(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エポキシ樹脂(D)、フェノール樹脂(E)、及び一般式(1)で示される前記ポリマレイミド化合物(B)以外のマレイミド化合物(F)からなる群より選ばれる1種以上をさらに含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の記載の方法では、プレポリマー化によって、硬化性については向上しているものの、低吸水性や吸湿耐熱性の特性改善については未だ不十分であるため、さらなる低吸水性や吸湿耐熱性の向上が求められている。また、特許文献3の記載の方法では、耐熱性、吸水性の特性改善については未だ不十分であるため、さらなる低吸水性や吸湿耐熱性の向上が求められている。さらに、特許文献4、5のように、ハロゲン系化合物を用いると、燃焼時にダイオキシン等の有害物質が発生する恐れがあるため、ハロゲン系化合物を含まずに難燃性を向上させることが求められている。また、吸湿性を低下させつつ、かつ、めっきピール強度を向上させることについては、いずれの文献にも開示されていない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低い吸水性と、高いめっきピール強度を有する硬化物を与えることのできる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、該プリプレグを用いた金属箔張積層板、樹脂組成物を用いた樹脂複合シート、及び樹脂組成物を用いたプリント配線板等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定のシアン酸エステル化合物と特定のポリマレイミド化合物とを共に含有する樹脂組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合
物(A)、
一般式(1)で示されるポリマレイミド化合物(B)、及び
充填材(C)を含有する、樹脂組成物。
【化1】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基及びフェニル基からなる群より選ばれる基を表し、nは平均値であり1<n≦5を表す。)
〔2〕
前記ポリマレイミド化合物(B)の含有量が、前記樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、1〜90質量部である、〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕
エポキシ樹脂(D)、フェノール樹脂(E)、及び一般式(1)で示される前記ポリマレイミド化合物(B)以外のマレイミド化合物(F)からなる群より選ばれる1種以上をさらに含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕
前記充填材(C)の含有量が、前記樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、50〜1600質量部である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔5〕
基材と、
該基材に含浸又は塗布された、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、を有する、プリプレグ。
〔6〕
少なくとも1枚以上積層された〔5〕に記載のプリプレグと、
該プリプレグの片面又は両面に配された金属箔と、を有する、金属箔張積層板。
〔7〕
支持体と、
該支持体の表面に配された、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、を有する、樹脂複合シート。
〔8〕
絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層と、を有し、
前記絶縁層が、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、プリント配線板。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低い吸水性と、高いめっきピール強度を有する硬化物を与えることのできる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、該プリプレグを用いた金属箔張積層板、樹脂組成物を用いた樹脂複合シート、及び樹脂組成物を用いたプリント配線板を提供することができる。
【0012】
また、本発明の好適な態様によれば、非ハロゲン系化合物のみからなる樹脂組成物(換言すれば、ハロゲン系化合物を含まない樹脂組成物、非ハロゲン系樹脂組成物)、プリプレグ、樹脂複合シート、金属箔張積層板、及びプリント配線板等を実現することもでき、その工業的な実用性は極めて高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
【0014】
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、トリスフェノールメタン型シアン酸エステル化合物、及びアダマンタン骨格型シアン酸エステル化合物からなる群より選ばれる1種以上のシアン酸エステル化合物(A)、一般式(1)で示されるポリマレイミド化合物(B)、及び充填材(C)を含有する。
【化2】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基を表し、nは平均値であり1<n≦5を表す。)
【0015】
〔シアン酸エステル化合物(A)〕
シアン酸エステル化合物(A)は、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、トリスフェノールメタン型シアン酸エステル化合物、及びアダマンタン骨格型シアン酸エステル化合物からなる群より選ばれるいずれか1種以上である。この中でも、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、及びキシレン樹脂型シアン酸エステル化合物からなる群より選ばれるいずれか1種以上が好ましく、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物が特に好ましい。このようなシアン酸エステル化合物を用いることにより、得られる硬化物のめっき密着性がより向上し、かつ、吸水性がより低下する。これらのシアン酸エステル化合物は、公知の方法で得ることができ、市販品も使用することができる。なお、ナフトールアラルキル骨格、ナフチレンエーテル骨格、キシレン骨格、トリスフェノールメタン骨格、又はアダマンタン骨格を有するシアン酸エステル化合物は、比較的に官能基当量数が大きく、未反応のシアン酸エステル基が少なくなる傾向にあるため、吸水性がより低下する。また、芳香族骨格又はアダマンタン骨格を有することにより、めっき密着性がより向上する。しかしながら、シアン酸エステル化合物(A)の構造による効果向上の作用機序については上記に限定されない。
【0016】
シアン酸エステル化合物(A)の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、好ましくは200〜5000であり、より好ましくは300〜3000であり、さらに好ましくは300〜2000である。シアン酸エステル化合物(A)の重量平均分子量Mwが上記範囲であることにより、樹脂組成物の成形性がより向上し、得られる硬化物の外観不良がより改善される傾向にある。
【0017】
シアン酸エステル化合物(A)の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは10〜99質量部であり、より好ましくは15〜90質量部であり、さらに好ましくは20〜75質量部であり、よりさらに好ましくは25〜60質量部である。シアン酸エステル化合物(A)の含有量が上記範囲内であることにより、得られる硬化物のめっき密着性がより向上し、かつ、吸水性がより低下する傾向にある。ここで、「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、溶剤及び充填材(C)を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における溶剤及び充填材を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
【0018】
〔ポリマレイミド化合物(B)〕
ポリマレイミド化合物(B)は、下記一般式(1)で示される。このような構造を有するポリマレイミド化合物を用いることにより、得られる硬化物のめっき密着強度がより向上する。
【化3】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基を表し、nは平均値であり1<n≦5を表す。)
【0019】
式(1)において複数存在するRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。このなかでも、水素原子、メチル基、又はフェニル基が好ましい。このような基を有することにより、得られる硬化物の難燃性及びめっき密着強度がより向上する傾向にある。また、nは平均値であり1<n≦5を表す。nが5以下であると溶剤溶解性が良好となる。このようなポリマレイミド化合物(B)としては、特に限定されないが、例えば、日本化薬株式会社製、MIR−3000が挙げられる。
【0020】
ポリマレイミド化合物(B)の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1〜90質量部であり、より好ましくは15〜90質量部であり、さらに好ましくは25〜75質量部であり、よりさらに好ましくは40〜60質量部である。ポリマレイミド化合物(B)の含有量が上記範囲であることにより、得られる硬化物の可とう性及びめっき密着強度がより向上する傾向にある。
【0021】
シアン酸エステル化合物(A)のシアン酸エステル基当量に対する、ポリマレイミド化合物(B)のマレイミド基当量の比率は、好ましくは0.1〜9.0であり、より好ましくは0.4〜3.0であり、さらに好ましくは0.7〜2.5である。シアン酸エステル化合物(A)のシアン酸エステル基当量に対する、ポリマレイミド化合物(B)のマレイミド基当量の比率が、上記範囲内であることにより、得られる硬化物の吸水性がより低下し、めっきピール強度がより向上する傾向にある。
【0022】
〔充填材(C)〕
充填材(C)としては、公知のものを適宜使用することができ、その種類は特に限定されず、当業界において一般に使用されている無機系充填材及び有機系充填材を好適に用いることができる。無機系充填材としては、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ、ホワイトカーボン等のシリカ類;チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、アルミナ等の酸化物;窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物;硫酸バリウム等の硫酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物;酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛等の亜鉛類;クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ;E−ガラス、A−ガラス、NE−ガラス、C−ガラス、L−ガラス、D−ガラス、S−ガラス、M−ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラスなどが挙げられる。
【0023】
有機系充填材としては、特に限定されないが、例えば、スチレン型、ブタジエン型、アクリル型などのゴムパウダー、コアシェル型のゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダーなどが挙げられる。これらの充填材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このなかでも、無機系充填材が好ましく、シリカ類がより好ましい。
【0024】
充填材(C)の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは50〜1600質量部であり、より好ましくは75〜1200質量部であり、さらに好ましくは75〜1000質量部であり、よりさらに好ましくは75〜750質量部であり、さらにより好ましくは75〜500質量部であり、特に好ましくは75〜150質量部である。充填材(C)の含有量が上記範囲内であることにより、樹脂組成物の成形性がより向上する傾向にある。
【0025】
ここで充填材(C)を使用するにあたり、シランカップリング剤や湿潤分散剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシランなどのアミノシラン系化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系化合物;γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルートリ(β−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン系化合物;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系化合物;フェニルシラン系化合物などが挙げられる。シランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、湿潤分散剤としては、一般に塗料用に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。好ましくは、共重合体ベースの湿潤分散剤が使用され、その具体例としては、ビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk−110、111、161、180、BYK−W996、BYK−W9010、BYK−W903、BYK−W940などが挙げられる。湿潤分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
〔その他の成分〕
さらに、本実施形態の樹脂組成物においては、必要に応じて、エポキシ樹脂(D)、フェノール樹脂(E)、一般式(1)で示されるポリマレイミド化合物(B)以外のポリマレイミド化合物(F)、オキセタン樹脂(G)、ベンゾオキサジン化合物(H)、重合可能な不飽和基を有する化合物(I)等を含有していてもよい。特に、エポキシ樹脂(D)、フェノール樹脂(E)、及び一般式(1)で示される前記ポリマレイミド化合物(B)以外のマレイミド化合物(F)からなる群より選ばれる1種以上をさらに含有することが好ましい。
【0028】
〔エポキシ樹脂(D)〕
エポキシ樹脂(D)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、公知のものを適宜使用することができ、その種類は特に限定されない。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂(D)のなかでは、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が難燃性、耐熱性の面で好ましい。これらのエポキシ樹脂(D)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
〔フェノール樹脂(E)〕
フェノール樹脂(E)としては、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂(E)の中では、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂が難燃性の点で好ましい。これらのフェノール樹脂(E)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
〔マレイミド化合物(F)〕
一般式(1)で示されるポリマレイミド化合物(B)以外のマレイミド化合物(F)としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物で、一般式(1)で示されるポリマレイミド化合物(B)以外のものであれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、マレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのマレイミド化合物(F)は1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0031】
〔オキセタン樹脂(G)〕
オキセタン樹脂(G)としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製商品名)、OXT−121(東亞合成製商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらのオキセタン樹脂(G)は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0032】
〔ベンゾオキサジン化合物(H)〕
ベンゾオキサジン化合物(H)としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ(小西化学製商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ(小西化学製商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(小西化学製商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらのベンゾオキサジン化合物(H)は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0033】
〔重合可能な不飽和基を有する化合物(I)〕
重合可能な不飽和基を有する化合物(I)としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、ベンゾシクロブテン樹脂、(ビス)マレイミド樹脂等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらの不飽和基を有する化合物(I)は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0034】
〔硬化促進剤〕
また、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、硬化速度を適宜調節するための硬化促進剤を含有していてもよい。この硬化促進剤としては、シアン酸エステル化合物やエポキシ樹脂等の硬化促進剤として一般に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。その具体例としては、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄、オクチル酸ニッケル、オクチル酸マンガン等の有機金属塩類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物;1−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;及びこれらのイミダゾール類のカルボン酸もしくはその酸無水類の付加体等の誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン類;ホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホニウム塩系化合物、ダイホスフィン系化合物等のリン化合物;エポキシ−イミダゾールアダクト系化合物;ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物;又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
なお、硬化促進剤の使用量は、樹脂の硬化度や樹脂組成物の粘度等を考慮して適宜調整でき、特に限定されないが、通常は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対し、0.005〜10質量部である。
【0036】
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、難燃性化合物、各種添加剤等を併用することができる。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性化合物としては、4,4’−ジブロモビフェニル等の臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。また、各種添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、流動調整剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらは、所望に応じて1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
〔有機溶剤〕
なお、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を使用することができる。この場合、本実施形態の樹脂組成物は、上述した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部が有機溶剤に溶解あるいは相溶した態様(溶液あるいはワニス)として用いることができる。有機溶剤としては、上述した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部を溶解あるいは相溶可能なものであれば、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の無極性溶剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
〔用途〕
本実施形態の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層、半導体パッケージ用材料として用いることができる。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、プリプレグ、該プリプレグを用いた金属箔張積層板、樹脂複合シート、及びプリント配線板を構成する材料として用いることができる。以下、これらについて説明する。
【0039】
(プリプレグ)
本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された上記樹脂組成物と、を有する。プリプレグの製造方法は、本実施形態の樹脂組成物と基材とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、120〜220℃で2〜15分程度乾燥させる方法等によって半硬化させることで、本実施形態のプリプレグを製造することができる。このとき、基材に対する樹脂組成物の付着量、すなわち半硬化後のプリプレグの総量に対する樹脂組成物量(充填材(C)を含む。)は、20〜99質量%の範囲であることが好ましい。
【0040】
本実施形態のプリプレグを製造する際に使用する基材としては、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することができる。例えば、Eガラス、Dガラス、Lガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、UNガラス、NEガラス、球状ガラス等のガラス繊維;クォーツ等のガラス以外の無機繊維;ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等の有機繊維;液晶ポリエステル等の織布が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。基材の形状としては、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等が知られているが、いずれであっても構わない。基材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基材の厚みは、特に限定されないが、積層板用途であれば0.01〜0.2mmの範囲が好ましく、特に超開繊処理や目詰め処理を施した織布が、寸法安定性の観点から好適である。さらに、エポキシシラン処理、アミノシラン処理などのシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布は吸湿耐熱性の観点から好ましい。また、液晶ポリエステル織布は、電気特性の面から好ましい。
【0041】
(金属箔張積層板)
また、本実施形態の金属箔張積層板は、少なくとも1枚以上積層された上記プリプレグと、該プリプレグの片面又は両面に配された金属箔と、を有する。金属箔張積層板の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上述したプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形する方法が挙げられる。具体的には、前述のプリプレグを一枚あるいは複数枚重ね、その片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置して、積層成形することにより作製することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられているものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔等の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚みは、特に限定されないが、2〜70μmが好ましく、3〜35μmがより好ましい。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを使用し、温度180〜350℃、加熱時間100〜300分、面圧20〜100kg/cm
2で積層成形することにより本発明の金属箔張積層板を製造することができる。また、上記のプリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることもできる。多層板の製造方法としては、例えば、上述したプリプレグ1枚の両面に35μmの銅箔を配置し、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して内層回路板を形成し、その後、この内層回路板と上記のプリプレグとを交互に1枚ずつ配置し、さらに最外層に銅箔を配置して、上記条件にて好ましくは真空下で積層成形することにより、多層板を作製することができる。本実施形態の金属箔張積層板は、プリント配線板として好適に使用することができる。
【0042】
(プリント配線板)
本実施形態のプリント配線板は、絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層と、を有し、絶縁層が、上記樹脂組成物を含む。このようなプリント配線板は、常法にしたがって製造することができ、その製造方法は特に限定されない。以下、プリント配線板の製造方法の一例を示す。まず、上述した銅張積層板等の金属箔張り積層板を用意する。次に、金属箔張り積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に上述したプリプレグを所要枚数重ね、さらにその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、さらに外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
【0043】
上記の製造例で得られるプリント配線板は、絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された導体層とを有し、絶縁層が上述した本実施形態の樹脂組成物を含む構成となる。すなわち、上述した本実施形態のプリプレグ(基材及びこれに含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物)、上述した本実施形態の金属箔張積層板の樹脂組成物の層(本発明の樹脂組成物からなる層)が、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層から構成されることになる。
【0044】
(樹脂複合シート)
他方、本実施形態の樹脂複合シートは、支持体と、該支持体の表面に配された上記樹脂組成物と、を有する。樹脂複合シートは、ビルドアップ用フィルム又はドライフィルムソルダーレジストとして使用することができる。樹脂複合シートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記の本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体に塗布し乾燥することで樹脂複合シートを得る方法が挙げられる。
【0045】
ここで用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状のものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0046】
塗布方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。また、乾燥後に、支持体と樹脂組成物が積層された樹脂複合シートから支持体を剥離又はエッチングすることで、単層シート(樹脂シート)とすることもできる。なお、上記の本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく単層シート(樹脂シート)を得ることもできる。
【0047】
なお、本実施形態の単層シート又は樹脂複合シートの作製において、溶剤を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20℃〜200℃の温度で1〜90分間が好ましい。また、単層シート又は樹脂複合シートにおいて、樹脂組成物は溶剤を乾燥しただけの未硬化の状態で使用することもできるし、必要に応じて半硬化(Bステージ化)の状態にして使用することもできる。さらに、本実施形態の単層又は樹脂複合シートの樹脂層の厚みは、本実施形態の樹脂組成物の溶液の濃度と塗布厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1〜500μmが好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
(合成例1)シアン酸エステル化合物の合成
1−ナフトールアラルキル樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)300g(OH基換算1.28mol)及びトリエチルアミン194.6g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
【0050】
塩化シアン125.9g(2.05mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.6mol)、ジクロロメタン293.8g、36%塩酸194.5g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)、水1205.9gを混合した。得られた混合液を、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を30分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン65g(0.64mol)(ヒドロキシ基1molに対して0.5mol)をジクロロメタン65gに溶解させた溶液(溶液2)を10分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
【0051】
その後、反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は5μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。
【0052】
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするナフトールアラルキル型のシアン酸エステル化合物(SNCN)(橙色粘性物)を331g得た。得られたSNCNの質量平均分子量Mwは600であった。また、SNCNのIRスペクトルは2250cm
−1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。
【0053】
(実施例1)
合成例1により得られたSNCN50質量部、式(2)で示されるビフェニルアラルキル型ポリマレイミド化合物(MIR−3000、日本化薬(株)製)50質量部、溶融シリカ(SC2050MB、アドマテックス製)100質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製)0.05質量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、150℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。なお、シアン酸エステル化合物(A)のシアン酸エステル基当量は256g/eqであり、ポリマレイミド化合物(B)のマレイミド基当量は275g/eqであり、シアン酸エステル化合物(A)のシアン酸エステル基当量に対する、ポリマレイミド化合物(B)のマレイミド基当量の比率は、1.07であった。
【化4】
(式中、nは平均値であり、1.4を表す。)
【0054】
得られたプリプレグを8枚重ねて12μm厚の電解銅箔(3EC−M3−VLP、三井金属(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間の積層成型を行い、絶縁層厚さ0.8mmの金属箔張積層板を得た。得られた金属箔張積層板を用いて、吸水率、めっきピール強度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
実施例1において、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物を50質量部用いる代わりに、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物(CA210、三菱ガス化学(株)製)を50質量部、オクチル酸亜鉛を0.03質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.8mmの金属箔張積層板を得た。得られた金属箔張積層板の評価結果を表1に示す。
【0056】
(比較例2)
実施例1において、式(2)で示されるビフェニルアラルキル型ポリマレイミド化合物を50質量部用いる代わりに、フェノールノボラック型マレイミド化合物(BMI−2300、大和化成(株)製)を50質量部、オクチル酸亜鉛を0.03質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.8mmの金属箔張積層板を得た。得られた金属箔張積層板の評価結果を表1に示す。
【0057】
(比較例3)
実施例1において、式(2)で示されるビフェニルアラルキル型ポリマレイミド化合物を50質量部用いる代わりに、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイアイ化成(株)製)を50質量部、オクチル酸亜鉛を0.03質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.8mmの金属箔張積層板を得た。得られた金属箔張積層板の評価結果を表1に示す。
【0058】
(測定方法及び評価方法)
1)吸水率:
実施例1及び比較例1〜3で得られた金属箔張積層板30mm×30mmにカットしたサンプルを使用し、JIS C648に準拠して、プレッシャークッカー試験機(平山製作所製、PC−3型)で121℃、2気圧で5時間処理後の吸水率を測定した。
【0059】
2)めっきピール強度:
実施例1及び比較例1〜3で得られた金属箔張積層板を、上村工業製の無電解銅めっきプロセス(使用薬液名:MCD−PL、MDP−2、MAT−SP、MAB−4−C、MEL−3−APEA ver.2)にて、約0.8μmの無電解銅めっきを施し、130℃で1時間の乾燥を行った。続いて、電解銅めっきをめっき銅の厚みが18μmになるように施し、180℃で1時間の乾燥を行った。こうして、絶縁層上に厚さ18μmの導体層(めっき銅)が形成されたサンプルを作製し評価した。得られたサンプルを使用し、JIS C6481に準拠して、めっき銅の接着力(めっきピール強度)を3回測定し、平均値を求めた。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いることで、低吸水性を有するだけでなく、めっきピール強度にも優れるプリプレグ及びプリント配線板等を実現できることが確認された。
【0062】
本出願は、2014年11月6日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−226052)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。