特許第6041230号(P6041230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041230
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】テスト画像出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20161128BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H04N1/40 101E
   G06T5/00 740
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-226227(P2015-226227)
(22)【出願日】2015年11月19日
(62)【分割の表示】特願2012-68821(P2012-68821)の分割
【原出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-27767(P2016-27767A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】パウフィ スリスティオ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和幸
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−209436(JP,A)
【文献】 特開2010−118928(JP,A)
【文献】 特開2008−066923(JP,A)
【文献】 特開2008−072343(JP,A)
【文献】 特開2007−124352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/407
H04N 1/46
G06T 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副走査方向に移動する記録媒体上の第1の領域に配置され、前記第1の領域内で1つの色材で形成されると共に網点濃度の異なる複数のパッチが二次元配置されることにより構成される第1のパッチ群と、
前記記録媒体上で前記第1の領域とは前記副走査方向と交差する主走査方向において異なる第2の領域に配置され、前記第2の領域内で前記第1のパッチ群と同じ前記1つの色材で形成されると共に網点濃度の異なる複数のパッチが二次元配置されることにより構成される第2のパッチ群と、
を含むテスト画像を出力するテスト画像出力装置であって、
前記第1のパッチ群における各網点濃度を有する各パッチの濃淡の並び順は、前記第2のパッチ群における前記濃淡の並び順と異なるものであることを特徴とするテスト画像出力装置。
【請求項2】
前記テスト画像は、画像形成に用いられる複数の色材それぞれについて、前記第1のパッチ群および前記第2のパッチ群が配置されていることを特徴とする請求項1記載のテスト画像出力装置。
【請求項3】
前記テスト画像は、同じ色材のパッチ群同士が主走査方向又は副走査方向において隣り合わないように配置されていることを特徴とする請求項2記載のテスト画像出力装置。
【請求項4】
前記テスト画像は、前記第1のパッチ群および前記第2のパッチ群における各網点濃度を有する各パッチの濃淡の並び順が、主走査方向および副走査方向においてそれぞれ異なることを特徴とする請求項1記載のテスト画像出力装置。
【請求項5】
前記第1の領域と前記第2の領域との形および大きさは、同じであることを特徴とする請求項1に記載のテスト画像出力装置。
【請求項6】
前記テスト画像で、前記第1のパッチ群と前記第2のパッチ群が配置されていない第3の領域に、前記第1のパッチ群と前記第2のパッチ群を形成している色材以外の色材で形成される、網点濃度の異なる複数のパッチが二次元配置される第3のパッチ群が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のテスト画像出力装置。
【請求項7】
前記第1、第2および第3のパッチ群に含まれるすべての前記複数のパッチが、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、黒のうちのいずれかの色材で形成されることを特徴とする請求項6に記載のテスト画像出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、部分的なトナーロー状態の発生状況に応じてキャリブレーションの実行を適切に制御する画像処理装置を開示する。
特許文献2は、少ない枚数の記録材を用いて、かつ、パッチ画像を読み取って得られる濃度の、主走査方向に関連する位置に応じた歪みの影響を低減する画像形成装置を開示する。
特許文献3は、転写における濃度ムラを適切に補正しつつ、階調補正テーブルの作成に要する処理量を抑え、ACCを高精度化させる画像処理装置を開示する。
特許文献4は、コントローラ部においても独自の画像処理を行うことができる画像処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−249861号公報
【特許文献2】特開2011−059206号公報
【特許文献3】特開2010−171689号公報
【特許文献4】特開平08−009158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、本構成を有しない場合と比較して、面内むらの影響を軽減して濃度補正をするためのテスト画像を、簡易な方法で生成できるテスト画像出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、副走査方向に移動する記録媒体上の第1の領域に配置され、前記第1の領域内で1つの色材で形成されると共に網点濃度の異なる複数のパッチが二次元配置されることにより構成される第1のパッチ群と、
前記記録媒体上で前記第1の領域とは前記副走査方向と交差する主走査方向において異なる第2の領域に配置され、前記第2の領域内で前記第1のパッチ群と同じ前記1つの色材で形成されると共に網点濃度の異なる複数のパッチが二次元配置されることにより構成される第2のパッチ群と、
を含むテスト画像を出力するテスト画像出力装置であって、
前記第1のパッチ群における各網点濃度を有する各パッチの濃淡の並び順は、前記第2のパッチ群における前記濃淡の並び順と異なるものであることを特徴とするテスト画像出力装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記テスト画像が、画像形成に用いられる複数の色材それぞれについて、前記第1のパッチ群および前記第2のパッチ群が配置されていることを特徴とする請求項1記載のテスト画像出力装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記テスト画像が、同じ色材のパッチ群同士が主走査方向又は副走査方向において隣り合わないように配置されていることを特徴とする請求項2記載のテスト画像出力装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記テスト画像が、前記第1のパッチ群および前記第2のパッチ群における各網点濃度を有する各パッチの濃淡の並び順が、主走査方向および副走査方向においてそれぞれ異なることを特徴とする請求項1記載のテスト画像出力装置である。
請求項5に係る本発明は、前記第1の領域と前記第2の領域との形および大きさが、同じであることを特徴とする請求項1に記載のテスト画像出力装置である。
請求項6に係る本発明は、前記テスト画像で、前記第1のパッチ群と前記第2のパッチ群が配置されていない第3の領域に、前記第1のパッチ群と前記第2のパッチ群を形成している色材以外の色材で形成される、網点濃度の異なる複数のパッチが二次元配置される第3のパッチ群が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のテスト画像出力装置である。
請求項7に係る本発明は、前記第1、第2および第3のパッチ群に含まれるすべての前記複数のパッチが、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、黒のうちのいずれかの色材で形成されることを特徴とする請求項6に記載のテスト画像出力装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る本発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、面内むらの影響を軽減して濃度補正をするためのテスト画像を、簡易な方法で生成できるテスト画像出力装置を提供できる。
【0010】
請求項2に係る本発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、複数の色材それぞれにおける面内むらの影響を軽減して濃度補正をするためのテスト画像を、簡易な方法で生成できるテスト画像出力装置を提供できる。
【0011】
請求項3に係る本発明によれば、請求項2に係る本発明により得られる効果に加えて、面むらを精度よく測定可能なテスト画像を生成できるテスト画像出力装置を提供できる。
【0012】
請求項4〜7に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明により得られる効果に加えて、面むらを精度よく測定可能なテスト画像を生成できるテスト画像出力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像形成装置の構成を例示する図である。
図2】画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】画像処理装置により実行される画像処理プログラムを示すブロック・ダイアグラムである。
図4】一次チャートを例示する図である。
図5】一次チャート濃度状態画面を例示する図である。
図6】面内むら警告画面を例示する図である。
図7】目標濃度値と測定濃度代表値との差分を示すグラフを例示する図である。
図8】二次チャートを例示する図である。
図9】二次チャート濃度状態画面を例示する図である。
図10】補正LUTの算出を説明する図である。
図11】画像処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、タンデム型の画像形成装置10の構成を例示する図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像処理装置2、通信装置13、画像形成ユニット14、中間転写ベルト16、用紙トレイ17、用紙搬送路18、及び定着器19を有する。
なお、本例の画像形成装置10は、ネットワークを介して接続されたコンピュータ端末から受信した画像データを印刷するプリンタ機能のみを有するが、これに限定されるものではなく、スキャナとしての機能、複写機としての機能、及び、ファクシミリとしての機能をさらに有してもよい。
【0015】
まず、画像形成装置10の概略を説明すると、画像形成装置10の上部には、画像処理装置2、画像読取ユニット12及び通信装置13が配設されている。
画像処理装置2は、演算装置、メモリ、及びASICなどが設けられたコントローラであり、画像形成装置10の他の構成を制御する。通信装置13は、ネットワークを介して、コンピュータ端末と通信を行う。
【0016】
画像読取ユニット12は、原稿を載せるプラテンガラス124と、この原稿をプラテンガラス124上に押圧するプラテンカバー122と、プラテンガラス124上に載置された原稿の画像を読み取る画像読取装置130とを有する。この画像読取装置130は、プラテンガラス124上に載置された原稿を光源132によって照明し、原稿からの反射光像を、フルレートミラー134、第1のハーフレートミラー135、第2のハーフレートミラー136及び結像レンズ137からなる縮小光学系を介して、CCD等からなる画像読取素子138上に走査露光して、この画像読取素子138によって原稿の色材反射光像を予め定められたドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0017】
画像処理装置2は、画像読取ユニット12により読み取られた画像データ又はコンピュータ端末から受信した画像データに対して、シェーディング補正、原稿の位置ズレ補正、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す。
なお、本例において、画像読取ユニット12により読み取られた原稿の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の原稿反射率データであり、画像処理装置2による画像処理によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の原稿色材階調データに変換される。
【0018】
画像処理装置2の下方には、カラー画像を構成する色に対応して、複数の画像形成ユニット14が配設されている。本例では、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して第1の画像形成ユニット14K、第2の画像形成ユニット14Y、第3の画像形成ユニット14M及び第4の画像形成ユニット14Cが、中間転写ベルト16に沿って一定の間隔を空けて水平に配列されている。
中間転写ベルト16は、中間転写体として図中矢印Aの方向に回動し、これら4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cは、画像処理装置2から入力された画像データに基づいて各色のトナー像を順次形成し、これら複数のトナー像が互いに重ね合わせられるタイミングで中間転写ベルト16に転写(一次転写)する。
なお、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cの色の順序は、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順序など、その順序は任意である。
【0019】
用紙搬送路18は、中間転写ベルト16の下方に配設されている。用紙トレイ17から供給された記録用紙(記録媒体)は、この用紙搬送路18上を搬送され、上記中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像が一括して転写(二次転写)され、転写されたトナー像が定着器19によって定着され、矢印Bに沿って外部に排出される。
なお、記録用紙の排出部に画像読取ユニット12を設けることにより、使用者が排出された記録用紙を画像読取ユニット12にセットすることなく、画像読取ユニット12が、排出された記録用紙に形成された画像を読み取るようにしてもよい。
【0020】
次に、画像形成装置10の各構成についてより詳細に説明する。
図1に示すように、画像処理装置2は、通信装置13を介して、コンピュータ端末から画像データを受信すると、受信した画像データに対して、色変換処理、濃度補正処理及びハーフトーン処理などを施して、画像形成ユニット14に出力する。
また、画像処理装置2は、必要に応じて、キャリブレーションに用いるテスト画像(一次チャート、二次チャート)のデータを生成し、生成されたテスト画像データ(一次チャートデータ、二次チャートデータ)を画像形成ユニット14に出力する。
【0021】
第1の画像形成ユニット14K、第2の画像形成ユニット14Y、第3の画像形成ユニット14M及び第4の画像形成ユニット14Cは、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置され、形成する画像の色が異なる他は、ほぼ同様に構成されている。そこで、以下、第1の画像形成ユニット14Kについて説明する。なお、各画像形成ユニット14の構成は、K、Y、M又はCを付すことにより区別する。
画像形成ユニット14Kは、画像処理装置2から入力された画像データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Kと、この光走査装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Kとを有する。
【0022】
光走査装置140Kは、半導体レーザ142Kを黒色(K)の画像データに応じて変調して、この半導体レーザ142Kからレーザ光LB(K)を画像データに応じて出射する。この半導体レーザ142Kから出射されたレーザ光LB(K)は、第1の反射ミラー143K及び第2の反射ミラー144Kを介して回転多面鏡146Kに照射され、この回転多面鏡146Kによって偏向走査され、第2の反射ミラー144K、第3の反射ミラー148K及び第4の反射ミラー149Kを介して、像形成装置150Kの感光体ドラム152K上に照射される。
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って予め定められた回転速度で回転する像担持体としての感光体ドラム152Kと、この感光体ドラム152Kの表面を一様に帯電する帯電手段としての一次帯電用のスコロトロン154Kと、感光体ドラム152K上に形成された静電潜像を現像する現像器156Kと、クリーニング装置158Kとから構成されている。感光体ドラム152Kは、スコロトロン154Kにより一様に帯電され、光走査装置140Kにより照射されたレーザ光LB(K)により静電潜像を形成される。感光体ドラム152Kに形成された静電潜像は、現像器156Kにより黒色(K)のトナーで現像され、中間転写ベルト16に転写される。なお、トナー像の転写工程の後に感光体ドラム152Kに付着している残留トナー及び紙粉等は、クリーニング装置158Kによって除去される。
他の画像形成ユニット14Y、14M及び14Cも、上記と同様に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成し、形成された各色のトナー像を中間転写ベルト16に転写する。
【0023】
中間転写ベルト16は、ドライブロール164と、第1のアイドルロール165と、ステアリングロール166と、第2のアイドルロール167と、バックアップロール168と、第3のアイドルロール169との間に一定のテンションで掛け回されており、駆動モータ(不図示)によってドライブロール164が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト16は、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより無端ベルト状に形成されたものである。
また、中間転写ベルト16には、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cに対向する位置にそれぞれ第1の一次転写ロール162K、第2の一次転写ロール162Y、第3の一次転写ロール162M及び第4の一次転写ロール162Cが配設され、感光体ドラム152K、152Y、152M、152C上に形成された各色のトナー像は、これらの一次転写ロール162により中間転写ベルト16上に多重に転写される。なお、中間転写ベルト16に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられたベルト用クリーニング装置189のクリーニングブレード又はブラシにより除去される。
【0024】
用紙搬送路18には、用紙トレイ17から記録用紙を取り出す給紙ローラ181と、用紙搬送用の第1のローラ対182及び第2のローラ対183と、記録用紙を既定のタイミングで二次転写位置に搬送するレジストロール184とが配設される。
また、用紙搬送路18上の二次転写位置には、バックアップロール168に圧接する二次転写ロール185が配設されており、中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像は、この二次転写ロール185による圧接力及び静電気力で記録用紙上に二次転写される。各色のトナー像が転写された記録用紙は、第1の搬送ベルト186及び第2の搬送ベルト187によって定着器19へと搬送される。
定着器19は、上記各色のトナー像が転写された記録用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナーを記録用紙に溶融固着させる。
【0025】
図2は、画像処理装置2のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、画像処理装置2は、CPU等の演算部262及びメモリ等の記憶部264などを含む制御装置260と、通信装置270と、記録装置272と、ユーザインターフェース装置(UI装置)280とから構成される。
つまり、画像処理装置2は、情報処理および他の処理装置又は端末との通信が可能なコンピュータとしてのハードウェア構成部分を有している。
また、以下の各図において、実質的に同じ構成部分および処理には同じ番号が付される。
UI装置280は、LCD(Liquid Crystal Display)表示装置あるいはCRT(Cathode Ray Tube)表示装置等の表示装置およびキーボード・タッチパネルなどを含む。
【0026】
次に、画像処理装置2にインストールされるプログラムを説明する。
図3は、画像処理装置2にインストールされ画像処理装置2により実行される画像処理プログラム30を示すブロック・ダイアグラムである。
画像処理プログラム30は、たとえば、記憶媒体等を介して画像処理装置2に供給され、記憶部264に記憶され、画像処理装置2にインストールされたOS(図示せず)上で、画像処理装置2のハードウェア資源を具体的に利用して実行される。
また、本例では、プログラムの全機能構成がソフトウェアとして画像処理装置2にインストールされているが、これに限定されるものではなく、例えば、プログラムの一部がASICなどのハードウェアで実現されてもよい。
なお、画像処理装置2にインストールされるプログラムは、CD−ROMなどの記憶媒体に記録され、この記憶媒体を介して画像処理装置2にインストールされてもよいし、データ信号の形式で配信され、画像処理装置2にインストールされてもよい。
【0027】
図3に示すように、画像処理プログラム30は、条件受付部310、一次チャート処理部32、二次チャート処理部36、画像データ受付部400、色変換部402、補正処理部404及び印刷制御部410から構成される。
一次チャート処理部32は、図4を用いて後述する一次チャートに関する処理を行い、一次チャートデータ生成部322、一次チャート情報記憶部324、一次チャート印刷制御部326、一次チャート読取情報受付部328、一次チャート色変換部330、一次状態表示部332、一次むら判定部334、一次むら補正部336、一次測定濃度代表値決定部340、及び補正要否判定部342から構成される。
二次チャート処理部36は、図8を用いて後述する二次チャートに関する処理を行い、二次チャートデータ生成部362、二次チャート情報記憶部364、二次チャート印刷制御部366、二次チャート読取情報受付部368、二次チャート色変換部370、二次状態表示部372、二次むら判定部374、二次むら補正部376、二次測定濃度代表値決定部380、及び補正LUT(Look up Table)算出部382から構成される。
なお、一次チャート及び二次チャートは、画像データを記録媒体に形成する際に、濃度を補正するために使用されるテスト画像(キャリブレーションチャート)である。
また、本実施形態においては、一次チャート(一次テスト画像)が測定された後、補正LUT(補正テーブル)が算出されないで、二次チャート(二次テスト画像)が印刷され、この二次チャートを使用して、補正LUTが算出される。
【0028】
条件受付部310は、使用者がUI装置280を操作することによって入力された条件を示す情報(条件情報)を受け付ける。
条件情報は、使用者が所望する、記録媒体に形成される画像の色に対する補正(キャリブレーション)に関する条件を示し、指定色と、指定領域と、指定カバレッジとを含む。
ここで、カバレッジとは、網点面積率又は網点濃度のことであって、ハーフトーン処理の際に、印刷対象の画像データにおいて濃度が濃い箇所についてはカバレッジを高くし、濃度が薄い箇所についてはカバレッジを低くして、記録媒体に画像が形成される。
【0029】
一次チャート情報記憶部324は、記録媒体に一次チャートを形成するためのデータ(一次チャートデータ)を記憶する。
一次チャートデータは、位置情報と、その位置情報が示す位置における色情報(CMYK)と、カバレッジとを含む。
ここで、カバレッジは、後述するように、c1〜c8(c1<c2<・・・<c8)のどれかの値をとる。
一次チャートデータ生成部322は、一次チャート情報記憶部324から一次チャートデータを読み出して、一次チャート印刷制御部326に対して出力する。
【0030】
図4は、一次チャートを例示する図である。
図4(A)は、一次チャートの全体構成を例示する図である。
一次チャートは、記録媒体において例えば4×4に分割され、各分割領域に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)で形成されたパッチ集合(パッチ群)C(1)〜(4)、M(1)〜(4)、Y(1)〜(4)、及び、K(1)〜(4)が配置されている。
なお、本実施例においては、一次チャートは4×4に分割されるとしたが、任意のN×M(N,Mは1以上の整数。但し、N及びMが常に同じ数であるとは限らない)に分割されるようにしてもよい(後述する二次チャートについても同様)。
各色のパッチ集合は、横方向(主走査方向)の位置1〜4のそれぞれに1つずつ配置されている。さらに、各色のパッチ集合は、縦方向の位置が横位置1〜4においてそれぞれ異なるように配置されている。
例えば、パッチ集合C(1)は(横位置1,縦位置1)に配置され、パッチ集合C(2)は(横位置2,縦位置2)に配置され、パッチ集合C(3)は(横位置3,縦位置3)に配置され、パッチ集合C(4)は(横位置4,縦位置4)に配置されている。
このように、各色のパッチ集合が各横位置及び各縦位置それぞれに散らばって配置されることによって、面内むらの影響が特定の色のパッチ集合のみに及ぼされることが、軽減される。
【0031】
さらに、図4(B)に例示するように、各パッチ集合内は、例えば8個のパッチに分割されている。
各パッチは、それぞれ異なるカバレッジ(網点濃度、網点面積率)c1〜c8(c1<c2<・・・<c8)で形成されている。
例えば、c1=0%(白)、c2=20%、c3=40%、c4=50%、c5=60%、c6=70%、c7=80%、c8=100%(ベタ、最大濃度)である。
また、図4(B)に示すように、各パッチのカバレッジの配置は、横位置ごと(パッチ集合ごと)に異なっている。
例えば、図4(B)に例示するように、パッチ集合C(1)においては、左上のパッチe1のカバレッジはc1であるが、パッチ集合C(2)においては、左上のパッチe1のカバレッジはc5である。
このように、各パッチ集合内において各カバレッジのパッチの配置が異なるように配置されることによって、面内むらの影響が特定のカバレッジのパッチのみに及ぼされることが、軽減される。
【0032】
条件受付部310が使用者からカバレッジの指定を受け付けなかった場合には、各パッチのカバレッジc1〜c8それぞれの値は、予め定められた値(例えば上述した例の値)としてもよい。
一方、条件受付部310が使用者からカバレッジの指定を受け付けた場合には、その指定されたカバレッジの値を、必ず、c1〜c8のどれかに設定するようにしてもよい。
なお、パッチのカバレッジは、CMYKの全色において同じであってもよいし、CMYKの色ごとに異なるようにしてもよい。
【0033】
例えば、シアン(C)のパッチ集合においてc4=50%である場合、黒(K)のパッチ集合においては、c4=50%であってもよいし、c4=40%であってもよい。
この場合、条件受付部310において、パッチのカバレッジをCMYKの全色において同じとするか、CMYKの色ごとに異なるようにするかを指定するようにしてもよい。
また、パッチのカバレッジをCMYKの全色において同じとする場合は、c1〜c8は規定値であってもよく、CMYKの色ごとに異なるようにする場合は、使用者がc1〜c8の値をそれぞれ何%にするかを指定してもよい。
但し、後述する最大濃度補正のため、全色において、c8=100%としてもよい。
このように、一次チャートは、各領域別に設けられているわけではなく、各横位置1〜4それぞれに、CMYK各色及び各カバレッジc1〜c8で形成されたパッチが配置されるので、1枚の一次チャート内において、面内むらの影響が軽減されている。
【0034】
一次チャート印刷制御部326(図3)は、一次チャートデータ生成部322からの一次チャートデータを記録媒体に印刷するように、画像形成ユニット14を制御する。
一次チャート読取情報受付部328は、記録媒体に形成された一次チャートを画像読取ユニット12が読み取ることによって得られた一次チャート読取情報を受け付け、一次チャート色変換部330に対して出力する。
一次チャート読取情報は、画素毎に、赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの画素値(輝度、明度、濃度等)が示されている。
【0035】
一次チャート色変換部330は、赤(R)、緑(G)、青(B)で示された画素値を、変換テーブル(色変換プロファイル)を用いて、CMYKそれぞれの濃度値(階調値)に変換し、一次チャート測定データを生成する。
一次チャート測定データは、位置情報と、その位置情報が示す位置の色情報(CMYK)と、濃度値(測定濃度値)とを含む。
言い換えれば、一次チャート色変換部330は、一次チャート読取情報から、一次チャートに形成された各パッチに対応する測定濃度値を算出する。
さらに、一次チャート色変換部330は、一次チャート測定データを一次状態表示部332に対して出力する。
【0036】
一次状態表示部332は、一次チャート情報記憶部324に記憶された一次チャートデータと、一次チャート色変換部330からの一次チャート測定データとから、一次チャート濃度状態画面をUI装置280に表示させる。
図5は、一次チャート濃度状態画面を例示する図である。一次チャート濃度状態画面は、CMYKの色ごとに別画面として表示される。
図5に例示するように、一次チャート濃度状態画面において、CMYKの色ごとに、横位置1〜4と、各横位置に配置された一次チャートの各パッチ集合内の、パッチのカバレッジc1〜c8にそれぞれ対応する測定濃度値との関係が示されている。
測定濃度値(及び後述する目標濃度値)は、例えば0〜1023の値をとり、濃度値が1023のときに最大濃度(ベタ濃度)となる。
【0037】
一次状態表示部332(図3)は、一次チャートデータの位置情報及び色情報と、一次チャート測定データの位置情報及び色情報とをそれぞれ照合して、CMYKの色ごとに、一次チャートデータに示された各カバレッジc1〜c8に対応する濃度値(測定濃度値)を判断する。
さらに、一次状態表示部332は、カバレッジc1〜c8ごとに、横位置1〜4と対応する濃度値(測定濃度値)との関係をプロットする。
例えば、図5における「c1に対応する測定濃度値」のA点は、横位置1のパッチ集合においてカバレッジがc1であるパッチを読み取った測定濃度値を示す。
【0038】
一次むら判定部334は、一次チャート濃度状態画面に表示された測定濃度値から、各カバレッジc1〜c8それぞれにおいて、許容範囲以上の面内むらが発生しているか否かを判定する。
具体的には、一次むら判定部334は、各カバレッジc1〜c8それぞれにおける、測定濃度値の最大値と最小値との差を算出し、その差が予め定められた閾値α以上である場合に、そのカバレッジにおいて許容範囲以上の面内むらが発生していると判定する。
これに替えて、一次むら判定部334は、各カバレッジc1〜c8それぞれにおける、測定濃度値の標準偏差を算出し、その標準偏差が予め定められた閾値以上である場合に、そのカバレッジにおいて許容範囲以上の面内むらが発生していると判定してもよい(後述する二次むら判定部374においても同様)。
さらに、一次むら判定部334は、一次チャート濃度状態画面において、許容範囲以上の面内むらが発生していると判定したカバレッジについては「NG」を表示させ、許容範囲以上の面内むらが発生していないと判定したカバレッジについては「OK」を表示させる。
なお、測定濃度値の最大値と最小値との差が閾値αより小さい場合であっても、そのカバレッジにおいて面内むらが全くないわけではない。閾値α以上である場合は、一次チャートについての処理及び後述する二次チャートについての処理において、面内むらの影響を受けてしまうため、以降のむら補正処理を行う(二次チャート処理部36においても同様)。
【0039】
また、一次むら判定部334は、1つ以上のカバレッジにおいて面内むらが発生していると判定した場合、図6に例示する面内むら警告画面を、UI装置280に表示させる。
図6は、面内むら警告画面を例示する図である。
面内むら警告画面には、面内むらが発生したカバレッジが表示されている。
さらに、面内むら警告画面には、さらに処理を続けるか否かを使用者に判断させる「YES」ボタン及び「NO」ボタンが表示されており、使用者が「YES」ボタンを押下した場合は、一次むら補正部336による処理がなされ、使用者が「NO」ボタンを押下した場合は、処理が終了する。
【0040】
一次むら補正部336(図3)は、面内むら警告画面において、使用者が「YES」ボタンを押下した場合に、むら補正処理を行う。
具体的には、一次むら補正部336は、例えば、光走査装置140から走査されるレーザ光による感光体ドラム152の露光量を調整することによって、むら補正処理を行う。
さらに、一次むら補正部336は、必要に応じて、最大濃度補正処理を行ってもよい。
なお、むら補正を行った場合は、再度、一次チャート処理部32は、一次チャートを生成して、生成された一次チャートを読み取って、一次チャート測定データを生成してもよい。
この場合、一次測定濃度代表値決定部340は、再度生成された一次チャート測定データについて処理を行う。
【0041】
一次測定濃度代表値決定部340は、カバレッジc1〜c8それぞれに対応する測定濃度値から、カバレッジc1〜c8ごとに、代表値を決定し、決定した代表値を補正要否判定部342に対して出力する。
具体的には、条件受付部310において、使用者から、指定領域を受け付けていない場合、一次測定濃度代表値決定部340は、各カバレッジc1〜c8それぞれについて、測定濃度の平均値を、代表値と決定する。
例えば、図5の例において、一次測定濃度代表値決定部340は、カバレッジc1について、横位置1〜4の測定濃度の平均値を算出し、算出された平均値を、カバレッジc1の代表値と決定する。
さらに、一次測定濃度代表値決定部340は、カバレッジc2〜c8それぞれについても同様に、横位置1〜4の測定濃度の平均値を算出し、算出された平均値を、カバレッジc2〜c8それぞれの代表値と決定する。
【0042】
一方、条件受付部310において、使用者から、指定領域を受け付けた場合、一次測定濃度代表値決定部340は、各カバレッジc1〜c8それぞれについて、指定領域における測定濃度を、代表値と決定する。
例えば、使用者が「横位置4」を指定した場合、図5の例において、一次測定濃度代表値決定部340は、カバレッジc1について、横位置4の測定濃度を、カバレッジc1の代表値と決定する。
さらに、一次測定濃度代表値決定部340は、カバレッジc2〜c8それぞれについても同様に、横位置4の測定濃度を、カバレッジc2〜c8それぞれの代表値と決定する。
なお、一次測定濃度代表値決定部340は、測定濃度の平均値を代表値と決定するとしたが、例えば測定濃度の中央値を代表値と決定してもよい(後述する二次測定濃度代表値決定部380についても同様)。
【0043】
補正要否判定部342は、一次測定濃度代表値決定部340によって決定された代表値を用いて、各色それぞれについて、及び、カバレッジc1〜c8それぞれについて、濃度補正が必要であるか否かを判定する。
図7は、目標濃度値と測定濃度代表値との差分を示すグラフを例示する図である。
図7において、目標濃度値は破線で、測定濃度代表値は実線で示されている。
CMYK各色の各カバレッジc1〜c8それぞれに対して、目標濃度値が設定されており、この目標濃度値が、各カバレッジと対応されて、一次チャート情報記憶部324に記憶されている。
この目標濃度値は、0〜100%のカバレッジそれぞれについて、例えば1%ごとに設定されていてもよいが、予め定められた値(条件受付部310にて指定カバレッジを受け付けなかった場合のカバレッジ)についてのみ設定されていてもよい。
この場合、条件受付部310にて受け付けた指定カバレッジに対して目標濃度値が設定されていなかったときは、補正要否判定部342が、設定されている隣接データ(目標濃度値)を用いて直線補間することによって算出するようにしてもよい。
【0044】
補正要否判定部342は、各色ごとに、各カバレッジそれぞれについて、目標濃度値と測定濃度代表値との差分ΔDenを算出する。
さらに、補正要否判定部342は、その差分ΔDenが閾値βを越えているか否かを判断し、ΔDen>βである場合には、そのカバレッジについては、濃度補正が必要であると判定する。
例えば、図7の例については、シアン(C)のカバレッジc5(例えば60%)の測定濃度代表値D5と目標濃度値d5との差分ΔDen5が閾値βを越えている場合には、補正要否判定部342は、「シアン(C)のカバレッジc5(60%)は濃度補正が必要」と判定する。
さらに、補正要否判定部342は、判定結果を、二次チャートデータ生成部362に対して出力する。
本実施形態においては、各カバレッジの代表値を用いて濃度補正の要否が判定されるので、二次チャートの生成の際に、面内むらの影響が軽減される。
さらに、指定領域の測定濃度を代表値とすることによって、指定領域の濃度について補正が必要であった場合に、その指定領域の濃度が優先的に補正される。
【0045】
二次チャートデータ生成部362(図3)は、補正要否判定部342からの判定結果を用いて、記録媒体に二次チャートを形成するためのデータ(二次チャートデータ)を生成し、二次チャート印刷制御部366及び二次チャート情報記憶部364に対して出力する。
二次チャート情報記憶部364は、二次チャートデータ生成部362によって生成された二次チャートデータを記憶する。
二次チャートデータは、位置情報と、その位置情報が示す位置の色情報(CMYK)と、カバレッジ(C1〜C32)とを含む。
【0046】
図8は、二次チャートを例示する図である。
図8(A)は、二次チャートの全体構成を例示する図である。
二次チャートは、記録媒体において例えば4×4に分割され、各分割領域に、1つの色で形成されたパッチ集合P(11)〜P(44)が配置されている。
ここで、一次チャートは、CMYK全ての色で形成されたパッチ集合が配置されているのに対し、二次チャートは、ある一色(例えばシアン(C))のみで形成されたパッチ集合が配置されている。
【0047】
二次チャートデータ生成部362は、補正要否判定部342による判定結果においていずれかのカバレッジで濃度補正が必要と判定された色で形成された二次チャートを生成する。
例えば、補正要否判定部342によって「シアン(C)のカバレッジc5(60%)は濃度補正が必要」と判定された場合、二次チャートデータ生成部362は、シアン(C)のみで形成されたパッチ集合が配置された二次チャートを生成する。
なお、条件受付部310において色が指定されていた場合には、二次チャートデータ生成部362は、その指定色で形成された二次チャートも生成する。
【0048】
また、一次チャートにおいては、パッチ集合内のパッチは、それぞれc1〜c8(c1<c2<・・・<c8)のカバレッジで形成されていたが、二次チャートにおいては、パッチ集合内のパッチは、それぞれC1〜C32(C1<C2<・・・<C32)のカバレッジで形成されている。ここで、C1=0%、C32=100%であってもよい。
具体的には、一次チャートと同様に、二次チャートにおいても、各パッチ集合内は、例えば8個のパッチに分割されている。
図8(A),(B)に示すように、パッチ集合P(11),P(22),P(33),P(44)は、カバレッジC25〜C32でそれぞれ形成された8個のパッチを含む。
また、図8(A),(B)に示すように、パッチ集合P(12),P(23),P(34),P(41)は、カバレッジC17〜C24でそれぞれ形成された8個のパッチを含む。
また、図8(A),(B)に示すように、パッチ集合P(13),P(24),P(31),P(42)は、カバレッジC9〜C16でそれぞれ形成された8個のパッチを含む。
また、図8(A),(B)に示すように、パッチ集合P(14),P(21),P(32),P(43)は、カバレッジC1〜C8でそれぞれ形成された8個のパッチを含む。
【0049】
また、図8(B)に示すように、カバレッジのレンジ(例えばC25〜C32)が同じパッチ集合であっても、各パッチのカバレッジの配置は、横位置ごと(パッチ集合ごと)に異なるようになっている。
例えば、図8(B)に例示するように、パッチ集合P(11)においては、左上のパッチE1のカバレッジはC32であるが、パッチ集合P(11)においては、左上のパッチE1のカバレッジはC25である。
【0050】
また、C1=0%、C32=100%であるが、C2〜C31のカバレッジは、二次チャートデータ生成部362が決定する。
具体的には、二次チャートデータ生成部362は、補正要否判定部342による判定結果において濃度補正が必要とされたカバレッジの近傍(例えばそのカバレッジの上下10%などといった範囲)については、それ以外のカバレッジよりも、小さい間隔でカバレッジを割り当てるようにする。
例えば、「シアン(C)のカバレッジc5(60%)は濃度補正が必要」と判定された場合、シアン(C)の二次チャートを作成するとき、二次チャートデータ生成部362は、例えば、パッチ集合P(12),P(23),P(34),P(41)のパッチについて、C17=57%、C18=58%、C19=59%、C20=60%、C21=61%、C22=62%、C23=63%、C24=64%といったように、1%ごとにカバレッジを決定する。
【0051】
一方、それ以外のカバレッジについては、二次チャートデータ生成部362は、1%よりも大きい値ごとに、カバレッジを決定する。
例えば、パッチ集合P(11),P(22),P(33),P(44)のパッチについて、C25=65%、C26=67%、C27=80%、C28=82%、C29=85%、C30=87%、C31=90%、C32=100%と決定される。
また、例えば、パッチ集合P(13),P(24),P(31),P(42)のパッチについて、C9=37%、C10=40%、C11=42%、C12=45%、C13=47%、C14=50%、C15=52%、C16=55%と決定される。
また、例えば、パッチ集合P(14),P(21),P(32),P(43)のパッチについて、C1=0%、C2=5%、C3=10%、C4=15%、C5=20%、C6=25%、C7=30%、C8=35%と決定される。
【0052】
なお、間隔を小さくするカバレッジの範囲は、濃度補正が必要とされたカバレッジの値によって、適宜、変更されるようにしてもよい。
例えば、濃度補正が必要とされたカバレッジの値が5%である場合は、0%〜20%の範囲で細かく設定するようにしてもよい。
また、条件受付部310においてカバレッジが指定された場合、二次チャートデータ生成部362は、指定カバレッジの近傍についても、細かくカバレッジを設定して二次チャートデータを生成してもよい。
また、このように、二次チャートは、各領域別に設けられているわけではなく、各横位置1〜4それぞれに、各カバレッジC1〜32で形成されたパッチが配置されるので、1枚の二次チャート内において、面内むらの影響が軽減されている。
【0053】
二次チャート印刷制御部366(図3)は、二次チャートデータ生成部362からの二次チャートデータを記録媒体に印刷するように、画像形成ユニット14を制御する。
二次チャート読取情報受付部368は、記録媒体に形成された二次チャートを画像読取ユニット12が読み取ることによって得られた二次チャート読取情報を受け付け、二次チャート色変換部370に対して出力する。
二次チャート色変換部370は、赤(R)、緑(G)、青(B)で示された画素値を、変換テーブル(色変換プロファイル)を用いて、CMYKそれぞれの濃度値(階調値)に変換し、二次チャート測定データを生成し、二次状態表示部372に対して出力する。
二次チャート測定データは、位置情報と、その位置情報が示す位置の色情報(CMYK)と、濃度値(測定濃度値)とを含む。
言い換えれば、二次チャート色変換部370は、二次チャート読取情報から、二次チャートに形成された各パッチに対応する測定濃度値を算出する。
【0054】
二次状態表示部372は、二次チャート情報記憶部364に記憶された二次チャートデータと、二次チャート色変換部370からの二次チャート測定データとから、二次チャート濃度状態画面をUI装置280に表示させる。
図9は、二次チャート濃度状態画面を例示する図である。二次チャート濃度状態画面は、CMYKの色ごとに別々に表示される。
図9に例示するように、二次チャート濃度状態画面において、CMYKの色ごとに、横位置1〜4と、各横位置に配置された二次チャートの各パッチ集合内の、パッチのカバレッジC1〜C32にそれぞれ対応する測定濃度値との関係が示されている。
二次状態表示部372(図3)は、二次チャートデータの位置情報及び色情報と、二次チャート測定データの位置情報及び色情報とをそれぞれ照合して、CMYKの色ごとに、一次チャートデータに示された各カバレッジC1〜C32に対応する濃度値(測定濃度値)を判断する。
さらに、二次状態表示部372は、カバレッジC1〜C32ごとに、横位置1〜4と対応する濃度値(測定濃度値)との関係をプロットする。
【0055】
二次むら判定部374は、二次チャート濃度状態画面に表示された測定濃度値から、各カバレッジC1〜C32それぞれにおいて、許容範囲以上の面内むらが発生しているか否かを判定する。
具体的には、二次むら判定部374は、各カバレッジC1〜C32それぞれにおける、測定濃度値の最大値と最小値との差を算出し、その差が予め定められた閾値α以上である場合に、そのカバレッジにおいて許容範囲以上の面内むらが発生していると判定する。
さらに、二次むら判定部374は、二次チャート濃度状態画面において、許容範囲以上の面内むらが発生していると判定したカバレッジについては「NG」を表示させ、許容範囲以上の面内むらが発生していないと判定したカバレッジについては「OK」を表示させる。
また、二次むら判定部374は、一次むら判定部334と同様に、面内むら警告画面を、UI装置280に表示させる。
二次むら補正部376は、一次むら補正部336と同様に、面内むら警告画面において、使用者が「YES」ボタンを押下した場合に、むら補正処理を行う。
【0056】
二次測定濃度代表値決定部380は、カバレッジC1〜C32それぞれに対応する測定濃度値から、カバレッジC1〜C32ごとに、代表値を決定し、決定した代表値を補正要否判定部342に対して出力する。
具体的には、条件受付部310において、使用者から、指定領域を受け付けていない場合、二次測定濃度代表値決定部380は、各カバレッジC1〜C32それぞれについて、測定濃度の平均値を、代表値と決定する。
例えば、図9の例において、二次測定濃度代表値決定部380は、カバレッジC1について、横位置1〜4の測定濃度の平均値を算出し、算出された平均値を、カバレッジC1の代表値と決定する。
さらに、二次測定濃度代表値決定部380は、カバレッジC2〜C32それぞれについても同様に、横位置1〜4の測定濃度の平均値を算出し、算出された平均値を、カバレッジC2〜C32それぞれの代表値と決定する。
【0057】
一方、条件受付部310において、使用者から、指定領域を受け付けた場合、二次測定濃度代表値決定部380は、各カバレッジC1〜C32それぞれについて、指定領域における測定濃度を、代表値と決定する。
例えば、使用者が「横位置4」を指定した場合、図9の例において、二次測定濃度代表値決定部380は、カバレッジC1について、横位置4の測定濃度を、カバレッジC1の代表値と決定する。
さらに、二次測定濃度代表値決定部380は、カバレッジC2〜C32それぞれについても同様に、横位置4の測定濃度を、カバレッジC2〜C32それぞれの代表値と決定する。
【0058】
補正LUT算出部382は、二次測定濃度代表値決定部380によって決定された代表値を用いて、各色それぞれについて、補正LUTを算出する。
具体的には、補正LUT算出部382は、図10に例示する図のように、補正LUTを算出する。
図10は、補正LUTの算出を説明する図であり、(A)は目標濃度値と測定濃度代表値との差分を示すグラフを例示し、(B)は補正カーブを例示する図である。図10(A)において、目標濃度値は破線で、測定濃度代表値は実線で示されている。
CMYK各色の各カバレッジC1〜C32それぞれに対して、目標濃度値が設定されており、この目標濃度値が、各カバレッジと対応されて、二次チャート情報記憶部364(又は一次チャート情報記憶部324)に記憶されている。
【0059】
また、一次チャートにおいて形成されたカバレッジが二次チャートにおいて形成されなかった場合(例えば一次チャートにおいてc2=5%であった場合に、二次チャートにおいてカバレッジ5%のパッチがないとき)、一次チャートにおいて形成されたカバレッジと、対応する測定濃度値とを使用してもよい。
このとき、一次チャートが印刷されるタイミングと二次チャートが印刷されるタイミングとが異なるので、ジョブ間濃度差を考慮してもよい。
補正LUT算出部382は、図10(A)に示された目標濃度値と測定濃度代表値との差分を算出し、目標濃度値を入力濃度値とした場合に、算出された差分が補正された出力濃度値となるように、図10(B)で示された補正カーブ(を描くLUT)を生成する。
なお、カバレッジC1〜C32に対応する目標濃度値の間の点については、例えば線形補間等で補間することによって演算がなされてもよい。
本実施形態においては、各カバレッジの代表値を用いて濃度が補正されるので、面内むらの影響が軽減されつつ濃度が補正される。
さらに、指定領域の測定濃度を代表値とすることによって、指定領域の濃度について補正が必要であった場合に、その指定領域の濃度が優先的に補正される。
【0060】
画像データ受付部400(図3)は、コンピュータ端末等から、画像データを受け付ける。
色変換部402は、受け付けた画像データの赤(R)、緑(G)、青(B)で示された画素値を、変換テーブル(色変換プロファイル)を用いて、CMYKそれぞれの濃度値(階調値)に変換する。
補正処理部404は、変換された濃度値を入力濃度値として、補正LUT算出部382によって生成された補正カーブから、出力濃度値を算出する。
印刷制御部410は、算出された出力濃度値に対してハーフトーン処理を行い、さらに、濃度補正され、ハーフトーン処理を施された画像データを記録媒体に印刷するように、画像形成ユニット14を制御する。
【0061】
なお、上述した実施形態においては、画像形成装置1に内蔵された画像処理装置2が画像処理プログラム30を実行するとしたが、画像形成装置とネットワークを介して接続された画像処理装置が、画像処理プログラム30を実行するとしてもよい。
図11は、画像処理システム100を示す図である。
画像形成装置10A、画像読取装置12A、コンピュータ端末102及び画像処理装置2Aは、ネットワークを介して接続されている。
【0062】
画像形成装置10Aは、図1に示した画像形成装置10の画像形成ユニット14と実質的に同様の構成を有している。
画像読取装置12Aは、図1に示した画像読取ユニット12と実質的に同様の構成を有している。なお、画像読取装置12Aは、例えば、画像形成装置10Aの内部に取り付けられたインラインセンサー、又は、外部測色器等を含んでもよい。
コンピュータ端末102は、画像データを画像処理装置2Aに送信する。
【0063】
画像処理装置2Aは、例えばプリントサーバであって、図1に示した画像処理装置2と実質的に同様の構成を有している。
また、画像処理装置2Aは、図3に示した画像処理プログラム30を実行する。
画像処理装置2Aは、コンピュータ端末102から受信した画像データに対して必要な処理を施して、画像形成装置10Aに対して送信する。
画像形成装置10Aは、画像処理装置2Aから受信した画像データを記録媒体に形成する。
画像処理装置2Aは、一次チャート及び二次チャートを、画像形成装置10Aに形成させ、形成された一次チャート及び二次チャートを画像読取装置12Aが読み取って、得られた読取データを画像処理装置2Aに送信して、画像処理装置2Aがその読取データを処理するようにしてもよい。
【0064】
パッチ集合内のパッチの数は8個としたが、位置及び濃度を測定可能なパッチのサイズを満たす限り、パッチの数は増減可能である。
また、一次チャートにおけるカバレッジはc1〜c8の8個の値としたが、パッチの数の増減に合わせて、適宜、変更可能である。
同様に、二次チャートにおけるカバレッジはC1〜C32の32個の値としたが、色の数、パッチ集合の数及びパッチの数の増減に合わせて、適宜、変更可能である。
【0065】
また、一次チャート及び二次チャートにおいて、パッチ集合内にパッチが形成されるとしたが、各パッチは、必ずしもパッチ集合として集合化されていなくてもよい。
言い換えれば、各領域(横位置)において、各パッチが、その色及びカバレッジに関係なく、ランダムに配置されるようにしてもよい。
つまり、一次チャートの場合、各領域それぞれにおいて、全ての色(CMYK)及び全てのカバレッジ(c1〜c8)のパッチが配置されていれば、各領域内のパッチの配置は、ランダムであってもよい。
また、二次チャートの場合、各領域それぞれにおいて、全てのカバレッジ(C1〜C32)のパッチが配置されていれば、各領域内のパッチの配置は、ランダムであってもよい。
例えば、一次チャートにおいて、あるパッチの色がシアンであってカバレッジがc=1(0%)である場合、そのパッチに隣接するパッチの色がマゼンタであってカバレッジがc=8(100%)であってもよい。
また、例えば、二次チャートにおいて、あるパッチのカバレッジがC=1(0%)である場合、そのパッチに隣接するパッチのカバレッジがC=32(100%)であってもよい。
【0066】
また、上述した実施形態において、条件受付部310は、領域の指定として横位置(主走査方向の位置)を受け付けるとしたが縦位置(副走査方向の位置)を受け付けるとしてもよい。
この場合、上述した画像処理プログラム30において横位置ごとにされた処理が、縦位置ごとになされてもよい。
例えば、一次状態表示部332(及び二次状態表示部372)は、縦位置と、各縦位置に配置された一次チャート(または二次チャート)の各パッチ集合内の、パッチのカバレッジにそれぞれ対応する測定濃度値との関係を表示させるようにしてもよい。
また、例えば、一次測定濃度代表値決定部340(及び二次測定濃度代表値決定部380)は、各カバレッジそれぞれについて、指定された縦位置における測定濃度を、代表値と決定してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10・・・画像形成装置,
2・・・画像処理装置,
30・・・画像処理プログラム,
310・・・条件受付部,
32・・・一次チャート処理部,
322・・・一次チャートデータ生成部,
324・・・一次チャート情報記憶部,
326・・・一次チャート印刷制御部,
328・・・一次チャート読取情報受付部,
330・・・一次チャート色変換部,
332・・・一次状態表示部,
334・・・一次むら判定部,
336・・・一次むら補正部,
340・・・一次測定濃度代表値決定部,
342・・・補正要否判定部,
36・・・二次チャート処理部,
362・・・二次チャートデータ生成部,
364・・・二次チャート情報記憶部,
366・・・二次チャート印刷制御部,
368・・・二次チャート読取情報受付部,
370・・・二次チャート色変換部,
372・・・二次状態表示部,
374・・・二次むら判定部,
376・・・二次むら補正部,
380・・・二次測定濃度代表値決定部,
382・・・補正LUT算出部,
400・・・画像データ受付部,
402・・・色変換部,
404・・・補正処理部,
410・・・印刷制御部,
図1
図2
図3
図5
図6
図7
図9
図10
図11
図4
図8