(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一体化工程の後に、前記炭素繊維束を、前記第1木材素材層及び前記第2木材素材層とともに木材切断用工具のみを用いて切断する切断工程を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラミナの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。ラミナ1は、木造建築物における柱材や梁材等の木造構造部材として用いられる集成材を構成する一次部材(構成材料)であり、
図1に示すように、第1木材素材層11と、第2木材素材層12と、帯状(シート状)の炭素繊維束13と、を備えている。
【0011】
第1木材素材層11は、杉材で構成されており、厚さ(
図1においてz方向長さ)15mm、幅(
図1においてx方向長さ)105mm、長さ(
図1においてy方向長さ)4000mmの短冊状に成形されている。
【0012】
第2木材素材層12も、第1木材素材層11と同様に、杉材で構成されており、厚さ(
図1においてz方向長さ)15mm、幅(
図1においてx方向長さ)105mm、長さ(
図1においてy方向長さ)4000mmの短冊状に成形されている。
【0013】
第1木材素材層11と第2木材素材層12とは、それぞれの一方の平面で木材用接着剤14によって接合されている。
【0014】
第1木材素材層11の上面(第2木材素材層12に対向する面)には、上方が開放された溝11aが、第1木材素材層11の長手方向(
図1においてy方向)に沿って形成され、第1木材素材層11を縦断し、その全長に亘って第2木材素材層12によって覆われている。本実施の形態では、溝11aの断面形状は、深さ(
図1においてz方向長さ)略0.3mm、幅(
図1においてx方向長さ)45mmの矩形状を呈している。
【0015】
溝11aには、溝11aの長手方向(
図1においてy方向長さ)に沿って帯状の炭素繊維束13が配置されている。炭素繊維束13の断面形状は、厚さ(
図1においてz方向長さ)略0.2mm、幅(
図1においてx方向長さ)略40mmの矩形状又は略矩形状を呈している。
【0016】
炭素繊維束13は溝11aの断面略中央に配置されている。換言すれば、溝11aに配置されている炭素繊維束13と、溝11aの底面、溝11aの両側壁及び第2木材素材層12の底面とは所定距離離れ、それぞれの間で木材用接着剤14が充填されている。
【0017】
炭素繊維束13は、パン系又はピッチ系等の炭素繊維を単独の材料としており、多数の炭素繊維が立体的に平行に束ねられて構成されている。よって、炭素繊維束13の繊維方向は一方向となっている。溝11aに配置された炭素繊維束13の繊維方向は、溝11a(第1木材素材層11)の長手方向、換言すれば、ラミナ1に垂直な荷重が作用した際に発生する引張力及び圧縮力と平行である。
【0018】
また、溝11aには、第1木材素材層11と第2木材素材層12とを接合させる木材用接着剤14が充填されている。その結果、第1木材素材層11と、第2木材素材層12と、炭素繊維束13とが一体化されている。木材用接着剤14は、レゾルシノール樹脂又はレゾルシノール・フェノール樹脂等の低粘度の樹脂系材料を主成分としている。
【0019】
また、溝11aに配置された炭素繊維束13は木材用接着剤14に含浸されている。炭素繊維束13は低粘度の木材用接着剤14に含浸されることによって、柔軟性を有する炭素繊維複合材(炭素繊維トウプリプレグ)を構成し、ラミナ1の芯材として機能する。
【0020】
次に、
図2及び
図3を用いて、ラミナ1の製造方法について説明する。最初に、
図2(a)に示すように、第1木材素材層11となる短冊状の杉材11の一方の表面に、断面矩形状の溝11aを、両端部が開放するように成形する(溝成形工程)。ここで、溝11aは、所定の装置で杉材11を削って成形するようにしても、所定の装置でプレス(加圧)して成形するようにしてもよい。すなわち、溝11aの成形手段は問わない。
【0021】
次に、
図2(b)に示すように、第1木材素材層11と第2木材素材層12とを接合させるための木材用接着剤14を溝11aの所定位置まで注ぐ。本実施の形態では、溝11aから、炭素繊維束13の厚さの約半分(≒0.1mm)の高さとなる位置まで注ぐ(一体化工程)。
【0022】
次に、
図2(c)に示すように、木材用接着剤14が注ぎ込まれた溝11aに炭素繊維束13を配設する(炭素繊維配設工程)。このとき、炭素繊維束13は、両端部が溝11aの両端から所定長さ突出している。これは、後述するように、木材用接着剤14を硬化させている間、炭素繊維束13に引張力(炭素繊維束13の長さ方向に沿った外向きの力)を加え、ラミナ1が完成したときに炭素繊維束13に、その長さ方向の中心に向かう張力を発生させるためである。
【0023】
次に、炭素繊維束13が配置された溝11aに木材用接着剤14を注ぎ、溝11aに木材用接着剤14を充填させ、炭素繊維束13に木材用接着剤14を十分に含浸させてから、
図2(d)に示すように、第1木材素材層11の上面並びに第1木材素材層11を構成する短冊状の杉材と同一形状の杉材からなる第2木材素材層12の底面及び炭素繊維束13の上面にゴムローラ等の所定道具で木材用接着剤14を塗布する(一体化工程)。
【0024】
次に、
図3(a)に示すように、第1木材素材層11と第2木材素材層12とを接合させ、接合されて一体化された第1木材素材層11と第2木材素材層12とを、
図3(b)に示すように、所定の加圧装置を用いて垂直方向に加圧しながら接着養生を行う。さらに、接着養生を行っている期間中は、炭素繊維束13の第1木材素材層11及び第2木材素材層12の両端から突出した部分を、炭素繊維束13の繊維方向外側に引張力を与え、炭素繊維束13に張力を発生させる(引張力付与工程)。
【0025】
そうして、木材用接着剤14が硬化し、接着養生が完了すると、
図3(c)に示すように、工場設備等のラインや現場において、ノコギリ等の切断用工具や電動カッター等の切断用装置で、木材用接着剤14によって一体化された第1木材素材層11と第2木材素材層12と炭素繊維束13を所望位置(
図3(c)において点線)で切断する(切断工程)。これにより、柱材や梁材等の木造構造部材として用いられる集成材を構成する一次部材(構成材料)としてのラミナ1が完成する(
図3(d)参照)。
【0026】
このように、ラミナ1は、杉材で構成される第1木材素材層11及び第2木材素材層12と、炭素繊維で構成される炭素繊維束13とが一体化された複合体を形成している。炭素繊維の引張強度は杉材の引張強度の約200倍以上であることから、ラミナ1を、杉材と繊維方向を引張力方向に沿って配された炭素繊維とが一体化された複合体とすることで、ラミナ1の強度を、杉材の無垢材で構成されるラミナより高くすることができる。さらに、炭素繊維束13の引張強度は、炭素繊維量(例えば、断面積)に起因するので、炭素繊維束13の厚さや幅によって、炭素繊維束13の引張強度、ひいてはラミナ1の引張強度を調整することができる。
【0027】
一般的に、木造構造部材として用いられる集成材は複数のラミナを積層させて構成させる。この場合、積層の中央から外側に向かってラミナの強度が高くなるようにラミナを配設する。ここで、ラミナ1の強度は、同一形状の杉材の無垢材からなるラミナの強度よりも高い。よって、例えば、
図4に示すように、両外側の層にラミナ1を配し、中央にラミナ1の母材となる杉材の無垢材で構成されるラミナ4を配して、集成材Xを構成させることができる。このように、ラミナ1を杉材からなる第1木材素材層11及び第2木材素材層12と炭素繊維からなる炭素繊維束13との複合体とすることによって、ラミナ1の強度を、杉材の無垢材からなるラミナ4の強度より高くすることができる。これにより、ラミナ1とラミナ4とで集成材Xを構成させることができ、集成材Xを構成する木材を杉材に統一することができる。この結果、杉材の活用を拡大することができる。
【0028】
また、ラミナが積層されてなる集成材の強度等級Eは、一般的にラミナの引張強度に基づいて設定されるラミナの強度L値の組み合わせで決定される。具体的には、ラミナの強度L値の組み合わせに基づいて集成材の強度等級Eが算出できるように一覧化されている。すなわち、ラミナを構成する木材の樹種に関係なく、ラミナの強度L値の積層構成(組み合わせパターン)と集成材の強度等級Eとが対応付けられ、予め設定されている(
図10参照)。ここで、ラミナ1は、杉材と炭素繊維とからなる複合体であるが、ラミナ1の引張強度を算出・測定して特定することによって、ラミナ1の強度L値を設定することができる。よって、ラミナ1を含む集成材の強度をその都度計算することなく、予め設定されているラミナ強度L値の積層構成と集成材の強度等級Eとの関係に適用し、集成材に用いるラミナの選定を容易に行うことができる。換言すれば、ラミナを構成する木材が同一の樹種であっても炭素繊維量によって様々な強度L値のラミナを生成することができる。
【0029】
また、ラミナ1の炭素繊維束13は、第1木材素材層11の溝11aに配され、その溝11aには、第1木材素材層11と第2木材素材層12とを接合する木材用接着剤14が充填されているので、第1木材素材層11と第2木材素材層12と炭素繊維束13との一体性を強め、ラミナ1の構造的安定性を高めることができる。さらに、木材用接着剤14は低粘度であり、炭素繊維束13は繊維状であるので、炭素繊維束13に木材用接着剤14を確実に含浸させ、ラミナ1の構造的安定性を一層高めることができる。
【0030】
さらに、溝11aの深さ及び幅は、炭素繊維束13の厚さ及び幅より大きく、炭素繊維束13の両端は溝11aの両側壁から所定距離をおき、炭素繊維束13の上面は第2木材素材層12の底面から所定距離をおき、炭素繊維束13の底面は溝11aの底面から所定距離をおいている。すなわち、溝11aに配置された炭素繊維束13は断面の上下左右において木材用接着剤14で包含されているので、炭素繊維束13に木材用接着剤14を確実に含浸させると共に、炭素繊維束13と第1木材素材層11及び第2木材素材層12との一体性を高めることができる。
【0031】
また、ラミナ1の炭素繊維束13は、炭素繊維を単独の材料としており、低粘度の木材用接着剤14が含浸しているため、木材用接着剤14が含浸した炭素繊維束13は柔軟性を有する。よって、炭素繊維束13を含むラミナ1に対して切断や釘打ちといった加工を容易に行うことができる。すなわち、木材の加工し易い性質を活かしつつ、ラミナ1の強度を高めることができる。また、炭素繊維束13は、ラミナ1の断面中央部分に埋設されているので、切断等の加工処理が容易である。さらには、ラミナ1は、第1木材素材層11と第2木材素材層12の断面中央部に炭素繊維束13が位置していることにより、ラミナ1全体として柔軟性を有する。その特徴を活かし、集成材を構成するラミナを積層接着するときにおいて、キャンバー治具を設けることにより、加圧養生することでキャンバー付き集成材を容易に製作することができる。
【0032】
また、ラミナ1に炭素繊維束13が含まれているが、炭素繊維の比重は1.8と非常に軽く、ラミナ1に含まれる量も第1木材素材層11及び第2木材素材層12に比べて微少であるので、ラミナ1の重量は、杉材からなる無垢材のラミナ4とほとんど変わらない。よって、ラミナ1の切断等の加工処理にあたり、既存の設備(ライン)をそのまま利用することができる。
【0033】
さらに、第1木材素材層11の第2木材素材層12に対向する表面溝11aが設けられているので、第1木材素材層11と第2木材素材層12とを接合させる際に、効率良く炭素繊維束13に木材用接着剤14を含浸させることができると共に、第1木材素材層11と第2木材素材層12と炭素繊維束13とを一体化することができる。すなわち、ラミナ1の製造方法における一体化工程によって、強度の高いラミナを効率良く製造することができる。
【0034】
(その他の実施の形態)
実施の形態1では、ラミナ1の第1木材素材層11に1本の溝11aが成形され、溝11aに1枚の炭素繊維束13が配されているが、溝11aの本数及び炭素繊維束13の枚数はこれに限られない。そこで、ラミナ1とは、構造の異なるラミナ2及びラミナ3について説明する。
【0035】
図5に示すように、ラミナ2は、第1木材素材層21と、第2木材素材層22と、帯状の炭素繊維束23A、23Bと、を備えている。
【0036】
第1木材素材層21と第2木材素材層22は、それぞれ杉材で構成されており、厚さ(
図5においてz方向長さ)15mm、幅(
図5においてx方向長さ)105mm、長さ(
図5においてy方向長さ)4000mmの短冊状に成形され、それぞれの一方の平面で木材用接着剤24によって接合されている。
【0037】
第1木材素材層21の第2木材素材層22に対向する平面には、上方が開放された2本の溝21a、21bが、横断方向(
図5においてx方向)に所定間隔をおいて、第1木材素材層21の長手方向(第1木材素材層21に直交する荷重が作用したときに発生する引張力及び圧縮力に平行する方向)に形成されている。溝21a及び溝21bの断面形状は同一で、共に深さ(
図5においてz方向長さ)略0.3mm、幅(
図5においてx方向長さ)35mmの矩形状を呈している。
【0038】
溝21a及び溝21bには、それぞれ溝21a、21bの長手方向に沿って帯状の炭素繊維束23A、23Bが配置されている。炭素繊維束23A及び炭素繊維23Bの断面形状は同一で、共に厚さ(
図5においてz方向長さ)略0.2mm、幅(
図5においてx方向長さ)略30mmの矩形状又は略矩形状を呈している。
【0039】
そして、実施の形態1と同様に、炭素繊維束23A、23Bと溝21a、21bの底面並びに両側壁とは所定距離離れ、炭素繊維束23A、23Bと第2木材素材層22の底面とも所定距離離れている。また、溝21a、21bには、それぞれ第1木材素材層21と第2木材素材層22とを接合させる木材用接着剤24が充填され、炭素繊維束23A、23Bには木材用接着剤24が含浸されている。
【0040】
ラミナ2に含まれる炭素繊維束23A又は炭素繊維束23Bは、それぞれ、厚さが0.2mmであり、幅が30mmである。よって、炭素繊維束23A、23Bのそれぞれと、実施の形態1の炭素繊維束13とを比べると、炭素繊維束13の引張強度の方が高い、しかし、ラミナ1とラミナ2とを比べると、ラミナ2の方が含まれる炭素繊維量が多いので、ラミナ1の引張強度よりラミナ2の引張強度の方が高い。そこで、
図7に示すように、両外側の層にラミナ3を配し、中間の2層にラミナ1を配し、中央の2層にラミナ4を配して、集成材Yを構成させることができる。なお、集成材Yの強度は集成材Xの強度より高い。
【0041】
次に、ラミナ1及びラミナ2とは、構造の異なるラミナ3について説明する。
図6に示すように、ラミナ3は、第1木材素材層31と、第2木材素材層32と、帯状の炭素繊維束33A、33Bと、を備えている。
【0042】
第1木材素材層31と第2木材素材層32は、それぞれ杉材で構成されており、厚さ(
図6においてz方向長さ)15mm、幅(
図6においてx方向長さ)105mm、長さ(
図6においてy方向長さ)4000mmの短冊状に成形され、それぞれの一方の平面で木材用接着剤34によって接合されている。
【0043】
第1木材素材層31の第2木材素材層32に対向する平面には、上方が開放された1本の溝31aが、第1木材素材層31の長手方向に形成されている。溝31aの断面形状は、深さ(
図6においてz方向長さ)略0.7mm、幅(
図6においてx方向長さ)45mmの矩形状を呈している。
【0044】
溝31aには、溝31aの長手方向に沿って帯状の炭素繊維束33A、33Bが上下方向に重なった状態で配置されている。炭素繊維束33A及び炭素繊維束33Bの断面形状は共に、実施の形態に1における炭素繊維束13の断面形状と同一である。
【0045】
そして、実施の形態1と同様に、炭素繊維束33A及び炭素繊維束33Bと溝31aの底面並びに両側壁とは所定距離離れ、炭素繊維束33Bと第2木材素材層22の底面とも所定距離離れている。また、溝31aには、それぞれ第1木材素材層31と第2木材素材層32とを接合させる木材用接着剤34が充填され、炭素繊維束33A、33Bに木材用接着剤34が含浸されている。
【0046】
ラミナ3に含まれる炭素繊維束33A及び炭素繊維束33Bは、それぞれ、厚さが0.2mmであり、幅が40mmである。よって、ラミナ1、ラミナ2及びラミナ3の引張強度を比べると、ラミナ3の強度等級E
3>ラミナ2の強度等級E
2>ラミナ1の強度等級E
1となる。そこで、
図8に示すように、両外側の層にラミナ3を配し、中間の2層にラミナ2を配し、中央の2層にラミナ1を配して、集成材Zを構成させることができる。なお、集成材Zの強度は集成材Yの強度より高い。
【0047】
以上のように、ラミナに配される炭素繊維量を調整、詳細には、炭素繊維束の本数や炭素繊維束の厚さ・幅を調整することで、同一種類の杉材を母材とするラミナに対して様々な強度(強度L値)を持たせることができる。そして、様々な強度を持つラミナを適宜に組み合わせて積層させることで、様々な強度の集成材を製造することができる。
【0048】
また、さらに、ラミナ1は、2枚の第1木材素材層11及び第2木材素材層12を備えているが、ラミナを構成する木材素材層は2枚に限られない。例えば、ラミナを3枚の木材素材層で構成させることができる。この場合、
図9に示すように、ラミナ5は、第1木材素材層51と、第2木材素材層52と、第3木材素材層55とを備えている。
【0049】
第1木材素材層51、第2木材素材層52及び第3木材素材層55は、杉材で構成されており、厚さ(
図9においてz方向長さ)10mm、幅(
図9においてx方向長さ)105mm、長さ(
図9においてy方向長さ)4000mmの短冊状に成形されている。
【0050】
第2木材素材層52は、一方の平面で第1木材素材層51と木材用接着剤54によって接合され、他方の平面で第3木材素材層55と木材用接着剤54によって接合されている。
【0051】
第1木材素材層51の上面(第2木材素材層52に対向する面)には、上方が開放された溝51aが、第1木材素材層51の長手方向に沿って形成され、第1木材素材層51を縦断し、その全長に亘って第2木材素材層52によって覆われている。一方、第3木材素材層55の底面(第2木材素材層52に対向する面)には、下方が開放された溝15aが、第3木材素材層55の長手方向に沿って形成され、第3木材素材層55を縦断し、その全長に亘って第2木材素材層52によって覆われている。
【0052】
溝51aには、溝51aの長手方向に沿った帯状の炭素繊維束53Aが配置されている。溝55aには、溝55aの長手方向に沿った帯状の炭素繊維束53Bが配置されている。溝51a及び溝55aの形状は、実施の形態1の溝11aと同一の形状であり、炭素繊維束53A及び炭素繊維束53Bは、実施の形態1の炭素繊維束13と同一である。
【0053】
炭素繊維束53A及び炭素繊維束53Bはそれぞれ溝51a及び溝55aの断面略中央に配置されている。そして、ラミナ5は、断面における中心に対して対象な構造となっている。
【0054】
なお、ラミナの形状・寸法・構造・材料などは、上記のラミナ1、ラミナ2、ラミナ3及びラミナ5に限られない。ラミナ1の第2木材素材層12にも溝が設けられ、そこに炭素繊維束が配置される構造でもよい。逆に、ラミナ5の第2木材素材層52がないような構造でもよい。ラミナの木材素材層に用いられる木材も杉材に限られず、マツやヒノキなどの他の樹種の木材やMDF等のボードを用いることも可能である。また、炭素繊維束の形状・寸法・材料も、炭素繊維束13、炭素繊維束23A、炭素繊維束23B、炭素繊維束33A、炭素繊維束33B等に限られない。例えば、炭素繊維束の断面は、矩形状ではなく、円形状、楕円状又は正方形などの他の形状であっても構わない。さらには、実施の形態1では、炭素繊維の単独の材料からなる炭素繊維束を溝に配置し、溝に木材用接着剤を充填させる工程の途中で、炭素繊維束に木材用接着剤を含浸させているが、炭素繊維の単独の材料からなる炭素繊維束に木材用接着剤を含浸させた炭素繊維プリプレグを予め用意(製作し)し、その炭素繊維プリプレグを、溝に木材用接着剤を充填させる際に溝に配するようにすることも可能である。また、木材用接着剤の性質や材料も木材用接着剤14、木材用接着剤24、木材用接着剤34に限られない。木材用接着剤としては、集成材の組立時に使用されるために規格された所定の接着剤を用いることもできる。