【文献】
3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation (Release 10),3GPP TS 36.211 V10.2.0,2011年 6月,pp.1-103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
DMRSは、受信器側において復調するための基本的な要素であるため、DMRSランダムシードをどのように設定するかは、さまざまなシナリオにおいて極めて重要であり、以下ではこれについて詳しく説明する。
【0009】
[CoMPのシナリオ]
JT(ジョイント送信:Joint Transmission)は、CoMP(協調マルチポイント:
Coordinate Multiple Points)の1つの技術である。
図2は、例示的なJTのシナリオを示した概略図である。
図2に示したように、2つの送信ポイント(またはセル)1,2が存在し、これらの両方の送信ポイントが、複数のRB(例えば
図1に示したRB)からなるビームを1基のUE(例えば携帯電話など)に送信する。
図2における2個のRBは、
図1におけるRBを簡略化して表してある。
【0010】
図2は、JT動作の原理を示している。JT動作では、複数の異なる送信ポイントが同じデータおよびDMRSをUEに送信し、複数の異なる送信ポイントからの同じデータおよびDMRSが、無線(OTA)を通じて合成される。したがって、UEは、複数の送信ポイントからのダイバーシチ利得の恩恵を受けることができる。したがって、JT動作の場合、複数の送信ポイントからの信号を正しく合成するためには、複数の送信ポイントからのDMRSが同じである必要がある。そうでない場合、複数の送信ポイントからのDMRSを、無線(OTA)を通じて正しく合成することができない。この意味で、JT動作の場合、スクランブリングシーケンスを初期化するための同一ランダムシードが必要となる。
【0011】
しかしながら、隣接する送信ポイント(セル)は、異なる送信ポイントIDを有する可能性がある。例えば、リリース10においては、隣接する送信ポイント(セル)が異なる送信ポイント(セル)IDを有することがある。上記の等式(1)に示したように、ランダムシードの計算にはパラメータ「cell_id」が含まれているため、異なる送信ポイントの送信ポイントIDが異なる場合、それぞれのDMRSまたはDMRSスクランブリングシーケンスも異なる。したがって、JT動作の場合、重要な点は、異なる送信ポイントIDを有する異なる送信ポイントにおいてDMRSランダムシードが同一となるように保証する方法である。
【0012】
[非CoMPのシナリオ]
図3は、例示的な非CoMPのシナリオを示した概略図である。
図2の場合とは異なり、
図3においては、2つの隣接する送信ポイント1,2から送信される信号がそれぞれ異なるUE(すなわちUE1およびUE2)を対象としている。すなわち、UE1は送信ポイント1からの信号を受信し、UE2は送信ポイント2からの信号を受信する。非CoMP動作では、RBにおけるDMRSの位置が固定されているため、隣接する送信ポイントからのDMRSが周波数・時間リソースにおいて重複することにより互いに干渉することがある。例えば、
図3に示したように、送信ポイント1からUE1に送信される信号と、送信ポイント2からUE2に送信される信号とが、周波数・時間リソースにおいて互いに重複している。したがってそれぞれのDMRSは、(
図3に破線の矢印によって示したように)互いに干渉する。したがってこの場合、ICI(セル間干渉:Inter-Cell Interference)をランダム化するため、隣接する送信ポイントにおいてDMRSスクランブリングシーケンスが異なっている必要がある。
【0013】
しかしながら、隣接する送信ポイント(セル)が同じ送信ポイントIDを有する可能性がある。例えば、リリース11においては、隣接する送信ポイントが同じ送信ポイントIDを有することがある。上記の等式(1)に示したように、DMRSランダムシードの計算にはパラメータ「cell_id」が含まれているため、隣接する送信ポイントが同じcell_idを有する場合、DMRSスクランブリングシーケンスが同じランダムシードによって初期化され、隣接する送信ポイントのDMRSにセル間干渉が発生する。したがって、非CoMP動作の場合、重要な点は、同じ送信ポイントIDを有する隣接する送信ポイントにおいてDMRSランダムシードが異なるように保証する方法である。
【0014】
図4は、JTのシナリオと非CoMPのシナリオとの比較を示した概略図である。
図4の左側にはJTのシナリオを示してあり、隣接する送信ポイントが異なる送信ポイントIDを有する。この場合、送信ポイント1および送信ポイント2のDMRSを初期化するためのDMRSランダムシードは、それぞれ、
【数2】
および
【数3】
である。これらはいずれも上記式(1)から、デフォルト値SCID=0を使用して得られる。ここで、パラメータcell_id1は送信ポイント1の送信ポイントIDを表し、パラメータcell_id2は送信ポイント2の送信ポイントIDを表し、cell_id1とcell_id2は異なる。2つの送信ポイント1,2からのDMRSを無線(OTA)を通じて正しく合成するためには、特に、2つの送信ポイントの送信ポイントIDが同じではない場合、それぞれのDMRSランダムシードが同じであることが要求される。結論として、JTのシナリオの場合、無線(OTA)を通じてDMRSを合成するためにはJT送信ポイントのDMRSが同じであることが要求されるため、同じDMRSシードが必要である。
【0015】
図4の右側には非CoMPのシナリオを示してあり、隣接する送信ポイントが同じ送信ポイントID(すなわちcell_id1)を有する。この場合、UE1を対象とする送信ポイント1のDMRSとUE2を対象とする送信ポイント2のDMRSを初期化するためのDMRSランダムシードは、いずれも、
【数4】
である。これは上記の等式(1)からデフォルト値SCID=0を使用して得られる。2つの送信ポイント1,2からのDMRSの間のセル間干渉(
図4に破線の矢印によって示してある)をランダム化するためには、特に、送信ポイントの送信ポイントIDが同じである場合、それぞれのDMRSスクランブリングシーケンスが異なることが要求される。結論として、非CoMPの場合、重複するDMRSによるセル間干渉をランダム化するため、異なるDMRSシードが必要である。
【0016】
結論として、上述したJTおよび非CoMPのシナリオの場合、これら2つのシナリオではDMRSランダムシードに関する要件が矛盾する。JT動作では、同じDMRSランダムシードが要求されるのに対して、非CoMP動作では異なるDMRSランダムシードが要求される。
【0017】
[MU−MIMOのシナリオ]
上記2つのシナリオに加えて、MU−MIMO(Multi-user Multiple Input Multiple output)のシナリオを考慮する必要がある。
図5は、例示的なMU−MIMOのシナリオを示した概略図である。
図5にはMU−MIMO動作の原理が図解されている。MU−MIMO動作の場合、2基以上のUEが、共有される周波数/時間無線リソースに割り当てられる。
図5に示したように、1基の送信ポイントと2基のUE(すなわちUE1およびUE2)が存在しており、両方のUEが同じ周波数/時間リソースを共有している。DMRSの位置が重複しているため、一方のUE(例えばUE1)が、干渉しているUE(例えばUE2)のチャネルをDMRSから推定できるならば、このUE(例えばUE1)は、自身の側でMU干渉(
図5に破線の矢印によって示してある)を打ち消すことができる。
【0018】
このようなUE側での干渉の打ち消しは、UEが、干渉するUEのDMRSをブラインド検出できるか否かに依存する。
図6は、例示的なブラインド検出を示した概略図である。
図6にはブラインド検出の原理が図解されている。1つの送信ポイント(セル)の中でのDMRSの自由度は、2つの側面から与えられる。1つは、SCID=0または1に設定することによるDMRSランダムシードであり、もう1つは、[1,1]または[1,−1]としてOCCを設定することによるOCCである(またはDMRSポート7または8を選択することもこれと等価である)。具体的には、
図6に示したように、送信ポイントの送信ポイントIDがcell_id1であるものと想定すると、上記の等式(1)(SCIDは0または1)から、
【数5】
および
【数6】
を得ることができる。2つの異なるDMRSランダムシードと2つのOCCとを組み合わせることによって、4つの異なるDMRS、すなわち、Seed0、OCC[1,1]と、Seed0、OCC[1,−1]と、Seed1、OCC[1,1]と、Seed1、OCC[1,−1]とが得られる。これら4つの異なるDMRSそれぞれが1基のUEに使用される。例えば、
図6に示したように、Seed0およびOCC[1,1]によるDMRSがUE0に使用され、Seed0およびOCC[1,−1]によるDMRSがUE1に使用され、Seed1およびOCC[1,1]によるDMRSがUE2に使用され、Seed1およびOCC[1,−1]によるDMRSがUE3に使用される。合計でDMRSの4つのディメンション(dimension)が存在するため、1基のUEが、他の3基のUEのDMRSのうちの1つまたは複数が共有リソースに存在しているか否かをブラインド検出することができる。このブラインド検出が可能であるのは、検出空間がDMRSの4つのディメンションに制限されているためである。容易に理解できる点として、DMRSランダムシードの設計は、このようなブラインド検出に大きく影響する。リリース10のDMRSランダムシードの設計では、このようなブラインド検出が可能であり、このことは、DMRSランダムシードをさらに改良するうえで設計上の1つの側面とみなすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本開示の一態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をスクランブルする方法であって、
【数7】
に基づいてランダムシードを生成する工程と、ランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する工程と、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする工程と、を含み、等式において、
【数8】
であり、Maxが送信ポイントIDの最大値を表し、C
initがランダムシードを表し、n
sがスロット番号を表し、n_RNTIがユーザ機器に固有なIDを表す、方法、を提供する。
【0020】
本開示の別の態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をユーザ機器に送信する送信ポイント装置であって、
【数9】
に基づいてランダムシードを生成するランダムシード生成部と、ランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する初期化部と、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルするスクランブル部と、スクランブルされた信号を有するリソースブロックをユーザ機器に送信する送受信部と、を備え、等式において、
【数10】
であり、Maxが送信ポイントIDの最大値を表し、C
initがランダムシードを表し、n
sがスロット番号を表し、n_RNTIがユーザ機器に固有なIDを表す、送信ポイント装置、を提供する。
【0021】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号を送信ポイントから受信するユーザ機器であって、送信ポイントからリソースブロックを受信する送受信部と、時間領域及び/又は周波数領域においてリソースブロックを検出して信号を取得する復調部と、を備え、信号が、
【数11】
に基づいて生成されたランダムシードによって初期化されたスクランブリングシーケンスによってスクランブルされており、等式において、
【数12】
であり、Maxが送信ポイントIDの最大値を表し、C
initがランダムシードを表し、n
sがスロット番号を表し、n_RNTIがユーザ機器に固有なIDを表す、ユーザ機器、を提供する。
【0022】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をスクランブルする方法であって、送信ポイントIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、第2のランダムシードとから、ランダムシードを選択する工程と、選択されたランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する工程と、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする工程と、を含む、方法、を提供する。
【0023】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をユーザ機器に送信する送信ポイント装置であって、送信ポイントIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、第2のランダムシードとから、ランダムシードを選択する選択部と、選択されたランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する初期化部と、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルするスクランブル部と、スクランブルされた信号を有するリソースブロックをユーザ機器に送信する送受信部と、を備えている、送信ポイント装置、を提供する。
【0024】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号を送信ポイントから受信するユーザ機器であって、送信ポイントから少なくとも1レイヤのリソースブロックを受信する送受信部と、時間領域及び/又は周波数領域においてリソースブロックを検出して信号を取得する復調部と、を備え、信号が、送信ポイントIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、第2のランダムシードとから選択されるランダムシード、によって初期化されたスクランブリングシーケンスによって、スクランブルされている、ユーザ機器、を提供する。
【0025】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をスクランブルする方法であって、IDテーブルを上位レイヤシグナリングを通じてユーザ機器に送り、IDテーブルが、ID空間全体のサブセットであり、ユーザ機器に利用可能なIDを含む、工程と、IDテーブルの中の使用されるIDを、物理レイヤシグナリングまたはユーザ機器に固有な上位レイヤシグナリングを通じてユーザ機器に通知する工程と、通知されたIDに基づいてランダムシードを生成する工程と、ランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する工程と、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする工程と、を含む、方法、を提供する。
【0026】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をユーザ機器に送信する送信ポイント装置であって、IDテーブルの中の使用されるIDを、物理レイヤシグナリングまたはユーザ機器に固有な上位レイヤシグナリングを通じてユーザ機器に通知し、IDテーブルが上位レイヤシグナリングを通じてユーザ機器に送られ、IDテーブルが、ID空間全体のサブセットであり、ユーザ機器に利用可能なIDを含む、通知部と、通知されたIDに基づいてランダムシードを生成するランダムシード生成部と、ランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する初期化部と、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルするスクランブル部と、スクランブルされた信号を有するリソースブロックをユーザ機器に送信する送受信部と、を備えている、送信ポイント装置、を提供する。
【0027】
本開示のさらなる態様においては、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号を送信ポイント装置から受信するユーザ機器であって、送信ポイント装置から、リソースブロックと、物理レイヤシグナリングまたはユーザ機器に固有な上位レイヤシグナリングとを受信し、物理レイヤシグナリングまたはユーザ機器に固有な上位レイヤシグナリングが、IDテーブルの中の使用されるIDをユーザ機器に通知し、IDテーブルが上位レイヤシグナリングを通じてユーザ機器に送られ、IDテーブルが、ID空間全体のサブセットであり、ユーザ機器に利用可能なIDを含む、送受信部と、時間領域及び/又は周波数領域においてリソースブロックを検出して信号を取得する復調部と、を備え、信号が、通知されたIDに基づいて生成されたランダムシードによって初期化されたスクランブリングシーケンスによってスクランブルされている、ユーザ機器、を提供する。
【0028】
本開示においては、DMRSのスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードを、ユーザ機器に固有なIDまたはグループIDに基づいて生成することにより、JTのシナリオの場合には、複数の送信ポイントからの同じDMRSが保証される一方で、非CoMPのシナリオの場合には、隣接する送信ポイントからの異なるDMRSが保証される。さらに、リリース10のDMRSランダムシードと、ユーザ機器に固有なDMRSランダムシードとの間で切り替えることによって、MU(マルチユーザ)動作においては、ブラインド検出を可能にすることができ、ユーザ機器間の直交性を維持することができる一方で、非MU動作においては、JT動作と非CoMP動作とにおける矛盾する要件を解決することができる。さらには、物理レイヤシグナリングと上位レイヤシグナリングとを組み合わせて、使用されるグループIDとブラインド検出空間とをユーザ機器に通知することによって、ユーザ機器におけるブラインド検出が可能となり、シグナリングのオーバーヘッドが減少する。
【0029】
上記は本開示の要約であり、したがって当然ながら、細部の単純化、一般化、および省略が含まれている。したがって、当業者には、上記の要約が説明のみを目的としており、本開示を制限することはまったく意図していないことが理解されるであろう。本明細書に記載されている装置、プロセス、その他の主題の別の態様、特徴、および利点は、以下に説明する教示内容から明らかになるであろう。上記の要約は、本開示の発想のうち重要な部分を簡略的に紹介することを目的としており、本開示の発想については、発明を実施するための形態のセクションでさらに説明する。上記の要約は、特許請求の範囲に記載された主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを目的とするものではなく、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を判断する目的で使用されるものでもない。
【0030】
本開示の上記およびその他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を添付の図面を参照しながら検討することによって、さらに完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態のみを描いており、したがって本開示の範囲を制限するものとはみなされないことを理解されたい。以下では、添付の図面を使用しながら、本開示についてさらに具体的かつ詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の詳細な説明においては、添付の図面を参照し、これらの図面は本明細書の一部を形成している。図面においては、特に明記しない限り、一般には類似する記号は類似する要素を表している。なお、本開示の態様は、さまざまな異なる構造に編成する、置き換える、組み合わせる、および設計することができ、そのような態様すべては明示的に意図されたものであり、本開示の一部を形成することが、容易に理解されるであろう。
【0033】
(第1の実施形態)
図7は、本開示の第1の実施形態による送信ポイント装置を示したブロック図である。
【0034】
本開示の第1の実施形態による送信ポイント装置700は、通信システムにおいてユーザ機器と通信するために使用される。送信ポイント装置700は、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の位置(無線リソース、すなわちサブキャリアやサブフレームなどの時間リソース及び/又は周波数リソース)に割り当てられるRS信号を、UEに送信する。
図7に示したように、送信ポイント装置700は、ランダムシード生成部701と、初期化部702と、スクランブル部703と、送受信部704とを含む。ランダムシード生成部701は、UEに固有なIDに基づいてランダムシードを生成する。初期化部702は、ランダムシード生成部701において生成されたランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する。スクランブル部703は、初期化部702において初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする。送受信部704は、スクランブル部703においてスクランブルされた信号を有するリソースブロックをUEに送信する。なお、この場合のRS信号とは、例えばDMRSなど任意の種類のRS信号とすることができることに留意されたい。ただし以下の説明では、簡潔さを目的として、例としてDMRSに焦点を当てる。
【0035】
本開示による送信ポイント装置700は、関連するプログラムを実行してさまざまなデータを処理し、送信ポイント装置700の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)710、CPU710がさまざまなプロセスおよび制御を実行するうえで要求されるさまざまなプログラムを格納するROM(Read Only Memory)713、CPU710によるプロセスおよび制御の手順の中で一時的に生成される中間データを格納するRAM(Random Access Memory)715、及び/又は、さまざまなプログラムやデータなどを入力または出力するI/O(入力/出力)部717、をさらに含むことができる。上記ランダムシード生成部701、初期化部702、スクランブル部703、送受信部704、CPU710、ROM713、RAM715、及び/又、I/O部717は、データ/コマンドバス720を介して相互に接続することができ、互いの間で信号を伝送する。
【0036】
上記各構成部は、本開示の範囲を制限するものではない。本開示の一実施形態によると、上記のランダムシード生成部701、初期化部702、スクランブル部703、および送受信部704のうちの任意の機能を、上記CPU710、ROM713、及び/又、RAM715、I/O部717と組み合わせて、機能ソフトウェアによって実施することもできる。
【0037】
送信ポイント装置700における初期化部702、スクランブル部703、および送受信部704の動作は、当業者に周知であるため、これらの詳しい説明については、本発明の独創的な点との混同を回避する目的で、本明細書では省略する。以下では、送信ポイント装置700のランダムシード生成部701の動作について詳しく説明する。
【0038】
上記ランダムシード生成部701は、RS信号のスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードを、等式(1)に示したように送信ポイントIDを使用する代わりに、UEに固有なIDに基づいて生成する。この場合、このようなUEに固有なIDは、IMSI(International Mobile Subscriber Identification Number)など、UEに固有なグローバルな識別番号とすることができる。あるいは、このようなUEに固有なIDは、c−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)など、UEがLTEネットワークにアクセスするときにUEに割り当てられる、UEに固有なIDとすることもできる。
【0039】
一例として、等式(2)は、RS信号(例えばDMRS)のスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードを、次のようにc−RNTIに基づいて生成する場合に使用される。
【数13】
【0040】
この式において、C
initは生成されるランダムシードを表し、n
sはスロット番号を表し、n_RNTIは非特許文献2に定義されているパラメータであって、UEに固有なIDを表す。なお、パラメータ「c_RNTI」は、複数の異なるRNTIを表す「n_RNTI」のサブセットであり、「n_RNTI」はほとんどの場合に「c_RNTI」である。したがって、ランダムシード生成部701は、等式(2)からランダムシードを生成することができる。
【0041】
この実施形態における等式(2)と、リリース10におけるDMRSランダムシードを生成するための上記の等式(1)とを比較することから理解できるように、等式(1)におけるパラメータcell_idが等式(2)には含まれていない。したがって、
図4に示したような、JTのシナリオと非CoMPのシナリオとにおけるDMRSランダムシードに関する矛盾する要件が、等式(2)を使用することによって解決する。具体的には、JTのシナリオでは、隣接する送信ポイント(セル)すべてが、UEに固有なIDを使用してDMRSランダムシード(したがってスクランブリングシーケンス)を生成するため、たとえ送信ポイントの送信ポイントIDが異なっている場合でもDMRSが同じである。非CoMPのシナリオでは、異なるUEが、UEに固有な異なるIDを有し、DMRSランダムシード(したがってスクランブリングシーケンス)を生成するのにこれらの異なるIDが使用されるため、たとえ送信ポイントの送信ポイントIDが同じである場合でもDMRSが異なる。したがって、隣接する送信ポイントにおける重複するDMRSが異なるスクランブリングシーケンスを有し、潜在的なセル間干渉がランダム化される。
【0042】
図8は、本開示の第1の実施形態によるUEを示したブロック図である。本開示の第1の実施形態によるUE800は、通信システムにおいて送信ポイント装置と通信するために使用される。UE800は、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の位置(無線リソース、すなわちサブキャリアやサブフレームなどの時間リソース及び/又は周波数リソース)に割り当てられたRS信号を、送信ポイント装置から受信する。
図8に示したように、UE800は、送受信部801および復調部802を含む。送受信部801は、送信ポイント装置からリソースブロックを受信する。復調部802は、時間領域及び/又は周波数領域においてリソースブロックを検出してRS信号を取得する。この場合、信号は、UEに固有なIDに基づいて生成されたランダムシードによって初期化されたスクランブリングシーケンスによってスクランブルされている。
【0043】
送信ポイント装置700に関連して前述したように、DMRSなどのRS信号のスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードは、UEに固有なID(例えば等式(2)に示したc−RNTI)に基づいて生成することができる。すなわち、この実施形態によると、ランダムシードを等式(2)から生成することができる。なお、等式(2)は単なる例示にすぎず、UEに固有なIDはc−RNTIに制限されることはなく、代わりに、IMSI、又は、本開示には記載されていないUEに固有な他のIDとすることができることに留意されたい。
【0044】
本開示によるUE800は、関連するプログラムを実行してさまざまなデータを処理し、UE800の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)810、CPU810がさまざまなプロセスおよび制御を実行するうえで要求されるさまざまなプログラムを格納するROM(Read Only Memory)813、CPU810によるプロセスおよび制御の手順の中で一時的に生成される中間データを格納するRAM(Random Access Memory)815、及び/又、さまざまなプログラムやデータなどを入力または出力するI/O部817、をさらに含むことができる。上記送受信部801、復調部802、CPU810、ROM813、RAM815、及び/又、I/O部817は、データ/コマンドバス820を介して相互に接続することができ、互いの間で信号を伝送する。
【0045】
上記各構成部は、本開示の範囲を制限するものではない。本開示の一実施形態によると、上記の送受信部801および復調部802のうちの任意の機能を、上記のCPU810、ROM813、RAM815、及び/又、I/O部817と組み合わせて、機能ソフトウェアによって実施することもできる。
【0046】
この実施形態によると、RS信号のスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードを、UEに固有なIDに基づいて生成することによって、
図4に示したような、JTのシナリオと非CoMPのシナリオとにおけるDMRSランダムシードに関する矛盾する要件が解決される。すなわち、JTのシナリオでは、複数の送信ポイントからの同じDMRSが保証される一方で、非CoMPのシナリオでは、隣接する送信ポイントからの異なるDMRSが保証される。
【0047】
(第2の実施形態)
第1の実施形態において提示した等式(2)と、リリース10におけるDMRSランダムシードを生成するための等式(1)とを比較することによって理解できるように、等式(2)から生成されるランダムシードは、等式(1)から生成されるランダムシードと衝突することがある。その理由として、等式(2)におけるパラメータn_RNTIの範囲が0〜2
16−1であるためである。等式(1)から生成されるランダムシードがリリース10のUEに割り当てられる一方で、等式(2)から生成されるランダムシードがリリース11のUEに割り当てられる場合を考えると、等式(1)から生成されるランダムシードが割り当てられるリリース10のUEと、等式(2)から生成されるランダムシードが割り当てられるリリース11のUEとが同時に存在する場合、上記衝突によって問題が発生することがある。
【0048】
上記衝突の問題を解決するため、等式(3)は、第1の実施形態における等式(2)に関する1つの例示的な改善を次のように提供する。
【数14】
この式において、
【数15】
であり、Maxが送信ポイントIDの最大値を表し、パラメータC
init、n
s、およびn_RNTIは、等式(2)の場合と同じである。
【0049】
等式(3)を等式(1)と比較することで容易に理解できるように、等式(3)におけるパラメータMaxはcell_idの最大値に対応するため、Max≧cell_idである。したがって、
【数16】
、したがって、
【数17】
である。さらに、等式(1)におけるパラメータSCIDは、一般には0または1として設定され、したがってSCID<2である。したがって、
【数18】
である。このため、等式(3)から生成されるランダムシードは、等式(1)から生成されるリリース10のDMRSランダムシードよりも常に大きい。ランダムシードを生成する等式(3)を使用することで、ランダムシードが衝突する上記問題を解決することができる。なお、等式(3)は、等式(2)に対する1つの例示的な改善策にすぎず、上記ランダムシード衝突問題の解決策はこれに限定されない。例えば、等式(3)における定数「2」は臨界値であり、2よりも大きい任意の数に置き換えることができる。したがって、この実施形態によると、送信ポイント装置(例えば700)またはUE(例えば800)に対して、等式(3)からランダムシードを生成することができる。
【0050】
この実施形態によると、第2の実施形態の、UEに固有なランダムシードを生成する等式(2)を改善することによって、UEに固有なランダムシードとリリース10のランダムシードとの衝突を回避することができ、その一方で、
図4に示したようなJTのシナリオと非CoMPのシナリオにおけるDMRSランダムシードに関する矛盾した要件が解決される。
【0051】
(第3の実施形態)
前述したように、受信側においてDMRSをブラインド検出することは、MU−MIMO動作においてUEが干渉を推定するうえで役立つ。しかしながら、等式(2)または等式(3)を使用してDMRSランダムシードを生成する場合、UEはブラインド検出を実行できないことがある。なぜなら、この場合にはUEに固有なランダムシードの候補が多すぎる、またはブラインド検出空間が大きすぎるためである。例えば、上述した等式(2)および等式(3)のいずれにおいても、n_RNTIの値の候補は2
16個存在し、等式(2)または等式(3)から生成されうるランダムシードは2
16個存在し、結果としてDMRSのディメンション(dimension)は、リリース10のDMRSランダムシード生成等式(1)を使用する
図6の場合よりも大幅に多い。DMRSのディメンションが多すぎる場合、DMRSのブラインド検出を実行することは困難である。
【0052】
MU−MIMOにおけるDMRSポートの間の直交性は、等式(2)および等式(3)の別の問題点である。
図5に示したように、MU−MIMOの場合、2基のUE(すなわちUE1およびUE2)が存在する。ここで、UE1にDMRSポート7(OCC[1,1])が割り当てられており、UE2にDMRSポート8(OCC[1,−1])が割り当てられており、UE1およびUE2の両方が、等式(2)または等式(3)から生成されるUEに固有なランダムシードによって設定されているものと想定する。したがって、
図9に示したように、2つの異なるシーケンスがそれぞれ2つの直交DMRSポート(ポート7およびポート8)にスクランブルされる。
図9は、多重化されたMU−MIMO DMRSの例を示した概略図である。
図9においては、OCC[1,1]に対応するポート7がスクランブリングシーケンス[A1,B1...]によってスクランブルされ、OCC[1,−1]に対応するポート8がスクランブリングシーケンス[C1,D1...]によってスクランブルされる。2つのスクランブリングシーケンスは、それぞれ、UEに固有なそれぞれのIDに基づいて上記等式(2)または等式(3)から生成される2つの異なるランダムシードによって初期化される。この場合、(A1
*)C1+(B1
*)D1=0または[A1,B1]⊥[C1,D1]であるならば、2つのDMRSポート間の直交性は損なわれる。したがって、このようなMU−MIMOの場合、MU UEの間のDMRS直交性を維持するためには、2つのMU UEに直交DMRSポート7(例えばポート7およびポート8)が割り当てられている場合、これらのMU UEに同じスクランブリングシーケンスを使用する必要がある。
【0053】
図5および
図6を参照しながら上述したように、リリース10のDMRSランダムシードの設計ではブラインド検出が可能であることを考慮して、この実施形態の基本的な発想は、UEに固有なIDに基づいてDMRSランダムシードを生成する場合に発生する上記2つの問題を解決する目的で、等式(1)から生成されるリリース10のDMRSランダムシードと、等式(3)から生成されるUEに固有なDMRSランダムシードとの間で切り替えることである。具体的には、UEがMU−MIMO動作であるときには、リリース10のランダムシード生成等式(1)から生成されるリリース10のDMRSランダムシードを使用してUEが設定され、そうでない場合、等式(3)から生成されるUEに固有なランダムシードを使用してUEが設定される。
【0054】
このような切替えの利点として、UEがMU動作であるときには、リリース10のランダムシードを使用することでブラインド検出が可能となり、UEの間の直交性を維持することができる。UEがMU動作でないときには、UEに固有なランダムシードを使用することで、JT動作および非CoMP動作の両方における矛盾する要件を満たすことができる。
【0055】
図10は、本開示の第3の実施形態による送信ポイント装置を示したブロック図である。本開示の第3の実施形態による送信ポイント装置1000は、通信システムにおいてUEと通信するために使用される。送信ポイント装置1000は、第1の実施形態の送信ポイント装置700に類似して、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の位置(無線リソース、すなわちサブキャリアやサブフレームなどの時間リソース及び/又は周波数リソース)に割り当てられるRS信号を、UEに送信する。
図10に示したように、送信ポイント装置1000は、選択部1001と、初期化部1002と、スクランブル部1003と、送受信部1004とを含むことができる。選択部1001は、送信ポイントIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、UEに固有なIDに基づいて生成される第2のランダムシードとから、ランダムシードを選択する。初期化部1002は、選択部1001において選択されたランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する。スクランブル部1003は、初期化部1002において初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする。送受信部1004は、スクランブル部1003においてスクランブルされた信号を有するリソースブロックをUEに送信する。なお、この場合のRS信号とは、例えばDMRSなど任意の種類のRS信号とすることができることに留意されたい。
【0056】
本開示による送信ポイント装置1000は、CPU1010、ROM1013、RAM1015、及び/又、I/O部1017をさらに含むことができ、これらの要素は、いずれも第1の実施形態の送信ポイント装置700における要素と同じである。ここでは簡潔さを目的として、これらの要素の機能の説明を省略する。さらに、上記の選択部1001、初期化部1002、スクランブル部1003、送受信部1004、CPU1010、ROM1013、RAM1015、及び/又、I/O部1017は、データ/コマンドバス1020を介して相互に接続することができ、互いの間で信号を伝送する。
【0057】
上記各構成部は、本開示の範囲を制限するものではない。本開示の一実施形態によると、上記の選択部1001、初期化部1002、スクランブル部1003、送受信部1004のうちの任意の機能を、上記CPU1010、ROM1013、RAM1015、及び/又、I/O部1017と組み合わせて、機能ソフトウェアによって実施することもできる。
【0058】
この実施形態によると、
図8に示したUEは、送信ポイント装置1000からリソースブロックを受信して信号を取得することができる。この信号は、送信ポイントIDに基づいて生成された第1のランダムシードと、UEに固有なIDに基づいて生成された第2のランダムシードとから選択されるランダムシード、によって初期化されたスクランブリングシーケンスによって、スクランブルされている。
【0059】
リリース10のDMRSランダムシードとUEに固有なDMRSランダムシードとの間での切替えを実施するためには、切替えについてUEに通知するためのシグナリングが必要である。1つの単純な方法は、現在のPHY(物理レイヤ)シグナリングに、切替え用の1ビットのシグナリングフラグを追加することである。ただし、UEに切替えを通知する方法は、上述した方法に限定されないことに留意されたい。
【0060】
この実施形態によると、送信ポイント装置1000は、切替えフラグとして1ビットのシグナリングを追加することによって、第1のランダムシードと第2のランダムシードの間の切替え(選択)をUEに通知する通知部、をさらに含む(ただし
図10には示していない)。第1のランダムシードは等式(1)から生成することができる。第2のランダムシードは、第1のランダムシードとは異なる。第2のランダムシードは等式(3)から生成することができる。
【0061】
この実施形態によると(ただし
図8には示していない)、UE800の送受信部802は、第1のランダムシードと第2のランダムシードの選択を切替えフラグとしての1ビットのシグナリングによって示すメッセージをさらに受信することができ、この場合、第1のランダムシードは等式(1)から生成することができ、第2のランダムシードは第1のランダムシードとは異なり、第2のランダムシードは等式(3)から生成することができる。
【0062】
この実施形態によると、リリース10のDMRSランダムシードとUEに固有なDMRSランダムシードとの間で切り替えることによって、MU動作においてブラインド検出を可能とすることができ、UEの間の直交性を維持することができる。一方で、非MU動作において、JT動作および非CoMP動作の両方における矛盾する要件を解決することができる。
【0063】
以下では、リリース10のDMRSランダムシードとUEに固有なDMRSランダムシードの選択をUEに通知する方法に焦点を当てて説明する。
【0064】
図11は、非特許文献1に定義されている、リリース10におけるDMRSポートおよびDMRSランダムシードをUEに通知するためのテーブルを示している。
図11に示したように、テーブルは2つの部分に分割されており、左側の部分は1つの符号語の場合に対応し、右側の部分は2つの符号語の場合に対応する。左側の部分(1つの符号語の場合)において、左列には1つの符号語における8つの値0〜7が入力されており、右列は、その値が示すメッセージを表している。値7が予約されていることを除いて、それ以外の7つの値0〜6は、それぞれDMRSポートとDMRSランダムシードの異なる組合せを示している。具体的には、値0は、ポート7による1レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値1は、ポート7による1レイヤ送信、SCID=1の場合を示しており、値2は、ポート8による1レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値3は、ポート8による1レイヤ送信、SCID=1の場合を示しており、値4は、ポート7〜8による2レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値5は、ポート7〜9による3レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値6は、ポート7〜10による4レイヤ送信、SCID=0の場合を示している。
【0065】
図11におけるテーブルの右側の部分(2つの符号語の場合)は、左側の部分に類似している。すなわち、2つの符号語における8つの値0〜7は、それぞれDMRSポートとDMRSランダムシードの8つの異なる組合せを示している。具体的には、値0は、ポート7〜8による2レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値1は、ポート7〜8による2レイヤ送信、SCID=1の場合を示しており、値2は、ポート7〜9による3レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値3は、ポート7〜10による4レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値4は、ポート7〜11による5レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値5は、ポート7〜12による6レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値6は、ポート7〜13による7レイヤ送信、SCID=0の場合を示しており、値7は、ポート7〜14による8レイヤ送信、SCID=0の場合を示している。
【0066】
物理レイヤシグナリングでは、さまざまな値がエアインタフェースを介して送信される。UEは、さまざまな値を受信し、
図11のテーブルに従って値の意味を解釈する。
【0067】
図11から理解できるように、SCIDは、ほとんどの場合(すなわち、1つの符号語に対応する左側の部分における値0,2,4,5,6の場合と、2つの符号語に対応する右側の部分における値0,2,3,4,5,6,7の場合)において、0に等しい。このことから得られる発想として、ランダムシードの選択をUEに通知するための暗黙的なシグナリングとして、SCIDを使用することができる。
図12は、この実施形態による、リリース10のランダムシードとUEに固有なランダムシードの選択をUEに通知するためのテーブルを示している。
図12においては、1つの符号語の場合と2つの符号語の場合の両方において、8つの値を使用してリリース11のメッセージを示す。
【0068】
図12のテーブルと
図11のテーブルとを比較することによって理解できるように、
図11における「SCID=0」が、
図12においては「リリース11のメッセージ」における「UEに固有なシード」(UEに固有なランダムシード)に置き換えられており、
図11における「SCID=1」が、
図12においては「リリース10のシード(SCID=0)」(リリース10のランダムシード)に置き換えられている。この場合、「リリース10のシード(SCID=0)」は、SCIDが0として設定されている場合に等式(1)から得られる次の等式(4)を表している。
【数19】
【0069】
この式において、パラメータN
IDcellは、等式(1)におけるパラメータcell_idと等価であり、送信ポイントIDの値を表す。
図12における「UEに固有なシード」は、UEに固有なIDに基づいて等式(3)から生成されるランダムシードを意味する。
図12に示したテーブルでは、
図11のテーブルにおける「SCID」を、リリース10のランダムシードとUEに固有なランダムシードの選択をUEに通知するための暗黙的なシグナリングとして使用している。すなわち、
図11におけるSCIDが0であるとき、そのことは、UEに固有なランダムシードの選択を示しており、
図11におけるSCIDが1であるとき、そのことは、等式(4)から生成されるリリース10のランダムシードの選択を示している。
【0070】
したがって、この実施形態によると、SCIDを切替えフラグとして使用することによって、リリース10のランダムシードとUEに固有なランダムシードとの間の切替え(選択)を、1ビットのシグナリングフラグを追加することなく現在の物理レイヤシグナリングを通じてUEに通知することができる。
【0071】
なお、
図12に示したテーブルは一例にすぎないことに留意されたい。
図12のテーブルの「値」と「メッセージ」の間の関係を再編成した場合、以前と同じ効果が得られることが容易に理解されるであろう。ただし再編成した後には、「SCID」を切替えフラグとして解釈することはできない。
【0072】
リリース10のDMRSランダムシードには、2つの候補、すなわちSCID=0(等式(4))およびSCID=1が存在することに留意されたい。しかしながら、
図12のテーブルでは、リリース10のDMRSランダムシード(リリース10のシード)に切り替えられるとき、SCID=0の場合のみが維持されている。
図6を参照することで理解できるように、この場合にブラインド検出が可能であるならば、SCID=0の場合のみと2つのOCC([1,1]および[1,−1])との組合せから、ブラインド検出のディメンションは2つのみとなる。しかしながら、リリース10では、実際にはブラインド検出の4つのディメンションがサポートされている。
【0073】
この実施形態においては、
図12のテーブルにおけるブラインド検出のディメンションに関する上記制約を克服する目的で、RSランダムシードの切替えをUEに通知するための切替えフラグの新規のビットを導入する代わりに、非特許文献1に定義されているテーブル(
図11のテーブル)を修正することができる。
【0074】
この実施形態は、
図12のテーブルを分析することから開始する。第一に、1つの符号語の場合における値7が予約値である。第二に、ポート7(OCC[1,1])およびポート8(OCC[1,−1])の両方が、UEに固有なランダムシードをサポートすることができる。さらには、非MU動作(例えばJT動作および非CoMP動作)の場合、第1の実施形態および第2の実施形態において説明したように、UEに固有なランダムシードを使用することで十分な効果が得られる。MU動作の場合、DMRSランダムシードがリリース10のランダムシードに切り替えられる。したがって、ポート7およびポート8の一方がUEに固有なランダムシードによって設定されれば十分であると結論することができる。
【0075】
上記の分析に基づき、この実施形態の基本的な発想は以下のとおりである。1)1レイヤ送信におけるDMRSランダムシードは、MUのシナリオの場合のリリース10におけるDMRSランダムシードと同じである。2)
図11における現在のシグナリングのテーブルの中の予約値7を利用する。3)非MUのシナリオの場合、(ポート7およびポート8の両方の代わりに)ポート7またはポート8の一方をUEに固有なランダムシードによって設定する。
図13は、この実施形態による、リリース10のランダムシードとUEに固有なランダムシードの間の切替え(選択)をUEに通知するための別のテーブルを示している。
図13に示したテーブルは、
図12に示したテーブルを改良したものである。この実施形態では、
図12のテーブルの左側の部分(1つの符号語の場合)のみが修正されており、右側の部分(2つの符号語の場合)は変更されないため、簡潔さを目的として、
図13には、修正された左側の部分のみを示してある。
【0076】
図13では、MU動作の場合、リリース10のランダムシードは、等式(1)から生成される通常のリリース10のランダムシードである。すなわち、値0〜3に対応するメッセージは、
図11のテーブルにおける値0〜3に対応するメッセージと同じである。これにより、ブラインド検出の4つのディメンションが確保される。
図13における値4〜6に対応するメッセージは、
図12のテーブルにおける値4〜6に対応するメッセージと同じであり、この場合、UEに固有なランダムシードは、等式(3)から生成されるランダムシードである。
図11および
図12において予約されている値7は、
図12においては、ポート7による1レイヤ送信、UEに固有なシードの場合を示している。予約値を使用し、ランク1送信においてUEに固有なランダムシードを使用して1つのみのポート(例えばポート7)を設定しているため、
図13に示したテーブルにおいては通常のリリース10のランダムシードを維持することが可能である。なお、これに代えて、値7は、ポート8による1レイヤ送信、UEに固有なシードの場合を示すことができる。
【0077】
この実施形態によると、MUブラインド検出空間は、リリース10におけるブラインド検出空間と同じであり、その一方で、DMRSランダムシードの切替えをUEに通知するための新規のシグナリングビットを導入する必要がない。
【0078】
なお、
図13のテーブルは一例にすぎず、テーブルの「値」と「メッセージ」の間の関係を再編成した場合、上述した効果と同じ効果が得られる。さらに、MUのシナリオのランク1送信においてUEに固有なランダムシードを使用して1つのポート(ポート7またはポート8)を設定すれば十分であるという意味において、
図12のテーブルにおける値「0」または「2」の一方のみを維持することも可能であることが、当業者には理解されるであろう。具体的には、値0を維持する場合、値1,2,3,7を使用することで、1レイヤ送信における異なるポートとリリース10の異なるランダムシードの4つの組合せを示すことができる。同様に、値2を維持する場合、値0,1,3,7を使用することで、1レイヤ送信における異なるポートとリリース10の異なるランダムシードの4つの組合せを示すことができる。
【0079】
上述した例は、いずれも下りリンクDMRSの場合に焦点を当てている。実際には、上りリンクのDMRSの場合にも、同様の問題が発生する。例えば、PUSCH(物理上りリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)の場合のUL(上りリンク)DMRSにおいては、送信ポイントIDに基づくランダムシードによってスクランブリングシーケンスが初期化される。隣接する送信ポイントが同じ送信ポイントIDを有する場合、隣接する送信ポイントの間でPUSCHのDMRSが互いに干渉することがある。この場合、UEに固有なID(例えばn_RNTI)に基づくUEに固有なランダムシードを使用する方が、例えば送信ポイントIDに基づく送信ポイントに固有なランダムシードを使用するよりも良好である。
【0080】
この実施形態によると、上りリンクRS信号は、UEに固有なIDに基づいて生成されるランダムシードによって初期化されたスクランブリングシーケンスによってスクランブルすることができる。
【0081】
この実施形態によると、上りリンクRS信号は、送信ポイントに固有なIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、UEに固有なIDに基づいて生成される第2のランダムシードとから選択されるランダムシード、によって初期化されたスクランブリングシーケンス、によってスクランブルすることもできる。
【0082】
上記の説明は、いずれもRS(例えばDMRS)の設計に焦点を当てている。実際には、スクランブリングは、データチャネル(例えばPDSCH(物理下りリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)又はPUSCH)と、制御チャネル(例えばPDCCH(物理下りリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)又はPUCCH(物理上りリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel))にも適用される。セルまたは送信ポイントの間で発生しうるセル間干渉をランダム化するため、ランダムシードによって初期化されたスクランブリングシーケンスがデータチャネルまたは制御チャネルにスクランブルされる。ランダムシードの生成には、送信ポイントIDも関与する。したがって、隣接するセルまたは送信ポイントが異なる送信ポイントIDを有する場合、JT動作において、前述した問題が発生する。この場合、UEに固有なIDに基づくUEに固有なランダムシードを使用してスクランブリングシーケンスを初期化することも解決策である。
【0083】
この実施形態によると、送信ポイント装置(例えば700,1000)またはUE(例えば800)において、信号は、RS、制御チャネルの制御信号、およびデータチャネルのデータ信号のうちのいずれか1つとすることができる。すなわち、この実施形態によると、信号(制御チャネルの制御信号またはデータチャネルのデータ信号のいずれか)を、UEに固有なIDに基づいて生成されるランダムシードによって初期化されたスクランブリングシーケンスによってスクランブルすることができる。あるいは、この実施形態によると、信号(制御チャネルの制御信号またはデータチャネルのデータ信号のいずれか)を、送信ポイントに固有なIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、UEに固有なIDに基づいて生成される第2のランダムシードとから選択されるランダムシード、によって初期化されたスクランブリングシーケンス、によってスクランブルすることもできる。
【0084】
LTE(リリース8,9)およびLTE−A(リリース10)においては、下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、復調のためのRSとして使用されるCRS(制御参照信号)に基づいている。CRSは、プリコーディングされることなく送信ポイントに固有である。しかしながら、リリース11またはそれ以降のリリースでは、復調するための参照信号としてDMRSを利用することによって、PDCCHがE−PDCCH(Enhanced PDCCH)に強化される可能性が高い。この場合、上述した発想は、DMRSに基づくE−PDCCHにも次のように適用することができる。1)DMRSランダムシードは、UEに固有なIDに基づいて生成することができる。2)DMRSランダムシードは、UEに固有なランダムシードと送信ポイントに固有なランダムシード(例えばリリース10のランダムシード)との間で切り替えることができる。
【0085】
前述した理由に加えて、E−PDCCHのDMRSランダムシードをUEに固有なIDに基づいて生成することのもう1つの利点として、UEがE−PDCCHを検出するとき、E−PDCCHは制御チャネルであるため、そのUEは潜在的なDMRSの設定を認識していない。したがって、E−PDCCHにリリース10のDMRSランダムシードが使用されている場合、UEは、少なくとも、SCID=0またはSCID=1のどちらが使用されているかを「推測する」必要がある。しかしながら、E−PDCCHにUEに固有なDMRSランダムシードが使用されている場合、UEは、E−PDCCHの検出時にDMRSランダムシードを認識する。なぜなら、c−RNTIなどのUEに固有なIDは、この段階ですでにUEに割り当てられているためである。
【0086】
(第4の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態では、いずれも、UEに固有なIDに基づいて生成されるランダムシードを使用して、信号をスクランブルするためのスクランブリングシーケンスを初期化する。しかしながら、ランダムシードを生成するときのIDは、UEに固有なIDに限定されない。グループID(共通IDと称することもできる)に基づいてランダムシードを生成することも可能である。グループIDとは、UEのグループが1つのIDを共有できることを意味し、ランダムシードとしてUEに固有なIDを使用する場合とは異なる。一例として、等式(5)は、信号のスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードを、次のようにグループIDに基づいて生成するために使用される。
【数20】
この式において、C
initはランダムシードを表し、n
sはスロット番号を表し、group_idはグループIDを表す。
【0087】
等式(5)を等式(1)と比較することによって理解できるように、これら2つの等式の違いとして、等式(1)におけるcell_idが等式(5)ではgroup_idに置き換えられている。さらに等式(5)にはSCIDが含まれていない。等式(1)の場合、UEは、送信ポイントに固有な方法(すなわちブロードキャストチャネル)を通じてcell_idを認識する。同様に、等式(5)の場合、送信ポイント装置がgroup_idを割り当てて、UEに固有なシグナリングによってUEに通知することができる。
【0088】
group_idを使用することにより、ランダムシードの要件(例えば、
図4に示したように、JT動作ではランダムシードが同じであること、非CoMP動作ではランダムシードが異なること)を、送信ポイントが同じgroup_idまたは異なるgroup_idをUEに割り当てることによって、満たすことができる。
【0089】
しかしながら、MU動作においては、リリース11のUEとリリース10のUEとが同時に存在することがある。この場合、リリース11のUEが、等式(5)によって生成されるランダムシードを使用する場合、リリース10のUEは、リリース11のUEのMU干渉の場合のブラインド検出を行うことができない。この問題を解決するため、上述した第3の実施形態の発想をこの実施形態においても使用することができる。すなわち、MU動作の場合には、送信ポイントIDに基づいて等式(1)によって生成されるリリース10のランダムシードを使用してスクランブリングシーケンスを初期化して信号をスクランブルする。それ以外の場合(例えばJT動作および非CoMP動作)には、等式(5)によって生成されるランダムシードを使用する。
【0090】
この実施形態によると、送信ポイント装置(例えば1000)は、グループIDをUEに固有なシグナリングによってUEに通知する通知部をさらに含むことができる。第2のランダムシードは、グループIDを含んだ等式(5)から生成される。
【0091】
この実施形態によると、UE(例えば800)において、送受信部は、グループIDを示すUEに固有なシグナリングを送信ポイントからさらに受信することができる。第2のランダムシードは、グループIDを含んだ等式(5)から生成される。
【0092】
(第5の実施形態)
図14は、本開示の第5の実施形態による、信号をスクランブルする方法の流れ図を示した図である。
【0093】
図14に示したように、本開示の第5の実施形態による方法1400は、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をスクランブルするために使用される。ステップS1401において、UEに固有なIDに基づいてランダムシードを生成する。ステップS1402において、ランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する。ステップS1403において、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする。
【0094】
この実施形態によると、上記ステップS1401はランダムシード生成部701によって実行することができ、上記ステップS1402は初期化部702によって実行することができ、上記ステップS1403はスクランブル部703によって実行することができる。
【0095】
この実施形態によると、UEに固有なIDは、UEに固有なグローバルな識別番号とすることができる。
【0096】
この実施形態によると、UEに固有なIDは、IMSI(International Mobile Subscriber Identification Number)とすることができる。
【0097】
この実施形態によると、UEに固有なIDは、UEがLTEネットワークにアクセスするときにUEに割り当てられる、UEに固有なIDとすることができる
【0098】
この実施形態によると、UEに固有なIDは、c−RNTIとすることができる。
【0099】
この実施形態によると、方法1400は、等式(2)に基づいてランダムシードを生成する工程、をさらに含むことができる(ただし
図14には示していない)。
【0100】
この実施形態によると、方法1400は、等式(3)に基づいてランダムシードを生成する工程、をさらに含むことができる(ただし
図14には示していない)。
【0101】
この実施形態によると、信号は、参照信号、制御チャネルの制御信号、およびデータチャネルのデータ信号のうちの1種類とすることができる。
【0102】
この実施形態によると、信号は、復調用参照信号(DMRS)とすることができる。
【0103】
この実施形態によると、方法1400は、スクランブルされた信号を有するリソースブロックを、送信ポイントからUEに、またはUEから送信ポイントに送信する工程、をさらに含むことができる(ただし
図14には示していない)。この工程は、送信ポイント装置700の送受信部704およびUE800の送受信部801によって実行することができる。
【0104】
この実施形態によると、信号のスクランブリングシーケンスを初期化するためのランダムシードを、UEに固有なIDに基づいて生成することによって、JTのシナリオおよび非CoMPのシナリオにおけるランダムシードに関する矛盾する要件が解決される。
【0105】
(第6の実施形態)
図15は、本開示の第6の実施形態による、信号をスクランブルする方法の流れ図を示した図である。
【0106】
図15に示したように、この実施形態による方法1500は、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1レイヤのリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をスクランブルする目的で使用される。ステップS1501において、送信ポイントIDに基づいて生成される第1のランダムシードと、第2のランダムシードとから、ランダムシードを選択する。ステップS1502において、選択されたランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する。ステップS1503において、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする。
【0107】
この実施形態によると、上記ステップS1501は選択部1001によって実行することができ、上記ステップS1502は初期化部1002によって実行することができ、上記ステップS1503はスクランブル部1003によって実行することができる。
【0108】
この実施形態によると、第2のランダムシードは、送信ポイントによって割り当てられるグループIDに基づいて生成することができる。
【0109】
この実施形態によると、方法1500は、グループIDを、UEに固有なシグナリングによってUEに通知する工程、をさらに含むことができる(ただし
図15には示していない)。この工程は、送信ポイント装置1000の通知部(
図10には示していない)によって実行することができる。
【0110】
この実施形態によると、第2のランダムシードは、等式(5)から生成することができる。
【0111】
この実施形態によると、第2のランダムシードは、UEに固有なIDに基づいて生成することができる。
【0112】
この実施形態によると、方法1500は、切替えフラグとしての1ビットのシグナリングを追加することによって、第1のランダムシードと第2のランダムシードの選択を受信器側に通知する工程、をさらに含むことができる。この工程は、送信ポイント装置1000の通知部(
図10には示していない)によって実行することができる。
【0113】
この実施形態によると、方法1500は、1つの符号語によって設定されるシグナリングを使用することによって、第1のランダムシードと第2のランダムシードの選択を受信器側に通知する工程、をさらに含むことができる。1つの符号語における7個の値は、それぞれ、次の7つの場合、すなわち、第1のポートによって設定された1レイヤの信号および第2のランダムシード、第1のポートによって設定された1レイヤの信号および第1のランダムシード、第2のポートによって設定された1レイヤの信号および第2のランダムシード、第2のポートによって設定された1レイヤの信号および第1のランダムシード、第1および第2のポートによって設定された2レイヤの信号および第2のランダムシード、第1、第2、および第3のポートによって設定された3レイヤの信号および第2のランダムシード、および、第1〜第3のポートおよび第4のポートによって設定された4レイヤの信号および第2のランダムシード、を示す。この工程は、送信ポイント装置1000の通知部(
図10には示していない)によって実行することができる。
【0114】
この実施形態によると、方法1500は、2つの符号語によって設定されるシグナリングを使用することによって、第1のランダムシードと第2のランダムシードの選択を受信器側に通知する工程、をさらに含むことができる。2つの符号語における8個の値は、それぞれ、次の8つの場合、すなわち、第1および第2のポートによって設定された2レイヤの信号および第2のランダムシード、第1および第2のポートによって設定された2レイヤの信号および第1のランダムシード、第1、第2、および第3のポートによって設定された3レイヤの信号および第2のランダムシード、第1〜第4のポートによって設定された4レイヤの信号および第2のランダムシード、第1〜第4のポートおよび第5のポートによって設定された5レイヤの信号および第2のランダムシード、第1〜第5のポートおよび第6のポートによって設定された6レイヤの信号および第2のランダムシード、第1〜第6のポートおよび第7のポートによって設定された7レイヤの信号および第2のランダムシード、および、第1〜第7のポートおよび第8のポートによって設定された8レイヤの信号および第2のランダムシード、を示す。この工程は、送信ポイント装置1000の通知部(
図10には示していない)によって実行することができる。
【0115】
この実施形態によると、第1のランダムシードは、等式(1)から生成される。
【0116】
この実施形態によると、方法1500は、1つの符号語によって設定されるシグナリングを使用することによって、第1のランダムシードと第2のランダムシードの選択を受信器側に通知する工程、をさらに含むことができる。1つの符号語における8個の値は、それぞれ、次の8つの場合、すなわち、第1のポートによって設定された1レイヤの信号およびSCID=0の第1のランダムシード、第1のポートによって設定された1レイヤの信号およびSCID=1の第1のランダムシード、第2のポートによって設定された1レイヤの信号およびSCID=0の第1のランダムシード、第2のポートによって設定された1レイヤの信号およびSCID=1の第1のランダムシード、第1および第2のポートによって設定された2レイヤの信号および第2のランダムシード、第1、第2、および第3のポートによって設定された3レイヤの信号および第2のランダムシード、第1〜第3のポートおよび第4のポートによって設定された4レイヤの信号および第2のランダムシード、および、第1のポートまたは第2のポートによって設定された1レイヤの信号および第2のランダムシード、を示す。この工程は、送信ポイント装置1000の通知部(
図10には示していない)によって実行することができる。
【0117】
この実施形態によると、第2のランダムシードは、第1のランダムシードとは異なる。
【0118】
この実施形態によると、第2のランダムシードは、等式(3)から生成される。
【0119】
この実施形態によると、信号は、参照信号、制御チャネルの制御信号、およびデータチャネルのデータ信号のうちの1つとすることができる。
【0120】
この実施形態によると、方法1500は、スクランブルされた信号を有するリソースブロックを、送信ポイントからUEに、またはUEから送信ポイントに送信する工程、をさらに含むことができる。この工程は、送信ポイント装置1000の送受信部1004およびUE800の送受信部801によって実行することができる。
【0121】
この実施形態によると、送信ポイントに固有なランダムシードと、UEに固有なランダムシード、または送信ポイントによって割り当てられるグループIDに基づいて生成されるランダムシードとの間で切り替えることによって、MU動作においてブラインド検出を可能にすることができ、UE間の直交性を維持することができる。一方で、非MU動作において、JT動作および非CoMP動作の両方における矛盾する要件を解決することができる。
【0122】
(第7の実施形態)
第4の実施形態において上述したように、グループIDを使用してランダムシードを生成することによって、
図4に示したように、JT動作におけるランダムシードの要件と、非CoMP動作におけるランダムシードの要件とを満足することができる。しかしながら、UEに固有なIDを使用してDMRSシードを生成する方法(この場合、UEに固有なIDはUEに既知である)とは異なり、グループIDを使用してDMRSシードを生成する場合には、グループIDをUE側に通知する必要がある。この実施形態は、グループIDをUEに通知する方法に焦点を当てる。
【0123】
グループIDを使用してDMRSランダムシードを生成するときには、次の2つの設定を決定する必要がある。
1)背景技術で説明した複数の異なるシナリオ(CoMP、非CoMP、およびMUの各シナリオ)に対応するために必要であるグループIDの数。
2)使用されるグループIDをUEに通知する方法(すなわち、上位レイヤシグナリングによるか、物理レイヤシグナリングによるか)。
【0124】
設定1)については、シナリオによってグループIDの数が異なる。具体的には、CoMPシナリオまたは非CoMPシナリオにおいてグループIDを使用する場合、DMRSに起因するセル間干渉を回避するためには大きな範囲のグループIDが有用なことがある。これに対して、MU動作においてグループIDを使用する場合、MUブラインド検出を行うには小さい範囲のグループIDが有用なことがある。
【0125】
設定2)についても、グループIDを使用するシナリオによって通知方法が異なる。具体的には、UEが送信ポイント(セル)の境界域にあり、CoMP状態と非CoMP状態の間の切替えが高速で行われる場合、グループIDを高速で設定する必要がある(上位レイヤシグナリングはこのような切替えを追跡できない)。したがって、物理レイヤシグナリングが必要である。UEが送信ポイント(セル)の中心に位置し、MU状態と非MU状態との間の切替えが高速で行われる場合にも、同様のことがあてはまる。しかしながら、UEが送信ポイント(セル)の中心から端に移動し、DMRSランダムシードを再設定する必要がある場合、上位レイヤシグナリングで十分である。
【0126】
したがって、グループIDが使用される特定のケースに応じて、大きい範囲または小さい範囲のグループIDと、上位レイヤシグナリングまたは物理レイヤシグナリングのいずれも、何らかの種類のシナリオを満足させることができる。大きな範囲のグループIDと物理レイヤシグナリングがつねに使用されるならば、それは多大な無駄を意味する。したがって、適切な範囲のグループIDと、グループIDをUEに設定する方法をどのように選択するかは、重要な問題である。
【0127】
この実施形態においては、上位レイヤシグナリングと物理レイヤシグナリングとを組み合わせることでこの問題を解決することを提案する。グループIDをUEに設定する(送る)ための提案する方法は、次の2つの工程からなる。
1)グループIDテーブルを、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定する(送る)。このテーブルは、UEが使用できる利用可能なグループIDを含む。グループIDの範囲全体は大きくすることができるが、ネットワーク側がグループID空間全体のうちのサブセットを設定してUEに送ることができる。
2)グループIDテーブルをUEに設定した(送った)後、グループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかを、物理レイヤシグナリングを使用してUEに通知する。
【0128】
この実施形態の基本的な発想は、
図16に示してある。
図16は、この実施形態による、グループIDの設定を示した概略図である。
図16には、3つのマクロセル(マクロ送信ポイント)1〜3を示してある。マクロセル1においては、MU動作が実行され、基地局装置1および4基のUE1〜4が存在する。マクロセル2においては、JT(CoMP)動作が実行され、基地局装置2と、2基の低電力ノード(LPN)1,2と、UE5とが存在し、基地局装置2、低電力ノード1、および低電力ノード2は、いずれもそれぞれ異なる送信ポイント(セル)IDを有する。マクロセル3においては、非CoMP動作が実行され、基地局装置3と、4基の低電力ノード1〜4と、3基のUE6〜8とが存在し、基地局装置3、低電力ノード1、低電力ノード2、低電力ノード3、および低電力ノード4のいずれも、同じ送信ポイント(セル)IDを有する。この場合、基地局装置または低電力ノードは、送信ポイント(装置)とも称することができる。
【0129】
3種類の動作を実行しているこれらの3つのマクロセルにおいて、ネットワーク側は、異なるマクロセル内のUEに異なるグループIDテーブルを、それぞれ上位レイヤシグナリングを通じて設定する(送る)。
図16に示したように、グループIDテーブルそれぞれは、2つの部分、すなわち「インデックス」および「情報」を含み、「インデックス」はインデックスを示し、「情報」は、UEに利用可能な対応するグループIDを示す。
【0130】
具体的には、
図16に示したように、マクロセル1の中のUE1〜4は、図の左側のグループIDテーブルによって設定されている。このグループIDテーブルには、2つのインデックス0,1と、それぞれに対応するグループID(すなわちグループID 1およびグループID 2)が含まれている。
図6を参照しながら上述したように、MU動作状態のUE1〜4の2つのランダムシードは、MUブラインド検出の要件を満たすことができる。したがってマクロセル1の場合には2つの利用可能なグループIDで十分である。
【0131】
マクロセル2の場合、基地局装置2、低電力ノード1、および低電力ノード2がそれぞれ異なる送信ポイント(セル)IDを有する。このため、それぞれの異なる送信ポイントIDに基づいて生成される異なるDMRSランダムシードは、背景技術で説明したようにJT動作におけるランダムシードの要件を満たすことができない。したがって、この場合には要件を満たすことができるように、グループIDを使用してDMRSランダムシードを生成する。具体的には、UE5は、図の中央のグループIDテーブルによって設定される。このグループIDテーブルには、3つのインデックス0,1,2と、それぞれに対応するグループID(すなわちグループID 3、グループID 4、およびグループID 5)が含まれている。この場合、3つの利用可能なグループIDが提供されているのは、マクロセル2の中に3つの送信ポイント(すなわち基地局装置2および低電力ノード1,2)が存在するためである。
【0132】
マクロセル3の場合、基地局装置3、低電力ノード1、低電力ノード2、低電力ノード3、および低電力ノード4のすべてが同じ送信ポイント(セル)IDを有する。このため、それぞれの同じ送信ポイントIDに基づいて生成される同じDMRSランダムシードは、背景技術で説明したように非CoMP動作におけるランダムシードの要件を満たすことができない。したがって、この場合には要件を満たすことができるように、グループIDを使用してDMRSランダムシードを生成する。具体的には、UE6〜8は、図の右側のグループIDテーブルによって設定される。このグループIDテーブルには、5つのインデックス0〜4と、それぞれに対応するグループID6〜10が含まれている。この場合、5つの利用可能なグループIDが提供されているのは、マクロセル3の中に5つの送信ポイント(すなわち基地局装置3および低電力ノード1〜4)が存在するためである。
【0133】
上述したように、UEに設定されるグループIDテーブルは、UEによって使用され得る最大数のグループIDを含むことができる。これはグループID空間全体のサブセットである。
図16に示したように、グループID空間全体は、多数のグループID(例えばグループID 1〜グループID N)を含むことができる。しかしながら、UEに設定されるグループIDテーブルの中のグループIDの数は、制限される。したがって、各UEには、小さい範囲のインデックスのみで十分である。
【0134】
UEがネットワーク側から上位レイヤシグナリングを通じてグループIDテーブルによって設定されているとき、送信ポイント装置(基地局装置)は、物理レイヤシグナリングを使用して、そのグループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかをUEに通知する、またはグループIDテーブルの中の使用される「インデックス」をUEに通知する。具体的には、例えばマクロセル1の場合、基地局装置1の通知によって、UE1およびUE3のDMRSは、インデックス0(すなわちグループID 1)に基づいて生成されるランダムシードによって初期化されるスクランブリングシーケンスによってスクランブルされ、UE2およびUE4のDMRSは、インデックス1(すなわちグループID 2)に基づいて生成されるランダムシードによって初期化されるスクランブリングシーケンスによってスクランブルされる。
【0135】
マクロセル2の場合、UE5に設定されるグループIDテーブルには3つの利用可能なグループID 3〜5が含まれているが、実際には3つの利用可能なグループIDすべてが必ず使用されるわけではない。例えば、異なる送信ポイントによるJT動作の場合、
図4を参照しながら上述したように、設定されたグループIDテーブルの中の利用可能なグループIDのうちの1つに基づいて、同じランダムシードが生成される。したがって例えば、
図16に示したように、基地局装置2および低電力ノード2の両方においてインデックス0(すなわちグループID 3)に基づいて同じランダムシードが生成されることが、基地局装置2および低電力ノード2からの物理レイヤシグナリングを通じてUE5に通知される。
【0136】
次にマクロセル3について説明する。
図4を参照しながら説明したように、隣接する送信ポイントによる非CoMP動作の場合、DMRSに起因するセル間干渉を回避するため、異なるグループIDに基づいて生成される異なるDMRSランダムシードが要求される。したがって、
図16に示したように、干渉する2つの隣接する送信ポイントである基地局装置3(UE7に信号を送信する)および低電力ノード2(UE6に信号を送信する)の動作においては、基地局装置3のランダムシードがインデックス2(すなわちグループID 8)に基づいて生成されることが、基地局装置3から物理レイヤシグナリングを通じてUE7に通知され、低電力ノード2のランダムシードがインデックス0(すなわちグループID 6)に基づいて生成されることが、低電力ノード2から物理レイヤシグナリングを通じてUE6に通知される。同様に、干渉する2つの隣接する送信ポイントである基地局装置3(UE7に信号を送信する)および低電力ノード4(UE8に信号を送信する)の動作においては、低電力ノード4のランダムシードがインデックス4(すなわちグループID 10)に基づいて生成されることが、低電力ノード4から物理レイヤシグナリングを通じてUE8にさらに通知される。
【0137】
なお、マクロセルの中に異なる種類の動作が同時に存在する可能性がある。例えば、
図16のマクロセル3に示したように、2つの送信ポイントである低電力ノード2および低電力ノード1が同じUE(すなわちUE6)に信号を送信する。これはJT動作のケースである。このため、低電力ノード1のDMRSは、低電力ノード2のDMRSと同じであるべきである。したがって、低電力ノード1のランダムシードがインデックス0(すなわち低電力ノード2の場合と同じグループID 6)に基づいて生成されることが、低電力ノード1から物理レイヤシグナリングを通じてUE6に通知される。
【0138】
図16においては、各マクロセルに、グループIDの異なるサブセットが割り当てられている。これは、送信ポイント(セル)にグループIDを割り当てるうえで単純な方式である。しかしながら、本開示は、この方式に制限されず、異なる送信ポイント(セル)に割り当てられるグループIDが互いに重複していることも可能である。
【0139】
この実施形態によると、送信ポイント装置(例えば700)は、通知部(図示していない)をさらに備えていることができる。この通知部は、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定された(送られた)グループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかを、物理レイヤシグナリングを通じてUEに通知する。この場合、グループIDテーブルは、グループID空間全体のサブセットであり、UEに利用可能なグループIDを含む。したがって、送信ポイント装置のランダムシード生成部(例えば701)は、通知されるグループIDに基づいてランダムシードを生成する。
【0140】
この実施形態によると、UE(例えば800)は、自身の送受信部(例えば801)によって、送信ポイント装置から物理レイヤシグナリングをさらに受信することができる。この物理レイヤシグナリングは、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定された(送られた)グループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかをUEに通知する。この場合、グループIDテーブルは、グループID空間全体のサブセットであり、UEに利用可能なグループIDを含む。
【0141】
この実施形態に説明されているグループIDテーブルを使用することで、システムは、複数の異なる場合に対応する柔軟性を備える。1つのケースとして、例えば、異なるDMRSランダムシードの間での高速の切替えがUEに必要であるときには、物理レイヤシグナリングを使用することができる。別のケースとして、例えばUEが送信ポイント(セル)の中心部から端部に移動するときには、システムは、UEのグループIDテーブルを上位レイヤシグナリングを通じて再設定することができる。このようにグループIDテーブルを再設定することが可能であるため、各グループIDテーブルは限られた数のグループIDを含むことができる。すなわち、グループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかをUEに通知する目的で物理レイヤシグナリングを使用するときのシグナリングのオーバーヘッドが、それほど大きくない。
【0142】
(第8の実施形態)
上位レイヤシグナリングと物理レイヤシグナリングとを組み合わせてUEにグループIDを設定することで、DMRSランダムシードに関する異なる要件を満たす柔軟性が得られるが、依然として残る1つの問題は、UEのブラインド検出空間をどのように決定するかである。1つの単純な方法は、UEが、上位レイヤシグナリングによって設定されるグループIDテーブルをブラインド検出空間とみなすことである(UEは、テーブルの中のすべてのグループIDが自身との干渉を発生させ得ると想定する)。しかしながら、グループIDテーブルに含まれるグループIDの数は同じとは限らず、例えば
図16に示したように、マクロセル1〜3に設定されるグループIDテーブルには、それぞれ2つ、3つ、および5つの利用可能なグループIDが含まれている。さらには、ブラインド検出器の設計において、UEは最大のブラインド検出空間(すなわち、干渉する可能性のある最大数のランダムシード)に対応する必要がある。したがって、グループIDテーブル全体をブラインド検出空間とみなす方法では、ブラインド検出の能力又は信頼性が低下する。背景技術で
図6を参照しながら説明したように、リリース10においては、ブラインド検出空間は2つのみのランダムシードに制限されている。
【0143】
したがって、この実施形態の解決策は、第7の実施形態で説明した物理レイヤシグナリングが次の2つのパートを含む。
パートI:グループIDテーブルの中のどのグループIDがUEに使用されるかを、そのUEに通知する。
パートII:グループIDテーブルの中のどのグループIDが、UEと干渉する別のUEに使用されるかを、最初のUEに通知する。
【0144】
このような場合、UEのブラインド検出空間は、パートIによって通知されるグループIDと、パートIIによって通知されるグループIDとから構成される。したがって、UE側におけるブラインド検出は、物理レイヤシグナリングのパートIおよびパートIIから通知されるブラインド検出空間内で実行される。
【0145】
ブラインド検出空間を物理レイヤシグナリングを通じてUEに通知することによって、UEのブラインド検出空間を、グループIDテーブル全体とする代わりに制限することができる。
【0146】
(第9の実施形態)
上記の第8の実施形態においては、パートIから通知される、UEのためのグループIDと、パートIIから通知される、別のUEのためのグループIDは、いずれも、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される(送られる)グループIDテーブルから選択される。言い換えれば、パートIおよびパートIIの候補のグループIDが同じであり、いずれも、設定されたグループIDテーブルの中のグループIDである。
【0147】
しかしながら、実際には、パートIIの場合、別のUEは、最初のUEと同じ送信ポイント(セル)の中のUEであること(MUの場合)、または、最初のUEとは異なる送信ポイント(セル)の中のUEであることがある。すなわち、パートIおよびパートIIの候補のグループIDは、場合によって同じであって、または異なる。例えば、複数のUEが送信ポイント(セル)の中心付近に存在するMUの場合、これらのUEは、MU状態とSU状態との間で高速に切り替えることができる。したがって、パートIおよびパートIIの候補のグループIDは同じであり、いずれも、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定された(送られた)グループIDテーブルの中のグループIDである。これに対して、UEが送信ポイント(セル)の端部に移動するときには、別のUEは、ほとんどの場合には隣接する送信ポイント(セル)の中に存在する。したがって、パートIIの候補のグループIDは、その隣接する送信ポイント(セル)に設定されたグループIDテーブルの中のグループIDである可能性が高い。このような場合、パートIの候補のグループIDと、パートIIの候補のグループIDとが異なる。
【0148】
上記の分析に基づき、この実施形態においては、構造化されたグループIDテーブル(structured group ID table)を上位レイヤシグナリング(例えばRRC(無線リソース制御:Radio Resource Control))を通じてUEに設定することを提案する。具体的には、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される構造化されたグループIDテーブルは、2つのセット(例えばセット1およびセット2)からなる。UEのDMRSランダムシードに使用されるグループIDはセット1から選択される。すなわち上述した物理レイヤシグナリングのパートIがセット1の中である。UEと干渉する別のUEのDMRSランダムシードに使用されるグループIDはセット1またはセット2から選択される。すなわち物理レイヤシグナリングのパートIIがセット1またはセット2の中である。
【0149】
図17は、この実施形態による、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される構造化されたグループIDテーブルの例を示している。
図17には、詳細な一例を示してある。この構造化されたグループIDテーブルにおいては、例えばセット1およびセット2それぞれが2つのグループIDを含む。具体的には、セット1は2つのインデックス0,1および対応するグループID(すなわちid 0およびid 1)を含み、セット2は2つのインデックス2,3および対応するグループID(すなわちid 2およびid 3)を含む。1つのケースとして、セット1がローカルな送信ポイント(セル)に使用され、セット2が、干渉する送信ポイント(セル)に使用される。すなわち、セット1の中のid 0およびid 1は、ローカルな送信ポイントの中のUEに利用可能な2つのグループIDであり、セット2の中のid 2およびid 3は、干渉する送信ポイントの中のUEに利用可能な2つのグループIDである。
【0150】
したがって、MUの場合(例えばローカルな送信ポイントの中心付近)、物理レイヤシグナリングのパートIおよびパートIIによって通知されるグループIDは、いずれも、構造化されたグループIDテーブルのセット1から選択され、なぜならUE自身と、干渉するUE(UEと干渉する別のUE)の両方が、ローカルな送信ポイントの中に存在しているためである。これに対して、UEがローカルな送信ポイントの端部に移動するときには、パートIによって通知されるグループIDは依然としてセット1から選択されるのに対して、パートIIによるグループIDはセット2から選択され、なぜなら、干渉するUEは、干渉する送信ポイント(例えば最初のUEが位置しているローカルな送信ポイントに隣接する送信ポイント)の中に存在している可能性が高いためである。
【0151】
上述したように、物理レイヤシグナリングのパートIによって通知されるグループIDは、UEに設定される構造化されたグループIDテーブルのセット1から常に選択されるのに対して、パートIIによるグループIDは、セット1またはセット2のいずれかから選択される。したがってこのような場合、物理レイヤシグナリングにおけるパートIおよびパートIIに要求されるのはそれぞれ1ビットのみである。それ以外のオーバーヘッドは、パートIIによって通知されるグループIDを選択するための、セット1とセット2との間の切替えを示す1ビットのシグナリングであり、このシグナリングは、一般的にはUEが移動する場合に発生するものであるため、それほど頻繁には送られない。
【0152】
この構造化されたグループIDテーブルを使用しないときには、合計で4つの候補のグループIDが存在する場合、パートIおよびパートIIそれぞれに2ビットが要求される。したがって、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される(送られる)構造化されたグループIDテーブルによって、物理レイヤシグナリングのオーバーヘッドが50%減少する。
【0153】
この実施形態においては、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される構造化されたグループIDテーブルの各セットには、2つの利用可能なグループIDが含まれている。しかし、本開示はこれに制限されず、本開示の方法は、複数のレイヤの信号が多重化される場合に拡張することができる。すなわち、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される構造化されたグループIDテーブルの各セットが、複数のレイヤの信号に対応する複数の利用可能なグループIDを含むことができる。
【0154】
次の実施形態においては、構造化されたグループIDテーブルを含む対応する物理レイヤシグナリングの設計方法について、詳細な例を使用してさらに示す。
【0155】
(第10の実施形態)
上述した第3の実施形態においては、非特許文献1に定義されているテーブル(
図11に示してある)を再利用して、DMRSポートおよびDMRSランダムシードをUEに通知する方法を示した。この第10の実施形態においては、類似する方法を再設計することで、上述したように上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される(送られる)構造化されたグループIDテーブルに対応することができる。具体的には、物理レイヤシグナリングは、次の3つのパートから構成することができる。
パートI:セット1から選択されるどのグループIDが、UEのDMRSに使用されるかを、そのUEに通知する。
パートII:セット1またはセット2から選択されるどのグループIDが、UEと干渉する別のUEに使用されるかを、最初のUEに通知する。
パートIII:パートIIによって通知されるグループIDが選択される対象の干渉ランダムシード空間(干渉グループID空間)としてのセット1およびセット2の間の切替えを、UEに通知する。
【0156】
図18は、この実施形態による物理レイヤシグナリングのパートIに使用されるテーブルを示している。パートIの場合、
図11に示したテーブルを、
図18に示したテーブルのように再設計することができる。
図18には、簡潔さを目的として、多重化された1レイヤを有する1つの符号語の場合のみを示している。ただし本開示はこれに制限されない。
図18に示したように、同じ値0〜4に対して、2つの列「メッセージ、リリース10」および「メッセージ、リリース11」は、それぞれ、リリース10およびリリース11におけるDMRSポートとランダムシードの対応する組合せを示している。具体的には、リリース11においては、値に対応するDMRSポートはリリース10における対応するDMRSポートと同じであり、DMRSランダムシードに使用されるグループID(すなわちインデックス)は、リリース10におけるSCIDによって示すことができる。したがって、DMRSランダムシードをUEに通知するために新規のビットは要求されない。この場合、
図18のテーブルにおける「インデックス」は、
図17の構造化されたグループIDテーブルにおける「インデックス」を表す。
【0157】
パートIIの場合、
図17に示した構造化されたグループIDテーブルにおいて、干渉するUE(UEと干渉する別のUE)に使用されるグループIDに対応するインデックスをUEに通知するため、新しい追加の1ビットが要求される。
【0158】
図19は、この実施形態による、物理レイヤシグナリングのパートIIIに使用されるテーブルを示している。パートIIIの場合、
図11のテーブルを、
図19に示したテーブルのように再設計することができる。具体的には、リリース10における、以前には予約されていた値「7」が、干渉ランダムシード空間(干渉グループID空間)の切替え(例えば
図17に示した構造化されたグループIDテーブルにおけるセット1とセット2の間の切替え)を示す切替え信号として再利用されている。
【0159】
容易に理解されるように、パートIとパートIIIのいずれも現在のL1シグナリング(例えば現在のDCIフォーマット2C)を通じてUEに通知され、したがって、UEに物理レイヤシグナリングを送るたびに、パートIとパートIIIの一方のみを現在のL1シグナリングを通じてUEに通知することができる。これに続いて、次の課題は、基地局装置などの送信ポイント装置が予約値(「7」)をUEに送るとき、どのDMRSランダムシードおよびどのDMRSポートが使用されるかである。これを解決するため、この場合には次の規則を設定することが可能である。
1)セット1(すなわちパートIIではなくパートI)の中の、UEのDMRSランダムシードに使用されるグループIDを、この場合には新しい追加のビットを使用してUEに示す。
2)UEは、ポート7(OCC[1,1])またはポート8(OCC[1,−1])を使用するように決められる。
3)この場合のUEのブラインド検出空間はセット1の中である。
【0160】
図20Aおよび
図20Bは、UEが送信ポイントの中心部から端部に移動するときに、送信ポイントが、第9および第10の実施形態に定義されているように上位レイヤシグナリングおよび物理レイヤシグナリングを使用してUEを設定する場合の完全な例を示した概略図である。
【0161】
図20Aに示したように、2つのセル(送信ポイント)1,2(基地局装置1および基地局装置2)が存在する。送信ポイント1においては、時刻T1においてUE1およびUE2がMU動作状態にある。したがってこの時刻においてUE2は、UE1と干渉するUEであるものと想定する。次に時刻T2において、UE1が送信ポイント1の中心部から端部に移動する。その後、時刻T3において、UE1は送信ポイント1の端部に到着し、この時刻では、送信ポイント2の中のUE3が、UE1と干渉するUEとなる。
【0162】
この例においては、UE1は、図の左側に示した構造化されたグループIDテーブルによって、RRCなどの上位レイヤシグナリングを通じて設定される。UE1の構造化されたグループIDテーブルには、「サービングセル」と「干渉セル」という2つのセットが含まれており、これらのセットの名称はその内容を適切に表現したものであり、上に定義されているセット1およびセット2と実質的に同等である。具体的には、「サービングセル」のセットは、UE1に利用可能な2つのグループIDを含み、これはグループID空間全体のサブセットであり、UE1のサービングセル(送信ポイント)として機能する送信ポイント1の中のUEに割り当てられる。「干渉セル」のセットは、UE1に対する干渉セル(送信ポイント)(例えばこの例では送信ポイント2)の中のUEに利用可能な2つのグループIDを含み、このセットもグループID空間全体のサブセットである。この例において容易に理解できるように、「サービングセル」におけるid 0およびid 1は、UE1およびUE2に利用可能なグループIDであり、id 2およびid 3はUE3に利用可能なグループIDである。
【0163】
同様に、UE3も、図の右側に示した構造化されたグループIDテーブルによって、RRCなどの上位レイヤシグナリングを通じて設定される。UE3の場合、UE1とは異なり、そのサービングセル(送信ポイント)は送信ポイント2であり、その干渉セル(送信ポイント)が送信ポイント1であり、したがって、「サービングセル」には、UE3に利用可能なグループIDとしてid 2およびid 3が含まれており、「干渉セル」には、UE3に対する干渉セル(例えばこの例では送信ポイント1)の中のUEに利用可能なグループIDとしてid 0およびid 1が含まれている。
【0164】
上述したように、
図20Aは、この例では上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される(送られる)構造化されたグループIDテーブルを示している。以下では、UE1が送信ポイント1の中心部から端部に移動する間に、物理レイヤシグナリング(L1シグナリング)を通じて行われるUE1への通知について、
図20Bを参照しながら詳しく説明する。
【0165】
図20Bの上段には、時刻T1においてUE1に送られるL1シグナリングを示してある。具体的には、上述した
図11に示したテーブルを再設計することによって、UE1には、値「0」によって、ポート7およびid 0を使用するように通知される。さらに、干渉するUEに使用されるグループIDが、1つの新しい追加のビットを使用してUE1に通知され、例えば、「1」がid 1を示す。この理由として、時刻T1においてはUE1とUE2とがMU動作状態であり、すなわちUE2は、UE1と干渉するUEとみなされる。この場合、干渉ランダムシード空間は、UE1に設定された構造化されたグループIDテーブルの中の「サービングセル」の範囲だけであり、したがって、UE1のブラインド検出空間は「サービングセル」の中として定義される。
【0166】
図20Bの中段には、時刻T2においてUE1に送られるL1シグナリングを示してある。具体的には、再設計により、
図11に示したテーブルにおいては予約されている値「7」によって、干渉ランダムシード空間の切替えがUE1に通知され、すなわち、干渉ランダムシード空間が「サービングセル」から「干渉セル」に変更される。次に、T1とは異なり、T2においては、UE1のDMRSランダムシードに使用されるグループIDが、新しい追加のビットを使用してUE1に通知され、例えば「0」がid 0を示す。上述した規則によると、このような場合、UE1はポート7またはポート8に固定されており、したがって、どのDMRSポートが使用されるかをUE1に通知するための追加のビットが要求されない。さらに、T2においてUE1は移動しているため、干渉するUEをUE1に通知することは要求されず、したがって他の新規のビットは必要ない。このような場合、上述した規則によると、ブラインド検出空間は変化しないままであり、すなわち、UE1のための構造化されたグループIDテーブルにおける「サービングセル」の中である。
【0167】
図20Bの下段には、時刻T3においてUE1に送られるL1シグナリングを示してある。この時刻では、UE1は送信ポイント1の端部に到着している。したがって、この時刻におけるL1シグナリングは、T1におけるL1シグナリングに類似している。具体的には、上述したように
図11に示したテーブルを再設計することにより、UE1には、値「0」によって、ポート7およびid 0を使用するように依然として通知される。さらには、干渉するUEに使用されるグループIDをUE1に通知するため、L1シグナリングにおける1つの新しい追加のビットも使用される。この時点では、干渉するUEは、送信ポイント1の中のUE1ではなく送信ポイント2の中のUE3であり、干渉ランダムシード空間の切替えがT2においてすでにUE1に通知されているため、干渉ランダムシード空間は、UE1のための構造化されたグループIDテーブルにおける「干渉セル」であり、この時点で干渉するUEに使用されるグループIDは、「干渉セル」から選択され、例えばこの場合には「1」がid 3を示す。この場合、UE1のブラインド検出空間は、UE1のDMRSランダムシードおよび干渉するランダムシード(干渉するUEのランダムシード)の範囲内(すなわちid 0およびid 3)として定義される。
【0168】
現在のL1シグナリングにおける冗長性を十分に利用して、MUの場合またはUE側のセル間干渉の場合にブラインド検出空間をUEに示すことによって、UEのブラインド検出空間が制限され、シグナリングのオーバーヘッドが減少する。
【0169】
(第11の実施形態)
第10の実施形態の1つの問題は、PDCCHの検出に失敗することによって物理レイヤシグナリングが失われうることである。
図21は、この実施形態による、PDCCHの受信失敗に起因して物理レイヤシグナリングが失われる場合を示した概略図である。
図21に示したように、基地局装置がUEに予約値(パートIII)を送って、上述したようにセット1とセット2の間の切替えをUEに通知したが、UEがこの通知を受信しない場合、基地局装置とUEとの間に非同期性が発生する。すなわち、基地局装置は、干渉ランダムシード空間(干渉グループID空間)を例えばセット1からセット2に切り替えたが、UEは、干渉ランダムシード空間を変更しないままである。解決策として、このようなPDCCHの検出失敗を克服する目的で、Ack/Nck(肯定応答/否定応答)プロセスを組み合わせる。
【0170】
以下では、一例として、DL(下りリンク)Ack/Nckプロセスについて簡潔に紹介する。LTEまたはLTE−Aには、物理レイヤメッセージの消失を防止する目的で、UEと基地局装置との間のAck/Nckメカニズムが用意されている。具体的には、下りリンクの場合、サブフレームn(SF n)においてUEがメッセージを受信し、それが正しく復号された場合、UEはサブフレームn+4(SF n+4)において基地局装置にAck信号を送る。UEがメッセージを受信したが正常に復号されなかった場合、UEはSF n+4において基地局装置にNck信号を送る。基地局装置は、SF n+4におけるUEからのAck信号またはNck信号に基づいて、SF nにおいて送ったメッセージがUEによって正常に受信および復号されたかを認識する。基地局装置は、SF n+4において何も受信しない場合、SF nにおいて送ったメッセージが送信中に失われたものと想定する。
【0171】
このようなAck/Nckプロセスと組み合わせることによって、基地局装置とUEとの間の非同期性を回避することができる。
図22は、この実施形態による、Ack/Nckメカニズムと組み合わせることによって、基地局装置とUEとの間の非同期性が回避される場合を示した概略図である。
図22に示したように、UEがSF nにおいて予約値「7」または切替え命令を受信した場合、UEおよび基地局装置は、干渉ランダムシード空間をただちには変更しない、または切り替えない。代わりに、UEおよび基地局装置は、切り替えられていない干渉ランダムシード空間をSF n+4まで使用し、UEがSF n+4においてAck/Nck信号を基地局装置に送る。基地局装置が、UEから送られたAck/Nck信号を受信した場合、SF n+5において、基地局装置およびUEの両方は、干渉ランダムシード空間を同期して切り替え、基地局装置がUEから何も受信しない場合、基地局装置およびUEのいずれも、干渉ランダムシード空間を切り替えない。この手順は、基地局装置がSF nにおいて切替え命令をUEに送ったが、実際には(おそらくは厳しいチャネル条件に起因して)UEが何も受信しないという例外的な場合を目的とする。
【0172】
干渉ランダムシード空間(またはブラインド検出空間)の切替えに関して、Ack/Nckメカニズムと組み合わせることによって、基地局装置とUEとの間の非同期性を回避することができる。
【0173】
第7〜第10の実施形態においては、UEに使用されるグループIDと、UEと干渉する別のUEに使用されるグループIDとをUEに通知するのに物理レイヤシグナリングが使用されるが、本発明はこれに限定されない。前に上位レイヤシグナリングからUEに設定された(送られた)グループIDテーブルまたは構造化されたグループIDテーブルに基づいて、(UEの)DMRSランダムシードおよび(干渉するUEの)干渉DMRSランダムシードのインデックス(グループID)をUEに通知するのに、RRCシグナリングなどUEに固有な上位レイヤシグナリングを使用することも可能であることに留意されたい。この場合、RRC自体にシグナリング保護メカニズムが備わっているため、送信時にシグナリングが失われる心配はない。
【0174】
この実施形態によると、送信ポイント装置(例えば700)の通知部(図示していない)は、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定された(送られた)グループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかを、物理レイヤシグナリングまたはUEに固有な上位レイヤシグナリングを通じてUEに通知することができる。この場合、グループIDテーブルは、グループID空間全体のサブセットであり、UEに利用可能なグループIDを含む。
【0175】
この実施形態によると、UE(例えば800)は、その送受信部(例えば801)によって、送信ポイント装置からの物理レイヤシグナリングまたはUEに固有な上位レイヤシグナリングをさらに受信することができる。物理レイヤシグナリングまたはUEに固有な上位レイヤシグナリングは、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定された(送られた)グループIDテーブルの中のどのグループIDが使用されるかをUEに通知する。この場合、グループIDテーブルは、グループID空間全体のサブセットであり、UEに利用可能なグループIDを含む。
【0176】
(第12の実施形態)
本開示においては、DMRSおよびブラインド検出において、3種類のID、すなわち上述したようにセルID、UEに固有なID、およびグループIDのいずれも使用することができる。上記の第7〜第11の実施形態では、いずれも、UEにグループIDテーブルを設定することに焦点を当てているが、本開示はこれに限定されない。代わりに、(
図16に示した)第7の実施形態または(
図17に示した)第9の実施形態において説明したグループIDテーブルを、より一般的な場合に拡張して、「x」IDテーブルとすることができる。このような「x」IDは、1種類または2種類以上のIDとすることができる。第7〜第11の実施形態は、「x」IDが特にグループIDである場合の例である。
【0177】
図23は、この実施形態による、上位レイヤシグナリングを通じてUEに設定される構造化された「x」IDテーブルの例を示している。
図23の例においては、「x」IDは2種類のID、すなわちセルIDおよびUEに固有なIDである。具体的には、
図23の「x」IDテーブルの構造は、
図17のグループIDテーブルの構造に似ている。これらのテーブルの違いとして、
図23では、セット1には、UEに利用可能なIDとして、サービングセルのID 1とUEに固有なID 1とが含まれており、セット2には、UEと干渉するUEに利用可能なIDとして、サービングセルのID 2とUEに固有なID 2とが含まれている。すなわち、この場合にはUEおよび干渉するUEに対して、セルIDとUEに固有なIDの両方が利用可能である。
【0178】
MU動作に関する前述した第3の実施形態においては、ブラインド検出を可能にするため、セルIDのケースにUEが切り替えられる。しかしながら、
図23の構造化された「x」IDテーブルを使用すると、UEに固有なIDもブラインド検出用にUE側に利用可能である。なぜなら、UEのブラインド検出空間は構造化された「x」IDテーブルの中であり、物理レイヤシグナリングの設計と組み合わせることによって、IDの小さい範囲にさらに制限できるためである。
【0179】
この「x」IDテーブルは、第9の実施形態における構造化されたグループIDテーブルに類似して、セット1とセット2によって構造化されている。このため、この場合、第10の実施形態および第11の実施形態における対応する物理レイヤシグナリング設計を「x」IDテーブルでも利用することができるが、冗長な説明を回避するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0180】
なお、「x」IDは、本開示に説明されている3種類のIDに制限されない。当業者には、他の任意の種類のIDに容易に拡張することができるであろう。
【0181】
(第13の実施形態)
図24は、この実施形態による、信号をスクランブルする方法の流れ図を示した図である。
【0182】
図24に示したように、本開示の第13の実施形態による方法2400は、同じ時間・周波数リソースを有する少なくとも1層のリソースブロックの所定の無線リソースに割り当てられる信号をスクランブルする目的で使用される。ステップS2401において、IDテーブルを上位レイヤシグナリングを通じてUEに送る。このIDテーブルは、ID空間全体のサブセットであり、UEに利用可能なIDを含む。ステップS2402において、IDテーブルの中の使用されるIDを、物理レイヤシグナリングまたはUEに固有な上位レイヤシグナリングを通じてUEに通知する。ステップS2403において、通知されたIDに基づいてランダムシードを生成する。ステップS2404において、ランダムシードによってスクランブリングシーケンスを初期化する。ステップS2404において、初期化されたスクランブリングシーケンスによって信号をスクランブルする。
【0183】
この実施形態によると、上記のステップS2403は、ランダムシード生成部701によって実行することができ、上記のステップS2404は、初期化部702によって実行することができ、上記のステップS2405は、スクランブル部703によって実行することができる。さらに、上記のステップS2402は、送信ポイント装置700の通知部(図示していない)によって実行することができる。
【0184】
この実施形態によると、物理レイヤシグナリングは、IDテーブルの中のどのIDがUEに使用されるかをUEに通知する第1のパートと、IDテーブルの中のどのIDが、UEと干渉する別のUEに使用されるかをUEに通知する第2のパートと、を備えていることができる。
【0185】
この実施形態によると、IDテーブルは、第1のセットおよび第2のセットを含むように構造化することができ、UEに使用するIDが第1のセットから選択され、UEと干渉する別のUEに使用するIDが、第1のセットまたは第2のセットのいずれかから選択される。
【0186】
この実施形態によると、第1のパートは、1つの符号語によって設定されるシグナリングを使用することによって、UEに通知することができ、1つの符号語における4個の値は、それぞれ、1レイヤの信号の次の4つの設定の場合、すなわち、第1のポートおよび第1のID、第1のポートおよび第2のID、第2のポートおよび第1のID、および、第2のポートおよび第2のID、を示す。第2のパートは、新規のビットによってUEに通知することができる。
【0187】
この実施形態によると、物理レイヤシグナリングは、IDテーブルの第1のセットの中のどのIDがUEに使用されるかをUEに通知する第1のパートと、別のUEに使用されるIDが選択される対象の干渉ID空間として第1のセットと第2のセットとの間の切替えをUEに通知する第3のパートと、を備えていることができる。
【0188】
この実施形態によると、第1のパートは、新規のビットによってUEに通知することができ、第3のパートは、1つの符号語によって設定されるシグナリングを使用することによってUEに通知することができ、予約値が第1のセットと第2のセットとの間の切替えを示す。この場合、第1のポートまたは第2のポートを使用するようにUEを固定することができ、UEのブラインド検出を変更しないことができる。
【0189】
この実施形態によると、UEは、サブフレームnにおいて送信ポイント装置から送られた第3のパートを受信すると、サブフレームn+4において肯定応答信号または否定応答信号を送信ポイント装置に送ることができる。送信ポイント装置がUEから送られた肯定応答信号または否定応答信号を受信した場合、サブフレームn+5において、送信ポイント装置およびUEの両方が切替えを実行し、そうではなく送信ポイント装置がUEからの肯定応答信号または否定応答信号のいずれも受信しない場合、送信ポイント装置およびUEのいずれも切替えを実行しない。
【0190】
この実施形態によると、IDテーブルの中のIDは、グループID、セルID、およびUEに固有なIDのうちの1種類または複数種類である。
【0191】
この実施形態によると、グループIDに基づくランダムシードは、等式(5)から生成することができる。
【0192】
この実施形態によると、信号は、参照信号、制御チャネルの制御信号、およびデータチャネルのデータ信号のうちの1種類とすることができる。
【0193】
この実施形態によると、物理レイヤシグナリングと上位レイヤシグナリングとを組み合わせて、使用されるグループIDとブラインド検出空間とをUEに通知することによって、UEのブラインド検出が可能となり、シグナリングのオーバーヘッドが減少する。
【0194】
上記の詳細な説明では、装置やプロセスのさまざまな実施形態が、ブロック図、流れ図、例を使用することによって記載されている。このようなブロック図、流れ図、例に1つまたは複数の機能や動作が含まれている場合、そのようなブロック図、流れ図、例の中の各機能や各動作は、各種のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの実質的に任意の組合せによって、個々に、またはまとめて実施できることが、当業者には理解されるであろう。1つの実施形態において、本明細書に記載されている主題のいくつかの部分を、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはその他の集積形式によって実施することができる。しかしながら、当業者に認識される点として、本明細書に開示されている実施形態のいくつかの態様の全体または一部を、1つまたは複数のコンピュータ上で実行される1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例:1つまたは複数のコンピュータシステム上で実行される1つまたは複数のプログラムとして)、あるいは、1つまたは複数のプロセッサ上で実行される1つまたは複数のプログラムとして(例:1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で実行される1つまたは複数のプログラムとして)、あるいはファームウェアとして、あるいはこれらの実質的に任意の組合せとして、集積回路において同等に実施することができ、さらには、回路を設計することと、ソフトウェアもしくはファームウェアまたはその両方のコードを書くことは、本開示の観点においては当業者の技能の範囲内である。さらに、当業者に理解される点として、本明細書に記載されている主題のメカニズムは、さまざまな形式におけるプログラム製品として配布することができ、本明細書に記載されている主題の実例としての実施形態は、実際に配布を行うために使用される信号担持媒体(signal bearing medium)のタイプには無関係に適用される。信号担持媒体の例としては、以下に限定されないが、記録可能なタイプの媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど)と、デジタルまたはアナログ通信媒体などの伝送型媒体(例:光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)とが挙げられる。
【0195】
本明細書において、用語の単数形または複数形が使用されている場合、当業者には、文脈または用途に応じて複数形を単数形として、または単数形を複数形として適切に解釈できるであろう。本明細書においては、説明を明確にする目的で、単数形と複数形とが明示的に使い分けられている。
【0196】
本明細書には、さまざまな態様および実施形態が開示されているが、当業者には別の態様および実施形態が明らかであろう。本明細書に開示されているさまざまな態様および実施形態は、説明を目的とするものであり、本開示を制限することを意図しておらず、本開示の実際の範囲および概念は請求項によって示してある。