特許第6040935号(P6040935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6040935樹脂組成物、樹脂組成物シート、半導体装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040935
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂組成物シート、半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20161128BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20161128BHJP
   C08K 9/10 20060101ALI20161128BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20161128BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20161128BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20161128BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   C08L63/00 Z
   C08K9/06
   C08K9/10
   C09J163/00
   C09J11/04
   C09J9/02
   C09J7/00
   H01L21/60 311S
【請求項の数】9
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-509057(P2013-509057)
(86)(22)【出願日】2012年10月24日
(86)【国際出願番号】JP2012077430
(87)【国際公開番号】WO2013080708
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年10月21日
(31)【優先権主張番号】特願2011-259868(P2011-259868)
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】榛葉 陽一
(72)【発明者】
【氏名】藤丸 浩一
(72)【発明者】
【氏名】野中 敏央
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−233633(JP,A)
【文献】 特開2011−174035(JP,A)
【文献】 国際公開第1996/002592(WO,A1)
【文献】 特開2006−008755(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004706(WO,A1)
【文献】 特開2000−239355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エポキシ化合物、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤(c)表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている無機粒子、ならびに(d)(d1)アクリロキシ基およびメタクリロキシ基から選ばれた基、ならびに、(d2)カルボキシル基およびヒドロキシル基から選ばれた基を有する化合物を含有し、(a)エポキシ化合物全量に対し、液状エポキシ化合物の含有比率が20重量%以上60重量%以下である樹脂組成物。
【請求項2】
(c)表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている無機粒子が、(c)表面がアクリロキシ基およびメタクリロキシ基から選ばれた基を有する化合物で修飾されている無機粒子である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(a)エポキシ化合物が、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物である請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(e)有機溶剤可溶性ポリイミドをさらに含有する請求項1〜のいずれか記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(c)無機粒子がシリカ粒子である請求項1〜のいずれか記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(c)無機粒子の分散粒子径が1〜300nmである請求項1〜のいずれか記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物シート。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか記載の樹脂組成物または請求項記載の樹脂組成物シートを介して2つの回路部材が電気的に接続された半導体装置。
【請求項9】
第一の回路部材と第二の回路部材の間に請求項1〜のいずれか記載の樹脂組成物または請求項記載の樹脂組成物シートを介在させ、加熱加圧することにより前記第一の回路部材と前記第二の回路部材を電気的に接続させる半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンおよび携帯端末等に使用される電子部品や放熱板と、プリント基板、フレキシブル基板等の基板との接着並びに電子部品同士の接着や基板同士の接着に使用できる樹脂組成物等に関する。より詳しくは、本発明は、IC、LSI等の半導体チップをフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、セラミックス基板、シリコンインターポーザー等の回路基板に接着する際や半導体チップ同士の接合や3次元実装などの半導体チップの積層に用いられる樹脂組成物等に関する。また、ビルドアップ多層基板などの回路基板製造に使用される、絶縁層、エッチングレジスト、ソルダーレジストなどに使用できる樹脂組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の小型化と高密度化に伴い、半導体チップを回路基板に実装する方法としてフリップチップ実装が注目され、急速に広まってきている。フリップチップ実装においては、接合部分の接続信頼性を確保するための方法として、半導体チップと回路基板を樹脂組成物を用いて接着することが一般的な方法として採られている。ここで、樹脂組成物の適用方法としては、溶剤を多く含んだペースト状のものを接着対象物の間に挿入して、加熱圧着により溶剤除去と樹脂組成物の硬化を行うものや、あらかじめシート状の樹脂組成物を作製し、これを接着対象物の間に挿入して、加熱圧着により樹脂組成物の硬化を行うものなどがある。あるいは、導体層と絶縁層を交互に積層するビルドアップ多層基板の製造において、樹脂組成物の硬化物を絶縁層として用いるものがある。これら樹脂組成物は、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されつつある(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
シート状の樹脂組成物などは、室温での取り扱いの容易さを考慮して、室温では接着しないが、100℃程度に加熱すると柔らかくなり接着するように設計されている。ここで、加熱により柔らかくなったときの溶融粘度は低いことが好ましい。しかしながら、樹脂組成物は硬化が徐々に進行し溶融粘度が上がるという問題があり、保存安定性の向上が望まれていた。これに対し、マイクロカプセル型硬化促進剤を使用することにより、100℃以下での保存安定性を改良する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
また、樹脂組成物の硬化物が温度変化によって大きく伸縮することにより半導体装置内部に応力が生じ、装置の信頼性が劣化する問題がある。これに対し、樹脂組成物の硬化物の線膨張率を半導体チップや回路基板の低い線膨張率に近づけるために、樹脂組成物中に無機粒子を混合する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−95731号公報
【特許文献2】特開2011−29232号公報
【特許文献3】特開2011−202177号公報
【特許文献4】特開2010−116453号公報
【特許文献5】特開2009−194054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無機粒子を多量に混合した樹脂組成物は溶融粘度が高いため、樹脂組成物を介して電子部品や基板を接着させ、互いの電極同士を電気的に接続させた場合に、電極の樹脂組成物への埋没が不十分になるため、接合部の電気的な接続の信頼性が悪くなるという課題があった。また、ペースト状の樹脂組成物を保存中に、無機粒子同士が徐々に凝集したり、樹脂の硬化が進み粘度が高くなったりする問題があった。これにより、例えば、ペースト状の樹脂組成物をシート状に成形した場合、平坦性が悪くなり、電子部品や基板などの接着が良好に行えないことがあった。
【0006】
本発明は、無機粒子を含有する樹脂組成物において、溶融粘度が低く、保存安定性に優れた樹脂組成物であって、樹脂組成物の硬化物においてサーマルサイクル試験などの耐性が良好であり、接続信頼性の高い半導体装置を提供できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)エポキシ化合物、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤(c)表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている無機粒子、ならびに(d)(d1)アクリロキシ基およびメタクリロキシ基から選ばれた基、ならびに、(d2)カルボキシル基およびヒドロキシル基から選ばれた基を有する化合物を含有し、(a)エポキシ化合物全量に対し、液状エポキシ化合物の含有比率が20重量%以上60重量%以下である樹脂組成物である。
【0008】
また本発明の別の態様は、上記の樹脂組成物からなる樹脂組成物シートである。
【0009】
また本発明の別の態様は、上記の樹脂組成物または樹脂組成物シートを介して2つの回路部材が電気的に接続された半導体装置である。
【0010】
また本発明の別の態様は、第一の回路部材と第二の回路部材の間に上記の樹脂組成物または樹脂組成物シートを介在させ、加熱加圧することにより前記第一の回路部材と前記第二の回路部材を電気的に接続させる半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂組成物は溶融粘度が低く、保存安定性が良好である。また、その硬化物はサーマルサイクル試験などに対する耐性が良好であり、接続信頼性の高い回路基板あるいは半導体装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の樹脂組成物は、(a)エポキシ化合物を含有する。(a)エポキシ化合物は、一般に収縮を伴わない開環によって硬化するため、樹脂組成物の硬化時の収縮を低減することが可能となる。(a)エポキシ化合物としては、エポキシ基を2個以上有するものや、エポキシ当量が100〜500であるものが好ましい。エポキシ当量が100以上であると、樹脂組成物の硬化物の靱性が大きくなる。エポキシ当量が500以下であると、樹脂組成物の硬化物が密度の高い網目構造となり、樹脂組成物の硬化物の絶縁性が良好となる。
【0013】
(a)エポキシ化合物としては、室温で液状のエポキシ化合物と室温で固形状のエポキシ化合物のいずれも用いることができる。両者を併用しても良い。(a)エポキシ化合物全量に対し、液状エポキシ化合物の該含有比率が20重量%以上であると、樹脂組成物の粘度が低くなるため接着性が向上するので、より好ましい。また、樹脂組成物の可塑性や可撓性が高まる。また、(a)エポキシ化合物全量に対し、液状エポキシ化合物の該含有比率が60重量%以下であると、樹脂組成物の室温でのタックが低減して取り扱いが容易になるので、より好ましい。ここで、室温で液状とは、25℃で150Pa・s以下の粘度を示すことを言い、室温で固形状とは25℃で150Pa・sを越える粘度を示すことを言う。
【0014】
室温で液状であるエポキシ化合物としては、jER828、jER1750、jER152、jER630、jERYL980(以上商品名、三菱化学(株)製)、エピクロン(登録商標)HP−4032(商品名、DIC(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらを2種以上組み合わせてもよい。
【0015】
また、室温で固形状であるエポキシ化合物としては、jER1002、jER1001、YX4000H、jER4004P、jER5050、jER154、jER157S70、jER180S70、jERYX4000H(以上商品名、三菱化学(株)製)、テピック(登録商標)S、テピック(登録商標)G、テピック(登録商標)P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、エポトート(登録商標)YH−434L(商品名、新日鐵化学(株)製)、EPPN502H、NC3000(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピクロン(登録商標)N−695、エピクロン(登録商標)N−865、エピクロン(登録商標)HP−7200、エピクロン(登録商標)HP−7200H(以上商品名、DIC(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらを2種以上組み合わせてもよい。
【0016】
これらの中でも、特に、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物は、無機粒子の分散性を良好に保ち、かつ、樹脂組成物の保存安定性を高めることができるので好ましい。ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物としては、例えば、上記HP−7200、HP−7200Hが挙げられる。
【0017】
(a)エポキシ化合物は、樹脂組成物の温度を上げていく際の粘弾性挙動に影響を与える。室温から温度を上げていくと、樹脂組成物の粘度は低下していくが、粘度は100℃前後で最下点を示し、それ以上の温度では増加していく。これは、樹脂組成物中の(a)エポキシ化合物が硬化し始めるためである。このときの、最も低い粘度の値を樹脂組成物の最低溶融粘度という。例えば、半導体チップを樹脂組成物を介して回路基板へ接着させる場合、半導体チップ上に形成されたバンプ電極と回路基板のパッド電極が樹脂組成物を押しのけることによって、バンプ電極とパッド電極が当接して、電気的に接続する。樹脂組成物の最低溶融粘度が十分に低いと、半導体チップを樹脂組成物を介して回路基板へ接着させるときに、半導体チップや回路基板上の電極が樹脂組成物を容易に押しのけることができ、対向する電極が良好に当接するため、半導体チップと回路基板との接着と同時に電極同士の電気的な接続が確実になされ、電気的接続信頼性が向上するので好ましい。また、最低溶融粘度を示すときの温度が100℃以上であると、樹脂組成物を100℃以下の温度で保存したときに硬化が進行しにくいので、樹脂組成物の保存安定性が高まり好ましい。
【0018】
樹脂組成物の最低溶融粘度は、10〜10000Pa・sの範囲にあることが好ましい。より好ましい最低溶融粘度の範囲は100〜5000Pa・sである。最低溶融粘度がこの範囲であると、上記電極の接続が良好となることに加え、シート状の樹脂組成物を半導体ウエハや回路基板へ、シワや気泡の巻き込みなく貼り合わせることができ、さらに半導体チップ実装時の樹脂組成物のはみ出しを小さくすることができる。なお、樹脂組成物の最低溶融粘度は、例えば動的粘弾性測定装置“AG−G2”(商品名、TAインスツルメント社製)を使用し、寸法が直径15mm、厚さ0.8mmである試料に対し、測定周波数0.5Hz、昇温速度2℃/分、測定温度範囲40℃から150℃で測定することができる。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤を含有する。マイクロカプセル型硬化促進剤とは、硬化促進剤をコア成分として、その周りをマイクロカプセルで被覆したものである。(b)マイクロカプセル型硬化促進剤はマイクロカプセルにより硬化促進剤が保護されているため、100℃以下の温度領域において(a)エポキシ化合物の硬化が抑制され、樹脂組成物の保存安定性が向上する。
【0020】
(b)マイクロカプセル型硬化促進剤のコア成分としては、ジシアンジアミド型硬化促進剤、アミンアダクト型硬化促進剤、有機酸ヒドラジド型硬化促進剤、芳香族スルホニウム塩型硬化促進剤などが例示される。また、コア成分を被覆するマイクロカプセルとしては、ビニル化合物、ウレア化合物、イソシアネート化合物、熱可塑性樹脂などが例示される。
【0021】
(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の含有量は、(a)エポキシ化合物100重量部に対し0.1〜50重量部であることが好ましい。(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の含有量が(a)エポキシ化合物100重量部に対し0.1重量部以上であると、この樹脂組成物を用いて製造した半導体装置の接続信頼性が高まる。(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の含有量が(a)エポキシ化合物100重量部に対し10重量部以上であることが特に好ましく、この場合、低温でも短時間で樹脂組成物の硬化を行うことが可能となる。硬化温度および時間は、例えば160℃から200℃の温度で5秒間から20分間であるが、これに限られない。また、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の含有量が(a)エポキシ化合物100重量部に対し50重量部以下であると、樹脂組成物の100℃以下での保存安定性が高まる。また、樹脂組成物の硬化物の吸水性が抑制され、高強度および高靭性を有するようになり、この樹脂組成物を用いて製造した半導体装置の接続信頼性が向上する。
【0022】
(b)マイクロカプセル型硬化促進剤は、樹脂組成物に含まれる各成分に対し溶解しないものが好ましく用いられる。(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の具体例としては、アミンアダクト型硬化促進剤をイソシアネート化合物で被覆したマイクロカプセル型硬化促進剤であるノバキュア(登録商標)HX−3941HP、ノバキュア(登録商標)HX−3922HP、ノバキュア(登録商標)HX−3932HP、ノバキュア(登録商標)HX−3042HP(以上商品名、旭化成イーマテリアルズ(株)製)などが好ましく用いられる。
【0023】
なお、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤として、液状エポキシ化合物に分散された状態で存在する硬化促進剤組成物を用いることができる。例えば、市販のマイクロカプセル型硬化促進剤であるノバキュア(登録商標)(商品名、旭化成イーマテリアルズ(株)製)シリーズは、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤100重量部に対して、液状エポキシ化合物が200重量部含まれる硬化促進剤組成物として販売されている。したがって、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤としてノバキュア(登録商標)シリーズを用いる場合には、樹脂組成物中の各成分の含有量の計算において、(a)エポキシ化合物として、硬化促進剤組成物に含まれる液状エポキシ化合物を合わせて計算する必要がある。そして、硬化促進剤組成物全体の重量から、それに含まれる液状エポキシ化合物の重量を引いたものが、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の重量である。
【0024】
(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の分散粒子径は、0.5〜5μmであることが好ましい。ここで分散粒子径とは互いに空間的に分かれて存在するそれぞれの(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の平均粒子径を示す。(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の形状が球状の場合は、その直径を分散粒子径とし、楕円状または扁平状の場合は形状の最大長さを分散粒子径とする。さらに形状がロッド状または繊維状の場合は長手方向の最大長さを分散粒子径とする。
【0025】
また、(a)エポキシ化合物および他の構成材料からなる媒質の屈折率と(b)マイクロカプセル型硬化促進剤の屈折率の差を小さくすることで、樹脂組成物の光線透過率を高めることができる。
【0026】
また、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤に加えて、他の硬化促進剤を用いても良い。これらとしては具体的にはアミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスホニウム系硬化促進剤、スルホニウム系硬化促進剤、ヨードニウム系硬化促進剤などが挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、(c)表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている無機粒子を含有する。ここで「表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている」とは、粒子表面の一部あるいは全部において、不飽和二重結合を有する化合物が、粒子表面の原子と共有結合やイオン結合などにより結びついていることを表している。例えば、不飽和二重結合を有する化合物として、下記に挙げるシランカップリング剤を用いた場合は、粒子表面の水酸基とシランカップリング剤のシラノール基が、脱水縮合により共有結合を形成する。粒子表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されていることを確認する方法としては、赤外分光法などにより粒子表面を分析することが挙げられる。
【0028】
本発明の樹脂組成物において、無機粒子の表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されていることが、樹脂組成物の粘度の増加や樹脂組成物中での凝集物の析出を抑制するために必要である。不飽和二重結合としては、ビニル基、アクリロキシ基およびメタクリロキシ基等が例示される。不飽和二重結合を有する化合物が、アクリロキシ基およびメタクリロキシ基から選ばれた基を有する化合物であると、エポキシ化合物の存在下での無機粒子の分散性が特に良好となり、粘度が低く、かつ、凝集物のない均一な樹脂組成物の状態を保つことができるので特に好ましい。
【0029】
無機粒子の表面修飾に用いられる不飽和二重結合を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0030】
無機粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、窒化ケイ素、窒化硼素、窒化アルミニウム、酸化鉄、ガラスやその他金属酸化物、金属窒化物、金属炭酸塩、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩等を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの中でシリカが低熱膨張性、低吸水性および高分散性の点で特に好ましく使用することができる。
【0031】
無機粒子の含有量は、固形分、すわなち、樹脂組成物から溶剤などの揮発成分を除いた成分の量に対する含有量が、40〜70重量%であることが好ましい。無機粒子の該含有量が40重量%以上であると、樹脂組成物を加熱硬化させる際の発泡が低減し、かつ、樹脂組成物の硬化物の線膨張率が低くなるため、樹脂組成物を用いて製造した半導体装置の接続信頼性が高まる。特に、半導体装置に対して吸湿リフロー処理およびサーマルサイクル処理のような、より強い耐久性が必要とされる処理を行った場合において、良好な接続信頼性を保つことができる。また、樹脂組成物付きの半導体チップを実装装置の真空吸着コレットで移送する際に生じる樹脂組成物表面への吸着痕を低減することができる。さらに、半導体チップを回路基板に実装する際に生じる樹脂組成物のチップ側面への這い上がりを抑制することができる。したがって、半導体ウエハの裏面研削などにより半導体チップの厚みが100μm以下となっているものであっても半導体チップ裏面および実装装置の加熱ツールに樹脂組成物が付着することなく実装を行うことが可能となる。
【0032】
また、無機粒子の該含有量が70重量%以下である場合は、樹脂組成物の粘度増加が抑制され、また、樹脂組成物中で無機粒子が均一に分散するので、樹脂組成物をシート状に塗布した場合に、膜厚ムラやピンホール、クラックなどのない樹脂組成物シートが得られる。したがって、これを用いて製造した半導体装置の接続信頼性が高まる。さらに、無機粒子の均一分散により、樹脂組成物の光線透過性が良好となる。
【0033】
無機粒子の形状は球状、破砕状、フレーク状等の非球状のいずれであっても良いが、球状の無機粒子が樹脂組成物中で均一分散しやすいことから好ましく使用することができる。
【0034】
無機粒子の分散粒子径は1〜300nmであることが好ましい。分散粒子径が1nm以上であると、樹脂組成物の粘度が低く保たれるので、樹脂組成物の成形時の表面平坦性が向上する。分散粒子径が300nm以下であると、樹脂組成物の光線透過率が高くなり、接着面にシート状の樹脂組成物が形成された半導体チップや回路基板上のアライメントマークの視認性が良好となる。無機粒子の分散粒子径は、樹脂組成物の光線透過率を向上する観点から、200nm以下がより好ましく、100nm以下が最も好ましい。また、樹脂組成物の粘度を低くする観点から、無機粒子の分散粒子径は10nm以上であることがより好ましい。
【0035】
なお、無機粒子の分散粒子径とは、互いに空間的に分かれて存在するそれぞれの無機粒子の平均粒子径を示す。粒子の形状が球状の場合はその直径を分散粒子径とし、楕円状または扁平状の場合は形状の最大長さを分散粒子径とする。さらにロッド状または繊維状の場合は長手方向の最大長さを分散粒子径とする。また、複数の粒子が凝集して1つの粒子を形成しているものでは、その凝集粒子の最大長さを分散粒子径とする。樹脂組成物中の無機粒子の分散粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、100個の粒子の粒子径の平均を計算する方法により測定することができる。また、分散液中の無機粒子の分散粒子径は、動的光散乱方式の粒子径測定装置であるシスメックス(株)製の“ゼータサイザーナノZS”(商品名)などを用いて測定することができる。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、さらに、(d)(d1)アクリロキシ基およびメタクリロキシ基から選ばれた基、ならびに、(d2)カルボキシル基およびヒドロキシル基から選ばれた基を有する化合物を含有すると、樹脂組成物の硬化物の破断伸度が大きくなるので好ましい。この化合物(d)を以下では酸性アクリレートと呼ぶ。酸性アクリレートの存在により、樹脂組成物の硬化物の破断伸度が大きくなる理由は定かではないが、酸性アクリレートのカルボキシル基やヒドロキシル基は酸性の基であり、これが(c)表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている無機粒子の表面に配位し、次に、加熱により樹脂組成物を硬化させる際に、酸性アクリレートのアクリロキシ基やメタクリロキシ基が無機粒子の表面の不飽和二重結合などと付加反応をすることにより、樹脂組成物の硬化物中の無機粒子と樹脂成分との接着力が高まり、破断しにくく高靭性であるという特性を発現すると考えられる。
【0037】
酸性アクリレートの含有量は、固形分、すわなち、樹脂組成物から溶剤などの揮発成分を除いた量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましい。該含有量が0.01重量%以上であると樹脂組成物の硬化物の破断伸度が大きくなる。また、該含有量が5重量%以下であると、100℃以下での樹脂組成物の保存安定性が向上する。
【0038】
酸性アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロキシエチルコハク酸、2−アクリロキシエチルフタル酸、2−アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。また、市販の酸性アクリレートとして、例えば、HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、エポキシエステル3000A、エポキシエステル3002A(以上商品名、共栄社化学(株)製)、“KAYARAD(登録商標)”ZAR1395H、“KAYARAD(登録商標)”ZFR1401H(以上商品名、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、さらに、イミド環を有する(e)有機溶剤可溶性ポリイミドを含有すると、良好な耐熱性および耐薬品性を発現するので好ましい。特に、(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの側鎖に、エポキシ基と反応可能な官能基を少なくとも一つ有するものを用いることで、樹脂組成物の硬化のための加熱時にエポキシ化合物の開環およびポリイミドへの付加反応が促進され、より一層密度の高い網目構造を有する樹脂組成物の硬化物を得ることができる。エポキシ基と反応可能な官能基としては、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基が挙げられる。このような芳香族ポリイミドの合成方法としては、以下の例に限られるものではないが、例えば、まず、エポキシ基と反応可能な基を有する酸二無水物とジアミンを反応させてポリイミド前駆体を合成し、次に、末端封止剤として一級モノアミンを用いて、このポリイミド前駆体の末端修飾を行い、続いて、150℃以上の加熱を行い、ポリイミド閉環を行う方法が挙げられる。他の方法としては、先に酸二無水物と末端封止剤として一級モノアミンを反応させた後、ジアミンを添加して末端修飾されたポリイミド前駆体を合成し、さらに150℃以上の加熱を行い、ポリイミド閉環を行う方法が挙げられる。
【0040】
(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの好ましい一例は、下記一般式(2)および(3)のいずれかで表される構造を有するポリマーであり、さらに一般式(1)で表される構造を一般式(2)および(3)中のRとしてポリマー全量に対し5〜15重量%有するものである。一般式(1)で表される構造の該含有量が5重量%以上であると、ポリイミドが適度な柔軟性を発現でき、該含有量が15重量%以下であると、ポリイミドの剛直性、耐熱性および絶縁性が保たれる。
【0041】
【化1】
【0042】
式中、Rは2価の炭化水素基である。Rは、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基、またはフェニレン基である。Rは1価の炭化水素基である。Rは、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基である。(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの1分子内に異なる構造のRおよびRを含んでいてもよく、異なる(e)有機溶剤可溶性ポリイミド分子間で異なる構造のRおよびRを含んでいてもよい。
【0043】
nは1〜10の整数を示し、好ましくは1〜2である。nが1以上であると硬化時の樹脂組成物の収縮が抑制され、10以下であるとポリイミド骨格中のイミド基含有率が高く、樹脂組成物の硬化物の絶縁性および耐熱性が良好となる。
【0044】
【化2】
【0045】
式中、Rは4〜14価の有機基であり、Rは2〜12価の有機基である。RおよびRの少なくとも一つは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基(以下、これを「特定基」という)を少なくとも一つ含有する芳香族基である。RおよびRは、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を示す。(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの1分子内に異なる構造のR〜Rを含んでいてもよく、異なる(e)有機溶剤可溶性ポリイミド分子間で異なる構造のR〜Rを含んでいてもよい。Xは1価の有機基を示す。mは8〜200である。αおよびβはそれぞれ0〜10の整数を示し、α+βは0〜10の整数である。ただし、繰り返し単位のうち、20〜90%はα+β=1〜10である。
【0046】
なお、(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの可溶性とは、以下より選ばれる少なくとも1種の溶剤に23℃で20重量%以上溶解することを意味する。ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン;エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム;グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル;その他ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチルおよびN,N−ジメチルホルムアミド。
【0047】
一般式(2)および(3)において、Rは酸二無水物の残基を表しており、炭素数5〜40の4〜14価の有機基であることが好ましい。また、Rはジアミンの残基を表しており、炭素数5〜40の2〜12価の有機基であることが好ましい。また、RおよびRの両方が前記特定基を少なくとも一つ含有することが好ましい。
【0048】
Xは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する基である。Xは1種でも、2種以上の組み合わせでもよい。1級モノアミンとしては、具体的には、5−アミノキノリン、4−アミノキノリン、3−アミノナフタレン、2−アミノナフタレン、1−アミノナフタレン、アニリン等が挙げられる。これらのうち、アニリンが特に好ましく使用される。X成分の含有量は、全ジアミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%である。
【0049】
また、ポリマー中に導入された一般式(1)の構造および末端封止剤は、以下の方法で容易に検出、定量できる。例えば、一般式(1)の構造および末端封止剤が導入されたポリマーを、酸性溶液あるいは塩基性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるジアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRを用いて測定することにより、一般式(1)の構造および末端封止剤を容易に検出、定量することができる。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリイミドを直接、熱分解ガスクロクロマトグラフィー(PGC)や赤外スペクトルおよび13C−NMRを用いて測定することによっても、一般式(1)の構造および末端封止剤を容易に検出、定量することが可能である。
【0050】
一般式(2)および(3)において、mはポリマーの繰り返し数を示しており、好ましくは10〜150である。ポリマーの重量平均分子量で表すと、ゲルろ過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で4000〜80000であることが好ましく、特に好ましくは、8000〜60000である。mが10以上であると、樹脂組成物の粘度が高くなり、厚膜塗布が可能となる。mが150以下であると、ポリイミドの溶剤への溶解性が向上する。重量平均分子量は、次の方法により求めることができる。可溶性ポリイミドをN−メチルピロリドン(NMP)に溶解した固形分濃度0.1重量%のポリイミド溶液を用い、GPC装置“Waters2690”(商品名、Waters(株)製)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を算出する。GPC測定条件は、移動層をLiClとリン酸をそれぞれ濃度0.05モル/Lで溶解したNMPとし、展開速度を0.4mL/分とする。
【0051】
一般式(2)または(3)におけるRおよびRを選択することにより、加熱処理時のポリイミドと(a)エポキシ化合物との反応率を調整し、樹脂組成物の硬化物の架橋密度を調整することができる。これにより必要とされる耐熱性および耐薬品性を樹脂組成物の硬化物に付与することが可能となる。RおよびRの合計の20〜90モル%がフェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基であることが好ましい。これらの基をRおよびRの合計の20モル%以上とすることで、樹脂組成物の硬化物の耐薬品性および耐熱性を向上することができ、90モル%以下とすることで、架橋密度を適度な範囲に抑制し、樹脂組成物の硬化物の伸度および靱性を保持することができる。
【0052】
(e)有機溶剤可溶性ポリイミドは、一般式(2)または(3)で表される構造からなるもののみであってもよいし、他の構造を含有する共重合体もしくは混合物であってもよい。一般式(2)または(3)で表される構造を、有機溶剤可溶性ポリイミド全体の50モル%以上含有していることが好ましい。共重合体あるいは混合物に用いられる他の構造の種類および量は、加熱処理によって得られる樹脂組成物の硬化物の耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0053】
(e)有機溶剤可溶性ポリイミドは、公知の方法を利用して合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得て、その後ジアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得て、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミンと反応させる方法などを利用して、ポリイミド前駆体を得て、続いてこれを公知のイミド化反応させる方法などが挙げられる。
【0054】
用いられる酸二無水物について説明する。前記特定基を少なくとも一つ有する酸二無水物としては、具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つ化合物等が挙げられる。
【0055】
また、それ以外の酸二無水物、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つ化合物等も用いることができる。これらの酸二無水物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
【0056】
用いられるジアミンについて説明する。前記特定基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つ化合物等が挙げられる。
【0057】
前記特定基を少なくとも一つ有し、かつ、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルヒドあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つ化合物などが挙げられる。
【0058】
また、それ以外のジアミン、具体的には、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシジアミノピリミジン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つ化合物や、テレフタル酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、フタル酸ヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、4,4’−ビスフェニルジカルボノヒドラジン、4,4’−シクロヘキサンジカルボノヒドラジン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つヒドラジド化合物等も用いることができる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
【0059】
また、一般式(1)で表される構造を含むジアミンとしては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0060】
樹脂組成物から溶剤と無機粒子を除いた成分の量を100重量部とした場合に、(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量は10〜20重量部であることが好ましい。(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの該含有量が10重量部以上であると、樹脂組成物の硬化物の耐熱性が良好となる。一方、(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの該含有量が20重量部以下であると、樹脂組成物の硬化物の吸水性が低減するため、回路基板と半導体チップ間の接着力が増加し、接続信頼性が向上する。また、樹脂組成物の硬化物の絶縁性が高まる。また、(e)有機溶剤可溶性ポリイミドの該含有量が10〜20重量部であると、樹脂組成物の最低溶融粘度が低く、このときの温度が高くなるので好ましい。
【0061】
本発明の樹脂組成物は、硬化後の状態における低応力化の目的で、熱可塑性樹脂をさらに含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体などが挙げられるが、これらに限られない。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、(f)溶剤を含有してもよい。(f)溶剤としては、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン;エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム;グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル;その他ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドなどを単独あるいは2種以上混合して使用することができるが、これらに限られない。
【0063】
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法の例について詳細に説明する。本発明の樹脂組成物は、ペースト状であってもよいし、流動性はないが室温でまたは加熱した場合に接着性のある半固形状であってもよい。ここで、ペースト状とは、室温で流動性を有する状態を示す。また、半固形状とは、流動性は無いが、室温でまたは加熱した場合に接着性を有する状態を示す。まず、ペースト状の樹脂組成物の製造方法について説明する。
【0064】
まず、1次粒子が凝集した粉体状の無機粒子と溶剤を混合し、ホモジナイザーやボールミル、ビーズミルなどの分散装置により、凝集した無機粒子をほぐしたり砕いたりして溶剤中で分散させる。次に、得られた無機粒子の分散液に不飽和二重結合を有する化合物を混合し、室温あるいは100℃以下の温度にて数時間攪拌することにより、(c)表面が不飽和二重結合を有する化合物で修飾されている無機粒子の分散液を得る。無機粒子の分散前にあらかじめ、不飽和二重結合を有する化合物を溶剤に混合して、無機粒子の分散処理と表面処理を同時に行ってもよい。また、分散剤や消泡剤など他の化合物を混合することも可能である。また、市販されている無機粒子の分散液を活用することも可能である。市販の無機粒子の分散液としては、例えば、“YA050C−KJC”(商品名、(株)アドマテックス製、球形シリカ粒子、分散粒子径80nm、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理、シリカ濃度50重量%のメチルイソブチルケトン分散液)などが挙げられる。無機粒子の表面処理を行った分散液をそのまま使用してペースト状樹脂組成物を作製してもよいし、分散液からロータリーエバポレーターなどを用いて溶剤を除去し、得られた無機粒子の粉体を用いてペースト状樹脂組成物を作製してもよい。
【0065】
次に、上記表面修飾された無機粒子あるいは無機粒子の分散液と、(a)エポキシ化合物、(b)マイクロカプセル型硬化促進剤、および必要に応じて(d)酸性アクリレート、(e)有機溶剤可溶性ポリイミド、(f)溶剤、重合禁止剤などを混合して、ペースト状の樹脂組成物を得る。これらの材料は、上記無機粒子の分散処理および表面処理の前にあらかじめ混合してもよいが、その場合、分散処理中に(b)マイクロカプセル型硬化促進剤が破壊されるなどにより(e)有機溶剤可溶性ポリイミドや(a)エポキシ化合物が硬化することがあるので、該無機粒子の分散処理および表面処理の後に混合した方が好ましい。
【0066】
上記のようにして得られるペースト状の樹脂組成物を、所定の形状に塗布あるいは成形して、加熱処理により溶剤などの揮発成分を除去することにより、半固形状の樹脂組成物を得ることができる。特に、上記樹脂組成物がシート状に成形された樹脂組成物シートの作製方法について、以下詳細に説明する。
【0067】
ペースト状の樹脂組成物を剥離性基材上に、バーコーター、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、コンマコーターなどの装置を用いて塗布した後、溶剤を除去し、樹脂組成物シートを得る。剥離性基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられるが、これらに限られない。また、剥離性基材はシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、脂肪族アミド系等の離型剤により表面処理が施されていてもよい。剥離性基材の厚みは、特に限定されないが、通常5〜75μmのものが好ましい。樹脂組成物への残留応力を少なくできる点から剥離性基材の厚みは、得られる樹脂組成物シートの厚み以上とすることが好ましい。
【0068】
溶剤を除去する方法としては、オーブンやホットプレートによる加熱のほか、真空乾燥、赤外線やマイクロ波などの電磁波による加熱などが挙げられる。ここで、溶剤の除去が不十分である場合、樹脂組成物を介して半導体チップや回路基板を接着させた後、さらなる高温加熱により樹脂組成物を硬化させる際に、気泡が生じ、接着力が低減することがある。一方、溶剤を除去するための加熱をし過ぎると、樹脂組成物の硬化が進行し、接着力が低減することがある。
【0069】
得られた樹脂組成物シートの剥離性基材を有する面とは反対側の面にさらに別の剥離性基材を貼り合わせて、樹脂組成物シートの両面を剥離性基材で挟むことが好ましい。別の剥離性基材の材質および厚みとしては、先に説明したものと同様のものを用いることができる。両方の剥離性基材が同一のものであっても構わない。しかし、各剥離性基材と樹脂組成物間との接着力には差があることが好ましい。特に接着力の差が5〜47N/mであることが好ましい。接着力の差を5N/m以上とすることで、接着力が小さい方の剥離性基材を剥離する際に、他方の剥離性基材から樹脂組成物が剥がれたり浮いたりしないようにすることができる。また、接着力の差を47N/m以下とすることで、剥離後の各剥離性基材の表面に樹脂組成物が残存しにくくなる。
【0070】
本発明の樹脂組成物は、半導体装置を構成する回路部材同士の接着、固定あるいは封止のための樹脂組成物として好適に使用することができる。また、ビルドアップ多層基板などの回路基板を構成する、絶縁層、永久レジスト、ソルダーレジスト、封止剤などや、半導体装置製造に用いられるエッチングレジストなどに使用することができる。ここで、回路部材とは、半導体装置を構成する、半導体チップ、チップ部品、回路基板、金属配線材料等の部材のことを言う。回路部材の具体例としては、めっきバンプやスタッドバンプなどのバンプが形成された半導体チップ、抵抗体チップやコンデンサチップ等のチップ部品、TSV(スルーシリコンビア)電極を有する半導体チップおよびシリコンインターポーザー等が挙げられる。なお、本発明でいう半導体装置とは、半導体素子の特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、半導体回路および電子機器は全て半導体装置に含まれる。
【0071】
本発明の樹脂組成物を用いた半導体装置の製造方法について説明する。本発明の半導体装置の製造方法は、第一の回路部材と第二の回路部材の間に本発明の樹脂組成物を介在させ、加熱加圧することにより前記第一の回路部材と前記第二の回路部材を電気的に接続させる半導体装置の製造方法である。
【0072】
具体的には、まず、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子とが対向するように配置する。次に、前記対向配置した第一の回路部材と第二の回路部材の間に本発明の樹脂組成物を介在させる。ここで、樹脂組成物を介在させる方法は、回路部材の表面にペースト状の樹脂組成物を塗布しても良いし、回路部材の表面に樹脂組成物フィルムを貼り付けてもよい。樹脂組成物は、いずれかの回路部材のみの接続端子側の面に形成してもよいし、第一および第二の回路部材の両方の接続端子側の面に形成してもよい。そして、これらを加熱加圧して、第一の回路部材と第二の回路部材を接着させると同時に、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる。接続端子同士の電気的接続は、力学的な押し付けによってなされてもよいし、はんだなどを用いた金属接合によってなされてもよい。また、第一の回路部材および/または第二の回路部材に貫通電極が形成され、部材の片面および/または両面に接続端子が形成されていてもよい。
【0073】
次に、バンプを有する半導体チップと配線パターンを有する回路基板とを電気的に接続する際に、樹脂組成物シートを介して接続し、半導体チップと配線パターンが形成された回路基板との間の空隙を樹脂組成物の硬化物で封止して半導体装置を製造する方法の例について説明する。
【0074】
まず、樹脂組成物シートを所定の大きさに切り出し、配線パターンが形成された回路基板の配線パターン面に貼り合わせる。あるいは、半導体チップを切り出す前の、半導体ウエハのバンプ形成面に樹脂組成物シートを貼り合わせた後、半導体ウエハをダイシングして個片化することによって、樹脂組成物が貼り付いた半導体チップを作製してもよい。樹脂組成物の貼り合わせは、ロールラミネーターや真空ラミネーターなどの貼り合わせ装置を用いて行うことができる。
【0075】
樹脂組成物シートを回路基板または半導体チップに貼り合わせた後、ボンディング装置にて半導体チップの回路基板への実装を行う。ボンディング条件は、電気的接続が良好に得られる範囲であれば特に限定されるものではないが、樹脂組成物の硬化を行うためには、温度100℃以上、圧力1mN/バンプ以上、時間0.1秒以上の加熱加圧条件で行うことが好ましい。より好ましくは120℃以上300℃以下、さらに好ましくは150℃以上250℃以下の温度、より好ましくは5mN/バンプ以上50000mN/バンプ以下、さらに好ましくは10mN/バンプ以上10000mN/バンプ以下の圧力、より好ましくは1秒以上60秒以下、さらに好ましくは、2秒以上30秒以下の時間でのボンディング条件で行う。また、ボンディング時に、仮圧着として、温度50℃以上、圧力1mN/バンプ以上、時間0.1秒以上の加熱加圧により、半導体チップ上のバンプと回路基板上の配線パターンとを接触させた後、上記の条件でボンディングを行うことも好ましい。必要に応じ、ボンディングを行った後に、半導体チップ付き回路基板を50℃以上200℃以下の温度で10秒以上24時間以下加熱してもよい。
【0076】
本発明の樹脂組成物は、この他にも、ダイアタッチフィルム、ダイシングダイアタッチフィルム、リードフレーム固定テープ、放熱板、補強板、シールド材の接着剤、ソルダーレジスト等を作製するための樹脂組成物として使用することができる。
【0077】
近年の半導体装置製造作業の自動化の著しい進展により、樹脂組成物および樹脂組成物を貼り付けた回路基板または半導体チップには、硬化を行うまでの保存期間として、好ましくは30日以上、より好ましくは60日以上の室温放置が可能であることが求められる。本発明の樹脂組成物を用いると、室温下でも60日以上の保存ができ、ボンディング時の発泡がなく、短時間の加熱加圧で初期導通がとれ、吸湿リフローの後、−40℃〜125℃のサーマルサイクル試験に入れても導通がとれる接続信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
【実施例】
【0078】
以下実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0079】
<無機粒子の表面の組成分析方法>
無機粒子の表面の組成分析をフーリエ変換赤外分光法にて行った。無機粒子が粉体ではなく、分散液中に分散した状態である場合は、以下のように分散液から無機粒子を抽出した。まず、無機粒子の分散液を分散液に使用されている溶剤で100倍に薄め十分に攪拌したものに対して、超遠心分離機“CS100GXL”(日立工機(株)製)を用いて、30000rpmで30分間遠心分離処理を行った。次いで、容器の底に沈降した無機粒子の凝集体を集めて、乾燥させ、無機粒子の粉体を得た。無機粒子の粉体について、フーリエ変換赤外分光装置“IRPrestige−21”(商品名、(株)島津製作所製)を用いて、組成分析を行い、不飽和二重結合由来の吸収帯の有無を判定した。
【0080】
<樹脂組成物シート中の無機粒子の分散粒子径の測定方法>
樹脂組成物シートを、超薄切片法により厚さ100nmの薄膜に切り出し、透過型電子顕微鏡H−7100FA(日立製作所(株)製)を用いて、樹脂組成物シート中の無機粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフトFlvFs((株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
【0081】
<樹脂組成物シートの全光線透過率の測定方法>
80℃のホットプレート上に石英基板を置き、その上にハンドローラーを用いて、樹脂組成物シートを貼り合わせて試験片とした。ヘーズメーター“HGM−2DP”(スガ試験機(株)製)を用いて、樹脂組成物シートの全光線透過率を測定した。
【0082】
<樹脂組成物シートの最低溶融粘度の測定方法>
樹脂組成物シートの粘弾性特性を動的粘弾性測定装置“AG−G2”(商品名、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。まず、樹脂組成物シートを複数枚重ねて貼り合せることにより厚さ0.8mmのシートを作製し、直径15mmの円形に切り出して試験片とした。測定条件は昇温速度2℃/分、測定周波数0.5Hzで40℃から150℃まで昇温させながら測定した。複素粘性率を測定し、測定範囲内で最も低い複素粘性率の値を最低溶融粘度とし、そのときの温度を読み取った。
【0083】
<樹脂組成物シートの硬化物の破断伸度の測定方法>
樹脂組成物シートの硬化物の破断伸度を以下のようにして測定した。まず、樹脂組成物シートを、80℃のホットプレート上でハンドローラーを用いて、複数枚重ねて貼り合わせることにより厚さ1.0mmのシートを作製し、180℃で2時間加熱処理をして樹脂組成物シートの硬化物を得た。得られた硬化物をダイシング装置“DAD−3350”(商品名、DISCO(株)製)を用いて、10mm×80mmの短冊状に切り出し、試験片とした。次いで、万能材料試験機“Model 1185”(商品名、Instron社製)を用いて、試験片の両端部をつかんだ状態で短冊の長さ方向に引っ張り、試験片が破断したときの伸び率を破断伸度とした。測定時の引っ張り速度は1mm/minとし、5個の試験片での測定値の平均を算出した。
【0084】
<有機溶剤可溶性ポリイミドの合成>
有機溶剤可溶性ポリイミドA
乾燥窒素気流下、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APB−Nとする)4.82g(0.0165モル)、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下、ABPSとする)3.08g(0.011モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(以下、SiDAとする)4.97g(0.02モル)、および、末端封止剤としてアニリン0.47g(0.005モル)をNMP130gに溶解させた。ここに2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物(以下、BSAAとする)26.02g(0.05モル)をNMP20gとともに加えて、25℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、180℃でさらに5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入し、ろ過して沈殿物を回収した。沈殿物を、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃で20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外分光測定をしたところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにしてエポキシ基と反応可能な官能基を有し、一般式(1)で表される構造が11.6重量%含まれる有機溶剤可溶性ポリイミドAを得た。4gの有機溶剤可溶性ポリイミドAにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
【0085】
有機溶剤可溶性ポリイミドB
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAHFとする)24.54g(0.067モル)、SiDA4.97g(0.02モル)、および、末端封止剤として、アニリン1.86g(0.02モル)をNMP80gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(以下、ODPAとする)31.02g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸させながら、180℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿物を得た。この沈殿物をろ過して回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃で20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外分光測定をしたところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにしてエポキシ基と反応可能な官能基を有し、一般式(1)で表される構造が7.5重量%含まれる有機溶剤可溶性ポリイミドBを得た。4gの有機溶剤可溶性ポリイミドBにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
【0086】
<無機粒子の分散液の作製>
分散液A
シリカ2次粒子“NanoTek(登録商標)”(商品名、シーアイ化成(株)製、球形シリカ粒子、平均1次粒子径25nm)50gとシランカップリング剤“KBM5103”(商品名、化学名:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)1g、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKとする)50gを混合し、40℃のボールミル架台上でボールミル分散処理を24時間行った。ボールミル分散処理では直径が0.5mmのジルコニアボール“YTZボール”(商品名、(株)ニッカトー製)を使用した。処理後、ふるいでジルコニアボールを除去し、分散液Aを得た。分散液Aについて、無機粒子の表面の組成分析を行ったところアクリロキシ基を有する化合物の存在が確認された。
【0087】
分散液B
分散液Aの作製方法において、シランカップリング剤として、“KBM5103”の代わりに“KBM503”(商品名、化学名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)を用いた以外は同様に行い、分散液Bを得た。分散液Bについて、無機粒子の表面の組成分析を行ったところメタクリロキシ基を有する化合物の存在が確認された。
【0088】
分散液C
シリカ2次粒子“YA050C−SV2”(商品名、(株)アドマテックス製、球形シリカ粒子、ビニルトリメトキシシランによる表面処理、平均1次粒子径50nm)50gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAとする)50gを混合し、ボールミル架台上でボールミル分散処理を室温で3時間行った。ボールミル分散処理では直径が0.5mmのジルコニアボール“YTZボール”(商品名、(株)ニッカトー製)を使用した。処理後、ふるいでジルコニアボールを除去し、分散液Cを得た。分散液Cについて、無機粒子の表面の組成分析を行ったところビニル基を有する化合物の存在が確認された。
【0089】
分散液D
分散液Cの作製方法において、シリカ2次粒子として、“YA050C−SM1”(商品名、(株)アドマテックス製、球形シリカ粒子、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理、平均1次粒子径50nm)を用いた以外は同様に行い、分散液Dを得た。分散液Dについて、無機粒子の表面の組成分析を行ったところメタクリロキシ基を有する化合物の存在が確認された。
【0090】
分散液E
シリカ粒子の分散液“MP−2040”(商品名、日産化学工業(株)製、球形シリカ粒子、平均1次粒子径200nm、シリカ濃度40重量%の水分散液)100gおよびシランカップリング剤“KBM503”(商品名、化学名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)1gを300mLのフラスコに投入し、40℃の温浴中にフラスコを浸し、液を攪拌しながら、24時間保持した。処理後、ロータリーエバポレーターを使用して溶剤を除去し、60℃で1時間乾燥させた。得られた無機粒子の表面の組成分析を行ったところメタクリロキシ基を有する化合物の存在が確認された。次いで、得られた無機粒子30gおよびPGMEA30gを混合し、ボールミル架台上でボールミル分散処理を室温で3時間行った。ボールミル分散処理では直径が0.5mmのジルコニアボール“YTZボール”(商品名、(株)ニッカトー製)を使用した。処理後、ふるいでジルコニアボールを除去し、分散液Eを得た。
【0091】
分散液F
シリカ粒子の分散液“MEK−AC−5102”(商品名、日産化学工業(株)製、球形シリカ粒子、平均1次粒子径90nm、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理、シリカ濃度40重量%のメチルエチルケトン分散液)100gを300mLのフラスコに投入し、ロータリーエバポレーターを使用して溶剤を除去し、60℃で1時間乾燥させた。得られた無機粒子の表面の組成分析を行ったところメタクリロキシ基を有する化合物の存在が確認された。次いで、得られた無機粒子30gおよびPGMEA30gを混合し、ボールミル架台上でボールミル分散処理を室温で3時間行った。ボールミル分散処理では直径が0.5mmのジルコニアボール“YTZボール”(商品名、(株)ニッカトー製)を使用した。処理後、ふるいでジルコニアボールを除去し、分散液Fを得た。
【0092】
その他に実施例、比較例で用いた各材料は以下のとおりである。
【0093】
<エポキシ化合物>
・固形状エポキシ化合物
エピクロン(登録商標)HP−7200(商品名、エポキシ当量:257g/eq、基本骨格:ジシクロペンタジエン、DIC(株)製)
エピクロン(登録商標)HP−7200H(商品名、エポキシ当量:277g/eq、基本骨格:ジシクロペンタジエン、DIC(株)製)
エピクロン(登録商標)N−865(商品名、エポキシ当量210g/eq、基本骨格:フェノールノボラック、DIC(株)製)
・液状エポキシ化合物
jERYL980(商品名、185g/eq、基本骨格:ビスフェノールA、三菱化学(株)製)
jER152(商品名、175g/eq、基本骨格:フェノールノボラック、三菱化学(株)製)
エポライト4000(商品名、230g/eq、基本骨格:水添ビスフェノールA、共栄社化学(株)製)
エピクロン(登録商標)HP−4032(商品名、152g/eq、基本骨格:ナフタレン、DIC(株)製)。
【0094】
<マイクロカプセル型硬化促進剤>
ノバキュア(登録商標)HX−3941HP(商品名、旭化成イーマテリアルズ(株)製):ノバキュア(登録商標)HX−3941HPは、マイクロカプセル型硬化促進剤/液状エポキシ化合物が1/2であり、含まれる液状エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ化合物/ビスフェノールF型エポキシ化合物=1/4である。表1〜5中に記載のノバキュア(登録商標)HX−3941HPの量において、括弧内に記載した量が、含有されたマイクロカプセル型硬化促進剤の量(重量部)を示す。
【0095】
<酸性アクリレート>
HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、エポキシエステル3002A(以上商品名、共栄社化学(株)製)
<その他のアクリレート(カルボキシル基あるいはヒドロキシル基がない)>
DCP−M、DPE−6A(以上商品名、共栄社化学(株)製)。
【0096】
<シリカ粒子分散液>
YA050C−KJC(商品名、(株)アドマテックス製、球形シリカ粒子、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理、平均1次粒子径50nm、シリカ濃度50重量%のMIBK分散液)
YA050C−KJA(商品名、(株)アドマテックス製、球形シリカ粒子、平均1次粒子径50nm、フェニルトリメトキシシランによる表面処理、シリカ濃度50重量%のMIBK分散液)
YA050C−KJE(商品名、(株)アドマテックス製、球形シリカ粒子、平均1次粒子径50nm、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理、シリカ濃度50重量%のMIBK分散液)
なお、上記シリカ分散液について、無機粒子の組成分析を行ったところ、“YA050C−KJC”についてのみ、メタクリロキシ基を有する化合物の存在が確認され、他の分散液については不飽和二重結合を有する化合物の存在は確認されなかった。
【0097】
実施例1
(a)〜(f)成分を表1に示す組成比になるように調合し、ボールミルを用いて材料が均一に混合するよう3時間の処理を行い、ペースト状の樹脂組成物を作製した。ボールミルでは直径が5mmのジルコニアボール“YTZボール”(商品名、(株)ニッカトー製)を使用した。ボールミル処理後、ふるいでジルコニアボールを除去し、ペースト状の樹脂組成物を得た。
【0098】
(1)ペースト状の樹脂組成物の保存安定性評価(保存安定期間(粘度変化10%以内))
ペースト状の樹脂組成物の保存安定性は、粘度の経時変化を測定することにより評価した。まず、作製した樹脂組成物の粘度を測定し、樹脂組成物を室温で保存したときの粘度を数日毎に測定した。初めの粘度と比較して10%以上粘度が増加したときの保存日数を保存安定性の指標とした。粘度は東機産業(株)製の回転粘度計“RE−115L”を用いて、室温で測定した。結果を表1に示す。
【0099】
(2)樹脂組成物シートの作製と評価
ペースト状の樹脂組成物を、バーコーターを用いて、剥離性基材である厚さ75μmの離型フィルム“SR−3”(商品名、大槻工業(株)製)上に塗布し、80℃で10分間乾燥を行った。ここで、乾燥後の樹脂組成物の厚みが50μmとなるよう塗布厚みを調節した。塗布表面の状態を光学顕微鏡にて観察し、10cm×10cmの正方形領域中、10μm以上の大きさの凝集物の数を数えた。評価基準は以下のとおりであり、その結果を表1に示す。
A:10μm以上の大きさの凝集物が観察されなかった。
B:10μm以上の大きさの凝集物が1〜9個観察された。
C:10μm以上の大きさの凝集物が10〜99個観察された。
D:10μm以上の大きさの凝集物が100個以上観察された。
【0100】
樹脂組成物の前記離型フィルム“SR−3”とは反対側の面に、別の剥離性基材として厚さ38μmの離型フィルム“SR−7”(商品名、大槻工業(株)製)を貼り合わせ、両面に剥離性基材を有する樹脂組成物シートを得た。
【0101】
得られた樹脂組成物シートの最低溶融粘度および全光線透過率、樹脂組成物シート中の無機粒子の分散粒子径、ならびに、樹脂組成物シートの硬化物の破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
(3)バンプ付きウエハへの樹脂組成物シートの貼り合わせ工程
両面に剥離性基材を有する上記樹脂組成物シートのバンプ付きウエハへの貼り合わせは、貼り合わせ装置“VTM−200M”(商品名、タカトリ(株)製)を用いて行った。
【0103】
まず、樹脂組成物シートから剥離性基材SR−7を剥離し、樹脂組成物を露出させた。次いで、貼り合わせ装置ステージ上に固定された平均高さ35μmのバンプ電極付き(448バンプ/チップ、ピッチ60μm、ペリフェラル配置、金スタッドバンプ)半導体ウエハ(直径200mm、厚さ625μm)のバンプ電極形成面に、前記樹脂組成物シートの樹脂組成物面を温度80℃、貼り合わせ速度20mm/sで貼り合わせた。半導体ウエハ周囲の余分な樹脂組成物はカッター刃にて切断し、バンプ電極が樹脂組成物中に埋没した状態で、樹脂組成物シートが貼り合わされた半導体ウエハを得た。
【0104】
(4)ダイシング工程
前記(3)で得られた樹脂組成物シートが貼り合わされた半導体ウエハをテープフレームに固定した。固定は、ウエハマウンター装置“FM−114”(商品名、テクノビジョン(株)製)を用い、バンプ電極とは反対側のウエハ基板面にダイシングテープ“UHP−110B”(商品名、トーヨーアドテック(株)製)を貼り合わせることによって行った。次いで、樹脂組成物シートから剥離性基材SR−3を剥離し、樹脂組成物を露出させた。ダイシング装置“DAD−3350”(商品名、DISCO(株)製)の切削ステージ上に、樹脂組成物面が上になるようテープフレームを固定し、ダイシング装置のCCDカメラにてアライメントを行った。アライメントは、ダイシング装置のオートアライメント機能によって、半導体ウエハ面のアライメントマークを読み取ることで行った。ダイシング装置には、ステージを照らす照明として、ステージに垂直に入射する照明(落射光)と斜めに入射する照明(斜光)の2種類があり、光が散乱し透明性が低いフィルムなどを通してアライメントマークを読み取る際には、落射光照明よりも斜光照明の方がアライメントマークをより鮮明に認識できる。そこで、落射光照明でも斜光照明でもアライメントマークを認識できたものをA、落射光照明では認識できないが、斜光照明では認識できたものをB、どちらの照明を用いても認識できなかったものをCとした(オートアライメント認識性)。結果を表1に示す。アライメント後、ダイシングを実施し、樹脂組成物付きの半導体チップ(7.3mm角)を得た。
【0105】
(5)フリップチップ実装
前記(4)で作製した樹脂組成物付き半導体チップを回路基板(金パッド電極)にフリップチップ実装した。実装機はフリップチップボンディング装置“FC−2000”(商品名、東レエンジニアリング(株)製)を用いた。フリップチップボンディングは、温度100℃、圧力15N/チップ、時間5秒の条件で仮圧着したのち、温度200℃、圧力100N/チップの条件で時間を10秒にして本圧着を行った。これより半導体装置を得た。
【0106】
(6)信頼性試験
前記(5)で製造した半導体装置を85℃、60%RHの条件の恒温恒湿槽中に168時間放置して吸湿させた。その後、260℃、5秒のリフロー条件ではんだリフローを行った。続いて半導体付き回路基板を−40℃で30分間維持後、125℃で30分間維持する操作を1サイクルとして、これを1000サイクル行った。
【0107】
上記処理を行った後の半導体装置の半導体と基板間の電気的な導通試験(接続信頼性試験)を行った。導通するものを合格、導通しないものは不合格と評価した。10個のサンプルを用いて評価を行い、合格となったサンプル数を記録した。結果を表1に示す。
【0108】
実施例2〜31、比較例1〜4
(a)〜(f)成分を表1〜7に示す組成比になるように調合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物の調製および評価を行った。結果を表1〜7に示す。なお、実施例1−21、26、27は、現在は参考例であり、実施例22−25、28−31が本発明の実施例である。

【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の樹脂組成物は、パソコンおよび携帯端末に使用される電子部品や放熱板と、プリント基板およびフレキシブル基板との接着、並びに電子部品同士の接着や基板同士の接着に用いられる接着剤として利用できる。より詳しくは、IC、LSI等半導体チップをフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、セラミックス基板などの回路基板に接着する際に用いられる樹脂組成物として好適に利用可能である。