特許第6040960号(P6040960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040960
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20161128BHJP
【FI】
   H02S50/00
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-111393(P2014-111393)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-226430(P2015-226430A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲生
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 芳久
(72)【発明者】
【氏名】下口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】松下 友久
【審査官】 濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−175925(JP,A)
【文献】 特開2015−18838(JP,A)
【文献】 特開2014−11428(JP,A)
【文献】 特開2012−205078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S
H01L 31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽光発電パネルと、これら複数の太陽光発電パネルを並列に接続する接続部と、を備え、前記接続部と各太陽光発電パネルとの間に逆流防止ダイオードが接続された太陽光発電システムの異常を検知する異常検知装置であって、
前記接続部と各太陽光発電パネルとの間を流れる電流を測定するセンサと、
前記センサによる測定結果を示すセンサ出力を所定の比率に応じた信号に変換し出力する変換部と、
前記変換部が出力した信号に基づいて前記逆流防止ダイオードの異常の有無を検知する検知部と、を備え、
前記変換部は、前記太陽光発電パネルから前記接続部に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性、及び、前記接続部から前記太陽光発電パネルに向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性を有し、
前記検知部は、前記変換部が出力した信号が示す、前記接続部と各太陽光発電パネルとの間を流れる電流の流れる向きに基づいて前記逆流防止ダイオードの異常の有無を検知する
異常検知装置。
【請求項2】
前記検知部が、前記逆流防止ダイオードに異常が有ることを検知すると、前記逆流防止ダイオードに対応する太陽光発電パネルを電気的に切断する切断部をさらに備えている請求項1に記載の異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに用いられる異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電では、所定の大きさの太陽光発電パネルを多数並べて、これらの出力を接続箱で集約する構成が採られる(例えば、特許文献1参照)。また例えば、いわゆるメガソーラー(大規模太陽光発電所)では、複数の太陽光発電パネルを接続してなるストリングを多数設け、これらストリングを接続箱に接続することで、各ストリングの出力を集約し電力変換装置に送り込むように構成されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−205078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムでは、接続箱において多数のストリングが並列に接続されているため、例えば、太陽光発電パネルの劣化や日射量の減少等によって、多数のストリングの内、一のストリングの発電電圧が他のストリングの発電電圧よりも小さくなると、この一のストリングに向かって電流が逆流することがある。
【0005】
ストリングに向かって電流が逆流すると、ストリングを構成する太陽光発電パネルが早期に劣化してしまうため、上記システムにおいては、一般に、ストリング(太陽光発電パネル側)に向かって電流が逆流するのを防止する逆流防止ダイオードが、各ストリングと、当該各ストリングを並列に接続する接続部との間に接続されている。
【0006】
しかし、この逆流防止ダイオードが故障等何らかの原因によりその機能を失った場合、そのストリングに逆流電流が流れるおそれが生じ、太陽光発電パネルを早期劣化させてしまう可能性が生じる。
さらに、逆流防止ダイオードが故障しても常時逆流が発生するとは限らないため、逆流防止ダイオードがその機能を失っているか否かについて検知することが困難であり、逆流防止ダイオードの故障を認識したときには、ストリングに逆流電流が長期に亘って流れてしまった後になるおそれもある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、太陽光発電システムにおける逆流防止ダイオードの異常を検知することができる異常検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の太陽光発電パネルと、これら複数の太陽光発電パネルを並列に接続する接続部と、を備え、前記接続部と各太陽光発電パネルとの間に逆流防止ダイオードが接続された太陽光発電システムの異常を検知する異常検知装置であって、前記接続部と各太陽光発電パネルとの間を流れる電流を測定するセンサと、前記センサによる測定結果を示すセンサ出力を所定の比率に応じた信号に変換し出力する変換部と、前記変換部が出力した信号に基づいて前記逆流防止ダイオードの異常の有無を検知する検知部と、を備え、前記変換部は、前記太陽光発電パネルから前記接続部に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性、及び、前記接続部から前記太陽光発電パネルに向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性を有する。
【0009】
なお、本発明は、上記異常検知装置として実現できるだけでなく、上述の各機能部が行う処理をステップとする異常検知方法として実現したり、上述の各機能部が行う処理をステップとしたコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の異常検知装置によれば、太陽光発電システムにおける逆流防止ダイオードの異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】太陽光発電システムの全体構成例を示す単線系統図である。
図2】複数の太陽光発電パネル、及び太陽光発電パネルが接続された接続箱の構成の一例を示す回路図である。
図3】接続箱内における、電流センサ周辺の拡大図であり、異常検知装置の構成を示している。
図4】変換器に与えられる電流センサからのセンサ出力と、これに応じて変換器が出力する電流測定信号との関係の一例を示したグラフである。
図5】他の構成に係る異常検知装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本願発明の実施形態の説明]
まず最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明は、複数の太陽光発電パネルと、これら複数の太陽光発電パネルを並列に接続する接続部と、を備え、前記接続部と各太陽光発電パネルとの間に逆流防止ダイオードが接続された太陽光発電システムの異常を検知する異常検知装置であって、前記接続部と各太陽光発電パネルとの間を流れる電流を測定するセンサと、前記センサによる測定結果を示すセンサ出力を所定の比率に応じた信号に変換し出力する変換部と、前記変換部が出力した信号に基づいて前記逆流防止ダイオードの異常の有無を検知する検知部と、を備え、前記変換部は、前記太陽光発電パネルから前記接続部に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性、及び、前記接続部から前記太陽光発電パネルに向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性を有する。
【0013】
上記のように構成された異常検知装置によれば、変換部が、接続部から前記太陽光発電パネルに向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した信号を出力する出力特性を有するので、検知部は、太陽光発電パネルに向かう逆流電流が発生していることを検知することができる。この結果、この太陽光発電パネルに接続されている逆流防止ダイオードが機能しておらず、逆流防止ダイオードに異常が生じていることを検知することができる。
【0014】
(2)上記異常検知装置において、
前記検知部が、前記逆流防止ダイオードに異常が有ることを検知すると、前記逆流防止ダイオードに対応する太陽光発電パネルを電気的に切断する切断部をさらに備えていることが好ましい。
この場合、検知部が、逆流電流の発生を検知し、逆流防止ダイオードに異常が生じていることを検知すると、対応する太陽光発電パネルを電気的に切断するので、逆流電流が太陽光発電パネルに流れて当該太陽光発電パネルを劣化させてしまうのを抑制することができる。
【0015】
なお、本発明は、上記異常検知装置として実現できるだけでなく、上述の各機能部が行う処理をステップとする異常検知方法として実現したり、上述の各機能部が行う処理をステップとしたコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。
【0016】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔1.システムの全体構成について〕
図1は、太陽光発電システムの全体構成例を示す単線系統図である。なお、図示している各要素や各構成の個数は一例に過ぎない。
図において、当該システムは、1つの集電系統P1を備えている。集電系統P1において、多数の太陽光発電パネル1の直流出力は、所定数ごとにそれぞれ、複数の接続箱4(図例では4つ)に集約される。また、4つの接続箱4からさらに上位の集電箱5に、出力が集約される。集電箱5からの出力は、電力変換装置7で交流に変換され、変圧器11を介して商用電力系統に交流電力を提供することができる。
【0017】
上記の各接続箱4は、各接続箱4に繋がっている太陽光発電パネル1の発電電力(電流・電圧)を測定するセンサやその測定結果を示す情報を送信する電力線通信用の子機(以下、PLC(Power Line Communication)子機ともいう)を備えている(詳細後述)。
【0018】
集電箱5から電力変換装置7に至る直流電路には、電力線通信用の親機(以下、PLC親機ともいう)9が接続されている。PLC親機9は、前記PLC子機から電力線通信によって送信される情報を受信し取得する。
また、PLC親機9は、例えばLAN(Local Area Network)配線を介して監視装置10と接続されている。PLC親機9は、電力変換装置7と共に、パワーコンディショナPC1に搭載されている。
【0019】
なお、PLC親機9は、必ずしもパワーコンディショナPC1の内部に搭載されていなくてもよく、パワーコンディショナPC1の周辺にあってもよい。要するに、集電系統P1の集電終端(電力変換装置7の入力側)に付随して、PLC親機9が設けられていればよい。但し、ここでは、パワーコンディショナPC1の内部にPLC親機9が設けられているものとして説明する。
【0020】
図2は、複数の太陽光発電パネル1、及び太陽光発電パネル1が接続された接続箱4の構成の一例を示す回路図である。
図2において、接続箱4に接続されている複数の太陽光発電パネル1は、複数のストリングSを構成している。
ストリングSは、所定数の太陽光発電パネル1を例えば直並列に接続されることで構成されており、接続箱4に複数の太陽光発電パネル1を接続するためのユニットを構成している。接続箱4には、複数のストリングSが接続されている。
【0021】
接続箱4の内部には、複数のストリングSを並列に接続する接続部14が設けられている。接続部14は、複数のストリングSを並列に接続することで各ストリングSの発電電力を集約する。
また、接続箱4の内部には、各ストリングSに対応して出力される電流及び電圧をそれぞれ計測する電流センサ2a及び電圧センサ2vが設けられている。電流センサ2aは、接続部14とストリングSとの間を流れる電流を測定する。また、電圧センサ2vは、接続部14とストリングSとの間の電圧を測定する。
【0022】
電流センサ2a及び電圧センサ2vは、計測した電流及び電圧を示す情報をセンサ出力として出力する。電流センサ2a及び電圧センサ2vのセンサ出力が示す電流及び電圧に基づいて、対応するストリングSの発電量としての発電電力値が求められる。
なお、電圧の変化は少ないので、電流センサ2aが計測する電流を、対応するストリングSの発電量と考えることもできる。
【0023】
さらに、接続箱4の内部には、電流センサ2a及び電圧センサ2vのセンサ出力が与えられる変換部としての変換器15と、前述のPLC子機3とが設けられている。
変換器15は、電流センサ2aによる測定結果を示すセンサ出力及び電圧センサ2vによる測定結果を示すセンサ出力を収集し、両センサ出力を所定の比率に応じた電流測定信号及び電圧測定信号に変換しPLC子機3に出力する。前記両測定信号は他の機器が電流値及び電圧値として認識可能な信号であり、変換器15は、両センサ出力を、他の機器において電流値及び電圧値として認識可能な信号に変換する。
【0024】
PLC子機3は、変換器15が出力した両測定信号を取得し、両測定信号に基づいてストリングS1の電流値及び電圧値を得る。PLC子機3は、ストリングS1の電流値及び電圧値を測定情報として電力線通信によってPLC親機9に送信する。
また、PLC子機3は、変換器15が出力した電流測定信号に基づいて後述の逆流防止ダイオードの異常の有無を検知する機能を有している。この点については、後に詳述する。
【0025】
なお、PLC子機3は、必ずしも接続箱4の内部に設けられていなくてもよく、接続箱4の周辺にあってもよい。要するに、接続箱4に付随して、PLC子機3が設けられていればよい。但し、ここでは、接続箱4の内部にPLC子機3が設けられているものとして説明する。
【0026】
PLC子機3は、直流電路L,Lに接続されており、ストリングS1の電流値及び電圧値を示す測定情報を、直流電路L,Lに載せて電力線通信により送信する。この電力線通信による送信信号は、上位の集電箱5(図1)を介して集電終端である電力変換装置7の入力側にまで届く。
【0027】
このように、PLC子機3が送信する測定情報は、接続箱4から出力され、集電箱5を通過して、電力変換装置7の入力側にまで到達し、PLC親機9(図1)に与えられる。
さらに、測定情報は、PLC親機9から監視装置10に与えられる。
監視装置10は、PLC子機3から与えられる測定情報に基づいて各ストリングS(太陽光発電パネル1)の電流値及び電圧値を認識し、各ストリングSを監視する。
【0028】
〔2.異常検知装置について〕
図3は、接続箱4内における、電流センサ2a周辺の拡大図であり、太陽光発電システムにおける異常を検知する異常検知装置の構成を示している。なお、図3では、複数のストリングSの内の1つであるストリングS1に着目して示しているが、他のストリングSも同様の構成とされている。
【0029】
図に示すように、接続部14と、ストリングS1(太陽光発電パネル1)とを繋いでいる電路Lには、電流センサ2aの他、上述の逆流防止ダイオード16と、切断スイッチ17とが接続されている。
【0030】
逆流防止ダイオード16は、接続部14と、ストリングS1との間に接続され、ストリングS1に向かって逆流電流が流れるのを防止する機能を有している。
仮に、ストリングS1の発電電圧が低下し他のストリングSの発電電圧の方が高くなったことでストリングS1に向かって電流が逆流しようとしたときにも、この逆流防止ダイオード16によって、ストリングS1に逆流電流が流れるのが防止される。
【0031】
切断スイッチ17は、接続部14と逆流防止ダイオード16との間に配置されている。切断スイッチ17は、その開閉動作によって、ストリングS1を接続部14から電気的に断続する機能を有している。切断スイッチ17は、監視装置10から与えられる制御信号によって、その開閉動作が制御される。
なお、切断スイッチ17は、通常、閉成しており、異常の検知に応じて開放するように制御されてストリングS1を接続部14から電気的に切断する。
【0032】
ここで、本実施形態の変換器15は、上述のように、両センサ2a、2vのセンサ出力を電流測定信号及び電圧測定信号に変換するが、電流センサ2aから与えられるセンサ出力については、ストリングS1から接続部14に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を電流測定信号に変換し出力する出力特性、及び、接続部14からストリングS1に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を電流測定信号に変換し出力する出力特性を有するように構成されている。
【0033】
図4は、変換器15に与えられる電流センサ2aからのセンサ出力と、これに応じて変換器15が出力する電流測定信号との関係の一例を示したグラフである。図において、横軸は電流センサ2aのセンサ出力を示しており、正の範囲では、ストリングS1から接続部14に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力、負の範囲では、接続部14からストリングS1に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力であることを示している。また、縦軸は、変換器15による電流測定信号を示している。
変換器15は、図中、線図gに従って、センサ出力を電流測定信号(出力信号)に変換する。
【0034】
図に示すように、ストリングS1から接続部14へ向かって電流が流れていることを示すセンサ出力が電流センサ2aから与えられると、変換器15は、電流センサ2aのセンサ出力を所定の比率に応じた正の値の電流測定信号に変換し出力する。
【0035】
一方、接続部14からストリングS1へ向かって電流が流れていることを示すセンサ出力が電流センサ2aから与えられると、変換器15は、電流センサ2aのセンサ出力を所定の比率に応じた負の値の電流測定信号に変換して出力する。
【0036】
よって、変換器15が出力する電流測定信号は、その正負によって、ストリングS1から接続部14に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した電流測定信号であるか、接続部14からストリングS1に向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した電流測定信号であるかを示している。
【0037】
図3に戻って、本実施形態のPLC子機3は、逆流防止ダイオード16の異常の有無を検知する検知部3aを備えている。
PLC子機3は、電力線通信を実行する機能部の他、プロセッサやROM、RAM等や、記憶部とを備えたマイコンを備えて構成されている。記憶部には、PLC子機3が有する機能を実現するための各種コンピュータプログラムが記憶されている。PLC子機3は、これらコンピュータプログラムを実行することで、上記検知部3a等の各機能を実現する。
【0038】
PLC子機3の検知部3aは、変換器15が出力した電流測定信号に基づいて逆流防止ダイオード16の異常の有無を検知する機能を有している。
より具体的に、検知部3aは、変換器15から与えられる電流測定信号が負の値である場合に、逆流防止ダイオード16に異常が生じていると検知する。
【0039】
上述のように、変換器15から与えられる電流測定信号が負の値である場合、電流センサ2aからのセンサ出力が、接続部14からストリングS1へ向かって電流が流れていることを示しており、ストリングS1に向かう逆流電流が発生していることを示している。
ストリングS1に向かう逆流電流が発生しているということは、逆流防止ダイオード16が機能していないことを示している。
よって、検知部3aは、変換器15から与えられる電流測定信号が負の値である場合には、逆流防止ダイオード16が機能しておらず、逆流防止ダイオード16に異常が生じていると検知することができる。
【0040】
以上のように、電流センサ2aと、電流センサ2aによる測定結果を示すセンサ出力を電流測定信号に変換し出力する変換器15と、変換器15が出力した電流測定信号に基づいて逆流防止ダイオード16の異常の有無を検知する検知部3aとは、太陽光発電システムの異常を検知する異常検知装置を構成している。
【0041】
なお、変換器15は、各ストリングSの電流値を測定する他の電流センサ2aのセンサ出力について上記と同様の変換を行う。
また、検知部3aは、各ストリングSに対応して接続されている他の逆流防止ダイオード16について上記と同様に異常の有無を検知する。
【0042】
上記構成によれば、変換器15が、接続部14からストリングSに向かって電流が流れていることを示すセンサ出力を変換した電流測定信号を負の値として出力する出力特性を有するので、検知部3aは、ストリングSに向かう逆流電流が発生していることを検知することができる。この結果、このストリングSに接続されている逆流防止ダイオード16が機能しておらず、逆流防止ダイオード16に異常が生じていることを検知することができる。
【0043】
PLC子機3は、逆流防止ダイオード16に異常が生じていると検知すると、電力線通信によって、逆流防止ダイオード16に異常が生じていることを示す異常通知をPLC親機9(図1)に送信する。
この異常通知には、複数のストリングSの内、どのストリングSの逆流防止ダイオード16に異常が生じているかを示す情報が含まれている。
【0044】
異常通知は、PLC親機9を通じて監視装置10に与えられる。
監視装置10は、異常通知が与えられると、この異常通知によって示されているストリングSと接続箱4との間に配置された切断スイッチ17を開放させるための制御信号をPLC親機9に与え、電力線通信によってこの制御信号をPLC子機3に送信させる。
【0045】
前記制御信号を受信したPLC子機3は、この制御信号を切断スイッチ17に与える。
切断スイッチ17は、切断スイッチ17を開放させるための制御信号が与えられると、閉成状態から開放動作を実行する。
【0046】
切断スイッチ17は、開放動作によって、ストリングSを接続部14から電気的に切断する。これによって、逆流電流がストリングSに流れるのを防止することができる。
【0047】
このように、本実施形態では、検知部3aが、逆流防止ダイオード16に異常が有ることを検知すると、逆流防止ダイオード16に対応するストリングS(太陽光発電パネル1)を電気的に切断する切断スイッチ17(切断部)を備えているので、逆流電流がストリングSに流れて当該ストリングSを劣化させてしまうのを抑制することができる。
【0048】
〔3.その他〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、検知部3aが逆流防止ダイオード16の異常を検知すると、開放動作させるように切断スイッチ17を制御する場合を例示したが、検知部3aが逆流防止ダイオード16の異常を検知すると、異常が生じていることを示す情報を外部に報知することによって出力するように構成してもよい。
この場合、逆流防止ダイオード16に異常が生じていることを示す情報を検知部3aが監視装置10に送信すると、監視装置10が検知部3aから送信された前記情報を外部に報知するように構成することができる。
【0049】
上記構成により、監視装置10による報知によって異常が生じていることをシステムの操作者等に認識させることができる。
また、さらにこの場合、切断スイッチ17を手動操作によって断続可能としてもよく、監視装置10による報知によって異常が生じていることを認識した操作者等が切断スイッチ17を操作することでストリングSを接続部14から電気的に切断することができる。
【0050】
また、上記実施形態では、PLC子機3が検知部3aを有している場合を示したが、例えば、PLC親機9が検知部を有する構成とすることもできる。この場合、変換器15が出力する電流測定信号は、電力線通信によって送信される。
【0051】
また、図5に示すように、接続箱4内部に、上記実施形態における検知部3aの機能を有する検知制御装置30を設けてもよい。
この場合、検知制御装置30は、変換器15が出力した電流測定信号に基づいて逆流防止ダイオード16の異常の有無を検知する機能を有するとともに、逆流防止ダイオード16に異常があることを検知すると、その逆流防止ダイオード16に対応するストリングSを切断するための切断スイッチ17に、当該切断スイッチ17を開放させるための制御信号を送信する機能を有している。
【0052】
この構成によれば、検知制御装置30は、接続箱4内の構成によって逆流防止ダイオード16の異常の検知、及び切断スイッチ17の制御を実行することができる。
【0053】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 太陽光発電パネル
2a 電流センサ
2v 電圧センサ
3 PLC子機
3a 検知部
4 接続箱
5 集電箱
7 電力変換装置
9 PLC親機
10 監視装置
11 変圧器
14 接続部
15 変換器(変換部)
16 逆流防止ダイオード
17 切断スイッチ
30 検知制御装置
P1 集電系統
PC1 パワーコンディショナ
S、S1 ストリング
図1
図2
図3
図4
図5