特許第6041097号(P6041097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041097
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】包装材およびそれを用いてなる包装構造
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20161128BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20161128BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B32B27/36
   B65D65/40 D
   A61K9/70 401
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-208812(P2012-208812)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61663(P2014-61663A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 庸一
(72)【発明者】
【氏名】太田 芳弘
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−108583(JP,A)
【文献】 特開平08−020094(JP,A)
【文献】 特開2006−305975(JP,A)
【文献】 特開平02−277635(JP,A)
【文献】 特開2001−315284(JP,A)
【文献】 特開平03−270934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00〜43/00
A61K 9/70
B65D65/00〜65/46
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる内層フィルム及び基材フィルムからなる包装材であって前記内層フィルムはイソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂から成るヒートシール面側層とイソフタル酸成分の共重合比率が0モル%〜5モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る低変性率ポリエチレンテレフタレート層の2層を少なくとも有する多層フィルムであり、前記ヒートシール面側層の厚みは3〜10μm、かつ、前記内層フィルム全体の厚みは15〜28μmである包装材。
【請求項2】
低変性率ポリエチレンテレフタレート層におけるイソフタル酸成分の共重合比率が0.1モル%〜4モル%である請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
貼付剤用の包装材である請求項1または2に記載の包装材。
【請求項4】
貼付剤が、経皮吸収性薬物を含有する粘着剤層を支持体の片面に形成してなる経皮吸収製剤である請求項3に記載の包装材。
【請求項5】
請求項3または4に記載の包装材にて貼付剤を包装してなる包装構造。
【請求項6】
貼付剤が、経皮吸収性薬物を含有する粘着剤層を支持体の片面に形成してなる経皮吸収製剤である、請求項5記載の包装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤用の包装材、特に、油状成分を粘着剤中に含有している貼付剤用の包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貼付剤、特に粘着剤層中に薬物を含有させた経皮吸収用貼付剤では、保存中での品質保持などの観点から、密閉性の包装材料を用いて密封包装されている。しかしながら、油状成分を粘着剤中に含有する貼付剤を包装材料で包装した場合、包装材料の内面に貼付剤が接触することによって油状成分が包装材料に吸着又は移行して粘着剤中の油状成分の含有量が変化し、粘着特性が変化するという問題がある。また、経皮吸収用貼付剤の場合には、含有する薬物の経皮吸収性の低下や含有薬物自体の吸着による薬理効果の低下などの問題が指摘されている。
上記問題に対して、包装材料の内面をエチレン/ビニルアルコール共重合体又はアクリロニトリル/メチルアクリレート共重合体から形成することが提案されている(特開平5−305108号公報)。また、シーラント層が無延伸ポリエステルからなる包装袋が提案されている(特開平9−39982号公報)
しかしながら、エチレン/ビニルアルコール共重合体又はアクリロニトリル/メチルアクリレート共重合体は高価であり、その代替となるものが求められていた。さらに、無延伸ポリエステルを用いた場合でも、包装材料としてさらなる性能向上、特にヒートシール性と非収着性の高いレベルでの両立が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−305108号公報
【特許文献2】特開平9−39982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、貼付剤の粘着剤中に含まれる油状成分が包装材に吸着又は移行することを防止すると共に、優れたヒートシール特性を有する包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる内層フィルム及び基材フィルムからなり、前記内層フィルムのヒートシール面が、イソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%であるイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂で構成される包装材を提供する。
【0006】
本発明の包装材においては、
(1)内層フィルムがイソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂から成るヒートシール面側層とイソフタル酸成分の共重合比率が0モル%〜5モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る層の2層を少なくとも有する多層フィルムであること、
(2)貼付剤用の包装材であること、
(3)貼付剤が、経皮吸収性薬物を含有する粘着剤層を支持体の片面に形成してなる経皮吸収製剤であることが好ましい。
【0007】
さらに、本発明の包装構造においては、
(4)上記の包装材にて貼付剤を包装してなる包装構造であること、
(5)貼付剤が、経皮吸収性薬物を含有する粘着剤層を支持体の片面に形成してなる経皮吸収製剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、貼付剤の粘着剤中に含まれる油状成分が包装材に吸着又は移行することを防止すると共に、優れたヒートシール特性を有する包装材が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の包装材は、ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる内層フィルム及び基材フィルムからなり、前記内層フィルムのヒートシール面が、イソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%、好ましくは12モル%〜18モル%、特に好ましくは14モル%〜16モル%であるイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂で構成される包装材である。
ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂として用いるイソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%であるイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂は、油状成分の非収着性に優れていると共に、優れたヒートシール性を有する。このため、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂は、貼付剤中の油状成分の包装材料への移行を防止できる包装材のヒートシール面を構成する材料として優れている。イソフタル酸の共重合比率が10モル%未満の場合、製膜時の結晶化によりヒートシール性が低下する。また共重合比率が20モル%を超える場合は非収着性が低下する。
さらには、ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる内層フィルムがイソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%、好ましくは12モル%〜18モル%、特に好ましくは14モル%〜16モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂から成るヒートシール面側層とイソフタル酸成分の共重合比率が0モル%〜5モル%、好ましくは0.1モル%〜4モル%、特に好ましくは1モル%〜3モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る層(すなわち、基材フィルムと対向させる側の層)の2層を少なくとも有する多層フィルムであることが特に好ましい。
イソフタル酸成分の共重合比率が10モル%〜20モル%の比較的高変性率のポリエチレンテレフタレートは、結晶性が低いためにヒートシール特性に優れると共に、優れた非収着性を有するものの、イソフタル酸成分の共重合比率が0モル%〜5モル%の低変性率のポリエチレンテレフタレートはさらに高い非収着性を有する。また、低変性率のポリエチレンテレフタレートはペットボトル用材料として汎用的に大量に使用されているため安価に調達可能であり、経済性に優れる。すなわち、ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる内層フィルムを上記の多層構成とすることにより、ヒートシール特性、非収着性および経済性に優れた内層フィルムが実現出来るのである。
内層フィルムには、ヒートシール特性および非収着性を損なわない範囲で各種添加剤を添加することも出来る。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防カビ剤、硬化触媒、可塑剤、顔料、充填剤、滑剤等が挙げられる。
内層フィルムの厚みは10μm〜30μm、特に15μm〜28μmが好ましい。これ以上の厚みでは、非収着性が低下したり、引き裂き性に問題が生じたりする恐れがあり、またこれ以下の厚みではヒートシール強度が低下したり、包装材の腰が損なわれ商品性に問題を来す恐れがある。内層フィルムが多層構成の場合、ヒートシール面側層の厚みは2〜20μmが好ましく、3〜10μmが特に好ましい。低変性率のポリエチレンテレフタレート層の厚みは、ヒートシール面側層の厚みと合わせて所望の内層フィルム全体の厚みを得られるように適宜設定することができるが、好ましくは10〜28μmであり、特に好ましくは15〜25μmである。
内層フィルムはTダイ成形やインフレーション成形等公知の製膜方法で製膜することができる。その際、熱溶融状態の膜が急速冷却により固化されることが好ましい。急速冷却することにより、樹脂の結晶化を抑制し、ヒートシール特性に優れたフィルムが得られる。
また、内層フィルムは無延伸あるいは低倍率で延伸された状態が好ましい。高倍率で延伸されたポリエチレンテレフタレートは配向結晶化によりヒートシール性が失われるため好ましくない。
【0010】
基材フィルムとしては、特に限定されるものではないが、透明性、印刷適性、耐薬品性および強度に優れるという点で二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが使用できる。基材フィルムの厚み(下記ガスバリア層を除く)は5〜20μmが好ましく、10〜15μmが特に好ましい。
さらに酸素や水蒸気の透過性を防ぐ目的として、ガスバリア層を積層する事も好ましい。ガスバリア層としては、アルミニウム箔が使用できる。アルミ箔は酸素や水蒸気に対するバリヤ性だけではなく、遮光性にも優れており好適に使用できる。ガスバリア層を積層する場合、その厚みは2〜20μmが好ましく、5〜10μmが特に好ましい。
【0011】
包装材の製造には、それ自体公知の成形法を用いることができる。例えば、樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いて押出成形を行うことで積層体が成形できる。さらに、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって積層体を製造することもできる。例えば上述のように、ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる内層フィルムをあらかじめTダイ法等により製膜しておく場合、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートから成る基材フィルムに、該内層フィルムをドライラミネーション法によって積層することにより、本発明の貼付剤用包装材が得られる。
積層体は、三方又は四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピローパウチ類などに製袋することにより包装袋とすることができる。製袋は公知の製袋法で行うことができる。
【0012】
上記包装材にて包装される貼付剤は、支持体層と粘着剤層からなり、粘着剤層には薬物を配合し、薬物を経皮吸収させて各種疾患の治療又は予防を行うものである。ここにいう薬物は特に限定されず、全身性作用薬、局所作用薬のいずれをも用いることができる。そのような薬物としては、例えば、副腎皮質ステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗リウマチ剤、睡眠剤、抗精神病剤、抗うつ剤、気分安定剤、精神刺激剤、抗不安剤、抗てんかん剤、片頭痛治療剤、パーキンソン病治療剤、ムスカリン受容体拮抗剤、レストレスレッグス症候群治療剤、脳循環・代謝改善剤、抗認知症剤、自律神経作用剤、筋弛緩剤、降圧剤、利尿剤、血糖降下剤、高脂血症治療剤、痛風治療剤、全身麻酔剤、局所麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、ビタミン剤、狭心症治療剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、抗ヒスタミン剤、メディエーター遊離抑制剤、ロイコトリエン拮抗剤性ホルモン剤、甲状腺ホルモン剤、抗甲状腺剤、抗腫瘍剤、制吐剤、鎮暈剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、去痰剤、禁煙補助剤、抗骨粗鬆症剤などが挙げられる。これら薬物は遊離体の形態で用いてもよく、塩の形態で用いてもよい。また、これらの薬物は、単独で、又は2種以上混合して用いてもよい。
【0013】
支持体層としては、貼付時に著しい違和感がないものであれば、特に限定されない。具体的には、ポリエステル、ポリエチレン若しくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂などの合成樹脂からなる単独フィルム、又はこれらのラミネートフィルム、あるいは、ゴム製、上記合成樹脂製、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル製、またはナイロン等のポリアミド製の多孔性フィルム若しくはシート、不織布、織布又はこれらと上記合成樹脂フィルムとのラミネート物などが挙げられる。
【0014】
貼付剤は、経皮吸収製剤であって、経皮吸収性薬物を含有する粘着剤層を支持体の片面に形成してなるものが好ましい。また、該粘着剤層の他方の面に積層された剥離処理した離型フィルムを有していても良い。
貼付剤の形態としては、平面状の扁平な形態であり、平面形状は、略矩形のほか、三角形、五角形等の多角形、すなわち略直線で輪郭付けられる形状や、楕円、円形等の曲線で輪郭づけられる形状、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
貼付剤の大きさは、貼付剤の用途や適用箇所などに応じて、適宜選択することができる。例えば、貼付剤の形状が略矩形である場合、一般的には、その一辺の長さが15mm〜90mmであり、他辺の長さも15mm〜90mmである。
【0015】
貼付剤の総厚みは、通常、50μm〜2000μmであり、好ましくは、100μm〜1000μmの範囲である。また、貼付剤は支持層と粘着剤層からなるが、支持体層は、厚みが通常、1μm〜1000μmであり、粘着剤層は通常、10μm〜200μmであり、好ましくは、15μm〜150μmである。
【0016】
粘着剤層には、油状成分が含有されていても良い。含有される油状成分は、粘着剤層を可塑化してソフト感を付与して皮膚刺激性を低減させたり、薬物の経皮吸収性を調整したりする。油状成分は室温(25℃)で液状であるもの、または2種以上を混合して用いる場合には、最終的に混合物が室温(25℃)で液状となるものが好ましい。このような油状成分としては、例えば、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;グリセリン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール;カプリル酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル等の脂肪酸エステル;セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の多塩基酸エステル;トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、ジカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等の多価アルコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;スクアラン、流動パラフィン等の炭化水素;オリブ油、ヒマシ油等の植物油;シリコーン油;N−メチルピロリドン、N−ドデシルピロリドンのようなピロリドン類;デシルメチルスルホキシドのようなスルホキシド類などが挙げられる。これらの油状成分は、単独で、又は2種以上混合して用いてもよい。
【0017】
本発明の貼付剤用の包装体の形状は、貼付剤を包装できるような形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、正方形、長方形など略矩形のほか、三角形、五角形等の多角形、円形、楕円形、その他の図形等が挙げられる。また、貼付剤用の包装体の形状と包装される貼付剤の形状とは、貼付剤の個別包装(密封)が可能である限り、同一であっても異なるものであってもよい。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。各値は以下の方法により測定した。
(1) ヒートシール強度
ヒートシール試験装置(テスター産業株式会社製)を使用し、シール時間0.8秒、シール圧を2kgf/cm2と固定し、シール温度を変更してシール界面の温度を測定しながら試験片を作製した。ヒートシール強度の測定はJIS−Z1707に準じ、23℃、50%RH環境下で、精密万能試験機オートグラフAG−IS(島津製作所株式会社製)にて測定した。フィルムの流れ方向(MD)に300mm/minの速度で引っ張り、最大試験力(N/15mm)をヒートシール強度とし、シール界面温度に対してプロットしてヒートシール曲線を作成した。ここで、ヒートシール強度が1N/15mmに達するシール界面温度をシール発現温度とし、シール界面温度110℃でのヒートシール強度と共にヒートシール特性の評価に用いた。シール発現温度90℃以下および110℃でのシール強度15N/15mm以上の両条件を満足する包装材をヒートシール特性良好とした。
(2) 油状成分の非収着性
包装材6cm×10cmの試験片をミリスチン酸イソプロピル雰囲気中に50℃で6日間静置した後、60mlヘキサンにて50℃で24時間抽出し、抽出液中のミリスチン酸イソプロピルをガスクロマトグラフィーにて定量した。結果は比較例1の包装材の測定結果を100とした場合の相対値で示した。
【0019】
[実施例1]
基材フィルムとして12μm二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと7μmアルミ箔のドライラミネートフィルム、内層フィルムとして5μmイソフタル酸変性PET(イソフタル酸成分共重合比率15モル%)および20μmイソフタル酸変性PET(イソフタル酸成分共重合比率2モル%)から成る25μm無延伸2層PETフィルムを用いた。基材フィルムのアルミ箔側と内層フィルムの20μmイソフタル酸変性PET(イソフタル酸成分共重合比率2モル%)側を対向させて2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法により積層し、包装材を得た。得られた包装材の評価結果を表1に示す。
【0020】
[比較例1]
内層フィルムとして30μmLDPEフィルム(タマポリ製AJ−3)を使用した以外は実施例1と同様にして包装材を得た。評価結果を表1に示す。
【0021】
[比較例2]
内層フィルムとして30μmPANフィルム(タマポリ製ハイトロンBX)を使用した以外は実施例1と同様にして包装材を得た。評価結果を表1に示す。
【0022】
[比較例3]
内層フィルムとして25μm無延伸単層イソフタル酸変性PET(イソフタル酸成分共重合比率2モル%)を使用した以外は実施例1と同様にして包装材を得た。評価結果を表1に示す。
【0023】
[比較例4]
内層フィルムとして25μm無延伸単層イソフタル酸変性PET(イソフタル酸成分共重合比率5モル%)を使用した以外は実施例1と同様にして包装材を得た。評価結果を表1に示す。
【表1】