(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作業対象物に複数設けられる作業対象部品に対する作業が設定値に達したとき作業完了信号を出力するリミットスイッチと、前記作業対象部品ごとに着脱可能に取り付けて前記作業対象部品の各々を識別可能な識別コードを読取可能とする識別コード読取部と、を有する作業工具と、
前記作業工具と電気的に接続し、前記作業対象部品に対する作業が設定値に達したときに出力された前記作業完了信号と、前記識別コードの識別情報を受信可能とし、表示画面上に図示された前記作業対象物上に識別した前記作業対象部品の位置情報を表示可能とする作業用端末と、
を備え、
前記識別コードは、前記作業対象部品を囲む筒体と、前記筒体を支持すると共に、前記作業対象物に着脱可能な治具本体を備えた識別治具の前記筒体の外周に取り付けたことを特徴とする作業管理システム。
作業対象物に複数設けられる作業対象部品に対する作業が設定値に達したとき作業完了信号を出力するリミットスイッチと、前記作業対象部品ごとに着脱可能に取り付けて前記作業対象部品の各々を識別可能な識別コードを読取可能とする識別コード読取部と、を有する作業工具と、
前記作業工具と電気的に接続し、前記作業対象部品に対する作業が設定値に達したときに出力された前記作業完了信号と、前記識別コードの識別情報を受信可能とし、表示画面上に図示された前記作業対象物上に識別した前記作業対象部品の位置情報を表示可能とする作業用端末と、
を備え、
前記識別コードは、前記作業対象部品を囲むと共に、前記作業対象物に着脱可能な筒体の外周に取り付けたことを特徴とする作業管理システム。
【背景技術】
【0002】
保守点検時における設備機器のボルト締めなどの現場作業は、作業者がボルトを締め付けた後、作業班長による確認作業を行って、ボルトの締め付け忘れや締め付け不具合などを防止している。
しかし、複数のボルト締め付け作業では、締め付け不良、締め付け忘れが発生し易く、このような人為的なミスを完全に防止することは難しい。現行の人に頼った作業管理、教育では限界があり、防ぐのが困難な状況となっていた。
従来、このような作業不具合を解消するため、特許文献1−4のシステムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の管理システムは、あらかじめ作業者にワークの作業工程を行わせ、そのワークの作業位置を撮像したマスター画像を記憶している。そして、作業者が作業対象物の作業位置で作業を行い、その作業が完了する毎に作業位置の画像が撮像される。作業位置の撮像画像とマスター画像を照合して撮像画像とほぼ一致するマスター画像が特定されて、全てのマスター画像について作業位置が特定できれば、作業対象物に対する作業が完了したと判定している。
しかし、現場の環境、経年劣化、傷等により作業対象物が変化する場合があり、その後の作業時の撮像画像とマスター画像を比較するときに差異が生じて特定が困難となるおそれがある。また作業対象物が円形のフランジ上に形成された複数のボルトなどの様に類似した形状の場合は他のボルトと判別が困難で特定が極めて難しい。
【0004】
特許文献2に開示の管理システムは、ネジ締めの設定トルク値に達すると解除機構が作動するトルクレンチを用いて、ネジに作用する締付トルクの変化の態様、例えば増加傾向から減少傾向に転じるピーク値をネジに実際に作用する締付トルクとしてネジの締め付け状態を管理するシステムである。
しかし、対象物に複数のネジがある場合には、既に締付作業を行ったネジと、これから締付作業を行うネジであるか否かの判別を行うことができず、このような判別について考慮されていない。また、構成部品に付された識別コードは対象物の設定トルクを呼び出すためのものである。
【0005】
特許文献3に開示の管理システムは、工具を用いた作業が完了した旨の作業完了情報を出力する出力手段と、作業位置を側位する側位手段と、作業完了情報及び作業位置情報に基づいて作業完了箇所を特定する処理手段とを備え、実施される作業が完了した事実をその位置情報と共に把握することができる。
しかし、作業位置を側位するための工程、装置が複雑であり作業が煩雑となるおそれがある。
【0006】
特許文献4に開示の管理システムは、ボルト締め付けトルクが所定値以上になると出力される締付完了信号をカウントし、カウント値が全作業完了に対応して予め定められた所定値以上になったか否か判断している。
しかし、複数のボルトを締め付け作業する場合、締め付け済みのボルトか否かの判断がなされていないため、同じボルトを締め付けるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状の作業工程では、作業に係る作業者が測定値などの作業状況を記入する点検記録シートを作成している。点検記録シートの記入作成には時間がかかり、誤記や記入漏れなどが生じるおそれがある。また、最終的にはデータ化して記憶するため、記録データを作成する作業者の負担を軽減することが望まれている。
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、ボルトやネジの締め忘れなどの作業不具合を削減し、作業記録を作成する作業者の負担を軽減し、作業記録の管理の効率化を図ることができる作業管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、作業対象物に複数設けられる作業対象部品に対する作業が設定値に達したとき作業完了信号を出力するリミットスイッチと、前記作業対象部品ごとに着脱可能に取り付けて前記作業対象部品の各々を識別可能な識別コードを読取可能とする識別コード読取部と、を有する作業工具と、前記作業工具と電気的に接続し、前記作業対象部品に対する作業が設定値に達したときに出力された前記作業完了信号と、前記識別コードの識別情報を受信可能とし、表示画面上に図示された前記作業対象物上に識別した前記作業対象部品の位置情報を表示可能とする作業用端末と、を備え
、前記識別コードは、前記作業対象部品を囲む筒体と、前記筒体を支持すると共に、前記作業対象物に着脱可能な治具本体を備えた識別治具の前記筒体の外周に取り付けたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
また、作業対象物に複数設けられる作業対象部品に対する作業が設定値に達したとき作業完了信号を出力するリミットスイッチと、前記作業対象部品ごとに着脱可能に取り付けて前記作業対象部品の各々を識別可能な識別コードを読取可能とする識別コード読取部と、を有する作業工具と、前記作業工具と電気的に接続し、前記作業対象部品に対する作業が設定値に達したときに出力された前記作業完了信号と、前記識別コードの識別情報を受信可能とし、表示画面上に図示された前記作業対象物上に識別した前記作業対象部品の位置情報を表示可能とする作業用端末と、を備え、前記識別コードは、前記作業対象部品を囲むと共に、前記作業対象物に着脱可能な筒体の外周に取り付けたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、前記識別コード読取部は、前記リミットスイッチが前記作業完了信号を出力したときに前記識別コードを読取可能としたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記作業用端末は、少なくとも作業対象物の作業項目と前記作業項目の詳細作業項目を含む管理データを外部から読み込み可能な読取部と、前記読取部が読み込んだ前記作業項目と前記詳細作業項目に入力可能なデータ入力部と、前記作業対象物と前記詳細作業項目の作業対象部品の撮像画像を受信可能な画像保存部と、作業データに用いる前記作業対象部品の前記作業完了信号と、前記識別コードの識別情報を受信可能とし、表示画面上に図示された前記作業対象物上に識別した前記作業対象部品の位置情報を表示可能とする制御部と、を備えたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1ないし3の解決手段において、前記画像保存部へ前記撮像画像を送信可能に接続して、前記作業対象物と、前記作業対象部品を撮像可能な撮像端末と、前記読取部に前記管理データを送信可能に接続して前記管理データを作成可能とし、前記制御部で作成した作業データを入力可能な管理用端末と、を備えたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1ないし4の解決手段において、前記作業工具は、前記識別コード読取部の取り付け位置を前記識別コードに対し相対的な位置関係を調整可能な調整部を備えたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1ないし5の解決手段において、前記識別コードは、前記作業対象部品を囲む筒体と、前記筒体を支持すると共に、前記作業対象物に着脱可能な治具本体を備えた識別治具の前記筒体の外周に取り付けたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1ないし5の解決手段において、前記識別コードは、前記作業対象部品を囲むと共に、前記作業対象物に着脱可能な筒体の外周に取り付けたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、作業対象物に複数設けられる作業対象部品に対する作業が設定値に達したとき作業完了信号を出力するリミットスイッチと、前記作業対象部品ごとに着脱可能に取り付けて前記作業対象部品の各々を識別可能な識別コードを読取可能とする識別コード読取部と、を有する作業工具を用いて、前記作業対象部品に作業を行い、前記作業対象部品に対する作業が設定値に達したときに出力された前記作業完了信号と、前記作業対象部品の前記識別コードの識別情報を作業用端末で受信して、前記作業用端末の画面上に図示された前記作業対象物に、前記作業完了信号と前記識別コードを読み込んだ前記作業対象部品の位置情報を表示可能とすることを特徴とする作業管理方法を提供することにある。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第8の解決手段において、前記作業対象部品の識別コードを読み取った後、撮像した前記作業対象部品の撮像画像を受信して記録すること特徴とする作業管理方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、表示画面上に図示された作業対象物から作業が完了した作業対象部品を認識することができる。また、作業用端末を用いて容易に作業時の測定値や作業後の画像を記録することができる。そして作業後、表示画面上に作業済みの作業対象部品をマーキングすることにより作業対象物の複数の作業対象部品を特定することができる。従って、ネジの締め忘れなどの作業不具合を防止して、作業記録を容易に作成することができる。
【0019】
本発明によれば、上記のように、作業が完了した作業対象部品の識別コードの識別情報を取得することにより、人手に頼らず作業が完了したボルトの締付情報と位置情報を正確に把握して、点検記録を作成することができる。また、作業工具からボルトの締付情報と位置情報を容易に取得することができる。
【0020】
本発明によれば、上記のように、作業用端末に作業工具からの作業完了信号と識別コードの識別情報、撮像端末からの撮像画像が送信されて記録された作業データを作成することができる。また作成された作業データは外部の管理用端末に送信することによりデータを一元管理することができる。
【0021】
本発明によれば、上記のように、撮像画像中の複数の作業対象部品から特定の作業対象部品を容易に判別することができる。
本発明によれば、上記のように、筒体の外周から容易に識別コードを読み取ることができる。
本発明によれば、上記のように、狭隘な場所であっても容易に識別コードを取り付けることができる。また筒体の外周から容易に識別コードを読み取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の作業管理システムの実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1は本発明の作業管理システムの構成概略図である。
図2は本発明の作業管理システムのブロック図である。本実施形態では、作業対象となる弁に用いるフランジなどを作業対象物12とし、締付作業を行う弁を構成するボルト、ネジなどの付属品を作業対象部品14として以下説明する。
【0024】
図示のように本発明の作業管理システム10は、作業者が現場に持ち込み操作可能な作業用端末20と、作業の様子を撮影し、撮像画像を作業用端末20に送信可能な撮像端末30と、作業に用いる工具であって測定値を作業用端末20に送信可能な作業工具40と、現場から離れた事務所などの管理場所に設置され、作業用端末20との間でデータ送信及びデータ受信可能な管理用端末50を主な基本構成としている。
【0025】
作業用端末20は、少なくとも作業対象物の作業項目と作業項目の詳細作業項目を含む管理データを外部から読み込み可能な読取部22と、読取部22が読み込んだ作業項目と詳細作業項目に入力可能なデータ入力部24と、作業対象物と詳細作業項目の作業対象部品の撮像画像を受信して加工処理可能な画像保存部26と、詳細作業項目に用いる作業対象部品の作業完了信号と、識別コードの識別情報を受信可能とし、表示画面上に作業対象物を図示して詳細作業項目で選択された作業対象物上の作業を行った作業対象部品に選択マークを付けて、作業対象部品の撮像画像を記録して、表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録する作業データを作成可能な制御部28と、作業データや管理データを一時保管するデータ保存管理部29と、を備えている。
【0026】
読取部22は、管理用端末50のデータ保存管理部54から送信された管理データを読み取りするものである。管理データは、管理者があらかじめ登録した作業の管理NO、作業内容、関連機器、作業対象、詳細作業などのデータである。
データ入力部24は、現場作業に係る作業者、作業班長、現場監督の氏名、暗証番号などの作業者情報と、作業項目、詳細作業項目、作業工具の設定値などを入力又は選択するものである。
画像保存部26は、撮像端末30で撮像された撮像画像を受信して、作業用端末20の表示画面上の表示箇所に表示可能な画像に加工処理するものである。
制御部28は、作業用端末20の動作を制御するものである。制御部28には、作業工具40から送信された測定値と、画像保存部26からの画像データが入力される。制御部28は、管理用端末50から読み取った管理データに基づいて、作業データに現場作業の作業完了信号となる測定値と、識別コードの識別情報と、撮像画像を記録している。そして制御部28は、データ入力部24の入力データを作業データ上に記録して、作業記録を作成している。制御部28は、入力データに基づいて作業開始時間と作業終了時間を記録している。制御部28は、あらかじめ登録されている作業対象の作業対象部品数と実際に行った作業回数の差分をとって残りの作業回数を判定することができる。
【0027】
データ保存管理部29は、制御部28で作成された作業データや、管理用端末50から読み取られた管理データが入力されて一時保管するものである。
撮像端末30は、作業者が現場の作業対象物及び作業対象部品に対して作業を実際に行っている様子を撮影可能なカメラである。撮像端末30は、作業用端末20の画像保存部26と無線又は有線により電気的に接続し、撮像画像を画像保存部26へ送信可能な構成としている。本実施形態の撮像端末30は、作業者が実際に作業対象物を作業する前の状態と、作業者が作業工具を用いて作業対象部品を作業した様子を撮像することができるような位置に取外し可能に取り付けている。このような撮像端末30は、作業対象物上に複数の作業対象部品がある場合に、作業が完了した作業対象部品を個別に撮像するように構成している。撮像端末30は、一例として自動露出と自動焦点の調整が行え、光学情報を電気信号に変換するCCDカメラを用いることができる。
【0028】
図3は作業工具の構成概略図であり、(A)は側面図、(B)は平面図、(C)は(A)のA−A断面図である。
図4は作業工具の説明図である。作業工具40は、ボルト、ネジなどの作業対象部品14の締付作業を行うための工具である。本実施形態では、一例としてトルクレンチを用いて説明する。トルクレンチには、リミットスイッチ42(
図3には不図示)と、工具制御部44(
図3には不図示)と、識別コード読取部46と、調整部48と、送信手段49が設けられている。
【0029】
リミットスイッチ42は、トルクレンチによるボルト、ネジの締め付けが所定のトルク設定値に達して、トルク設定値以上の締付力がかかると解除されるスイッチである。そしてリミットスイッチ42は、トルクレンチによる締め付け力が設定値に達して締め付け作業が完了したことを示す作業完了信号を発生させて、作業用端末20の制御部28と、後述する工具制御部44へ送信している。
工具制御部44は、リミットスイッチ42の作業完了信号が入力されると識別コード読取部46を起動させる制御信号を識別コード読取部46へ送信している。
【0030】
識別コード読取部46は、作業対象物12に複数設けられる作業対象部品14の各々を識別可能な識別コードを読み取る手段である。識別コード読取部46は、一例としてバーコードリーダ、RFIDリーダなどを用いることができる。
本実施形態の識別コードは、作業対象物に複数設けられている作業対象部品の位置情報などを示す識別情報である。
図15は識別治具の説明図である。図示のように識別コード70は、識別治具80に取り付けられている。識別治具80は、筒体82と治具本体84から構成されている。筒体82は、作業対象部品14となるボルト、ネジを平面視で外周を囲む筒状の部材である。筒体82は、トルクレンチのコマの長さよりも短くなるように設定されている。これにより、トルクレンチの締め付け作業時に筒体82とトルクレンチが接触することがなく、締め付け不足を防止することができる。治具本体84は、図示のように作業対象物12のフランジに嵌め合わせることができるリング状に形成されている。なお、治具本体84は、半円形の2つの部材を互いに接続してリング状に形成するようにしても良い。このような構成の治具本体84であれば、配管の途中に設けられたフランジであっても取り付けることができる。治具本体84の作業対象部品14と対向する箇所には、作業対象部品14となるボルト、ネジが露出する孔が形成されている。孔には筒体82が取り付けられている。筒体82の外周には、識別コード70が周状に形成されている。識別コード70は、複数の作業対象部品14の中から作業を行った作業対象部品14を識別する位置情報を示すものであり、一例としてバーコードなどの一次元コード、RFIDなどを用いることができる。
【0031】
図16は変形例の識別治具の(A)斜視図、(B)側面図、(C)底面図である。図示のように変形例の識別治具80Aは、前述の筒体のみの構成である。筒体82Aの外周には識別コード70が周状に形成されている。また、筒体82Aの底面には、粘着テープ、マグネットなどの着脱手段86が形成されている。この識別治具80Aを作業対象物12に複数形成された作業対象部品14のそれぞれに取り付けている。このような構成の識別コード70によれば、識別コード読取部46によって筒体82側面のあらゆる方向から識別コード70を認識することができる。
【0032】
調整部48は、識別コード読取部46の取り付け位置を識別コード70に対し相対的な位置関係を調整することができる。具体的な調整部48の構成は、L字部材48aと、カバー48bと、スペーサ48cを主な基本構成としている。
L字部材48aは、一方の面をトルクレンチの平面視で上面に固定させて、他方の面をトルクレンチの側面と所定の間隔を開けて平行に配置させている。L字部材48aの一方の面には、後述する送信手段49が取り付けられている。またL字部材48aの他方の面には、トルクレンチのコマ40aの延出方向と平行となる長孔48dが2つ形成されている。2つの長孔48dには各々ネジ48eが挿入されて、L字部材48aの他方の面と、トルクレンチの側面との間の隙間に配置されるカバー48bと螺合してL字部材48aにカバー48bを取り付けることができる。カバー48bは、識別コード読取部46の上面及び下面を挟むように支持する略コ字形状に形成された部材である。ネジ48eによって固定されるL字部材48aとカバー48bの隙間にはスペーサ48cを間に挟むことができる。このような構成の調整部48によれば、スペーサ48cの厚みを任意に設定したり、複数枚用いたりすることにより、L字部材48aとカバー48bの間の間隔(Z方向)を調整することができる。また、カバー48bに挟まれた識別コード読取部46の位置をトルクレンチの長手方向に沿って移動させることによってトルクレンチのコマ40aと識別コード読取部46の間の距離(X方向)を調整することができる。さらに、長孔48dに挿入するネジ48eの位置を長孔48dの長手方向に沿って移動させることによって、識別コード読取部46とトルクレンチの間の距離(Y軸方向)を調整することができる。以上の様に識別コード読取部46の位置をX,Y,Z方向で調整することで、識別コード読取部46の光学的特性(例えばビーム拡がり角度分解能など)に合わせて識別コード70との位置関係を合わせることができる。
【0033】
作業工具40には、作業対象部品14に対する作業が設定値に達したとき作業完了信号と、識別コード70の識別情報を作業用端末20の制御部28へ送信可能な無線又は有線による送信手段49が取り付けられている。これにより、作業工具40と作業用端末20の制御部28を電気的に接続させることができる。
管理用端末50は、管理者があらかじめ作業内容を登録することができる管理コンピュータである。管理用端末50は、作業用端末20との間で作業データ及び管理データを送信又は受信可能に構成されている。管理用端末50は、読取部52と、データ保存管理部54と、データ入力部56と、書類作成部58を主な基本構成としている。
【0034】
読取部52は、作業用端末20のデータ保存管理部29から送信された作業データを読み取りするものである。作業データは、作業者が現場作業を行い記録された作業工具の測定値、作業対象物又は作業対象部品の撮像画像など作業用端末20で作成されたデータである。
データ保存管理部54は、作業用端末20で作成された作業データと、あらかじめ設定され現場作業の管理データを保存管理するものである。
【0035】
データ入力部56は、作業の管理NO、作業内容、関連機器、作業対象、詳細作業などの管理データをあらかじめ入力するものである。
書類作成部58は、作業用端末から読み取った作業データに基づいて作業データ管理リスト表などの作業日報などの書類を作成するものである。
次に、上記構成による本発明の作業管理システム10を用いた作業管理方法について、以下説明する。
【0036】
図6は管理用端末の(A)ログイン画面及び(B)メニュー画面の説明図である。
図7は管理用端末の(A)作業登録画面及び(B)更新履歴画面の説明図である。
図8は管理用端末の(A)作業時間画面及び(B)詳細作業時間画面の説明図である。まず、
図6(A)に示すように、管理用端末50で、監督者が管理システムにログインする。監督名の入力は、選択ボタン300を押下して、あらかじめ登録されている複数の監督A〜Gの中から選択してOKボタン301を押下すると完了する。そして暗証番号を入力してOKボタン302を押下すると、
図6(B)に示すメニュー画面へ切り替わる。ログインすると、メニュー画面200が表示される。メニュー画面200は、登録、閲覧、データ出力、設定に大別されている。
【0037】
登録は、作業登録ボタン201と、更新履歴ボタン310がある。作業登録ボタン201を押下すると
図7(A)の作業登録画面202に切り替わり、作業内容を登録することができる。また、更新履歴ボタン310を押下すると、
図7(B)の更新履歴画面311に切り替わり、作業登録時の追加、編集、削除の履歴を表示させることができる。
閲覧は、作業時間ボタン312と、作業結果ボタン313と、要領書ボタン314がある。作業時間ボタン312を押下すると、
図8(A)の作業時間画面315に切り替わり、担当者(作業者、作業班長)の作業開始、作業終了、経過時間を表示させることができる。また詳細作業時間の参照ボタン316を押下すると、
図8(B)の詳細作業時間画面317に切り替わり、担当者、一例として作業者Aの作業対象部品(螺子NO1、螺子NO2)の作業開始、作業終了、経過時間を表示させることができる。
【0038】
図6(B)に示す作業結果ボタン313を押下すると作業データを表示させることができる。また要領書ボタン314を押下すると、作業の要領書を表示させることができる。
データ出力は、CSV出力ボタン318があり、押下するとCSV形式でデータを出力させることができる。
設定は、作業者資格設定ボタン319、トルクレンチ設定ボタン320、トルク値設定ボタン321、プラント設定ボタン322、作業分類設定ボタン323、インポートボタン324があり、各種設定することができる。
【0039】
図7(A)は、作業登録画面202であり、管理NO203、作業内容204、関連機器205、作業対象206、詳細作業207の項目が表示される。一例として、作業内容204がスクラム弁作業の場合、関連機器205及び作業対象206の項目が選択可能となっている。そして、作業対象206の項目において作業対象物となるスクラム弁を選択すると、詳細作業207に作業対象部品となるボンネット−ボディ締付ボルトやアクチュエータ蓋締付ボルトが表示される。なお、詳細作業207は、変更ボタン208を押下して他の詳細作業を複数選択することもできる。登録が完了した後、OKボタン209を押下して作業内容を保存する。保存完了後は、
図6(B)に示すメニュー画面200へ戻る。
【0040】
図5は本発明の作業用端末の作業工程のフロー図である。
作業用端末20では、まず、作業関連者の登録を行う(ステップ1)。
図9は作業用端末のログイン画面の説明図である。本実施形態では、監督210、作業班長211、作業者212の登録を行っている。
図9(A)に示すようにそれぞれ氏名213、暗証番号214を入力して登録ボタン215を押下する。作業者212については、複数登録することができる。登録が完了すると、監督210、作業班長211、作業者212の表示欄が変色する。そして
図9(B)に示すように作業開始ボタン216が有効化して、作業を進行することができる。
【0041】
図10は作業用端末のチェックイン・チェックアウト画面の説明図である。
図9(B)に示すチェックイン・チェックアウトボタン217を押下すると、
図10(A)に示すようにチェックイン・チェックアウト画面218に切り替わる。管理用端末50となる画面上の事務所PC欄219に作業項目が表示されている。そして、チェックアウトする作業項目を選択すると表示が変色し、最後にチェックアウトボタン220を押下すると、
図10(B)に示すように画面上の端末欄221にチェクアウトした作業項目が表示される。この作業により、管理用端末50の作業項目データが作業用端末20側に送信される。最後に戻るボタン222を押下し、チェックイン・チェックアウト画面218を閉じる。
【0042】
図11は作業用端末のログイン画面及び作業選択画面の説明図である。
図11(A)に示すように有効となった作業開始ボタン216を押下すると、作業者による作業が開始されて(ステップ100)、作業開始時間を記録し、作業時間計測が開始される(ステップ101)。
図11(B)に示すように画面上には作業選択画面223が表示される。作業選択項目には、先ほどの管理用端末50から読み込んだ作業項目の一覧が表示されている。作業を行う作業項目(本実施形態ではスクラム弁作業)を選択して表示欄を変色させた後、OKボタン(次にボタン224)を押下する(ステップ2)。
【0043】
図12は作業用端末の作業前登録画面の説明図である。
図12(A)に示すように作業前登録画面225では、作業内容226の欄にスクラム弁作業、関連機器227の欄に機器番号が表示されて選択した作業内容と関連機器を常時確認できるようにしている。そして、作業対象物の確認を行う(ステップ3)。作業対象登録を行うため、作業用端末20に接続する撮像端末30で関連機器(作業対象物)を撮影する。プレビュー画面228上に関連機器が表示されていることを確認した後、撮影ボタン229を押下して撮影する。
【0044】
撮影した関連機器の画像が画面230上に反映される。次に
図12(B)に示すように詳細作業選択欄の詳細作業(本実施形態ではボンネット−ボディ締付ボルト231)を選択し(ステップ4)、OKボタン(次へボタン232)を押下し、作業項目設定画面へ切替える。
本実施形態では、作業工具にトルクレンチを用いて説明する。
図13は作業用端末のトルクレンチ設定画面及び作業中画面の説明図である。トルクレンチ設定画面233では、まず作業者情報を入力して作業者登録を行う(ステップ5)。
図13(A)に示すように表示画面上の作業者234、作業班長235、監督236項目の作業担当を選択する。本実施形態では作業者による締付作業を行い、ついで作業班長による締付作業について説明する。次に、作業工具の設定登録を行う。表示画面上のトルクレンチ設置登録の管理番号237を登録する。管理番号は、あらかじめ設定されたトルクレンチの管理番号であり、登録リストから選択することができる。そしてトルクレンチの管理番号を設定すると、選択したトルクレンチのトルク値の目標値238と範囲239が画面上に表示される。表示画面上の設定値240の欄には作業者が表示画面上のトルクレンチのトルク値の目標値238と範囲239を参照して、トルクレンチに設定したトルク値を入力して登録する(ステップ6)。設定値が入力されるとOKボタン(次へボタン241)が有効化する。なお、入力値が目標値と範囲に合わない場合OKボタンは有効化しない。OKボタンを押下すると、作業中画面へ切り替わる。
【0045】
図13(B)に示すように作業中画面242では、作業項目243、部品No244、監督・作業班長・作業者246の項目が表示されるほか、作業対象部品の部品数に相当する番号欄と、作業対象物と作業対象部品の
図249(本実施形態では一例としてフランジに取り付けた12本の締付ボルトの概略平面図)と、トルク値252と、作業者250が表示されている。これにより作業者は、作業中に設定したトルク値を常時確認することができる。
【0046】
次にボルト締付作業を開始する(ステップ7)。作業全体の開始時間は
図11(A)に示す作業用端末のログイン画面で有効となった作業開始ボタン216を押下すると、作業者による作業が開始されて(ステップ100)、作業開始時間を記録し、作業時間計測が開始されている(ステップ101)。
ボルトの締付作業を始める前にあらかじめ識別治具80を作業対象物12に取り付けておく。作業者は、複数のボルトの中から任意のボルトを選択することができる。
【0047】
作業者は締付作業で指定されたトルクレンチを用いて作業対象部品14のボルトをすべて仮締めした後、任意のボルトの本締めを行う。
図13(B)に示す作業中画面242に切り替わると、ボルトの締付開始時間が記録される(ステップ102)。そして、作業者がトルクレンチを用いてボルトを締め付ける締付作業を実施する。ボルトの締付が設定値に達するとリミットスイッチが動作して(ステップ103)、締付解除となり、トルク値の測定値となる締付完了信号が作業用端末20の制御部28へ送信される。
【0048】
制御部28へ作業完了信号が送信されると、作業用端末20の画面上のボルト番号1のボックス248が着色などのように変化する。また、画面の
図249に図示された作業対象物12のボルト番号1に想到する箇所に選択マーク(○印)254が付されて作業中の締付ボルトを認識することができる。
なお再作業ボタン251は、締付作業中のボルトの作業を継続することができないなどの理由が生じて、作業をやり直す際に押下するものである。
【0049】
図14は作業用端末の作業中画面における(A)締付作業の実施の説明図及び(B)作業終了の説明図である。締付完了信号は、作業工具40の工具制御部44にも送信される。リミットスイッチ42の作業完了信号が入力されると、工具制御部44から識別コード読取部46へ起動させる制御信号が送信される。識別コード読取部46が作業対象部品の各々に取り付けられた識別コードを読み取る。読み取った識別コードの位置情報が作業用端末20の制御部28へ送信される。制御部28では、識別コードの位置情報から締付作業が完了したボルトを認識し(ステップ104)、ボルト番号1のボックス248が他の着色などのように変化する。
【0050】
次に締付作業が完了したボルトを写真撮影する(ステップ105)。撮像端末30から作業用端末20の画像保存部26へ撮像画像が送信される。この写真撮影が4秒間以内であるか否かの判定が行われる(ステップ106)。写真撮影が識別コードの読取りから4秒間以内であれば、締付作業が完了したボルトの写真撮影が完了したと判断される(YES)。一方、4秒間よりも長ければ、締付作業を行ったボルトの写真を撮影したものとは判断されない。この場合、再度、ボルトの締付け作業を行って、リミットスイッチ動作の工程に戻る(NO)。
【0051】
図14(A)に示すように写真を撮像・保存した時点でボルト番号1のボックス248に作業が完了したことを表す完マーク257と、及び作業対象物12の図中の作業対象部品14上の選択マーク(○印)が塗りつぶされた完了マーク258が表示されると、ボルトの締付終了時間を記録する(ステップ107)。また、締付作業が完了した作業対象部品の完了マーク258の近くには撮像した写真を参照できるアイコン259が付けられる。そして、ボルト番号1〜12の順番で締付作業を行う場合、次に作業を行うボルト番号2のボックス260が着色するなどのように変化し、作業対象物の図中の作業対象部品上の選択マーク261(○印)が付けられる。
【0052】
そして作業用端末20のデータ保存管理部29では、制御部28で作成された写真付きの作業データが一時記録される(ステップ108)。その後、作業回数カウンターにより締付ボルトの締付作業数がカウントされる(ステップ109)。
次に締付ボルト数の判定が行われる。具体的な締付ボルト数の判定は、あらかじめ登録されている作業対象部品のボルト数(ステップ110)と実際に行った作業回数の差分をとって残りの作業回数を判定することができる(ステップ111)。
【0053】
判定の結果、ボルトの締付作業を行う場合には、ボルト番号2からボルト番号12について、ステップ103からステップ109までの作業を繰り返して行う。
図14(B)に示すように複数のボルトの締付作業が全て完了した場合、作業中画面上には全てのボルト番号の表示欄に完マーク257と、作業対象物の図中の全ての作業対象部品に完了マーク258が付される。そして作業完了のポップアップ画面262が表示される。OKボタン263を押下するとポップアップ画面が閉じられる。表示画面上の作業終了ボタン264を押下すると、
図13(A)に示すトルクレンチ設定画面233へ切り替わる。作業者による締付作業が終了すると、作業者234の表示が変化して作業が完了していることを確認できる。そして作業者の作業終了後、作業班長による締付作業を行う場合には、
図13(A)に示す作業者登録の作業班長235の作業担当を選択する。作業班長についても作業者同様の締付作業を行う。
【0054】
作業班長による締付作業が完了し、
図14(B)に示す表示画面上の作業終了ボタン264を押下すると、
図11(B)に示す作業選択画面223へ切り替わる。作業選択画面上の作業完了ボタン265を押下すると作業時間計測が終了して(ステップ112)、作業者の作業終了時間が記録され、選択した作業項目の作業が終了する(ステップ113)。
全ての詳細作業が終了してデータが入力されると、作業が終了する(ステップ8)。
【0055】
図17は作業データ管理リスト表の説明図である。管理用端末50の書類作成部58では、作業用端末20から読み取った作業データに基づいて作業データ管理リスト表などの作業日報などの書類を作成している。本実施形態の作業データ管理リスト表は、一例として、詳細作業項目の作業対象部品ごとに、担当者、作業開始時間、作業終了時間、トルクレンチ管理番号、トルク値、写真記録が表示されている。
このような本発明の作業管理システムによれば、表示画面上に図示された作業対象物から作業中の作業対象部品を容易に認識することができる。また、作業用端末を用いて容易に作業時の測定値や作業後の画像を記録することができる。そして作業後、表示画面上に作業済みの作業対象部品をマーキングすることにより作業対象物の複数の作業対象部品を特定することができる。従って、ネジの締め忘れなどの作業不具合を防止して、作業記録を容易に作成することができる。