(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1流量調整弁は、前記バイパスダクトの内側面に回動可能に固定された回転軸と、この回転軸に固定された弁体と、前記バイパスダクトの内側面に前記セラミックファイバーの成形体より内側に突出するように設けられ前記弁体が回動して閉じられたときに前記弁体に当接する当接部材と、を有する請求項2記載の蓄熱式排ガス浄化装置。
前記バイパスダクトは、排ガスが前記第1流量調整弁から前記排気ダクトまでに到達する時間が所定時間となるように、前記第1流量調整弁から前記排気ダクトまで湾曲させた湾曲経路である請求項1記載の蓄熱式排ガス浄化装置。
前記供給用開閉弁及び排出用開閉弁の少なくとも一つは、ポペット式開閉弁であり、このポペット式開閉弁は、閉状態の弁体の姿勢に対して第1の傾斜方向に漸次傾斜するように開動作されるとともに、さらに開く方向に動作する際には、閉状態の弁体の姿勢と平行になるように漸次動作され、さらに開く方向に動作する際には、前記第1の傾斜方向と反対方向である第2の傾斜方向に漸次傾斜するように開動作されるように構成されている請求項7記載の蓄熱式排ガス浄化装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、装置内部を流通するガスの熱による不具合の発生を低減することができる蓄熱式排ガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、蓄熱体を用いて排ガスを浄化処理する蓄熱式排ガス浄化装置であって、排ガスを燃焼させる燃焼室と、この燃焼室にぞれぞれの一端が連通する複数の蓄熱室と、これらの複数の蓄熱室のそれぞれの他端に設けられ蓄熱室に被処理ガスを供給するための供給用開閉弁と、複数の蓄熱室のそれぞれの他端に設けられ蓄熱室から被処理ガスを排出するための排出用開閉弁と、複数の蓄熱室のそれぞれに設けられた蓄熱体と、排出用開閉弁に接続された排気ダクトと、この排気ダクトと燃焼室とを連通するように設けられたバイパスダクトと、を有し、バイパスダクトには、燃焼室から排気ダクトへ流出する排ガスの流量を調整する第1流量調整弁が設けられ、バイパスダクトの内側面の第1流量調整弁が設けられた領域には、断熱材の成形体が取り付けられ
、排気ダクトのバイパスダクトが接続される部分には、排気ダクト内の領域をその内側の領域とその外側の領域に分割する内筒部材が設けられ、この排気ダクトの内筒部材の内側の領域にバイパスダクトから排ガスが流出するようになっていることを特徴としている。
このように構成された本発明の蓄熱式排ガス浄化装置においては、排気ダクトと燃焼室とを連通するバイパスダクトを設け、このバイパスダクトに設けられた第1流量調整弁により、燃焼室から排気ダクトへ流出する排ガスの流量を調整するようにしているので、燃焼室において余剰熱が発生したときには、燃焼室から高温の排ガスを排出ダクトに排出して、設備を保護することができる。
また、本発明においては、バイパスダクトの内側面の第1流量調整弁が設けられた領域には、断熱材の成形体が取り付けられているので、バイパスダクトの内部を流通する排ガスの熱による不具合(熱変形、割れ、表面塗装の剥がれ、鋼板の腐食等)の発生を低減して、バイパスダクトの使用寿命を延長することができる。
さらに、本発明においては、排気ダクトのバイパスダクトが接続される部分に、排気ダクト内の領域をその内側の領域とその外側の領域に分割する内筒部材が設けられているので、排気ダクトの外側の領域には比較的低温の排ガスが通り、排気ダクトの内側の領域には比較的高温のバイパスダクトから流出された排ガスが通るので、排気ダクトの壁面がバイパスダクトから流出した比較的高温の排ガスに直接さらされることがない。その結果、本発明によれば、排気ダクトの変形や表面塗装の剥がれを防止することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、断熱材の成形体は、筒状に形成されたセラミックファイバーの成形体である。
このように構成された本発明においては、断熱材の成形体が筒状に形成されたセラミックファイバーの成形体であるので、より効果的に上述したバイパスダクトの内部を流通する排ガスの熱による不具合(熱変形、割れ、表面塗装の剥がれ、鋼板の腐食等)の発生を低減して、バイパスダクトの使用寿命を延長することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、第1流量調整弁は、バイパスダクトの内側面に回動可能に固定された回転軸と、この回転軸に固定された弁体と、バイパスダクトの内側面にセラミックファイバーの成形体より内側に突出するように設けられ弁体が回動して閉じられたときに弁体に当接する当接部材と、を有する。
このように構成された本発明においては、弁体が回動して閉じられたときに弁体に当接する当接部材がバイパスダクトの内側面にセラミックファイバーの成形体より内側に突出するように設けられているので、当接部材とバイパスダクトの内側面との接続部がセラミックファイバーの成形体により保温され、高温の排ガスに直接的に熱せられることがない。
【0011】
本発明において、好ましくは、バイパスダクトは、排ガスが第1流量調整弁から排気ダクトまでに到達する時間が所定時間となるように、第1流量調整弁から排気ダクトまで湾曲させた湾曲経路である。
このように構成された本発明においては、第1流量調整弁から排気ダクトまで湾曲させた湾曲経路とすることにより、排ガスが第1流量調整弁から排気ダクトまでに到達する時間が所定時間となるようにしたので、酢酸エチル等の臭気の強いガスを処理する場合にも、運転条件によらず、常に完全分解(完全燃焼)した状態で、排気ダクトに導くことができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、所定時間は、0.1秒〜1.5秒の時間である。
【0013】
本発明は、好ましくは、更に、燃焼室の外部に設けられ前記燃焼室で発生した熱を回収するための熱回収装置と、燃焼室と熱回収装置とを連通するように設けられた熱回収用バイパスダクトと、を有し、熱回収用バイパスダクトには、燃焼室から熱回収装置へ流出する排ガスの流量を調整する第2流量調整弁が設けられている。
このように構成された本発明においては、燃焼室で発生した熱を回収するための熱回収装置を設けたので、第2流量調整弁により流量を調整して、燃焼室から必要な量の熱を回収して他の目的に使用することができる。
【0014】
本発明は、好ましくは、更に、排気ダクトのバイパスダクトとの接続位置よりも上流側に設けられた第3流量調整弁と、燃焼室内の圧力を検出する圧力検出器と、この圧力検出器により検出された圧力により第3流量調節弁の開度を制御する制御部と、を有する。
このように構成された本発明においては、第3流量調整弁の開度を制御することにより、燃焼室内の静圧を調整することができ、これにより、熱回収装置に対して余剰熱を安定的に供給することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、供給用開閉弁及び排出用開閉弁の少なくとも一つは、ポペット式開閉弁であり、このポペット式開閉弁は、閉状態の弁体の姿勢に対して第1の傾斜方向に漸次傾斜するように開動作されるとともに、さらに開く方向に動作する際には、閉状態の弁体の姿勢と平行になるように漸次動作され、さらに開く方向に動作する際には、前記第1の傾斜方向と反対方向である第2の傾斜方向に漸次傾斜するように開動作されるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、供給用開閉弁及び排出用開閉弁の少なくとも一つは、ポペット式開閉弁であり、このポペット式開閉弁が、閉状態の弁体の姿勢に対して第1の傾斜方向に漸次傾斜するように開動作されるとともに、さらに開く方向に動作する際には、閉状態の弁体の姿勢と平行になるように漸次動作され、さらに開く方向に動作する際には、前記第1の傾斜方向と反対方向である第2の傾斜方向に漸次傾斜するように開動作されるように構成されているので、開閉時の静圧変動を暖やかにできる。
【0016】
本発明において、好ましくは、ポペット式開閉伊弁の弁体には、第1の傾斜方向に弁体が傾斜するように錘が設けられ、錘が設けられた位置と対称な位置で弁体と当接することにより弁体のこの当接部分が上昇することを防止する規制部材が設けられ、弁体は、規制部材と当接することにより閉状態の弁体の姿勢と平行になるように動作される。
このように構成された本発明においては、ポペット式開閉伊弁の弁体には、第1の傾斜方向に弁体が傾斜するように錘が設けられ、錘が設けられた位置と対称な位置で弁体と当接することにより弁体のこの当接部分が上昇することを防止する規制部材が設けられているので、比較的簡易な構造により、確実に開閉時の静圧変動を暖やかにできる。
【0017】
本発明は、好ましくは、更に、結合及び分離可能な第1の筐体及び第2の筐体を有し、燃焼室及び蓄熱体が第1の筐体内に設けられ、供給用開閉弁及び排出用開閉弁が第2の筐体内に設けられている。
このように構成された本発明においては、結合及び分離可能な第1の筐体及び第2の筐体を有し、燃焼室及び蓄熱体が第1の筐体内に設けられ、供給用開閉弁及び排出用開閉弁が第2の筐体内に設けられているので、第1の筐体と第2の筐体とに分離させた状態で現場に搬入することができ、さらに、現場搬入後の組み立て動作を必要最小限にできる。その結果、本発明によれば、現場での工期短縮を可能とし、全体の工期も短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の蓄熱式排ガス浄化装置によれば、装置内部を流通するガスの熱による不具合の発生を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置について説明する。先ず、
図1により、本発明の実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置を説明する。符号1は、蓄熱式排ガス浄化装置を示し、この蓄熱式排ガス浄化装置1は、有機性揮発化合物等の燃焼及び酸化できる成分等の処理に適している。
【0021】
図1に示すように、蓄熱式排ガス浄化装置1は、バーナが設けられた燃焼室10と、この燃焼室10にその一端(上端)が結合されて連通している複数の蓄熱室11,12と、を備えている。これらの複数の蓄熱室11,12のそれぞれの一端(上端)及び他端(下端)の間には、蓄熱体26,27が設けられている。
【0022】
なお、
図1において、矢印は、ガスの流れを示しており、この例では、蓄熱室12に排ガス(被処理ガス)が供給され、蓄熱室11から排ガス(処理済みガス)が排出されるようになっている。これらの蓄熱室11,12への排ガスの供給と蓄熱室11,12から排ガスの排出は、切り換えるようになっている。また、
図1において、「IN」は、排ガスの蓄熱式排ガス浄化装置1への供給を示し、「OUT」は、処理済ガスの排出を示す。
【0023】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1は、複数の蓄熱室11,12のそれぞれの他端(下端)には、供給用開閉弁14,15が設けられ、これらの供給用開閉弁14,15には、被処理ガスを供給するための供給口20,21が形成されている。同様に、複数の蓄熱室11,12のそれぞれの他端(下端)には、排出用開閉弁16,17が設けられ、これらの排出用開閉弁16,17には、処理済ガスを排出するための排出口22,23が形成されている。
【0024】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1は、排出口22,23に接続された排気ダクト83と、燃焼室10と排気ダクト83とを連通するバイパスダクト31とを備える。排気ダクト83は、処理済ガスを蓄熱式排ガス浄化装置1から排出して所定の場所に導くための通路である。バイパスダクト31は、燃焼室10と排出口23,24の排出側とを連通するバイパス通路である。また、バイパスダクト31は、燃焼室10の上部に設けられ、燃焼室10から排気ダクト83へ流出する排ガスの流量を調整するための第1流量調整弁34を有する。この第1流量調整弁34は、バタフライ弁であり、弁体93の回転量により、燃料ガスの流量を調整できるようになっている。
【0025】
バイパスダクト31の内側面の第1流量調整弁34が設けられた領域には、
図2(A)及び
図3(A)に示すように、断熱材の成形体91が設けられている。この断熱材の成形体91は、好ましくは、筒状に形成されるセラミックファイバーの成形体である。
【0026】
ここで、
図3により、第1流量調整弁34を説明する。第1流量調整弁34は、バイパスダクト31の内側面に回動可能に固定された回転軸92と、この回転軸92に固定された弁体93と、当接部材94と、アクチュエータ99とを有する。回転軸92は、バイパスダクト31の長手方向に直交する方向に設けられている。当接部材94は、バイパスダクト31の内側面(後述する内筒部95)にセラミックファイバーの成形体91より内側に突出するように設けられ、弁体93が回動して閉じられてときに弁体93に当接するようになっている。
【0027】
この第1流量調整弁34は、回転軸92により弁体93を回動して、バイパスダクト31内を流通する排ガスの流量を調整すると共に弁体93を当接部材94に当接させてバイパスダクト31内における排ガスの流れを止めるようになっている。
【0028】
図3に示すように、バイパスダクト31は、内筒部95及び外筒部96を有しており、その間には、ロックウール等の断熱材97が詰められている。この断熱材97は、これに限られるものではなく、セラミックファイバーボード等であってもよい。
【0029】
上述したセラミックファイバー成形体91は、内筒部95の内側に設けられている。また、当接部材94は、内筒部95の内側に溶接等により一体化されている。当接部材94、内筒部95、回転軸92、弁体93は、いずれも、所定の強度を有する部材であり、腐食に強いステンレス製等から形成される。外筒体96も、所定の強度を有する部材であり、SS400(一般構造用圧延鋼材)等から形成される。
【0030】
図3(C)に示すように、当接部材94がセラミックファイバー成形体91の内面より内側に突出するようにするため、セラミックファイバー成形体91は、少なくとも上側部分91aと下側部分91bの2つの部材からなる分割構造となっている。
【0031】
ここで、
図2に示すように、燃焼室10の外壁部101の内面には、ロックウール等の断熱材102が設けられ、その内側には、セラミックファイバーボード103が設けられている。また、外壁部101には、内側に向かってスタッドピン(図示せず)が設けられ、このスタッドピンに押え板を固定することにより、断熱材102及びセラミックファイバーボード103が固定されている。
【0032】
図3(C)に示すように、上述したセラミックファイバー成形体91の上側部分91aは、当接部材94により支持されている。下側部分91bは、燃焼室10の外壁部101にネジ止めされた支持部材104により支持されている。
【0033】
次に、バイパスダクト31の内筒部95の第1流量調整弁34が設けられた領域に断熱材の成形体(セラミックファイバー成形体91)を設けたことによる利点について説明する。
図6に、本実施形態によるバイパスダクト31(
図2参照)と比較するための比較例のバイパスダクト331を示す。
図4の比較例のバイパスダクト331には、調整弁334が設けられている。調整弁334は、回転軸392と、弁体393と、当接部材394とを有する。
【0034】
比較例のバイパスダクト331は、内筒部395と、外筒部396と、断熱材397とを有している。当接部材394は、内筒部395に溶接されている。
図4に示す内筒部395は、ステンレス等であるが、この内筒部395は、直接高温の排ガスと触れるので、熱変形が発生し、割れ等が発生する可能性がある。さらには、この変形や割れにより、外筒部396の表面塗装のはがれや、鋼板の腐食や破損という問題が発生し、交換や補修が必要になるという問題が発生する可能性がある。
【0035】
これに対し、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、上述したように、セラミックファイバー成形体91が内筒部95の内側に設けられているので、バイパスダクト31の内部を流通するガスの熱による不具合の発生を低減することができる。これにより、バイパスダクト31の使用寿命を延長できる。
【0036】
また、比較例のバイパスダクト331においては、燃焼室310の外壁部401に溶接された取付部材404に、内筒部395が溶接により取り付けられている。内筒部395が排ガスの通過により熱膨張した場合に、外壁部401や外筒部396はそれほど熱が加わっていないため、溶接部等に応力が繰り返し発生する。これにより、内筒部395やその取り付け部に割れ等が発生する可能性がある。
【0037】
これに対し、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、上述したように、セラミックファイバー成形体91が内筒部95の内側に設けられているので、バイパスダクト31の内部を流通するガスの熱による不具合の発生を低減することができる。これにより、バイパスダクト31の使用寿命を延長できる。
【0038】
また、比較例のバイパスダクト331において、当接部材394及び内筒部395の接合部が溶接されている。この溶接部分が高温のガスに直接的に熱せられる。この状態で閉動作する弁体393により、内筒部395側に力が加わる。これにより、溶接部分に破損が生じる可能性がある。
【0039】
これに対し、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、上述したように、セラミックファイバー成形体91が当接部材94及び内筒部95の溶接部を保温するので、この溶接部分に発生する不具合を防止できる。
【0040】
次に、
図5により、第1変形例によるバイパスダクト31を説明する。本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、燃焼室10の側面からバイパスダクト31を接続するようにしてもよい。この第1変形例の場合には、取付部材110により断熱材の成形体91を固定する。この第1変形例によるバイパスダクト31においても、断熱材の成形体91により、上述した場合と同様の効果を奏する。
【0041】
次に、
図2により、排気ダクトとバイパスダクトとの接続部分について詳細に説明する。本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、排気ダクト83のバイパスダクト31が接続される部分に、内筒部材120が設けられている。この内筒部材120は、両端が開放された筒状のもので、且つ、バイパスダクト31に対向する面には開口部が形成されている。排気ダクト83は、その断面方向において、内筒部材120により、内側の領域120aと外側の領域120bに分割している。内筒部材120は、排気ダクト83の内面に設けられた取付板121と、内筒部材120の外面に設けられた取付板122とをボルト等により固定することにより排気ダクト83に取り付けられている。このようにして、バイパスダクト31から排気ダクト83に導かれる排ガスは、内筒部材120の内側の領域120aに導かれる。すなわち、バイパスダクト31の内筒部95と、内筒部材120とが接続され、バイパスダクト31の内筒部95の中を通過した排ガスは、排気ダクト83の内筒部材120の中に導かれ、下流側に排出されるようになっている。
【0042】
内筒部材120の内側の領域120aには、バイパスダクト31から導かれた比較的高温の排ガスが通り、一方、内筒部材120の外側の領域120bには、蓄熱室11,12下部の排出口22,23から排気ダクト83に導かれた比較的低温の排ガスが通る。内筒部材120の内側の領域120aに導かれた比較的高温の排ガスは、内側の領域120aに流入する比較的低温の排ガスと混合されて冷却され、さらに、内筒部材120の外側を通る比較的低温の排ガスにより冷却される。
【0043】
なお、内筒部材120は、上流端が閉鎖され、下流端が開放されるような部材であっても良く、この場合には、排気ダクト83の排ガスは内筒部材120の外側の領域120bを通過し、一方、バイパスダクト31の内筒部95から流入した排ガスは、内筒部材120の内側の領域120aを通って下流側に排出されるようになっている。
【0044】
この内筒部材120を設けない場合には、排気ダクト83の壁面は、バイパスダクト31を通過した高温の排ガスに直接さらされるので、これにより壁面が加熱され、排気ダクト83の変形や表面塗装の剥がれが生じるおそれがあった。しかしながら、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置によれば、内筒部材120により、高温の排ガスが直接排気ダクト83に流入して排気ダクト83と接触することを防ぐことができる。
【0045】
このように、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、排気ダクト83中のバイパスダクト31との接続部に内筒部材120を設けて、二重化構造としたことにより、バイパスダクト31からの高温の排ガスが直接排気ダクト83に接触することを防き、さらに、内筒部材120の外側に比較的低温ガスが流れることにより冷却効果も発揮できる。この結果、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、排気ダクト83の変形や割れ、表面塗装の剥がれを防止することができる。
【0046】
次に、
図6により、第2変形例によるバイパスダクト131を説明する。本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1においては、
図2に示したバイパスダクト31に変えて、
図6に示すバイパスダクト131を設けてもよい。このバイパスダクト131を設けた場合であっても、排気ダクト83に、上述した内筒部材120を設けてもよい。
【0047】
バイパスダクト131は、第1流量調整弁34から排気ダクト83まで最短距離で接続する直線経路に対して湾曲させた湾曲経路である。バイパスダクト131は、湾曲経路であるので、直線経路より排ガスの通過時間が長くなる。
【0048】
具体的に説明すると、バイパスダクト131は、第1流量調整弁34を通過した排ガスが排気ダクト83に合流するまでの時間が0.1秒〜1.5秒となるような長さに設定されている。ここで、この時間は、燃焼室10で発生する余剰熱量から決定されるバイパスダクト131内の平均流量とダクト径(断面積)によって決定される平均流速とにより算出された値である。
【0049】
図6に示された第2変形例によるバイパスダクト131を使用した蓄熱式排ガス処理装置1は、臭気の強いガスを処理する場合に有効である。例えば、酢酸エチルを処理する場合に、滞留時間が不足した場合に中間物としてより臭気の強い酢酸が発生するおそれがある。
【0050】
バイパスダクト131は、その内面に耐火キャスタブル131aが施工されており、高温状態で排ガスを滞留させることができるので、これにより、より臭気の強い酢酸等のガスを、運転条件によらず、常に完全分解(完全燃焼)した状態で、排気ダクト83に導くことができる。
【0051】
次に、
図7乃至
図12により、蓄熱式排ガス浄化装置1の上下2分割構造について説明する。蓄熱式排ガス浄化装置1は、上下2分割構造を採用することにより、装置全体の大きさがコンパクトとなり、さらに、付属部品(後述のフィルタボックス87、制御盤屋根86、梯子85、燃焼用の空気配管89、排気ダクト83、バイパスダクト31)を外した状態で、上下2分割のユニットのそれぞれを、例えば、搬送車両に積載可能な程度の大きさ(幅3000mm、高さ3180mm、長さ5500mm)にすれば、有利である。すなわち、蓄熱式排ガス浄化装置1を、上側のユニットと、下側のユニットとを分離させただけの状態で現場に搬入することができる。
【0052】
上下2分割構造にすることにより、現場搬入後の組み立て動作を必要最小限にでき、すなわち、下部ユニットの据付(固定)と、この下部ユニットへの上部ユニットの結合と、付属部品の取り付けだけにできる。従来は、現場での組み立てが煩雑であったが、この2分割構造にすることにより、上下の合体と付属品の取り付けのみで組み立て工程が完了するようになった。これにより、現場での工期短縮を可能とし、全体の工期も短縮することができる。尚、上述のサイズは、よく用いられる搬送車両を考慮した場合の一例である。
【0053】
具体的に説明すると、
図7及び
図9に示すように、蓄熱式排ガス浄化装置1は、互いに結合及び分離可能な第1の筐体41及び第2の筐体42を備えている。燃焼室10は、第1の筐体41に設けられる。複数の蓄熱室11,12は、その一端(上端)側の部分が第1の筐体41に設けられ、且つ、その他端(下端)側の部分が第2の筐体42に設けられる。すなわち、第2の筐体42の後述する流通口形成部材24(
図13参照)の上側の部分は、蓄熱室11,12として機能する。第1及筐体41及び第2の筐体42が結合することにより、それぞれの蓄熱室11,12が形成される。蓄熱体26,27は、蓄熱室11,12の第1の筐体41側に設けられている。供給用開閉弁14,15及び排出用開閉弁16,17は、第2の筐体42に設けられている。
【0054】
次に、上下ユニットの分割位置と、各ユニット及び付属品の分割位置について説明する。
図7において、PPAは、分割位置Aを示し、この分割位置Aの詳細は
図8(A)に示されている。分割位置Aは、上部ユニット70及び下部ユニット50を上下に分割する位置である。分割位置Aで分割された上部ユニット70及び下部ユニット50は、
図9に示すような状態となる。
図7において、PPBは、分割位置Bを示し、この分割位置Bの詳細は
図8(B)に示されている。分割位置Bは、下部ユニット50とフィルタボックス87とを分割する位置であり、さらに詳しくは、下部ユニット50のノズル部50aと、フィルタボックス87からの送風配管87aとを分割する位置である。分割位置Bで下部ユニット50から分割された付属部品であるフィルタボックス87は、
図8に示すような状態となる。
【0055】
図7において、PPCは、分割位置Cを示し、この分割位置Cの詳細は
図8(C)に示されている。分割位置Cは、上部ユニット70と、バイパスダクト31とを分割する位置であり、さらに詳しくは、上部ユニット70のノズル部70aと、バイパスダクト31に設けられる開閉弁34とを分割する位置である。
図7において、PPDは、分割位置Dを示し、この分割位置Dの詳細は
図8(D)に示されている。分割位置Dは、下部ユニット50と、排気ダクト83とを分割する位置であり、さらに詳しくは、下部ユニット50のノズル部50bと、排気ダクト83の接合部83aとを分割する位置である。分割位置C,Dにおいて上部ユニット70及び下部ユニット50から分割された排気ダクト83(バイパスダクト31付き)は、
図9に示す状態となっている。
【0056】
図7において、PPEは、分割位置Eを示し、この分割位置Eの詳細は
図8(E)に示されている。分割位置Eは、下部ユニット50と、制御盤屋根86の取付部86aとを分割する位置である。分割位置Eで下部ユニット50から分割された付属部品である制御盤屋根86は、
図9に示されたような状態となる。
図7において、PPFは、分割位置Fを示し、この分割位置Fは詳細は
図8(F)に示されている。分割位置Fは、上部ユニット70と、梯子85の取付部85aとを分割する位置である。分割位置Fで上部ユニット70から分割された付属部品である梯子85は、
図9に示されたような状態となる。
【0057】
図7において、PPGは、分割位置Gを示す。分割位置Gは、下部ユニット50の燃焼ブロワ60と、空気配管89とを分割する位置である。
図7において、PPHは、分割位置Hを示す。分割位置Hは、上部ユニット70のバーナユニット76と、空気配管89とを分割する位置である。分割位置G,Hで燃焼ブロワ60及びバーナユニット76から分割された空気配管89は、
図10に示されたような状態となる。上述した分割位置A〜分割位置Hは、それぞれ、現地据付時の結合位置となる。また、各結合位置(分割位置)における締結には、ボルト・ナット等の締結部材が用いられている。
【0058】
次に、
図11により、下部ユニット50について説明する。下部ユニット50は、第2の筐体42及びベース部材51を有し、このベース部材51上に、2つの蓄熱室11,12のホッパ部として機能する第2の筐体42が取り付けられている。第2の筐体42は、燃焼室10及び蓄熱室11,12として機能する第1の筐体41と、一体となるような形状(水平面における形状が略同一)とされている。また、第2の筐体42には、ベース部材51上に取り付けるための柱状部材42aが一体に設けられている。第2の筐体42の柱状部材42a間には、下部ユニット50の側面を構成する防音パネル53及び扉68が取り付けられている。下部ユニット50内部は、扉68を通して出入り可能となっている。
【0059】
第2の筐体42の内部には、
図1及び
図11(D)に示すように、切換ダンパとして機能する上述した開閉弁14,15,16,17が設けられている。これらの開閉弁14,15,16,17は、弁体14a,15a,16a,17aが上下に動くポペット式(「ポペットダンパ」とも呼ばれる)である。
【0060】
ホッパ部として機能する第2の筐体42の入口部及び出口部のそれぞれに、入口温度計として機能する熱電対66と、出口温度計として機能する熱電対67とが取り付けられている。防音パネル53で仕切られた内部には、送風機56がベース部材51上に取り付けられる。送風機56と第2の筐体42は、
図1に示すように、ダクト56aにより連通されている。
【0061】
ホッパ部として機能する第2の筐体42の下部には、エアタンク43、差圧発信器59が取り付けられている。エアタンク43は、ヘッダパイプとも呼ばれるものであり、切換ダンパである上述した開閉弁14,15,16,17をエア駆動させるための圧縮エアが蓄えられている。エアタンク43は、開閉弁14,15,16,17の駆動部であるエアシリンダに対して、図示しないエアチューブによって連結されている。
【0062】
差圧発信器59は、蓄熱式排ガス浄化装置1の本体差圧を測定するためのものである。差圧発信器59は、ホッパ部52の入口部と出口部のそれぞれを配管によって連結されている。燃焼ブロワ60は、防音パネル53の内部のベース部材51上に設置されており、その吐出口は、上部ユニット70と空気配管89によって連通されている。
【0063】
第2の筐体42の側面には、給気パネル54が取り付けられている。給気マフラ61及び給気ファン62によって、防音パネル53内部の空間にエアを送りこむことにより内部の換気を行う。尚、換気されたエアは、排気マフラ63により排出される。また、第2の筐体42の側面には、点検口が設けられ、この点検口に点検口蓋69が取り付けられている。
【0064】
メイン制御盤64は、ベース部材51上に設置されており、下部ユニット50内の機器とは電気配線によって接続されている。尚、上部ユニット70の機器に対しては、中継ボックス65を介して配線される。
【0065】
次に、
図12により、上部ユニット70について説明する。上部ユニット70は、第1の筐体41を備え、この第1の筐体41には、燃焼室10が形成されている。燃焼室10には、バーナ75及びバーナユニット76が取り付けられている。燃料及び燃焼用空気は、バーナユニット76内にて適正な流量に調整された後、バーナ75に供給されている。燃焼室10の上部等には、熱電対80が複数取り付けられている。この熱電対80は、燃焼室10内の温度測定用に設けられている。この熱電対80及びバーナ75の出力によって、炉内温度を制御している。
【0066】
バーナユニット76の上部には、バーナユニット76を制御するためのバーナ制御盤77が取り付けられている。これらは、バーナ小屋73の中に配置されている。また、第1の筐体41には、バーナ小屋73にアクセスするためのデッキ74が設けられている。バーナ制御盤77は、下部ユニット50の中継ボックス65と電気配線によって接続される。燃焼室10及び蓄熱室11,12として機能する第1の筐体41の内部には断熱材78が取り付けられ、断熱構造とされる。キャビネット71の内部には、蓄熱体26,27が設けられている。
【0067】
次に、
図1により、上部ユニット70と下部ユニット50が結合された状態について説明する。下部ユニット50の上側に、上部ユニット70が接続されている。排気ダクト83は、下部ユニット50と接続されており、上方に伸びた後エルボにて横方向に排気されている。また、排気ダクト83と上部ユニット70とは、ホットバイパスダンパ(バイパスダクト31)により連結されている。
【0068】
下部ユニット50内の燃焼ブロワ60と、上部ユニット70のバーナユニット76とは、燃焼用の空気配管89により連結されている。これにより、バーナユニット76へ燃焼用空気が供給される。
【0069】
梯子85は、上部ユニット70と接続されており、作業者が上部ユニット70にアクセスするためのものである。制御盤屋根86は、下部ユニット50に固定されており、メイン制御盤64(
図6参照)を操作する際に、降雨等から作業者を保護するためのものである。
【0070】
フィルタボックス87の上部に、冷風取入ダンパ88が取り付けられている。これは、蓄熱式排ガス燃焼装置1の起動時に、外気を導入するためのものである。また、フィルタボックス87は、被処理ガス中の異物等を除去するためのものである。下部ユニット50内の送風機56と連結されている。
【0071】
次に、
図1に示すように、上述した蓄熱式排ガス浄化装置1においては、2つの蓄熱室11,12の間には隔壁13が形成され、この隔壁13により、蓄熱体26,27が熱的に分離されるようになっている。また、バーナ75は、上部ユニット70の高さ方向の寸法を抑えるために、第1の筐体41の側面部に設けられる。
【0072】
第2の筐体42は、第1の筐体41と水平面内の寸法が同等とされており、また、高さ方向の寸法を小さくされた直方体形状に形成されている。第2の筐体42内部には、隔壁18が設けられ、この隔壁18により、供給口20,21として機能する空間18aと、排出口22,23として機能する空間18bとに分けられる。この隔壁18は、蓄熱室11,12の間に形成された隔壁13に対して略直交する方向に形成されている。
【0073】
次に、
図13(B)により、開閉弁について、説明する。供給用開閉弁14、15及び排出用開閉弁16,17は、所謂ポペットダンパ(ポペット弁)である。具体的に、開閉弁14〜17は、流通口24a,24b,24c,24dが設けられた流通口形成部材24を有しており、この排ガス浄化装置1においては、流通口形成部材24が4つの開閉弁に共通な共通部材として形成されている。また、蓄熱室11,12に対してガスを流入・流出させる際の流路を形成する部材も共通の部材(第2の筐体42)としている。これにより、構造が簡素となり、コンパクト化が達成できる。
【0074】
また、開閉弁14〜17は、それぞれ、弁体14a,15a,16a,17aと、シリンダ14b,15b,16b,17bと、を有する。弁体14a〜17aは、流通口形成部材24に対して近接及び離間する方向に移動可能とされる。すなわち、弁体14a〜17aは、シリンダ14b〜17bのロッド14c,15c,16c,17cの先端に取り付けられ、ロッド14c〜17cの伸縮に応じて移動される。弁体14a〜17aは、流通口形成部材24に近接する方向に移動され、当接されることで流通口24a〜24dを閉とする。それとともに、弁体14a〜17aは、流通口形成部材24から離間されることで流通口24a〜24dを開とする。シリンダ14b〜17bは、弁体14a〜17aを前記当接及び離間する方向(鉛直方向)に駆動する。
【0075】
さらに、弁体14a〜17aは、
図13(B)に示すように、流通口形成部材24に対して蓄熱体26,27と反対側(下側)に配置される。弁体14a〜17aは、蓄熱体26,27に近づく方向(上側)に移動されることで流通口24a〜24dが閉とされる。また、弁体14a〜17aは、蓄熱体26,27から遠ざかる方向(下側)に移動されることで流通口24a〜24dが開とされる。この特徴により、排ガス燃焼装置1の高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0076】
このことを比較して説明するため、従来用いられていた構造を
図13(A)に示す。この従来の弁体214は、流通口形成部材224に対して上側に配置されているため、流通口形成部材224と、蓄熱体との間に、弁体214が移動できるようなスペースが必要となってくる。シール部材214dは、流通口形成部材224側に設けられていた。また、シリンダ214bのロッド214cが長くなり中間軸受225が必要になる。この中間軸受225には、グリス供給部225aが設けられる。これに対し、
図8(B)に示された開閉弁14〜17は、中間軸受を不要として構造を簡素化できるとともに、小型化を達成できる。また、シール部材14d〜17dを弁体14a〜17a側に設けたことで、シール部材の交換を容易にできる。
【0077】
また、
図13(B)に示すように、弁体14a〜17aには、流通口形成部材24に当接する部分(上側の部分)にシール部材14d〜17dが形成される。該シール部材14d〜17dは、弁体14a〜17aが流通口24a〜24dを閉とする際に、弁体14a〜17a及び流通口形成部材24の間をシールする。ロッド14c〜17cには、グリス供給部25が設けられる。
【0078】
上述した供給用開閉弁14,15及び排出用開閉弁16,17において、それぞれの流通口形成部材24が共通であり、このため、第2の筐体42には、第2の筐体42における流通口形成部材24より下側の部分を2つの空間18a,18bに分ける隔壁18が設けられている。隔壁18により分けられた一方の空間18aには、一方の蓄熱室11に設けられる供給口20と他方の蓄熱室12に設けられる供給口21とが形成される。他方の空間18bには、一方の蓄熱室11に設けられる排出口22と他方の蓄熱室12に設けられる排出口23とが形成される。流通口形成部材24を共通部材にするとともに、隔壁18により分けた2つの空間18a,18bのそれぞれに、供給口20,21及び排出口22,23を適切に配置することにより、簡易且つ小型化した状態で、蓄熱室11,12の給気側及び排気側の切換えをすることができる。換言すると、燃焼室10や蓄熱室11,12に流れるガスの流れ方向の切換えを行うための機構を小型化して、装置全体の小型化することができる。
【0079】
また、
図1に示すように、第2の筐体42には、流通口形成部材24より上側の部分を2つの空間19a,19bに分ける隔壁19が設けられている。隔壁19は、燃焼室10に設けられる隔壁13と略平行で且つ略同一平面上に位置するように設けられ、隔壁13とともに、蓄熱室11,12を形成する。隔壁19により分けられた一方の空間19aは、蓄熱室11の一部として機能する。他方の空間19bには、蓄熱室12の一部として機能する。尚、流通口形成部材24の上側に設けられる隔壁19と、下側に設けられる隔壁18とは、その機能を発揮するため、略直交するように配置される。
【0080】
上述した開閉弁14〜17を所定時間経過毎に切り替えることにより、蓄熱室11,12の給気側(被処理ガスが供給される側)と排気側(処理済みガスが排出される側)とを切替えて運転が行われる。尚、開閉弁の切り替えのタイミングは、出入口温度(給気及び排気されるガスの温度を温度センサにより測定しその温度)に基づいて行うようにしてもよい。熱排出ダンパとしてのバイパスダクト31は、余剰熱が発生したときに、設備保護のために排ガスを排出することができる。さらには、蓄熱体の予備加熱工程及び熱回収(蓄熱)工程における熱負荷量を低減させる。
【0081】
各供給口20、21には、通常のタイプの排ガス供給配管に換えて、第2の筐体42内部の空間18aを介して排ガスが供給される。このガス供給用の空間18aには、送風機56が接続され、フィルタボックス87を介して各種設備から排出される被処理ガスである排ガスが供給される。フィルタボックス87は、排ガス中の塵埃の除去として機能するとともに、圧力変動の緩和を行う機能もある。各排出口22,23には、第2の筐体42内の空間18bを介して処理済のガスが排出される。このガス排出用の空間18bには、排気ダクト83が接続され、排気ダクト83を介して外部に処理済みガスが排出される。排気ダクト83の途中には、バイパスダクト31が接続されている。
【0082】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1において、第2の筐体42は、第2の筐体を設置位置に固定して取り付けるためのベース部材51と共に下部ユニット50を構成し、ベース部材51には、被処理ガスを供給口20,21に導くための送風機56が取り付けられ、ベース部材51及び第2の筐体42の間には、防音パネル53が取り付けられる。
【0083】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1において、第1の筐体41は上部ユニット70を備え、第2の筐体42は下部ユニット50を備えているので、これら上部及び下部ユニット70,50のそれぞれ、幅が2500〜3000mmであり、高さが2500〜3180mmであり、長さが4000〜5500mmである。これらの幅、高さ、長さの寸法は、日本国内における運搬制限を考慮したものであるが、運搬制限が異なる国においては、この寸法を変更すればよい。換言すると、この排ガス浄化装置1の幅、高さ、長さの寸法は、運搬制限を考慮した寸法である。上述のように、上部ユニット70及び下部ユニット50の各構成要素を極限まで低減して小型化することにより、上部ユニット70及び下部ユニット50を上述の寸法範囲に抑えることで、上部ユニット70及び下部ユニット50に分割した状態での現場搬入を実現でき、現場での組立・据付を大幅に低減でき、据付コストを低減できるのみならず、搬入先での生産ラインの停止を最小限に抑えることを実現できる。
【0084】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1において、
図11に示すようなメイン制御盤64及びバーナ制御盤77が設けられ、メイン制御盤64及びバーナ制御盤77には、互いを接続するための複数の信号線を纏めた通信ケーブル100を接続するための接続端子100a,100bが設けられている。これにより、従来必要であった上部ユニット70側の各機器への現地での配線作業に換えて、バーナ制御盤77への通信ケーブル100の設置のみとすることができる。その結果、現地での配線工事を大幅に低減することを実現する。
【0085】
次に、上述した本実施形態による蓄熱燃焼式排ガス浄化装置1による排ガス浄化方法について説明する。まず、
図1に示すように、蓄熱室12が供給側で、蓄熱室11が排出側であるとする。処理される排気ガスは、第2の筐体42の空間18aを通り、供給口20を通って蓄熱室11に到達する。
【0086】
次に、排気ガスは、第1の筐体41の蓄熱室12側の蓄熱体27を通過する際に、この蓄熱体27と熱交換を行うことによって加熱される。一方、蓄熱体27は、放熱・冷却される。蓄熱体27で加熱され燃焼室10に到達した排気ガスは、燃焼室内10にて、含有する成分の燃焼分解が行われる。
【0087】
次に、燃焼後の処理済ガスは、蓄熱室11の蓄熱体26を通過する。このとき、処理済ガスは、蓄熱体26と熱交換を行うことにより冷却される。その一方で、蓄熱体26は、蓄熱される。冷却された処理済ガスは、排出口22を通り、第2の筐体42の空間18aを通り、排気ダクト83に至る。
【0088】
この運転を継続すると、一方の蓄熱室12の蓄熱体27は、放熱・冷却され、他方の蓄熱室11の蓄熱体26は、蓄熱・加熱される。このため、一定時間経過後、蓄熱室12の供給口21の開閉弁15を閉とし、排出口23の開閉弁17を開とする。これとともに、蓄熱室11の供給口20の開閉弁14を開とし、排出口22の開閉弁16を閉とする。この動作により、ガスの流れ方向が反転し、蓄熱室12が排出側で、蓄熱室11が供給側に切り換えられる。
【0089】
これにより、次に処理される排気ガスは、十分に蓄熱された蓄熱体26との熱交換により加熱できる。加熱後の排気ガスは、燃焼室10で処理され、蓄熱体27との熱交換により冷却されて排気される。一定時間経過後、蓄熱室12の供給口21の開閉弁15を開とし、排出口23の開閉弁17を閉とする。これとともに、蓄熱室11の供給口20の開閉弁14を閉とし、排出口22の開閉弁16を開とする。この動作により、ガスの流れ方向が反転し、蓄熱室12が供給側で、蓄熱室11が排出側に切り換えられる。
【0090】
以上の動作を、一定時間ごとに繰り返すことにより、運転を継続することで、排熱を利用した効率的な燃焼処理を行うことができる。
【0091】
燃焼室10内の温度は、熱電対80の温度を測定しながら、その値が、一定温度となるようにバーナ75の出力を調整する。排気ガスに含有する処理成分が多い場合、その成分の燃焼によって燃焼室10内の温度が上昇する。このため、熱電対80の測定値が、ある一定温度に達した場合には、バーナ75の出力をOFFとしながら運転をする。さらに、熱電対80の測定値が、ある一定温度に達した場合には、余剰熱をホットバイパスダンパとして機能するバイパスダクト31と経由して放出を行う。この調整制御は、燃焼室10内に設置した熱電対80の温度を測定しながら第1流量調整弁34を調整することにより行われる。
【0092】
以上のように、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1は、燃焼室10と、一対の蓄熱室11,12と、供給口20,21と、排出口22,23と、蓄熱体26,27と、排気ダクト83と、バイパスダクト31とを備え、バイパスダクト31内の第1流量調整弁34が設けられた領域に、断熱材の成形体91が設けられている。これにより、バイパスダクト31の内部を流通する排ガスの熱による不具合の発生を低減することができる。
【0093】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1は、結合及び分離可能な第1及び第2の筐体41,42とを備え、燃焼室10が第1の筐体41に設けられ、蓄熱体26,27が第1の筐体41に設けられ、供給口20,21の開閉弁14,15及び排出口22,23の開閉弁16,17が、第2の筐体42に設けられている。
【0094】
蓄熱式排ガス浄化装置1は、上述のように、装置を小型化するとともにユニット化することにより、現地での据付及び組立を簡素化でき、工事期間を最小限に抑えることができる。また、ユニット化された部分に応じて制御盤をユニット化することも可能であり、それにより、現地での配線工事を大幅に低減することができる。
【0095】
ここでは、上下2分割方式の蓄熱式排ガス浄化装置1について説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、例えば各種部品の状態で現地に搬入され現地にて組み上げられて構成される蓄熱式排ガス浄化装置であってもよい。
【0096】
次に、
図14により、本発明の他の実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置を説明する。この実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置141は、上述した
図1の蓄熱式排ガス浄化装置1の構成に加えて、さらに、燃焼室10の外部に設けられ燃焼室10で発生した熱を回収するための熱回収装置(熱回収システム)140と、燃焼室10と熱回収装置140とを連通するように設けられた熱回収用バイパスダクト142と、この熱回収用バイパスダクト142に設けられた第2流量調整弁143と、を有する。なお、熱回収装置140の出口側は排気ダクト83に接続されている。
【0097】
熱回収用バイパスダクト142は、燃焼室10で発生した熱を外部に設けられる熱回収装置140で利用するためのダクトである。ここで、熱回収用バイパスダクト142の内側面の第2流量調整弁143周辺の部分には、上述した第1流量調整弁34周辺のダクト31と同様に、断熱材の成形体を設けるようにしてもよい。
【0098】
熱回収システム140は、熱交換器等を有し、蓄熱式排ガス浄化装置141からの熱を回収して他の目的に使用することができる。熱回収用バイパスダクト142は、燃焼室10で燃焼後の排ガスを熱回収装置140に導く。本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置141においては、熱回収用バイパスダクト142を設けたので、排気ダクト83の上流側に第3流量調整弁145が設けられている。
【0099】
蓄熱式排ガス浄化装置141は、さらに、燃焼室10内の圧力を検出する圧力検出器144と、圧力検出器144の検出結果に基づいて排気ダクト83に設けられた第3流量調整弁145を制御する制御部146とを備えている。
【0100】
この第3流量調整弁145を、例えば、圧力検出器144により検出される燃焼室10内静圧範囲を30〜250mmAqとなるよう制御すればよい。また、第3流量調整弁145の開度は、100%〜15%が適度である。
【0101】
蓄熱式排ガス浄化装置141は、第3流量調整弁145を制御することにより、燃焼室10内の静圧を調整することができる。これにより、熱回収装置140に対して余剰熱を安定的に供給することができる。すなわち、燃焼室10内は排ガスの濃度や流入時の温度等の条件により静圧が変動する可能性がある。熱回収用バイパスダクト142を経由して熱回収装置140に流入するガスの流量は、燃焼室10と熱回収装置140との静圧差に比例する。このことから、燃焼室10の静圧は、安定しているほうが良い。蓄熱式排ガス浄化装置141においては、第3流量調整弁145、圧力検出器144、制御部146により、余剰熱を安定的に供給して、安定した熱回収を行うことができる。
【0102】
ここで、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置141においては、余剰熱排出用のダクトとして、バイパスダクト31及び熱回収バイパスダクト142の両方を設けるようにしたがこれに限られるものではない。すなわち、バイパスダクト34の第1流量調整弁34と排気ダクト83との接続部分の間に熱回収装置140を設けるようにしても良い。このようにした場合であっても、上述の蓄熱式排ガス浄化装置141が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0103】
次に、
図15により、蓄熱式排ガス浄化装置の給気・排気弁となる開閉弁の変形例を説明する。上述した蓄熱式排ガス浄化装置1,141において、蓄熱室11,12に設けられる給気・排気弁となる開閉弁は、
図13(B)により説明した開閉弁14〜17を設けたので、コンパクト化等が達成される。
【0104】
しかしながら、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1,141においては、
図15に示す開閉弁164を用いるようにしてもよい。開閉弁164は、
図15に示すように、ポペット式開閉弁である。
【0105】
開閉弁164は、弁体164aと、シリンダ164bと、ロッド164cと、シール部材164dとを有する。開閉弁164は、閉状態である弁体164aの姿勢に対して、第1の傾斜方向S1に漸次傾斜するように開動作される。それとともに、さらに開く方向に動作する際には、元の姿勢(閉状態である弁体164aの姿勢)と平行になるように漸次動作される。さらに、開く方向に動作する際には、第1の傾斜方向S1と反対である第2の傾斜方向S2に漸次傾斜するように開動作される。
【0106】
第1の傾斜方向S1と第2の傾斜方向S2とは、ロッド164cを含む同一平面内で、ロッド164cの中心に対して線対称となっている。弁体164aは、継手164fを介してロッド164cに接続されている。継ぎ手164fは、弁体164aが同一平面内で一方向及び反対方向(第1及び第2の傾斜方向S1,S2)に傾斜することを可能とする。
【0107】
この弁体164には、第1の傾斜方向S1に弁体164aが傾斜するように、弁体164aの上面上であって外周側に錘168が設けられる。弁体164aの上面において、錘168が設けられた位置と対称な位置で弁体164aと当接することにより、弁体164aのこの当接部分164eが上昇することを防止する規制部材169が設けられる。錘168は、例えば5〜50kg程度である。規制部材169により、コントロールされる弁体164の傾斜範囲は、水平方向(閉状態である弁体164aの姿勢)に対して0〜60度程度である。
【0108】
規制部材169と当接することにより、弁体164aは、元の姿勢と平行になるように動作されるとともに、第2の傾斜方向S2に漸次傾斜するように開動作される。ここで、開閉弁165も開閉弁164と基本的には同様の構造を有するものであるが、錘168の位置及び規制部材169の位置が異なるため、開閉弁165においては、弁体165aの傾斜方向(第1及び第2の傾斜方向)は、開閉弁164の方向S1,S2と逆となる。開閉弁164,165は、いずれか一方が、給気用であり、他方が排気用である。
【0109】
この開閉弁164,165を用いた場合には、開閉時の静圧変動を緩やかにできるという利点がある。