特許第6041198号(P6041198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041198固体発光素子駆動装置及び照明装置、照明器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041198
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】固体発光素子駆動装置及び照明装置、照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20161128BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20161128BHJP
【FI】
   H05B37/02 K
   H02M3/155 C
   H02M3/155 P
   H01L33/00 J
   H05B37/02 J
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-202571(P2012-202571)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-56803(P2014-56803A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】福田 健一
(72)【発明者】
【氏名】鳴尾 誠浩
(72)【発明者】
【氏名】江崎 佐奈
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−133942(JP,A)
【文献】 特開2012−160436(JP,A)
【文献】 特開平11−161217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H01L 33/00
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子間に固体発光素子が接続されるスイッチング電源回路と、前記スイッチング電源回路を構成するスイッチング素子をスイッチング制御する制御回路とを備え、前記スイッチング電源回路は、前記スイッチング素子とインダクタの直列回路と、前記スイッチング素子がオフしたときに前記インダクタから回生電流を流す回生素子とを有し、前記制御回路は、前記回生電流が所定の第1しきい値以下となったときに前記スイッチング素子をオンし、所定のオン期間が経過した場合、若しくは前記スイッチング素子を流れる電流が所定の第2しきい値以上となった場合に前記スイッチング素子をオフするものであって、前記制御回路は、前記スイッチング素子のオン期間とオフ期間の比率が所定の範囲を外れた場合に前記スイッチング電源回路の出力を抑制することを特徴とする固体発光素子駆動装置。
【請求項2】
前記オン期間は、前記スイッチング素子がオンする期間中で且つ前記インダクタを流れる電流が増加する期間に略等しく、前記オフ期間は、前記スイッチング素子がオフする期間中で且つ前記回生電流が減小する期間に略等しいことを特徴とする請求項1記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記比率が前記所定範囲を外れた場合、前記スイッチング素子のオン期間を減少させるか、あるいは、前記比率を減少させることを特徴とする請求項2記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記オフ期間の経時的な変動から前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記オン期間の経時的な変動から前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記スイッチング電源回路に入力される電圧が所定の範囲から外れている間は、前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断しないことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項7】
PWM(パルス幅変調)信号を生成するタイマを備え、前記タイマで生成される前記PWM信号と前記スイッチング素子の駆動信号とが同期していることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項8】
前記オン期間又は前記オフ期間のうちの少なくとも何れか一方の期間が前記タイマで生成されるPWM信号のハイレベル期間又はローレベル期間に略一致しており、前記制御回路は、前記ハイレベル期間又は前記ローレベル期間の経時的な変動から前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断することを特徴とする請求項7記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項9】
前記制御回路は、イクロコンピュータからなり、前記マイクロコンピュータが、前記タイマを内蔵していることを特徴とする請求項7又は8記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項10】
前記オン期間又は前記オフ期間のうちの少なくとも何れか一方の期間が前記タイマで生成されるPWM信号のハイレベル期間又はローレベル期間に略一致しており、前記制御回路は、前記タイマの出力をカウントすることによって前記ハイレベル期間又は前記ローレベル期間の経時的な変動を監視することを特徴とする請求項9記載の固体発光素子駆動装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかの固体発光素子駆動装置と、前記固体発光素子駆動装置によって駆動される固体発光素子とを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項1〜10の何れかの固体発光素子駆動装置と、前記固体発光素子駆動装置によって駆動される固体発光素子と、前記固体発光素子駆動装置及び前記固体発光素子を保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードや有機エレクトロルミネセンス(EL)素子などの固体発光素子を駆動して発光させる固体発光素子駆動装置、及びその駆動装置を用いる照明装置、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の固体発光素子駆動装置として、例えば、特許文献1に記載されている電源装置がある。この従来例は、出力段に平滑コンデンサを有するスイッチング電源回路(スイッチングレギュレータ)と、平滑コンデンサの両端に負荷であるLEDモジュールを着脱可能に接続するコネクタとを有している。そして、コネクタによりLEDモジュールが取り外されると、平滑コンデンサもスイッチング電源回路から切り離されるため、過大な電圧(無負荷電圧)が平滑コンデンサの両端に印加されることが回避できる。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の従来例において、コネクタによる接続が不完全な状態(いわゆるルーズコンタクトの状態)であると、平滑コンデンサがスイッチング電源回路から完全には切り離されないために過大な電圧が印加されてしまう虞がある。そして、ルーズコンタクトの状態から完全な接続状態に移行した場合、定常時よりも上昇している平滑コンデンサの両端電圧がLEDモジュールの点灯電圧まで一気にクランプされるため、LEDモジュールに過電流が流れてしまう。
【0004】
そこで、このような不具合を解決するため、固体発光素子駆動装置から出力される電圧又は電流を監視することで無負荷やルーズコンタクトなどの接続異常を検出する異常検出回路を備えたものが提案されている。そして、異常検出回路が接続異常を検出した場合、出力電圧及び出力電流を抑制することで固体発光素子の破損などの不具合の発生を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−263716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記後者の従来例では、スイッチング素子のスイッチングを制御する回路(制御回路)とは別に異常検出回路が必要となるため、回路構成が複雑になり、コストも上昇するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、固体発光素子の接続異常による不具合の発生を抑制しつつ回路構成の簡略化及びコストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の固体発光素子駆動装置は、出力端子間に固体発光素子が接続されるスイッチング電源回路と、前記スイッチング電源回路を構成するスイッチング素子をスイッチング制御する制御回路とを備え、前記スイッチング電源回路は、前記スイッチング素子とインダクタの直列回路と、前記スイッチング素子がオフしたときに前記インダクタから回生電流を流す回生素子とを有し、前記制御回路は、前記回生電流が所定の第1しきい値以下となったときに前記スイッチング素子をオンし、所定のオン期間が経過した場合、若しくは前記スイッチング素子を流れる電流が所定の第2しきい値以上となった場合に前記スイッチング素子をオフするものであって、前記制御回路は、前記スイッチング素子のオン期間とオフ期間の比率が所定の範囲を外れた場合に前記スイッチング電源回路の出力を抑制することを特徴とする。
【0009】
この固体発光素子駆動装置において、前記オン期間は、前記スイッチング素子がオンする期間中で且つ前記インダクタを流れる電流が増加する期間に略等しく、前記オフ期間は、前記スイッチング素子がオフする期間中で且つ前記回生電流が減小する期間に略等しいことが好ましい。
【0010】
この固体発光素子駆動装置において、前記制御回路は、前記比率が前記所定範囲を外れた場合、前記スイッチング素子のオン期間を減少させるか、あるいは、前記比率を減少させることが好ましい。
【0011】
この固体発光素子駆動装置において、前記制御回路は、前記オフ期間の経時的な変動から前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断することが好ましい。
【0012】
この固体発光素子駆動装置において、前記制御回路は、前記オン期間の経時的な変動から前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断することが好ましい。
【0013】
この固体発光素子駆動装置において、前記制御回路は、前記スイッチング電源回路に入力される電圧が所定の範囲から外れている間は、前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断しないことが好ましい。
【0014】
この固体発光素子駆動装置において、PWM(パルス幅変調)信号を生成するタイマを備え、前記タイマで生成される前記PWM信号と前記スイッチング素子の駆動信号とが同期していることが好ましい。
【0015】
この固体発光素子駆動装置において、前記オン期間又は前記オフ期間のうちの少なくとも何れか一方の期間が前記タイマで生成されるPWM信号のハイレベル期間又はローレベル期間に略一致しており、前記制御回路は、前記ハイレベル期間又は前記ローレベル期間の経時的な変動から前記比率が前記所定範囲を外れたか否かを判断することが好ましい。
【0016】
この固体発光素子駆動装置において、前記制御回路は、イクロコンピュータからなり、前記マイクロコンピュータが、前記タイマを内蔵していることが好ましい。
【0017】
この固体発光素子駆動装置において、前記オン期間又は前記オフ期間のうちの少なくとも何れか一方の期間が前記タイマで生成されるPWM信号のハイレベル期間又はローレベル期間に略一致しており、前記制御回路は、前記タイマの出力をカウントすることによって前記ハイレベル期間又は前記ローレベル期間の経時的な変動を監視することが好ましい。
【0018】
本発明の照明装置は、前記何れかの固体発光素子駆動装置と、前記固体発光素子駆動装置によって駆動される固体発光素子とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の照明器具は、前記何れかの固体発光素子駆動装置と、前記固体発光素子駆動装置によって駆動される固体発光素子と、前記固体発光素子駆動装置及び前記固体発光素子を保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の固体発光素子駆動装置及び照明装置、照明器具は、固体発光素子の接続異常による不具合の発生を抑制しつつ回路構成の簡略化及びコストダウンを図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る固体発光素子駆動装置(LED駆動装置)及び照明装置の実施形態1の動作を説明するためのタイムチャートである。
図2】同上の回路構成図である。
図3】本発明に係る固体発光素子駆動装置(LED駆動装置)及び照明装置の実施形態2の回路構成図である。
図4】同上の動作説明用のタイムチャートである。
図5】本発明に係る固体発光素子駆動装置(LED駆動装置)及び照明装置の実施形態3の回路構成図である。
図6】同上の動作説明用のタイムチャートである。
図7】同上の動作説明用のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、固体発光素子としてLED(発光ダイオード)を用いた固体発光素子駆動装置及び照明装置、照明器具に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。ただし、固体発光素子はLEDに限定されるものではなく、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子などのLED以外の固体発光素子であってもよい。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の照明装置は、図2に示すように複数個のLEDの直列回路からなる光源6と、商用の交流電源100から供給される交流電力を直流電力に変換して光源6を駆動(点灯)する固体発光素子駆動装置(LED駆動装置)とで構成される。
【0024】
本実施形態のLED駆動装置は、スイッチング電源回路1、制御回路2、フィルタ回路3、直流電源部4、コネクタ5などを備える。フィルタ回路3は、交流電源100から供給される交流電圧・交流電流に重畳する高調波ノイズを除去するためのものである。直流電源部4は、フィルタ回路3でフィルタリングされた後の交流電圧・交流電流を整流する全波整流器(例えば、ダイオードブリッジ)、あるいは、全波整流器と力率改善用の昇圧チョッパ回路で構成される。ただし、力率改善用の昇圧チョッパ回路については従来周知であるから詳細な回路構成及び動作の説明は省略する。
【0025】
直流電源部4の出力端間に平滑コンデンサC1が接続され、平滑コンデンサC1で平滑された直流電圧Vdcがスイッチング電源回路1の入力端間に印加される。スイッチング電源回路1は、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、インダクタL1、平滑コンデンサC2、ドライブ回路10などで構成される降圧チョッパ回路である。電界効果トランジスタからなるスイッチング素子Q1のドレインがダイオードD1のアノードに接続され、スイッチング素子Q1のソースが低電位側の入力端を介して平滑コンデンサC1に接続されている。また、ダイオードD1のアノードとスイッチング素子Q1のドレインとの接続点にインダクタL1の一端が接続され、インダクタL1の他端とダイオードD1のカソードとの間に平滑コンデンサC2が接続されている。そして、平滑コンデンサC2の両端(スイッチング電源回路1の出力端)がコネクタ5に接続されている。なお、インダクタL1には2次巻線L2が設けられており、2次巻線L2の一端が回路グランドに接続され、2次巻線L2の他端が制御回路2の入力ポートに接続されている。
【0026】
ドライブ回路10は、制御回路2から与えられる駆動信号がハイレベルのときにスイッチング素子Q1のゲートにバイアス電圧を印加してオンし、駆動信号がローレベルのときにバイアス電圧を印加しないことでスイッチング素子Q1をオフする。
【0027】
制御回路2は、PWM(パルス幅変調)信号を生成するタイマ(PWMタイマ20)を備えたマイクロコンピュータで構成され、PWMタイマ20の出力信号(PWM信号)を駆動信号としてドライブ回路10に与える。また、制御回路2は、入力ポートを通して入力される2次巻線L2の電圧(誘導電圧)が反転したときにPWMタイマ20をリセットし且つ再スタートさせるPWMタイマ制御部21を備えている。すなわち、制御回路2は、スイッチング素子Q1のオン期間にインダクタL1に蓄えられるエネルギーがスイッチング素子Q1のオフ期間に全て放出された時点でスイッチング素子Q1を再びオンする制御、いわゆる臨界電流制御を行っている。さらに、制御回路2は、PWMタイマ20の出力信号を取り込み、当該出力信号がハイレベルとなる期間又はローレベルとなる期間を計測する計測部22を備えている。
【0028】
次に、制御回路2によるスイッチング電源回路1の制御動作について説明する。スイッチング電源回路1では、図1に示すようにスイッチング素子Q1のオン期間tonにインダクタL1に流れる電流が直線的に増加し、スイッチング素子Q1のオフ期間toffにインダクタL1に流れる電流が直線的に減少する。ここで、インダクタL1に流れる電流(インダクタ電流)のピーク値ILpは、スイッチング素子Q1のスイッチング周期(=ton+toff)におけるスイッチング電源回路1の出力電流の平均値をIoとしたとき、臨界電流制御の実行時においては、下記の式(1)で表される。
【0029】
ILp=2Io…(1)
また、インダクタL1のインダクタンスをLとし、スイッチング電源回路1の出力電圧をVoとすると、インダクタ電流のピーク値ILpは、下記の式(2)でも表すことができる。
【0030】
ILp=ton×(Vdc-Vo)/L…(2)
故に、式(2)に式(1)を代入して整理すれば、下記の式(3)が導かれる。
【0031】
Io=ton×(Vdc-Vo)/2L…(3)
ここで、スイッチング電源回路1の出力電圧Voは、通常、光源6の定格電圧(=LEDの順方向電圧×直列接続されるLEDの個数)に等しく、且つ光源6が定電流駆動されている場合はほぼ一定の値となる。故に、直流電源部4の出力電圧Vdcが十分に安定していれば、PWMタイマ20の出力信号(PWM信号)のハイレベル期間を式(3)から算出されるオン期間tonに一致させることで、スイッチング電源回路1の出力電圧Vo,出力電流Ioを所望の値にすることができる。
【0032】
一方、インダクタ電流のピーク値ILpとスイッチング素子Q1のオフ期間toffとの間には、下記の式(4)が成立する。
【0033】
ILp=toff×Vo/L…(4)
式(4)を式(2)に代入して整理すると、下記の式(5)が得られる。
【0034】
ton/toff=Vo/(Vdc-Vo)…(5)
すなわち、LED駆動装置が正常に動作して光源6に定格電圧・定格電流を供給していれば、直流電源部4の出力電圧Vdcとスイッチング電源回路1の出力電圧Voが一定値に維持されるため、オン期間tonとオフ期間toffの比率(ton/toff)が所定の範囲内に収まってほぼ一定となる。
【0035】
ここで、光源6がコネクタ5から外れた状態(無負荷状態)や光源6とコネクタ5とが不完全な接続状態(ルーズコンタクト状態)となった場合、スイッチング電源回路1の出力電圧Voが上昇する。そのため、式(5)の右辺において分母が減少するとともに分子が増加するから、オン期間tonとオフ期間toffの比率(ton/toff)も高くなって、所定範囲を外れてしまう。なお、PWMタイマ20の出力信号のハイレベル期間が一定であるから、オン期間tonが変化せずにオフ期間toffが減少することになる(図1参照)。
【0036】
そこで、制御回路2は、PWMタイマ20の出力信号がローレベルとなる期間を計測部22で計測し、光源6がコネクタ5に正常に接続されているときのローレベル期間(オフ期間toff)と比較する。そして、計測部22で計測されるローレベル期間が正常時のローレベル期間よりも減少したら、制御回路2では、オン期間tonとオフ期間toffの比率(ton/toff)が所定範囲を外れた、すなわち、コネクタ5と光源6の間に接続異常が有ると判断する。ただし、計測部22が、ローレベル期間を計測する代わりに、ハイレベル期間の立ち上がりから次のハイレベル期間の立ち上がりまでの時間(オン期間tonとオフ期間toffを合わせた全期間)を計測し、前記時間が正常時の値(しきい値)よりも短くなったら接続異常有りと判断してもよい。そして、接続異常有りと判断した制御回路2は、スイッチング素子Q1のオン期間tonの比率を減少させるようにPWMタイマ20を制御することにより、スイッチング電源回路1の出力電圧Voの上昇が抑制できる。
【0037】
上述のように本実施形態では、スイッチング素子Q1のオン期間tonとオフ期間toffの比率が所定範囲を外れた場合、制御回路2がスイッチング電源回路1の出力を抑制している。そのため、従来例とは異なり、制御回路2の他に、コネクタ5と光源6の接続状態の異常を検出する回路が不要となるので、固体発光素子の接続異常による不具合の発生を抑制しつつ回路構成の簡略化及びコストダウンを図ることができる。
【0038】
また、制御回路2において、マイクロコンピュータに搭載されたレジスタに各サイクル毎のオフ期間toff若しくは全期間の計測値を保存し、それらの計測値の経時的な変動から接続異常の有無を判断してもよい。
【0039】
(実施形態2)
本実施形態のLED駆動装置及び照明装置の回路構成図を図3に示す。ただし、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通するので、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態は、フリップフロップ23及びリセット信号発生部24が制御回路2に追加され、平滑コンデンサC1の低電位側の端子とスイッチング素子Q1のソースとの間に検出抵抗R1が挿入されている点が実施形態1と相違する。
【0041】
フリップフロップ23は、PWMタイマ20の出力信号がセット端子に入力されると出力をハイレベルに立ち上げ、リセット信号発生部24からリセット端子にリセット信号が入力されると出力をローレベルに立ち下げる。そして、フリップフロップ23の出力が駆動信号としてドライブ回路10に与えられてスイッチング素子Q1がスイッチングされる。
【0042】
リセット信号発生部24は、スイッチング素子Q1を介して流れるインダクタ電流を検出抵抗R1によって検出し、インダクタ電流が予め決められたピーク値ILpに達したら、ワンショットパルスからなるリセット信号を発生する。
【0043】
而して、フリップフロップ23から出力される駆動信号がハイレベルに立ち上がるとドライブ回路10がスイッチング素子Q1をオンしてインダクタ電流が流れ始める。そして、インダクタ電流がピーク値ILpに達すると、リセット信号発生部24からリセット信号が出力されてフリップフロップ23の出力(駆動信号)がローレベルに立ち下がり、ドライブ回路10がスイッチング素子Q1をオフする。そして、インダクタL1に蓄積されたエネルギーが全て放出されてインダクタ電流がゼロになると、PWMタイマ制御部21がPWMタイマ20をリセットし且つ再スタートさせる。その結果、フリップフロップ23の出力(駆動信号)がハイレベルに立ち上がり、ドライブ回路10がスイッチング素子Q1をオンして再びインダクタ電流が流れ始める(図4参照)。また、本実施形態においても、LED駆動装置が正常に動作して光源6に定格電圧・定格電流を供給していれば、直流電源部4の出力電圧Vdcとスイッチング電源回路1の出力電圧Voが一定値に維持されるため、オン期間tonとオフ期間toffの比率(ton/toff)も所定範囲内に収まってほぼ一定となる。
【0044】
ここで、式(2)を変形すると、下記の式(6)が得られる。
【0045】
ton=L×ILp/(Vdc-Vo)…(6)
上記式(6)から明らかなように、直流電源部4の出力電圧Vdcが十分に安定している限り、無負荷状態やルーズコンタクト状態になってスイッチング電源回路1の出力電圧Voが上昇すると、インダクタ電流がピーク値ILpに達するまでの時間(オン期間ton)が正常時よりも長くなる(図4参照)。
【0046】
一方、式(4)を変形すると、下記の式(7)が得られる。
【0047】
toff=L×ILp/Vo…(7)
上記式(6)から明らかなように、直流電源部4の出力電圧Vdcが十分に安定している限り、無負荷状態やルーズコンタクト状態で出力電圧Voが上昇すると、オフ期間toffが正常時よりも短くなる(図4参照)。
【0048】
したがって、フリップフロップ23からドライブ回路10に与えられる駆動信号のハイレベル期間又はローレベル期間を計測し、その計測値が正常時のしきい値を超えるか、若しくは計測値の経時的な変動が所定値を超えたときに接続異常有りと判断できる。
【0049】
(実施形態3)
本実施形態のLED駆動装置及び照明装置の回路構成図を図5に示す。ただし、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通するので、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
実施形態1においては、直流電源部4からスイッチング電源回路1に印加(入力)される直流電圧Vdcが安定していることを前提条件としている。しかしながら、商用の交流電源100から供給される交流電圧を直流電圧Vdcに変換する場合、直流電圧Vdcは、交流電源100の電源周波数の2倍の周波数のリプル電圧が重畳されることが多く、僅かながらも変動する虞がある。また、交流電圧が非常に短い期間内で変動した場合、直流電源部4の応答性によっては、直流電圧Vdcも非常に短い期間内で変動する虞がある。そして、直流電圧Vdcが変動した場合、式(5)からも明らかなように、スイッチング素子Q1のオン期間tonとオフ期間toffの比率も変動してしまうため、制御回路2が接続異常有りと誤判断してしまう可能性が高い。
【0051】
そこで本実施形態では、入力電圧変動検出部25を制御回路2に備えている。この入力電圧変動検出部25は、スイッチング電源回路1の入力電圧Vdcを取り込み、入力電圧Vdcの変動がしきい値を超えたことを検出すると、計測部22に対して検出信号を出力する。そして、制御回路2では、入力電圧変動検出部25から検出信号が出力されている間、計測部22の計測結果に基づく接続異常の有無が判断されない。
【0052】
したがって、本実施形態では、スイッチング電源回路1の入力電圧Vdcの変動に起因して、制御回路2で接続異常有りと誤判断されることが防止できる。
【0053】
なお、コネクタ5と光源6の接続異常だけでなく、例えば、光源6が故障してスイッチング電源回路1の出力電圧Voが低下した場合においても、オン期間tonとオフ期間toffの比率に基づいて異常の有無を判断し、スイッチング電源回路1の出力を抑制することができる(図6及び図7参照)。
【0054】
また、上述した実施形態1〜3では、スイッチング電源回路1として臨界電流制御される降圧チョッパ回路を例示したが、スイッチング電源回路1の回路構成は臨界電流制御される降圧チョッパ回路に限定されるものではない。さらに、交流電源100と直流電源部4の代わりに、蓄電池などの直流電源からスイッチング電源回路1に直流電力が供給されてもよい。
【0055】
ここで、図示は省略するが、実施形態1〜3の何れかのLED駆動装置と光源6を器具本体に保持することで照明器具を実現することができる。このような照明器具としては、例えば、ダウンライトやシーリングライト、あるいは車両の前照灯などが実現可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 スイッチング電源回路
2 制御回路
6 光源(固体発光素子)
Q1 スイッチング素子
L1 インダクタ
D1 ダイオード(回生素子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7