(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041128
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】重合ロジン系ポリエステル、乳酸系樹脂用可塑剤、乳酸系樹脂組成物および成形物
(51)【国際特許分類】
C08G 63/199 20060101AFI20161128BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20161128BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20161128BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20161128BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
C08G63/199ZBP
C08L67/02
C08L67/04
C08J5/00CFD
!C08L101/16
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-200306(P2012-200306)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-55222(P2014-55222A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
【審査官】
岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−133049(JP,A)
【文献】
特開2003−160736(JP,A)
【文献】
特開2008−069342(JP,A)
【文献】
特開2007−002243(JP,A)
【文献】
米国特許第04368316(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00−63/91
C08J 5/00−5/24
C08L 67/00−67/04
101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二量体含有率が60重量%以上である重合ロジンおよび/または該重合ロジン低級エステルを50モル%以上含有するジカルボン酸成分と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコール低級モノエステル、トリエチレングリコール低級モノエステル、テトラエチレングリコール低級モノエステル、平均重合度が3〜7であるポリエチレングリコール、および炭素数8〜12のアルキル基を有する1価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であるアルコール成分とを、縮合させて得られることを特徴とする重合ロジン系ポリエステルを主成分とする乳酸系樹脂用可塑剤。
【請求項2】
前記重合ロジンおよび/または重合ロジン低級エステルの二量体含有率が80重量%以上である請求項1記載の重合ロジン系ポリエステルを主成分とする乳酸系樹脂用可塑剤。
【請求項3】
ジカルボン酸成分が、前記重合ロジンおよび/または重合ロジン低級エステルを80モル%以上含有する請求項1または2記載の重合ロジン系ポリエステルを主成分とする乳酸系樹脂用可塑剤。
【請求項4】
重量平均分子量が800〜2500、酸価が3mgKOH/g以下、水酸基が3mgKOH/g以下、のいずれの条件も満足する請求項1〜3のいずれかに記載の重合ロジン系ポリエステルを主成分とする乳酸系樹脂用可塑剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの乳酸系樹脂用可塑剤を含んでなる乳酸系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5の乳酸系樹脂組成物を用いて得られる成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物由来の原料から誘導される重合ロジン系ポリエステル、該エステルを主成分とする乳酸系樹脂用可塑剤、乳酸系樹脂組成物および成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会環境を配慮して、環境負荷の低減された生分解性高分子を用いた材料開発が行われきた。生分解性高分子のなかでも、植物原料由来である事及び透明性が比較的良好である事から、乳酸系樹脂は主流な材料の一つであるが、硬くて脆いという欠点がある。該欠点を解消するための柔軟性付与技術として、可塑剤の添加、コポリマー化、軟質ポリマーのブレンドなどの方法が知られている。
【0003】
乳酸系樹脂用の可塑剤としては、例えば多塩基酸系、ポリエステル系、多価アルコール系、リン酸エステル系、エポキシ系、脂肪酸系、スルホン酸系などが知られている(特許文献1)。
【0004】
上記のような可塑剤の添加により、乳酸系樹脂に柔軟性を付与する試みがなされているが、可塑化効果が不十分であったり、乳酸系樹脂の透明性を損なってしまうなどの問題があったり、人体や環境への影響懸念もあった。
【0005】
そのため、本願人は、上記の課題を解決するために、ポリエステル系可塑剤の1つとして、特定のロジン誘導体を用いることを提案した(特許文献2)。しかしながら、当該可塑剤を用いた場合は、可塑効果が比較的優れるものの、配合量や成形方法によっては、ブリードアウトやブロッキングが生じるという課題があった。
【0006】
そのため、乳酸系樹脂に対する優れた可塑効果を有し、しかも該成形物の透明性、耐ブリード性、耐ブロッキング性を満足しうる乳酸系樹脂用可塑剤の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−2243号公報
【特許文献2】特開2003−160736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、環境配慮の観点から天然物由来の原料を使用し、かつ前記諸要件を満足しうる新規な乳酸系樹脂用可塑剤を提供し、該可塑剤を乳酸樹脂組成物やその成形物に適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は前記従来技術の課題を解決すべく、重合ロジンまたはその低級エステルの使用量および純度、ならびに得られるポリエステルの物性値と、目的成形物の性能との相関に着目して、鋭意検討を重ねた。その結果、特定の二量体含有率である前記重合ロジン類を特定量以上含有してなるジカルボン酸成分と特定のアルコール成分を縮合させてなるポリエステルが、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、二量体含有率が60重量%以上である重合ロジンおよび/または該重合ロジン低級エステルを50モル%以上含有するジカルボン酸成分と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコール低級モノエステル、トリエチレングリコール低級モノエステル、テトラエチレングリコール低級モノエステル、平均重合度が3〜7であるポリエチレングリコール、および炭素数8〜12のアルキル基を有する1価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であるアルコール成分とを、縮合させて得られることを特徴とす
る重合ロジン系ポリエステルを主成分とする乳酸系樹脂用可塑剤に係る。また本発明は、該乳酸系樹脂用可塑剤を含んでなる乳酸系樹脂組成物。更に本発明は、該乳酸系樹脂用可塑剤を用いて得られる成形物に係る。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、環境配慮型で諸特性に優れた重合ロジン系ポリエステルを提供できる。本発明で得られる重合ロジン系ポリエステルは、乳酸系樹脂用可塑剤として有用である。また該可塑剤を用いることにより、乳酸系樹脂に対して優れた可塑効果が発現し、しかも透明性、耐ブリード性、耐ブロッキング性に優れた乳酸系樹脂組成物や該成形物を提供することができる。本発明によれば、従来の乳酸系樹脂用可塑剤や該成形物に比べて前記諸性能に優れるとともに、環境保護などの目的にも資するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の重合ロジン系ポリエステルは、後述のような二塩基酸および/またはその誘導体(以下、ジカルボン酸成分という)とアルコール成分との脱水縮合物であって、以下の要件(1)〜(3)を全て満足するものが必須とされる。また、要件(1)〜(3)に加えて、後述の要件(4)〜(6)の全てを満足するものがより好ましい。
【0013】
すなわち、(1)使用する重合ロジンおよび/または重合ロジン低級エステル(以下、重合ロジン類という)が、二量体を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有するもの(以下、特定重合ロジン類という)であること(以下、要件(1)という)、(2)ジカルボン酸成分中に特定重合ロジン類が、それらの合計で50モル%以上、好ましくは80モル%以上含有されていること(以下、要件(2)という)、(3)使用するアルコール成分がジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコール低級モノエステル、トリエチレングリコール低級モノエステル、テトラエチレングリコール低級モノエステル、平均重合度が3〜7であるポリエチレングリコール、および炭素数8〜12のアルキル基を有する1価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であること(以下、要件(3)という)、が必須とされる。なお、重合ロジン低級エステルにおける「低級」とは、メチル、エチル、プロピル基を意味する。また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコール低級モノエステル、トリエチレングリコール低級モノエステル、テトラエチレングリコール低級モノエステルにおける「低級」についても、メチル、エチル、プロピル基を意味する。
【0014】
本発明で用いる前記の特定重合ロジン類としては、目的用途において、色調が重視される場合には、蒸留ロジンを出発原料とする重合ロジン類や、該水素化物などを使用することがより好ましい。前記の重合ロジン類の製造法としては、特に限定されず、公知各種の方法を採用できる。
【0015】
前記二塩基酸としては、本発明での特徴部分となる前記の特定重合ロジンの他、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族二塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族二塩基酸などがあげられる。該二塩基酸の誘導体としては、本発明での特徴部分となる前記の特定重合ロジン低級エステルの他、前記二塩基酸の無水物や低級エステルなどがあげられる。これらジカルボン酸成分としては、前記の特定重合ロジン類を前記のように特定量以上使用することが必要であるが、他のジカルボン酸成分については、任意使用でき、いずれか1種単独でまたは適宜に組み合わせて用いられる。
【0016】
前記アルコール成分の選択においては、乳酸系樹脂に対する得られる重合ロジン系ポリエステルの相溶性や乳酸系樹脂組成物の透明性などが考慮されている。前記アルコール成分は、いずれか1種単独で、または適宜に組み合わせて使用できる。
【0017】
本発明の重合ロジン系ポリエステルは、前記ジカルボン酸成分とアルコール成分とを用いて、公知のエステル化法により容易に製造できる。具体的には150〜300℃程度の高温条件において、生成水を系外に除去しながら行われる。また、エステル化反応中に空気が混入すると生成する重合ロジン系ポリエステルが着色する恐れがあるため、該反応は窒素やヘリウム等の不活性ガスの下で行うことが好ましい。なお、該反応に際しては必ずしもエステル化触媒を用いる必要はないが、反応時間の短縮のために酢酸、パラトルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等を使用することもできる。
【0018】
本発明の重合ロジン系ポリエステルは、前記のように、要件(1)〜(3)に加えて、要件(4)〜(6)を同時に満足するものであることがより好ましい。すなわち、(4)重量平均分子量が800〜2500程度、好ましくは1000〜2000とされ(以下、要件(4)という)、(5)酸価が3mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/g以下とされ(以下、要件(5)という)、(6)水酸基が3mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/g(以下、要件(6)という)とされる。
【0019】
当該エステル化反応における前記ジカルボン酸成分とアルコール成分との使用割合は、一義的に決定できないが、ジカルボン酸成分のカルボキシル基とアルコール成分の水酸基の当量比(COOH基の当量/OH基の当量)が通常は1/0.9〜1/1.3、好ましくは1/1.0〜1/1.2となるように両成分の使用量を決定すればよく、また得られる重合ロジン系ポリエステルの酸価および水酸基価がいずれも1mgKOH/gとなるように決定すればよい。
【0020】
前記の重量平均分子量が800未満では、該重合ロジン系ポリエステルを用いてなる乳酸系樹脂の耐ブロッキング性がやや低下する傾向があり、また2500を超える場合は乳酸系樹脂可塑剤としての効果がやや低下する傾向がある。前記の水酸基価が3mgKOH/g 未満では、得られる重合ロジン系ポリエステルの耐加水分解性が不十分となる傾向があり、また前記の酸価が3mgKOH/g未満の場合も同様の傾向がある。
【0021】
本発明の乳酸系樹脂用可塑剤は、前記の重合ロジン系ポリエステルを主成分とするものであり、該含有量は50重量%以上であれば差支えなく、好ましくは70重量%以上とされる。従って、本発明の乳酸系樹脂用可塑剤においては、得られる乳酸系樹脂組成物や該成形物の性能を考慮の上、50重量%未満であれば公知各種の乳酸系樹脂用可塑剤を適宜に配合してもよい。
【0022】
本発明に用いられる乳酸系樹脂としては、特に限定されず、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸、D−乳酸であるポリ(DL−乳酸)やこれらの混合体など公知のものを使用することができる。である。乳酸系樹脂としては、D−乳酸含有量/(D−乳酸含有量+L−乳酸含有量)=0.02〜0.10の割合でD−乳酸を含有するものを用いることが好ましく、さらにD−乳酸含有量/(D−乳酸含有量+L−乳酸含有量)=0.04〜0.06の割合でD−乳酸を含有するものを用いることがより好ましい。なお、必要に応じてα−ヒドロキシカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、脂肪族ジオール/脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。乳酸系樹脂に共重合される他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。乳酸系樹脂に共重合される上記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
【0023】
乳酸系樹脂の重合方法としては、縮合重合法、開環重合法等公知の方法を採用することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸又はD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用して(A)成分を得ることができる。なお、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の2量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合し、重合することによって任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸を得ることができる。
【0024】
本発明において使用される乳酸系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜40万程度であることが好ましく、より好ましくは10万〜25万である。分子量が5万より小さいと機械物性や耐熱性等の実用物性が発現されない場合があり、分子量が40万より大きいと溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る場合がある。これらの乳酸系樹脂は市販のものをそのまま用いても良い。市販品のものの例としては、例えば、LACEA(三井化学(株)製)、NATURE WORKS(カーギルダウ社製)、テラマック(ユニチカ(株)製)、RACTY((株)島津製作所製)などが挙げられる。
【0025】
本発明の乳酸系樹脂組成物では、前記の重合ロジン系ポリエステル、乳酸系樹脂を必須構成成分とするが、用途に応じて、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、発泡剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料、染料、加水分解抑制剤などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させてもよい。
【0026】
本発明の乳酸系樹脂組成物を調製する方法としては、特に制限はなく、例えば、通常のブレンダー又はミキサー等で混合する方法、押出機、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
【0027】
本発明の乳酸系樹脂組成物は一般的な熱可塑性プラスチックと同様に、押出し成形、射出成形、延伸フィルム成形、インフレーション成形、ブロー成形などの成形方法により成形することができ、家庭用品から工業用品に亘る広い用途、例えば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用できる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例および比較例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、部および%は特記しない限り重量基準である。
【0029】
実施例1(重合ロジン系ポリエステルの合成)
冷却管、分水器、及び攪拌機および窒素導入管を備えた反応装置に、重合ロジン(二量体含有率:80%)392.6部(COOH基の当量:1.3)を加え加熱溶融させ、約150℃に保温しながら、トリエチレングリコールモノメチルエーテル234.8部(OH基の当量:1.43)及びトリフェニルフォスファイト2.4部を15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間保温した後、キシレン50gを添加し還流させた。反応生成水を分水器で除去しながら、18時間エステル化反応させた。次いで、未反応物及びキシレンを減圧留去し、重合ロジン系ポリエステル580部(重量平均分子量1380、酸価2.5mgKOH/g、水酸基価2.3mgKOH/g)を得た。
【0030】
実施例2(重合ロジン系ポリエステルの合成)
実施例1で用いたと同様の反応装置に、重合ロジン(二量体含有率:80%)211.4部(COOH基の当量:0.7)およびアジピン酸36.5部(COOH基の当量:0.5)を加え加熱溶融させ、約150℃に保温しながら、トリエチレングリコールモノメチルエーテル234.8部(OH基の当量:1.43)及びトリフェニルフォスファイト2.4部を15分かけて滴下した。以下、実施例1と同様にエステル化反応を行い、重合ロジン系ポリエステル446部(重量平均分子量1050、酸価2.5mgKOH/g、水酸基価2.0mgKOH/g)を得た。
【0031】
実施例3(重合ロジン系ポリエステルの合成)
実施例1で用いたと同様の反応装置に、重合ロジン(二量体含有率:60%)362.4部(COOH基の当量:1.2)を加え加熱溶融させ、約150℃に保温しながら、トリエチレングリコールモノエチルエーテル255部(OH基の当量:1.43)及びトリフェニルフォスファイト2.4部を15分かけて滴下した。以下、実施例1と同様にエステル化反応を行い、重合ロジン系ポリエステル575部(重量平均分子量1240、酸価2.1mgKOH/g、水酸基価1.8mgKOH/g)を得た。
【0032】
実施例4(重合ロジン系ポリエステルの合成)
実施例1において、トリエチレングリコールモノメチルエーテル234.8部に代えてポリエチレングリコール(第一工業製薬(株)製、商品名「PEG300」、平均重合度6)215部(OH基の当量:1.43)を用いた他は、同様に反応を行い、重合ロジン系ポリエステル430部(重量平均分子量2300、酸価2.0mgKOH/g、水酸基価2.2mgKOH/g)を得た。
【0033】
比較例1(比較用ロジン系ポリエステルの合成)
実施例1で用いたと同様の反応装置に、ロジン(荒川化学工業(株)製、商品名「KR−614」、デヒドロアビエチン酸約80%含有)392.6部(COOH基の当量:1.3)を加え加熱溶融させ、約150℃に保温しながら、トリエチレングリコールモノメチルエーテル234.8部(OH基の当量:1.43)及びトリフェニルフォスファイト2.4部を15分かけて滴下した。滴下終了後280℃に昇温し、5時間保温した後、キシレン50gを添加し還流させた。反応生成水を分水器で除去しながら、14時間エステル化反応させた。次いで、未反応物及びキシレンを減圧留去し、比較用ロジン系ポリエステル566.8部(重量平均分子量620、酸価4.1mgKOH/g、水酸基価3.3mgKOH/g)を得た。
【0034】
比較例2(比較用重合ロジン系ポリエステルの合成)
実施例1において、重合ロジンとして、二量体含有率が40%のものを用いた他は、同様に反応を行い、比較用重合ロジン系ポリエステル578部(重量平均分子量1180、酸価2.7mgKOH/g、水酸基価2.5mgKOH/g)を得た。
【0035】
(乳酸系樹脂組成物の調製)
ポリ乳酸((株)島津製作所製、商品名「LACTY 9031」、重量平均分子量14万、融点133℃、ガラス転移点60℃)100部に対し、前記実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた各反応生成物(乳酸系樹脂用可塑剤)をそれぞれ30部配合し、当該配合物を設定温度190℃でブラベンダー社製トルクレオメーター(商品名「プラスチコーダーPL−2000」)により溶融混練し、各樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、溶融温度170℃、冷却温度20℃で圧縮成形機により圧縮成形し、厚み100μmのフィルムを作成した。このフィルムについて透明性評価、ガラス転移温度の測定、耐ブリード性および耐ブロッキング性の評価を行った。該評価方法を以下に示す。
【0036】
(評価例1〜4および比較評価例1〜2)
各評価結果を表1に示す。
【0037】
(透明性)
得られたフィルムを目視により右の基準で評価した。○:濁りなし、×:濁りあり
【0038】
(柔軟性)
得られたフィルムを用い、ガラス転移温度(Tg)を測定することで、柔軟性の指標とした。ガラス転移温度はセイコー電子(株)製の示差走査熱量計(商品名「DSC220C」)により測定を行った。
【0039】
(耐ブリード性)
得られたフィルムを室温及び70℃恒温槽中でそれぞれ1週間静置した後、ブリードの程度を目視により右の基準で評価した。4:ブリードアウトなし、3:わずかにブリードアウトあり、2:ブリードアウトあり、1:ブリードアウトが著しい
【0040】
(耐ブロッキング性)
得られたフィルムを二つに折り返し、40℃、700kPaで1時間荷重した。次いで、室温に戻し、接触面を引き剥がしたときのブロッキングの程度を以下の基準で評価を行った。
○:ブロッキングなし、△:わずかにブロッキングあり、×:ブロッキングあり、
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、本発明の重合ロジン系ポリエステルは、乳酸系樹脂用可塑剤として、優れた可塑効果を示すことが明らかである。また、該可塑剤を配合してなる本発明の乳酸系樹脂組成物から得られる成形物は耐ブリード性、耐ブロッキング性などの諸物性に優れることが明らかである。