(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部が前記第1のスポットを削除すると判断したとき、前記通信部は前記第1のスポットを削除する指示を前記第1の基地局又は前記第1の基地局の親局基地局に通知し、前記処理部が前記第2のスポットを削除すると判断したとき、前記通信部は前記第2のスポットを削除する指示を前記第2の基地局又は前記第2の基地局の親局基地局に通知することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
前記通信部は、前記第1の基地局の負荷と前記第2の基地局の負荷、又は前記第1の基地局が属する親局基地局に収容される基地局の数と前記第2の基地局が属する親局基地局に収容される基地局の数、又は前記第1の基地局が属する親局基地局に収容される端末の数と前記第2の基地局が属する親局基地局に収容される端末の数を取得し、
前記処理部は、前記通信部で取得された情報に基づき、前記第1のスポットと前記第2のスポットのどちらのスポットを削除するかを判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【背景技術】
【0002】
世界標準の無線通信方式として、LTE(Long Term Evolution)システムが3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化されている。3GPP及びMGMN(Next Generation Mobile Networks)は、LTEシステムにおいて、オペレータの運用コスト削減やネットワークの自動最適化などを目的とするSON(Self-Organizing Network)を協議された。SONの機能は、設計(Planning)、展開(Development)、最適化(Optimization)、運用(Maintenance)という4つのカテゴリに分類されるものである(非特許文献1、2、3)。SONの機能が、無線パラメータの最適化やネットワークパラメータの最適化、ネイバーセルリストの追加などのネットワークの効率的な運用・構築・計画に採用されることで、ネットワークの安定性の実現に期待が寄せられている。
【0003】
特に、従来オペレータが手作業で行っていた業務の自動化により、自己設定プロセスや自己最適化プロセスが実現されると、ネットワーク運用コストを最小限にすることが可能となる。自己設定プロセスは、新規に基地局eNB(evolved Node B)を設置する際に、システム運用のために必要となる基本的なパラメータを自動的に取得して設定するプロセスとして定義されるものである。この自己設定プロセスは、主に基地局が運用状態になる前に動作するプロセスとして考えられている。
【0004】
自己最適化プロセスとは、端末UE(User Equipment)や基地局からの統計データを基にネットワークの自動調整を実施するプロセスとして定義されるものである。この自己最適化プロセスは、RF(Radio Frequency)装置の起動後に開始し、基地局が運用状態であるときに動作するプロセスとして考えられている。自己最適化プロセスの例としては、送信電力、無線基地局のアンテナチルト角、隣接セル情報等があり、上述のような目的を達成するように、無線基地局や運用管理サーバー(OAM(Operation Administration and Maintenance)server、又は、SON server)にて、これら無線パラメータの一つ又は複数を適宜変更する。
【0005】
以下では、特許文献1を用いて、カバレッジ最適化に関する関連技術について説明する。
図11は、マクロセル・マクロセル間のカバレッジの最適化の関連技術を説明する図である。
図11において、マクロセルの基地局(eNB1、eNB2)が、運用管理サーバ(OAM/SONサーバ)に接続されているものとする。あるUEがマクロセル(Cell1)に滞在し、基地局1(eNB1)と通信を行っているものとする。
【0006】
eNB1は、UEに対して、eNB1からの下りリファレンス信号(Downlink Reference Signal:既知信号)での受信品質や、周辺のセルの基地局eNB(例えば、基地局2(eNB2))からの下りリファレンス信号の受信品質を測定し、予め定められた所定条件を満たす場合に報告するように、指示を行う。eNB1からの指示に基づき、UEは前記下りリファレンス信号の受信品質の測定を行い、前記下りリファレンス信号の受信品質の測定結果をeNB1に報告する(Measurement report)。eNB1は、UEから報告された前記測定結果をOAM/SONサーバーに報告する(Report)。
図11の例では、eNB2も、同等に配下のUEからの測定結果をOAM/SONサーバーに報告する。eNB1、eNB2からの測定結果の報告を受け取ったOAM/SONサーバーは、カバレッジの最適化のための無線パラメータ等の調節を、eNB1、eNB2に対して指示する(Adjustment for Optimization)。例えば、eNB1、eNB2では、OAM/SONサーバーからの無線カバレッジの最適化のための無線パラメータ等の調節の指示に従って、自セルの送信電力やアンテナチルト角の調整を行い、カバレッジ最適化を実行する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態にかかる無線通信システム用の制御装置及び端末及び無線基地局を図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明にかかる通信装置である基地局の構成例を示す図である。
図1に示した基地局100は、後述する端末とともに無線通信システムを構成し、ビームフォーミングにより形成したビームを使用して端末との間でデータを送受信する。
【0017】
基地局100は、アンテナ部101、送受信部102、変復調部103、制御部104を備える。アンテナ部101は、ビーム制御部105および複数のアンテナ106を備える。
【0018】
基地局100において、制御部104は、自装置がカバーするサービスエリア内の端末から、複数ビームの各々を使用して信号を送信した場合の受信品質の情報を収集し、収集した情報に基づいて、端末と通信する際に使用するビームを決定する。本実施の形態では、後述するように、制御部104が収集する受信品質の情報を信号の受信感度レベルとするがこれに限定されるものではない。
【0019】
変復調部103は、端末へ送信する制御信号またはデータが制御部104から入力されるとこれを変調し、端末からの受信信号が送受信部102から入力されるとこれを復調する。送受信部102は、変復調部103から信号が入力されるとデジタルからアナログに変換するとともに無線周波数信号(以下、無線信号とする)にアップコンバートする送信処理を実行し、端末から受信した無線信号がアンテナ部101から入力されるとベースバンド信号にダウンコンバートするとともにアナログからデジタルに変換する受信処理を実行する。
【0020】
アンテナ部101は、端末との間で無線信号を送受信するとともに、制御情報を送受信する際に使用される。また、他端末との間でデータを送受信するための通信において使用されるとともに、ビーム制御部105は、制御部104からの指示に従い、複数のアンテナ106の一部または全てを使用して1つ以上のビームを形成する。ビーム制御部105は、アンテナ選択またはアンテナ調整により指向性ビームの選択および制御を行う。ビーム制御部105は、例えば、増幅器および位相器などを含んで構成された電子回路であり、送受信部102から入力された信号を複数のアンテナ107へ分配するとともに、各アンテナ107が受信した信号を合成して送受信部102へ出力する。なお、変復調部103は、端末への送信信号に対する符号化処理および端末からの受信信号に対する復号化処理を併せて行うようにしてもよい。端末への送信データが制御部104を介して変復調部103に入力されることとしたが、制御部104を介さずに変復調部103に入力される構成にしてもよい。
【0021】
なお、送受信部102、変復調部103、制御部104、およびビーム制御部105は、測定用信号の送受信部を構成している。また、制御部104はビーム決定部としても動作する。
【0022】
これ以降の説明においては、表現の簡単化のため、基地局100がカバーしているサービスエリアを「基地局100のサービスエリア」と表現する。
【0023】
図2は、基地局100とともに無線通信システムを構成する端末の構成例を示す図である。
図2に示した端末200は、制御部201、変復調部202、送受信部203、アンテナ204、およびレベル測定部205を備える。
【0024】
端末200において、アンテナ204は、
図1に示す基地局100との間で無線信号を送受信する。送受信部203は、変復調部202から信号が入力されるとデジタルからアナログに変換するとともに無線信号にアップコンバートし、基地局100から受信した無線信号がアンテナ204から入力されるとベースバンド信号にダウンコンバートするとともにアナログからデジタルに変換する。変復調部202は、基地局100へ送信する制御情報またはデータが制御部201から入力されるとこれを変調し、基地局100からの受信信号が送受信部203から入力されるとこれを復調する。制御部201は、基地局100からの指示に従い、基地局100が自装置との通信で使用するビームを決定する際に必要な情報を収集し、基地局100へ送信する。レベル測定部205は、アンテナ204が受信した無線信号の受信電力レベル(以下、受信レベルと称する)を測定する。
【0025】
つづいて、基地局100が端末200との通信で使用するビームを決定する動作について説明する。この動作を簡単に説明すると、基地局100は、自装置のサービスエリア内の全領域に対し、複数のビームを使用して信号を送信し、送信した信号の受信品質として受信レベルを端末200に測定させる。端末200は、基地局100から受信した信号の受信レベル測定が終了すると、測定結果を基地局100へ通知し、基地局100は、端末200から通知された測定結果に基づいて、端末200との通信で使用するビームを決定する。具体的には、基地局100は、端末200から通知された測定結果に基づいて端末200が存在している位置、すなわち、どのビームの照射方向に端末200が存在しているかを特定する。そして、端末200が存在している方向と照射方向が一致しているビーム、または、端末200が存在している方向と照射方向が近いビームを使用することに決定する。なお、基地局100のサービスエリアには複数の端末が存在する場合があり、基地局100は、このような場合、各端末との通信で使用するビームを端末ごとに決定する。
【0026】
ここで、基地局100は、装置のサイズ、コスト、カバーするサービスエリアの広さ、その他の理由から、同時に形成可能なビーム数が限定されることがある。そのため、
図3に示すサービスエリア311内に同時に照射できるビーム数が限定されることがある。
【0027】
図3は、本発明にかかる通信システムの構成例を示す図である。
図3には、アレーアンテナ構成を持つ基地局301、315により、生成されたビーム310、322の地面への照射面が示されている。照射領域である照射面は仮想セル(スポット)を作り出し、スポット318、320、313、323等を用いてカバレッジを生成する。より詳細な一例では、スポットはアレーアンテナ構成を持つ1つの基地局によって、2次元的に複数配置され、その1つの基地局によってカバーされるエリアは2次元に配置されたスポットによって分割されるが、本実施の形態はこの例に限定されるものではない。
【0028】
アレーアンテナ構成を持つ基地局301、315では、送信電力やアンテナチルト角等の調整によるカバレッジ変更よりも細かい仮想セル単位でカバレッジ最適化が可能となり、新たな無線のカバレッジ最適化方法が必要となる。なお、従来技術では、運用開始前にカバレッジの最適化を行うが、本実施の形態では、運用開始後にも無線環境の変化に追従したカバレッジ最適化を行うことの可能な構成を示す。
【0029】
図3に示した基地局301は前述した
図1の通信装置を持ち、ビーム310を用いて、前述した
図2の通信装置を持つ端末312との間でデータを送受信する。
図3の通信システムにおいて、親局基地局304は光ファイバー又はメタル線又は無線通信等307で基地局301と接続されている。親局基地局304は基地局301の他にも基地局303や基地局302とも接続されており、親局基地局304は複数の基地局を収容することも可能である。親局基地局304はルータ又はリレー装置305に接続されており、ルータ又はリレー装置305は複数のルータ又はリレー装置306を経由し、制御装置308に接続する。ルータ又はリレー装置305は光ファイバー又はメタル線又は無線通信等309等でルータ又はリレー装置306や制御装置308と接続される。制御装置308は、基地局301等から得られるデータを記録装置に蓄積や記録を行い、蓄積や記録されたデータを処理し、基地局301等や親局基地局304へ指示を出す装置である。その詳細は後述する。
【0030】
前述の通り、基地局301は端末312から受信品質の情報を得ることができる。その受信品質情報には、基地局を識別するユニークな番号や記号等(以下、基地局IDとする)とビーム照射位置またはスポットを識別するユニークな番号や記号等(以下、スポットIDとする)、端末312が測定を行った受信品質、端末312の位置情報601、測定時刻602を含んでいる。前述で示した受信品質情報はフィードバック情報等ともいい、前述の構成要素を一部でも含むものを指す。フィードバック情報は定期的に端末312等から同時に1つ以上基地局301等に送信される。このフィードバック情報は基地局301から親局基地局304を経由し、制御装置308に蓄積又は記録される。蓄積又は記録されたデータは端末の在圏密度やサービスエリアの構築を判断する指標に使用される。
【0031】
なお、
図3に示されるルータ又はリレー装置305、306は一例であり、ルータ又はリレー装置の接続個数により、発明が限定されることはない。また、親局基地局304が収容する基地局の個数は一例であり、基地局の接続個数により、発明が限定されるものではない。基地局301はサービスエリア311内に1つ以上のビーム照射位置を決め、ビームの指向性により、端末312が基地局301との間でデータを送受信できるスポット313を生成する。スポット313はサービスエリア311内に10個あるが、
図3は一例であり、スポット数により発明が限定されることはない。また、基地局301のサービスエリア311と基地局315のサービスエリア321は重複することがある。
【0032】
つづいて、基地局301のサービスエリア311と基地局315のサービスエリア321が重複している場合を示す。基地局301は親局基地局304に収容されており、基地局315は親局基地局317に収容されている。親局基地局304と親局基地局317は光ファイバー又はメタル線又は無線通信等316を用いて、ルータ又はリレー装置314を経由し、制御装置308に接続され、ネットワークを形成している。制御装置308は前述のように、端末319からのフィードバック情報を記録装置に蓄積や記録し、処理し、基地局315や親局基地局317に制御指示を出す装置である。
【0033】
図3において、サービスエリア311とサービスエリア321の内部にある基地局301のビーム310により生成されたスポット318と、基地局315のビーム322により生成されたスポット320は重複している。この状態では、スポット318とスポット320の内部に在圏する端末319は、基地局301のビーム310と基地局315のビーム322が同時に照射された場合、ビーム間干渉により受信感度レベルが劣化する。端末319は受信感度レベルの劣化をフィードバック情報として接続元の基地局301へ報告する。報告された基地局301はそのフィードバック情報を親局基地局304経由して、制御装置308へ送信する。制御装置308はそのフィードバック情報を記録装置に蓄積や記録を行う。なお、本実施の形態では、基地局301と基地局315はそれぞれ第1の基地局、第2の基地局と呼ばれる場合もある。また、スポット318、スポット320はそれぞれ第1のスポット、第2のスポットと呼ばれる場合もある。
【0034】
制御装置308では、前述のフィードバック情報を受信した際に
図4で示すスポットの削除を判断する処理を行い、親局基地局317または親局基地局304や基地局315または基地局301へ、スポットの削除を指示する。親局基地局315または親局基地局304や基地局315または基地局301では、制御装置308の指示を元に、スポットの削除を実施する。スポットの削除により、端末319へのビーム間干渉は低減する。なお、制御装置308は基地局301のサービスエリア311内のスポット318の削除を行うか、基地局315のサービスエリア321内のスポット320の削除を行うかは、親局基地局304と親局基地局317のそれぞれに収容された、基地局301や基地局315の数や負荷、トラフィック量、規模等の一部や全てから判断する。また、基地局301や基地局315に接続する端末の数やトラフィック量、負荷、規模等の一部や全てから判断することもある。
【0035】
図5は、本発明にかかる制御装置308の装置構成例を示す図である。
図5に示した制御装置308は、通信部501、処理部502、データ収集部503、判定部504を備える。
【0036】
制御装置308は光ファイバー又はメタル線又は無線通信等309と通信部501で接続される。通信部501は、基地局301からのフィードバック情報を親局基地局304経由して取得する。通信部501で得たフィードバック情報は後述する
図4のフローチャートの処理を行う、処理部502に接続されている。処理部502は、フィードバック情報を蓄積や記録しているデータ収集部503と接続され、処理部502と接続する判定部504で後述するスポットの重複やフィードバック情報の個数カウントを行う。処理部502は、通信部501で取得された情報に基づき、スポットを削除するか否かを判断する。
【0037】
図4は、制御装置308の処理部502でスポットの削除を判断するフローチャートである。制御装置308では、親局基地局304または親局基地局317から送信されたフィードバック情報の処理を端末が接続している基地局のスポット毎に行う(S402)。制御装置308はフィードバック情報を受信すると(S403)、端末が接続している基地局のスポット毎に端末から得られたフィードバック情報の個数をカウントし、それぞれのスポットに対して、制御装置308が受信したフィードバック情報の数が規定数に達しているかの判断を行う(S404)。制御装置308は規定数に達していなかった場合には、フィードバック情報を
図5のデータ収集部503の記憶装置等に保存する(S405)。制御装置308は、制御装置308が受信したフィードバック情報の数が規定数に達していた場合には、記憶装置に保存していた以前に制御装置308が受信したフィードバック情報と共に制御装置308がS409の処理を行うために、データ収集部503からフィードバック情報を読み出す(S407)。読み出したフィードバック情報は、前述で説明した
図6の基地局ID、スポットID、受信感度レベル、位置情報601、測定時刻602の全てか、または一部があり、これら情報が同時に1つ以上得られているものになる。
図6には、受信感度レベルを昇順にした場合のフィードバック情報のメッセージフォーマットの一例を示す。
【0038】
図6のフィードバック情報は
図3で説明すると端末319のフィードバック情報である。端末319は基地局301のサービスエリア311と基地局315のサービスエリア321に在圏し、基地局301に接続している状態となる。
【0039】
図6のフィードバック情報の基地局ID:301と基地局ID:315を
図3で説明すると、それぞれ基地局301と基地局315に対応する。
図6のフィードバック情報のスポットID:318、スポットID:320、スポットID:313、スポットID:323を
図3で説明すると、それぞれスポット318、スポット320、スポット313、スポット323に対応する。端末319は
図6のフィードバック情報の内容で説明すると、同時に4つの基地局ID、スポットID、受信感度レベル、端末位置、測定時間を基地局301へ送信している例である。このフィードバック情報は端末が一定期間測定した基地局ID、スポットID、受信感度レベルを接続元基地局に送信するため、1つ以上ある。そのため、例では4つのフィードバック情報603〜606を送信している。この
図6で
図4の処理S409を説明すると、S409の受信感度レベルの規定値を5dBm以内とすると、
図6のフィードバック情報603は、基地局ID:301、スポットID:318、受信感度レベル:−50dBmとフィードバック情報604である、基地局ID:315、スポットID:320、受信感度レベル:−55dBmは受信感度レベルの差が5dBmであり、S409の受信感度の規定値以内にあたり、かつ、基地局IDが異なるため、制御装置308はスポット重複に該当すると判断する(S410)。一方、フィードバック情報605である、基地局ID:301、スポットID:313、受信感度レベル:−78dBmとフィードバック情報606である、基地局ID:301、スポットID:323、受信感度レベル:−81dBmは受信感度レベルの差が3dBmであるが、処理S409において「基地局IDが異なり、受信感度が規定値以内」の条件は満たさず、制御装置308は処理S411に移る。前述のS409とS410を該当するスポット毎にデータ収集部503内に記憶装置が蓄積や記録したフィードバック情報に対して制御装置308の処理部502が行う(S408、S411)。制御装置308の処理部502はスポット重複の数が予め定めた閾値以上の場合には(S412)、該当のスポットを削除すると判断する(S413)。該当のスポットを削除すると判断されたとき、そのスポットの削除を実施するように、制御装置308の通信部501が親局基地局304または親局基地局317等や基地局301または基地局315に指示を通知し、基地局301または基地局315は必要に応じて、それぞれ基地局301のサービスエリアからスポットの削除を行う(S414)。この操作をスポット毎に実施する。なお、上述の受信感度レベルは例であり、数値により発明が限定されるものではない。受信感度レベルとはRSRP(Reference Signal Received Power)やRSSI(Received Signal Strength Indicator)等を指すこともある。
【0040】
図7に端末319と制御装置308間のフィードバック情報や基地局情報のメッセージのやり取りを示す。端末319は基地局301に対して、定期的にフィードバック情報送信S705を行う。基地局301は親局基地局304に対して、定期的に端末319からのフィードバック情報送信を行う。親局基地局304は制御装置308に対して、定期的に基地局301からのフィードバック情報送信を行い、制御装置308は
図4に示す処理を行う。これとは別に、基地局301から親局基地局304に対して、基地局情報送信S706を行う。この情報は、基地局の端末収容数、基地局の負荷状況、基地局規模、接続端末数等の情報である。親局基地局304は制御装置308に対して、親局基地局情報送信S707を行う。この情報には、基地局情報送信S706の内容と親局基地局に収容している基地局数や親局基地局の端末収容数、親局基地局の規模等の情報である。制御装置308はこの情報を通信部501で取得し、通信部501で取得したこの情報に基づき、制御装置308の処理部502はどちらの親局基地局に接続された基地局から該当のスポットを削除するか判断することもある。制御装置308の処理部502が、親局基地局304に対して、スポットを削除する判断を行ったとき、制御装置308の通信部501は、スポット削除指令送信S708を親局基地局304に対して行う。親局基地局304は、制御装置308から受信したスポット削除指令送信S708を基地局301へ送信することもある。
【0041】
制御装置308は、スポットを削除する基地局に対応する親局基地局を、その親局基地局に収容している基地局数、その親局基地局の端末収容数、その親局基地局の規模、スポットを削除する基地局の端末収容数、基地局の負荷状況、基地局の規模により、判断することもある。この場合、制御装置308の通信部501は、基地局301の負荷と基地局315の負荷、又は基地局301が属する親局基地局304に収容される基地局301の数と基地局315が属する親局基地局317に収容される基地局の数、又は基地局301が属する親局基地局304に収容される端末の数と基地局315が属する親局基地局317に収容される端末の数、などの上述の情報を取得し、処理部502は、通信部501で取得された情報に基づき、親局基地局304に対応するスポット318と親局基地局317に対応するスポット320のどちらのスポットを削除するかを判断する。基地局はスポットの削除を瞬時に行うこともあるが、基地局に収容した端末の通信状態により、基地局はスポットの削除を見送ることもある。
【0042】
制御装置308はこの操作を行うことにより、基地局301のスポット318と基地局315のスポット319のどちらかのスポットを該当の基地局が削除することにより、端末319へのビーム間干渉を抑制し端末319の受信品質やスループットを改善することができる。なお、従来技術のSONでは、セル単位でのカバレッジエリアの最適化を扱っているが、送信電力やアンテナチルト角等の調整によってセルのカバレッジエリアの拡大・縮小を行うものの、セルのカバレッジエリアを削除する処理は行われない。これに対して、本実施の形態では、制御装置308での操作により、基地局301のスポット318と基地局315のスポット319のどちらかのスポットを削除することが可能となる。
【0043】
次に、基地局100および端末200および制御装置308を実現するハードウェアについて説明する。
【0044】
図8は、基地局100および端末200を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。基地局100および端末200は、例えば、
図8に示したプロセッサ801、メモリ802、送信機803、受信機804およびアンテナ装置805により実現される。また、
図9は、制御装置308を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置308は、例えば、
図9に示したプロセッサ901、メモリ902、送信機903、受信機904により実現される。
【0045】
プロセッサ801は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ802は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等である。
【0046】
基地局100の制御部104および変復調部103は、プロセッサ801およびメモリ802に格納されているプログラムにより実現される。具体的には、プロセッサ801が、制御部104および変復調部103の動作を行うためのプログラムをメモリ802から読み出して実行することにより実現される。
【0047】
基地局100の送受信部102は、送信機803および受信機804により実現される。すなわち、送受信部102における送信処理は、送信機803において実施され、送受信部102における受信処理は、受信機804において実施される。基地局100のビームアンテナ制御部105はアンテナ装置805により実現される。
【0048】
端末200の制御部201および変復調部202は、プロセッサ801およびメモリ802に格納されているプログラムにより実現される。具体的には、プロセッサ801が、制御部201および変復調部202の動作を行うためのプログラムをメモリ802から読み出して実行することにより実現される。
【0049】
端末200の送受信部203は、送信機803および受信機804により実現される。すなわち、送受信部203における送信処理は、送信機803において実施され、送受信部203における受信処理は、受信機804において実施される。端末200のレベル測定部205は受信機804により実現される。また、端末200のアンテナ204はアンテナ装置805により実現される。
【0050】
制御装置308の処理部502および判定部504およびデータ収集部503は、プロセッサ901およびメモリ902に格納されているプログラムにより実現される。具体的には、プロセッサ901が、処理部502および判定部504及びデータ収集部503の動作を行うためのプログラムをメモリ902から読み出して実行することにより実現される。
【0051】
なお、基地局100の制御部104および変復調部103、端末200の制御部201および変復調部202を専用のハードウェアで実現してもよく、これらの一部を専用のハードウェアで実現し、残りをソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現してもよい。これらの各部を専用のハードウェアで実現する場合の基地局100および端末200のハードウェア構成は、例えば
図10に示したものとなる。すなわち、基地局100の制御部104および変復調部103、端末200の制御部201および変復調部202は、処理回路1001により実現される。処理回路1001は例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0052】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0053】
なお、従来技術では、自セルのカバレッジ最適化は運用開始前に行う処置であったが、本実施の形態では、運用開始後にも無線環境の変化に追従したカバレッジ最適化を行うことが可能となる。その結果、運用状況に応じてカバレッジを適応的に最適化することが可能となる。
【0054】
このように、本実施の形態に係る無線通信システム用の制御装置308は、第1の基地局である基地局301から、基地局301の指向性ビームによって送出される信号の端末である端末312での受信品質を示す情報を取得する通信部501と、通信部501で取得された情報に基づき、基地局301の指向性ビームの照射領域である第1のスポットを削除するか否かを判断する処理部502とを備え、処理部502が前記第1のスポットを削除すると判断したとき、通信部501は前記第1のスポットを削除する指示を基地局301又は基地局301の親局基地局304に通知することを特徴とする。この構成によって、基地局301の指向性ビーム単位でサービスを提供するか否かを判断することができ、アレーアンテナやそれに類するアンテナ構成を持つ基地局のカバレッジの最適化を行うことができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る無線通信システム用の制御装置308において、通信部501は、第2の基地局である基地局315の指向性ビームによって送出される信号の端末312での受信品質を示す情報を取得し、処理部502は、通信部501で取得された情報に基づき、前記第1のスポットと基地局315の指向性ビームの照射領域である第2のスポットとの重複性を判定し、該判定で重複と判定されたとき、前記第1のスポット又は前記第2のスポットを削除すると判断し、処理部502が前記第2のスポットを削除すると判断したとき、通信部501は前記第2のスポットを削除する指示を基地局315又は基地局315の親局基地局317に通知することを特徴とする。この構成によって、2つ以上の基地局装置からなる通信システムにおいて、基地局間の最適なビーム照射位置を見つけ、端末に与えるビーム間干渉を低減させることができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る無線通信システム用の制御装置308において、通信部501は、基地局315の指向性ビームによって送出される信号の端末312での受信品質を示す情報を基地局301から取得することを特徴とする。この構成によって、端末312での異なる基地局に対する受信品質情報を一つの基地局301から取得することができ、複数の基地局から個別にその基地局に関わる受信品質情報を取得する場合に比べて、制御量を削減することが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態に係る無線通信システム用の制御装置308は、通信部501で取得された情報を蓄積するデータ収集部503を備え、処理部502で判断される前記第1のスポットと前記第2のスポットの重複性は、データ収集部503に蓄積された情報に基づき判断されることを特徴とする。この構成によって、データ収集部503に蓄積された情報を用いることができ、蓄積された情報を用いない場合に比べて、前記第1のスポットと前記第2のスポットの重複性の判断の信頼性を向上することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係る無線通信システム用の制御装置308において、通信部501は、第1の基地局である基地局301の負荷と第2の基地局である基地局315の負荷、又は基地局301が属する親局基地局304に収容される基地局301の数と基地局315が属する親局基地局317に収容される基地局の数、又は基地局301が属する親局基地局304に収容される端末の数と基地局315が属する親局基地局317に収容される端末の数を取得し、処理部502は、通信部501で取得された情報に基づき、前記第1のスポットと前記第2のスポットのどちらのスポットを削除するかを判断する、ことを特徴とする。この構成によって、基地局301と基地局315に関わるより詳細な情報を用いることが可能となり、前記第1のスポットと前記第2のスポットのどちらのスポットを削除するかの判断をより的確に行うことが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態に係る端末312は、第1の基地局である基地局301の指向性ビームによって送出される信号の端末312での受信品質を示す情報と、第2の基地局である基地局315の指向性ビームによって送出された信号の端末312での受信品質を示す情報とを基地局301に報告することを特徴とする。この構成によって、2つ以上の基地局装置からなる通信システムにおいて、基地局間の最適なビーム照射位置を見つけるために必要な報告を基地局301に行うことができ、無線通信システムのネットワーク側において適切な制御を行うことにより、端末312に与えるビーム間干渉を低減させることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る端末312は、第1の基地局である基地局301により形成された複数の指向性ビームそれぞれによって送出される信号の端末312での受信品質であることを特徴とする。この構成によって、無線通信システムのネットワーク側において複数の指向性ビームの中から適切なカバレッジを確保することのできる指向性ビームを判断することができ、基地局301によって端末312に適切な受信品質を提供することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る無線基地局301は、自基地局のサービスエリアに位置する端末312から、自基地局の指向性ビームにより形成された複数の指向性ビームそれぞれによって送出される信号の端末312での受信品質を示す情報を受信し、前記受信された情報に基づき、前記端末が前記複数の指向性ビームの照射領域である複数のスポットのいずれに属するかを特定することを特徴とする。この構成によって、基地局301によって端末312に適した指向性ビームを用いて適切な受信品質を提供することができる。
この発明に係る無線通信システム用の制御装置は、基地局から、前記基地局の指向性ビームによって送出される信号の端末での受信品質を示す情報を取得する通信部と、前記通信部で取得された情報に基づき、前記基地局の指向性ビームの照射領域であるスポットを削除するか否かを判断する処理部とを備え、前記処理部が前記スポットを削除すると判断したとき、前記通信部は前記スポットを削除する指示を前記基地局又は前記基地局の親局基地局に通知することを特徴とする。この構成によって、基地局の指向性ビーム単位でサービスを提供するか否かを判断することができ、アレーアンテナやそれに類するアンテナ構成を持つ基地局のカバレッジの最適化を行うことができる。