特許 6041107 フローティング機構付き同軸コネクタ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6041107

(24)【登録日】2016年11月18日

(45)【発行日】2016年12月7日

(54)【発明の名称】フローティング機構付き同軸コネクタ

(51)【国際特許分類】

   H01R 24/40 20110101AFI20161128BHJP

   H01R 13/631 20060101ALI20161128BHJP

【ＦＩ】

   H01R24/40

   H01R13/631

【請求項の数】5

【全頁数】13

(21)【出願番号】特願2014-187244(P2014-187244)

(22)【出願日】2014年9月16日

(65)【公開番号】特開2016-62661(P2016-62661A)

(43)【公開日】2016年4月25日

【審査請求日】2015年9月8日

(73)【特許権者】

【識別番号】000102500

【氏名又は名称】ＳＭＫ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100089886

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 雅雄

(74)【代理人】

【識別番号】100172096

【弁理士】

【氏名又は名称】石井 理太

(72)【発明者】

【氏名】梁瀬 智康

(72)【発明者】

【氏名】浅井 清

【審査官】 高橋 学

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００６−０６６３８４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−０６７７２３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００７−１０９６００（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−１６５０８４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１２−０９９２９９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１０−１５３０８２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｈ０１Ｒ ２４／４０

Ｈ０１Ｒ １３／６３１

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

相手方中心コンタクトと互いに接続する中心コンタクトと、該中心コンタクトの外側に配置された外部コンタクトと、前記中心コンタクト及び外部コンタクトを互いに絶縁させた状態に保持するハウジングとを備えている同軸コネクタであって、
前記ハウジングには、支持体に固定されるハウジング基部と、該ハウジング基部の相手方コネクタ側に配置され、前記ハウジング基部に対し前記中心コンタクトとともに移動可能なハウジング可動部と、一端が前記ハウジング基部に固定され、他端が前記ハウジング可動部に固定されたフローティング用バネ体とを備え、
前記フローティング用バネ体には、前記ハウジング基部に固定される支持固定部と、前記ハウジング基部の相手方コネクタ側端面より突出し、前記ハウジング可動部に固定されるフローティング固定部と、前記支持固定部と前記フローティング固定部とを連結する弾性変形可能な揺動バネ部とを備え、
前記フローティング固定部にその両側縁より折り曲げた一対の弾性挟持片からなる接続部が一体に支持され、
前記ハウジング可動部及び接続部が前記フローティング用バネ体を介して前記ハウジング基部に移動可能に支持されていることを特徴とするフローティング機構付き同軸コネクタ。

【請求項2】

揺動バネ部には、支持固定部フローティング固定部間方向で伸縮可能な弾性伸縮部と、前記支持固定部フローティング固定部間方向軸回りにねじれ可能な弾性捩れ部とを一体に備えている請求項１に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。

【請求項3】

前記フローティング用バネ体は、前記揺動バネ部に板幅を変更可能なインピーダンス調節部を備え、前記中心コンタクトが適切なインピーダンスとなるように前記インピーダンス調節部の幅を適宜変更するようにした請求項１に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。

【請求項4】

前記外部コンタクトは、前記支持固定部フローティング固定部間方向と交差する方向に間隔置いて対向する一対の弾性接触片を前記ハウジング可動部の外側に備えている請求項１〜３の何れか１項に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。

【請求項5】

前記ハウジング基部に複数のハウジング可動部を移動可能に支持させた請求項１〜４の何れか１項に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、相手方同軸コネクタと接続する為のコネクタであって、相手方同軸コネクタとの接続が容易なフローティング機構付き同軸コネクタに関する。

【背景技術】

【0002】

この種の同軸コネクタには、中央に配置された中心コンタクトと、中心コンタクトの外側に配置された外部コンタクトとを備え、相手方同軸コネクタとの相互嵌合時には、中心コンタクト及び外部コンタクトの両方が相手方の中心コンタクト及び外部コンタクトと適切に接続されることが必要とされる。

【0003】

従って、電子機器に内蔵された基板やシャーシ等の支持体に対する同軸コネクタの取付け位置などによって、相互に接続される両同軸コネクタに軸方向または径方向に位置ズレが生じたとしても両同軸コネクタの接続時には、位置ズレが修正されなければならない。

【0004】

そこで、従来では、支持体に固定されるコネクタ基部に対し軸径方向に移動可能なコネクタ本体を備え、コネクタ本体を相手方同軸コネクタと接続させるようにしたフローティング機構付き同軸コネクタが用いられている（例えば、特許文献１を参照）。

【0005】

フローティング機構付き同軸コネクタにおいて、コネクタ本体は、中央に配置された中心コンタクトと、中心コンタクトの外側に配置された外部コンタクトと、中心コンタクトと外部コンタクトとの間に介在させたインシュレータとを備え、中心コンタクト及び外部コンタクトがそれぞれ相手方同軸コネクタの中心コンタクト、外部コンタクトと接続する
ようになっている。

【0006】

一方、コネクタ基部には、コネクタ本体を移動可能に保持する筒状の外部シェルと、外部シェル内の中央部に配置される中心導体部と、中心導体部と外部シェルとを絶縁する絶縁部材と、外部シェルに保持されたコネクタ本体を軸方向又は径方向に向けて付勢するコイルスプリングや皿バネ等の付勢手段とを備え、軸ズレが生じてもコネクタ本体が相手方同軸コネクタと相互接続できるようになっている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【特許文献1】特開２００８−２６２７３６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

しかしながら、上述の如き従来の技術では、相手方同軸コネクタと相互接続するコネクタ本体と、コネクタ本体を移動可能に保持するコネクタ基部とを別個に備えているため、その分同軸コネクタ全体の外形が大きくなり、小型化が阻害されているという問題があった。

【0009】

また、従来のフローティング機構付き同軸コネクタでは、コネクタ本体を軸方向又は径方向に付勢するコイルスプリングや皿バネを必要とし、その分、部品点数が増加し、製品コストや製造工程が増加するという問題があった。

【0010】

更に、この種の従来のフローティング機構付き同軸コネクでは、コネクタ本体の中心コンタクトとコネクタ基部の中心導体とを別個に形成し、コネクタ基部に対しコネクタ本体を軸方向及び径方向で移動可能としたことにより、中心コンタクトと中心導体とを互いに移動可能且つ電気的に接続する構造を必要とし、構造が複雑化するという問題があった。

【0011】

更にまた、この種の同軸コネクタでは、高周波性能が重要であるところ、コネクタ本体とともに中心コンタクトが移動し、中心コンタクトとコネクタ基部の中心導体との間に軸ズレが生じると高周波性能の低下を招く虞があった。

【0012】

そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、高い高周波性能及びフローティング性能を確保しつつ、部品点数が少なく、且つ小型化が可能なフローティング機構付き同軸コネクタの提供を目的としてなされたものである。

【課題を解決するための手段】

【0013】

上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、相手方中心コンタクトと互いに接続する中心コンタクトと、該中心コンタクトの外側に配置された外部コンタクトと、前記中心コンタクト及び外部コンタクトを互いに絶縁させた状態に保持するハウジングとを備えている同軸コネクタであって、前記ハウジングには、支持体に固定されるハウジング基部と、該ハウジング基部の相手方コネクタ側に配置され、前記ハウジング基部に対し前記中心コンタクトとともに移動可能なハウジング可動部と、一端が前記ハウジング基部に固定され、他端が前記ハウジング可動部に固定されたフローティング用バネ体とを備え、前記フローティング用バネ体には、前記ハウジング基部に固定される支持固定部と、前記ハウジング基部の相手方コネクタ側端面より突出し、前記ハウジング可動部に固定されるフローティング固定部と、前記支持固定部と前記フローティング固定部とを連結する弾性変形可能な揺動バネ部とを備え、前記フローティング固定部にその両側縁より折り曲げた一対の弾性挟持片からなる接続部が一体に支持され、前記ハウジング可動部及び接続部が前記フローティング用バネ体を介して前記ハウジング基部に移動可能に支持されているフローティング機構付き同軸コネクタにある。

【0014】

請求項２に記載の発明の特徴は、請求項１の構成に加え、揺動バネ部には、支持固定部フローティング固定部間方向で伸縮可能な弾性伸縮部と、前記支持固定部フローティング固定部間方向軸回りにねじれ可能な弾性捩れ部とを一体に備えていることにある。

【0015】

請求項３に記載の発明の特徴は、請求項１又は２の構成に加え、前記フローティング用バネ体は、前記揺動バネ部に板幅を変更可能なインピーダンス調節部を備え、前記中心コンタクトが適切なインピーダンスとなるように前記インピーダンス調節部の幅を適宜変更するようにしたことにある。

【0016】

請求項４に記載の発明の特徴は、請求項１〜３の何れか１項の構成に加え、 前記外部コンタクトは、前記支持固定部フローティング固定部間方向と交差する方向に間隔置いて対向する一対の弾性接触片を前記ハウジング可動部の外側に備えていることにある。

【0017】

請求項５に記載の発明の特徴は、請求項１〜４の何れか１項の構成に加え、前記ハウジング基部に複数のハウジング可動部を移動可能に支持させたことにある。

【発明の効果】

【0018】

本発明に係るフリーティング機構付き同軸コネクタは、上述したように、相手方中心コンタクトと互いに接続する中心コンタクトと、該中心コンタクトの外側に配置された外部コンタクトと、前記中心コンタクト及び外部コンタクトを互いに絶縁させた状態に保持するハウジングとを備えている同軸コネクタであって、前記ハウジングには、支持体に固定されるハウジング基部と、該ハウジング基部の相手方コネクタ側に配置され、前記ハウジング基部に対し前記中心コンタクトとともに移動可能なハウジング可動部と、一端が前記ハウジング基部に固定され、他端が前記ハウジング可動部に固定されたフローティング用バネ体とを備え、前記フローティング用バネ体には、前記ハウジング基部に固定される支持固定部と、前記ハウジング基部の相手方コネクタ側端面より突出し、前記ハウジング可動部に固定されるフローティング固定部と、前記支持固定部と前記フローティング固定部とを連結する弾性変形可能な揺動バネ部とを備え、前記フローティング固定部にその両側縁より折り曲げた一対の弾性挟持片からなる接続部が一体に支持され、前記ハウジング可動部及び接続部が前記フローティング用バネ体を介して前記ハウジング基部に移動可能に支持されていることにより、相手方同軸コネクタと相互接続する部分とフローティング機構を構成する部分とを一体的に構成でき、コネクタの小型化を図れるとともに、部品点数の低減を図ることができる。また、部品点数の低減及び組み立て作業の簡素化を図れるとともに、中心コンタクトがハウジング可動部の移動に追従するのでコネクタ内での中心軸のズレが防止でき、高周波性能の低下を抑制することができる。

【0019】

また、本発明において、揺動バネ部には、支持固定部フローティング固定部間方向で伸縮可能な弾性伸縮部と、前記支持固定部フローティング固定部間方向軸回りにねじれ可能な弾性捩れ部とを一体に備えていることにより、簡素な構造で前後左右何れの方向への移動を円滑に許容することができる。

【0020】

また、前記フローティング用バネ体は、前記揺動バネ部に板幅を変更可能なインピーダンス調節部を備え、前記中心コンタクトが適切なインピーダンスとなるように前記インピーダンス調節部の幅を適宜変更するようにしたことにより、製品サイズやプレス金型等の大幅変更を要せずに高周波性能及びインピーダンスの調整を行うことができる。

【0021】

また、本発明において、前記外部コンタクトは、前記支持固定部フローティング固定部間方向と交差する方向に間隔置いて対向する一対の弾性接触片を前記ハウジング可動部の外側に備えていることにより、ハウジング可動部及び中心コンタクトの両弾性接触片間方向の移動を許容するとともに、相手方外部コンタクトと確実に接続することができる。

【0022】

更に、本発明において、前記ハウジング基部に複数のハウジング可動部を移動可能に支持させたことにより、多連型同軸コネクタに適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【0023】

【図1】（ａ）は本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタの一例を示す正 面図、（ｂ）は同側面図、（ｃ）は同平面図である。

【図2】（ａ）は同上のＡ−Ａ線断面図、（ｂ）は同Ｂ−Ｂ線断面図である。

【図3】（ａ）は同上のフローティング機構付き同軸コネクタに使用するフローティング用バネ体を示す正面図、（ｂ）は同平面図、（ｃ）は同Ｃ−Ｃ線断面図、（ｄ）は同Ｄ−Ｄ線断面図である。

【図4】図1中のハウジング基部を示す平面図、（ｂ）は同Ｅ−Ｅ線断面図、（ｃ） は同Ｆ−Ｆ線断面図である。

【図5】（ａ）は同上の外部コンタクトを示す斜視図、（ｂ）は同縦断面図である。

【図6】(ａ)は同上のハウジング可動部を示す斜視図、（ｂ）は同底面図、（ｃ）は同縦断面図である。

【図7】相手方同軸コネクタと接続した状態における図1中のＡ−Ａ線断面図であって、（ａ）軸ズレのない状態、（ｂ）は前後方向に軸ズレした状態を示す図である。

【図8】相手方同軸コネクタと接続した状態における図1中のＢ−Ｂ線断面図であって、（ａ）軸ズレのない状態、（ｂ）は左右方向に軸ズレした状態を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0024】

次に、本発明の実施の態様を図１〜図８に示した実施例に基づいて説明する。尚、本実施例では、ソケット側にフローティング機構付き同軸コネクタ１を適用した例について説明し、プラグ側を相手方同軸コネクタ２として説明する。

【0025】

また、本実施例においては、図１（ａ）中の両同軸コネクタ接続方向を上下方向とし、相手方コネクタとの接続側を上、基板との実装側を下とし、上下方向と直交する２方向の内、図１（ａ）中のコネクタ幅方向を左右、他方のコネクタ幅方向、即ち、図１（ｂ）中のコネクタ幅方向を前後方向として説明する。

【0026】

フローティング機構付き同軸コネクタ１は、中央に配置された中心コンタクト３と、中心コンタクト３の外側に配置された外部コンタクト４と、中心コンタクト３及び外部コンタクト４を互いに絶縁させた状態に保持するハウジング５とを備え、相手方同軸コネクタ２と互いに嵌合し、中心コンタクト３が相手方中心コンタクト２１と、外部コンタクト４が相手方外部コンタクト２２とそれぞれ接続するようになっている。

【0027】

また、このフローティング機構付き同軸コネクタ１では、基板や電子機器筐体等の支持体に固定されるハウジング基部５１と、ハウジング基部５１上にあってハウジング基部５１に対し中心コンタクト３とともに移動可能なハウジング可動部５２と、一端がハウジング基部５１に固定され、他端がハウジング可動部５２に固定されたフローティング用バネ体６とをハウジング５に備え、ハウジング可動部５２が中心コンタクト３とともにフローティング用バネ体６を介してハウジング基部５１に移動可能に支持されていることにより、フローティング機構が形成されている。

【0028】

更に、このフローティング機構付き同軸コネクタ１では、中心コンタクト３とフローティング用バネ体６とを一体化した導電性金属板材からなるコンタクト付きフローティング用バネ体（以下、一体型バネ体７という）を使用し、中心コンタクト３がハウジング可動部５２の移動に追従できるようにしている。

【0029】

一体型バネ体７は、図３に示すように、弾性を有する導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、フローティング用バネ体６に中心コンタクト３を一体に支持させ、中心コンタクト３の構成の一部をフローティング用バネ体６に兼用させた構造となっている。

【0030】

フローティング用バネ体６は、ハウジング基部５１に固定される支持固定部６１と、ハウジング可動部５２に固定されるフローティング固定部６２と、支持固定部６１とフローティング固定部６２とを連結する弾性変形可能な揺動バネ部６３とを備え、支持固定部６１とフローティング固定部６２とが互いに前後に間隔を置いて平行配置され、揺動バネ部６３の弾性変形によって支持固定部６１に対しフローティング固定部６２が前後移動及び左右に揺動できるようになっている。

【0031】

支持固定部６１は、矩形状に形成され、その上端に揺動バネ部６３の一端が一体に支持され、下端より中心コンタクト３を構成する基板接続端子片３１が水平方向に延出している。

【0032】

揺動バネ部６３は、支持固定部フローティング固定部間方向、即ち、前後方向で伸縮可能な弾性伸縮部６３１と、支持固定部フローティング固定部間方向軸回りにねじれ可能な弾性捩れ部とを一体に備え、弾性伸縮部６３１の伸縮により支持固定部６１に対するフローティング固定部６２の前後方向移動を許容し、各弾性捩れ部のねじれにより支持固定部６１に対するフローティング固定部６２の左右方向移動を許容し、且つ、弾性により原位置に復帰できるようになっている。

【0033】

弾性伸縮部６３１は、上端が支持固定部６１の上縁に円弧状に湾曲した折り返し部６３２を介して支持された状態で斜め下方に延出し、下端に折り返し部６３３を介して水平方向に延出したインピーダンス調節部６３４が一体に支持されている。

【0034】

そして、この弾性伸縮部６３１は、両折り返し部６３２，６３３で湾曲することにより、支持固定部フローティング固定部間方向、即ち、前後方向で伸縮し、弾性により原位置に復帰できるようになっている。

【0035】

インピーダンス調節部６３４は、水平方向に延出した細板状に形成され、一端が折り返し部６３３を介して弾性伸縮部６３１に支持され、他端が折り返し部６３５を介してフローティング固定部６２の下縁に一体に支持されている。

【0036】

このインピーダンス調節部６３４は、左右方向の板幅を変更することができ、インピーダンス調節部６３４の幅を適宜変更することにより、フローティング用バネ体６と一体化した中心コンタクト３のインピーダンスを適切な値に調節することができるようになって
いる。

【0037】

各折り返し部６３２、６３５は、それぞれ支持固定部６１及びフローティング固定部６２の板幅より狭く形成され、揺動バネ部６３における弾性捩れ部を構成している。

【0038】

即ち、支持固定部６１に対しフローティング固定部６２が左右方向に相対移動した場合、各折り返し部６３２，６３５が支持固定部フローティング固定部間方向軸回りにねじれることにより、当該左右方向の移動を許容するとともに、弾性により原位置に復帰できる
ようになっている。

【0039】

フローティング固定部６２は、上下方向に向けた矩形状に形成され、中央部に支持固定部６１側に膨出した縦向き突条状の膨出部６２１を一体に備え、下端両側部に中心コンタクト３の接続部３２を構成する弾性挟持片３２１，３２１が一体に支持されている。

【0040】

中心コンタクト３は、相手方中心コンタクト２１と接続する接続部３２と、接続基板に接続される基板接続端子片３１とを備え、接続部３２と基板接続端子片３１とがフローティング用バネ体６を介して電気的に接続されている。

【0041】

接続部３２は、互いに左右方向で対向する一対の弾性挟持片３２１，３２１を備え、ピン状の相手方中心コンタクト２１を両弾性挟持片３２１，３２１で挟持することにより相手方中心コンタクト２１と接続するようになっている。

【0042】

各弾性挟持片３２１，３２１は、上下に長い帯板状に形成され、その下方側縁がフローティング固定部６２の下端側縁より垂直に折り曲げた支持片３３に一体に支持され、支持固定部６１とフローティング固定部６２との間に左右方向で互いに対向するように配置されている。

【0043】

また、各弾性挟持片３２１，３２１には、上端に内側に湾曲した接点３２２が形成され、互いに対向する接点３２２，３２２間に相手方中心コンタクト２１が挟持されるように
なっている。

【0044】

尚、各弾性挟持片３２１，３２１の下端には、水平外向きに延出した抜止めガイド片３４が一体に支持され、この抜止めガイド片３４がハウジング基部５１の下端に前後左右方向に移動可能に当て止めされるようになっている。

【0045】

ハウジング基部５１は、図４に示すように、絶縁性合成樹脂により上下に開口した前後左右の周壁部５１１〜５１４を有する角筒状に形成され、上面側よりハウジング可動部５２が組み付けられるとともに、下面側より一体型バネ体７が組み込まれ、フローティング用バネ体６を介してハウジング可動部５２とハウジング基部５１とが移動可能に接合される。

【0046】

前の周壁部５１１には、上下方向に向けた支持固定部圧入部５１５が形成され、この支持固定部圧入部５１５にフローティング用バネ体６の支持固定部６１が圧入されることにより、フローティング用バネ体６の一端、即ち、支持固定部６１がハウジング基部５１に固定される。

【0047】

また、前の周壁部５１１には、支持固定部圧入部５１５の内側面側に開口し、且つ、支持固定部圧入部５１５と連通した回避溝５１６が形成され、周壁部５１１に揺動バネ部６３が干渉しないようになっている。

【0048】

よって、一体型バネ体７のフローティング固定部６２及び両弾性挟持片３２１，３２１は、下部が揺動バネ部６３を介してハウジング５に支持されるとともに内空部５１７内に移動可能な状態で収容され、且つ、上部が内空部５１７の上端開口より突出している。

【0049】

また、ハウジング基部５１の左右の周壁部５１３，５１４には、下面部に凹状のガイド溝５１８が形成され、一体型バネ体７の抜止めガイド片３４がこのガイド溝５１８内に挿入され、抜止めガイド片３４がこのガイド溝５１８に案内されるとともに、ガイド溝５１８の上縁に当て止めされることにより、一体型バネ体７の抜け止めがされている。

【0050】

また、ハウジング基部５１には、外側に導電性金属材からなる外部コンタクト４が組み付けられ、外部コンタクト４を介して実装基板等の支持体に固定されるようになっている。

【0051】

外部コンタクト４は、図５に示すように、弾性を有する導電性金属板材をプレス加工することにより一体に形成され、ハウジング基部５１の外周を覆う角筒状の筒状部４１と、筒状部４１の左右側板４１３，４１４にそれぞれ一体に支持された一対の弾性接触片部４２，４２とを備えている。

【0052】

また、外部コンタクト４には、前後側板４１１，４１２の下縁部に外向きに張り出した基板接続部４３，４３を一体に備えるとともに、左右側板４１３，４１４の上縁に内向きに折り返した形状の固定係止部４４を一体に備え、固定係止部４４をハウジング基部５１の左右周壁部５１１〜５１４と係合させ、基板接続部４３，４３を実装基板上のパターンに半田付けすることにより、ハウジング基部５１が支持体である実装基板に固定されるとともに、外部コンタクト４が実装基板に電気的に接続されるようになっている。

【0053】

各弾性接触片部４２，４２は、下端が左右側板の上縁に一体に支持された一対の弾性支持片４２１，４２１と、両弾性支持片４２１，４２１間に架け渡した形状の接触片４２２とを備え、接触片４２２と両弾性支持片４２１，４２１とが側面視門型状を成している。

【0054】

各弾性支持片４２１，４２１は、左右側板部の上縁より斜め外向きに延出したバネ基部４２１ａと、バネ基部４２１ａの先端より斜め内向きに延出した支持バネ部４２１ｂとを備え、支持バネ部４２１ｂの先端に接触片４２２の端が一体に支持されている。

【0055】

接触片４２２は、内向きにく字状又は逆く字状に屈曲した形状に形成され、屈曲した部分の頂部が相手方外部コンタクト２２の外周面に接触するようになっている。

【0056】

ハウジング可動部５２は、図６に示すように、絶縁性合成樹脂材により円柱状に形成され、下面側に開口した角穴状のコンタクト収容部５２１を備えている。

【0057】

このハウジング可動部５２には、コンタクト収容部５２１より外側に下面に開口した固定部圧入孔５２２が形成され、ハウジング可動部５２をハウジング基部５１の上面側より組み付けることにより、固定部圧入孔５２２にハウジング基部５１の上端より突出したフローティング固定部６２の上端部が圧入されるとともに、コンタクト収容部５２１内に接続部３２、即ち、両弾性挟持片３２１，３２１の上部が収容される。

【0058】

また、ハウジング可動部５２には上端外周部には、上方に向けて縮径するテーパ状の誘導面部５２３を備えているとともに、上端面に開口し、且つ、コンタクト収容部５２１と連通したコンタクト挿通孔５２４を備え、このコンタクト挿通孔５２４を通してピン状の相手方中心コンタクト２１がハウジング５内に挿入されるとともに、誘導面部５２３に誘導されハウジング可動部５２の外側に嵌り込むようになっている。

【0059】

尚、コンタクト挿通孔５２４は、その開口縁部が下方に向けて縮径するテーパ状に形成され、相手方中心コンタクト２１が孔中心に誘導されるようになっている。

【0060】

このように構成されたフローティング機構付き同軸コネクタ１では、ハウジング可動部５２がフローティング用バネ体６を介してハウジング基部５１に移動可能に支持され、中心コンタクト３とともに移動するので、相互接続時に相手方同軸コネクタ２に対し前後左右何れの方向に軸ズレが生じていいても自動的に軸ズレを調整し、安定した接続状態が得られるようになっている。

【0061】

例えば、相手方同軸コネクタ２と相互接続する際、図７（ｂ）に示すように、前後方向に軸ズレが生じている場合、ハウジング可動部５２と相手方同軸コネクタ２とは、ハウジング可動部５２の誘導面部５２３に誘導されて相互嵌合しようとし、揺動バネ部６３の弾性伸縮部６３１が撓んで前後に縮み、ハウジング基部５１に対するハウジング可動部５２及び中心コンタクト３の接続部の前後移動を許容し、相手方中心コンタクト２１と中心コンタクト３とが接続される。

【0062】

その際、相手方外部コンタクト２２は、ハウジング可動部５２の外側に嵌り込んだ状態で両弾性接触片部４２，４２間を挟持された状態で前後方向に移動するので、外部コンタクト４と安定した接続状態にある。

【0063】

そして、相手方同軸コネクタ２が離脱した際には、撓んだ弾性伸縮部６３１が弾性復帰することにより、揺動バネ部６３の変形に連動してハウジング可動部５２がハウジング基部５１上の中心位置に復帰する。

【0064】

また、相手方同軸コネクタ２と相互接続する際、図８に示すように、左右方向に軸ズレが生じている場合、ハウジング可動部５２と相手方同軸コネクタ２とは、ハウジング可動部５２の誘導面部５２３に誘導されて相互嵌合しようとし、揺動バネ部６３の各弾性捩れ部が前後軸回りに捩じれ、ハウジング基部５１に対するハウジング可動部５２及び中心コンタクト３の接続部３２の左右の移動を許容し、相手方中心コンタクト２１と中心コンタクト３とが接続される。

【0065】

その際、その際、相手方外部コンタクト２２は、ハウジング可動部５２の外側に嵌り込んだ状態で一方の弾性接触片部４２，４２側に押し付けられるので、外部コンタクト４と安定した接続状態にある。

【0066】

そして、相手方同軸コネクタ２が離脱した際には、撓んだ弾性伸縮部６３１が弾性復帰することにより、揺動バネ部６３の変形に連動してハウジング可動部５２がハウジング基部５１上の中心位置に復帰する。

【0067】

このように前後左右の軸ズレに対しては、前後方向の移動を弾性伸縮部６３１で、左右方向の移動を弾性捩れ部６３２，６３５で複合的に許容できるので、何れの方向へのフローティングも可能となっている。

【0068】

更には、一体型バネ体７を使用し、フローティング固定部６２に中心コンタクト３の接続部３２を一体に支持させたことにより、中心コンタクト３の中心位置がフローティング動作とともに相手方中心コンタクト２１の中心位置に追従して移動するので、コネクタ内での中心軸のズレが防止でき、高周波性能の低下を抑制することができる。

【0069】

尚、上述の実施例では、ソケット側をフローティング機構付き同軸コネクタ１とした例について説明したが、プラグ側に適用してもよい。

【0070】

また、上述の実施例では、ハウジング５が支持される支持体を電子部品に内蔵される実装基板とした例について説明したが、支持体はこれに限定されず、例えば、電子機器筐体を支持体としてもよく、同軸ケーブルに接続し、同軸ケーブルを支持体としてもよい。

【0071】

また、本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタ１は、ハウジング基部５１上に複数のハウジング可動部５２を移動可能に接合させた多連型同軸コネクタに適用してもよい。

【符号の説明】

【0072】

１ フローティング機構付き同軸コネクタ
２ 相手方同軸コネクタ
２１ 相手方中心コンタクト
２２ 相手方外部コンタクト
２３ インシュレータ
３ 中心コンタクト
３１ 基板接続端子片
３２ 接続部
３２１ 弾性挟持片
３２２ 接点
３３ 支持片
３４ 抜止めガイド片
４ 外部コンタクト
４１ 筒状部
４２ 弾性接触片部
４２１ 弾性支持片
４２２ 接触片
４３ 基板接続部
４４ 固定係止部
５ ハウジング
５１ ハウジング基部
５１１〜５１４ 周壁部
５１５ 支持固定部圧入部
５１６ 回避溝
５１７ 内空部
５１８ ガイド溝
５２ ハウジング可動部
５２１ コンタクト収容部
５２２ 固定部圧入孔
５２３ 誘導面部
５２４ コンタクト挿通孔
６ フローティング用バネ体
６１ 支持固定部
６２ フローティング固定部
６２１ 膨出部
６３ 揺動バネ部
６３１ 弾性伸縮部
６３２ 折り返し部（弾性捩れ部）
６３３ 折り返し部
６３４ インピーダンス調節部
６３５ 折り返し部（弾性捩れ部）
７ コンタクト付きフローティング用バネ体（一体型バネ体）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】