【文献】
Nokia Siemens Networks, Nokia Corporation,TA group configuration and reconfiguration,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #75bis R2-115181,2011年10月 3日,pp.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タイミング補正量の送信に付随する制御信号に、前記グループに固有に割り当てられたサーチスペースの無線リソースを割り当てるリソース制御部を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の基地局装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<1.第1実施例>
<1.1.通信システムの構成例>
以下、添付される図面を参照して、好ましい実施例について説明する。
図1は、通信システムの構成例の説明図である。通信システム1は、基地局装置2と移動局装置3a〜3fを備える。以下の説明及び添付する図面において、基地局装置及び移動局装置をそれぞれ「基地局」及び「移動局」と表記することがある。また、移動局3a〜3fを総称して「移動局3」と表記することがある。
【0018】
基地局2は、移動局3と無線接続して無線通信を行う無線通信装置である。また、基地局2は、1又は複数のセル範囲内において移動局3に対して音声通信や映像配信など種々のサービスを提供できる。さらに、基地局2は、移動局3の送信タイミングを制御することができる。
【0019】
移動局3は、基地局2と無線接続して無線通信を行う無線通信装置である。移動局3は、例えば携帯電話機や情報携帯端末装置などであってよい。移動局3は、基地局2からデータ信号などを受信し、基地局2へデータ信号などを送信することができる。本明細書において、基地局2から移動局3への通信リンクは下り通信リンク(DL: Down Link)、移動局3から基地局2への通信リンクは上り通信リンク(UL: Up Link)と表記することがある。
【0020】
基地局2は、移動局3a〜3fをグループ化する。例えば
図1に示すように、基地局2は、移動局3a〜3cを含むグループ4aと、移動局3d及び3eを含むグループ4bを形成する。移動局3fは、いずれのグループにも属さない移動局である。以下の説明及び添付する図面において、いずれのグループにも属さない移動局を「非メンバ移動局」と表記することがある。
【0021】
基地局2は、グループ毎に共通の送信タイミング補正量を定めて、グループに属する移動局3に送信する。グループに属する移動局3は、このグループについて定められた送信タイミング補正量に従って、基地局2に送信する無線信号の送信タイミングを制御する。
【0022】
<1.2.機能構成>
図2は、基地局2及び移動局3の第1例の機能構成図である。基地局2は、グループ生成部10と、受信部11と、補正量計算部12と、送信部13を備える。移動局3aは、観測信号送信部20と、受信部21と、送信タイミング制御部22を備える。移動局3b及び3cの構成は移動局3aと同様であってよい。
【0023】
グループ生成部10は、同一の送信タイミング補正量で制御可能な複数の移動局3a〜3cをグループ化する。受信部11は、同じグループのいずれかの移動局3aから送信された観測信号を受信する。補正量計算部12は、観測信号の受信タイミングに基づいて送信タイミング補正量を計算する。送信部13は、移動局3aから送信された観測信号に基づいて計算された送信タイミング補正量を、グループ化した複数の移動局装置3a〜3cに送信する。
【0024】
移動局3aの観測信号送信部20は、基地局2に観測信号を送信する。移動局3bの受信部21は、移動局3aから送信された観測信号に基づいて計算された送信タイミング補正量を、基地局2から受信する。送信タイミング制御部22は、受信した送信タイミング補正量に従って、基地局2に送信する無線信号の送信タイミングを制御する。移動局3a及び3cも移動局3bと同様に動作する。
【0025】
<1.3.効果>
基地局2は、グループ化した複数の移動局3のうちのいずれかの移動局3aから送信された観測信号の送信タイミングに基づいて、グループで共通に使用される送信タイミング補正量を決定する。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して、上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。観測信号を送信しない移動局3b及び3cは、送信タイミング補正量の計算に使用される観測信号を送信しなくても送信タイミング補正量を受け取ることができ、上り通信リンクの同期を維持することができる。
【0026】
また、観測信号を送信する移動局3が低減されるため移動局3の消費電力も低減される。なお、観測信号を送信する移動局3の数は必ずしも1台でなくともよく、グループに属する移動局3の総数より少なければよい。
【0027】
M2M(Machine to Machine)通信のように移動局数が多い通信形態において、移動局3が送信する上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドの増大を軽減することができる。また、M2M通信では移動局3の移動速度が小さいため形成済みのグループが持続し易い。このため、グループ内で同じ観測信号を共通に使用することで、上り通信リンクの送信タイミング制御のための制御信号のオーバヘッドを効率良く低減することができる。
【0028】
<2.第2実施例>
次に、通信システム1の他の実施例について説明する。
図3は、基地局2及び移動局3の第2例の機能構成図である。
図2に示す構成要素と同様の構成要素には
図2で使用した参照符号と同じ参照符号を付し同一の機能については説明を省略する。
【0029】
基地局2は、指定部14と、指示信号生成部15を備える。指定部14は、グループ生成部10が生成したグループ毎に、グループに属するいずれかの移動局3を指定する。指示信号生成部15は、指定部14により指定された移動局3に観測信号を送信させる指示信号を生成する。送信部13は指示信号を送信する。
【0030】
指示信号は、例えば、移動局3に対して、指定部14により指定された移動局3aを知らせる移動局3aの識別子であってよい。他の例の指示信号は、指定部14により指定された移動局3a宛に個別に送信され、移動局3aに観測信号を送信させる命令信号であってもよい。移動局3aの受信部21が指示信号を受信する。移動局3aの観測信号送信部20は、指示信号に応じて観測信号を送信する。
【0031】
本実施例によれば、観測信号を送信させる移動局3aを基地局2が明示的に指定するため、他の移動局3b及び3cは、送信タイミング補正量の計算のための観測信号の送信を停止することができる。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して、ULにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。また、観測信号を送信しない移動局3b及び3cの消費電力も低減される。
【0032】
<3.第3実施例>
<3.1.機能構成>
次に、通信システム1の他の実施例について説明する。
図4は、基地局2の第3例の機能構成図である。基地局2は、無線リソース制御部101、MAC(Media Access Control)制御部102、パケット生成部103、MACスケジューリング部104、符号化部105、変調部106、多重部107を備える。基地局2は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部108、無線処理部109、送信アンテナ110、受信アンテナ111、無線処理部112、FFT部113、復調部114、復号部115、RLC(Radio Link Control)部116を備える。基地局2は、TA(Timing Advance)値計算部117、グループ生成部118、指定部119及び指示信号生成部120を備える。
【0033】
なお、グループ生成部118は、
図2及び
図3のグループ生成部10の一例である。TA値計算部117は補正量計算部12の一例である。無線リソース制御部101、MAC制御部102、多重部107、IFFT部108、無線処理部109及び送信アンテナ110は、送信部13の一例である。受信アンテナ111、無線処理部112、FFT部1113は、受信部11の一例である。指定部119及び指示信号生成部120は、指定部14及び指示信号生成部15の一例である。
【0034】
無線リソース制御部101は、移動局3の下りリンク通信や上りリンク通信に対する無線リソース(例えば周波数と時間など)の割り当てを行う。また、無線リソース制御部101は、各種RNTI(Radio Network Temporary ID)の割り当てを行う。例えば、無線リソース制御部101は、グループ生成部118から出力されたグループに関する情報に基づいて、グループ生成部118が生成したグループにG−RNTI(Group - RNTI)を割り当てる。G−RNTIは、例えば、同一グループに属する複数の移動局3に割り当てる送信タイミング制御用のRNTIであり、グループ生成部118が生成したグループを識別するグループ識別子の一例である。G−RNTIの詳細は後述する。
【0035】
なお、無線リソース制御部101は、割り当てた無線リソースに関するリソース割当情報などをMAC制御部102に出力する。また、無線リソース制御部101は、例えば、生成したG−RNTIをRRC(Radio Resource Control)制御情報としてパケット生成部103に出力する。この場合、G−RNTIは、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)チャネルを用いて移動局3に送信される。更に、無線リソース制御部101は、報知情報やページング情報を生成し、パケット生成部103に出力することができる。報知情報やページング情報については第5実施例及び第6実施例で説明する。
【0036】
MAC制御部102は、無線リソース制御部101から出力されたリソース割当情報に基づいて個別制御情報を生成し、多重部107へ出力する。個別制御情報は、例えば、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)チャネルなどの制御チャネルを利用して制御信号として移動局3に送信される。
【0037】
また、MAC制御部102は、ランダムアクセス手順において移動局3から送信されたランダムアクセスプリアンブルを、FFT部113から受信する。MAC制御部102は、ランダムアクセス手順において定められた移動局3への送信メッセージを多重部107に出力する。
【0038】
また、MAC制御部102は、無線リソース制御部101から出力されたG−RNTIを受け取る場合があり、かかる場合、G−RNTIを個別制御情報として多重部107に出力することができる。さらに、MAC制御部102は、グループ生成部118で生成されたグループに関する情報を、無線リソース制御部101を介して受け取ることもでき、かかる情報を受けたとき、グループTA値を生成してTAコマンドを生成することができる。グループTA値は、例えば、同一グループに属する複数の移動局3に与えるTA値である。その詳細については後述する。
【0039】
また、MAC制御部102は、指示信号生成部120で生成された指示信号を、無線リソース制御部101を介して受け取ることもできる。指示信号は、例えば、各グループに属する移動局3のうちグループを代表する代表移動局を指定する信号である。無線リソース制御部101は、指示信号をパケット生成部103に出力する。
【0040】
パケット生成部103は、ユーザデータや各種制御情報、グループTA値、指示信号などを入力し、送信パケットを生成する。送信パケットは、ユーザデータなどを含み、例えばPDSCHチャネルを用いて送信される。パケット生成部103は、生成したパケットをMACスケジューリング部104に出力する。
【0041】
MACスケジューリング部104は、MAC制御部102から出力されたリソース割当情報に基づいて、ユーザデータなどをスケジューリングする。例えば、MACスケジューリング部104は、PDSCHやPUSCHなどの共有チャネルの無線リソース上にユーザデータなどを割り当てるなどして、スケジューリングを行う。MACスケジューリング部104は、スケジューリングした送信パケットを符号化部105に出力する。
【0042】
符号化部105は、パケット内のユーザデータや制御情報などに対して誤り訂正符号化を行う。誤り訂正符号化の符号化方式や符号化率などは無線リソース制御部101が生成したリソース割当情報に含まれており、例えば、符号化部105は無線リソース制御部101からかかる情報を受け取って誤り訂正符号化を行うことができる。符号化部105は、誤り訂正符号化を行ったパケットを変調部106に出力する。
【0043】
変調部106は、誤り訂正符号化されたパケット内のユーザデータや各制御情報などに対して、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの変調処理を行う。変調方式についてもリソース割当情報に含まれており、変調部106は無線リソース制御部101からリソース割当情報を受け取って変調処理を行うことができる。変調部106は変調後のパケットを多重部107に出力する。
【0044】
多重部107は、変調部106からの出力と、パイロット信号、個別制御情報及びランダムアクセス手順用の送信メッセージを多重化し、多重化した多重化情報をIFFT部108に出力する。なお、パイロット信号には、例えば、基地局2と移動局3とで既知のプリアンブルパターンが用いられる。
【0045】
IFFT部108は、多重化信号に対して逆高速フーリエ変換処理を行い、周波数領域の多重化信号を時間領域の多重化信号に変換し、時間領域の多重化信号を無線処理部109に出力する。無線処理部109は、ベースバンド帯域の多重化信号を無線帯域の無線信号に変換して出力する。送信アンテナ110は、無線処理部109から出力された無線信号を移動局3に送信する。これにより、ユーザデータや個別制御情報などが夫々データ信号や制御信号として移動局3に送信される。
【0046】
一方、受信アンテナ111は移動局3から送信された無線信号を受信する。無線処理部112は、受信アンテナ111で受信した無線帯域の無線信号をベースバンド帯域の受信信号に変換する。
【0047】
FFT部113は、無線処理部112から出力された受信信号に対して、高速フーリエ変換を行うことで、時間領域の受信信号を周波数領域の受信信号に変換する。FFT部113は、高速フーリエ変換後の受信信号を復調部114とTA値計算部117に出力する。
【0048】
復調部114は、受信信号に対して復調処理を行う。復調方式は、移動局3が送信した無線信号に対する変調方式に対応しており、例えば、無線リソース制御部101によるリソース割当情報に従う。例えば、復調部114は、無線リソース制御部101からリソース割当情報を受け取り、このリソース割当情報に従って復調を行うことができる。
【0049】
復号部115は、復調された受信信号に対して誤り訂正復号化を行う。誤り訂正復号の復号方式や符号化率についても、例えば、無線リソース制御部101から受け取ったリソース割当情報に従って行われる。RLC部116は、復号後の受信信号からユーザデータなどを抽出する。抽出されたユーザデータは、上位制御装置への送信など、他の処理部に出力される。
【0050】
TA値計算部117は、FFT部113から出力された受信信号から、移動局3から送信された観測信号を抽出し、観測信号の受信タイミングに基づいて移動局3のTA(Timing Advance)値を計算する。観測信号は、例えば、パイロット信号や、データ信号や、コンテンションフリーランダムアクセスプリアンブルや、スケジューリング要求信号などであってよい。例えばパイロット信号はSRS信号であってよい。スケジューリング要求信号は、上り送信データが発生した場合に、基地局2にスケジューリングを依頼するために移動局3から送信される信号である。
【0051】
TA値は、例えば基地局2における送信フレームのフレームタイミングと、受信した無線フレームのフレームタイミングとの差を表す値である。TA値計算部117は、移動局3から受信した上りリンクの無線フレームタイミングと基地局2の送信フレームタイミングとの差を演算することで、移動局3のTA値を測定する。複数の移動局3があれば、TA値計算部117は複数のTA値を測定する。例えば、TA値計算部117は計算したTA値をタイミング補正量N
TAとしてグループ生成部118に出力する。グループ生成部118は、複数のTA値を受け取り、TA値が一定の範囲内にある移動局3をグループ化してグループを生成する。
【0052】
図6は、TA値の分布例を示すグラフであり、縦軸は移動局数、横軸はTA値を夫々表している。
図6に示すように、TA値がある値のところでは移動局3の数が他よりも多くなっているところがある。例えば、電車内に複数の移動局3がある場合、各移動局3のフレームタイミングはその誤差量が一定の範囲内にあるため、例えば
図6に示すような分布となる。
【0053】
グループ生成部118は、例えば、このようにTA値が一定の範囲内にある移動局3を1つのグループとしてグループ化する。又は、グループ生成部118は、例えば、同一の送信タイミング制御量で制御可能な複数の移動局3をグループとしてグループ化している。
図6の例では、グループ生成部118は「グループ1」と「グループ2」とを生成している。
【0054】
グループ生成部118は、グループを生成すると、例えば、グループの識別情報とグループに属する移動局3の識別情報とをグループに関する情報として内部メモリに保持したり、無線リソース制御部101を介してMAC制御部102に出力できる。また、グループ生成部118は、グループに関する情報を指定部119へ出力する。なお、移動局3の識別情報は、例えば、移動局3から受信した受信信号に含まれている場合や、無線リソース制御部101が割り当てたRNTIなどの識別情報に基づいて移動局3の識別情報とする場合などがある。
【0055】
指定部119は、グループ生成部118から受信したグループに関する情報に基づいて、各グループに属する移動局3のうちグループを代表する代表移動局を指定する。例えば指定部119は、グループに属する複数の移動局3から代表移動局として選択する移動局を時間的に順次変更してもよい。後述の通り、代表移動局は観測信号を送信するため他の移動局よりも消費電力が大きくなるが、このように代表移動局を変更することによって電力消費の増大を複数の移動局3の間で分散することができる。
【0056】
また指定部119は、上り通信リンクのスケジューリング要求信号を送信した移動局3を、スケジューリング要求信号の送信後の一定期間、代表移動局として指定してもよい。基地局2は、スケジューリング要求信号によってTA値を求めることができるため、スケジューリング要求信号を送信した移動局3が代表移動局になることで、他の移動局から別の観測信号を送信する必要がなくなる。以下の説明では、移動局3aが代表移動局に指定された場合を想定する。
【0057】
指示信号生成部120は、指定部119により指定された移動局3aに観測信号を送信させる指示信号として、移動局3aの移動局識別子を生成する。指示信号により指定された代表移動局3aは、指示信号を受信すると、反復的に観測信号を基地局2に送信することによって、基地局2が継続的にTA値を計算することを可能にする。
【0058】
次に移動局3について説明する。
図5に表されるように移動局3は、アンテナ201と、無線処理部202、FFT部203、復調部204、復号部205、制御チャネル復調部206、制御情報処理部207を備える。移動局3は、データ処理部208、多重部209、シンボルマッピング部210、多重部211、FFT部212、周波数マッピング部213、IFFT部214、送信タイミング制御部215、無線処理部216を備える。また、移動局3は、パイロット生成部217及びプリアンブル生成部218を備える。
【0059】
なお、アンテナ201、無線処理部202、FFT部203、復調部204、復号部205及び制御情報処理部207は、
図2及び
図3の受信部21の一例である。送信タイミング制御部215は、送信タイミング制御部22の一例である。パイロット生成部217、プリアンブル生成部218、多重部211、FFT部212、周波数マッピング部213、IFFT部214、送信タイミング制御部215、無線処理部216及びアンテナ201は、観測信号送信部20の一例である。
【0060】
アンテナ201は、基地局2から送信された無線信号を受信して無線処理部202に出力する。また、アンテナ201は無線処理部216から出力された無線信号を基地局2に送信することもできる。無線処理部202は、アンテナ201で受信した無線信号をベースバンド帯域の受信信号に変換して出力する。
【0061】
FFT部203は、無線処理部202から出力された受信信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、時間領域の受信信号を周波数領域の受信信号に変換する。復調部204は、FFT部203から出力された受信信号に対して復調処理を行う。復調処理の方式は、例えば、PDCCHなどを利用して受信したリソース割当情報に含まれており、そのため、復調部204は制御チャネル復調部206から出力されたリソース割当情報に従って復調処理を行う。
【0062】
復号部205は、復調後の受信信号に対して誤り訂正復号化を行う。誤り訂正復号化を行うときの復号方式と符号化率などは、制御チャネル復調部206から出力されたリソース割当情報に従うことになる。復号部205は、誤り訂正復号化により、誤り訂正符号化前のユーザデータやRRC制御情報などの各種制御情報などを復号することができる。
【0063】
制御チャネル復調部206は、PDCCHなどの制御チャネルを利用して送信された制御信号を復調する。復調後の制御情報には、例えば、リソース割当情報などが含まれており、制御チャネル復調部206は復調部204と復号部205にリソース割当情報を出力する。また、制御チャネル復調部206は、制御情報処理部207から出力されたG−RNTIが、制御チャネルで送信されたG−RNTIと一致するかを判別し、一致するとき、G−RNTIに付随する制御情報からリソース割当情報を抽出することができる。抽出したリソース割当情報は復調部204と復号部205に出力されることで、移動局3は自局あてのグループTA値や、指示信号として受信された代表移動局3aの移動局識別子を復調及び復号することができる。詳細は後述する。
【0064】
制御情報処理部207は、復号部205の出力から各種制御情報を抽出する。例えば、制御情報処理部207は、復調及び復号されたRRC制御情報からG−RNTIを抽出し、抽出したG−RNTIを制御チャネル復調部206に出力する。制御情報処理部207は、例えば、復号部205の出力からグループTA値を抽出し、送信タイミング制御部215に出力することもできる。制御情報処理部207は、例えば、復号部205の出力から指示信号として受信された代表移動局3aの移動局識別子を抽出し、パイロット生成部217に出力することもできる。
【0065】
また、制御情報処理部207は、ランダムアクセス手順において定められた基地局2への送信メッセージを多重部209に出力する。プリアンブル生成部218は、コンテンションベースランダムプリアンブル及びコンテンションフリーランダムアクセスプリアンブルを生成し、多重部211に入力する。
【0066】
移動局識別子によりこの移動局3が代表移動局3aとして指定されている場合には、パイロット生成部217は、観測信号としてのパイロット信号を反復的に生成し、多重部211に入力してもよい。例えば、パイロット生成部217は、上りリンク同期外れを検出する基地局2のTAタイマの満了前のいずれかの時期にパイロット信号を生成する。例えば、パイロット生成部217は、TAタイマがリセットされてから満了するまでの期間よりも短い周期で、パイロット信号を生成してもよい。
【0067】
なお、代表移動局3aが反復的に又は周期的に送信する観測信号は、パイロット信号以外の信号であってもよい。代表移動局3aは反復的に又は周期的にダミーのユーザデータが生成し、このデータを送信するためのスケジューリング要求信号を観測信号としてもよい。
【0068】
データ処理部208は、ユーザデータに対して圧縮符号化などの各種処理を行う。処理後のデータは多重部209に出力される。多重部209は、データ処理部208から出力されるユーザデータ、各種制御情報及びランダムアクセス手順用の送信メッセージを多重化する。制御情報は、例えばRRC制御情報やMAC−CE(Medium Access Control -Control Element)制御情報であってよい。多重部209は多重化された多重化信号をシンボルマッピング部210に出力する。
【0069】
シンボルマッピング部210は、多重化信号に対して、QPSKや16QAMなどの変調処理を行う。変調方式は、リソース割当情報として基地局2において指定されているため、例えば、シンボルマッピング部210は制御チャネル復調部206からリソース割当情報を受け取って変調処理を行うことができる。
【0070】
多重部211は、シンボルマッピング部210からの出力信号、パイロット信号及びランダムアクセスプリアンブルを多重化して多重化信号として出力する。パイロット信号には、例えば、移動局3と基地局2とで既知のプリアンブルパターンが含まれている。FFT部212は、多重部211から出力された多重化信号に対して高速フーリエ変換を行うことで、時間領域の多重化信号を周波数領域の多重化信号に変換する。
【0071】
周波数マッピング部213は、FFT部212から出力された周波数領域の多重化信号に対して、所定の周波数帯域にマッピングする処理を行う。例えば、周波数マッピング部213は、移動局3に割り当てられた周波数帯域に対して多重化信号をマッピングし、それ以外の周波数帯域に「0」をマッピングするなどの処理を行う。このような処理は、例えば、サブキャリアマッピングと呼ばれることもある。移動局3に割り当てられた周波数波は、例えば、リソース割当情報に含まれ、周波数マッピング部213は制御チャネル復調部206からリソース割当情報を受け取ることができる。周波数マッピング部213は、マッピングされた多重化信号を含む信号をIFFT部214に出力する。
【0072】
IFFT部214は、周波数マッピング部213からの出力信号に対して、逆高速フーリエ変換処理を行うことで、周波数領域の出力信号を時間領域の出力信号に変換する。送信タイミング制御部215は、IFFT部214からの出力信号に対して、無線処理部216に出力するタイミングを制御することで、移動局3から送信される無線信号の送信タイミングを制御する。送信タイミング制御部215は、制御情報処理部207から出力されたグループTA値を受け取り、例えば以下の式を計算することで、送信タイミングを決定する。
【0073】
(N
TA+N
TAoffset)・Ts (1)
【0074】
数(1)は、例えば
図24に示す送信タイミングに対応する。送信タイミング制御部215は、例えば、自局の送信タイミングより、数(1)で計算した計算したタイミング分早くIFFT部214からの出力信号を無線処理部216に出力する。自局の送信タイミングは、例えば、制御チャネル復調部206で復調したリソース割当情報に含まれているため、送信タイミング制御部215はこの情報を利用して自局の送信タイミングとすることができる。
【0075】
数(1)において、グループTA値が数(1)の「N
TA」に対応し、送信タイミング制御部215の内部メモリに「N
TAoffset」及び「Ts」が保持され、送信タイミング制御部215は固定値を適宜読み出して処理を行うことができる。
【0076】
無線処理部216は、送信タイミング制御部215から出力された出力信号に対して、無線帯域の無線信号に変換する。無線処理部216から出力された無線信号は、例えば、シングルキャリア信号としてアンテナ201を介して基地局2に送信される。
【0077】
<3.2.全体動作>
次に通信システム1や基地局2、及び移動局3の動作例について夫々説明する。最初に全体動作例を説明し、次に基地局2と移動局3の動作例について夫々説明することにする。
【0078】
図7は通信システム1の全体動作例を示すシーケンス図である。オペレーションAAにおいて、移動局3と基地局2は各々ランダムアクセス手順を実行する。オペレーションABにおいて基地局2は、ランダムアクセス手順で受信したメッセージ、又はその後に移動局3から受信したデータ又はパイロット信号に基づいて移動局3のTA値を測定する。例えば、TA値計算部117がTA値を測定する。基地局2は、測定したTA値をタイミング補正量N
TAとする。
【0079】
オペレーションACにおいて基地局2は、測定したTA値からグループを生成する。例えば、グループ生成部118は、一定の範囲内にあるTA値を有する移動局3どうしをグループ化する。また基地局2は、必要に応じて既に形成されたグループの更新を行う。本例では、移動局3a〜3cによりグループ4aが形成され、移動局3fが非メンバ移動局であると想定する。
【0080】
オペレーションADにおいて基地局2は、生成したグループに対してG−RNTIをグループ識別子として割り当て、割り当てたG−RNTIを移動局3に送信する。例えば、
図6の例では、基地局2は、識別情報「グループ1」のグループに、「G−RNTI−1」などのG−RNTIを割り当てる。基地局2は、割り当てたG−RNTIを、例えばPDSCHチャネルの無線リソースを用いてRRC制御情報として移動局3に送信する。
【0081】
オペレーションAEにおいて基地局2は、各グループ毎に代表移動局を選択する。また基地局2は、必要に応じて以前に代表移動局が選択されたグループについて代表移動局の更新を行う。例えば、指定部119が代表移動局の選択又は更新を行う。本例では移動局3aが代表移動局として選択された場合を想定する。オペレーションAFにおいて基地局2は、代表移動局3aに指示信号を送信する。例えば、指示信号生成部120が指示信号を生成し、指示信号は、パケット生成部103により生成されるパケットに格納されて送信される。
【0082】
オペレーションAGにおいて代表移動局3aは、観測信号を送信する。例えば、パイロット生成部217は、パイロット信号を観測信号として生成し、パイロット信号は、多重部211により上りリンク信号に多重化されて基地局2に送信される。オペレーションAHにおいて基地局2は、観測信号に基づいて代表移動局3aのTA値を測定する。例えば、TA値計算部117がTA値を測定する。基地局2は、測定したTA値をタイミング補正量N
TAとする。
【0083】
オペレーションAIにおいて基地局2は、G−RNTIが割り当てられた移動局3a〜3cに対して、グループTA値として測定したTA値をマルチキャストで送信する。移動局3は、グループTA値を受信すると、数(1)を計算して送信タイミングを決定し、この送信タイミングでデータなどを送信する。これにより、基地局2では移動局3からのデータなどの受信タイミングをフレームタイミングに一致させることができ、例えば、各移動局3からのデータなどの受信タイミングの差がCP長以内となるようになる。従って、基地局2では受信タイミングのずれを防止し、受信品質を保つことができる。
【0084】
オペレーションAJにおいて、非メンバ移動局3fに対して個別TA値を生成して移動局3fに送信することで、非メンバ移動局3fの送信タイミング制御の補正を行う。なお、グループ4aに属する移動局3cの同期ずれがある閾値より大きくなった場合に、基地局2は、この移動局3cに対しても個別TA値を生成して移動局3cに送信することで、移動局3cの送信タイミング制御の補正を行う。グループ4a内の移動局3cに対しては、グループTA値により送信タイミングが行われるが、その後、グループTA値に基づいて送信タイミングが補正された移動局3cからの信号の受信フレームタイミングのずれが閾値より大きくなる場合がある。このような場合に基地局2は移動局3cに対して個別に送信タイミングの補正を行う。なお、更に同期ずれが継続する場合は、基地局2は移動局3cを他のグループに編入させるか、非メンバ移動局として個別に送信タイミング制御を行う。詳細は後述する。
【0085】
<3.3.基地局2の動作>
次に基地局2の動作例について説明する。
図8は基地局2の動作例の説明図である。基地局2は、以下のオペレーションBA〜BIのループを繰り返す。オペレーションBAにおいて基地局2は、代表移動局3aから送信された観測信号に基づいてTA値を計算する。例えば、TA値計算部117がTA値を計算する。また基地局2は、前回のループのオペレーションBAから今回のループのオペレーションBAまでの間に観測信号を送信した、代表移動局3a以外の移動局3から送信された観測信号に基づいてTA値を計算する。
【0086】
オペレーションBBにおいて基地局2は、グループの生成を行う。例えば、グループ生成部118は、TA値計算部117からの各移動局3のTA値に基づいて、TA値が一定の範囲にある移動局3a〜3cをグループ化してグループ4aを形成する。オペレーションBCにおいて基地局2はグループメンバ3a〜3cに対するグループ識別子の新規割り当てを行う。本実施例ではグループ識別子としてG−RNTIを割り当てる。例えば、無線リソース制御部101は、グループ生成部118から出力されたグループに関する情報に基づいて、同一グループ4aに属する移動局3a〜3cに対して同一のG−RNTIを新規に割り当てる。
【0087】
オペレーションBDにおいて基地局2は、新規に割り当てたG−RNTIを移動局3a〜3cに送信する。例えば、無線リソース制御部101は、割り当てたG−RNTIをRRC制御情報としてパケット生成部103に出力する。これにより、新規に割り当てたG−RNTIは、同一のグループ4aに属する各移動局3a〜3cに送信される。他のグループ4bが生成されていれば、基地局2は、他のグループ4bに対応する他のG−RNTIを更に新規に割り当てて送信することができる。
【0088】
図9の(A)は、G−RNTIに対する無線リソースの割り当て例を示す図である。縦軸は周波数領域、横軸は時間領域を表し、制御情報などはPDCCHの無線リソースを利用して制御信号として送信され、データなどはPDSCHの無線リソースを用いてデータ信号などとして送信される。例えば、無線リソース制御部101は、PDSCHの無線リソース上にG−RNTIを割り当てることで、PDSCHのチャネルによりG−RNTIが送信されることになる。
【0089】
図8を参照する。オペレーションBEにおいて基地局2は、代表移動局3aを指定する。例えば、指定部119が代表移動局3aを指定する。オペレーションBFにおいて基地局2は、代表移動局3aから受信した観測信号に基づいてグループTA値を計算する。例えば、TA値計算部117がTA値を計算する。
【0090】
オペレーションBGにおいて基地局2は、グループTA値を移動局3a〜3cにマルチキャストで送信する。例えば、MAC制御部102は、TA値計算部117で計算された代表移動局3aのTA値を、グループ生成部118と無線リソース制御部101を介してグループTA値として受け取る。MAC制御部102は、複数のグループが生成されたときは、制裁されたグループの個数分のグループTA値を計算する。なお、無線リソース制御部101は、例えば、MAC制御部102からグループTA値を計算したことを通知されたとき、グループTA値に対する無線リソースの割り当てを行う。
【0091】
図9の(B)はグループTA値の無線リソースの割り当て例を表す図である。無線リソース制御部101は、例えば、グループTA値の送信先のグループ4aを特定し、割り当て済みのG−RNTIの中からこのグループに対するG−RNTIを抽出する。また、無線リソース制御部101は、G−RNTIに付随する制御情報を生成し、この制御情報にグループTA値のリソース割当情報を含ませるようにする。G−RNTIとG−RNTIに付随する制御情報とは、グループTA値の送信に付随する制御信号の一例である。
【0092】
無線リソース制御部101は、PDCCHの無線リソース上にグループ固有のサーチスペースを設定し、このサーチスペース内の無線リソースをG−RNTI及びG−RNTIに付随する制御情報に割り当てる。無線リソース制御部101は、グループTA値をPDSCHの無線リソース上に割り当てる。無線リソース制御部101は、抽出したG−RNTIとG−RNTIに付随する制御情報とを多重部107に出力する。これにより、例えば、
図9の(B)で表すような無線リソースによりグループTA値が移動局3に送信される。
【0093】
図9の(B)の無線リソースの割り当て例に着目すると、PDCCHに割り当てられたG−RNTI及び制御情報は、同一グループ4a内における複数の移動局3a〜3c宛のものであり、1つの無線リソース(又は無線リソースブロック)により共有できる。例えば、G−RNTI及び制御情報は、1つの無線リソースブロックにより共有できる。
【0094】
また、グループTA値が割り当てられたPDSCHの無線リソースも、複数の移動局3a〜3cで共有して使用される無線リソースである。よって、無線リソース制御部101は、グループTA値に対して、複数の移動局3a〜3c毎に異なる無線リソースを割り当てるのではなく、グループ単位で共通の無線リソースを割り当てることができる。これにより、基地局2は、グループ内の各移動局3にマルチキャストでグループTA値を送信することができる。
【0095】
図8に戻り、オペレーションBHにおいて基地局2は、非メンバ移動局3fに対して、個別TA値を送信する。またグループ4aの移動局3cの同期ずれがある閾値より大きくなった場合に、基地局2は移動局3cに対しても個別TA値を送信する。
【0096】
本処理では、非メンバ移動局3fに対する個別TA値の送信と、グループ4aに帰属しながら個別に補正が行われる移動局3cに対する個別TA値の送信の2つの処理がある。非メンバ移動局3fに対しては、基地局2はC−RNTI(Cell-Radio Network Temporary ID)を用いて個別TA値を送信するようにする。個別TA値は、例えば、TA値計算部117が個々の移動局3毎に個々に計算されたTA値のことである。グループ4aに帰属する移動局3cに対しては、MAC制御部102は、例えば移動局3cのTA値とグループTA値とのずれが個別補正閾値より大きいとき、移動局3cの個別補正を行うことを決定する。
【0097】
オペレーションBIにおいてMAN制御部102は、非メンバ移動局3fのTA値や移動局3cのTA値を個別TA値としてパケット生成部103に出力し、無線リソース制御部101は、個別TA値の送信を行うよう無線リソースの割り当てを行う。
【0098】
例えば、無線リソース制御部101は、個別TA値をPDSCHのチャネルにより送信されるよう、個別TA値に対する無線リソースの割り当てを行い、個別TA値をパケット生成部103に出力する。この場合の個別TA値も、例えば、PDSCHを利用して送信されるが、個別TA値の無線リソース上のリソース割当情報は、C−RNTIに付随する制御情報に含まれる。例えば、無線リソース制御部101は、この制御情報とC−RNTIを生成して、PDCCHを利用して送信されるよう制御情報とC−RNTIとを多重部107に出力する。その後に動作はオペレーションBAに戻り、基地局2は上述の処理を繰り返す。
【0099】
なお、基地局2は、グループ4aに属する移動局3cに対して個別補正を行った後、同期ずれが継続する移動局3cに対しては割り当てたグループ4aから削除して別のグループに編入させるか、C−RNTIによる個別制御を行う。
【0100】
そのため、例えば、オペレーションBAで移動局3cのTA値が計算され、移動局3cのTA値とグループTA値とのずれが個別補正閾値より大きい場合、オペレーションBBで基地局2は移動局3cをグループメンバから削除する。例えば、グループ生成部118は、移動局3cのTA値とグループTA値とのずれが個別補正閾値より大きければ、移動局3cをグループメンバから削除する。また、グループ生成部118は、移動局3cのTA値が他のグループ4bのグループTA値に対して一定範囲内に含まれるか否かを判別し、含まれる場合は移動局3cを他のグループ4bに編入させる。
【0101】
グループ生成部118は、移動局3cのTA値がどのグループの範囲内にも含まれない場合、移動局3cを非メンバ移動局にする。このようにオペレーションBBでグループが更新された場合には、グループ生成部118は更新したグループに関する情報及び非メンバ移動局に関する情報をMAC制御部102に出力する。
【0102】
オペレーションBCにおいてMAC制御部102は、更新されたグループに基づいてG−RNTIを割り当てる。これにより更新されたグループメンバに対して、変更されたG−RNTIが割り当てられることになる。なお、MAC制御部102は、例えば、非メンバ移動局3fに対して個別の送信タイミング制御を行うべく、計算したTA値を多重部107に出力する。例えば、無線リソース制御部101は、C−RNTIに付随する制御情報を生成し、この制御情報にPDCCHの無線リソース上に割り当てられた個別TA値のリソース割当情報を含ませるようにする。これにより、無線リソース制御部101は、PDCCHの無線リソースを利用して、個別TA値を送信することができる。
【0103】
<3.4.移動局3の動作>
次に移動局3の動作例について説明する。
図10は移動局3の動作例を示すフローチャートである。
図10に表された処理は、例えば、移動局3がデータ信号又はパイロット信号を基地局2に送信した後など、基地局2との間で、無線信号の送信が行われているときに行われるものとする。
【0104】
オペレーションCAにおいて移動局3は、G−RNTIの割り当てがあるか否かを判別する。例えば制御情報処理部207が、復号部205の出力からG−RNTIを抽出できたか否かにより判別できる。この場合、G−RNTIは、例えばPDSCHを利用して受信したものである。G−RNTIの割り当てがある場合(オペレーションCA:Y)に動作はオペレーションCBへ進む。G−RNTIの割り当てがない場合(オペレーションCA:N)に動作はオペレーションCDへ進む。
【0105】
オペレーションCBにおいて移動局3は、G−RNTIでアドレッシングされたグループTA値を受信する。例えば、制御チャネル復調部206はPDCCHなどの制御チャネルにより受信したG−RNTIを受信し、制御情報処理部207から受け取ったG−RNTIと一致しているか否かを判別する。そして、例えば、制御チャネル復調部206は、一致していると判別したとき、受信したG−RNTIに付随した制御情報から、グループTA値のリソース割当情報を抽出し、このリソース割当情報を復調部204と復号部205に出力する。これにより、移動局3は、G−RNTIでアドレッシングされて、PDSCHにより送信されたグループTA値を復調及び復号することができる。
【0106】
オペレーションCCにおいて移動局3は、受信したグループTA値で送信タイミング制御を行う。例えば、制御情報処理部207は復調及び復号されたグループTA値を送信タイミング制御部215に出力し、送信タイミング制御部215はグループTA値に従って数(1)を計算する。送信タイミング制御部215は、例えば、数(1)の計算値分だけ自局の送信フレームタイミングより早めて、FFT処理後のデータなどを無線処理部216に出力する。
【0107】
オペレーションCDにおいて移動局3は、C−RNTIでアドレッシングされた個別TA値を受信する。例えば、制御チャネル復調部206は自局宛のC−RNTIを受信すると、C−RNTIに付随する制御情報から個別TA値のリソース割当情報を抽出する。そして、制御チャネル復調部206は、抽出したリソース割当情報を復調部204と復号部205に出力する。これにより、移動局3宛の個別TA値が復調及び復号される。
【0108】
オペレーションCEにおいて、受信した個別TA値で受信タイミング制御を行う。例えば、制御情報処理部207は、復調及び復号された個別TA値を送信タイミング制御部215に出力し、送信タイミング制御部215では個別TA値をタイミング補正量N
TAとして再び数(1)を計算し、送信タイミングを調整する。これにより、同期ずれが大きくなった移動局3cや非メンバ移動局3fの送信タイミングが制御され、基地局2における受信タイミングがフレームタイミングに同期することができる。その後に処理は再びオペレーションCAに移行して、移動局3は上述した動作を繰り返すことができる。
【0109】
なお、移動局3cにおいて同期ずれが継続する場合、基地局2から更新されたG−RNTIを受け取るか、又はC−RNTIによる個別制御が行われることになる。更新されたG−RNTIを受け取った場合、移動局3は再度オペレーションCAの動作を行う。
【0110】
一方、C−RNTIによる個別制御が行われる場合は、再度オペレーションCAの動作に移行して、オペレーションCAの判断が「N」になり、動作はオペレーションCDへ進む。オペレーションCDにおいて、移動局3はC−RNTIでアドレッシングされた個別TA値を受信することになるが、この場合、C−RNTIに付随する制御情報にはPDCCH上のリソース割当情報となっている。例えば、移動局3の制御チャネル復調部206はこのリソース割当情報に従ってPDCCHから個別TA値を復調し、制御情報処理部207を介して、送信タイミング制御部215に出力する。これにより、移動局3で個別TA値による個別の送信タイミング制御が行われる。
【0111】
<3.5.効果>
第3実施例では、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対する送信タイミング制御に、代表移動局3が送信した観測信号を共用する。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。また代表移動局3以外の移動局3の消費電力が低減される。
【0112】
また、第3実施例の通信システム1では、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対して、送信タイミング制御を一括で行うことができる。
図11は一括で送信タイミング制御が行われている様子の例を表す図である。複数の移動局3が同じ電車内で配置されるとき、移動速度は同じであるため、基地局2で測定したTA値はそれぞれ一定の範囲内に存在する。基地局2は、このような複数の移動局3をグループ化して、同一のTA値(又はグループTA値)により一括して送信タイミング制御を行うようにしている。
【0113】
また、移動局3毎に個別に送信タイミング制御が行われる場合には、
図8の(B)において点線で示すように、移動局3毎に個別に割り当てたPDCCHを利用してTAコマンドが送信される。この結果、PDCCHにおける複数の無線リソース(又は無線リソースブロック)が利用されることになる。
【0114】
しかし、第3実施例では、基地局2が複数の移動局3をグループ化又はグループ化しているため、グループTA値の送信単位はグループ単位であり、PDCCHにおいてグループ単位に1つの無線リソースが用いられる。このため、個別に送信タイミング制御が行われる場合と比較して、下り通信リンクの制御信号の送信によるオーバヘッドを削減することができる。
【0115】
<3.6.変形例>
なお、基地局2から移動局3へ送信するグループTA値や個別TA値の値は、TA値そのものの値であってもよく、以前に送信したTA値との差分であってもよい。差分値が送信されることで、TA値そのものを送信する場合と比較して制御信号のオーバヘッドを削減することができる。グループTA値の場合、例えば、MAC制御部102は、以前に計算したグループTA値を保持し、TA値計算部117から受け取った代表移動局3aのTA値と保持したグループTA値との差分値を更に計算する。そして、MAC制御部102は、この差分値をグループTA値としてパケット生成部103に出力する。MAC制御部102では、例えば、以前に計算したグループTA値そのものの値などを内部メモリなどに記憶することができる。MAC制御部102は、個別TA値についても、同様に差分値を計算しパケット生成部103に出力してよい。
【0116】
他方、移動局3においても、制御情報処理部207は以前に計算したTA値そのものを保持しており、受信した差分値と加算又は減算することで、現在のTA値を得ることができ、これを送信タイミング制御部215に出力できる。以下の実施例についても、基地局2は、TA値そのものに代えて差分値を移動局3に送信してよい。
【0117】
<4.第4実施例>
次に通信システム1の他の実施例について説明する。第3実施例では、例えば
図5に表されるように、TA値に基づいて移動局3のグループ化が行われた。TA値はある各時刻における値であり、例えば、基地局2から等距離にあり移動速度が等しいバス内と電車内の各々に移動局3が配置されていれば、これらの移動局3のTA値は等しくなる。このような場合、バス内の複数の移動局3と電車内の複数の移動局3とで同じグループが割り当てられる。
【0118】
第4実施例では、TA値についてある一定期間における時間変動量ΔTAが一定範囲内にある複数の移動局3をグループ化することで、第2の実施の形態よりも細かい送信タイミング制御を行うことができ、基地局2における受信タイミングのずれを防止できる。
【0119】
図12は、TA値の時間変動量ΔTAの分布例を表すグラフであり、縦軸は移動局数、横軸は時間変動量ΔTAを表している。例えば、バスと電車では移動速度の変化量は、時間経過により大きく異なり、バス内と電車内の各移動局3の基地局2における受信タイミング誤差量も時間経過に伴って異なるものとなる。従って、例えば
図12に示すように、バス内における複数の移動局3の時間変動量ΔTAはある範囲内にあり、電車内における複数の移動局3の時間変動量ΔTAは他の範囲内に分布することになる。
【0120】
時間変動量ΔTAは、例えば、基地局2における受信タイミング誤差の変化量と言うこともできる。
図11の例では、バス内の複数の移動局3が「グループ1」としてグループ化され、電車内の複数の移動局3が「グループ2」としてグループ化される。そして、2つのグループで夫々一括して送信タイミング制御が行われる。これにより、例えばある時刻でTA値が近いが異なる移動速度で移動している移動局3を別個のグループに分けることが可能になり、時間経過によりTA値のずれが大きくなる移動局3に同じタイミング補正量が与えられるという問題を回避することができる。
【0121】
第4実施例では、
図4に示すTA値計算部117がある一定時間TA値の計算をすることでTA値の時間変動量ΔTAを計算し、グループ生成部118が時間変動量ΔTAによりグループを生成することができる。また、
図7のオペレーションACにおいて、基地局2はTA値の時間変動量ΔTAに基づいてグループの生成や更新を行う。
【0122】
また、
図8のオペレーションBAにおいてTA値計算部117は、一定期間を隔てた複数時刻でそれぞれTA値を計算する。例えば、移動局3は無線フレーム毎に参照信号を送信するため、TA値計算部117は、1無線フレーム期間を隔てた複数時刻のTA値を測定する。
【0123】
TA値計算部117は、2つのTA値の差を計算することで、TA値の時間変動量ΔTAを計算する。例えば、TA値計算部117は、測定したTA値と1無線フレーム経過後のTA値との差を計算することで時間変動量ΔTAを得る。例えば、TA値計算部117は、1無線フレーム経過後のTA値ではなく、例えば複数フレーム時間経過後のTA値を用いてもよい。TA値計算部117は、1または複数シンボルタイミング、1又は複数スロットタイミング、或いは、最初に測定したTA値からの一定時間を測定して一定時間経過後のTA値を用いてもよい。
【0124】
オペレーションBBにおいてグループ生成部118は、TA値の時間変動量ΔTAからグループを生成する。例えば、TA値計算部117は計算した時間変動量ΔTAをグループ生成部118に出力し、グループ生成部118は時間変動量ΔTAが一定範囲内にある複数の移動局3をグループ化してグループを形成する。
【0125】
第4実施例においても、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対する送信タイミング制御に、代表移動局3が送信した観測信号を共用する。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して、上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。また代表移動局3以外の移動局3の消費電力が低減される。
【0126】
また、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対して、送信タイミング制御を一括で行うことができる。また、グループTA値は、PDCCHにおいてグループ単位に1つの無線リソースブロックにより送信することができる。従って、移動局3毎に個別にTA値を送信する場合と比較して、PDCCHにおける無線リソースの消費を少なくすることができる。
【0127】
<5.第5実施例>
次に通信システム1の他の実施例について説明する。第3実施例及び第4実施例では、グループTA値がG−RNTIなどによりマルチキャストで送信された。第5実施例では、グループTA値が報知情報として送信される。
【0128】
図13は、報知情報の構成例の一部を表す図である。報知情報は、グループIDとグループTA値とを1つの組として、基地局2が生成したグループの個数分の組を含んでいる。グループIDは、グループ識別子の一例である。
【0129】
報知情報は、例えばSIB(System Information Block)単位で80ms以上の周期で基地局2から送信される。
図14の(A)は報知情報に対する無線リソースの割り当て例を示す図である。
図14の(A)の例では、SIBはPDSCHの無線リソース上に割り当てられ、SI−RNTI(System Information RNTI)は、PDCCHの無線リソース上に割り当てられている。移動局3では、予め割り当てられたSI−RNTIと一致するSI−RNTIをPDCCHの無線リソースから得たとき、SI−RNTIに付随した制御情報に含まれるSIBのリソース割当情報を抽出する。
【0130】
移動局3は、抽出したリソース割当情報に基づき、SIBに含まれる報知情報を受信し、報知情報からグループTA値を取得することができる。なお、移動局3に割り当てられるSI−RNTIは、例えば、基地局2が予め送信したものを受信したもので、制御チャネル復調部206の内部メモリなどに保持されている。SI−RNTIは、例えば、SIBによる送信された報知情報を移動局3において受信するための識別子である。
【0131】
<5.1.全体動作例>
図7を参照して通信システム1の全体動作例を説明する。オペレーションAA〜ACの動作は第3実施例におけるオペレーションAA〜ACの動作と同様である。オペレーションADにおいて基地局2は、グループにグループIDを割り当てて、グループに属する各移動局3にグループIDを送信する。例えば、グループIDは、MAC−CE(Media Access Control - Control Element)制御情報として送信される。この場合、グループIDは、例えば
図14の(B)に示すようにPDSCHの無線リソースを用いて送信される。
【0132】
オペレーションAE〜AHの動作は第3実施例におけるオペレーションAE〜AHの動作と同様である。オペレーションAIにおいて基地局2はグループTA値を報知情報として送信する。基地局2は、例えば、
図14の(A)に示すようにPDCCHの無線リソース上にSI−RNTIを割り当てて、PDSCH上の無線リソース上にグループIDとクタスタTA値とを割り当てることで送信する。報知情報を受信した移動局3a〜3cは、グループ4aのグループTA値を受信し、グループTA値に従って送信タイミング制御を行うことができる。オペレーションAJの動作は第3実施例におけるオペレーションAJの動作と同様である。
【0133】
<5.2.基地局2の動作>
図8を参照して基地局2の動作を説明する。オペレーションBA及びBBの動作は第3実施例におけるオペレーションBA及びBBの動作と同様である。オペレーションBCにおいて基地局2は、グループメンバ3a〜3cに対するグループIDの新規割り当てを行う。例えば、MAC制御部102は、グループ生成部118からグループに関する情報を受け取り、同一グループ4aに属する移動局3a〜3cにグループIDを割り当てる。
【0134】
オペレーションBDにおいて基地局2は割り当てたグループIDをグループ4に属する各移動局3a〜3cに送信する。例えば、MAC制御部102は、グループIDをMAC−CE制御情報としてパケット生成部103に出力する。また、無線リソース制御部101は、例えば、MAC制御部102からグループIDの割り当てについて通知を受けると、PDSCHの無線リソース上にグループIDを割り当てる。オペレーションBE及びBFの動作は第3実施例におけるオペレーションBE及びBFの動作と同様である。
【0135】
オペレーションBGにおいて基地局2は、グループIDとグループTA値とを報知情報として送信する。例えばMAC制御部102はグループTA値とS62で生成したグループIDとを報知情報としてパケット生成部103に出力する。MAC制御部102は、例えば、複数のグループを生成したときは、生成したグループの個数分のグループIDとグループTA値とを出力する。無線リソース制御部101は、例えば、MAC制御部102からグループTA値を計算したことを通知されたとき、グループTA値に対する無線リソースの割り当てを行う。
【0136】
無線リソース制御部101は、SI−RNTIに付随する制御情報を生成し、この制御情報に報知情報のリソース割当情報を含ませるようにする。無線リソース制御部101は、
図14の(A)に示すように、SI−RNTIとSI−RNTIに付随する制御情報をPDCCHの無線リソース上に割り当てる。また、無線リソース制御部101は、報知情報として送信するグループIDとグループTA値とをPDSCHの無線リソース上に割り当てる。無線リソース制御部101は、SI−RNTIに付随する制御情報とSI−RNTIとを多重部107に出力する。これにより、例えば、報知情報が移動局3にブロードキャストで送信される。オペレーションBH及びBIの動作は第3実施例におけるオペレーションBH及びBIの動作と同様である。
【0137】
<5.3.移動局3の動作>
図15は移動局3の動作例の説明図である。オペレーションDAにおいて移動局3は、グループIDの割り当てがあるか否かを判別する。グループIDの割り当ての有無は、例えば、制御情報処理部207がMAC−CE制御情報として送信されたグループIDを受信したか(又は入力したか)否かにより判別できる。グループIDの割り当てがある場合(オペレーションDA:Y)に動作はオペレーションDBへ進む。グループIDの割り当てがない場合(オペレーションDA:N)に動作はオペレーションDDへ進む。
【0138】
オペレーションDBにおいて移動局3は、報知情報で通知されたグループTA値を受信する。例えば、制御チャネル復調部206は、PDCCHにより送信された制御情報を受信し、SI−RNTIを抽出して、予め自局に割り当てられたSI−RNTIと一致するとき、SI−RNTIに付随する制御情報を抽出する。制御チャネル復調部206は、SI−RNTIに付随する制御情報に含まれる報知情報のリソース割当情報を読み出し、このリソース割当情報を復調部204及び復号部205に出力する。
【0139】
これにより、例えば、移動局3はPDSCHの無線リソース上に割り当てられた報知情報を抽出できる。そして、制御情報処理部207は、例えば、報知情報からグループIDとグループTA値を読み出し、移動局3に割り当てられたグループIDと一致するグループIDを報知情報から見つけ出し、このグループIDに対応するグループTA値を抽出する。抽出されたグループTA値は、例えば、送信タイミング制御部215に出力されて、送信タイミング制御が行われる。オペレーションDC〜DEの動作は、
図10のオペレーションCC〜CEの動作と同様である。
【0140】
<5.4.効果>
第5実施例においても、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対する送信タイミング制御に、代表移動局3が送信した観測信号を共用する。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して、上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。また代表移動局3以外の移動局3の消費電力が低減される。
【0141】
また、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対して、送信タイミング制御を一括で行うことができる。また、グループTA値は、PDCCHにおいてグループ単位に1つの無線リソースブロックにより送信することができる。従って、移動局3毎に個別にTA値を送信する場合と比較して、PDCCHにおける無線リソースの消費を少なくすることができる。
【0142】
<6.第6実施例>
次に通信システム1の他の実施例について説明する。第6実施例では、グループTA値がページングチャネルとして送信される。ページングチャネルは、例えば、移動局3宛の呼着信が発生した場合など、移動局3に対するイベントが発生したときに送信されるチャネルである。また、ページングチャネルは、例えば、基地局2からブロードキャストで報知されるチャネルでもある。
【0143】
第6の実施の形態は、ページングチャネルにより送信される報知情報の一部を利用してグループTA値を送信する。ページングチャネルによる報知情報の送信は、SIBによる送信よりも頻繁に行われるため、第6実施例では第5実施例よりも、送信タイミング制御が行われる回数を増やすことができる。
【0144】
図16の(A)及び
図16の(B)は、グループID及びページングチャネルによる報知情報に対する無線リソースの割り当てを夫々表す図である。
図16の(A)に示すように、割り当てが行われたグループIDはMAC−CE制御情報としてPDSCHの無線リソースを利用して送信される。
【0145】
図16の(B)に表されるように、PDCCHの無線リソース上にP−RNTI(Paging - RNTI)とP−RNTIに付随する制御情報が割り当てられ、PDSCHの無線リソース上にページングチャネルによる報知情報が夫々割り当てられている。P−RNTIは、例えば、ページングチャネルにより送信される報知情報の識別子であり、移動局3に予め割り当てられて保持されているものとする。そして、移動局3では、保持したP−RNTIと受信したP−RNTIとが一致するとき、P−RNTIに付随する制御情報からリソース割当情報を抽出する。
【0146】
移動局3は、抽出したリソース割当情報から、PDSCHの無線リソースに割り当てられたページングチャネルによる報知情報を受信することができる。報知情報には、
図13の例と同様に、グループIDとグループTA値が含まれ、複数のグループが生成されたときは複数の組が含まれる。
【0147】
<6.1.全体動作例>
図7を参照して通信システム1の全体動作例を説明する。オペレーションAA〜ACの動作は第3実施例におけるオペレーションAA〜ACの動作と同様である。オペレーションADの動作は第5実施例におけるオペレーションADの動作と同様である。オペレーションAE〜AHの動作は第3実施例におけるオペレーションAE〜AHの動作と同様である。
【0148】
オペレーションAIにおいて基地局2は、グループTA値と割り当てたグループIDとをページングチャネルにより報知情報としてブロードキャストにより送信する。例えば、無線リソース制御部101は、MAC制御部102からグループTA値の生成についての通知を受けると、予め送信したP−RNTIの中からグループTA値の送信先を抽出する。そして、無線リソース制御部101は、P−RNTIをPDCCH、グループIDとグループTA値とをPDSCHの無線リソース上に夫々割り当てる。
【0149】
さらに、無線リソース制御部101は、例えば、P−RNTIに付随する制御情報を生成し、グループTA値のリソース割当情報を当該制御情報に含めるようにする。無線リソース制御部101は、P−RNTIと制御情報とを多重部107に、グループIDとグループTA値とをパケット生成部103に夫々出力する。これにより、例えば、
図16の(B)に示すような無線リソースの割り当てが行われ、グループIDとグループTA値とが移動局3に送信される。オペレーションAJの動作は第3実施例におけるオペレーションAJの動作と同様である。
【0150】
<6.2.基地局2の動作>
図8を参照して基地局2の動作を説明する。オペレーションBA及びBBの動作は第3実施例におけるオペレーションBA及びBBの動作と同様である。オペレーションBC及びBDの動作は第5実施例におけるオペレーションBC及びBDの動作と同様である。オペレーションBE及びBFの動作は第3実施例におけるオペレーションBE及びBFの動作と同様である。
【0151】
オペレーションBGにおいて基地局2は、グループIDとグループTA値とをページングチャネルにより報知情報として送信する。例えばMAC制御部102はグループTA値とS62で生成したグループIDとを報知情報としてパケット生成部103に出力する。無線リソース制御部101は、MAC制御部102からグループTA値を計算したことを通知されたとき、グループTA値に対する無線リソースの割り当てを行う。
【0152】
無線リソース制御部101は、P−RNTIに付随する制御情報を生成し、この制御情報に報知情報のリソース割当情報を含ませるようにする。無線リソース制御部101は、P−RNTIとP−RNTIに付随する制御情報をPDCCHの無線リソース上に割り当てる。また、無線リソース制御部101は、報知情報として送信するグループIDとグループTA値とをPDSCHの無線リソース上に割り当てる。無線リソース制御部101は、P−RNTIに付随する制御情報とP−RNTIとを多重部107に出力する。これにより、例えば、報知情報が移動局3にブロードキャストで送信される。オペレーションBH及びBIの動作は第3実施例におけるオペレーションBH及びBIの動作と同様である。
【0153】
<6.3.移動局3の動作>
図15を参照して、基地局2の動作を説明する。オペレーションDAの動作は第5実施例におけるオペレーションDAの動作と同様である。オペレーションDBにおいて移動局3は、ページングチャネルにより報知情報として通知されたグループTA値とグループIDとを受信する。
【0154】
例えば、制御チャネル復調部206はP−RNTIを受信すると、当該P−RNTIと保持したP−RNTIとが一致するとき、自局宛のP−RNTIであることを認識し、このP−RNTIに付随する制御情報を抽出する。そして、制御チャネル復調部206は、制御情報からページングチャネルにより報知された報知情報の割当情報を抽出し、復調部204及び復号部205に出力する。
【0155】
復調部204及び復号部205は、ページングチャネルにより送信された報知情報を復調及び復号し、報知情報として制御情報処理部207に出力する。例えば、制御情報処理部207は、移動局3に割り当てられたグループIDと一致するグループIDを報知情報から抽出し、このグループIDに対応するグループTA値を報知情報から読み出す。そして、グループTA値は送信タイミング制御部215に出力され、送信タイミング制御が行われる。オペレーションDC〜DEの動作は、
図10のオペレーションCC〜CEの動作と同様である。
【0156】
<6.4.効果>
第6実施例においても、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対する送信タイミング制御に、代表移動局3が送信した観測信号を共用する。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して、上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。また代表移動局3以外の移動局3の消費電力が低減される。
【0157】
また、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対して、送信タイミング制御を一括で行うことができる。また、グループTA値は、PDCCHにおいてグループ単位に1つの無線リソースブロックにより送信することができる。従って、移動局3毎に個別にTA値を送信する場合と比較して、PDCCHにおける無線リソースの消費を少なくすることができる。
【0158】
また、ページングチャネルを使用することにより、第5実施例よりも高い頻度で送信タイミング制御を行うことができる。
【0159】
<7.第7実施例>
次に通信システム1の他の実施例について説明する。第7実施例では、代表移動局3aのC−RNTIをグループ4aの移動局3a〜3cに通知する。代表移動局3a以外の、グループ4aの移動局3b及び3cは、代表移動局3aのC−RNTIを用いて、基地局2が代表移動局3aに送信したTA値を受信する。移動局3b及び3cは、代表移動局3aのTA値で送信タイミング制御を行う。
【0160】
図17の(A)及び
図17の(B)は、C−RNTI及びTA値に対する無線リソースの割り当てを夫々表す図である。
図17の(A)に示すように、代表移動局3aのC−RNTIは、RRC制御情報としてPDSCHの無線リソースを利用して送信される。
【0161】
図17の(B)に表されるように、PDCCHの無線リソース上にC−RNTIとC−RNTIに付随する制御情報が割り当てられる。また、代表移動局3aのTA値は、MAC−CE制御情報としてPDSCHの無線リソースを利用して送信される。代表移動局3aは、代表移動局3aに割り当てられたC−RNTIと受信したC−RNTIとが一致するとき、C−RNTIに付随する制御情報からTA値のリソース割当情報を抽出する。代表移動局3a以外の移動局3b及び3cは、RRC制御情報として受信した代表移動局3aのC−RNTIとPDCCHの無線リソースで受信したC−RNTIとが一致するとき、C−RNTIに付随する制御情報からTA値のリソース割当情報を抽出する。移動局3は、抽出したリソース割当情報から、PDSCHの無線リソースに割り当てられたTA値を受信することができる。
【0162】
<7.1.全体動作例>
図18は、通信システム1の全体動作例を示すシーケンス図である。オペレーションEA〜EDの動作は、
図7のオペレーションAA〜AC及びAEの動作と同様である。
【0163】
オペレーションEEにおいて基地局2は、代表移動局3aのC−RNTIを、代表移動局3aの識別子として移動局3a〜3cに送信する。基地局2は、割り当てたC−RNTIを、例えばPDSCHチャネルの無線リソースを用いてRRC制御情報として移動局3に送信する。自局のC−RNTIを受信した移動局3aは、自局が代表移動局3aであると判断する。例えば、移動局3aの制御情報処理部207は、自局のC−RNTIを受信した場合に、自局が代表移動局3aであると判断する。
【0164】
オペレーションEFにおいて代表移動局3aは、観測信号を送信する。例えば、制御情報処理部207は、パイロット生成部217に、パイロット信号を観測信号として反復的に生成させる。例えば、制御情報処理部207は、上りリンク同期外れを検出する基地局2のTAタイマの満了前のいずれかの時期に、パイロット生成部217にパイロット信号を生成する。制御情報処理部207は、例えば、TAタイマがリセットされてから満了するまでの期間よりも短い周期で、パイロット生成部217にパイロット信号を生成してもよい。パイロット信号は、多重部211により上りリンク信号に多重化されて基地局2に送信される。オペレーションEGにおいて基地局2は、観測信号に基づいて代表移動局3aのTA値を測定する。
【0165】
オペレーションEHにおいて基地局2は、代表移動局3aにTA値を送信する。移動局3a〜3cは、代表移動局3aのC−RNTIでアドレッシングされたTA値を受信する。代表移動局3aは、自局のC−RNTIに付随する制御情報をPDCCH上から抽出し、制御情報に含まれるリソース割当情報に基づいてPDSCHの無線リソースに割り当てられたTA値を受信する。移動局3b及び3cは、RRC制御情報として受信した代表移動局3aのC−RNTIに付随する制御情報をPDCCH上から抽出し、制御情報に含まれるリソース割当情報に基づいてTA値を受信する。オペレーションEIの動作は、
図7のオペレーションAJの動作と同様である。
【0166】
<7.2.基地局2の動作>
図19は、基地局2の動作例の説明図である。オペレーションFA〜FDは、
図8のオペレーションBA〜BC及びBEと同様である。オペレーションFEにおいて基地局2は、代表移動局3aの識別子として、代表移動局3aのC−RNTIを移動局3a〜3cに送信する。例えば、無線リソース制御部101は、代表移動局3aのC−RNTIをRRC制御情報としてパケット生成部103に出力する。これにより、C−RNTIは、同一のグループ4aに属する各移動局3a〜3cに送信される。
【0167】
オペレーションFFにおいて基地局2は、代表移動局3aのTA値を送信する。例えば、MAC制御部102は、TA値計算部117で計算された代表移動局3aのTA値を、グループ生成部118と無線リソース制御部101を介して受け取る。なお、無線リソース制御部101は、例えば、MAC制御部102からTA値を計算したことを通知されたとき、TA値に対する無線リソースの割り当てを行う。
【0168】
無線リソース制御部101は、例えば、C−RNTIに付随する制御情報を生成し、この制御情報にTA値のリソース割当情報を含ませるようにする。無線リソース制御部101は、PDCCHの無線リソース上に移動局固有のサーチスペースを設定し、このサーチスペース内の無線リソースをC−RNTI及びC−RNTIに付随する制御情報に割り当てる。無線リソース制御部101は、TA値をPDSCHの無線リソース上に割り当てる。無線リソース制御部101は、C−RNTIとC−RNTIに付随する制御情報とを多重部107に出力する。オペレーションFG及びFHの動作は
図8のオペレーションBH及びBIと同様である。
【0169】
<7.3.移動局3の動作>
図20は、移動局3の動作例の説明図である。オペレーションGAにおいて移動局3は、代表移動局3aのC−RNTIをRRC制御情報として受信したか否かを判別する。例えば制御情報処理部207が、復号部205の出力から代表移動局3aのC−RNTIを抽出できたか否かにより判別できる。C−RNTIの受信がある場合(オペレーションGA:Y)に動作はオペレーションGBへ進む。C−RNTIの割り当てがない場合(オペレーションGA:N)に動作はオペレーションGDへ進む。
【0170】
オペレーションGBにおいて移動局3は、C−RNTIでアドレッシングされたグループTA値を受信する。代表移動局3aの制御チャネル復調部206は、PDCCHなどの制御チャネルにより受信したC−RNTIと自局のC−RNTIと一致しているか否かを判断する。一致していると判別したとき、例えば、制御チャネル復調部206は、受信したC−RNTIに付随した制御情報から、TA値のリソース割当情報を抽出し、このリソース割当情報を復調部204と復号部205に出力する。代表移動局3aは、C−RNTIでアドレッシングされて、PDSCHにより送信されたTA値を復調及び復号することができる。
【0171】
代表移動局3a以外の移動局3b及び2cの制御チャネル復調部206はPDCCHなどの制御チャネルにより受信したC−RNTIを受信し、制御情報処理部207から受け取った代表移動局3aのC−RNTIと一致しているか否かを判別する。一致していると判別したとき、例えば、制御チャネル復調部206は、受信したC−RNTIに付随した制御情報から、代表移動局3aのTA値のリソース割当情報を抽出し、このリソース割当情報を復調部204と復号部205に出力する。移動局3b及び3cは、C−RNTIでアドレッシングされて、PDSCHにより送信されたTA値を復調及び復号することができる。オペレーションGCにおいて移動局3は、受信したTA値で送信タイミング制御を行う。オペレーションGD及びGEの動作は、
図10のオペレーションCD及びCEの動作と同様である。
【0172】
<7.4.効果>
第7実施例においても、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対する送信タイミング制御に、代表移動局3が送信した観測信号を共用する。このためグループの移動局3が各々観測信号を送信する場合と比較して、上り通信リンクにおける制御信号のオーバヘッドが低減される。また代表移動局3以外の移動局3の消費電力が低減される。
【0173】
また、同一のグループ内に属する複数の移動局3に対して、送信タイミング制御を一括で行うことができる。また、グループTA値は、PDCCHにおいてグループ単位に1つの無線リソースブロックにより送信することができる。従って、移動局3毎に個別にTA値を送信する場合と比較して、PDCCHにおける無線リソースの消費を少なくすることができる。
【0174】
<8.ハードウエア構成>
最後に、上記の基地局2及び移動局3を実現するハードウエア構成の一例について説明する。
図21は基地局2のハードウエア構成の一例の説明図である。基地局2は、CPU(Central Processing Unit)150と、メモリ151と、LSI(Large Scale Integration)152と、無線通信回路153及び154と、送信アンテナ110と、受信アンテナ111を備える。メモリ151は、コンピュータプログラムやデータを記憶するための、不揮発性メモリや、読み出し専用メモリ(ROM: Read Only Memory)やランダムアクセスメモリ(RAM: Random Access Memory)等を含んでいてよい。LSI(Large Scale Integration)152は、FPGA(Field-Programming Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やDSP(Digital Signal Processing)等を含んでいてよい。無線通信回路153は、デジタル・アナログ変換回路や、周波数変換回路などを含んでいてよい。無線通信回路154は、アナログ・デジタル変換回路や、周波数変換回路などを含んでいてよい。
【0175】
図4に示す基地局2の無線処理部109及び無線処理部112の上記動作は、例えば、無線通信回路153及び154によって実行される。無線リソース制御部101、MAC制御部102、パケット生成部103、MACスケジューリング部104、符号化部105、変調部106、多重部107、IFFT部108の上記動作は、CPU150とLSI152とが協働することにより実行される。FFT部113、復調部114、復号部115、RLC部116、TA値計算部117、グループ生成部118、指定部119、指示信号生成部120の上記動作は、CPU150とLSI152とが協働することにより実行される。
【0176】
図22は移動局3のハードウエア構成の一例の説明図である。移動局3は、CPU250と、メモリ251と、LSI252と、無線通信回路253及び254と、アンテナ201を備える。メモリ151は、コンピュータプログラムやデータを記憶するための、不揮発性メモリや、読み出し専用メモリやランダムアクセスメモリを含んでいてよい。LSI152は、FPGA、ASICやDSP等を含んでいてよい。無線通信回路253は、アナログ・デジタル変換回路や、周波数変換回路などを含んでいてよい。無線通信回路254は、デジタル・アナログ変換回路や、周波数変換回路などを含んでいてよい。
【0177】
図4の無線処理部202及び無線処理部216の上記動作は、例えば、無線通信回路153及び154によって実行される。FFT部203、復調部204、復号部205、制御チャネル復調部206、制御情報処理部207、データ処理部208、多重部209、シンボルマッピング部210の上記動作は、CPU250とLSI252とが協働することにより実行される。多重部211、FFT部212、周波数マッピング部213、IFFT部214、送信タイミング制御部215、パイロット生成部217及びプリアンブル生成部218の上記動作は、CPU250とLSI252とが協働することにより実行される。
【0178】
なお、
図21及び
図22に示すハードウエア構成は実施例の説明のための例示にすぎない。以下に記載される動作を実行するものであれば、本明細書に記載される基地局2及び移動局3は他のどのようなハードウエア構成を採用してもよい。
【0179】
また、
図2〜5の機能構成図は、本明細書において説明される基地局2及び移動局3の機能に関係する構成を中心に示している。基地局2及び移動局3は、図示の構成要素以外の他の構成要素を含んでいてよい。
【0180】
図7、
図8、
図10、
図15、
図18〜
図20を参照して説明する一連の動作は複数の手順を含む方法と解釈してもよい。この場合に「オペレーション」を「ステップ」と読み替えてもよい。
【0181】
ここに記載されている全ての例及び条件的な用語は、読者が、本発明と技術の進展のために発明者により与えられる概念とを理解する際の助けとなるように、教育的な目的を意図したものであり、具体的に記載されている上記の例及び条件、並びに本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する本明細書における例の構成に限定されることなく解釈されるべきものである。本発明の実施例は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であると解すべきである。