特許第6041299号(P6041299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6041299ガスタービン燃焼器及び該燃焼器を備えたガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041299
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器及び該燃焼器を備えたガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20161128BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20161128BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   F02C7/18 C
   F23R3/42 A
   F01D25/12 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-250859(P2012-250859)
(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公開番号】特開2014-98352(P2014-98352A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳昭
(72)【発明者】
【氏名】水上 聡
(72)【発明者】
【氏名】平田 智之
(72)【発明者】
【氏名】正田 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】小西 哲
(72)【発明者】
【氏名】高田 和正
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−214185(JP,A)
【文献】 特開2003−227411(JP,A)
【文献】 特開2012−047181(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0198854(US,A1)
【文献】 特開2009−085222(JP,A)
【文献】 特開2012−077660(JP,A)
【文献】 特開2005−061333(JP,A)
【文献】 特開昭52−013015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F23R 3/42−60
F01D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃焼ガスの流れが形成されるように筒状に形成された壁部の燃焼ガス下流側に設けられた冷却媒体入口部と、
該冷却媒体入口部に接続され、前記壁部内に燃焼ガスの流れ方向に沿って並列して複数設けられた冷却媒体通路と、
該冷却媒体通路に接続され、前記壁部の燃焼ガス上流側に設けられた冷却媒体出口部と、
を備えたガスタービン燃焼器において、
前記冷却媒体通路は通路切替溝部を介して冷却媒体入口部側の上流側冷却媒体通路と冷却媒体出口部側の下流側冷却媒体通路とに分断されると共に、
前記上流側冷却媒体通路中心線はいずれも下流側冷却媒体通路中心線と一致されておらず、
前記下流側冷却媒体通路中心線は、互いに隣り合う前記上流側冷却媒体通路中心線の中線に一致されている
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項2】
前記上流側冷却媒体通路中心線と下流側冷却媒体通路中心線の各ピッチは一定であることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項3】
前記上流側冷却媒体通路と下流側冷却媒体通路とは同一通路幅で分断されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項4】
前記下流側冷却媒体通路の有効通路断面積は、前記上流側冷却媒体通路の有効通路断面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項5】
前記下流側冷却媒体通路の入口部には、シャープエッジが設定されている
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項6】
前記請求項1乃至の何れか一つに記載のガスタービン燃焼器と、
前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転させられるタービンと、
を備えたことを特徴とするガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン燃焼器と該燃焼器を備えたガスタービンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン燃焼器は、その内部を流れる燃焼ガスによって壁温が材料の耐久温度を越えるため、冷却構造を有している。このようなガスタービン燃焼器の冷却構造として、壁部に圧縮空気や蒸気等の冷却媒体を流して冷却する方法が多く提案されている。
【0003】
その一つとして、例えば特許文献1に開示されたようなものがある。これは、図6に示すように、図外の圧縮機から供給される圧縮空気を燃焼器100の上流側から抽気して、昇圧した抽気昇圧空気を壁部(壁面)101の冷却に用いた後、抽気昇圧空気を回収して圧縮空気の主流と共に燃焼器100で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用するクローズド空冷サイクルの冷却構造である。
【0004】
そして、内部に形成される冷却空気通路に冷却空気を供給して壁面冷却される燃焼器100の壁部101(厳密には内筒の壁部)が、抽気昇圧空気を冷却空気として冷却空気通路102A内を燃焼ガス流れの下流側から上流側に流すことにより冷却されるタービン側の下流壁面領域と、車室内部空間を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気として冷却空気通路102B内から音響ライナ及びダンパ103に流すことにより冷却されるバーナ側の上流壁面領域と、に仕分けられている。
【0005】
これによれば、クローズド空冷サイクルの冷却構造を有したガスタービン燃焼器において、圧縮機から供給される圧縮空気を有効に利用し、燃焼器100において比較的高温側のタービン側は抽気昇圧空気を使用した壁面冷却を行い、比較的低温のバーナ側は抽気圧縮空気を使用した壁面冷却を行うことができる。
【0006】
この結果、燃焼器100の下流壁面領域を冷却した抽気昇圧空気と、燃焼器100の上流壁面領域を冷却した抽気圧縮空気とは、いずれも燃焼用空気として有効に再利用されるため、昇圧が必要となる抽気昇圧空気の使用量を抑制して燃焼器100の壁面を効率よく冷却できるクローズド空冷サイクルの冷却構造を有したガスタービン燃焼器が実現されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−77660号公報
【特許文献2】特開2012−47181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたクローズド空冷サイクルの冷却構造にあっては、抽気昇圧空気が流れる冷却空気通路102Aにおける抽気昇圧空気入口孔104a部から抽気昇圧空気出口孔104b部までの通路構造(所謂MTフィン構造)が、熱負荷の高低に関わらず、同一であるため、図7に示すように、抽気昇圧空気出口孔104b部付近では、ヒートアップにより冷却空気温度が高くなり、それに伴いメタル温度が上昇して冷却能力が低下するという不具合があった。
【0009】
特に、図8に示すように、冷却空気が冷却空気通路102Aの入口(in)→出口(out)に向けて流れるにつれて(図8の(A)参照)、冷却空気温度TC が上昇し、これに伴いメタル温度Tm も上昇すると共に、応力σは音響ライナ及びダンパ103の拘束があるため出口(out)部において局所的に大きくなって(図8の(B)参照)、出口(out)部で低サイクル寿命LCFが局所的に最弱となる虞があった(図8の(C)及び図8の寿命最弱部の領域E参照)。
【0010】
そこで、特許文献1に開示されたようなクローズド空冷サイクルの冷却構造において、抽気昇圧空気出口孔104b部付近のように熱負荷が高く寿命が短い箇所に、メタル温度を低下させるような通路構造(所謂MTフィン構造)を適用することが希求されている。
【0011】
尚、特許文献2においては、内部に燃焼ガスの流れが形成されるように筒状に形成された内筒の壁部の燃焼ガス下流側に設けられた入口ヘッダと、該入口ヘッダに接続され、前記壁部内に燃焼ガスの流れ方向に沿って並列して複数設けられた冷却通路と、該冷却通路に接続され、前記壁部の燃焼ガス上流側に設けられた冷却空気出口部とを有したガスタービン燃焼器において、冷却通路は、冷却空気の流れ方向に向かってその通路断面積が減少し、または、冷却通路のそれぞれの通路断面積が略同一とされているとともに冷却空気の上流側よりも冷却空気の下流側の方が少ない本数とされている通路構造(所謂MTフィン構造)が開示されている。
【0012】
これによれば、冷却通路内を流れる冷却空気の流速は下流側に向かって増加することになり、熱伝達率が増加して、燃焼ガスの流れ方向に亘ってガスタービン燃焼器の壁部の部分的な温度上昇を抑えることができるとされている。即ち、冷却空気は下流側に流れるにしたがって燃焼ガスとの熱交換により温度が上昇するため燃焼ガスとの温度差が小さくなり、冷却効率が低下するが、冷却空気の流速を増加させることによって熱伝達率を増加させることで冷却空気温度の上昇による欠点を補えるのである。
【0013】
従って、このような冷却構造は前述したようなクローズド空冷サイクルの冷却構造にも有効に適用することができ、前述した不具合が解消されることが判る。
【0014】
本発明は、このような実情を鑑み提案されたもので、冷却媒体通路の構造変更により冷却能力の最適化が図れる冷却構造を有したガスタービン燃焼器及び該燃焼器を備えたガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
斯かる目的を達成するための本発明に係るガスタービン燃焼器は、
内部に燃焼ガスの流れが形成されるように筒状に形成された壁部の燃焼ガス下流側に設けられた冷却媒体入口部と、
該冷却媒体入口部に接続され、前記壁部内に燃焼ガスの流れ方向に沿って並列して複数設けられた冷却媒体通路と、
該冷却媒体通路に接続され、前記壁部の燃焼ガス上流側に設けられた冷却媒体出口部と、
を備えたガスタービン燃焼器において、
前記冷却媒体通路は通路切替溝部を介して冷却媒体入口部側の上流側冷却媒体通路と冷却媒体出口部側の下流側冷却媒体通路とに分断されると共に、
前記上流側冷却媒体通路中心線はいずれも下流側冷却媒体通路中心線と一致されておらず、
前記下流側冷却媒体通路中心線は、互いに隣り合う前記上流側冷却媒体通路中心線の中線に一致されている
ことを特徴とする。
【0016】
また、
前記上流側冷却媒体通路中心線と下流側冷却媒体通路中心線の各ピッチは一定であることを特徴とする。
【0017】
また、
前記上流側冷却媒体通路と下流側冷却媒体通路とは同一通路幅で分断されることを特徴とする。
また、
前記下流側冷却媒体通路の有効通路断面積は、前記上流側冷却媒体通路の有効通路断面積よりも小さい
ことを特徴とする。
また、
前記下流側冷却媒体通路の入口部には、シャープエッジが設定されている
ことを特徴とする。
【0018】
斯かる目的を達成するための本発明に係るガスタービンは、
前記の何れか一つに記載のガスタービン燃焼器と、
前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転させられるタービンと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るガスタービン燃焼器によれば、通路切替溝部における冷却媒体の衝突と剥離を最大限に発揮し、熱伝達率を効果的に上げて冷却能力の最適化が図れるので、少ない冷却媒体流量もしくは圧力損失で冷却が可能となり、サイクル性能の向上が図れる。
【0020】
本発明に係るガスタービンによれば、前記したガスタービン燃焼器を備えることにより、燃焼温度を高くしてタービン入口温度を増大させることができ、高効率なガスタービンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例を示す燃焼器におけるクローズド空冷サイクルの冷却構造の模式図である。
図2】同じく切替通路の作用効果の説明図ある。
図3】同じく抽気昇圧空気が流れる冷却空気通路の断面図である。
図4】同じくクローズド空冷サイクルの冷却構造を有した燃焼器を備えたガスタービンの構成例を示す図である。
図5】同じくクローズド空冷サイクルの冷却構造を有した燃焼器の構造説明図ある。
図6】従来の燃焼器におけるクローズド空冷サイクルの冷却構造の模式図である。
図7】同じく冷却能力のグラフである。
図8】同じくクローズド空冷サイクルの不具合を説明する図で、同図(A)は尾筒の構造摸式図、同図(B)は応力−メタル温度−冷却空気温度の関係図、同図(C)は低サイクル寿命−応力−メタル温度の関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るガスタービン燃焼器及び該燃焼器を備えたガスタービンを実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
図1は本発明の一実施例を示す燃焼器におけるクローズド空冷サイクルの冷却構造の模式図、図2は同じく切替通路の作用効果の説明図、図3は同じく抽気昇圧空気が流れる冷却空気通路の断面図、図4は同じくクローズド空冷サイクルの冷却構造を有した燃焼器を備えたガスタービンの構成例を示す図、図5は同じくクローズド空冷サイクルの冷却構造を有した燃焼器の構造説明図である。
【0024】
図4に示すように、ガスタービンGTは、圧縮機10と燃焼器11とタービン12とにより構成されており、このタービン12には発電機Geが連結されている。
【0025】
圧縮機10は、大気中から取り込んだ空気を圧縮する。この圧縮空気はその主流が圧縮空気供給通路13を通って燃焼器11に供給される。燃焼器11は、圧縮機10で圧縮された圧縮空気を用いて燃料を燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスはタービン12に供給される。タービン12は、タービン車室内に複数の静翼及び動翼が交互に配設されている。このタービン12は燃焼ガスが静翼と動翼との間を通過して流れることにより動翼を取り付けたロータを回転させて発電機Geの駆動力が発生する。
【0026】
上述したガスタービンGTには、圧縮機10で圧縮した圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気より高い圧力に昇圧する昇圧装置14が設けられている。この昇圧装置14は、圧縮空気供給通路13の途中から分岐し、圧縮空気の一部を抽気する分岐通路15に設けられて電動モータMにより駆動されている。
【0027】
昇圧装置14で昇圧された抽気昇圧空気は、昇圧空気通路16を通って燃焼器11に供給され、燃焼器11の壁面冷却用冷却空気として使用される。こうして燃焼器11の壁面冷却に使用された抽気昇圧空気は、戻し通路17を通って圧縮空気供給通路13に戻され、圧縮空気供給通路13を流れる圧縮空気の主流と合流した後、燃焼器11で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用される。
【0028】
このように、上述したガスタービンGTは、圧縮機10から供給される圧縮空気を燃焼器11の上流側から抽気して昇圧した抽気昇圧空気を燃焼器壁面の冷却空気に用いた後、この抽気昇圧空気を回収して圧縮空気の主流と共に燃焼器11で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用する回収式空気冷却構造、即ちクローズド空冷サイクルの冷却構造を有している。
【0029】
燃焼器11は略円筒形状をなし、例えば図5に示すように、ガスタービンGTの車室(ケーシング)18内に形成された車室内部空間19に収納設置されており、ロータの外周を取り囲むようにして円周方向に複数本が配設されている。
【0030】
この燃焼器11は、内筒20と、尾筒21と、音響ライナ及びダンパ22とを備え、内筒20の内部には燃焼バーナ23が配設されている。燃焼バーナ23は、中央部に配置したパイロットバーナ24と、パイロットバーナ24の周囲を取り囲むように配置した複数のメインバーナ25とを備えている。尚、燃焼器11が設置された車室18の車室内部空間19には、圧縮機10で圧縮された圧縮空気が導入されて充満している。
【0031】
車室内部空間19に導入された圧縮空気は、燃焼器11の上流部(燃焼バーナ23側)から内筒20の内部に流入し、燃焼バーナ23から供給された燃料と混合されて燃焼する。この燃焼により生成された高温高圧の燃焼ガスは、尾筒21を通って下流側のタービン12へ供給される。
【0032】
このようなガスタービンGTの燃焼器11は、図1に示すように、内部に形成される冷却空気通路に冷却空気を供給して壁面冷却される尾筒21の壁部26が、抽気昇圧空気を冷却空気(冷却媒体)として冷却空気通路(冷却媒体通路)27A内を燃焼ガス流れの下流側から上流側に流すことにより冷却されるタービン側の下流壁面領域と、車室内部空間19を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気として冷却空気通路27B内から音響ライナ及びダンパ22に流すことにより冷却されるバーナ側の上流壁面領域と、に仕分けられている。
【0033】
図示例では、下流壁面領域の尾筒21を形成する壁部26は、内壁26aと外壁26bとをろう付けして接合した二重壁構造とされ、たとえば肉厚のある外壁26b側に形成した燃焼器11の軸方向(長手方向)の凹溝が内壁26bの接合により前述した冷却空気通路27Aとなっている。この冷却空気通路27Aは、燃焼器11の周方向において、多数が隣接して並列に設けられている。
【0034】
また、下流壁面領域では、尾筒21の後端部付近から導入した抽気昇圧空気が冷却空気通路27Aを流れ、音響ライナ及びダンパ22のタービン12側端部付近から車室内部空間19内へ流出する。具体的に説明すると、抽気昇圧空気は、昇圧空気通路16を通って尾筒21の後端部付近に設けたマニホールド29内に導かれる。マニホールド29の内側には、壁部26内に抽気昇圧空気を流す冷却空気通路27Aの入口開口として、抽気昇圧空気入口孔(冷却媒体入口部)30aが通路毎に設けられている。
【0035】
そして、冷却空気通路27Aの出口開口となる抽気昇圧空気出口孔(冷却媒体出口部)30bは、音響ライナ及びダンパ22よりタービン12側で、かつ、音響ライナ及びダンパ22のタービン12側端部付近に開口している。このため、マニホールド29内で抽気昇圧空気入口孔30aから流入した抽気昇圧空気は、冷却空気通路27Aを音響ライナ及びダンパ22側へ流れて壁部26を冷却し、温度上昇した抽気昇圧空気が抽気昇圧空気出口孔30bから車室内部空間19内へ流出する。車室内部空間19内へ流出した高温の抽気昇圧空気は、車室内部空間19内に充満する圧縮空気と合流することにより、燃焼用空気として再利用される。
【0036】
上流壁面領域では、音響ライナ及びダンパ22のタービン12側端部付近及びバーナ23側端部付近から車室内部空間19内の圧縮空気を抽気することにより、この抽気圧縮空気が冷却空気通路27Bを流れて音響ライナ及びダンパ22のライナ部内に流出するようになっている。即ち、冷却空気通路27Bを流れて、音響ライナ及びダンパ22の周辺領域で壁部26を冷却して温度上昇した抽気圧縮空気が音響ライナ及びダンパ22のライナ部内へ流出した後、燃焼器11の燃焼室32内へ流出して燃焼に使用されるのである。
【0037】
そして、本実施例では、図2に示すように、同一通路幅を有して抽気昇圧空気が流れると共に周方向には一定のピッチで設けられた冷却空気通路27Aの全てが、前述した応力集中部位である寿命最弱部の領域Eにおいて、環状の通路(ピッチ)切替溝部(合流ヘッダとも謂う)33を介して上流側冷却空気通路(上流側冷却媒体通路)27A1と下流側冷却空気通路(下流側冷却媒体通路)27A2とに分断されると共に、上流側冷却空気通路27A1におけるMTフィンの通路中心線C1 に対して、下流側冷却空気通路27A2におけるMTフィンの通路中心線C2 が例えば半ピッチ(P/2)だけ、燃焼器11の周方向へシフトされている。換言すれば、下流側冷却空気通路27A2の通路中心線C2 は、互いに隣り合う上流側冷却空気通路27A1の通路中心線通路中心線C1 の中線に一致されるのである。このようにして、通路切替溝部33において通路切替が行われる。この通路切替により冷却空気がMTフィンの入口側端部34に衝突する。
【0038】
加えて、下流側冷却空気通路27A2におけるMTフィンの入口側端部34にはシャープエッジ34aが設定され、下流側冷却空気通路27A2の入口部において抽気昇圧空気の剥離(図中符号35で示す領域参照)が積極的に生起されるようになっている。
【0039】
このように構成されるため、下流壁面領域では冷却空気の衝突と剥離により抽気昇圧空気を用いた壁面冷却を行い、上流壁面領域では抽気圧縮空気を用いた壁面冷却を行うので、比較的高温となる燃焼器11の尾筒21におけるタービン12側(下流壁面領域)では、比較的低温の状態にある抽気昇圧空気を用いた壁面冷却を行い、比較的低温となる燃焼器11の尾筒21における燃焼バーナ23側(上流壁面領域)では、抽気圧縮空気を用いた壁面冷却を行うことができる。
【0040】
このため、燃焼器11の壁面冷却に使用した冷却空気は、抽気昇圧空気及び抽気圧縮空気を共に燃焼用空気として再利用でき、従って、燃焼器11の壁面冷却を効率よく行うと共に、燃焼に伴って発生する窒素酸化物の低減も可能になる。
【0041】
そして、本実施例では、前述したように冷却空気通路27Aの全てが、通路切替溝部33を介して上流側冷却空気通路27A1と下流側冷却空気通路27A2とに分断されると共に、上流側冷却空気通路27A1の通路中心線C1 に対して、下流側冷却空気通路27A2の通路中心線C2 が例えば半ピッチ(P/2)だけ燃焼器11の周方向へシフト(ずら)されている。
【0042】
従って、上流側冷却空気通路27A1に対する下流側冷却空気通路27A2の通路切替により、MTフィンの入口側端部34での衝突と剥離による冷却効果が効果的に発揮される。剥離については、下流側冷却空気通路27A2の入口部における抽気昇圧空気の境界層を可及的に薄くすることができるのである。尚、通路切替溝部(この場合、合流ヘッダと呼称するのが適切であるが)33を単に設けて下流側冷却空気通路27A2の通路切替をしなくても下流側冷却空気通路27A2の入口部において抽気昇圧空気の境界層を薄くすることができるのは言うまでもない。
【0043】
加えて、本実施例では、下流側冷却空気通路27A2におけるMTフィンの入口側端部34にはシャープエッジ34aが設定されているので、下流側冷却空気通路27A2の入口部において抽気昇圧空気の剥離現象が積極的に生起される。
【0044】
これらの結果、通路構造の簡単な変更で、通路切替溝部33の衝突と剥離を最大限に発揮して冷却側の熱伝達率を効果的に上げられる。依って、冷却能力の最適化が図れ、少ない抽気昇圧空気流量もしくは圧力損失で冷却が可能となり、クローズド空冷サイクルの性能向上が図れる。
【0045】
また、本実施例において、図3に示すように、上流側冷却空気通路27A1(同図(b)参照)に対し下流側冷却空気通路27A2(同図(a)参照)の通路幅をW1からW2に狭く変更すると共に通路高さをH1からH2に低く変更して下流側冷却空気通路27A2の有効通路断面積を上流側冷却空気通路27A1の有効通路断面積より小さく設定しても良い。
【0046】
これによれば、前述した通路切替による衝突と剥離による冷却効果に加えて、下流側冷却空気通路27A2における抽気昇圧空気の流速増大による熱伝達率向上も得られる。
【0047】
また、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上流側冷却空気通路27A1に対し下流側冷却空気通路27A2の通路本数を少なくしたり、通路中心線C2 のピッチを変更したりしても良いことは言うまでもない。さらに、本発明は、クローズド空冷サイクルの冷却構造に限らず、他の冷却構造においても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るガスタービン燃焼器及び該燃焼器を備えたガスタービンは高効率なガスタービンを実現することができるので火力発電プラント等に用いて好適である。
【符号の説明】
【0049】
10 圧縮機
11 燃焼器
12 タービン
13 圧縮空気供給通路
14 昇圧装置
15 分岐通路
16 昇圧空気通路
17 戻し通路
18 車室(ケーシング)
19 車室内部空間
20 内筒
21 尾筒
22 音響ライナ及びダンパ
23 燃焼バーナ
24 パイロットバーナ
25 メインバーナ
26 壁部
26a 内壁
26b 外壁
27A 抽気昇圧空気が流れる冷却空気通路
27A1 上流側冷却空気通路(冷却媒体通路)
27A2 下流側冷却空気通路(冷却媒体通路)
27B 抽気圧縮空気が流れる冷却空気通路
30a 抽気昇圧空気入口孔(冷却媒体入口部)
30b 抽気昇圧空気出口孔(冷却媒体出口部)
32 燃焼室
33 通路(ピッチ)切替溝部(合流ヘッダ)
34 MTフィンの入口側端部
34a シャープエッジ
35 剥離領域
GТ ガスタービン
Ge 発電機
E 寿命最弱部の領域
1 上流側冷却空気通路におけるMTフィンの通路中心線
2 下流側冷却空気通路におけるMTフィンの通路中心線
P ピッチ(抽気昇圧空気が流れる冷却空気通路におけるMTフィンの通路中心線間の間隔)
W 上流側冷却空気通路と下流側冷却空気通路の通路幅
H1 上流側冷却空気通路の通路高さ
H2 下流側冷却空気通路の通路高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8