(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記補正制限手段は、上記燃料電池モジュールによる発電電力が所定の補正実行電力以下の場合には、上記外気温補正手段による燃料供給量の増量補正の制限を行わない請求項3記載の固体酸化物型燃料電池。
上記外気温補正手段は、上記外気温度センサによって検出された外気温が低い場合には、上記発電用空気供給手段による空気供給量の減量補正を実行し、上記補正制限手段は、空気供給量の減量補正に対しては制限を行わない請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この
図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0025】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料と酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(
図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(
図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
【0026】
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料と残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
【0027】
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
【0028】
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0029】
次に、
図2及び
図3により、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールの内部構造を説明する。
図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、
図3は、
図2のIII-III線に沿って断面図である。
図2及び
図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
【0030】
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bを形成され、これらの蒸発部20aと改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
【0031】
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
【0032】
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
【0033】
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、
図3に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
【0034】
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。
空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
【0035】
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、
図3に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス室通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、
図1に示す上述した温水製造装置50に接続されている。
図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
【0036】
次に
図4により燃料電池セルユニット16について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
【0037】
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
【0038】
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
【0039】
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
【0040】
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
【0041】
次に
図5により燃料電池セルスタック14について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
【0042】
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
【0043】
さらに、燃料電池セルスタック14の端(
図5では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
【0044】
次に
図6により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
【0045】
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
【0046】
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
【0047】
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水の流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
【0048】
発電室温度センサ142は、
図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
【0049】
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
【0050】
次に
図7により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)による起動時の動作を説明する。
図7は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
最初は、燃料電池モジュール2を温めるために、無負荷状態で、即ち、燃料電池モジュール2を含む回路を開いた状態で、運転を開始する。このとき、回路に電流が流れないので、燃料電池モジュール2は発電を行わない。
【0051】
先ず、改質用空気流量調整ユニット44から改質用空気を第1ヒータ46を経由して燃料電池モジュール2の改質器20へ供給する。また、同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気を第2ヒータ48を経由して燃料電池モジュール2の空気用熱交換器22へ供給し、この発電用空気が、発電室10及び燃焼室18に到達する。
この直ぐ後、燃料流量調整ユニット38からも燃料ガスが供給され、改質用空気が混合された燃料ガスが、改質器20及び燃料電池セルスタック14、燃料電池セルユニット16を通過して、燃焼室18に到達する。
【0052】
次に、点火装置83により着火して、燃焼室18にある燃料ガスと空気(改質用空気及び発電用空気)とを燃焼させる。この燃料ガスと空気との燃焼により排気ガスが生じ、この排気ガスにより、発電室10が暖められ、また、排気ガスが燃料電池モジュール2の密封空間8内を上昇する際、改質器20内の改質用空気を含む燃料ガスを暖めると共に、空気熱交換器22内の発電用空気も暖める。
【0053】
このとき、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、改質用空気が混合された燃料ガスが改質器20に供給されているので、改質器20において、式(1)に示す部分酸化改質反応POXが進行する。この部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので、起動性が良好となる。また、この昇温した燃料ガスが燃料ガス供給管64により燃料電池セルスタック14の下方に供給され、これにより、燃料電池セルスタック14が下方から加熱され、また、燃焼室18も燃料ガスと空気が燃焼して昇温されているので、燃料電池セルスタック14は、上方からも加熱され、この結果、燃料電池セルスタック14は、上下方向において、ほぼ均等に昇温可能となっている。この部分酸化改質反応POXが進行しても、燃焼室18では継続して燃料ガスと空気との燃焼反応が持続される。
【0054】
C
mH
n+xO
2 → aCO
2+bCO+cH
2 (1)
【0055】
部分酸化改質反応POXの開始後、改質器温度センサ148により改質器20が所定温度(例えば、600℃)になったことを検知したとき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、燃料ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。このとき、改質器20においては、上述した部分酸化改質反応POXと後述する水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRが進行する。このオートサーマル改質反応ATRは、熱的に内部バランスが取れるので、改質器20内では熱的に自立した状態で反応が進行する。即ち、酸素(空気)が多い場合には部分酸化改質反応POXによる発熱が支配的となり、水蒸気が多い場合には水蒸気改質反応SRによる吸熱反応が支配的となる。この段階では、既に起動の初期段階は過ぎており、発電室10内がある程度の温度まで昇温されているので、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を引き起こすことはない。また、オートサーマル改質反応ATRが進行中も、燃焼室18では燃焼反応が継続して行われている。
【0056】
式(2)に示すオートサーマル改質反応ATRの開始後、改質器温度センサ146により改質器20が所定温度(例えば、700℃)になったことを検知したとき、改質用空気流量調整ユニット44による改質用空気の供給を停止すると共に、水流量調整ユニット28による水蒸気の供給を増加させる。これにより、改質器20には、空気を含まず燃料ガスと水蒸気のみを含むガスが供給され、改質器20において、式(3)の水蒸気改質反応SRが進行する。
【0057】
C
mH
n+xO
2+yH
2O → aCO
2+bCO+cH
2 (2)
C
mH
n+xH
2O → aCO
2+bCO+cH
2 (3)
【0058】
この水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるので、燃焼室18からの燃焼熱と熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、燃料電池モジュール2の起動の最終段階であるため、発電室10内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応が進行しても、発電室10が大幅な温度低下を招くこともない。また、水蒸気改質反応SRが進行しても、燃焼室18では継続して燃焼反応が進行する。
【0059】
このようにして、燃料電池モジュール2は、点火装置83により点火した後、部分酸化改質反応POX、オートサーマル改質反応ATR、水蒸気改質反応SRが、順次進行することにより、発電室10内の温度が徐々に上昇する。次に、発電室10内及び燃料電池セル84の温度が燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む回路を閉じ、燃料電池モジュール2による発電を開始し、それにより、回路に電流が流れる。燃料電池モジュール2の発電により、燃料電池セル84自体も発熱し、燃料電池セル84の温度も上昇する。この結果、燃料電池モジュール2を作動させる定格温度、例えば、600℃〜800℃になる。
【0060】
この後、定格温度を維持するために、燃料電池セル84で消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室18での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。
【0061】
次に、
図8により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を説明する。
図8は、本実施形態により固体酸化物型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すように、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、先ず、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28を操作して、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させる。
【0062】
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、改質器20の温度が所定温度、例えば、400℃まで低下したとき、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応SRを終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで、継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
【0063】
このように、本実施形態においては、燃料電池モジュール2の運転停止を行うとき、改質器20による水蒸気改質反応SRと発電用空気による冷却とを併用しているので、比較的短時間に、燃料電池モジュールの運転を停止させることができる。
【0064】
次に、
図9乃至
図12を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1の制御を説明する。
図9は、需要電力の変化と、燃料供給量、及び燃料電池モジュールから実際に取り出される電流の関係を模式的に示したグラフである。
【0065】
図9に示すように、燃料電池モジュール2は、
図9の最上段に示す需要電力に応じた電力を生成できるように制御される。制御手段である制御部110は、需要電力に基づいて、燃料電池モジュール2が生成すべき目標の電流である燃料供給電流値Ifを、
図9の2段目のグラフに示すように設定する。燃料供給電流値Ifは、概ね需要電力の変化に追従するように設定されるが、燃料電池モジュール2の応答速度は需要電力の変化に対して極めて緩慢であるため、需要電力の短周期の急激な変化には追従せず、需要電力に緩やかに追従するように設定される。また、需要電力が固体酸化物型燃料電池の定格発電電力を超えた場合には、燃料供給電流値Ifは定格発電電力に対応する電流値まで追従し、それ以上の電流値に設定されることはない。
【0066】
制御部110は、
図9の3段目のグラフに示すように、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38を制御して、燃料供給電流値Ifに対応する電力が生成できる流量の燃料供給量Frを燃料電池モジュール2に供給する。なお、燃料供給量に対する実際に発電に使用される燃料の割合である燃料利用率が一定であるとすれば、燃料供給電流値Ifと燃料供給量Frは比例する。
図9のグラフは、燃料供給電流値Ifと燃料供給量Frが比例するものとして描かれているが、実際には、燃料利用率は運転状態に応じて変更される。
【0067】
さらに、
図9の最下段のグラフに示すように、制御部110は、燃料電池モジュール2から取り出すことができる電流値である取出可能電流Iinvをインバータ54に対して指示する信号を出力する。インバータ54は、時々刻々急激に変化する需要電力に応じ、取出可能電流Iinvの範囲内で燃料電池モジュール2から電流(電力)を取り出す。需要電力が取出可能電流Iinvを上回る部分については、系統電力から供給され、これが買電力となる。ここで、
図9に示すように、制御部110がインバータ54に指示する取出可能電流Iinvは、電流が増加傾向にある場合、燃料供給量Frの変化に対して所定時間遅れて変化するように設定される。例えば、
図9の時刻t10においては、燃料供給電流値If及び燃料供給量Frが上昇を始めた後、遅れて、取出可能電流Iinvの増加が開始される。また、時刻t12においても、燃料供給電流値If及び燃料供給量Frの増加の後、遅れて、取出可能電流Iinvの増加が開始される。このように、燃料供給量Frを増加させた後、実際に燃料電池モジュール2から取り出す電力を増加させるタイミングを遅らせている。
【0068】
これにより、燃料電池モジュール2に供給された燃料が改質器20において改質され、その後、改質された燃料が分散室であるマニホールド66に流入し、燃料電池セルスタック14を構成する各燃料電池セルユニット16に分配されるまでの時間遅れに対処している。また、燃料が各燃料電池セルユニット16に分配された後、実際の発電反応が可能になるまでにも時間を要し、電力を増加させるタイミングは、この時間も考慮して設定されている。これにより、各燃料電池セルユニット16において燃料枯れが発生し、燃料電池セルユニット16が損傷されるのを確実に防止している。なお、
図9は、燃料供給量Frの増加と、取出可能電流Iinvの増加のタイミングをマクロ的、概略的に示したものである。
【0069】
また、上述したように、各燃料電池セルユニット16に供給され、発電に利用されずに残った残余燃料は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出し、そこで発電用の空気によって燃焼される。この燃焼熱は、燃料電池セルスタック14の上方に配置された改質器20を加熱すると共に、燃料電池モジュール2の内部を加熱する。また、燃料電池モジュール2の内部には、蓄熱材である断熱材7が配置されており、燃料電池モジュール2内の熱の外気への消散を抑制している。断熱材7は、非常に大きな熱容量を有しているため、燃料電池モジュール2の運転中に内部で発生した多量の熱が断熱材7に蓄積される。
【0070】
このため、
図9に基づいて説明したように、燃料供給量Frを増加させた後、所定時間遅れて取出可能電流Iinvを増加させた場合、この間に供給された燃料は発電に利用されることなく各燃料電池セルユニット16の上端で燃焼され、燃料電池モジュール2内の加熱に利用される。また、このようにして発生した燃焼熱は、燃料電池モジュール2内の断熱材7に蓄積される。このように、発電電力が頻繁に変更され、燃料供給量の増減が繰り返されると、発電に利用されずに残る残余燃料が増加し、これが燃料電池モジュール2内を加熱するので、燃料電池モジュール2内の温度は上昇傾向となる。
【0071】
一方、各燃料電池セルユニット16は、電力(電流)を生成する際に発電熱を発生する。このため、燃料電池セルスタック14による発電電力が大きい場合には、燃料電池モジュール2の内部は発電熱によっても加熱され、発電電力が小さい場合には発電熱による加熱も少なくなる。この発電熱の減少を補うために、本実施形態においては、発電電力が小さい場合には、供給された燃料のうちの発電に利用される燃料の割合である燃料利用率が低くなるように、燃料供給量が設定されている。即ち、燃料利用率を低く設定することにより、発電に利用されずに残る残余燃料が増加し、この残余燃料が燃焼されることにより燃料電池モジュール2内が加熱され、発電熱の減少が補償される。
【0072】
また、一般に、燃料電池セルスタック14の発電能力は、所定の温度範囲においては、温度上昇と共に高くなる傾向がある。このため、本実施形態においては、最大定格電力である700Wの電力を生成する場合には、小電力である200W程度の電力を生成する場合よりも、燃料電池セルスタック14の温度が高くなるように、燃料供給量が制御される。従って、発電電力が少ない状態では、燃料電池セルスタック14の温度は、発電が可能な最低限の温度付近に維持され、発電電力が大きい状態では最低限の温度よりも高い温度になるように、燃料供給量が制御される。
【0073】
さらに、燃料電池モジュール2は、大きな電力をインバータ54に取り出すべく、出力電流を増加させると、一般に、出力電圧は低下する傾向となる。このため、燃料電池モジュール2による発電電力が大きくなると、燃料電池モジュール2の出力電圧は低下する傾向になる。また、燃料電池セルスタック14の温度が発電電力に見合う温度よりも低い場合、発電電力に対し十分な燃料が各燃料電池セルユニット16に供給されていない場合、各燃料電池セルユニット16が経年変化等により劣化した場合等には、出力電流の増加に対する出力電圧の低下割合が大きくなる傾向がある。即ち、燃料電池セルスタック14の発電能力が十分でない状態で電力が取り出されると、出力電流の増加に対し、出力電圧が大幅に低下する。
【0074】
次に、
図10乃至
図12を参照して、本発明の実施形態の固体酸化物型燃料電池1における外気温に基づく補正制御を具体的に説明する。
図10は、本実施形態における外気温補正制御のフローチャートである。
図11は、外気温度に対する燃料供給量の補正係数を示す図である。
図12は、外気温度に対する発電用空気供給量の補正係数を示す図である。
【0075】
図10に示すフローチャートは、外気温度に応じて燃料供給量及び発電用空気供給量を補正する外気温補正制御用のサブルーチンであり、固体酸化物型燃料電池1の運転中において、制御手段である制御部110により所定の時間間隔で実行される。なお、
図10による外気温補正制御は、外気温が低下した場合に、燃料電池モジュール2が過剰な温度低下に陥るのを予防的に防止することを目的としたものである。即ち、燃料電池モジュール2は、熱容量が極めて大きく、温度変化が非常に緩慢であり、外気温の低下により燃料電池モジュール2の温度低下が検出された後に温度制御を開始しても、過剰な温度低下が阻止できない場合がある。このため、外気温が所定の温度以下に低下した場合には、燃料電池モジュール2内の温度が実際に低下していない状態であっても外気温補正制御が実行される。なお、燃料電池モジュール2内の温度が実際に低下し始めた場合には、外気温補正制御とは別に温度制御が行われる。
【0076】
まず、
図10のステップS1においては、外気温度センサ150により検出された外気の温度が−5℃以下であるか否かが判断される。外気の温度が−5℃以下である場合には、ステップS2に進み、外気の温度が−5℃よりも高い場合には、
図10のフローチャートの一回の処理を終了する。即ち、外気の温度が−5℃よりも高い場合には、外気から発電用の空気が燃料電池モジュール2内に取り込まれた場合でも、燃料電池モジュール2内部の温度に与える影響は比較的小さいため、ステップS2以下の外気温補正制御は実行されない。
【0077】
次に、ステップS2においては、燃料電池モジュール2による発電電力が300W以下であるか否かが判断される。発電電力が補正実行電力である300W以下である場合には、ステップS3に進み、発電電力が補正実行電力よりも大きい場合には、ステップS4に進む。
【0078】
ステップS3においては、制御部110に内蔵された外気温補正手段110a(
図6)による燃料供給量及び発電用空気供給量の補正が実行される。上述したように、燃料電池セルスタック14の温度は、発電電力が大きい場合には比較的高温になるように制御されている一方、発電電力が小さい場合には、燃料電池セルスタック14の温度が低い状態でも発電が可能であるため、比較的低温になるように制御されている。即ち、発電電力が補正実行電力以下である場合には、燃料電池セルスタック14の温度が低く維持された状態であるため、外気温の低下により燃料電池モジュール2内の温度が低下すると、燃料電池セルスタック14が発電可能な温度未満に低下する可能性がある。このため、発電電力が補正実行電力以下である場合には、外気温補正手段110aによる補正がそのまま実行され、制御部110に内蔵された補正制限手段110b(
図6)による補正の制限は実行されない。
【0079】
具体的には、外気温補正手段110aによる補正は、
図11及び
図12に示す補正係数により行われる。
図11に示すように、本実施形態においては、燃料供給量補正係数は、外気温度が−15℃よりも高く−5℃以下の場合には1.2、−25℃よりも高く−15℃以下の場合には1.4、−25℃以下の場合には1.6に設定されている。燃料電池モジュール2には、発電電力に応じて設定されている燃料供給量(
図9)に、燃料供給量補正係数を乗じた量の燃料が供給される。このように、外気温度が低下するほど燃料供給量が大幅に増加されることにより、発電に使用されずに残る残余燃料が増加し、この残余燃料の燃焼熱により燃料電池モジュール2内が加熱されるので、外気温の低下による燃料電池モジュール2内温度の低下が補償される。
【0080】
また、
図12に示すように、本実施形態においては、発電用空気供給量補正係数は、外気温度が−15℃よりも高く−5℃以下の場合には0.8、−25℃よりも高く−15℃以下の場合には0.6、−25℃以下の場合には0.4に設定されている。燃料電池モジュール2には、発電電力に応じて設定されている発電用空気供給量に、発電用空気供給量補正係数を乗じた量の空気が供給される。このように、外気温度が低下するほど発電用空気供給量が大幅に減少されることにより、燃料電池モジュール2内の熱を奪う空気の流量が減少するので、外気温の低下による燃料電池モジュール2内温度の低下が抑制される。なお、発電用空気供給量補正係数を乗じる前の発電用空気供給量は、発電に使用される空気の量よりも十分に大きく設定されているので、発電用空気供給量を減少させることにより、発電に利用するための空気が不足することはない。
【0081】
このように、外気温度が低く、発電電力が小さい場合に実行されるステップS3における処理では、外気温補正手段110aによる燃料供給量の増量補正、及び発電用空気供給量の減量補正が両方とも実行され、補正制限手段110bによる補正の制限は実行されない。
【0082】
一方、発電電力が補正実行電力よりも大きい場合には、ステップS4が実行される。ステップS4においては、燃料電池モジュール2の出力電圧の降下が所定電圧以上であるか否かが判断される。上述したように、燃料電池モジュール2の出力電圧は、出力電流の増加と共に低下する。制御部110には、燃料電池モジュール2が適正な状態で発電している場合における出力電流と出力電圧の関係が記憶されている。ステップS4においては、燃料電池モジュール2の出力電流に対し検出された出力電圧が、制御部110に記憶されている出力電圧よりも低下しているか否かが判断される。検出された出力電圧が、記憶されている適正な出力電圧の70%以下の電圧に降下している場合には、ステップS5に進み、70%以下に降下していない場合には、ステップS6に進む。
【0083】
ステップS6においては、
図12に示す発電用空気供給量補正係数に基づいて、発電用空気供給量の減量補正のみが外気温補正手段110aにより実行され、燃料供給量の増量補正は実行されない。即ち、燃料供給量の増量補正は、燃料電池モジュール2の出力電圧の降下が、所定の電圧降下量以下である場合には、補正制限手段110bにより制限され、実行が停止される。このように、外気温が低下した状態であっても、燃料電池モジュール2の出力電圧が大幅に低下していない場合には、燃料電池セルスタック14には十分な発電能力があると考えられるため、外気温補正手段110aによる燃料供給量の増量補正が、補正制限手段110bによって制限され、燃料の消費が抑制される。
【0084】
一方、ステップS5においては、燃料電池モジュール2内に蓄積されていると推定される推定蓄熱量が所定熱量以上であるか否かが判断される。上述したように燃料電池モジュール2内には断熱材7等が収容されており、燃料電池モジュール2は極めて大きな熱容量を有する。従って、燃料電池モジュール2が高温の状態で長時間運転された後には、燃料電池モジュール2内に極めて大きな熱量が蓄積されており、燃料電池モジュール2は温度が低下しにくい状態にある。逆に、燃料電池モジュール2が低温の状態で長時間運転された後、温度が急激に上昇された状態では、発電室温度センサ142によって検出された燃料電池モジュール2内の温度が高い場合であっても、蓄積されている熱量が小さいため、比較的短時間で温度が低下する可能性がある。
【0085】
制御部110に内蔵された蓄熱量推定手段110c(
図6)は、発電室温度センサ142によって検出された温度の履歴に基づいて、燃料電池モジュール2内に蓄積されている熱量を推定するように構成されている。
図10のステップS5において、蓄熱量推定手段110cにより推定された蓄熱量が、所定熱量以上である場合にはステップS6に進み、所定熱量未満である場合にはステップS3に進む。即ち、燃料電池モジュール2に蓄積されている熱量が大きい場合には、燃料電池モジュール2は過剰な温度低下に陥りにくい状態であるため、発電用空気供給量の減量補正のみが外気温補正手段110aにより実行され、燃料供給量の増量補正は、補正制限手段110bによって制限される。一方、燃料電池モジュール2に蓄積されている熱量が小さい場合には、燃料電池モジュール2は過剰な温度低下に陥りやすい状態であるため、補正制限手段110bによる補正の制限は行われず、発電用空気供給量の減量補正、及び燃料供給量の増量補正が実行される。
【0086】
このように、
図10に示す外気温補正制御においては、外気温が低い(−5℃以下)の場合には、常に発電用空気供給量の減量補正が実行され、この発電用空気供給量の減量補正に対する制限は行われない。
本発明の実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、外気温補正手段110aによる燃料供給量の増量補正が、所定の条件(
図10のステップS2、S4及びS5)に基づいて補正制限手段110bにより制限されるので、外気温が低い場合における燃料電池モジュール2内の温度低下のリスクを回避しながら、発電効率の低下、又は過剰な温度上昇の発生を抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、出力電圧の降下が少なく、燃料電池セルスタック14に十分な発電能力があり、温度低下のリスクが少ない状態において(
図10のステップS4→S6)、燃料供給量の増量補正が補正制限手段110bにより制限されるので、燃料の浪費が回避されると共に、過剰な燃料を供給することによる過剰な温度上昇を抑制することができる。
【0088】
さらに、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、蓄熱量推定手段110cにより推定された蓄熱量が所定熱量以上である場合(
図10のステップS5→S6)に燃料供給量の増量補正が補正制限手段110bにより制限されるので、容易に温度が低下しない状態において、燃料が増加されることによる燃料の浪費を回避すると共に、燃料電池モジュール2の過剰な温度上昇を防止することができる。
【0089】
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、発電電力が補正実行電力以下であり、燃料電池モジュール2内の温度が比較的低い場合には、外気温補正手段110aによる燃料供給量の増量補正が必ず実行される(
図10のステップS2→S3)ので、過剰な温度上昇のリスクを回避しながら、過剰な温度低下を確実に防止することができる。
【0090】
さらに、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、外気温度センサ150によって検出された外気温が低い場合には常に外気温補正手段110aによる空気供給量の減量補正が行われる(
図10のステップS3、S6)ので、燃料を浪費することなく、外気温低下の影響を確実に軽減することができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
特に、上述した実施形態においては、発電電力が所定の補正実行電力以下である場合(
図10のステップS2→S3)には、常に補正制限手段110bによる制限が行われていないが、変形例として、発電電力の大きさに応じて補正制限の程度を変えることもできる。例えば、燃料電池モジュール2による発電電力が大きい場合には燃料の増量補正量が大きく制限されて少なくなり、発電電力が小さい場合には、あまり制限されずに増量補正量が多くなるように、補正制限手段110bを構成することもできる。即ち、発電電力が大きい場合には、発電電力が小さい場合よりも、燃料供給量の増量補正が大幅に制限されるように、本発明を構成することもできる。本変形例によれば、過剰な温度低下に陥る可能性が低い状態ほど大幅に燃料供給量の増量補正が制限されるので、温度低下のリスクを回避しながら燃料消費を抑制することができる。