画像処理を施した後、2次元画像間で差分処理を行うことによって検査対象部位における表面欠陥を検出する。
【0031】
具体的には、光源2aから照明光Lを照射した時の2次元画像Iaを構成する各画素の輝度値をIa(x,y)(但し、画素数X×Yとし、x座標を1≦x≦X、y座標を1≦y≦Yとする)、光源2bから照明光Lを照射した時の2次元画像Ibを構成する各画素の輝度値をIb(x,y)とした時、その差分画像I_diffの各画素の輝度値I_diff(x,y)は以下に示す数式(2)で表される。
【0033】
ここで、表面欠陥と欠陥で無いスケール及び無害模様を撮像した2次元画像Ia、Ib及びその差分画像I_diffの例をそれぞれ
図4(a),(b),(c)に示す。
図4(a),(b),(c)に示すように、健全部では、スケールや無害模様に関わらず法線ベクトルと光源2aの成す角と法線ベクトルと光源2bの成す角とが等しいため、輝度値Ia(x,y)=輝度値Ib(x,y)、すなわち輝度値I_diff(x,y)=0となる。しかしながら、表面欠陥部分では、表面が凹凸形状を有するため、法線ベクトルと光源2aの成す角と法線ベクトルと光源2bの成す角とが等しくない箇所が必ず存在し、輝度値Ia(x,y)≠輝度値Ib(x,y)、すなわち輝度値I_diff(x,y)≠0となる。
【0034】
従って、差分器11によって2つの2次元画像の差分画像を生成することによって欠陥で無いスケールや無害模様が除去され、表面欠陥のみを検出することができる。そして、このようにして表面欠陥のみを検出し、様々な特徴量により表面欠陥が有害かどうか最終的な評価を行い、モニター6に評価結果を表示する。
【0035】
なお、2つの2次元画像間に位置ズレがあり、差分画像に影響を与える場合には、2次元ローパスフィルタをかけ、2次元画像間の位置ズレの影響を軽減させることが望ましい。この場合、2次元ローパスフィルタをHとすると、差分画像の輝度値I’_diff(x,y)は以下に示す数式(3)で表される。
【0037】
また、光源2a,2bは同一のものを用いて、各光源はなるべく均一な平行光となるように照射し、検査対象部位は平面に近い方がよい。しかしながら、表面が多少均一でない場合や鋼管Pのようななだらかな曲面に対する適用においても、一般的なシェーディング補正により表面欠陥を検出することができる。
【0038】
また、照明光Lの入射角に関しては健全部の反射光に鏡面反射成分が入らず、且つ、十分な光量を確保できる範囲にすることが望ましい。本発明の発明者らは、照明光Lの入射角と健全部(地鉄部分)の反射率との関係を調査する実験を行った。実験に用いた装置の構成を
図5に示す。
図5に示すように、本実験では、パワーメーター12を鋳片サンプル14の真上の位置に固定し、レーザー13の入射角θを0°から90°まで変化させた時のパワーメーター12の受光量を計測した。実験結果を
図6に示す。
図6に示すように、入射角θが0°から20°の範囲内では、鏡面反射成分が含まれているためにパワーメーター12の受光量は大きいが、入射角θが60°以上になるとパワーメーター12の受光量は大きく低下する。従って、照明光Lの入射角は検査対象部位の法線ベクトルに対して25°から55°の範囲内にすることが望ましい。
【0039】
検査対象部位の深さ方向の分解能は、欠陥の傾斜角及びエリアセンサ4a,4bの分解能に依存する。ここで、欠陥の傾斜角とは、「欠陥部の法線ベクトル」を「検査対象部位の健全部表面の法線ベクトルと光源方向ベクトルとが成す平面」に正射影し、正射影されたベクトルと健全部表面の法線ベクトルとの成す角を取ったものである。検査対象部位の表面性状にも依存するが、例えば入射角45°で入射光を照射したとき、欠陥の傾斜角が光源方向に対して約10°以上であれば、差分処理によって欠陥信号を検出できることが確認されている。従って、1画素の分解能を0.5mmと仮定すると、理論上0.5×tan10°=0.09mm程度の深さ方向の分解能を持つことになる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
次に、
図7を参照して、本発明の第2の実施形態である表面欠陥検出処理について説明する。
【0041】
本発明の第2の実施形態である表面欠陥検出処理では、光源2a,2bを互いに波長領域が重ならない光源とすることによって光源2a,2bを弁別する。具体的には、
図7に示すように、光源2a,2bに波長領域が重ならない2種類の波長選択フィルター20a,20bを設置し、照明光Lの波長領域を選択する。また、同一の波長選択特性を有する波長選択フィルター21a,21bをエリアセンサ4a,4bに設置する。
【0042】
このような構成によれば、光源2aからの照明光Lの反射光は波長選択フィルター20a,21aによってエリアセンサ4aのみで受光され、光源2bからの照明光Lの反射光は20b,21bによってエリアセンサ4bのみで受光される。従って、エリアセンサ4a,4bの撮影タイミングを一致させることにより、位置ずれなく光源2a,2bからの照明光Lの反射光による2次元画像を撮影することができる。2次元画像を撮影した後の処理は第1の実施形態と同様である。
【0043】
なお、検査対象部位の移動速度が大きい場合には、検査対象部位の移動による位置ずれを防止するために光源2a,2bをフラッシュ光源とし、光源2a,2bの照射タイミングを変化させずに2次元画像の撮影時間を短縮させてもよい。また、波長選択フィルター20aを青色透過フィルター、波長選択フィルター20bを緑色透過フィルターとし、1台のカラーカメラを用いて2次元画像を撮影することにより、青チャンネルには光源2aからの照明光Lの反射光のみが受光され、緑チャンネルには光源2bからの照明光Lの反射光のみが受光されるといったように構成してもよい。
【0044】
〔第3の実施形態〕
次に、
図8を参照して、本発明の第3の実施形態である表面欠陥検出処理について説明する。
【0045】
本発明の第3の実施形態である表面欠陥検出処理では、光源2a,2bを互いに直交する直線偏光特性を有する光源とすることによって光源2a,2bを弁別する。具体的には、
図8に示すように、光源2a,2bに直線偏光板30a,30bをα°及び(α+90)°(αは任意の角度)で設置し、それぞれ互いに直交する偏光成分の光のみ透過させる。ここで、直線偏光板とは、入射光に対して一定方向の直線偏光成分のみ透過させるフィルターのことを意味する。また、直線偏光板30a,30bと同一の直線偏光特性を有する直線偏光板31a,31bをα°及び(α+90)°でエリアセンサ4a,4bに設置する。
【0046】
このような構成によれば、光源2aからの照明光Lの反射光はエリアセンサ4aのみで受光され、光源2bからの照明光Lの反射光はエリアセンサ4bのみで受光される。従って、エリアセンサ4a,4bの撮影タイミングを一致させることにより、位置ずれなく各光源からの照明光の反射光による2次元画像を撮影することができる。
【0047】
なお、計測対象部位の移動速度が大きい場合には、光源2a,2bをフラッシュ光源とし、光源2a,2bの照射タイミングを変化させずに2次元画像の撮影時間を短縮させてもよい。以下、位置合わせ及び2次元画像撮影後の処理は第1及び第2の実施形態と同様である。
【0048】
〔実施例〕
本実施例では、
図9に示すように、光源2a,2bとしてフラッシュ光源を用い、光源2a,2bの発光タイミングを変化させる方法を用いて鋼管Pの表面欠陥を検出した。エリアセンサ4a,4bは並列させて2次元画像を撮影し、画像処理により位置合わせを行った。
図10に表面欠陥の検出結果を示す。
図10(a)が光源2aから照明光を照射した時の2次元画像、
図10(b)が光源2bから照明光Lを照射した時の2次元画像、
図10(c)が
図10(a)に示す2次元画像と
図10(b)に示す2次元画像との差分画像である。
図10(a)〜(c)に示す画像のS/N比は順に3.5、3.5、6.0であり、単に一方向から照明光を照射した場合よりも差分画像のSN比が向上した。
【0049】
図11は、スケールが発生した鋼管部分に対する表面欠陥検出処理結果を示す図である。
図11(a)が光源2aから照明光を照射した時の2次元画像、
図11(b)が光源2bから照明光Lを照射した時の2次元画像、
図11(c)が
図11(a)に示す2次元画像と
図11(b)に示す2次元画像との差分画像である。
図11(a),(b)に示す2次元画像全体に広がっている黒斑点がノイズとなるスケールである。スケールの形状は平らであるので、差分画像を取得することによってスケールの画像は除去された。また、差分画像では、単に一方向から照明光を照射した場合と比較して、ノイズとなるスケールの信号が1/4程度に低減された。
【0050】
〔変形例1〕
図12は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の変形例の構成を示す模式図である。
図12に示すように、本変形例は、1つの光源2aから照射した照明光を複数のミラー40a,40b,40c,40dにより分割し、最終的に2方向から鋼管P1の検査対象部位に照明光を照射する。この場合、照明光の各光路に波長選択フィルター20a,20bや直線偏光板30a,30bを設置することにより、第2及び第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本変形例は照明光を2方向から照射するものであるが、3方向以上から照明光を照射する場合も同様である。
【0051】
〔変形例2〕
図13は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の他の変形例の構成を示す模式図である。
図13に示すように、本変形例は、本発明の第2の実施形態である表面欠陥検出装置であって、波長選択フィルター20a,20bによって光源の波長を限定するのではなく、パルスレーザー51a,51bと拡散板50a,50bとを用いて光源の波長を限定するものである。本変形例では、互いに波長領域が異なる2つのパルスレーザー51a,51bからのレーザー光を検査対象部位の左右方向から照射して光源を弁別する。このとき、パルスレーザー51a,51bから照射されたレーザー光を検査対象部位全域に照射するためにレーザー光の光路に拡散板50a,50bを挿入する。なお、本変形例は2方向から照明光を照射するものであるが、3方向以上から照明光を照射する場合も同様である。
【0052】
〔変形例3〕
本変形例は、
図7に示す本発明の第2の実施形態である表面欠陥検出装置であって、エリアセンサ4a,4bに設置する波長選択フィルター21a,21bの代わりにダイクロックミラーを用いるものである。ダイクロックミラーとは、特定の波長成分の光を反射し、その他の波長成分の光を透過するミラーのことである。ダイクロックミラーを用いることによって波長選択フィルターが不要となる。なお、本変形例は2方向から照明光を照射するものであるが、3方向以上から照明光を照射する場合も同様である。
【0053】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。