特許第6040971号(P6040971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040971
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   B42F7/00 B
   B42F7/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-187219(P2014-187219)
(22)【出願日】2014年9月16日
(62)【分割の表示】特願2010-107221(P2010-107221)の分割
【原出願日】2010年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-231232(P2014-231232A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2014年10月8日
(31)【優先権主張番号】特願2009-241031(P2009-241031)
(32)【優先日】2009年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
(72)【発明者】
【氏名】増山 正明
(72)【発明者】
【氏名】秋山 弘昭
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−029393(JP,A)
【文献】 特開平11−078331(JP,A)
【文献】 実開昭50−058828(JP,U)
【文献】 実開昭62−167684(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00 − 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙及び裏表紙を備えた表紙体と、この表紙体の内面側に溶着されたポケットとを備えたファイルにおいて、
前記ポケットは、表表紙及び裏表紙の基部側の内面に溶着されており、
前記表紙体は背表紙を含み、前記表表紙及び裏表紙は、当該背表紙の幅方向両側に折り曲げ線を介して連なられており、前記背表紙の幅方向中間に、前記表紙体を二つ折りできる中央折り曲げ線が設けられていることを特徴とするファイル。
【請求項2】
前記ポケットは、前記背表紙の幅寸法以下の枚数が溶着されていることを特徴とする請求項1記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファイルに係り、更に詳しくは、透明な樹脂シートにより形成された複数枚のポケットを表紙体に溶着したポケット式のファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポケット式のファイルは、表表紙と、当該表表紙に背表紙を介して連なる裏表紙とからなる表紙体と、この表紙体の内面側に溶着された一端開放型の樹脂フィルム(ポケット)とにより構成されている。
公知のポケット式のファイルとしては、例えば、特許文献1に開示されている。同文献に開示されたファイルを概説すれば、図11ないし図13に示されるように、表表紙50に背表紙51を介して背表紙52が連なる表紙体55と、この表紙体55の内面側に設けられた複数枚のポケット56とにより構成されている。ポケット56は、それらの中央部が背表紙52に溶着部57を設けることによって表紙体50に一体化されている。
このようなファイルによれば、表表紙50と裏表紙52に跨る大きさとなる一端開放型のポケット56を多数枚重ね合わせた状態で、それらの中央部を背表紙52に溶着して溶着部57を形成するため、表表紙50と裏表紙52の各内面側に、それぞれポケット56が形成できることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−99880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたファイルにあっては、表表紙50と裏表紙52に跨る大きさのポケット56の中央部が背表紙52に溶着されているため、図13に示されるように、溶着部を設ける必要性によって、ポケット56に書類を未収容であっても背表紙51の幅を狭く形成することができない。従って、一定幅の背表紙を必須とし、それに応じて、多数のファイルを梱包する際の体積が嵩張ってしまう、という不都合を招来する。つまり、特許文献1記載のファイルは、背表紙を有しない薄型タイプの表紙体への適用を不可能とする。
【0005】
また、各ポケット56に書類を収容した状態では、図14に示されるように、表表紙50と裏表紙52の開閉中心側となる基部側が、自由端側に対して膨らんで相対的に厚みを増してしまう傾向が強くなり、ファイルを積み重ねることができない他、持ち運ぶ際の取扱性を悪くしてしまうこととなる。また、このような場合、各ポケットの図14中上端側(自由端側)が不揃いとなり、外観上の見栄えを悪化させることにもなる。更に、溶着部57側において、ポケット56が屈曲することを避けられないため、ポケット56内の書類に曲がり癖が付いてしまうという不都合がある。
【0006】
ところで、ポケットを表紙体の内面に溶着する場合、その枚数が多すぎると溶着が困難になる。従って、一箇所で溶着することでポケットを形成する従来タイプのファイルにあっては、ポケットの枚数が溶着可能な範囲に制約されることとなり、それ以上のポケット数を確保できないこととなる。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、多数枚のポケットを溶着する構成としても、薄型化を図ることのできるポケット式のファイルを提供することにある。
また、本発明の目的は、複数枚のポケットを一単位として当該単位毎に溶着を行うことで、ポケット数を増加させることのできるファイルを提供することにある。
更に、本発明の目的は、各ポケット内に書類を収容した状態において、表紙体の一部が膨らんでしまうような不都合がなく、書類の曲がり癖を回避するとともに、各ポケットの自由端側が不揃いとなる従来の不都合を改善することのできるポケット式のファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲に記載した通りの構成を採用した。すなわち、本発明は、表表紙及び裏表紙を備えた表紙体と、この表紙体の内面側に溶着されたポケットとを備えたファイルにおいて、
前記ポケットは、表表紙及び裏表紙の基部側の内面に溶着されており、
前記表紙体は背表紙を含み、前記表表紙及び裏表紙は、当該背表紙の幅方向両側に折り曲げ線を介して連なられており、前記背表紙の幅方向中間に、前記表紙体を二つ折りできる中央折り曲げ線が設けられる、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記ポケットは、複数枚を一単位として、前記表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の表紙の基部側内面において幅方向に位置をずらして溶着される、という構成を採ることができる。
【0010】
更に、前記表表紙及び裏表紙にそれぞれ溶着されるポケットは、それらを重ね合わせたときに、前記背表紙の幅寸法以下の枚数がそれぞれ溶着される、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表表紙及び裏表紙の開閉中心側となる基部側の内面にポケットが溶着される構成であるため、背表紙を有しない表紙体への適用が可能となるとともに、背表紙を有するものでも当該背表紙の幅を狭めたファイルを形成することができる。
【0013】
また、複数枚を一単位としたポケットが、前記基部側内面で幅方向に位置ずれした状態で溶着される構成では、ポケットの枚数が溶着が可能な範囲内に制約を受けても、ポケット数を増加させることのできるファイルが提供可能となる。
【0014】
また、背表紙を有する表紙体として表表紙と裏表紙の基部側外面に綴じ幅拡大用の折り曲げ線を設けた構成によれば、ポケットに書類を収容したときの厚み変化に応じて必要な折り曲げ線が折り曲がるようになる。そのため、ファイル全体がフラットな状態で略一様の厚みとなり、ポケットの自由端側の不揃いの程度も大幅に改善することができ、キャビネット等への安定した収容を実現することができる。
【0015】
更に、前記ポケットは、表表紙と裏表紙に溶着されたポケットを重ね合わせたときの厚みが背表紙に幅寸法よりも小さくなる枚数とされているため、未使用状態においては、少なくとも背表紙の幅を超える厚みとなることはなく、例えば、工場から代理店等への出荷に際して、無駄なスペースを生じさせることなく梱包を行うことができる。
この際、前記背表紙の幅方向中間に中央折り曲げ線を設けることで、当該折り曲げ線に沿って表紙体を二つ折りでき、初期の厚みを最小、つまり、表表紙と裏表紙の厚み、及び各表紙間のポケットの厚みの合計に対応した厚みとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るファイルを示す概略斜視図。
図2】前記ファイルの概略平面図。
図3】ポケットに書類を収容していないファイルの表紙体を閉じた状態を示す側面図。
図4図2のA−A線矢視断面図。
図5】各ポケットに書類を収容してファイルの表紙体を閉じた状態を示す側面図。
図6】第2実施形態に係るファイルを示す概略斜視図。
図7】第2実施形態に係るファイルの概略平面図。
図8】第2実施形態に係るファイルのポケットに書類を収容しないで表紙体を閉じた状態を示す側面図。
図9図7のB−B線矢視断面図。
図10】第2実施形態に係るファイルのポケットに書類を収容して表紙体を閉じた状態を示す側面図。
図11】従来例を示すファイルの概略平面図。
図12図11のC−C線矢視断面図。
図13】従来例に係る図4と同様の概略側面図。
図14】従来例に係るファイルの図5と同様の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、特に明示しない限り、図2に示される背表紙の短寸幅方向を左右とし、長寸方向を「上下」とする。
【0018】
第1実施形態を示す図1及び図2において、ポケット式のファイル10は、背表紙11と、当該背表紙11の左右両側に連なる表表紙12及び裏表紙13とからなる表紙体15と、この表紙体15の内面側に設けられた透明な樹脂フィルムからなる複数のポケットPとを備えて構成されている。
【0019】
前記表紙体15は、樹脂シートにより構成されており、表表紙12及び裏表紙13は背表紙11側を開閉中心側とし、その反対側を自由端として開閉可能に設けられている。背表紙11の幅(左右幅)は、図4に示されるように、左右一対の折り曲げ線20A、20Aによって決定されており、これら折り曲げ線20A間の中心位置には、中央折り曲げ線20Bが折り曲げ線20Aと平行に形成されている。また、表表紙12及び裏表紙13の基部側には、綴じ幅拡大用の折り曲げ線20Cが所定間隔を隔てて相互に平行に設けられている。本実施形態において、綴じ幅拡大用の折り曲げ線20Cは、それぞれ3つずつ形成されている。ここで、各折り曲げ線20A、20B、20Cは、表紙体の15の上下各縁に達する位置まで形成される場合の他、上下各縁の手前を終端とする折り曲げ線とする場合も含む。なお、背表紙11の外面、表表紙12及び裏表紙13の基部側外面には透明なフィルムシート30が配置され、その左右両側を表表紙12及び裏表裏13の外面に溶着することによって表表紙12、裏表紙13の基部側外面及び背表紙11の外面とフィルムシート30との間が上下に開通する見出し収容部として形成されている。
【0020】
前記ポケットPは、表表紙12及び裏表紙13の面内に収まる大きさに設けられている。これらポケットPは、図2中上端側を開放する袋状をなし、その幅方向一端側を表表紙12及び裏表紙13の基部側内面に溶着して溶着部25を設けることで表紙体に一体化されている。ポケットPは、表表紙12側及び裏表紙13側のそれらを重ね合わせたときに、背表紙11の幅寸法以下の枚数がそれぞれ溶着されており、これにより、前記中央折り曲げ線20Bで折り曲げて最小厚みとすることができる。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態に係るファイル10は、ポケットPにA4サイズの書類を収容することに適合したものである。A4サイズの書類を収容するための一般的ポケットの幅寸法は223mm程度であるが、本実施形態のポケットは、それより5mm程度大きく設定されている。
【0021】
以上の構成において、ファイル10は、各ポケットPに書類を収容しない状態で表表紙12及び裏表紙13の各内面側を向き合わせるように背表紙11の中央折り曲げ線20Bで折り曲げることで、全体的にフラットな状態を維持するようになる。
この一方、ポケットPに書類を収容するときは、背表紙11の幅を決定する折り曲げ線20Aを折り曲げて使用でき、更に厚みが増大したときには、その厚みに応じて折り曲げ線20Cを折り曲げて使用することができる(図5参照)。
【0022】
従って、このような第1実施形態によれば、ポケットPが表表紙12及び裏表紙13の基部側内面に溶着されていることから、ポケットPの溶着部近傍が大きく波打つような形状に変形し難くなり、これにより、表表紙12及び背表紙13の基部側が自由端側に対して相対的に大きく膨らんでしまうような不都合を回避することができる。また、前述したように、ポケットPの幅を大きめに設けていることで、表表紙12側の各ポケットPにのみ書類を収容した状態においても、溶着部25側のポケット縁部が撓んで表表紙12の基部側が膨らむような不都合は生じない。
また、各ポケットPの自由端側も側面視で中央部が外側に迫り出してしまうような従来例に対し、各ポケットPの自由端側が揃った状態を維持するようになる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態について図6ないし図10に基づいて説明する。なお、前記第1実施形態と同一部分については同一符合を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0024】
第2実施形態に係るファイル10は、ポケットPの複数枚を一単位として、表表紙12及び裏表紙13の基部側内面において幅方向に位置をずらして溶着したところに特徴を有する。具体的には、第1実施形態で示したポケットPと、当該ポケットPの溶着部25の位置から幅方向に位置をずらした位置、つまり、溶着部25に対し、表紙体15の自由端側にずれた位置にポケットPの溶着部25Aを設けて追加したものである。ここで、ポケットPの一単位としては、ポケットの材料となるフィルム厚みにもよるが、例えば、溶着が可能な10枚或いは20枚等が例示でき、10枚を一単位としたときには、表表紙12及び裏表紙13の各内面側にそれぞれ20枚のポケットPが配置され、全体として40枚のポケットPが形成されることとなる。
なお、溶着部25は、表紙体15の上下方向に沿って点状に形成した状態を示しているが、第1実施形態と同様に連続的に設けてもよく、また、第1実施形態の溶着部25は、第2実施形態と同様に設けることもできる。また、図示例では、表紙体15の外面側にフィルムシートによる見出し収容部を省略しているが、第1実施形態と同様に見出し収容部を形成することができる。
【0025】
このような実施形態によれば、図10に示されるように、第1実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる他、第1実施形態のポケットPよりも枚数を増加させたファイル10としても、表紙体15を閉じたときの局所的に厚みが増してしまうことを抑制することができ、
【0026】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施例に対し、形状、材質、数量、位置若しくは配置等に関して当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、既に開示した形状等の限定をした記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に示したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定を一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0027】
例えば、前記実施形態では、表紙体15が背表紙11を備えた場合について図示、説明したが、背表紙11を設けることなく、表表紙12と裏表紙13とを直接連なる構成とすることもできる。また、背表紙11の幅方向中間に中央折り曲げ線20Bを設けたが、当該中央折り曲げ線は必ずしも設けることを要しない。更に、第2実施形態では、表表紙12及び裏表紙13の内面において、複数枚を一単位として幅方向にそれぞれ位置をずらして溶着したが、少なくとも一方の表紙の基部側内面において、幅方向に位置をずらして溶着したものであってもよい。
【0028】
また、ポケットPは、上端が開放した袋状のものを溶着する場合に限らず、上端と、これに連なる片方の端縁を開放した二縁開放型のものを材料として用い、前記端縁側を表紙体側に溶着することで、上端のみが開放するポケットとすることもできる。更に、ポケットPは、上端を開放させることなく背表紙側に開放した袋状とし、横方向から書類を出し入れできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 ファイル
11 背表紙
12 表表紙
13 裏表紙
15 表紙体
20A、20C 折り曲げ線
20A 中央折り曲げ線
25 溶着部
25A 溶着部
P ポケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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