(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
油圧シリンダで駆動される水門の一つとしては、河川を横断して設置した転倒ゲート装置がある。この転倒ゲート装置は、河川を横断して設けた転倒ゲートの転倒量を制御して河川の水資源の有効利用目的、河口に設け海水と淡水の混合を防止する目的、海岸に設置して防潮の目的に利用される。
【0003】
水資源の有効利用を図る転倒ゲート装置は、河川を横断して設置した転倒ゲートの両側にピア(pier)を設け、このピア内に前記転倒ゲートが固定されるシャフトと、このシャフトに固定してあり油圧シリンダで回動させられるカムが設置され、前記ピア内に設けた油圧シリンダで回動されるカムのシャフトによりその転倒量が制御される構造である。
【0004】
この転倒ゲートの駆動源として用いられる往復動型の油圧シリンダ駆動回路は、駆動回路が油圧シリンダで分断されており、油圧シリンダを移動させるのに必要な作動油(油圧シリンダの容積分)が回路内を往復するから、駆動回路と油圧シリンダ内の作動油は停滞している。したがって、使用時間が長くなると駆動回路や油圧シリンダの中にゴミ、あるいは油圧シリンダのシール部分から進入した空気が油圧シリンダ内で断熱圧縮され爆発するディゼル爆発によるシールの焼損破片などの汚染物質で作動油が汚染される。
【0005】
この様に汚染物質で汚染された作動油は、油圧シリンダやその制御機器に機能障害を発生させる原因となるのでフラッシングが必要であるが、油圧シリンダ駆動回路では駆動回路内の作動油が油圧シリンダの作動に伴って移動するのみであり作動油が汚染物質で汚染されても容易にフラッシングすることが出来ない問題があった。この様な問題点に着目した特許文献1は、
図7に示すように油圧シリンダに作動油を供給する作動油供給回路と作動油排出回路を設け、フラッシング時は、油圧ポンプが吐出する作動圧油を作動油供給回路から油圧シリンダを介して作動油排出回路よりタンクに帰還させて、フラッシングを行う構成である。
【0006】
以下、特許文献1を
図7によって詳細に説明する。
図7において、油圧シリンダ100はラムシリンダであり、この油圧シリンダ100は、そのシリンダ本体101にラム102が挿入され、シリンダ本体101とラム102とで、ポート104とポート105が貫通する圧力室103を構成してある。前記、ポート104には、油圧ポンプ110の吐出側が接続する作動油供給回路111が接続し、ポート105には、作動油のタンク107に接続する作動油排出回路112が接続する。
【0007】
前記作動油供給回路111には、油圧シリンダ100と油圧ポンプ110との間を開閉する供給側ポペット弁121と流量制御弁123と供給側止弁125を順次接続してある。また前記ポート105には、排出側ポペット弁122と流量制御弁124と排出側止弁126を順次接続してある。なお、供給側ポペット弁121と排出側ポペット弁122は、回路が接続された図示した位置が回路を遮断する遮断位置であり、操作されて連通位置となる構成である。
【0008】
上記の油圧シリンダ100は、排出側ポペット弁122を遮断位置(図示の位置)にしておき供給側ポペット弁121を連通位置に操作すると作動油排出回路112が閉鎖されているので、圧力室103に供給された作動油圧により油圧シリンダ100のラム102が上昇する。また、油圧シリンダ100のラム102を下降させるには、排出側ポペット弁122を連通位置に操作する。このラム102の上昇速度は、流量制御弁123で制御され、下降速度は流量制御弁124で制御される。
【0009】
また、作動油供給回路111と作動油排出回路122および油圧シリンダ100をフラッシングするには、供給側ポペット弁121と排出側ポペット弁122の双方を連通位置に操作することで油圧ポンプ110の吐出作動油が作動油供給回路111から油圧シリンダ100を介して作動油排出回路112からタンク107への循環回路が形成され、この循環回路を作動油が循環することでフラッシングが行われる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態の第1実施形態の第1実施例を
図1に基づいて説明する。
【0023】
図1において、油圧シリンダ10は、シリンダ本体11にシールを介して摺動自在に嵌入するピストン12と、このピストン12に固定してありシリンダ本体11の外部に突出し負荷に接続するピストンロッド13とにより構成してある。このピストン12は、シリンダ本体11内にヘッド側圧力室14とロッド側圧力室15を形成し、ヘッド側圧力室14に作動圧油が供給され、ロッド側圧力室15の作動油が排出されるとその作動油圧によりピストン12とロッド13がロッド側圧力室15の方向に移動する。また、ロッド側圧力室15に作動圧油が供給され、ヘッド側圧力室14の作動油が排出されるとその作動油圧によりピストン12とロッド13がヘッド側圧力室14の方向に移動する。
【0024】
前記油圧シリンダ10に設けてある多機能弁30は、詳細には図示していないが、油圧シリンダ10に接近して設けてあり、油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14とロッド側圧力室15の間に作動油の貯留場所を出来るだけ少ない構成にしてある。すなわち、油圧シリンダ10の出力が高出力となるヘッド側圧力室14側のヘッド側ポート16に直接取り付けて耐圧性を確保し、比較的低圧となるロッド側ポート17には配管を使用して接続する構成、あるいは、油圧シリンダ10の中間に設けた多機能弁30にヘッド側ポート16とロッド側ポート17の双方とを配管接続するなどの構成がとられる。
【0025】
この多機能弁30は、その弁本体37内に、ヘッド側ポート16を介してヘッド側圧力室14に接続しヘッド側開閉弁31を設けたヘッド側弁内給排回路32と、ロッド側ポート17を介してロッド側圧力室15に接続しロッド側開閉弁33を設けたロッド側弁内給排回路34と、このヘッド側弁内給排回路32とロッド側弁内給排回路34とを接続しバイパス用開閉弁35を備えたバイパス回路36を有する構成である。
【0026】
多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33とバイパス用開閉弁35は、ハンドルでねじを回動して弁体を弁座に押圧する開閉弁、あるいは、ハンドルによってボールを回動してこのボールに穿った穴の方向を変えて開閉するボール弁などで構成してあり、比較的内部の流下抵抗が小さく閉鎖時のシール力が十分得られる構造の物が用いられる。なお、この様な構成に限定されずに流下抵抗が制御弁体40に比べて低い弁構造であればよい。また、この実施例のヘッド側開閉弁31、ロッド側開閉弁33、バイパス用開閉弁35の操作方法は、手動であるか電動であるかは限定していないが、手動の場合は、多機能弁30を操作するために、油圧シリンダ10の設置場所まで行く必要があるので、フラッシング操作が面倒になりやすい。電動である場合は、遠隔操作が可能となるため、フラッシング操作が容易になりやすい。したがってフラッシング操作の頻度により選択すればよい。
【0027】
多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33は、ヘッド側弁内給排回路32とロッド側弁内給排回路34を開閉するために設けてあり、たとえば、油圧シリンダ10のピストン12の漏れを測定するために用いる。すなわち、ピストン12をロッド側圧力室15のストロークエンドまで移動させた後、ロッド側開閉弁33を閉鎖してヘッド側弁内給排回路32からヘッド側圧力室14に作動圧油を供給して所定時間経過したときの漏れ量を測定することによりピストン12のシールの破損度合を測定できる。またピストン12をヘッド側圧力室14のストロークエンドまで移動させた後、ヘッド側開閉弁31を閉鎖してロッド側弁内給排回路34からロッド側圧力室15に作動圧油を供給して所定時間経過したときの漏れ量を測定することによりピストン12のシールの破損度合を測定できる。また、バイパス用開閉弁35は、ヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を閉鎖してバイパス用止弁35を開放するとヘッド側弁内給排回路32とロッド側弁内給排回路34が接続されるので、油圧シリンダ10のピストン12で遮断されていた回路が接続され、循環する回路が構成されフラッシングが可能になるなどの機能を備えている。なおこの機能の詳細は特許第3696850号を参照のこと。
【0028】
ヘッド側給排回路41とロッド側給排回路42を介して多機能弁30に接続する制御弁体40は、油圧シリンダ10の速度をメータアウト絞りで調整する速度制御弁46、47、パイロット信号を受けたときにのみ開弁するパイロットチェック弁44、45および、油圧シリンダ10の作動方向を制御する方向切換弁43で構成してある。なお、制御弁体40の構成弁類は、油圧シリンダ10が駆動する負荷の種類によって増減する。たとえば、図示していないが、油圧シリンダ10の自走を防止するカウンタバランス弁、負荷に対応して回路圧力を制限するリリーフ弁などが設置される。そして、これら複数の弁類は、
図2に示すように積層型としてこの積層した弁類をマニホールドの上に設置するマニホールド型、あるいは、全体を一体構成にしたモノコック型などの構成にして、油圧ポンプ、タンク、操作ユニットで構成する油圧源ユニットに設置されるものである。
【0029】
複数の弁体を備えた制御弁体40は、ヘッド側給排回路41が接続する最下流回路48Aと速度制御弁47とパイロットチェック弁45を備え方向切換弁43に接続する弁体内のヘッド側給排回路48と、ロッド側給排回路42が接続する最下流回路49Aと速度制御弁46とパイロットチェック弁44を介して接続する弁体内のロッド側給排回路49と、この弁体内のヘッド側給排回路48と弁体内のロッド側給排回路49とが下流側(下流側は油圧シリンダ10側とし、上流側はタンク61と油圧ポンプ62側とする)に接続しその上流側にはタンク61と油圧ポンプ62が接続する方向切換弁43を備えている。
【0030】
(方向切換弁43)
制御弁体40の方向切換弁43は、中立位置43A、左切換位置43B、右切換位置43C、中立位置復帰バネを備えた操作電磁石43L、43Rを備え、その上流側に油圧ポンプ62の吐出側に接続したポンプ吐出回路63とタンク61に接続したタンク回路64が接続し、その下流側に弁体内のヘッド側給排回路48と弁体内のロッド側給排回路49が接続する構成である。
【0031】
この方向切換弁43は、操作電磁石43L、43Rに操作指令がないときその中立位置復帰バネによりポンプ吐出回路63を閉鎖し弁体内のヘッド側給排回路48と弁体内のロッド側給排回路49をタンク回路64に接続する中立位置43Aに位置する。操作電磁石43Lに操作指令が印加されるとポンプ吐出回路63と弁体内のロッド側給排回路49を接続すると共に弁体内のヘッド側給排回路48をタンク回路64に接続する左切換位置43Bに位置する。また、操作電磁石43Rに操作指令が印加されるとポンプ吐出回路63と弁体内のロッド側給排回路48を接続すると共に弁体内ヘッド側給排回路49をタンク回路64に接続する右切換位置43Cに位置する。
【0032】
前記方向切換弁43が、中立位置43Aに保持されると、弁体内のヘッド側給排回路48と弁体内のロッド側給排回路49は、タンク回路64を介してタンク61に接続され、ポンプ吐出回路63が閉鎖されるので、パイロットチェック弁44、45のパイロット回路44A、45Aもタンク回路64に開放され、パイロットチェック弁44、45が、弁体内のヘッド側給排回路48と弁体内のロッド側給排回路49を閉鎖する。
【0033】
前記方向切換弁43が左切換位置43Bに操作されると、ポンプ吐出回路63が弁体内のロッド側給排回路49に接続され、弁体内のヘッド側給排回路48がタンク回路64に接続されるので、油圧ポンプ62の吐出油圧が弁体内のロッド側給排回路49に作用し、この油圧がパイロット回路45Aに作用してパイロットチェック弁45を開く、このため弁体内のヘッド側給排回路48がタンク回路64に接続されるので、油圧シリンダ10のロッド13を引き込む方向に作動させる。
【0034】
前記方向切換弁43が右切換位置43Cに操作されると、ポンプ吐出回路63が弁体内のロッド側給排回路48に接続され、弁体内ヘッド側給排回路49がタンク回路64に接続されるので、油圧ポンプ62の吐出油圧が弁体内のロッド側給排回路48に作用し、この油圧がパイロット回路44Aに作用してパイロットチェック弁44を開く、このため弁体内ヘッド側給排回路49がタンク回路64に接続されるので、油圧シリンダ10のロッド13を押し出す方向に作動させる。
【0035】
また、前記弁体内のロッド側給排回路49に設けた速度制御弁46は、その下流側から上流側への流れを阻止する逆止弁46Aに並列に設けた可変絞46Bとで構成してあり、下流側から上流側への流量(油圧シリンダ10の排出側の流量)のみを制限する構成であり、油圧シリンダ10押し出し方向の速度を制御する機能を有する。同様に、前記弁体内のロッド側給排回路48に設けた速度制御弁47は、その下流側から上流側への流れを阻止する逆止弁47Aに並列に設けた可変絞47Bとで構成してあり、下流側から上流側への流量(油圧シリンダ10の排出側の流量)のみを制限する構成であり、油圧シリンダ10引き込み方向の速度を制御する機能を有する。
【0036】
迂回回路50は、前記タンク回路64に接続しヘッド側止弁52を備えへッド側給排回路41から分岐するヘッド側分岐回路53と、前記タンク回路64に接続しロッド側止弁54を備えロッド側給排回路42から分岐するロッド側分岐回路55と、で構成しており、ヘッド側止弁52を開いてヘッド側分岐回路53タンク回路64に接続するヘッド側の選定迂回回路56とロッド側止弁54を開いてロッド側給排回路42をタンク回路64に接続するロッド側選定迂回回路57とを形成する。
【0037】
前記ヘッド側止弁52とロッド側止弁54は、ハンドルでねじを回動して弁体を弁座に押圧する止弁、あるいは、ハンドルによってボールを回動してこのボールに穿った穴の方向を変えて開閉するボール弁などで構成してあり、比較的内部の流下抵抗が小さく閉鎖時のシール力が十分得られる構造が用いられる。なお、この様な構成に限定されずに流下抵抗が制御弁体40に比べて低い弁構造であればよい。また、この実施例のヘッド側止弁52、ロッド側止弁54の操作方法は、手動であるか電動であるかは限定していないが、制御弁体40を迂回するために油圧源の近くに設けるものであるから、フラッシングの頻度を多くする場合は電動操作型が便利である、しかし操作頻度の少ない場合は構造を簡単にした手動型がよい。また、フラッシングの頻度が少ない場合、迂回回路のヘッド側止弁52とロッド側止弁54の部分を継手(特開2009-228899に示されるような自封性を備えた継手が好ましい)にして、この継手を接続すると弁を開いて迂回回路を接続したことになり、継手を外すと弁を閉じて迂回回路を遮断したことになるので、継手を弁の代わりとすることも出来る。
【0038】
前記ヘッド側分岐回路53とヘッド側給排回路41との分岐部分58は、制御弁体40と多機能弁30との間のヘッド側給排回路41に設けたが、ヘッド側給排回路41に接続する弁体内のヘッド側給排回路48Aに設けても良い。同様に、ロッド側分岐回路55とロッド側給排回路42との分岐部分59は、制御弁体40と多機能弁30の間のロッド側給排回路42に設けたが、弁体内のロッド側給排回路49Aに設けてもよい。
【0039】
次に第1実施形態の作動について述べる。
図1は、油圧シリンダ10の作動停止状態を示すもので、このとき汚染物質(主に油圧シリンダ10のシール焼損による破片など)で汚染された作動油は、油圧シリンダの圧力室から排出されると多機能弁30のヘッド側弁内給排回路32とロッド側弁内給排回路34付近に貯留している。
【0040】
この
図1の状態において、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を閉鎖してバイパス用開閉弁35を開きヘッド側給排回路41とロッド側給排回路42を連通させておく。次に方向切換弁43を左切換位置43Cに操作すると、ポンプ吐出回路63の作動圧油は、制御弁体40の方向切換弁43、弁体内のヘッド側給排回路48、弁体内のヘッド側最下流回路48A、ヘッド側給排回路41、多機能弁30のバイパス回路36、ロッド側給排回路42、ロッド側止弁54、ロッド側分岐回路55とロッド側の選定迂回回路57よりなる右回りのフラッシング回路65が構成される。
【0041】
この右回りのフラッシング回路65のフラッシング時に油圧ポンプ62から吐出される作動油は、制御弁体40の方向切換弁43を介して弁体内のヘッド側給排回路48からヘッド側最下流回路48A、ヘッド側給排回路41を介して多機能弁30付近に貯留する汚染物質で汚染された作動油と共にロッド側給排回路42を介して分岐部分59に達する。このとき、弁体内のヘッド側給排回路48の作動油圧がパイロットチェック弁45、速度制御弁47の回路抵抗で上昇し弁体内のロッド側給排回路49のパイロット回路44Aを介してパイロットチェック弁44を開くが、制御弁体40の弁体内のロッド側給排回路49は、その回路に設置された各弁である速度制御弁46、パイロットチェック弁44、方向切換弁43により大きな流下抵抗となり、他方、ロッド側の選定迂回回路57には、ロッド側止弁54の抵抗による小さい流下抵抗であるから、分岐部分59に到達した汚染物質で汚染された作動油の殆どがロッド側の選定迂回回路57を介してタンクに帰還するので、制御弁体40は、汚染物質で汚染された作動油による影響を極力少なく出来る。
【0042】
同様に、
図1の状態において、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を閉鎖してバイパス用開閉弁35を開きヘッド側給排回路41とロッド側給排回路42を連通させておく。次に方向切換弁43を右切換位置43Bに操作すると、ポンプ吐出回路63の作動圧油は、制御弁体40の方向切換弁43、弁体内のヘッド側給排回路49、弁体内のヘッド側最下流回路49A、ロッド側給排回路42、多機能弁30のバイパス回路36、ヘッド側給排回路41、ヘッド側止弁52、ヘッド側分岐回路53とヘッド側の選定迂回回路56、よりなる左回りのフラッシング回路66が構成される。
【0043】
この右回りのフラッシング回路65のフラッシング時に油圧ポンプ62から吐出される作動油は、制御弁体40の方向切換弁43を介して弁体内のロッド側給排回路49からロッド側最下流回路49A、ロッド側給排回路42を介して多機能弁30付近に貯留する汚染物質で汚染された作動油と共にヘッド側給排回路41を介して分岐部分58に達する。このとき、弁体内のロッド側給排回路49の作動油圧がパイロットチェック弁44、速度制御弁46の回路抵抗で上昇し弁体内のロッド側給排回路49のパイロット回路45Aを介してパイロットチェック弁45を開くが、制御弁体40の弁体内のヘッド側給排回路48は、その回路に設置された各弁である速度制御弁47、パイロットチェック弁45、方向切換弁43により大きな流下抵抗となり、他方、ロッド側の選定迂回回路56には、ヘッド側止弁52の抵抗による小さい流下抵抗であるから、分岐部分58に到達した汚染物質で汚染された作動油の殆どがロッド側の選定迂回回路56を介してタンクに帰還するので、制御弁体40は、汚染物質で汚染された作動油による影響を極力少なく出来る。
【0044】
上述したロッド側の選定迂回回路57を含む回路で構成される左回りのフラッシング回路66とヘッド側の選定迂回回路56を含む回路で構成される右回りのフラッシング回路65の動作時において、多機能弁30のヘッド側開閉弁31、ロッド側開閉弁33を開けていても、フラッシングの回路抵抗が低いので油圧シリンダ10を作動させない傾向があるが、油圧シリンダ10の作動を確実に止めるには、ヘッド側開閉弁31、ロッド側開閉弁33を閉じる方がよい。また、パイロットチェック弁45とパイロットチェック弁44の作動設定圧を高くして右回りのフラッシング回路65、左回りのフラッシング回路66のフラッシング時に作用する流下抵抗で開かない様にすると、弁体内のヘッド側給排回路48および弁体内のロッド側給排回路49を確実に閉鎖できる。
【0045】
また、左回りのフラッシング回路66によるフラッシング作動中には、多機能弁30のバイパス用止弁35を閉じて、ヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開くと、ヘッド側圧力室14に作動油が流入して油圧シリンダ10のロッドを押し出す方向に作動し、ロッド側圧力室15内に貯留している汚染物質で汚染された作動油を、ロッド側給排回路42に排出し、再びバイパス用開閉弁35を開いてフラッシングを行うことで油圧シリンダ10のロッド側圧力室15内の汚染物資を含む作動油を排出できる。
【0046】
同様に、右回りのフラッシング回路65によるフラッシング作動中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じて、ヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開くと、ロッド側圧力室15に作動油が流入して油圧シリンダ10のロッドを引き込む方向に作動し、ヘッド側圧力室14内に貯留している汚染物質で汚染された作動油を、ヘッド側給排回路41に排出し、再びバイパス用開閉弁35を開いてフラッシングを行うことで油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14内の汚染物資を含む作動油を排出できる。
【0047】
この様に、右回りのフラッシング回路65または左回りのフラッシング回路66を構成してフラッシング作動中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じることで油圧シリンダ10のロッド側圧力室15、ヘッド側圧力室14内の汚染物質で汚染された作動油をタンクに排出することが出来るので、油圧シリンダ10の駆動回路のほぼすべてをフラッシングすることが出来る。
【0048】
次に、第1実施形態の第2実施例を
図2に基づいて説明する。なお説明に当たって、第1実施例と同一符号を付した構成部品は第1実施例と同様の構成作用を有するのでその説明を省く。
【0049】
図2に示す第2実施例と
図1に示した第1実施例との相違点は、制御弁体40を具体的な積層弁体70とした構成であるから、この構成について説明する。
【0050】
積層弁体70は、方向切換弁43が設けてある切換弁積層弁体71、パイロットチェック弁44とパイロットチェック弁45が設けてあるパイロットチェック積層弁体72、速度制御弁46と速度制御弁47が設けてある速度制御積層弁体73、ヘッド側止弁52を有するヘッド側分岐回路53とロッド側止弁54を有するロッド側分岐回路55が設けてある分岐回路積層弁体74を積層しボルトで一体化して構成してある。
【0051】
油圧ポンプ62に接続するポンプ吐出回路63は、積層弁体70の各積層弁体を貫通する内部通路を経て切換弁積層弁体71の方向切換弁43の上流に接続する構成である。同様にタンク61に接続するタンク回路64は、積層弁体70の上記した各積層弁体を貫通する内部通路を経て切換弁積層弁体71の方向切換弁43の上流に接続する構成である。
【0052】
この方向切換弁43の下流側には、パイロットチェック積層弁体72のパイロットチェック弁44と速度制御積層弁体73の速度制御弁46が接続し、分岐回路積層弁体74の最下流回路49Aに接続する弁体内のロッド側給排回路49と、パイロットチェック積層弁体72のパイロットチェック弁45と速度制御積層弁体73の速度制御弁47が接続し、分岐回路積層弁体74の最下流回路48Aに接続する弁体内のロッド側給排回路48が接続する。
【0053】
前記分岐回路積層体74の弁体内のヘッド側給排回路48は、ヘッド側給排回路41から多機能弁30を介して油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14に接続しており、前記分岐回路積層体74の弁体内の弁体内のロッド側給排回路49は、ロッド側給排回路42から多機能弁30を介して油圧シリンダ10のロッド側圧力室15に接続する。
【0054】
また、分岐回路積層体74内では、その最下流回路48Aがヘッド側弁52を備えたヘッド側分岐回路53と最下流回路49Aがロッド側弁54を備えたロッド側分岐回路55を介して、分岐回路積層体74内のタンク回路64に接続する。
【0055】
この第2実施例の作用は、第1実施例と同様に、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を閉じてバイパス用開閉弁35を開きヘッド側止弁52を開きロッド側止弁54を閉じた後に、方向切換弁43を左切換位置43Cに操作すると右回りのフラッシング回路65が構成され、ポンプ吐出回路63の吐出作動油がフラッシングを行なう。また、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を閉じてバイパス用開閉弁35を開きヘッド側止弁54を開きロッド側止弁52を閉じた後に、方向切換弁43を左切換位置43Bに操作すると右回りのフラッシング回路65が構成され、ポンプ吐出回路63の吐出作動油がフラッシングを行なう。さらに、このフラッシング中にバイパス用開閉弁35を閉じてヘッド側開閉弁31とヘッド側弁内給排回路32を開くと右回りのフラッシング時に油圧シリンダ10のロッド13を押し出し、左回りのフラッシング時に油圧シリンダ10のロッド13を引き込みの作動が出来る、この動作と右回りあるいは左回りのフラッシングを併用して、油圧シリンダ10の圧力室のフラッシングを行うことが出来る。
【0056】
この第2実施例は、積層弁体70に全ての機能を集約したので、右回りのフラッシング回路65と左回りのフラッシング回路66の長さを最大(ヘッド側給排回路41とロッド側給排回路42の全部の長)にすることが出来る効果を備えている。
【0057】
次に第2実施形態の第1実施例について
図3に基づいて説明する。なお説明に当たって、第1実施形態の各実施例と同一符号をつけた構成部品は、その構成作用がほぼ同一であるから詳細な説明を省く。
【0058】
第1実施形態と第2実施形態との相違点について説明する。第1実施形態は、右回りのフラッシング回路65と左回りのフラッシング回路66を共通の迂回回路50で構成し、油圧ポンプ62が吐出する作動油を方向切換弁43の操作で供給し帰還する作動油のみを迂回回路50を介してタンクに帰還させることで、制御弁体を汚染物質から保護する構想である。この構想の第1実施形態に対して第2実施形態は、制御弁体を油圧ポンプ側迂回回路とタンク側迂回回路でフラッシング回路を構成することで、制御弁体完全に迂回してフラッシング時に制御弁体を汚染物質から保護する構想である。
【0059】
第2実施形態の第1実施例を
図3に基づいて説明する。制御弁体40を迂回するポンプ側迂回回路50Aは、制御弁体40のヘッド側給排回路41(又はヘッド側最下流回路48A)から分岐するヘッド側分岐回路53Aと前記油圧ポンプ62に接続するポンプ吐出回路63から分岐するポンプ側分岐回路63Aが接続し開閉機能を有するポンプ側止弁52Aとで構成する。
【0060】
また、前記制御弁体40を迂回するタンク側迂回回路50Bは、ロッド側給排回路42(またはロッド側最下流回路49A)から分岐するロッド側分岐回路55Aとタンク回路64に接続するタンク側分岐回路64Aが接続し開閉機能を有するタンク側止弁54Aとで構成する。
【0061】
さらに、図示しないが、ポンプ側迂回回路50Aは、そのヘッド側分岐回路53Aをロッド側最下流回路49Aとロッド側給排回路42いずれかに接続するポンプ側迂回回路50Cとしても良い。さらに、タンク側迂回回路50Bは、そのロッド側分岐回路55Aをヘッド側最下流回路48Aとヘッド側給排回路41のいずれかに接続するタンク側迂回回路50Dとしても良い。
【0062】
図3において、ポンプ側迂回回路50Aのポンプ側止弁52Aと多機能弁30のバイパス用開閉弁35とタンク側迂回回路50Bのタンク側止弁54Aを開くことにより、油圧ポンプ62は、ポンプ吐出回路63がポンプ側迂回回路50Aヘッド側給排回路41、多機能弁30のバイパス回路36、ロッド側給排回路42、タンク側迂回回路50B、タンク回路64からタンク61に連通され、右回りのフラッシング回路65が構成される。
【0063】
また、
図3には明記していないが、前記ポンプ側迂回回路50Cのポンプ側止弁52Aと多機能弁30のバイパス用開閉弁35とタンク側迂回回路50Dのタンク側止弁54Aを開くことにより、油圧ポンプ62は、ポンプ吐出回路63、ポンプ側迂回回路50A、ロッド側給排回路42、多機能弁30のバイパス回路36、ヘッド側給排回路41、タンク側迂回回路50D、タンク回路64からタンク61に連通され、左回りのフラッシング回路が構成される。
【0064】
右回りのフラッシング回路65、左回りのフラッシング回路66は、管路抵抗のほかにポンプ側止弁52A、バイパス用開閉弁35、タンク側止弁54Aの3つの弁の流下抵抗が働くのみであるから、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開放していても油圧シリンダ10は、ほぼ作動しない。なお、油圧シリンダ10が、作動するようであれば、ヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33の双方または一方を閉鎖すればよい。
【0065】
前記の右回りのフラッシング回路65において作動油が帰還するタンク側迂回回路50Bは、その回路を構成する管路とタンク側止弁54Aの流下抵抗のみである。このため、この流下抵抗は、方向切換弁43のような精密な制御機器を備えた制御弁体40より低い値となる。同様に、左回りのフラッシング回路66においても、作動油が帰還回路するポンプ側迂回回路50Aは、その回路を構成する管路とポンプ側止弁52Aの流下抵抗のみである。このため、この流下抵抗は、方向切換弁43のような精密な制御機器を備えた制御弁体40より低い値となる。
【0066】
また、第1実施例を示す
図3において、右回りのフラッシング回路65を構成した状態においてフラッシング中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じヘッド側止弁31とロッド側開閉弁33を開くと、油圧シリンダ10のロッド13を伸張する方向に操作できるので、この操作により、油圧シリンダ10のロッド側圧力室15の汚染作動油をロッド側給排回路42に排出させ、再びバイパス用開閉弁35を閉じフラッシングをおこなう。同様に左回りのフラッシング回路66を構成した状態においてフラッシング中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開くと、油圧シリンダ10のロッド13を引き込む方向に操作できるので、この操作により、油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14の汚染作動油をヘッド側給排回路41に排出させ、再びバイパス用開閉弁35を閉じフラッシングをおこなう。この様な動作により油圧シリンダ10のフラッシングを行うことが出来る。
【0067】
第1実施例の作用についてのべる。
図3において、右回りのフラッシング回路65が形成され、油圧ポンプ62が吐出する作動油は、ポンプ側迂回回路50Aから、ヘッド側給排回路41とバイパス回路36を経て、分岐部分59に達するが、弁体内のロッド側給排回路49がパイロットチェック弁44で閉鎖されているので、タンク側迂回回路50Bを介してタンク61に還流してフラッシングを行う。なお、
図3に示した実施例では、弁体内のヘッド側給排回路48にパイロットチェック弁45を設置し、弁体内のロッド側給排回路49にパイロットチェック弁44を設置し、弁体内のロッド側給排回路49と弁体内のヘッド側給排回路48を閉鎖したが、このパイロットチェック弁44、パイロットチェック弁45を設けていない場合でも、タンク側迂回回路50Bの流下抵抗が制御弁体40の流下抵抗より低いので、作動油のほぼ全てがタンク側迂回回路50Bを介して帰還する。なお、左回りのフラッシング回路66については、右回りのフラッシング回路65とほぼ同一であるのでその説明を省く。
【0068】
次に第2実施例について
図4に基づいて説明する。なお説明に当たって、第1実施形態の各実施例および先に述べた第1実施例と同一符号をつけた構成部品は、その構成作用がほぼ同一であるから詳細な説明を省く。
【0069】
図4に示す第2実施例と
図3に示す第1実施例との相違は、制御弁体40を具体的な積層弁体70Aとした構成であるから、この構成について説明する。
【0070】
積層弁体70Aは、方向切換弁43が設けてある切換弁積層弁体71、パイロットチェック弁44とパイロットチェック弁45が設けてあるパイロットチェック積層弁体72、速度制御弁46と速度制御弁47が設けてある速度制御積層弁体73、ヘッド側止弁52を有するヘッド側分岐回路53とロッド側止弁54を有するロッド側分岐回路55が設けてある分岐回路積層弁体74Aとを積層しボルトで一体化して構成してある。
【0071】
油圧ポンプ62に接続するポンプ吐出回路63は、積層弁体70Aの上記した各積層弁体を貫通する内部通路を経て切換弁積層弁体71の方向切換弁43の上流に接続する。同様にタンク61に接続するタンク回路64は、積層弁体70の上記した各積層弁体を貫通する内部通路を経て切換弁積層弁体71の方向切換弁43の上流に接続する。
【0072】
この方向切換弁43の下流側には、パイロットチェック積層弁体72のパイロットチェック弁44と速度制御積層弁体73の速度制御弁46が接続し、分岐回路積層弁体74Aの最下流回路49Aに接続する弁体内のロッド側給排回路49と、パイロットチェック積層弁体72のパイロットチェック弁45と速度制御積層弁体73の速度制御弁47が接続し、分岐回路積層弁体74Aの最下流回路48Aに接続する弁体内のロッド側給排回路48とが接続する。
【0073】
前記分岐回路積層弁体74Aの弁体内のヘッド側給排回路48は、ヘッド側最下流回路48Aとヘッド側給排回路41から多機能弁30を介して油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14に接続する。また、前記分岐回路積層弁体74Aの弁体内の弁体内のロッド側給排回路49は、ロッド側最下流回路49Aとロッド側給排回路42から多機能弁30を介して油圧シリンダ10のロッド側圧力室15に接続する。
【0074】
また、分岐回路積層弁体74A内には、弁体内のヘッド側給排回路48から分岐するヘッド側分岐回路53Aと、タンク回路64から分岐するタンク側分岐回路64Aとが接続するポンプ側止弁52Aとより構成するポンプ側迂回回路50Aと、弁体内のロッド側給排回路49から分岐するロッド側分岐回路55Aとタンク回路64から分岐するタンク側分岐回路64Aとが接続するタンク側止弁54Aとが設けてある。なお、第1実施例と同様に、ポンプ側迂回回路50Aをポンプ側迂回回路50Cに構成し、タンク側迂回回路50Bをタンク側迂回回路50Dに構成することで、右回りのフラッシング回路65と左回りのフラッシング回路66を構成できる。
【0075】
この第2実施例の作用は、第1実施例と同様に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35とタンク側止弁54Aとポンプ側止弁52Aを開き右回りのフラッシング回路65が形成される。この右回りのフラッシング回路65に油圧ポンプ62の吐出作動油を供給すると、作動油は、ポンプ吐出回路63を介してポンプ側迂回回路50Aヘッド側最下流回路48A、ヘッド側給排回路41多機能弁30のバイパス回路36、ロッド側給排回路42から、タンク側迂回回路50Bを経てタンク回路64からタンク61に帰還する。この様に、油圧ポンプ62の吐出作動油を右回りのフラッシング回路65に循環させることで右回りのフラッシング行うことが出来る。
【0076】
ポンプ側迂回回路50Cとタンク側迂回回路50Dを利用すれば、左回りのフラッシング回路66を構成できるので、左回りのフラッシング回路66に油圧ポンプ62の作動油を循環させることで左回りのフラッシングを行うことが出来る。さらに、右回りのフラッシングと左回りのフラッシング中に、多機能弁30のバイパス回路36を閉鎖し、ヘッド側止弁31とロッド側開閉弁33を開くと、油圧シリンダ10を作動させることができるので、油圧シリンダ10の作動とフラッシング作動を組み合わせ、油圧シリンダ10内のフラッシングを行うことも、第1実施例と同様に可能である。
【0077】
この第2実施例は、積層弁体70Aに全ての機能を集約したので、小型に構成できると共に、タンク側迂回回路50Bポンプ側迂回回路50Aを分岐回路積層弁体74Aの内部に構成するので、フラッシング回路の長さを最大(ヘッド側給排回路41とロッド側給排回路42の全部の長)にすることが出来る効果を備えている。
【0078】
次に第3実施形態の第1実施例について
図5に基づいて説明する。なお説明に当たって、第1実施形態の符号のうち他の実施形態と同一符号をつけた構成部品は他の実施形態と同様の構成作用を有するものであるからその説明を必要に応じて簡略あるいは省略する。
【0079】
第2実施形態と第3実施形態との相違点について説明する。第2実施形態は、右回りのフラッシング回路65と左回りのフラッシング回路66を固定回路で達成するように構成したものであるから、完成した装置において右回りのフラッシング回路65と左回りのフラッシング回路66を選択できないものであった。この点第3実施形態は、左回りのフラッシング回路66と右回りのフラッシング回路65を選択可能にしたものである。
【0080】
第3実施形態の第1実施例を
図5に基づいて説明する。制御弁体40を迂回するヘッド側迂回回路56Aは、制御弁体40のヘッド側給排回路41(又はヘッド側最下流回路48A)から分岐するヘッド側分岐回路53Aと、前記油圧ポンプ62に接続するポンプ吐出回路63から分岐するポンプ側分岐回路63Bと、タンク回路64から分岐するタンク回路64B、が接続し、ヘッド側分岐回路53Aとポンプ側分岐回路63Bとの間を開閉するポンプ側止弁52Bとヘッド側分岐回路53Aとタンク回路64Bとの間を開閉するタンク側止弁54Bとを備えたヘッド側弁52Eとで構成している。
【0081】
制御弁体40を迂回するロッド側迂回回路57Aは、制御弁体40のロッド側給排回路42から分岐するロッド側分岐回路55Aと、前記油圧ポンプ62に接続するポンプ吐出回路63から分岐するポンプ側分岐回路63Cとタンク回路64から分岐するタンク側分岐回路64C、が接続し、ロッド側分岐回路55Aとポンプ側分岐回路63Cとの間を開閉するポンプ側止弁52Cとロッド側分岐回路55Aとタンク側分岐回路64Cとの間を開閉するタンク側止弁54Cとで備えたロッド側弁54Eで構成している。
【0082】
右回りのフラッシング回路65は、ヘッド側迂回回路56Aのヘッド側分岐回路53Aとポンプ側分岐回路63Bとがポンプ側止弁52Bで接続して構成されるポンプ側迂回回路50Aと、ロッド側迂回回路57Aのロッド側分岐回路55Aをタンク側分岐回路64Cにタンク側止弁54Cで接続することで形成されるタンク側迂回回路50Dとで形成される。
【0083】
左回りのフラッシング回路66は、ロッド側迂回回路57Aロッド側分岐回路55Aとポンプ側分岐回路63Cとがポンプ側止弁52Cで接続して構成されるポンプ側迂回回路50Cと、ヘッド側迂回回路56Aのヘッド側分岐回路53Aがポンプ側分岐回路63Cとがポンプ側止弁52Cで接続することで形成されるタンク側迂回回路50Bとで形成される。
【0084】
この右回りのフラッシング回路65は、管路抵抗のほかにポンプ側止弁52B、バイパス用止弁35、タンク側止弁54Cの3つの弁の流下抵抗が働くのみであるから、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開放していても油圧シリンダ10は、ほぼ作動しない。同様に、左回りのフラッシング回路66は、管路抵抗のほかにポンプ側止弁52C、バイパス用開閉弁35、タンク側止弁54Bの3つの弁の流下抵抗が働くのみであるから、多機能弁30のヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開放していても油圧シリンダ10は、ほぼ作動しない。なお、油圧シリンダ10が、作動するようであれば、ヘッド側止弁31とロッド側開閉弁33の双方または一方を閉鎖すればよい。
【0085】
前記の右回りのフラッシング回路65において作動油が帰還するロッド側迂回回路57Aは、その回路を構成する管路とタンク側止弁54Cの流下抵抗のみである。このため、この流下抵抗は、方向切換弁43のような精密な制御機器を備えた制御弁体40より低い値となる。同様に、左回りのフラッシング回路66においても、作動油が帰還するヘッド側迂回回路56Aは、その回路を構成する管路とタンク側止弁54Cの流下抵抗のみである。このため、この流下抵抗は、方向切換弁43のような精密な制御機器を備えた制御弁体40より低い値となる。
【0086】
第3実施形態の第1実施例の作用についてのべる。
図5において、ヘッド側迂回回路56Aのポンプ側止弁52Bを開くことでヘッド側迂回回路56Aにポンプ側迂回回路50Aを構成し、ロッド側迂回回路57Aのタンク側止弁54Cを開くことでロッド側迂回回路57Aにタンク側迂回回路50Dに構成する。そして、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を開くことで、右回りのフラッシング回路65に油圧ポンプ62の吐出作動油の流通が可能となる。
【0087】
この右回りのフラッシング回路65に油圧ポンプ62の吐出作動油を供給すると、ポンプ吐出回路63、ヘッド側迂回回路56A、ヘッド側給排回路41、バイパス回路36、ロッド側給排回路42、ロッド側迂回回路57Aに達するが、弁体内のロッド側給排回路49がパイロットチェック弁44で閉鎖されているので、タンク側迂回回路50Bを介してタンク61に還流してフラッシングを行う。
【0088】
なお、
図5に示した実施例では、弁体内のヘッド側給排回路48をパイロットチェック弁44で閉鎖したが。このパイロットチェック弁44を設けていない場合でも、ロッド側迂回回路57Aの流下抵抗が制御弁体40の流下抵抗より低いので、作動油のほぼ全てがロッド側迂回回路57Aを介して帰還する。
【0089】
図5において、ヘッド側迂回回路56Aのポンプ側止弁52Bを開くことでヘッド側迂回回路56Aにタンク側迂回回路50Dを構成し、ロッド側迂回回路57Aのポンプ側止弁52Cを開くことでロッド側迂回回路57Aにポンプ側迂回回路50C構成する。そして、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を開くことで、左回りのフラッシング回路66が形成される。
【0090】
この左回りのフラッシング回路66に油圧ポンプ62の吐出作動油を供給すると、ポンプ吐出回路63、ロッド側迂回回路57A、ロッド側給排回路42、バイパス回路36、ヘッド側給排回路41、ヘッド側迂回回路56Aに達するが、弁体内のヘッド側給排回路48がパイロットチェック弁45で閉鎖されているので、ヘッド側迂回回路56Aに構成したタンク側迂回回路50Bを介してタンク61に還流してフラッシングを行う。
【0091】
なお、
図5に示した実施例では、弁体内のロッド側給排回路49をパイロットチェック弁45で閉鎖したが、パイロットチェック弁45を設けていない場合でも、ヘッド側迂回回路56Aに構成したタンク側迂回回路50Bの流下抵抗が制御弁体40の流下抵抗より低いので、作動油のほぼ全てがロッド側迂回回路57Aを介して帰還する。
【0092】
右回りのフラッシング回路65を構成した状態においてフラッシング中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開くと、油圧シリンダ10のロッド13を伸張する方向に操作できるので、この操作により、油圧シリンダ10のロッド側圧力室15の汚染作動油をロッド側給排回路42に排出させ、再びバイパス用止弁35を閉じフラッシングをおこなうことができる。
【0093】
同様に左回りのフラッシング回路66を構成した状態においてフラッシング中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開くと、圧シリンダ10のロッド13を引き込む方向に操作できるので、この操作により、油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14の汚染作動油をヘッド側給排回路41に排出させ、再びバイパス用開閉弁35を閉じフラッシングをおこなう。動作により油圧シリンダ10のフラッシングを行うことが出来る。
【0094】
次に第3実施形態の第2実施例を
図6に基づいて説明する。なお説明に当たって、第2実施形態の符号のうち他の実施形態と同一符号をつけた構成部品は他の実施形態と同様の構成作用を有するものであるからその説明を必要に応じて簡略あるいは省略する。
【0095】
図6に示す第2実施例と
図5に示す第1実施例との相違は、制御弁体40を具体的な積層弁体70Bとした構成であるから、この構成について説明する。
【0096】
積層弁体70Bは、方向切換弁43が設けてある切換弁積層弁体71、パイロットチェック弁44とパイロットチェック弁45が設けてあるパイロットチェック積層弁体72、速度制御弁46と速度制御弁47が設けてある速度制御積層弁体73、ヘッド側止弁52を有するヘッド側分岐回路53とロッド側止弁54を有するロッド側分岐回路55が設けてある分岐回路積層弁体74Aとを積層しボルトで一体化して構成してある。
【0097】
油圧ポンプ62に接続するポンプ吐出回路63は、積層弁体70Bの上記した各積層弁体を貫通する内部通路を経て切換弁積層弁体71の方向切換弁43の上流に接続する構成である。同様にタンク61に接続するタンク回路64は、積層弁体70の上記した各積層弁体を貫通する内部通路を経て切換弁積層弁体71の方向切換弁43の上流に接続する構成である。
【0098】
この方向切換弁43の下流側には、パイロットチェック積層弁体72のパイロットチェック弁44と速度制御積層弁体73の速度制御弁46を有し、分岐回路積層弁体74Bの最下流回路49Aに接続する弁体内のロッド側給排回路49と、パイロットチェック積層弁体72のパイロットチェック弁45と速度制御積層弁体73の速度制御弁47が接続し、分岐回路積層弁体74Bの最下流回路48Aに接続する弁体内のロッド側給排回路48とが接続する。
【0099】
前記分岐回路積層弁体74Bのヘッド側最下流回路48Aは、ヘッド側給排回路41から多機能弁30を介して油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14に接続しており、前記分岐回路積層弁体74Bの弁体内のロッド側最下流回路49Aは、ロッド側給排回路42から多機能弁30を介して油圧シリンダ10のロッド側圧力室15に接続する。
【0100】
分岐回路積層弁体74B内の制御弁体40を迂回するヘッド側迂回回路56Aは、制御弁体40のヘッド側給排回路41に接続するヘッド側最下流回路48Aから分岐するヘッド側分岐回路53Cと、前記ポンプ吐出回路63から分岐するポンプ側分岐回路63Bと、タンク回路64から分岐するタンク回路64B、が接続し、ヘッド側分岐回路53Cとポンプ側分岐回路63Bとの間を開閉するポンプ側止弁52Bとヘッド側分岐回路53Cとタンク回路64Bとの間を開閉するタンク側止弁54Bとで構成してある。
【0101】
分岐回路積層弁体74B内の制御弁体40を迂回するロッド側迂回回路57Aは、制御弁体40のヘッド側給排回路42に接続するロッド側最下流回路49Aから分岐するロッド側分岐回路55Aと、前記ポンプ吐出回路63から分岐するポンプ側分岐回路63Cとタンク回路64から分岐するタンク側分岐回路64C、が接続し、ロッド側分岐回路55Aとポンプ側分岐回路63Cとの間を開閉するポンプ側止弁52Cとロッド側分岐回路55Aとタンク側分岐回路64Cとの間を開閉するタンク側止弁54Cとで構成してある。
【0102】
図6において、ヘッド側迂回回路56Aのポンプ側止弁52Bを開くことでヘッド側迂回回路56Aにポンプ側迂回回路50Aを構成し、ロッド側迂回回路57Aのタンク側止弁54Cを開くことでロッド側迂回回路57Aにタンク側迂回回路50Dを構成し、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を開くことで、右回りのフラッシング回路65が形成される。
【0103】
この右回りのフラッシング回路65に油圧ポンプ62の吐出作動油を供給すると、ポンプ吐出回路63、ヘッド側迂回回路56A、ヘッド側最下流回路48A、ヘッド側給排回路41、バイパス回路36、ロッド側最下流回路49A、ロッド側給排回路42、ロッド側迂回回路57Aに達するが、弁体内のロッド側給排回路49がパイロットチェック弁44で閉鎖されているので、タンク側迂回回路50Bを介してタンク61に還流してフラッシングを行う。
【0104】
なお、
図6に示した実施例では、弁体内のヘッド側給排回路48をパイロットチェック弁44で閉鎖したが、このパイロットチェック弁44を設けていない場合でも、ロッド側迂回回路57Aに構成したタンク側迂回回路50Dの流下抵抗が制御弁体40の流下抵抗より低いので、作動油のほぼ全てがロッド側迂回回路57Aを介して帰還する。
【0105】
図6において、ヘッド側迂回回路56Aのタンク側止弁54Bを開くことでヘッド側迂回回路56Aにタンク側迂回回路50Bに構成し、ロッド側迂回回路57Aのポンプ側止弁52Cを開くことでロッド側迂回回路57Aにポンプ側迂回回路50Cを構成し、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を開くことで、左回りのフラッシング回路66が形成される。
【0106】
この左回りのフラッシング回路66に油圧ポンプ62の吐出作動油を供給すると、ポンプ吐出回路63、ロッド側迂回回路57A、ロッド側最下流回路49A、ロッド側給排回路42、バイパス回路36、ヘッド側給排回路41、ヘッド側最下流回路48A、ヘッド側迂回回路56Aに達するが、弁体内のヘッド側給排回路48がパイロットチェック弁45で閉鎖されているので、ヘッド側迂回回路56Aを介してタンク61に還流してフラッシングを行う。
【0107】
なお、
図6に示した実施例では、弁体内のロッド側給排回路49をパイロットチェック弁45で閉鎖したが、パイロットチェック弁45を設けていない場合でも、ヘッド側迂回回路56Aに形成したタンク側迂回回路50Bの流下抵抗が制御弁体40の流下抵抗より低いので、作動油のほぼ全てがロッド側迂回回路57Aを介して帰還する。
【0108】
また、
図6において、右回りのフラッシング回路65を構成した状態においてフラッシング中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じヘッド側開閉弁31とロッド側止弁33を開くと、油圧シリンダ10のロッド13を伸張する方向に操作できるので、この操作により、油圧シリンダ10のロッド側圧力室15の汚染作動油をロッド側給排回路42に排出させ、再びバイパス用開閉弁35を閉じフラッシングをおこなうことができる。
【0109】
同様に左回りのフラッシング回路66を構成した状態においてフラッシング中に、多機能弁30のバイパス用開閉弁35を閉じヘッド側開閉弁31とロッド側開閉弁33を開くと、油圧シリンダ10のロッド13を引き込む方向に操作できるので、この操作により、油圧シリンダ10のヘッド側圧力室14の汚染作動油をヘッド側給排回路41に排出させ、再びバイパス用開閉弁35を閉じフラッシングをおこなう。動作により油圧シリンダ10のフラッシングを行うことが出来る。