特許第6041252号(P6041252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6041252空気電池カートリッジ及び空気電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041252
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】空気電池カートリッジ及び空気電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/06 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   H01M12/06 B
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-38577(P2013-38577)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-214504(P2013-214504A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-52418(P2012-52418)
(32)【優先日】2012年3月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(72)【発明者】
【氏名】長山 森
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 篤史
(72)【発明者】
【氏名】塚田 佳子
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−205786(JP,A)
【文献】 特表2002−532857(JP,A)
【文献】 特開2002−313408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/06
H01M 10/48
H01M 12/08
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極材と負極材との間に電解液を保持する電解液層を有し、その正極材に空気を流接させるための空気流路がそれぞれ形成された複数の空気電池を、これら空気電池の間に前記空気流路を形成するように配列した空気電池カートリッジであって、
前記空気流路に前記電解液層から漏出した電解液を吸収膨潤して前記空気流路を閉塞する漏出防止材を設けたことを特徴とする空気電池カートリッジ。
【請求項2】
前記漏出防止材の非膨潤時における断面積を、前記空気流路の断面積の1/20〜1/2としていることを特徴とする請求項1に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項3】
前記空気流路の吸気口側又は排気口側若しくはそれら双方に、前記漏出防止材を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項4】
前記漏出防止材が、高分子ポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項5】
前記漏出防止材が、水和物を形成する無機塩であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項6】
前記漏出防止材が、高分子ポリマーと無機塩との混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項7】
前記複数の空気電池を直列又は並列に接続していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項8】
空気電池が注液型のものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気電池カートリッジ。
【請求項9】
正極材と負極材との間に電解液を保持する電解液層を有し、その正極材に空気を流接させるための空気流路がそれぞれ形成された複数の空気電池を、これら空気電池の間に前記空気流路を形成するように配列した空気電池カートリッジを用いた空気電池システムにおいて、
前記空気流路に接続した空気供給管に、
前記電解液層から漏出した電解液を吸収膨潤して前記空気流路を閉塞する漏出防止材と、
前記空気電池カートリッジからの電解液の漏出を検知する漏液検知センサと、
前記空気流路を遮断するための開閉バルブとを配設しているとともに、
前記漏液検知センサにより電解液の漏出が検知されたときに、前記開閉バルブを閉じて空気流路を遮断する第1の空気流通遮断手段とを設けたことを特徴とする空気電池システム。
【請求項10】
前記漏液検知センサを前記漏出防止材よりも前記空気電池カートリッジ寄りに配設していることを特徴とする請求項9に記載の空気電池システム。
【請求項11】
前記空気流路に配設された圧力検知センサと、
その圧力検知センサにより空気流路の圧力上昇が検知されたときに、前記開閉バルブを閉じて前記空気流路を遮断する第2の空気流通遮断手段とを有することを特徴とする請求項9又は10に記載の空気電池システム。
【請求項12】
前記圧力検知センサを、前記漏出防止材よりも前記空気電池カートリッジ寄りに配設していることを特徴とする請求項11に記載の空気電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等に搭載される空気電池カートリッジ及び空気電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気電池カートリッジに関連する技術として、「構成型空気電池」とした名称において特許文献1に、また、「空気電池」とした名称において特許文献2にそれぞれ開示されたものがある。
【0003】
上記特許文献1に開示された構成型空気電池は、電池ケースに複数個直列に構成した空気電池からなる素電池を収納した構成型空気電池において、過放電時の漏液を防止するために、電池ケースの通気孔に撥水処理したフィルタを設けた構造のものである。
【0004】
また、上記特許文献2に開示された空気電池は、正極ケースに設けた空気孔を通じて漏液しないように、空気極と正極ケースとの間に表面層が吸水性を有する繊維からなる空気拡散紙を配した構造のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−13113号公報
【特許文献2】特開平6−349529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成型空気電池では、例えばフィルタの破損により通気孔から電解液が漏出する虞があるとともに、撥水処理したフィルタを通気孔に設けているので大きな圧力損失が懸念される。
一方、特許文献2に開示されている空気電池においても、例えば空気拡散紙の破損により空気孔から電解液が漏出する虞があるとともに、空気拡散紙を空気孔に設けているので大きな圧力損失が懸念される。
【0007】
そこで本発明は、電解液の漏出を防止することができるとともに、圧力損失の少ない空気電池カートリッジ及び空気電池システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、次のとおりである。
本発明に係る空気電池カートリッジは、正極材と負極材との間に電解液を保持する電解液層を有し、その正極材に空気を流接させるための空気流路がそれぞれ形成された複数の空気電池を、これら空気電池の間に空気流路を形成するように配列したものであり、その空気流路に電解液層から漏出した電解液を吸収膨潤して空気流路を閉塞する漏出防止材を設けている。
【0009】
本発明に係る空気電池システムは、正極材と負極材との間に電解液を保持する電解液層を有し、その正極材に空気を流接させるための空気流路がそれぞれ形成された複数の空気電池を、これら空気電池の間に空気流路を形成するように配列したものである。
本発明においては、上記空気流路に接続した空気供給管に、電解液層から漏出した電解液を吸収膨潤して空気流路を閉塞する漏出防止材と、空気電池カートリッジからの電解液の漏出を検知する漏液検知センサと、空気流路を遮断するための開閉バルブと、電解液の漏出を検知したときに、開閉バルブを閉じて空気流路を遮断する空気流通遮断手段とを有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空気流路に電解液層から漏出した電解液を吸収膨潤して空気流路を閉塞する漏出防止材を設けたことにより、電解液の漏出を防止し、かつ、圧力損失を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る空気電池システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】同上の空気電池システムの一部をなす本体の斜視図である。
図3】(A)は、バスバーと空気電池カートリッジとの連結状態を示す斜視図、同図(B)は、バスバーに連結接続された空気電池カートリッジと空気の流通状態を示す斜視図である。
図4】(A)は、空気供給管内に配置した非膨潤時の漏出防止材を示す断面図であり、同図(B)は、空気供給管内に配置した膨潤時の漏出防止材を示す断面図である。
図5】同上の空気電池カートリッジの一部をなす空気電池の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る空気電池カートリッジと空気電池システムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムの概略構成を示すブロック図、図2は、その空気電池システムの一部をなす本体の斜視図、図3(A)は、バスバーと空気電池カートリッジとの連結状態を示す斜視図、同図(B)は、バスバーに連結接続された空気電池カートリッジと空気の流通状態を示す斜視図である。なお、図面に示す寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
本発明の一実施形態に係る空気電池システムAは、図1に示すように、複数の空気電池カートリッジ(以下、単に「カートリッジ」という。)Bと、それら複数のカートリッジBを着脱自在なカートリッジボックスCと、このカートリッジボックスCに送給管6を介して接続された電解液タンク5を有している。
【0014】
各カートリッジBは、注液型の空気電池60が複数個配列されて構成されている。本実施形態においては、空気電池60として注液型の空気電池を一例として説明するが、空気電池60の種類はこれに限定されず、種々の種類が使用可能である。
また、図1では3個のカートリッジBを示すが、カートリッジBの個数は特に限定されるものではない。さらに、カートリッジBを構成する空気電池60の個数も特に限定されるものではない。
【0015】
電解液タンク5は、空気電池60に注液するための電解液Wを貯留している。
電解液Wとしては、水酸化カリウム(KOH)や塩化物を主成分とした水溶液又は非水溶液が使用可能である。
電解液タンク5に連結された送給管6は、カートリッジボックスCに装着された各カートリッジBに連結されている。
【0016】
送給管6は、電解液タンク5に貯留されている電解液Wを、各カートリッジBに送給するためのものであり、その送給管6には開閉バルブ7が配設されている。
開閉バルブ7は、コントロールユニットDの出力側に接続されて、適宜開閉駆動されるようになっている。
【0017】
カートリッジボックスCは、複数のカートリッジBを収容可能な筐体10と、この筐体10内に設けられたバスバー50を備えている。
バスバー50は、各カートリッジBの接続部64と接続されようになっている。
カートリッジボックスCの筐体10には、そのカートリッジボックスCに空気を供給するための空気供給管(以下、「空気流路」ともいう。)20と、カートリッジボックスCから空気を排出するための空気排出管(以下、「空気流路」ともいう。)30がそれぞれ接続されている。
【0018】
空気供給管20には、空気電池システムAに空気が導入される側(上流側)からカートリッジボックスC側(下流側)にかけて、塵等を除去するためのフィルタ21、空気を圧送するためのブロワ22、温度センサ23、圧力検知センサ24、開閉バルブ25及び漏液検知センサ26が順次配設されている。
【0019】
ブロワ22及び開閉バルブ25は、コントロールユニットDの出力側に接続され、コントロールユニットDにより適宜駆動される。温度センサ23、圧力検知センサ24及び漏液検知センサ26は、コントロールユニットDの入力側に接続されている。
【0020】
温度センサ23は、空気供給管20内の温度を検知し、検知した温度データをコントロールユニットDに出力する。
圧力検知センサ24は、空気供給管20内の圧力を検知し、検知した圧力データをコントロールユニットDに出力する。
漏液検知センサ26は、空気供給管20内の漏液の有無を検知し、検知した漏液の有無の情報をコントロールユニットDに出力する。
【0021】
一方、空気排出管30には、カートリッジボックスCから排出された空気の上流側から下流側にかけて、漏液検知センサ31、温度センサ32、圧力検知センサ33及び開閉バルブ34が順次配設されている。
開閉バルブ34は、コントロールユニットDの出力側に接続され、コントロールユニットDにより適宜開閉駆動される。漏液検知センサ31、温度センサ32及び圧力検知センサ33は、コントロールユニットDの入力側に接続されている。
【0022】
漏液検知センサ31は、空気排出管30内の漏液の有無を検知し、検知した漏液の有無の情報をコントロールユニットDに出力する。
温度センサ32は、空気排出管30内の温度を検知し、検知した温度データをコントロールユニットDに出力する。
圧力検知センサ33は、空気排出管30内の圧力を検知し、検知した圧力データをコントロールユニットDに出力する。
【0023】
空気供給管20の開閉バルブ25の上流側の位置と、空気排出管30の開閉バルブ34の下流側の位置には、迂回用管40の両端が連結されている。
図1においては、迂回用管40の一端は、空気供給管20の開閉バルブ25と圧力検知センサ24との間に連結されている。迂回用管40には開閉バルブ41が配設されている。
開閉バルブ41は、コントロールユニットDの出力側に接続されて、適宜開閉駆動されるようになっている。開閉バルブ41を適宜開くことにより、空気電池システムAに導入された空気を迂回用管40を介して排出側へ迂回させることができる。
【0024】
コントロールユニットDは、中央演算装置(CPU)やインターフェース回路等で構成され、所定のプログラムの実行により下記の各機能を発揮する。
【0025】
・漏液検知センサ26,31により電解液の漏出が検知されたときに、開閉バルブ25,34を閉じて空気流路20,30を遮断する機能。この機能を「第1の空気流通遮断手段D1」という。
これにより、空気電池60の動作を停止させることができる。
【0026】
・圧力検知センサ24,33により空気流路20,30の圧力上昇を検知したときに、開閉バルブ25,34を閉じて、空気流路20,30を遮断する機能。この機能を「第2の空気流通遮断手段D2」という。
【0027】
カートリッジボックスCの筐体10は、図1及び図2に示すように、例えば直方体形状を有する。筐体10は、長方形の底板11と、底板11の四辺縁に立設された側板12〜15と、側板12〜15上に配設された上板16を備えている。
【0028】
筐体10の上板16には、図2に示すように、複数のカートリッジBを着脱するためのカートリッジ用着脱口16a〜16cが所定の間隔で設けられている。複数のカートリッジBは、図2の矢印で示すようにカートリッジ用着脱口16a〜16cを介して筐体10内に挿入されている。
【0029】
筐体10の側板12の側板15寄りには、筐体10内に空気を導入するための導入口12aが配設されている。一方、筐体10の側板14の側板13寄りには、筐体10内を流通した空気を排出するための排出口14aが配設されている。導入口12a及び排出口14aには、空気供給管20及び空気排出管30がそれぞれ接続されている。
【0030】
図1及び図3に示すように、筐体10の底板11上にはバスバー50が配設されている。
バスバー50は、これに装着された複数のカートリッジBと電気的に接続され、カートリッジBからの電力を外部に取り出すものである。
このバスバー50は、複数のカートリッジBを装着する基台53と、基台53の装着面に突設され、複数のカートリッジBと電気的に接続する接続部51と、基台53の装着面に配設され、複数のカートリッジBを仕切るための仕切部材52を有する。
【0031】
図2に示すように、導入口12aと排出口14aを側板12,14の偏移した位置にそれぞれ配設することにより、図3に示すように、導入口12aから筐体10内に流入した空気は、バスバー50に装着されているカートリッジBをなす空気電池60に流接した後、排出口14aから排出される。
【0032】
図4(A)は、空気供給管内に配置した非膨潤時の漏出防止材を示す断面図であり、同図(B)は、空気供給管内に配置した膨潤時の漏出防止材を示す断面図である。
空気供給管20内には、図4(A)に示すように漏出防止材Sが配置されている。漏出防止材Sは、電解液Wを吸収すると膨潤して空気供給管(空気流路)20を閉塞する機能を有する。
漏出防止材Sとしては、例えば高分子ポリマーを使用可能であり、その他には水和物を形成する無機塩、又はそれら高分子ポリマーと無機塩の混合物等を用いることができる。
【0033】
漏出防止材Sは、図1に示した例えば開閉バルブ25と漏液検知センサ26との間に配置されている。
漏液検知センサ26は、漏出防止材SよりもカートリッジB寄りに配置されているのが好ましい。換言すれば、漏出防止材Sを、漏液検知センサ26の上流側に配置するのが好ましい。漏液検知センサ26が漏出防止材SよりもカートリッジB寄りに配置されていることにより、電解液Wの漏出を早期且つ確実に検知することができる。
【0034】
漏出防止材Sは、電解液Wを吸収する前の状態、つまり非膨潤状態で、空気供給管20内を閉塞しないように配置されている。
漏出防止材Sの配置の仕方は特に限定されず、適宜選択可能である。例えば、漏出防止材Sは空気供給管20内の全周にわたって設けられていてもよい。
【0035】
また、漏出防止材Sは、空気供給管20内の円周方向において対向する2箇所に設けられていてもよく、等間隔で3箇所に設けられていてもよい。さらに、漏出防止材Sを、空気供給管20の長手方向において複数箇所に設けてもよい。
【0036】
空気供給管20の長手方向に垂直な断面において、漏出防止材Sの非膨潤時における断面積は、空気供給管(空気流路)20の断面積の1/20〜1/2であることが好ましい。
漏出防止材Sの非膨潤時における断面積を、空気供給管20の断面積の1/2以下とすることで、空気の供給を良好に行なわせることができる。また、漏出防止材Sの非膨潤時における断面積を、空気供給管20の断面積の1/20以上とすることで、膨潤時に空気供給管20を確実に閉塞することができる。
【0037】
漏出防止材Sは、カートリッジボックスCから空気供給管20内に電解液Wが漏出したときに、図4(B)に示すように電解液Wを吸収して膨潤し、空気供給管(空気流路)20を閉塞する。この結果、漏出防止材Sより上流側への電解液Wの漏出を防止することができる。
【0038】
さらに、漏出防止材Sは、空気供給管20内と同様に、空気排出管30内にも配置されていてもよい。
漏出防止材Sは、例えば空気排出管30の漏液検知センサ31と温度センサ32との間に配置される。空気排出管30内に配置された漏出防止材Sは、カートリッジボックスCから空気排出管30内に電解液Wが漏出した場合、電解液Wを吸収して膨潤することにより、空気排出管30内を閉塞する。この結果、漏出防止材Sより下流側への電解液Wの漏出を防止することができる。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る空気電池カートリッジの一部をなす空気電池の斜視図である。
カートリッジBは、図5に示すように、複数個の空気電池60を有する組電池である。複数の空気電池60は、互いに直列又は並列に接続されている。なお、図5では、便宜的に2つの空気電池60を示すが、更に多数(3つ以上)の空気電池60が配列されていてもよい。また、図1に示したバスバー50との接続部64は、図5では便宜的に省略している。
【0040】
上記した各空気電池60は、上面を開口した方形の枠体61と、枠体61内に上から順に積層された液密通気膜62、正極材、電解液を保持する電解液層及び負極材(いずれも図示省略)を有している。
電解液層は、正極材と負極材との間に形成されている。
【0041】
枠体61の材料としては、例えばポリプロピレン(PP)やエンジニアリングプラスチック等の耐電解液性のある樹脂が使用可能である。
【0042】
液密通気膜62は液密通気性を有している。すなわち、液密通気膜62には、正極材へのガス(空気)供給を行なうために多数の微細な孔が形成されている。一方で、液密通気膜62は、電解液Wが外部に漏れ出さないように強い撥水性を有する。液密通気膜62の材料としては、フッ素樹脂等が使用可能である。
【0043】
正極材としては、触媒を含んで導電性を有し、かつ、多孔質な材料が使用可能である。負極材の材料としては、例えばリチウム(Li)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)等の純金属又は合金が使用可能である。
【0044】
各空気電池60は、これらの間に空気流路αを区画形成するように重ね合わせて配列されている。発電時には、空気供給管20から空気がカートリッジボックスC内に導入される。そして、導入された空気が、図5の矢印で示すように空気電池60間の空気流路αに流入し、各空気電池60の正極材に液密通気膜62を介して流接される。
【0045】
枠体61には、隣接する空気電池60を所定の間隔で離間するように平行に延伸する複数の仕切り部63が設けられている。この仕切り部63により、隣接する空気電池60間において空気流路αが複数本に分割されている。
なお、図5では、仕切り部63により空気流路αが複数本に分割されているが、隣接する空気電池60を所定の間隔で離間し、空気流路αを形成することができれば、1つの空気流路αであってもよい。
【0046】
空気流路αの吸気口α1側には漏出防止材Sが配設されている。漏出防止材Sは、空気電池60から電解液Wが漏出したときに電解液Wを吸収して膨潤し、吸気口α1を閉塞する。これにより、カートリッジBから外部への電解液Wの漏出を防止することができる。
漏出防止材Sの非膨潤時における断面積は、空気供給管20に配置した場合と同様に、空気流路αの断面積の1/20〜1/2であることが好ましい。なお、図5では、仕切り部63により吸気口α1が複数個に分かれているため、複数個の吸気口α1のそれぞれに漏出防止材Sを設けている。
【0047】
なお、本発明の実施の形態においては、空気流路αの吸気口α1側に漏出防止材Sを配設しているが、吸気口α1側の代わりに排気口α2側に漏出防止材Sを配設してもよく、吸気口α1及び排気口α2の双方に漏出防止材Sを配設してもよい。
【0048】
本発明の実施の形態に係る空気電池システムAによれば、空気流路20,30,αに漏出防止材Sを設けることにより、例えば空気電池60の破損等により電解液Wが漏出した場合でも、防止材Sが漏出した電解液Wを吸収膨潤して空気流路20,30,αを閉塞する。この結果、電解液Wの漏出を防止することができる。さらに、空気流路20,30,α中に電解液Wの漏出を防止するためのフィルタ等を配置しないので、フィルタ等を配置する場合と比較して圧力損失を少なくすることができる。
【0049】
また、漏出防止材Sを膨潤させて空気流路20,30,αを閉塞することにより、小さな体積で電解液Wの漏出を防止することができる。
【0050】
さらに、漏出防止材Sの非膨潤時における断面積を、空気流路20,30,αの断面積の1/20〜1/2にすることにより、空気流路20,30,α内の空気の流通を良好に行なわせることができるとともに、電解液Wの漏出を最小限に留めることができる。
【0051】
またさらに、空気流路αの吸気口α1側又は排気口α2側、若しくはそれら双方に漏出防止材Sを近接させて配置しているので、電解液Wの漏出を的確に防止することができる。また、注液型の空気電池60に適用することにより、空気電池60は破損していないものの、電解液Wの注液に伴う圧力上昇により電解液Wが漏出したときにも、電解液Wの漏出を確実に防止することができる。
【0052】
また、複数の空気電池60を互いに直列に接続することにより、出力をあげやすくなる。一方、複数の空気電池60を互いに並列に接続することにより、電解液Wが漏出したときも発電動作を継続することができる。
【0053】
また、カートリッジBからの電解液Wの漏出を検知する漏液検知センサ26,31と、空気流路を遮断するための開閉バルブ25,34とを配設し、電解液Wの漏出を検知したときに、開閉バルブ25,34を閉じて空気流路20,30を遮断する空気流通遮断手段D1を有するので、電解液Wの漏出を検知したときに、発電動作を確実に停止させることができる。
【0054】
また、漏液検知センサ26,31を漏出防止材SよりもカートリッジボックスC寄りに配設することにより、早期且つ確実に漏液を検知することができる。
【0055】
また、空気流路20,30の圧力上昇を検知したときに、開閉バルブ25,34を閉じて空気流路を遮断する空気流通遮断手段D2を有するので、電解液Wの漏出に伴う圧力上昇があったときに、発電動作を確実に停止させることができる。
【0056】
また、圧力検知センサ24,33を漏出防止材SよりもカートリッジB寄りに配設することにより、早期且つ確実に漏液を検知することができる。
【0057】
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上述した実施形態においては、空気電池60間に空気流路αを区画形成するように配列したカートリッジBを一例として示しているが、空気電池60間以外に空気流路が形成されていてもよい。
例えば、枠体61の互いに対向する枠材であって、液密通気膜62に対向する高さ位置に、その枠体61の内外を連通する吸気孔と排気孔を形成することにより、それら吸気孔と排気孔との間の液密通気膜62を空気流路としてもよい。
【0058】
上述した実施形態においては、空気電池60、カートリッジB及び空気電池システムAのそれぞれに漏出防止材Sを配設した場合を説明したが、空気電池60、カートリッジB又は空気電池システムAのいずれか一つに漏出防止材Sを配設してもよい。また、それらのいずれか二つに漏出防止材Sを配設してもよい。
【0059】
上述した実施形態においては、空気電池60の吸気口α1や排気口α2等に漏出防止材Sを配設した例について説明したが、各空気電池60の正極材に隣接して漏出防止材Sを配置してもよい。この場合には、電解液Wの漏出を最小限に留めることができる。
【符号の説明】
【0060】
20,30,α 空気流路
24,33 圧力検知センサ
25,34 開閉バルブ
26,31 漏液検知センサ
60 空気電池
B 空気電池カートリッジ
D1 第1の空気流通遮断手段
D2 第2の空気流通遮断手段
S 漏出防止材
図1
図2
図3
図4
図5