特許第6041153号(P6041153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041153
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ヘアーアイロン
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/00 20060101AFI20161128BHJP
   A45D 1/28 20060101ALI20161128BHJP
   A45D 7/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A45D1/00 501B
   A45D1/00 501D
   A45D1/00 E
   A45D1/00 502B
   A45D1/00 504Z
   A45D1/00 506B
   A45D1/00 507B
   A45D1/28 A
   A45D7/02
【請求項の数】13
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-244861(P2013-244861)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-100601(P2015-100601A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】伊東 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健志
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03859497(US,A)
【文献】 特開平05−329021(JP,A)
【文献】 特開昭48−092151(JP,A)
【文献】 特開2011−072344(JP,A)
【文献】 特開昭62−167503(JP,A)
【文献】 特開昭52−126343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00
A45D 1/28
A45D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、
前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、
前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、
前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、
前記周長変更機構が前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備え、
前記毛髪巻付構造体は、それぞれが前記毛髪巻付構造体の長手方向に延び、かつ、前記毛髪巻付構造体の前記周方向において互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部を含み、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成され、
前記毛髪巻付構造体は、前記第1の巻付胴体部および前記第2の巻付胴体部の内側に設けられ、前記毛髪巻付構造体の前記長手方向に延びる第3の巻付胴体部を含み、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部との間に前記第3の巻付胴体部を挿入することにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成された、ヘアーアイロン。
【請求項2】
把持部と、
前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、
前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、
前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、
前記周長変更機構が前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備え、
前記毛髪巻付構造体は、それぞれが前記毛髪巻付構造体の長手方向に延び、かつ、前記毛髪巻付構造体の前記周方向において互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部を含み、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成され、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを、前記毛髪巻付構造体の前記長手方向に延びる仮想の回転軸まわりに相対的に回転させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成された、ヘアーアイロン。
【請求項3】
前記第1の巻付胴体部は、前記押さえ板に対する位置が固定されており、
前記押さえ板が前記第1の巻付胴体部と協働して毛髪を挟持し得るように構成された、請求項1または2に記載のヘアーアイロン。
【請求項4】
前記周長変更機構は、前記毛髪巻付構造体の長手方向に延びる他の仮想の回転軸まわりに回転する回転構造体を含み、
前記周長変更機構は、前記把持部に対する位置および姿勢が固定されている構造体であって、かつ、前記回転構造体と協働して前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させる状態固定構造体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のヘアーアイロン。
【請求項5】
把持部と、
前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、
前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、
前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、
前記周長変更機構が前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備え、
前記毛髪巻付構造体は、それぞれが前記毛髪巻付構造体の長手方向に延び、かつ、前記毛髪巻付構造体の前記周方向において互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部を含み、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成され、
前記周長変更機構は、前記毛髪巻付構造体の長手方向に延びる他の仮想の回転軸まわりに回転する回転構造体を含み、
前記周長変更機構は、前記把持部に対する位置および姿勢が固定されている構造体であって、かつ、前記回転構造体と協働して前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させる状態固定構造体を含み、
前記回転構造体は、
前記毛髪巻付構造体内において前記毛髪巻付構造体の前記長手方向に延び、かつ、前記他の仮想の回転軸まわりに回転する回転シャフトと、
前記回転シャフトの一方端に固定された第1の回転部材と、
前記回転シャフトの他方端に固定された第2の回転部材と、を有し、
前記第2の巻付胴体部の両端部は、それぞれ、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に摺動可能に支持されており、
前記第2の巻付胴体部は、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の回転にともなって前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に対して摺動することにより、前記第1の巻付胴体部に対して相対的に移動するように構成された、ヘアーアイロン。
【請求項6】
前記状態固定構造体は、前記第2の巻付胴体部の移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、前記回転構造体の状態を固定することが可能に構成された、請求項5に記載のヘアーアイロン。
【請求項7】
前記状態固定構造体は、
前記回転シャフトの一方の端部が摺動可能に貫通し、前記第1の巻付胴体部の一方の端部に固定された第1の状態固定部材と、
前記回転シャフトの他方の端部が摺動可能に貫通し、前記第1の巻付胴体部の他方の端部に固定された第2の状態固定部材と、を有し、
前記第1の状態固定部材および前記第2の状態固定部材は、それぞれ、前記第2の巻付胴体部の移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の状態を固定することが可能に構成された、請求項に記載のヘアーアイロン。
【請求項8】
前記回転構造体は、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の少なくともいずれか一方に固定されたスイッチを有し、
前記スイッチは、前記移動開始状態と前記移動終了状態との切り替えがなされるように、前記回転構造体を回転させるものである、請求項に記載のヘアーアイロン。
【請求項9】
前記回転構造体は、該回転構造体と前記状態固定構造体との間に生じる摩擦力を利用して、前記状態固定構造体に対して無段階に回転摺動し、前記状態固定構造体に対する位置関係が無段階に固定されるように構成された、請求項4〜8のいずれかに記載のヘアーアイロン。
【請求項10】
把持部と、
前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、
前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、
前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、
前記周長変更機構が前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備え、
前記毛髪巻付構造体は、それぞれが前記毛髪巻付構造体の長手方向に延び、かつ、前記毛髪巻付構造体の前記周方向において互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部を含み、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成され、
前記周長変更機構は、前記毛髪巻付構造体の長手方向に延びる他の仮想の回転軸まわりに回転する回転構造体を含み、
前記周長変更機構は、前記把持部に対する位置および姿勢が固定されている構造体であって、かつ、前記回転構造体と協働して前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させる状態固定構造体を含み、
前記回転構造体は、前記状態固定構造体に設けられた複数の係止部にそれぞれ係止される複数の被係止部を含み、前記状態固定構造体に対して段階的に回転し、前記状態固定構造体に対する位置関係が段階的に固定されるように構成された、ヘアーアイロン。
【請求項11】
把持部と、
前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、
前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、
前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、
前記周長変更機構が前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備え、
前記毛髪巻付構造体は、それぞれが前記毛髪巻付構造体の長手方向に延び、かつ、前記毛髪巻付構造体の前記周方向において互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部を含み、
前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成され、
前記加熱部は、
前記第1の巻付胴体部に固定され、前記第1の巻付胴体部を加熱する第1の加熱部と、
前記第2の巻付胴体部に固定され、前記第2の巻付胴体部を加熱する第2の加熱部と、を含む、ヘアーアイロン。
【請求項12】
前記第1の巻付胴体部および前記第2の巻付胴体部のうちの少なくともいずれか一方に固定され、前記外周面の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサにより取得された温度情報に基づいて前記第1の加熱部および前記第2の加熱部を制御する制御部と、を備えた、請求項11に記載のヘアーアイロン。
【請求項13】
前記押さえ板に連結され、前記押さえ板を前記毛髪巻付構造体へ近づけたり、前記押さえ板を前記毛髪巻付構造体から遠ざけたりすることを可能にする操作部を備え、
前記操作部が、前記把持部に回動可能に取り付けられた、請求項1〜12のいずれかに記載のヘアーアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に癖付けを施すためのヘアーアイロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、毛髪に癖付け施すためにヘアーアイロンが用いられている。この従来のヘアーアイロンは、使用者が把持する把持部の一端に連結され、発熱可能な外周面を有する毛髪巻付構造体と、その外周面と協働して毛髪を挟持し得る押さえ板とを備えている。このようなヘアーアイロンは、たとえば、次の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−260059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヘアーアイロンによれば、毛髪に癖付けをすると、毛髪巻付構造体の外周面の形状が毛髪に転写される。したがって、たとえば、毛髪をカール形状に癖付けするときには、そのカール形状の曲率は、毛髪巻付構造体の外周面の形状に対応した1種類に限定される。そのため、異なる複数種類の癖付けを毛髪に施すことを可能にするためには、使用者は、複数種類のヘアーアイロンを準備しておくか、または、取替え可能な複数種類の毛髪巻付構造体を準備しておくことが必要になる。つまり、1台のヘアーアイロンで複数種類の癖付けを毛髪に施すことはできない。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、1台で複数種類の癖付けを毛髪に施すことができるヘアーアイロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヘアーアイロンは、把持部と、前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、前記周長変更機構が前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して前記毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備えている。
【0007】
これによれば、毛髪が巻き付けられる毛髪巻付構造体の周方向の長さを他の部材を使用することなく変更することができる。それにより、1台のヘアーアイロンで毛髪巻付構造体の周方向の長さの相違に対応した複数種類の癖付けを毛髪に対して施すことができる。したがって、使用者は、複数種類の癖付けを施すことを可能にするために、複数種類の癖付けに対応した複数種類の毛髪巻付構造体または複数種類のヘアーアイロンを所持する必要がなくなる。
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態のヘアーアイロン10を説明する。なお、以下に説明される実施の形態の説明においては、ヘアーアイロン10の長手方向に垂直な断面を横断面とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1台のヘアーアイロンで複数種類の癖付けを毛髪に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの正面図である。
図2】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの側面図である。
図3】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの平面図である。
図4】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの縦断面図であって、図1におけるIV−IV線断面図である。
図5】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの把持部の横断面図であって、図1および図2におけるV−V線断面図である。
図6】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの横断面図であって、図1図2、および図4のVI−VI線断面図である。
図7】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの分解斜視図である。
図8】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの回転ダイヤルの横断面図であって、図1図2、および図4のVIII−VIII線断面図である。
図9】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの第1および第2の回転部材(カム)の第1の状態を示す図であって、図1図2、および図4のIX−IX線断面図である。
図10】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの第1および第2の回転部材(カム)の第2の状態を示すであって、図1図2、および図4のIX−IX線断面図である。
図11】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの毛髪巻付構造体の第1の状態の横断面図であって、図1図2、および図4のXI−XI線断面図である。
図12】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの毛髪巻付構造体の第2の状態の横断面図である。
図13】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの駆動支点を説明するための図である。
図14】本発明の実施の形態1のヘアーアイロンの駆動支点を説明するための図であって、図1図2、および図4のXIV−XIV線断面図である。
図15】本発明の実施の形態2におけるヘアーアイロンの毛髪巻付構造体の横断面の第1の状態を示す模式図である。
図16】本発明の実施の形態2におけるヘアーアイロンの毛髪巻付構造体の横断面の第2の状態を示す模式図である。
図17】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における把持ステップを説明するための図である。
図18】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における加熱ステップを説明するための図である。
図19】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における周長変更前の挟持ステップを説明するための図である。
図20】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における周長変更前の巻付ステップおよび引離ステップを説明するための図である。
図21】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における変更ステップを説明するための図である。
図22】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における周長変更後の挟持ステップを説明するための図である。
図23】本発明の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法における周長変更後の巻付ステップおよび引離ステップを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施の形態のヘアーアイロンは、把持部と、前記把持部の端部に連結され、外周面を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体と、前記毛髪巻付構造体の前記周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構と、前記外周面から発熱するように前記毛髪巻付構造体を加熱し得る加熱部と、前記周長変更機構が前記周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板と、を備えている。
【0016】
これによれば、毛髪巻付構造体の周方向の長さを他の部材を使用することなく変更することができる。それにより、1台のヘアーアイロンで毛髪巻付構造体の周方向の長さの相違に対応した複数種類の癖付けを毛髪に対して施すことができる。したがって、使用者は、複数種類の癖付けを施すことを可能にするために、複数種類の癖付けに対応した複数種類の毛髪巻付構造体または複数種類のヘアーアイロンを所持する必要がなくなる。
【0017】
本発明の第2の実施の形態のヘアーアイロンは、前記毛髪巻付構造体が、それぞれが前記毛髪巻付構造体の長手方向に延び、かつ、前記毛髪巻付構造体の前記周方向において互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部を含み、前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成されている。
【0018】
これによれば、第1の巻付胴体部と第2の巻付胴体部との相対的な移動により形成された隙間の分だけ、毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更することができる。
【0019】
本発明の第3の実施の形態のヘアーアイロンは、前記毛髪巻付構造体が、前記第1の巻付胴体部および前記第2の巻付胴体部の内側に設けられ、前記毛髪巻付構造体の長手方向に延びる第3の巻付胴体部を含み、前記周長変更機構は、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部との間に前記第3の巻付胴体部を挿入することにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成されている。
【0020】
これによれば、第3の巻付胴体部の外周面の周方向の長さの分だけ、毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更することができる。
【0021】
本発明の第4の実施の形態のヘアーアイロンは、前記周長変更機構が、前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを、前記毛髪巻付構造体の長手方向に延びる仮想の回転軸まわりに相対的に回転させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成されている。
【0022】
本発明の第5の態様のヘアーアイロンは、前記周長変更機構が、前記第1の巻付胴体部および前記第2の巻付胴体部の少なくともいずれか一方を前記毛髪巻付構造体の径方向に移動させることにより、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成されている。
【0023】
これによれば、直線方向の移動という簡単な移動で周方向の長さの変更を実現することができる。
【0024】
本発明の第6の実施の形態のヘアーアイロンは、前記第1の巻付胴体部が、前記押さえ板に対する位置が固定されており、前記押さえ板が前記第1の巻付胴体部と協働して毛髪を挟持し得るように構成されている。
【0025】
これによれば、周長変更機構が毛髪巻付構造体の周方向における長さを変更した場合も含めて、押さえ板と第1の巻付胴体部との互いの位置関係は、常に一定に保持されている。そのため、第2の巻付胴体部は、押さえ板と第1の巻付胴体部との間の隙間の大きさおよびそれらが毛髪を挟持する力を一定に維持し易くすることができる。その結果、ヘアーアイロンの操作性が向上する。
【0026】
本発明の第7の実施の形態のヘアーアイロンは、前記周長変更機構は、前記毛髪巻付構造体の長手方向に延びる他の仮想の回転軸まわりに回転する回転する回転構造体を含み、前記周長変更機構は、前記把持部に対する位置および姿勢が固定されている構造体であって、かつ、前記回転構造体と協働して前記第1の巻付胴体部と前記第2の巻付胴体部とを相対的に移動させる状態固定構造体を含んでいる。
【0027】
これによれば、使用者は、回転構造体を回転させる操作により、第1の巻付胴体部と第2の巻付胴体部とを相対的に移動させることができる。
【0028】
本発明の第8の実施の形態のヘアーアイロンは、前記状態固定構造体が、前記第2の巻付胴体部の移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、前記回転構造体の状態を固定することが可能に構成されている。
【0029】
これによれば、毛髪巻付構造体の周方向の長さが変更された状態を維持することができる。
【0030】
本発明の第9の実施の形態のヘアーアイロンは、前記回転構造体が、前記毛髪巻付構造体内において前記仮想の軸に沿って延び、かつ、前記他の仮想の回転軸まわりに回転する回転シャフトと、前記回転シャフトの一方端に固定された第1の回転部材と、前記回転シャフトの他方端に固定された第2の回転部材と、を有し、前記第2の巻付胴体部の両端部は、それぞれ、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に摺動可能に支持されており、前記第2の巻付胴体部は、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の回転にともなって前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に対して摺動することにより、前記第1の巻付胴体部に対して相対的に移動するように構成されている。
【0031】
これによれば、毛髪巻付構造体の長さ方向の両側にある第1の回転部材および第2の回転部材を用いて第2の巻付胴体を移動させることができる。したがって、第2の巻付胴体部の移動時における第2の巻付胴体部の支持が安定する。
【0032】
本発明の第10の実施の形態のヘアーアイロンは、前記状態固定構造体が、前記回転シャフトの一方の端部が摺動可能に貫通し、前記第1の巻付胴体部の一方の端部に固定された第1の状態固定部材と、前記回転シャフトの他方の端部が摺動可能に貫通し、前記第2の巻付胴体部の他方の端部に固定された第2の状態固定部材と、を有し、前記第1の状態固定部材および前記第2の状態固定部材は、それぞれ、前記第2の巻付胴体部の移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の状態を固定することが可能に構成されている。
【0033】
これによれば、毛髪巻付構造体の周方向の長さが変更された状態を、毛髪巻付構造体の長さ方向における両側に分けて配置された第1の状態固定部材および第2の状態固定部材によって維持することができる。したがって、毛髪巻付構造体の周方向の長さが変更された状態を安定させることができる。
【0034】
本発明の第11の実施の形態のヘアーアイロンは、前記回転構造体は、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の少なくともいずれか一方に固定されたスイッチを有し、前記スイッチは、前記移動開始状態と前記移動終了状態との切り替えがなされるように、前記回転構造体を回転させるものである。
【0035】
これによれば、使用者は、スイッチの操作により、毛髪巻付構造体の周方向の長さを容易に変更することができる。
【0036】
本発明の第12の実施の形態のヘアーアイロンは、前記回転構造体が、該回転構造体と前記状態固定構造体との間に生じる摩擦力を利用して、前記状態固定構造体に対して無段階に回転摺動し、前記状態固定構造体に対する位置関係が無段階に固定されるように構成されている。
【0037】
これによれば、使用者は、毛髪巻付構造体の周方向の長さを自らの好みの長さに変更することができる。
【0038】
本発明の第13の実施の形態のヘアーアイロンは、前記回転構造体が、前記状態固定構造体に対して段階的に回転し、前記状態固定構造体に対する位置関係が段階的に固定されるように構成されていている。
【0039】
これによれば、使用者は、毛髪巻付構造体の周方向の長さを自らの好みに合わせて、段階的に変更することができる。
【0040】
本発明の第14の実施の形態のヘアーアイロンは、前記加熱部は、前記第1の巻付胴体部に固定され、前記第1の巻付胴体部を加熱する第1の加熱部と、前記第2の巻付胴体部に固定され、前記第2の巻付胴体部を加熱する第2の加熱部と、を含んでいる。
【0041】
これによれば、第1の加熱部および第2の加熱部は、それぞれ、第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部の移動に伴って移動する。したがって、第1の巻付胴体部と第2の巻付胴体部との相対的な移動の前後のいずれにおいも、第1の巻付胴体部と第2の巻付胴体部とに同様の態様で加熱することができる。
【0042】
本発明の第15の実施の形態のヘアーアイロンは、前記第1の巻付胴体部および前記第2の巻付胴体部のうちの少なくともいずれか一方に固定され、前記外周面の温度を測定する温度センサと、前記温度センサにより取得された温度情報に基づいて前記第1の加熱部および前記第2の加熱部を制御する制御部と、を備えている。
【0043】
これによれば、温度センサは、第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部のうちの少なくともいずれか一方の移動に伴って移動する。そのため、外周面の温度測定の条件の変化なしに、外周面の温度情報を取得することができる。したがって、第1の加熱部および第2の加熱部の発熱状態を容易に制御することができる。
【0044】
本発明の第16の実施の形態のヘアーアイロンは、前記押さえ板に連結され、前記押さえ板を前記毛髪巻付構造体へ近づけたり、前記押さえ板を前記毛髪巻付構造体から遠ざけたりすることを可能にする操作部を備え、前記操作部が、前記把持部に回動可能に取り付けられている。
【0045】
これによれば、毛髪巻付構造体に押さえ板の回動の中心が設けられている場合に比較して、毛髪巻付構造体の周方向の長さの変更に起因した押さえ板の回動の中心の移動がないため、周長変更の前後の押さえ板の操作性が向上する。
【0046】
本発明の第17の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法は、使用者が把持部を把持するステップと、前記使用者が、前記ヘアーアイロンに設けられた機構であって、前記把持部の端部に連結された毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構を操作して、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するステップと、前記使用者が、前記毛髪巻付構造体を加熱するように構成された加熱部を操作して、前記把持部の端部に連結された毛髪巻付構造体の外周面から熱を発生させるステップと、前記使用者が、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板を操作して、前記熱が発生している前記外周面と前記押さえ板とに前記毛髪を挟持させるステップと、前記使用者が、前記熱が発生している前記外周面と前記押さえ板とにより前記毛髪が挟持された状態で、前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板に前記毛髪を巻付けるステップと、前記使用者が、前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板に巻き付けられた前記毛髪から前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板を引き離す引離ステップと、を備えている。
【0047】
これにより、変更され得る毛髪巻付構造体の周方向の長さごとに、毛髪に複数種類の癖付けを施すことができる。
【0048】
本発明の第18の実施の形態のヘアーアイロンの使用方法は、使用者が把持部を把持するステップと、前記使用者が、毛髪巻付構造体を加熱するように構成された加熱部を操作して、前記把持部の端部に連結された前記毛髪巻付構造体の外周面から熱を発生させる加熱ステップと、前記使用者が、前記毛髪巻付構造体と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板を操作して、前記熱が発生している前記外周面と前記押さえ板とに前記毛髪を挟持させる第1の挟持ステップと、前記使用者が、前記熱が発生している前記外周面と前記押さえ板とにより前記毛髪が挟持された状態で、前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板に前記毛髪を巻付ける第1の巻付ステップと、前記使用者が、前記第1の巻付ステップにおいて前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板に巻き付けられた前記毛髪から前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板を引き離す第1の引離ステップと、前記使用者が、前記ヘアーアイロンに設けられた機構であって、前記把持部の端部に連結された毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構を操作して、前記毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更する変更ステップと、前記使用者が、前記周方向の長さが変更された前記熱が発生している前記外周面と前記押さえ板とに前記毛髪を挟持させる第2の挟持ステップと、前記使用者が、前記周方向の長さが変更された前記熱が発生している前記外周面と前記押さえ板とにより前記毛髪が挟持された状態で、前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板に前記毛髪を巻付ける第2の巻付ステップと、前記使用者が、前記第2の巻付ステップにおいて前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板に巻き付けられた前記毛髪から前記毛髪巻付構造体および前記押さえ板を引き離す第2の引離ステップと、を備えている。
【0049】
これによれば、1回の加熱ステップで毛髪に複数種類の癖付けを施すことができる。
【0050】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態のヘアーアイロン10を説明する。なお、以下に説明される実施の形態の説明においては、ヘアーアイロン10の長手方向に垂直な断面を横断面とする。
【0051】
(実施の形態1)
図1図14を参照して、本発明の実施の形態1のヘアーアイロン10を説明する。また、図17図23を参照して、ヘアーアイロン10の使用方法、具体的には、使用者200がどのようにヘアーアイロン10を用いて毛髪30に癖付けするかを説明する。なお、本発明は、以下に説明される実施の形態によって限定されるものではない。
【0052】
まず、図1図3を用いて、本発明の実施の形態1のヘアーアイロン10の概略を説明する。
【0053】
本実施の形態においては、ヘアーアイロン10の毛髪が巻き付けられる毛髪巻付構造体2の外周面410(図6参照)は実質的に円柱の外周面の形状をなしている。
【0054】
そのため、本実施の形態においては、毛髪巻付構造体2の外形をなす円柱の中心軸が延びる方向を、軸方向または長手方向と呼ぶことにする。また、毛髪巻付構造体2の外形をなす円柱の中心軸に垂直な断面を横断面と呼ぶことにする。
【0055】
ただし、毛髪巻付構造体2の外周面410の形状は、円柱に限定されず、毛髪が巻き付けられ得る形状であれば、いかなる形状であってもよい。
【0056】
本実施の形態のヘアーアイロン10は、図1および図2に示すように、使用者によって把持される把持部1を備えている。把持部1には、実質的に円筒形をなす毛髪巻付構造体2が連結されている。
【0057】
また、把持部1には、毛髪巻付構造体2の外周面410と協働して毛髪を挟持する押さえ板3が連結されている。そのため、使用者は、毛髪巻付構造体2と押さえ板3との間に毛髪を挟持することができる。
【0058】
また、使用者は、毛髪巻付構造体2と押さえ板3とにより毛髪が挟持された状態で、その毛髪を毛髪巻付構造体2に巻き付けることができる。したがって、使用者は、本実施の形態のその毛髪にカール形状の癖付けを施すことができる。
【0059】
本実施の形態においては、横断面において、押さえ板3の円弧形状と毛髪巻付構造体2の外周面410の円弧形状とは、互いに対応する凹凸関係を有している。したがって、押さえ板3と、毛髪巻付構造体2の外周面410とは隙間なく接触する。
【0060】
ただし、本発明のヘアーアイロンは、押さえ板3と毛髪巻付構造体2の外周面410とが隙間なく接触するものに限定されない。また、本発明の押さえ板および毛髪巻付構造体は、図示された構成に限定されず、押さえ板の内側面と毛髪巻付構造体2の外周面410とが協働して毛髪を挟持することができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0061】
把持部1は、図2および図3に示すように、把持部1の上部を構成する第1の半割筒体11と、把持部1の下部を構成する第2の半割筒体12とを含んでいる。第1の半割筒体11と第2の半割筒体12とは、図7に示すように、ビス13によって接合されている。
【0062】
なお、第1の半割筒体11の上側面には、図1および図2に示すように、化粧プレート8が嵌め込まれている。また、把持部1の端部には、図7に示すように、電源コードが接続される接続部9が取り付けられている。
【0063】
第1の半割筒体11は、図7に示される毛髪巻付構造体2側の端部の近傍に設けられた操作部16の孔18に挿入される軸部5を備えている。操作部16は、その軸部5まわりに回転可能であり、押さえ板3は、操作部16に固定されているため、操作部16の回動にともなって回動する。
【0064】
操作部16は、図7に示すように、ばね19によって付勢されている。したがって、使用者は、ばね19の弾性力に反発しながら押さえ板3を操作することにより、押さえ板3を毛髪巻付構造体2から離れるように移動させることができる。
【0065】
また、使用者が押さえ板3を離すと、ばね19の復元力により、押さえ板3が毛髪巻付構造体2に近づくように移動した後、押さえ板3と毛髪巻付構造体2とが接触する。したがって、使用者は、操作部16を操作することにより、押さえ板3を毛髪巻付構造体2から離したり、毛髪巻付構造体2に近づけたりすることができる。
【0066】
把持部1の側面は、図2に示すように、第1の半割筒体11の側面と第2の半割筒体12の側面とによって構成されている。第1の半割筒体11の側面と第2の半割筒体12の側面とに跨るように、開口部14が形成されている。開口部14から温度調節スイッチ15が突出している。温度調節スイッチ15は、後述される加熱部42a,42bに通電し、加熱部42a,42bを発熱させるか否かを切り替えるために設けられている。
【0067】
把持部1は、図5に示すように、横断面が円弧状の外周面を有しており、全体として円柱に類似する形状に形成されている。ただし、把持部1の外形は、円柱形状に類似する形状に限定されるものではなく、使用者が握ることができる形状であれば、いかなる形状であってもよい。
【0068】
毛髪巻付構造体2は、図1および図2に示すように、把持部1の先端に連結されている。毛髪巻付構造体2は、図6に示すように、横断面が円弧形状を有する外周面410を有している。
【0069】
外周面410は、高い伝熱性を有する金属製の部材により構成されている。外周面410は、図7に示すように、加熱部42aおよび加熱部42bに隣接して配置されている。そのため、外周面410は、発熱し、高温状態になる。なお、押さえ板3も高い伝熱性を有する金属製の部材により構成されている。
【0070】
毛髪巻付構造体2の内側には、図7に示すように、温度ヒューズ40aおよび温度センサ40bが取り付けられている。温度センサ40bが取得した信号は、図7に示す把持部1内の制御部7に送信される。
【0071】
制御部7は、温度センサ40bから送られてきた信号により、毛髪巻付構造体2の外周面410の温度を把握する。それにより、制御部7は、外周面410の温度情報に基づいて、加熱部42aおよび加熱部42bに流れる電流を制御する。そのため、加熱部42a,42bが外周面410へ供給する熱量が調節される。
【0072】
また、外周面410の目標温度は、使用者による温度調節スイッチ15の操作によって制御部7に送られる信号に基づいて変更され得る。したがって、使用者は、毛髪巻付構造体2の外周面410の温度の調節を行うことができる。
【0073】
たとえば、使用者により温度調節スイッチ15がある温度になるように操作されると、制御部7は、外周面410の温度が所定値以下になれば、加熱部42aおよび加熱部42bに発熱させる。
【0074】
一方、制御部7は、外周面410の温度が所定値より大きな特定値以上になれば、加熱部42aおよび加熱部42bの発熱を停止させる。それにより、外周面410の温度は、所定値と特定値との間の使用者が望むある温度に近い温度に維持される。
【0075】
本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、図6に示すように、第1の巻付胴体部41a、第2の巻付胴体部41b、および第3の巻付胴体部41cを備えている。つまり、毛髪巻付構造体2は、3つの円弧形状部分に分割されている。
【0076】
ただし、本発明の毛髪巻付構造体2の形状は、図7に示す形状に限定されず、毛髪を巻きつけて、カール形状を毛髪に転写できる構成であれば、いかなる構成であってもよい。毛髪巻付構造体2は、4つ以上の部分に分割されていてもよい。また、毛髪巻付構造体2は、複数の部分が一体化したときに、円柱形状を構成しなくでもよい。
【0077】
たとえば、毛髪巻付構造体2は、複数の部分が一体化されたときに角部が円弧形状を有する実質的に角柱の形状を構成するものであってもよい。毛髪巻付構造体2は、上記したように、毛髪が巻き付けられる構成であればいかなるものであってもよい。
【0078】
第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bの内部には、それぞれ、熱源としての加熱部42aおよび42bが埋め込まれている。一方、第3の巻付胴体部41cの内部には加熱部が設けられていない。
【0079】
第3の巻付胴体部41cは、毛髪巻付構造体2の周長が変更された場合に、図6に示すように、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとの間にそれらに隣接するように挿入される。このとき、加熱部42aおよび42bのそれぞれの熱エネルギーが、第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bを介して、第3の巻付胴体部41cへ間接的に与えられる。したがって、第3の巻付胴体部41cも高温状態になる。
【0080】
図6に示すように、第1の巻付胴体部41a、第2の巻付胴体部41b、および第3の巻付胴体部41cは、それぞれ、外周面410を構成する第1の部分410a、第2の部分410b、および第3の部分410cを有している。
【0081】
ただし、第3の巻付胴体部41cの外側面である第3の部分410cは、後述される回転ダイヤル56を使用者が操作することにより、外周面410を構成したり、外周面410を構成しなかったりする。
【0082】
また、第1の巻付胴体部41a、第2の巻付胴体部41b、および第3の巻付胴体部41cのそれぞれの全表面は、フッ素樹脂でコーティングされている。そのため、第1の巻付胴体部41a、第2の巻付胴体部41b、および第3の巻付胴体部41cから使用者の肌への急激な熱伝達が防止されている。
【0083】
したがって、使用者が不用意に高温状態となった第1の巻付胴体部41a、第2の巻付胴体部41b、および第3の巻付胴体部41cに触れたとしても、使用者が火傷することが防止されている。
【0084】
図7に示すように、第1の巻付胴体部41aの一方の端部41a1と他方の端部41a2とは、第1の巻付胴体部41aを軸方向に貫通する貫通路41axによって連通している。この貫通路41axには、第1の加熱部42aが挿入されている。
【0085】
図7に示すように、第2の巻付胴体部41bの一方の端部41b1と他方の端部41b2とは、第2の巻付胴体部41bを軸方向に貫通する貫通路41bxによって連通している。この貫通路41bxには、第2の加熱部42bが挿入されている。
【0086】
さらに、図7に示すように、第2の巻付胴体部41bの長さ方向(軸方向)の一方の端部41b1および他方の端部41b2には、それぞれ、一方の軸51aおよび他方の軸51bが取り付けられている。
【0087】
図7に示されるように、第3の巻付胴体部41cの長さ方向(軸方向)における一方の端部41c1および他方の端部41c2には、それぞれ、一方の軸52aおよび他方の軸52bが取り付けられている。
【0088】
次に、図7を用いて、本実施の形態の周長変更機構50の概略が説明される。本明細書においては、周長変更機構50は、図7において破線で囲まれた複数の部品が一体化された機構を意味する。ただし、本発明の周長変更機構は、図7に示される機構に限定されず、使用者によって操作されることにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更し得る機構であれば、いかなる機構であってもよい。
【0089】
本実施の形態の周長変更機構50の一部は、毛髪巻付構造体2内の空間を利用して設けられている。また、周長変更機構50は、図7に示すように、回転ダイヤル56、第1の回転部材54a、第1の状態固定部材53a、回転シャフト55、第2の状態固定部材53b、第2の回転部材54b、およびネジ57a,57bを備えている。
【0090】
周長変更機構50を構成する部分のうち、回転ダイヤル56、第1の回転部材54a、第2の回転部材54b、および回転シャフト55は、使用者の操作により毛髪巻付構造体2の長手方向に延びる仮想の回転軸まわりに回転する回転構造体を構成している。
【0091】
周長変更機構50を構成する部分のうち、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bは、把持部1に対する位置および姿勢が固定されており、前述の回転構造体と協働して、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとを相対的に移動させる状態固定構造体を構成している。
【0092】
ただし、本発明の回転構造体および状態固定構造体は、前述の構成に限定されず、互いに協働して毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更することができる構成であれば、いかなる構成であってもよい。
【0093】
回転シャフト55は、毛髪巻付構造体2内において毛髪巻付構造体2の軸方向に沿って延びている。回転シャフト55の一方の端部55aには、第1の回転部材54aが固定されている。回転シャフト55の他方の端部55bには、第2の回転部材54bが固定されている。
【0094】
第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bは、第2の巻付胴体部41bの一方の軸51aおよび他方の軸51bを摺動可能に支持している。そのため、第2の巻付胴体部41bは、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bの回転にともなって、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bに対して移動する。
【0095】
以上から、第2の巻付胴体部41bは、第1の巻付胴体部41aに対して移動する。
【0096】
また、周長変更機構50は、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bを備えている。第1の状態固定部材53aは、その突起部66aが第1の巻付胴体部41aの一方の端部41a1に形成された貫通路41axの一方の開口部に差し込まれている。それにより、第1の状態固定部材53aは、第1の巻付胴体部41aの一方の端部41a1に固定されている。
【0097】
また、第1の状態固定部材53aは、第1の回転部材54aの内側において、第1の回転部材54aに隣接するように設けられている。回転シャフト55の一方の端部55aは、第1の状態固定部材53aを摺動可能に貫通している。
【0098】
第2の状態固定部材53bは、その突起部66bが第1の巻付胴体部41aの他方の端部41a2に形成された貫通路41axの他方の開口部に差し込まれている。それにより、第2の状態固定部材53bは、第1の巻付胴体部41aの他方の端部41a2に固定されている。
【0099】
第2の状態固定部材53bは、第2の回転部材54bの内側に第2の回転部材54bに隣接するように設けられている。回転シャフト55の他方の端部55bは、第2の状態固定部材53bを摺動可能に貫通している。
【0100】
第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bは、いずれも、第2の巻付胴体部41bの移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、第1の回転部材54a、回転シャフト55、および第2の回転部材54bの状態を固定する。このように、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bは、毛髪巻付構造体2の周方向の長さの変更の前後の状態を維持する。
【0101】
回転ダイヤル56は、第1の回転部材54aに固定されている。そのため、使用者が回転ダイヤル56を回転させると、第1の回転部材54a、回転シャフト55、および第2の回転部材54bが回転する。したがって、使用者は、回転ダイヤル56を操作することにより、第2の巻付胴体部41bの移動開始状態と移動終了状態とを切り替えることができる。
【0102】
上記の周長変更機構50を具体的に説明すると、次のようになる。
【0103】
図7から分かるように、第2の巻付胴体部41bの一方の端部41b1および他方の端部41b2は、それぞれ、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bに摺動可能に当接している。
【0104】
第2の巻付胴体部41bの一方の軸51aおよび他方の軸51bは、それぞれ、第1の状態固定部材53aの長孔61aおよび第2の状態固定部材53bの長孔61bに摺動可能に挿入されており、長孔61aおよび長孔61bに沿って摺動することができる。
【0105】
図7から分かるように、第3の巻付胴体部41cの一方の端部41c1および他方の端部41c2は、それぞれ、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bに摺動可能に当接している。
【0106】
第3の巻付胴体部41cの一方の軸52aおよび他方の軸52bは、それぞれ、第1の状態固定部材53aの長孔62aおよび第2の状態固定部材53bの長孔62bに摺動可能に挿入されている。第3の巻付胴体部41cの一方の軸52aおよび他方の軸52bは、それぞれ、長孔62aおよび長孔62bに沿って摺動することができる。
【0107】
図7から分かるように、第1の巻付胴体部41aの一方の端部41a1および他方の端部41a2は、それぞれ、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bに固定されている。
【0108】
第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bは、いずれも、金属製のカムで構成されている。第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bは、それぞれ、長さ方向、すなわち、毛髪巻付構造体2の軸方向における第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bの外側面に摺動可能に設けられている。
【0109】
第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bは、第1の巻付胴体部41a、第2の巻付胴体部41b、および第3の巻付胴体部41cを保持する保持部材として機能する。
【0110】
図7から分かるように、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bには、それぞれ、第1の長孔63aおよび第2の長孔63bが設けられている。第1の長孔63aおよび第2の長孔63bには、それぞれ、第2の巻付胴体部41bの一方の軸51aおよび他方の軸51bが差し込まれている。
【0111】
第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bには、それぞれ、第1の長孔64aおよび第2の長孔64bが設けられている。第1の長孔64aおよび第2の長孔64bには、それぞれ、第3の巻付胴体部41cの一方の軸52aおよび他方の軸52bが差し込まれている。
【0112】
第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bは、図7から分かるように、ほぼ円筒形の毛髪巻付構造体2の仮想の回転中心軸に沿って軸方向に延び、その仮想の回転中心軸まわりに回転する回転シャフト55に連結されている。回転シャフト55は、円周方向、すなわち、仮想の回転中心軸まわり回転力を第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bのそれぞれに伝達する。
【0113】
回転シャフト55の一方の端部55aには、使用者が回転シャフト55に回転動作をさせるためのスイッチとしての回転ダイヤル56がネジ57aにより連結されている。
【0114】
回転ダイヤル56は、一方側に開口を有するボウル状の構造を有している。回転ダイヤル56のボウル構造の開口部の内周面561は、図8に示すように、第1の状態固定部材53aの外側円周面531に沿うように設けられている。回転シャフト55の他方の端部55bには、ネジ57bが締結されている。
【0115】
なお、スイッチは、回転ダイヤル56に限定されず、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bに回転力を伝達することができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0116】
たとえば、スイッチは、把持部1に設けられた押しボタンであってよい。この場合、使用者がその押しボタンを押すと、第2の回転部材54bを回転させる機構が把持部1内に設けられていてもよい。
【0117】
図8に示すように、回転ダイヤル56の開口部の内周面561には、4つの凸形状リブ562a,562b,562c,562dが設けられている。第1の状態固定部材53aの外側円周面531には、凸形状リブ532aおよび凸形状リブ532bが設けられている。
【0118】
回転ダイヤル56に回転力を加えたとき、たとえば、回転ダイヤル56の内周面561上の凸形状リブ562aおよび凸形状リブ562cが、それぞれ、第1の状態固定部材53aの外側円周面531上の凸形状リブ532aおよび凸形状リブ532bを乗り越える。そのため、使用者が回転ダイヤル56を操作しなければ、回転ダイヤル56が逆方向へ回転しない。
【0119】
図7に示すように、回転シャフト55は、毛髪巻付構造体2に内側において、仮想の回転中心軸に沿って延び、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bのそれぞれの回転中心部を貫通している。回転シャフト55の一方の端部55aおよび他方の端部55bは、それぞれ、第1の回転部材54aの回転中心部および第2の回転部材54bの回転中心部に固定されている。
【0120】
回転シャフト55の一方の端部55aの端面の中心部および他方の端部55bの端面の中心部には、それぞれ、一方のネジ孔および他方のネジ孔が設けられている。一方のネジ孔および他方のネジ孔には、それぞれ、ネジ57aおよび57bが螺合している。
【0121】
したがって、ネジ57aおよびネジ57bは、回転ダイヤル56、第1の回転部材54a、第1の状態固定部材53a、毛髪巻付構造体2、第2の状態固定部材53b、および第2の回転部材54bを一体化させている。
【0122】
次に、上記したヘアーアイロン10の使用方法および動作が説明される。
【0123】
まず、使用者が上記のヘアーアイロン10を用いて毛髪に癖付けを行うための方法が説明される。
【0124】
使用者は、毛髪に所定の癖付けを行う際に、温度調節スイッチ15を切り替える。それにより、電流が加熱部42a,42bに流れる。その結果、加熱部42aおよび加熱部42bは、高温状態になる。つまり、毛髪に癖付けを行うための準備が終了する。
【0125】
この状態で、使用者は、押さえ板3が毛髪巻付構造体2から離れるように、操作部16を把持部1に向かって押す。次に、使用者は、押さえ板3と毛髪巻付構造体2との間に癖付けを行う毛髪の束を差し込む。その後、使用者は、押さえ板3が毛髪巻付構造体2に近づくように、操作部16を放す。それにより、押さえ板3と毛髪巻付構造体2とにより毛髪の束が挟持される。
【0126】
この状態で、使用者は、毛髪巻付構造体2および押さえ板3により新たに形成された外周面に毛髪を巻き付ける。使用者は、毛髪の巻付けが完了した状態で、所定時間が経過するのを待つ。使用者は、所定時間が経過すると、毛髪巻付構造体2および押さえ板3により新たに形成された外周面に対する毛髪の巻き付けを少しずつ解除する。
【0127】
次に、使用者は、操作部16を操作することにより、押さえ板3と毛髪巻付構造体2とを離間させる。最後に、使用者は、押さえ板3と毛髪巻付構造体2とを毛髪から引き離す。
【0128】
以上により、毛髪巻付構造体2の外周面410の形状に応じたカール形状が毛髪に転写される。つまり、使用者の毛髪への癖付けが終了する。
【0129】
次に、毛髪巻付構造体2の外周面410の周方向の長さを変更することにより、異なる形状の癖付けを行うための方法について説明する。
【0130】
使用者は、毛髪巻付構造体2の外周形状を変更する前の段階においては、図11に示すように、第3の巻付胴体部41cは、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとによって内包されている。
【0131】
この状態で、使用者は、毛髪巻付構造体2の外周形状を変更するために、回転ダイヤル56を円周方向に回転する。これにより、回転ダイヤル56に連結された第1の回転部材54aが回転する。それに伴って、第1の回転部材54aに一方の端部55aが連結された回転シャフト55が回転する。さらに、それに伴って、回転シャフト55の他方の端部55bに連結された第2の回転部材54bが、図9および図10において回転矢印で示される方向に、第2の回転部材54bが回転する。
【0132】
その結果、第2の巻付胴体部41bの一方の軸51aは、第1の回転部材54aの長孔63aに沿って移動する(図示せず)。また、図9および図10に示すように、第2の巻付胴体部41bの他方の軸51bは、第2の回転部材54bの長孔63bに沿って移動する。さらに、第3の巻付胴体部41cの一方の軸52aは、第1の回転部材54aの長孔64aに沿って移動する(図示せず)。加えて、第3の巻付胴体部41cの他方の軸52bは、図9および図10に示すように、第2の回転部材54bの長孔64bに沿って移動する。
【0133】
また、第2の巻付胴体部41bの一方の軸51aは、第1の状態固定部材53aの長孔61aに沿って移動する(図示せず)。第2の巻付胴体部41bの他方の軸51bは、図9および図10に示すように、第2の状態固定部材53bの長孔61bに沿って移動する。
【0134】
第3の巻付胴体部41cの一方の軸52aは、第2の状態固定部材53bの長孔62aに沿って移動する(図示せず)。第3の巻付胴体部41cの他方の軸52bは、図9および図10に示すように、第2の状態固定部材53bの長孔62bに沿って移動する。
【0135】
以上のように、第2の回転部材54bの回転に伴って、第2の巻付胴体部41bの他方の軸51bが、図9に示す状態から図10に示す状態へ移動する。また、第3の巻付胴体部41cの他方の軸52bが、図9に示す状態から図10に示す状態へ移動する。それらの移動に伴って、第2の巻付胴体部41bは、図11に示す状態から図12に示す状態へ変化する。つまり、第3の巻付胴体部41cは、毛髪巻付構造体2の内部から外部へ向かう。
【0136】
このとき、図13に示される第2の巻付胴体部41bの支点軸58bは、図14に示す第2の状態固定部材53bの支点孔59b内において、仮想軸A71(図11および図12参照)を回転中心軸として回転矢印で示す方向に回転する。
【0137】
それにより、第2の巻付胴体部41bの他方の軸51bは、図14に示す第2の状態固定部材53bの長孔61b内において直線矢印で示される方向に移動する。第3の巻付胴体部41cの他方の軸52bは、図14に示す第2の状態固定部材53bの長孔62b内において直線矢印で示される方向に移動する。
【0138】
その結果、第2の巻付胴体部41bは、図12において回転矢印で示すように、第1の巻付胴体部41aから離れるように仮想軸A71を回転中心軸として回転する。また、第3の巻付胴体部41cは、図12において直線矢印で示すように、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとの間に形成された隙間に挿入されるように移動する。
【0139】
なお、第1の状態固定部材53aおよび毛髪巻付構造体2の動作と、第2の状態固定部材53bおよび毛髪巻付構造体2の動作とは、所定の横断面に対して、鏡面対称である。
【0140】
本実施の形態においては、周長変更機構50は、第2の巻付胴体部41bが第1の巻付胴体部41aに対して移動するものである。しかしながら、本発明の周長変更機構は、第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bの双方が把持部1に対して移動するような機構であってもよい。
【0141】
以上のように、本実施の形態のヘアーアイロン10によれば、第3の巻付胴体部41cが、図12に矢印で示すように、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとの間に形成された隙間に挿入される。したがって、毛髪巻付構造体2の外周の形状が変化する。
【0142】
それにより、毛髪巻付構造体2の外周面410の周方向の長さが増加する。その後、使用者は、外周面410の周方向の長さが増加した毛髪巻付構造体2を使用して、毛髪に癖付けを行う。したがって、毛髪巻付構造体2の変化した外周形状が毛髪に転写される。したがって、使用者は、異なる種類の外周形状を有する毛髪巻付構造体2を用いて、毛髪に異なる種類の癖付けをすることができる。
【0143】
なお、図12に示す状態から図11に示す状態へ毛髪巻付構造体2の外周面410の形状を変化させる際には、回転ダイヤル56を前述の回転方向とは逆方向に回転させればよい。その際の各構造の動作は、前述した動作の逆の順序の動作になる。
【0144】
以上のように、本実施の形態のヘアーアイロン10においては、毛髪に所定の癖付けがなされる毛髪巻付構造体2が複数に分割された構造となっており、毛髪巻付構造体2の外周面410の形状が変化することが可能になっている。したがって、毛髪巻付構造体2の外周面410の周方向の長さを変更することが可能である。その結果、使用者は毛髪に所定の癖付けを行う際に、複数種類のヘアーアイロン10または複数種類の巻付胴体部を準備することなく、1台のヘアーアイロン10で、毛髪に複数種類の癖付けを施すことができる。
【0145】
本実施の形態では、分割された巻付胴体部のそれぞれに熱源から与えられる熱量が一定となるように体積を異なったものとしている。よって、毛髪巻付構造体2の温度が全体を通して均一となり、温度制御を行う際に局所的な温度検知で全体の温度を一定に制御することすることもできる。
【0146】
本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、3つの部分に分割されるものであるが、本発明の毛髪巻付構造体は、4以上の部分に分割されてもよい。この場合は、特に、毛髪巻付構造体2によって構成される外周形状をより様々な形状にすることが可能となる。そのため、使用者は、毛髪により多くの種類の形状の癖付けを行うことができる。
【0147】
本実施の形態の第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bは、金属材料により形成されているが、樹脂材料等の他の材料により形成されていてもよい。これによれば、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bを軽量化することができる。そのため、使用者のヘアーアイロン10の操作性を向上させることができる。
【0148】
本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、ネジ57aおよび57bによるネジ止めにより、一体化されているが、溶接または接着などにより、一体的に固定されていてもよい。これによれば、ネジの部品点数を削減することが可能になる。また、ヘアーアイロン10を軽量化することができる。そのため、使用者のヘアーアイロン10の操作性を向上させることができる。
【0149】
(実施の形態2)
図15および図16を参照して、本発明の実施の形態2のヘアーアイロン10を説明する。本実施の形態のヘアーアイロン10は、実施の形態1のヘアーアイロン10とほぼ同様の構成を有している。そのため、実施の形態1および実施の形態2において、同一の構成の説明は繰り返さない。以下の本実施の形態のヘアーアイロン10の説明においては、実施の形態1のヘアーアイロン10と異なる点のみを説明する。
【0150】
図15および図16は、本実施の形態2の毛髪巻付構造体2の横断面の模式図である。本実施の形態のヘアーアイロン10は、図15および図16に示すように、毛髪に癖付けを行う毛髪巻付構造体2が3つの巻付胴体部、すなわち、第1の巻付胴体部91、第2の巻付胴体部92、および第3の巻付胴体部93に分割されている。
【0151】
実施の形態1においては、周長変更機構50が毛髪巻付構造体2の周長を変更する前の段階においては、第3の巻付胴体部41cが第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bの内側に設けられている。しかしながら、本実施の形態においては、第3の巻付胴体部93は、周長変更機構50が毛髪巻付構造体2の周長を変更する前の段階から、第1の巻付胴体部91および第2の巻付胴体部92とともに、毛髪巻付構造体2の外周面の一部を構成している。
【0152】
第1の巻付胴体部91、第2の巻付胴体部92、および第3の巻付胴体部93は、いずれも、断面が円弧状に形成されており、一体化されることによって、1つの円筒形状を構成する。第1の巻付胴体部91の両端部は、第1の状態固定部材98aおよび第2の状態固定部材98bに固定されている。第2の巻付胴体部92、および第3の巻付胴体部93のそれぞれの軸方向の両端部は、第1の状態固定部材98aおよび第2の状態固定部材98bに摺動可能に当接している。
【0153】
本実施の形態においては、3つの巻付胴体部91,92,93は、いずれも、横断面(軸方向に垂直な断面)が円弧状をなしている。3つの巻付胴体部91,92,93の横断面の形状が円弧形状をなしていることは、ヘアーアイロン10の製造を簡単に行うことできるという点において好ましいが、本発明の必須の構成ではない。
【0154】
本実施の形態の第1の巻付胴体部91は、把持部1に対する位置が固定されているが、第2の巻付胴体部92および第3の巻付胴体部93は、いずれも、毛髪巻付構造体2の径方向において移動することが可能である。しかしながら、本発明のヘアーアイロンは、第2の巻付胴体部92および第3の巻付胴体部93のみならず、第1の巻付胴体部91も把持部1に対する移動するものであってもよい。
【0155】
なお、第1の巻付胴体部91の一方の端部は、実施の形態1の第1の状態固定部材53aに対応する第1の状態固定部材98aに固定されている。また、第1の巻付胴体部91の他方の端部は、実施の形態1の第2の状態固定部材53bに対応する第2の状態固定部材98bに固定されている。
【0156】
第2の巻付胴体部92の一方の軸94aおよび他方の軸94bは、それぞれ、第1の状態固定部材98aの長孔96aおよび第2の状態固定部材98bの長孔96bに摺動可能に挿入されている。第3の巻付胴体部93の一方の軸95aおよび他方の軸95bは、第1の状態固定部材98aの長孔97aおよび第2の状態固定部材98bの長孔97bに摺動可能に挿入されている。
【0157】
第1の状態固定部材98aおよび第2の状態固定部材98bには、それぞれ、実施の形態1において説明された第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bが隣接するように設けられている。
【0158】
この第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bにそれぞれ設けられた径方向に延びる長孔63aおよび長孔63bには、それぞれ、第2の巻付胴体部92の一方の軸94aおよび他方の軸94bが挿入されている。第2の巻付胴体部92の一方の軸94aおよび他方の軸94bは、それぞれ、長孔63aおよび長孔63bに沿って移動することが可能である。
【0159】
第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bにそれぞれ設けられた長孔64aおよび長孔64bには、それぞれ、第3の巻付胴体部93の一方の軸95aおよび他方の軸95bが挿入されている。第3の巻付胴体部93の一方の軸95aおよび他方の軸95bは、それぞれ、長孔64aおよび長孔64bに沿って移動することが可能である。
【0160】
本実施の形態においては、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bの長孔等の形状は、第1の状態固定部材98aおよび第2の状態固定部材98bに対して第2の巻付胴体部92および第3の巻付胴体部93を上記のように移動させるように形成されている。
【0161】
なお、本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、上記のように構成されているが、本発明の毛髪巻付構造体は、第1の巻付胴体部91が第2の巻付胴体部92および第3の巻付胴体部93と同様に径方向に移動可能なものであってもよい。つまり、本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、複数の巻付胴体部の全てが径方向に移動することが可能に構成されていてもよい。
【0162】
また、本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、複数の巻付胴体部のうちの1つのみが径方向に移動可能に構成されていてもよい。つまり、本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、毛髪巻付構造体2を構成する複数の巻付胴体部の少なくともいずれか1つが径方向に移動することにより、外周面の周方向の長さを変更させるものであればよい。
【0163】
次に、実施の形態2のヘアーアイロン10の使用方法および動作を説明する。
【0164】
使用者が実施の形態1のスイッチとしての回転ダイヤル56と同様の回転ダイヤル56を操作することにより、実施の形態1において説明した回転シャフト55および第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bに回転が伝達される。それにより、第2の巻付胴体部92の一方の軸94aおよび他方の軸94bが、それぞれ、第1の状態固定部材98aおよび第2の状態固定部材98bに設けられた長孔96aおよび96bに沿って、図15に示す位置から図16に示す位置まで移動する。また、第3の巻付胴体部93の一方の軸95aおよび他方の軸95bが、それぞれ、第1の状態固定部材98aおよび第2の状態固定部材98bに設けられた長孔97aおよび長孔97bに沿って図15に示す位置から図16に示す位置まで移動する。
【0165】
以上により、図16に示された毛髪巻付構造体2の外周面900は、隙間912a,912b,912cのそれぞれが大きくなった分だけ、図15に示された状態よりも長い円周を有することになる。そのため、使用者が、本実施の形態のヘアーアイロン10を用いても、毛髪に複数種類の癖付けを施すことができる。
【0166】
また、本実施の形態においては、毛髪巻付構造体2の横断面において、複数の巻付胴体部のそれぞれを径方向に移動させることにより、毛髪巻付構造体2の外周面の周方向の長さを変更している。そのため、実施の形態1のヘアーアイロン10に比較して、毛髪巻付構造体2の外周面をより真円に近い形状にすることができる。
【0167】
なお、本実施の形態のヘアーアイロン10においては、複数の隙間912a,912b,912cには、いかなる部材も挿入さていない例が示されている。しかしながら、実施の形態1と同様の方法により、複数の隙間912a,912b,912cの少なくともいずれか1つに何らかの部材が挿入されてもよい。また、複数の隙間912a,912b,912cのそれぞれに何らかの部材が挿入されてもよい。
【0168】
さらに、第1の巻付胴体部91、第2の巻付胴体部92、および第3の巻付胴体部93の外周面の曲面と連続する曲面を有する部材が複数の隙間912a,912b,912cのそれぞれに挿入されることが望ましい。つまり、複数の隙間912a,912b,912cのそれぞれには、隣接する巻付胴体部の外周面と挿入された部材の外周面との間で段差部が生じない部材が挿入されることが望ましい。
【0169】
また、複数の隙間912a,912b,912cのそれぞれの幅に一致する幅を有する部材が複数の隙間912a,912b,912cのそれぞれに挿入されることが好ましい。毛髪が複数の隙間912a,912b,912cのいずれかから毛髪巻付構造体2の内側の空間に入ってしまうことを抑制することができるからである。
【0170】
以下、実施の形態1および2のヘアーアイロン10の構成および効果をまとめると次のようになる。
【0171】
(1) 実施の形態1(2)のヘアーアイロン10は、把持部1と、把持部1の端部に連結され、外周面410を有し、周方向の長さが変更され得る毛髪巻付構造体2とを備えている。
【0172】
また、ヘアーアイロン10は、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構50と、外周面410から発熱するように毛髪巻付構造体2を加熱し得る加熱部42a,42bとを備えている。
【0173】
さらに、ヘアーアイロン10は、周長変更機構50が毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、毛髪巻付構造体2と協働して毛髪を挟持し得るように構成された押さえ板3を備えている。
【0174】
上記の構成によれば、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを他の部材を使用することなく変更することができる。それにより、1台のヘアーアイロン10で毛髪巻付構造体2の周方向の長さの相違に対応した複数種類の癖付けを毛髪に対して施すことができる。
【0175】
したがって、使用者は、複数種類の癖付けを施すことを可能にするために、複数種類の癖付けに対応した複数種類の毛髪巻付構造体または複数種類のヘアーアイロンを所持する必要がなくなる。
【0176】
本明細書において、毛髪巻付構造体の周方向の長さとは、毛髪巻付構造体に太さがない仮想の線状部材を巻き付けたときの仮想の線状部材の1周分の長さである。したがって、毛髪巻付構造体が複数の巻付胴体部により構成されている場合には、毛髪巻付構造体2の周方向の長さは、次のように考える。
【0177】
毛髪巻付構造体2の周方向の長さは、隣接する巻付胴体部同士の間に隙間がない場合には、複数の巻付胴体部の外周面410(900)の周方向の長さと同一である。
【0178】
また、毛髪巻付構造体2の周方向の長さは、隣接する巻付胴体部同士の間に隙間がある場合には、複数の巻付胴体部の外周面410(900)の周方向の長さと、少なくとも1つの隙間41(912a,912b,912c)の距離とを加えた長さである。
【0179】
上記のように毛髪巻付構造体2の周方向の長さを定義する理由は、毛髪巻付構造体2に巻き付けられるのは仮想の線状部材に近似する毛髪であるからである。
【0180】
なお、押さえ板3は、毛髪巻付構造体2および把持部1のいずれに対して回転動可能に連結されていてもよい。
【0181】
また、押さえ板3および毛髪巻付構造体2は、周長変更機構50が周方向の長さを変更する前後のいずれにおいても、互いに協働して毛髪を挟持することができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0182】
また、毛髪巻付構造体2および押さえ板3は、それらによって形成される新たな外周面に毛髪を巻付けることができるように構成されているものであれば、いかなるものであってもよい。
【0183】
たとえば、押さえ板3は、周長変更機構50が周方向の長さを変更する前後において、毛髪巻付構造体2の外形の変化に対応して、位置が移動したり、形状が変化したりするものであることが好ましい。ただし、押さえ板3の位置および形状の変化は、本発明の必須の要件ではない。
【0184】
(2) 実施の形態1(2)の毛髪巻付構造体2は、それぞれが毛髪巻付構造体2の長手方向に延び、かつ、毛髪巻付構造体2の周方向に沿って互いに隣接するように配置された第1の巻付胴体部41a(91)および第2の巻付胴体部41b(92)を含んでいてもよい。
【0185】
この場合、周長変更機構50は、第1の巻付胴体部41a(91)と第2の巻付胴体部41b(92)とを相対的に移動させることにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成されていてもよい。
【0186】
これによれば、第1の巻付胴体部41a(91)と第2の巻付胴体部41b(92)との相対的な移動により形成された隙間41(912a,912b,912c)の分だけ、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更することができる。
【0187】
なお、本発明の毛髪巻付構造体は、2つの巻付胴体部のみからなるものに限定されず、第1の巻付胴体部および第2の巻付胴体部以外にさらなる巻付胴体部を備えていてもよい。
【0188】
たとえば、本発明の毛髪巻付構造体は、4つの巻付胴体部を備えており、4つの巻付胴体部のそれぞれが移動し、4つの隙間のそれぞれが開かれたり閉じられたりするか、または、4つの隙間のそれぞれが大きくなったり、小さくなったりするものであってもよい。
【0189】
本実施の形態の毛髪巻付構造体2は、複数の巻付胴体部を備えており、それらのうちの少なくとも1つが移動することにより、移動した巻付胴体部とそれに隣接する巻付胴体部との間の隙間の大きさ(隙間の大きさがゼロの場合を含む)が変更され得るものであれば、いかなるものであってもよい。
【0190】
(3) 実施の形態1の毛髪巻付構造体2は、第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bの内側に設けられ、毛髪巻付構造体2の長手方向に延びる第3の巻付胴体部41cを含んでいることが好ましい。この場合、周長変更機構50は、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとの間に第3の巻付胴体部41cを挿入することにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成されていることが好ましい。
【0191】
これによれば、第3の巻付胴体部41cの外周面410の周方向の長さの分だけ、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更することができる。
【0192】
さらに、外周面410を構成する第3の部分410cが、外周面410を構成する第1の部分410aおよび第2の部分410bに連続する曲面であることが好ましい。横断面において、外周面410を構成する第1の部分410a、第2の部分410b、および第3の部分410cの正接(タンジェント)が連続性のある関数(連続関数)になっていることが望ましい。
【0193】
これによれば、第1の部分410aと第2の部分410bとの間の隙間41を第3の部分410cによりなだらかなに変化させることができる。その結果、外周面410の形状をカール状の癖付けにより適した形状にすることが可能になる。
【0194】
(4) 実施の形態の周長変更機構50は、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとを、毛髪巻付構造体2の長手方向に延びる仮想の回転軸(図11および図12の仮想軸A71)まわりに相対的に回転させることにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成されていてもよい。
【0195】
これによれば、毛髪巻付構造体2の長手方向において均一に周方向の長さを変更することができる。
【0196】
(5) 実施の形態の毛髪巻付構造体2は、第1の巻付胴体部91および第2の巻付胴体部92のうち少なくともいずれか一方(第2の巻付胴体部92)を毛髪巻付構造体2の径方向に移動させることにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成されていてもよい。
【0197】
この構成によれば、直線方向の移動という簡単な移動で周方向の長さの変更を実現することができる。
【0198】
また、実施の形態の毛髪巻付構造体2は、第1の巻付胴体部91および第2の巻付胴体部92のみからなる場合も含めて、それぞれが外周面900の一部を構成する複数の巻付胴体部を含んでいてもよい。
【0199】
この場合、周長変更機構は、複数の巻付胴体部のうちの少なくともいずれか1つを毛髪巻付構造体の径方向に移動させることにより、毛髪巻付構造体の周方向の長さを変更するように構成されていてもよい。また、複数の巻付胴体部のそれぞれが径方向に移動すれば、全体として、円形の横断面に近い新たな外周面が形成される。
【0200】
(6) 実施の形態の第1の巻付胴体部41a(91)は、押さえ板3に対する位置が固定されており、押さえ板3が第1の巻付胴体部41a(91)と協働して毛髪を挟持し得るように構成されていることが好ましい。
【0201】
これによれば、周長変更機構50が毛髪巻付構造体2の周方向における長さを変更した場合も含めて、押さえ板3と第1の巻付胴体部41a(91)との互いの位置関係は、常に一定に保持されている。そのため、第2の巻付胴体部41b(92)は、押さえ板3と第1の巻付胴体部41a(91)との間の隙間41(912a,912b,912c)の大きさおよびそれらが毛髪を挟持する力を一定に維持し易くすることができる。その結果、ヘアーアイロン10の操作性が向上する。
【0202】
(7) 実施の形態の周長変更機構50は、毛髪巻付構造体2の長手方向に延びる他の仮想の回転軸まわりに回転する回転構造体(第1の回転部材54a、回転シャフト55、第2の回転部材54b、回転ダイヤル56)を含んでいてもよい。
【0203】
また、周長変更機構50は、把持部1に対する位置および姿勢が固定されている構造体であって、かつ、回転構造体と協働して第1の巻付胴体部41a(91)と第2の巻付胴体部41b(92または93)とを相対的に移動させる状態固定構造体(第1の状態固定部材53a、第2の状態固定部材53b)を含んでいてもよい。
【0204】
上記の構成によれば、使用者は、回転構造体を回転させる操作により、第1の巻付胴体部41aと第2の巻付胴体部41bとを相対的に移動させることができる。
【0205】
(8) 本実施の形態のヘアーアイロン10は、状態固定構造体(第1の状態固定部材53a、第2の状態固定部材53b)が、第2の巻付胴体部41bの移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、回転構造体(第1の回転部材54a、回転シャフト55、第2の回転部材54b、回転ダイヤル56)の状態を固定することが可能に構成されている。
【0206】
これによれば、毛髪巻付構造体の周方向の長さが変更された状態を維持することができる。
【0207】
なお、具体的には、第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bが、それぞれ、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bの位置および姿勢を固定する。
【0208】
(9) 実施の形態の周長変更機構50は、毛髪巻付構造体2内において毛髪巻付構造体2の長手方向に延び、かつ、前述の他の仮想の回転軸まわりに回転する回転シャフト55を備えていてもよい。周長変更機構50は、回転シャフト55の一方端に固定された第1の回転部材54aと、回転シャフト55の他方端に固定された第2の回転部材54bとを有していてもよい。
【0209】
第2の巻付胴体部41b(92)は、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bに摺動可能に支持されていてもよい。第2の巻付胴体部41b(92)は、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bの回転にともなって第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bに対して摺動することにより、第1の巻付胴体部41a(91)に対して相対的に移動するように構成されていてもよい。
【0210】
上記の構成によれば、毛髪巻付構造体2の長さ方向の両側にある第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bを用いて第2の巻付胴体部41bを移動させることができる。したがって、第2の巻付胴体部41bの移動時における第2の巻付胴体部41bの支持が安定する。
【0211】
また、毛髪巻付構造体2内の空間を利用して、周長変更機構50の一部を設けることができる。したがって、毛髪巻付構造体2内の空間を有効に利用することができる。
【0212】
(10) 実施の形態の周長変更機構50は、回転シャフト55の一方の端部が摺動可能に貫通し、第1の巻付胴体部41a(91)の一方の端部に固定された第1の状態固定部材53aを有していてもよい。ヘアーアイロン10は、回転シャフト55の他方の端部が摺動可能に貫通し、第1の巻付胴体部41a(91)の他方の端部に固定された第2の状態固定部材53bを備えていてもよい。
【0213】
第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bは、それぞれ、第2の巻付胴体部41b(91)の移動開始状態および移動終了状態のそれぞれにおいて、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bの状態を固定することが可能に構成されていてもよい。
【0214】
これによれば、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが変更された状態を、毛髪巻付構造体2の長さ方向における両側に分けて配置された第1の状態固定部材53aおよび第2の状態固定部材53bによって維持することができる。したがって、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが変更された状態を安定させることができる。
【0215】
(11) 実施の形態の周長変更機構50は、第1の回転部材54aおよび第2の回転部材54bの少なくともいずれか一方に固定されたスイッチ(回転ダイヤル56)を有していてもよい。スイッチは、移動開始状態(図9図11参照)と移動終了状態(図10図12参照)との切り替えがなされるように、前述の回転構造体(第1の回転部材54a、回転シャフト55、および第2の回転部材54b)を回転させるものであってもよい。
【0216】
これによれば、使用者は、スイッチ(回転ダイヤル56)の操作により、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを容易に変更することができる。
【0217】
(12) 本実施の形態の回転構造体(第1の回転部材54a、回転シャフト55、第2の回転部材54b、回転ダイヤル56)は、当該回転構造体と前述の状態固定構造体(第1の状態固定部材53a、第2の状態固定部材53b)との間に生じる摩擦力(たとえば、第1の回転部材54aと第1の状態固定部材53aとの間の摩擦力、および、第2の回転部材54bと第2の状態固定部材53bとの間の摩擦力)を利用して、前述の状態固定構造体に対して無段階に回転摺動し、状態固定構造体に対する位置関係が無段階に固定されるように構成されていてもよい。
【0218】
上記の構成によれば、使用者は、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを自らの好みの長さに変更することができる。
【0219】
(13) 本実施の形態の回転構造体(第1の回転部材54a、回転シャフト55、第2の回転部材54b、回転ダイヤル56)は、前述の状態固定構造体(第1の状態固定部材53a、第2の状態固定部材53b)に設けられた複数の係止部(凸形状リブ532a,532b)にそれぞれ係止される複数の被係止部(凸形状リブ562a,562b,562c,562d)を含んでいてもよい。
【0220】
前述の状態固定構造体に対して段階的に回転し、前述の状態固定構造体に対する位置関係が段階的に固定されるように構成されていてもよい。
【0221】
上記の構成によれば、使用者は、毛髪巻付構造体2の周方向の長さを自らの好みに合わせて、段階的に変更することができる。
【0222】
(14) 本実施の形態のヘアーアイロン10は、第1の巻付胴体部41aに固定され、第1の巻付胴体部41aを加熱する第1の加熱部42aと、第2の巻付胴体部41bに固定され、第2の巻付胴体部41bを加熱する第2の加熱部42bと、を備えていてもよい。
【0223】
上記の構成によれば、第1の加熱部42aおよび第2の加熱部42bは、それぞれ、第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bの移動に伴って移動する。したがって、第1の巻付胴体部と第2の巻付胴体部との相対的な移動の前後のいずれにおいも、第1の巻付胴体部と第2の巻付胴体部とに同様の態様で加熱することができる。
【0224】
(15) 本実施の形態のヘアーアイロン10は、第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bのうちの少なくともいずれか一方に固定され、外周面の温度を測定する温度センサ40bと、温度センサ40bにより取得された温度情報に基づいて第1の加熱部42aおよび第2の加熱部42bを制御する制御部7と、を備えていてもよい。
【0225】
上記の構成によれば、温度センサ40bは、第1の巻付胴体部41aおよび第2の巻付胴体部41bのうちの少なくともいずれか一方の移動に伴って移動する。そのため、外周面410の温度測定の条件の変化なしに、外周面410の温度情報を取得することができる。したがって、第1の加熱部42aおよび第2の加熱部42bの発熱状態を容易に制御することができる。
【0226】
(16) 本実施の形態のヘアーアイロン10は、押さえ板3に連結され、押さえ板3を毛髪巻付構造体2へ近づけたり、押さえ板3を毛髪巻付構造体2から遠ざけたりすることを可能にする操作部16を備えていることが好ましい。また、操作部16が、把持部1に回動可能に取り付けられていることが好ましい。
【0227】
これによれば、毛髪巻付構造体2に押さえ板3の回動の中心が設けられている場合に比較して、毛髪巻付構造体2の周方向の長さの変更に起因した押さえ板3の回動の中心の移動がないため、周長変更の前後の押さえ板3の操作性が向上する。
【0228】
(17) 次に、図17図23を参照して、ヘアーアイロン10の使用方法を説明する。
【0229】
本実施の形態のヘアーアイロン10の使用方法においては、まず、図17に示すように、使用者200が把持部1を把持する。次に、使用者が、図21に示すように、ヘアーアイロン10に設けられた機構であって、把持部1の端部に連結された毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構50を操作する(具体的には、使用者200が回転ダイヤル56を回転させる)。それにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが変更される。
【0230】
このとき、図21においては、回転ダイヤル56は、毛髪巻付構造体2の軸方向に延びる仮想の軸まわりに90度だけ回転している。また、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが大きくなっているため、図21においては、毛髪巻付構造体2の幅が大きくなっている。
【0231】
なお、以下に示す図22および図23においても同様に、毛髪巻付構造体2の軸方向に延びる仮想の軸まわりに90度だけ回転している。また、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが大きくなっているため、図22および図23のそれぞれにおいては、毛髪巻付構造体2の幅が大きくなっている。
【0232】
その後、使用者200が、図18において矢印Zで示す方向に温度調節スイッチ15を移動させる。それにより、毛髪巻付構造体2を加熱するように構成された加熱部42a,42bが操作される。その結果、把持部1の端部に連結された毛髪巻付構造体2の外周面410から熱が発生する。次に、使用者200が、図22に示すように、毛髪巻付構造体2と協働して毛髪を挟持するように構成された押さえ板3を操作して、熱が発生している外周面410と押さえ板3とに毛髪30を挟持させる。
【0233】
その後、使用者200が、図23において矢印Xで示す方向に毛髪巻付構造体2を回転させる。それにより、熱が発生している外周面410と押さえ板3とにより毛髪30が挟持された状態で、毛髪巻付構造体2および押さえ板3に毛髪30が巻付けられる。次に、使用者が、図23において矢印Yで示す方向に毛髪巻付構造体2を移動させる。それにより、毛髪巻付構造体2および押さえ板3に巻き付けられた毛髪30から毛髪巻付構造体2および押さえ板3が引き離される。
【0234】
上記の方法によれば、変更され得る毛髪巻付構造体2の周方向の長さごとに、毛髪30に複数種類の癖付けを施すことができる。
【0235】
また、毛髪巻付構造体2および押さえ板3に毛髪を螺旋状に巻き付けて、螺旋状の毛髪30の中心軸方向に毛髪巻付構造体2および押さえ板3を引き抜けば、毛髪30に螺旋形状の癖付けを施すことができる。ただし、巻付ステップにおいて毛髪30から毛髪巻付構造体2および押さえ板3、すなわちヘアーアイロン10を引き離す方向は、他の方向であってもよい。
【0236】
前述の引離ステップにおいては、使用者200が操作部16を操作することにより、毛髪巻付構造体2と押さえ板3との間の隙間がより大きく開かれた状態で、毛髪巻付構造体2および押さえ板3が毛髪から引き離されてもよい。このとき、毛髪巻付構造体2および押さえ板3は、毛髪30が延びる方向に沿って移動させられてもよいし、螺旋状の毛髪30の中心軸方向に毛髪30から引き抜かれてもよい。
【0237】
(18) 本実施の形態のヘアーアイロン10の使用方法においては、まず、図17に示すように、把持ステップにおいて、使用者200が把持部1を把持する。次に、加熱ステップにおいて、使用者200が、図18において矢印Zで示す方向に温度調節スイッチ15を移動させる。それにより、毛髪巻付構造体2を加熱するように構成された加熱部42a,42bが操作される。その結果、把持部1の端部に連結された毛髪巻付構造体2の外周面410から熱が発生する。
【0238】
その後、第1の挟持ステップにおいて、図19に示すように、使用者200が、毛髪巻付構造体2と協働して毛髪30を挟持するように構成された押さえ板3を操作する。それにより、熱が発生している外周面410と押さえ板3とに毛髪30が挟持される。次に、第1の巻付ステップにおいて、使用者200が、図20において矢印Xで示す方向にヘアーアイロン10を回転させる。それにより、熱が発生している外周面410と押さえ板3とにより毛髪30が挟持された状態で、毛髪巻付構造体2および押さえ板3に毛髪30が巻付けられる。
【0239】
その後、第1の引離ステップにおいて、使用者200が、図20において矢印Yで示す方向に毛髪巻付構造体2を移動させる。それにより、第1の巻付ステップにおいて毛髪巻付構造体2および押さえ板3に巻き付けられた毛髪30から毛髪巻付構造体2および押さえ板3が引き離される。
【0240】
次に、変更ステップにおいて、図21に示すように、使用者200が、ヘアーアイロン10に設けられた機構であって、把持部1の端部に連結された毛髪巻付構造体2の周方向の長さを変更するように構成された周長変更機構50を操作する(回転ダイヤル56を回転させる)。それにより、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが変更される。
【0241】
なお、以下に示す図22および図23においても同様に、毛髪巻付構造体2の軸方向に延びる仮想の軸まわりに90度だけ回転している。また、毛髪巻付構造体2の周方向の長さが大きくなっているため、図22および図23においては、毛髪巻付構造体2の幅が大きくなっている。
【0242】
その後、第2の挟持ステップにおいて、図22に示すように、使用者200が、周方向の長さが変更された熱が発生している外周面410と押さえ板3とに毛髪30を挟持させる。
【0243】
次に、第2の巻付ステップにおいて、使用者200が、図23において矢印Xで示す方向にヘアーアイロン10を回転させる。それにより、周方向の長さが変更された熱が発生している外周面410と押さえ板3とにより毛髪30が挟持された状態で、毛髪巻付構造体2および押さえ板3に毛髪30が巻付けられる。
【0244】
その後、第1の引離ステップにおいて、使用者200が、図23において矢印Yで示す方向にヘアーアイロン10を移動させる。それにより、第2の巻付ステップにおいて毛髪巻付構造体2および押さえ板3に巻き付けられた毛髪30から毛髪巻付構造体2および押さえ板3が引き離される。
【0245】
上記の方法によれば、1回の加熱ステップで毛髪30に複数種類の癖付けを施すことができる。
【0246】
また、毛髪巻付構造体2および押さえ板3に毛髪30を螺旋状に巻き付けて、螺旋状の毛髪の中心軸方向に毛髪巻付構造体2および押さえ板3を引き抜けば、毛髪30に螺旋形状の癖付けを施すことができる。ただし、巻付ステップにおいて毛髪30から毛髪巻付構造体2および押さえ板3、すなわちヘアーアイロン10を引き離す方向は、他の方向であってもよい。
【0247】
前述の第1および第2の引離ステップにおいては、使用者200が操作部16を操作することにより、毛髪巻付構造体2と押さえ板3との間の隙間がより大きく開かれた状態で、毛髪巻付構造体2および押さえ板3が毛髪30から引き離されてもよい。このとき、毛髪巻付構造体2および押さえ板3は、毛髪30が延びる方向に沿って移動させられてもよいし、螺旋状の毛髪30の中心軸方向に毛髪30から引き抜かれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0248】
以上のように、本発明のヘアーアイロンは、1台のヘアーアイロンで複数種類の癖付けを毛髪に施すことができるため、例えば、ペット用のヘアーアイロンまたは衣料等に用いられる化学繊維の加工装置におけるアイロンの用途に適用され得る。
【符号の説明】
【0249】
1 把持部
2 毛髪巻付構造体
3 押さえ板
7 制御部
10 ヘアーアイロン
16 操作部
40b 温度センサ
41,912a,912b,912c 隙間
41a,91 第1の巻付胴体部
41b,92 第2の巻付胴体部
41c,93 第3の巻付胴体部
42a 第1の加熱部
42b 第2の加熱部
50 周長変更機構
53a 第1の状態固定部材
53b 第2の状態固定部材
54a 第1の回転部材
54b 第2の回転部材
55 回転シャフト
56 回転ダイヤル
410,900 外周面
410a,91a 第1の部分
410b,92a 第2の部分
410c,93a 第3の部分
532a,532b,562a,562b,562c,562d 凸形状リブ
A71 仮想軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23