特許第6041070号(P6041070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041070
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】水晶振動装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20161128BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H03H9/02 K
   H03H9/02 A
   H03H9/02 N
   H01L23/04 D
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-517820(P2016-517820)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2015051346
(87)【国際公開番号】WO2015170484
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-96022(P2014-96022)
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 亘
(72)【発明者】
【氏名】角谷 利行
(72)【発明者】
【氏名】高山 賢司
【審査官】 橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−141413(JP,A)
【文献】 特開2009−016949(JP,A)
【文献】 特開2004−297211(JP,A)
【文献】 特開2012−175499(JP,A)
【文献】 特開2010−157932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/02
H01L 23/04
H03B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面を有する第1のパッケージ材と、
前記第1のパッケージ材に搭載された水晶振動子と、
前記第1のパッケージ材の下面に実装された感温性素子と、
前記第1のパッケージ材の下面に接合されており、前記感温性素子の周囲の少なくとも一部に位置している実装基板とを備え、
前記実装基板が前記第1のパッケージ材の下面に複数の導電性接合材により接合されており、前記第1のパッケージ材の下面と前記実装基板との間において、前記導電性接合材により接合されている部分以外が隙間とされており、
前記実装基板が、開口部を有し、該開口部内に前記感温性素子が位置している、水晶振動装置。
【請求項2】
前記実装基板の上面に複数の電極ランドが設けられており、前記複数の導電性接合材が、前記複数の電極ランドと、前記第1のパッケージ材とを接合している、請求項1に記載の水晶振動装置。
【請求項3】
下面を有する第1のパッケージ材と、
前記第1のパッケージ材に搭載された水晶振動子と、
前記第1のパッケージ材の下面に実装された感温性素子と、
前記第1のパッケージ材の下面に接合されており、前記感温性素子の周囲の少なくとも一部に位置している実装基板とを備え、
前記実装基板が前記第1のパッケージ材の下面に複数の導電性接合材により接合されており、前記第1のパッケージ材の下面と前記実装基板との間において、前記導電性接合材により接合されている部分以外が隙間とされており、
前記実装基板が、第1の実装基板部材と、該第1の実装基板部材と隔てられた第2の実装基板部材とを有し、前記第1の実装基板部材と、前記第2の実装基板部材との間に前記感温性素子が位置しており、
前記第1,第2の実装基板部材が、ストリップ状の実装基板部材本体と、前記実装基板部材本体の両端から相手側の実装基板部材側に向かって延びる第1,第2の延長部とを有する、水晶振動装置。
【請求項4】
下面を有する第1のパッケージ材と、
前記第1のパッケージ材に搭載された水晶振動子と、
前記第1のパッケージ材の下面に実装された感温性素子と、
前記第1のパッケージ材の下面に接合されており、前記感温性素子の周囲の少なくとも一部に位置している実装基板とを備え、
前記実装基板が前記第1のパッケージ材の下面に複数の導電性接合材により接合されており、前記第1のパッケージ材の下面と前記実装基板との間において、前記導電性接合材により接合されている部分以外が隙間とされており、
前記実装基板が、平面視において、枠状体の一部が切り欠かれており、前記枠状体で囲まれた内側部分と外側部分とが連通されている形状を有する、水晶振動装置。
【請求項5】
前記枠状体が矩形枠状の形状を有し、矩形枠状のうちの一辺の少なくとも一部が切り欠かれている、請求項に記載の水晶振動装置。
【請求項6】
前記第1のパッケージ材上に取付けられており、前記第1のパッケージ材とともに、前記水晶振動子を収納している封止空間を形成する第2のパッケージ材をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の水晶振動装置。
【請求項7】
前記第1のパッケージ材が、パッケージ基板である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水晶振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子がパッケージ材上に実装されており、該パッケージ材の下面に感温性素子が実装されている、水晶振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶振動装置が発振器等に広く用いられている。例えば、下記の特許文献1には、パッケージ基板上に水晶振動素子を搭載してなる水晶振動装置が開示されている。ここでは、パッケージ基板の下面に、ICチップが固定されている。そして、パッケージ基板の下面において、ICチップを囲む第2の基板が積層されている。この第2の基板は、矩形枠状から一辺を除いた平面形状を有する。
【0003】
他方、下記の特許文献2に記載の水晶振動装置では、パッケージ基板上に、水晶振動素子が搭載されている。そして、パッケージ基板の下面には、第1の脚部と、第2の脚部とが、間隔を隔てて設けられている。この第1の脚部と第2の脚部との間において、パッケージ基板の下面に電子部品素子が固定されている。
【0004】
下記の特許文献3では、水晶振動素子が収納されているパッケージの下面に、電子部品チップが固定されている。この電子部品チップの外側には、パッケージ基板の下面に接合されている金属バンプが設けられている。
【0005】
下記の特許文献4には、水晶振動子が収納されているパッケージと、ICチップが搭載されている実装基板とを、バンプを介して接合してなる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−32456号公報
【特許文献2】特開2005−20633号公報
【特許文献3】特開2003−318653号公報
【特許文献4】特開2010−87726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3では、ICチップなどの電子部品素子を囲むように設けられた基板や脚部がICチップなどの電子部品の周囲の一部において存在しない。しかしながら、パッケージ基板や周辺の回路素子から熱がパッケージ基板に伝搬してきた場合、上記ICチップなどの電子部品素子の温度が上昇しやすかった。温度センサを内蔵しているICチップが水晶振動素子と組み合わされている構造では、ICチップの温度が上昇した場合、内蔵している温度センサによって周波数補正が行われる。従って、ICチップの周囲の温度が水晶振動子の周囲よりも先に変動すると、周波数ズレが生じるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、温度センサ内蔵ICのような感温性素子の温度変化が生じ難い、水晶振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る水晶振動装置は、下面を有する第1のパッケージ材と、前記第1のパッケージ材に搭載された水晶振動子と、前記第1のパッケージ材の下面に実装された感温性素子と、前記第1のパッケージ材の下面に接合されており、前記感温性素子の周囲の少なくとも一部に位置している実装基板とを備え、前記実装基板が前記第1のパッケージ材の下面に複数の導電性接合材により接合されており、前記第1のパッケージ材の下面と前記実装基板との間において、前記導電性接合材により接合されている部分以外が隙間とされている。
【0010】
本発明に係る水晶振動装置のある特定の局面では、前記実装基板の上面に複数の電極ランドが設けられており、前記複数の導電性接合材が、前記複数の電極ランドと、前記第1のパッケージ材とを接合している。
【0011】
本発明に係る水晶振動装置の他の特定の局面では、前記実装基板が、開口部を有し、該開口部内に前記感温性素子が位置している。
【0012】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、前記実装基板が、第1の実装基板部材と、該第1の実装基板部材と隔てられた第2の実装基板部材とを有し、前記第1の実装基板部材と、前記第2の実装基板部材との間に前記感温性素子が位置している。
【0013】
本発明に係る水晶振動装置のさらに別の特定の局面では、前記第1,第2の実装基板部材が、ストリップ状の形状を有する。
【0014】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、前記第1,第2の実装基板部材が、ストリップ状の実装基板部材本体と、前記実装基板部材本体の両端から相手側の実装基板部材側に向かって延びる第1,第2の延長部とを有する。
【0015】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、前記実装基板が、平面視において、枠状体の一部が切り欠かれており、前記枠状体で囲まれた内側部分と外側部分とが連通されている形状を有する。
【0016】
本発明に係る水晶振動装置の別の特定の局面では、前記枠状体が矩形枠状の形状を有し、矩形枠状のうちの一辺の少なくとも一部が切り欠かれている。
【0017】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、前記第1のパッケージ材上に取付けられており、前記第1のパッケージ材とともに、前記水晶振動子を収納している封止空間を形成する第2のパッケージ材がさらに備えられている。
【0018】
本発明に係る水晶振動装置の別の特定の局面では、前記第1のパッケージ材が、パッケージ基板である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る水晶振動装置によれば、実装基板から熱が伝わってきたとしても、実装基板と素子基板との間において、熱流路が形成されるため、感温性素子の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動装置の正面断面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態で用いられている、実装基板と、感温性素子としてのICチップとの関係を示す略図的斜視図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、本発明の第1の実施形態で用いられている水晶基板の上面の電極形状を示す平面図及び水晶基板を透視して下面の励振電極の平面形状を示す模式的平面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態で用いられる実装基板の模式的平面図である。
図5図5は、本発明の第2の実施形態に係る水晶振動装置の正面断面図である。
図6図6は、本発明の第2の実施形態に係る水晶振動装置における第1,第2の実装基板部材とICチップとの位置関係と熱流路との関係を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の第3の実施形態で用いられる第1,第2の実装基板部材を示す平面図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、本発明の第4の実施形態で用いられる実装基板部材を示す平面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動装置の正面断面図である。
【0023】
水晶振動装置1は、実装基板2を有する。実装基板2は、上面2aと下面2bとを有する。実装基板2の下面2bが、水晶振動装置1を回路基板などに実装する側の面となる。
【0024】
実装基板2は、アルミナなどの適宜のセラミックス、あるいは合成樹脂からなる。
【0025】
実装基板2の上方に水晶振動素子3が搭載されている。水晶振動素子3は、第1のパッケージ材としてのパッケージ基板4と、第2のパッケージ材としてのキャップ5とを有する。パッケージ基板4に、下方に開いた開口を有するキャップ5が接合材6により接合されている。それによって、封止された中空空間7が形成されている。中空空間7内に水晶振動子8が配置されている。水晶振動子8は、水晶基板9を有する。水晶基板9の上面には、第1の励振電極10が設けられている。水晶基板9の下面には、第2の励振電極11が設けられている。
【0026】
図3(a)及び図3(b)に、第1,第2の励振電極10,11の平面形状を示す。
【0027】
第1の励振電極10と、第2の励振電極11とは、水晶基板9を介して対向している。図3(a)に示すように、引き出し電極12が第1の励振電極10に連ねられている。引き出し電極12は、図1に示すように、水晶基板9の側面を経て下面に至っている。
【0028】
図1に示すように、パッケージ基板4の上面には、電極ランド13が設けられている。この電極ランド13に、導電性接合材14を介して引き出し電極12が接合されている。第2の励振電極11についても、図示しない電極ランドに導電性接合材により接合されている。それによって、水晶振動子8は、片持ち梁で支持されている。
【0029】
上記第1,第2の励振電極10,11、引き出し電極12、及び電極ランド13は、適宜の金属もしくは合金からなる。導電性接合材14は、導電性接着材や金属のろう材などの適宜の導電性接合材からなる。
【0030】
また、上記パッケージ基板4は、アルミナなどの絶縁性セラミックス、あるいは他の適宜の絶縁性材料からなる。キャップ5は、金属からなるが、金属以外の他の材料からなるものであってもよい。接合材6は、適宜の接着材もしくははんだからなる。
【0031】
上記パッケージ基板4の下面には、温度センサが内蔵されているICチップ15が固定されている。ICチップ15は、複数のバンプ16を上面に有する。このバンプ16が、パッケージ基板4の下面の電極(図示せず)に接合されている。
【0032】
実装基板2は、図2に示すように、中央に開口部2cを有する。この開口部2c内にICチップ15が位置している。従って、水晶振動装置1の薄型化を図ることが可能とされている。
【0033】
上記ICチップ15は、温度センサを内蔵している。ICチップ15は、周囲の温度変化に応じて水晶振動子8の周波数特性に補正をかけるために設けられている。従って、ICチップ15の周囲の温度と、中空空間7内に封止されている水晶振動子8との温度差及び温度変化の度合いの差が小さいことが望ましい。
【0034】
従って、上記開口部2c内にICチップ15を配置することにより、ICチップ15の周囲における通気性が高められている。
【0035】
もっとも、本実施形態では、さらに、ICチップ15の側方に、以下に述べる隙間が設けられている。そのため、熱流路が確保される。これを、図1及び図2を参照してより具体的に説明する。
【0036】
図2は、実装基板2と、開口部2cに配置されているICチップ15との位置関係を示す略図的斜視図である。図4は、実装基板2を示す平面図である。
【0037】
実装基板2上には、複数の電極ランド21〜24が設けられている。複数の電極ランド21〜24内の破線Aは、実装されるパッケージ基板4の外周縁を下方に投影した部分である。従って、この破線で囲まれた領域の上方にパッケージ基板4を有する水晶振動素子3が搭載される。図1では、上記複数の電極ランド21〜24のうち、電極ランド22,23が図示されている。すなわち、図1は、図2のB−B線に沿う部分に相当する水晶振動装置1全体の正面断面図である。
【0038】
図1に示すように、電極ランド22,23は、それぞれ、実装基板2の側面に位置している側面部22a,23aに連なっており、さらに実装基板2の下面2bに位置している端子部22b,23bに連なっている。この端子部22b,23bが、水晶振動装置1を他の回路基板等に実装する際の端子として用いられる。
【0039】
特に図示はしないが、電極ランド21〜24も、同様に、実装基板2の下面に設けられた端子部に連ねられている。
【0040】
上記電極ランド21〜24及び側面部22a,23a並びに端子部22b,23bは、適宜の金属もしくは合金からなる。
【0041】
また、図1に示すように、上記電極ランド22,23は、導電性接合材26,27により、パッケージ基板4の下面に設けられた接合電極28,29に接合されている。特に図示はしないが、電極ランド22,23と同様に、電極ランド21,24も導電性接合材により、パッケージ基板4の下面に設けられた接合電極に接合されている。
【0042】
接合電極28,29は、前述した第1,第2の励振電極10,11に図示されていない部分により電気的に接続されている。上記接合電極28,29は、適宜の金属もしくは合金からなる。
【0043】
接合電極28,29は、パッケージ基板4の図示されていない内部の電極などを通じて、パッケージ基板4の下面の電極(図示せず)を通り、バンプ16を介してICチップ15に電気的に接続される。
【0044】
同様に、前述した第1,第2の励振電極10,11も導電性接合材14及び電極ランド13を介して、パッケージ基板4の内部電極(図示せず)などを通じて、最終的にICチップ15に電気的に接続される。
【0045】
導電性接合材26,27は、導電性接合材14と同様に、導電性接着材や金属のろう材などからなる。
【0046】
本実施形態の特徴は、ICチップ15の周囲において、上記実装基板2とパッケージ基板4との接合部分を構成している導電性接合材26,27間に隙間Cが設けられていることにある。すなわち、導電性接合材は、図2に示す電極ランド21〜24の上記破線Aの内側部分に適用される。図1に示すように、電極ランド22,23間に隙間が形成される。電極ランド21,22間、電極ランド23,24間及び電極ランド24,21間にも同様に隙間が存在することとなる。従って、水晶振動装置1では、実装基板2がパッケージ基板4と接合されている高さ位置において、上記隙間CがICチップ15の側方に形成される。よって、図2に示すように、十分な熱流路Dが各辺において確保される。
【0047】
他方、水晶振動装置1を回路基板などに実装した場合、回路基板側から、あるいは周囲の回路素子からの熱が、端子部22b,23bから伝わることがある。このような場合、熱が電極ランド22,23に伝わるが、上記熱流路Dが設けられているため、ICチップ15の周囲に熱がこもり難い。従って、ICチップ15の温度上昇が抑制される。よってICチップ15と、中空空間7に封止されている水晶振動子8との温度の差や温度変化の差を小さくすることができる。そのため、ICチップ15に内蔵されている温度センサで検出した温度によって、水晶振動子8の周波数特性を的確に補正することができる。
【0048】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る水晶振動装置の正面断面図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、実装基板2に代えて、実装基板として、第1,第2の実装基板部材31,32が用いられていることにある。従って、他の部分については、同一の参照番号を付することにより、第1の実施形態の説明を援用することとする。
【0049】
第2の実施形態では、パッケージ基板4の下面に、第1,第2の実装基板部材31,32が接合されている。第1,第2の実装基板部材31,32と、ICチップ15との位置関係を、図6に斜視図で示す。
【0050】
図5及び図6に示すように、第1の実装基板部材31は、ストリップ状の形状を有する。言い換えれば、細長い矩形の平面形状を有する。第1,第2の実装基板部材31,32は、アルミナなどの適宜の絶縁性材料により形成され得る。
【0051】
図6に示すように、第1の実装基板部材31の上面には、電極ランド33,34が第1の実装基板部材31の長さ方向において隔てられて設けられている。第2の実装基板部材32の上面にも、電極ランド35,36が、長手方向において隔てられて設けられている。電極ランド36は、側面部36a及び端子部36bを有する。側面部36a及び端子部36bは、第1の実施形態における側面部22a及び端子部22bと同様に設けられている。他の電極ランド33,34,35も同様に側面部が端子部を有する。
【0052】
本実施形態では、図5に示すように、電極ランド34,35が、導電性接合材37,38により、接合電極28,29に接合されている。電極ランド33,36も導電性接合材によりパッケージ基板4の下面に設けられた接合電極に接合されている。これらの導電性接合材は、図6に示した電極ランド33〜36の上面に適用される。
【0053】
従って、導電性接合材37,38間のように、隣り合う導電性接合材37,38間に隙間が設けられる。すなわち、第1の実装基板部材31と第2の実装基板部材32との間の隙間だけでなく、第1,第2の実装基板部材31,32がパッケージ基板4と接合されている高さ位置において、図6の電極ランド33と電極ランド34との間、及び電極ランド35と電極ランド36との間において、導電性接合材間の隙間が生じることとなる。よって、図6の矢印D,Dで示す熱流路が形成されることとなる。
【0054】
よって、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、回路基板などに水晶振動装置が実装された場合に熱が伝わってきたとしても、ICチップ15の周囲に熱がこもり難い。従って、ICチップ15の温度上昇を抑制することができる。よって、ICチップ15及び水晶振動子8の温度の差及び温度変化の差を小さくすることができる。
【0055】
図7は、本発明の第3の実施形態で用いられる実装基板部材を説明するための平面図である。第2の実施形態では、ストリップ状の第1,第2の実装基板部材31,32を用いた。これに対して、図7に示すように、第1,第2の実装基板部材が、ストリップ状の実装基板部材本体31a,32aと、実装基板部材本体31a,32aの両端から相手側の実装基板部材側に向かって延びる第1,第2の延長部31b,31c,32b,32cを有していてもよい。
【0056】
この場合においても、電極ランド33,34間及び電極ランド35,36間において、隣り合う導電性接合材間に熱流路を形成するための隙間が形成されることとなる。従って、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0057】
さらに、図8(a)及び図8(b)は、第4の実施形態で用いられる実装基板部材を示す平面図及び斜視図である。図8(a),図8(b)に示す実装基板部材41は、平面視において、枠状体の一部を切り欠き、枠状で囲まれた内側部分と外側部分とが連通されている形状を有する。言い換えれば、実装基板部材41は、矩形枠状の形状の一辺の内の少なくとも一部を切り欠いた形状とされている。もっとも、この枠状の平面形状は矩形形状に限らず、円形や四角形以外の多角形の枠状体であってもよい。
【0058】
実装基板部材41を用いた場合においても、電極ランド33〜36が第2の実施形態と同様に構成されているため、矢印E,Eで示す方向に熱が移動し得る熱流路が形成される。さらに、本実施形態では、矢印Fで示す方向においても、隣り合う導電性接合材間に隙間が形成され、熱流路が形成される。従って、ICチップの周囲により一層熱がこもり難い。
【0059】
第1及び第2の実施形態では、第1のパッケージ材がパッケージ基板であり、第2のパッケージ材がキャップであったが、第1,第2のパッケージ材はこれに限定されない。例えば、上方に開いた開口を有する第1のパッケージ材の内底面上に水晶振動子を実装し、該第1のパッケージ材の上方開口を第2のパッケージ材としての蓋を封止した構造であってもよい。
【0060】
また、上記第1,第2の実施形態では、感温性素子として、温度センサを内蔵したICチップを示したが、サーミスタなどの他の感温性素子であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…水晶振動装置
2…実装基板
2a…上面
2b…下面
2c…開口部
3…水晶振動素子
4…パッケージ基板
5…キャップ
6…接合材
7…中空空間
8…水晶振動子
9…水晶基板
10…第1の励振電極
11…第2の励振電極
12…引き出し電極
13…電極ランド
14…導電性接合材
15…ICチップ
16…バンプ
21〜24…電極ランド
22a,23a…側面部
22b,23b…端子部
26,27…導電性接合材
28,29…接合電極
31…第1の実装基板部材
32…第2の実装基板部材
31a…実装基板部材本体
32a…実装基板部材本体
31b,31c,32b,32c…第1,第2の延長部
33〜36…電極ランド
36a…側面部
36b…端子部
37,38…導電性接合材
41…実装基板部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8