(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(圧力センサの構成)
以下、本発明の実施形態に係る圧力センサについて添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態の圧力センサ1は、所定の周波数帯域の圧力変動を検出するセンサであり、適宜の圧力伝達媒体(例えば、空気などの気体や液体など)が存在する空間などに配置されている。
図1および
図2に示すように、圧力センサ1は、例えば、SOI基板2とセンサ本体3とを一体的に固定した形状からなり、SOI基板2に形成されたカンチレバー4と、カンチレバー4に接続されてカンチレバー4の変位を測定する変位検出部5と、圧力制御部6と、を備えている。
【0014】
SOI基板2は、シリコン支持層2a、シリコン酸化膜等の酸化層2bおよびシリコン活性層2cを熱的に張り合わせて形成されている。
センサ本体3は、例えば樹脂材で構成された中空の箱型の形状を有し、内部に形成されたキャビティ10と、キャビティ10と外部とを連通する連通開口11と、を備えている。センサ本体3は、キャビティ10として機能する凹部10aを備え、この凹部10aの開口をキャビティ10の内部と外部とを連通する連通開口11としている。これに伴い、例えば、SOI基板2の酸化層2bおよびシリコン活性層2cには、センサ本体3の連通開口11に臨んで連通する連通開口2Aが形成されている。
【0015】
カンチレバー4は、SOI基板2のシリコン活性層2cからなり、平板状のシリコン活性層2cからカンチレバー4と枠部12とを形成するようにギャップ13を切り出すことによって形成されている。カンチレバー4は、基端部4aを固定端とし、先端部4bを自由端とした片持ち梁構造を形成し、基端部4aを中心としてキャビティ10の内部と外部との圧力差(つまりギャップ13を介してキャビティ10の内部と外部との間を流通可能な圧力伝達媒体による圧力の差)に応じて撓み変形可能とされている。
カンチレバー4の基端部4aには、該カンチレバー4が撓み変形し易くなるようにして、貫通孔15が形成されている。
【0016】
変位検出部5は、カンチレバー4の基端部4aの表面上に設けられたピエゾ抵抗20と、ピエゾ抵抗20に接続された配線部21と、カンチレバー4の変位を検出する検出回路22と、を備えている。
ピエゾ抵抗20は、カンチレバー4の撓み量(変位量)に応じて電気抵抗値が変化する抵抗素子であり、
図1におけるカンチレバー4の短手方向において、貫通孔15を挟んだ両側に対となって配置されている。これら一対のピエゾ抵抗20は、導電性材料からなる配線部21を介して相互に電気的に接続されている。検出回路22は一対のピエゾ抵抗20に接続され、ピエゾ抵抗20の電気抵抗値変化に基づいてカンチレバー4の変位を検出する。
【0017】
この変位検出部5において、検出回路22を通じてピエゾ抵抗20に所定電圧が印加されると、この電圧印加に起因する電流は、貫通孔15を回り込むようにして、一方のピエゾ抵抗20から配線部21を経由して他方のピエゾ抵抗20に流れる。これによって、検出回路22は、カンチレバー4の変位(撓み変形)に応じて変化するピエゾ抵抗20の電気抵抗値変化を電気的な出力信号として取り出すことが可能である。変位検出部5は、この出力信号(センサ出力)に基づいて、カンチレバー4の変位を測定可能であり、キャビティ10の内部と外部との間に発生した圧力差を検出する。
【0018】
なお、ピエゾ抵抗20は、例えばリンなどのドープ剤(不純物)がイオン注入法や拡散法などの各種の方法によりドーピングされることで形成される。また、双方のピエゾ抵抗20は配線部21のみで電気的に導通するように形成されている。これによって、カンチレバー4周囲のシリコン活性層2cは、配線部21以外でピエゾ抵抗20双方が導通しないよう、エッチングされている。
また、ピエゾ抵抗20は、圧電薄膜であってもよい。この場合、カンチレバー4の基端部4aに加わる応力に応じて、起電力が発生する。検出回路22は、この起電力を検出することで、カンチレバー4の変位を検出する。
【0019】
圧力制御部6は、所定値記憶部23と、比較回路24と、信号処理回路25と、駆動回路26と、駆動回路26から出力される信号に応じて駆動されることによってキャビティ10の内部の圧力を変更する内圧変更部27と、を備えている。
【0020】
所定値記憶部23は、カンチレバー4の変位に対する目標値とされる所定値を記憶している。所定値記憶部23に記憶されている所定値は、例えばキャビティ10の内部と外部との間の圧力差がゼロ(またはゼロを含む所定値以下)である場合または圧力差に応じたカンチレバー4の撓み変形が無い場合(または撓み変形が所定程度以下である場合)に、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値などである。なお、所定値記憶部23に記憶されている所定値は、圧力センサ1の状態などに応じて適宜に変更されてもよい。
比較回路24は、検出回路22から出力された検出出力、つまり検出回路22によって検出されたカンチレバー4の変位の検出値と、所定値記憶部23に記憶されている所定値とを比較し、比較結果(例えば、検出値と所定値との差など)を出力する。
【0021】
信号処理回路25は、比較回路24から出力された比較結果に基づき、検出回路22によって検出されたカンチレバー4の変位の検出値を所定値に追従させるようにして、フィードバック制御などを行ない、この検出値を所定値に追従させるために必要とされる指令値(例えば、キャビティ10の内部の圧力に対する指令値など)を出力する。つまり、この指令値は、キャビティ10の内部と外部との間の圧力差または圧力差に応じたカンチレバー4の撓み変形を、ゼロに向かい低下させることを指示する。
【0022】
なお、信号処理回路25は、指令値が所定の上限値を超えた場合、または指令値に応じて後述する駆動回路26から内圧変更部27に出力される駆動出力の値が所定上限値を超える場合には、内圧変更部27によるキャビティ10の内部の圧力に対する制御状態を所定の初期状態に戻すことを指示するリセット信号を出力する。
また、信号処理回路25は、検出回路22から出力された検出出力、つまり検出回路22によって検出されたカンチレバー4の変位の検出値が、所定の下限閾値を超えた場合、または所定の許容範囲内の値となった場合、または所定条件を満たした場合などにおいて、圧力制御部6による制御動作を許可し、この制御動作を開始する。
【0023】
駆動回路26は、信号処理回路25から出力された指令値に応じて内圧変更部27を作動させるための信号(駆動出力)を出力する。
内圧変更部27は、例えばセンサ本体3の少なくとも一部を成すようにして設けられた板状の圧電アクチュエータ31を備えている。圧電アクチュエータ31は、センサ本体3の内部と外部とを連通する貫通孔3aを塞ぐように設けられている。圧電アクチュエータ31は、例えばピエゾアクチュエータなどであって、駆動回路26から出力された信号に応じて、キャビティ10の内部または外部に向かい撓み変形する。これによって、キャビティ10の容積を変更し、キャビティ10の内部の圧力を増大または低下させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定値記憶部23に記憶されている所定値に追従させる。
【0024】
(圧力センサの動作)
まず、上述した圧力センサ1を用いて、微小な圧力変動を検出する場合について、
図3を用いて説明する。なお、
図3においては、上述した本実施形態と、本実施形態の圧力センサ1から圧力制御部6が省略された比較例とに対して、センサ出力、キャビティ10の内圧、外圧と内圧との差圧およびキャビティ容積の変化を示した。
【0025】
先ず、
図3に示す時刻t1以前の期間のように、キャビティ10の外部の圧力(以下、外圧)と、キャビティ10の内部の圧力(以下、内圧)との圧力差がゼロである場合には、カンチレバー4は圧力差によって撓み変形せず、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値は所定値である。
そして、時刻t1以降の期間のように、外圧が上昇すると、キャビティ10の外部と内部との間に圧力差が生じるので、カンチレバー4はキャビティ10内部に向けて撓み変形する。これに伴い、カンチレバー4の撓み変形に応じてピエゾ抵抗20に歪みが生じ、電気抵抗値が変化するので、圧力センサ1のセンサ出力が増大する。
【0026】
ここで、本実施形態の圧力センサ1では、キャビティ10の内部と外部との間の圧力差がゼロ(またはゼロを含む所定値以下)となるように、または圧力差に応じたカンチレバー4の撓み変形が無くなる(または撓み変形が所定程度以下となる)ように、圧電アクチュエータ31が駆動される。すると、圧電アクチュエータ31がキャビティ10の内部に向かい撓み変形し、キャビティ10の容積が減少し、キャビティ10の内部の圧力が増大し、キャビティ10の外部と内部との間の圧力差の増大が抑制される。
これに対して、圧力制御部6が省略された比較例では、キャビティ10の容積は不変であり、キャビティ10の外部と内部との間の圧力差は本実施形態よりも増大する。
【0027】
また、本実施形態および比較例においては、外圧の上昇開始に伴い、キャビティ10の外部と内部との間の圧力差に応じて、ギャップ13を介してキャビティ10の外部から内部へと圧力伝達媒体が流動を開始する。この圧力伝達媒体の流動量は、ギャップ13の開きが大きくなることに伴って増大し、ギャップ13の開きは、カンチレバー4の撓み変形の増大に伴って大きくなる。これによって、キャビティ10の外部と内部との間の圧力差の増大が抑制される本実施形態の圧力センサ1に比べて、より圧力差が増大する比較例では、ギャップ13の開きの増大によってキャビティ10の外部から内部への圧力伝達媒体の流動量が増大する。これに伴い、本実施形態に比べて、比較例では、外圧の上昇がカンチレバー4の変位に適正に反映されずに内圧が上昇して、センサ出力がより小さくなる。
【0028】
さらに、本実施形態および比較例において、外圧の上昇終了後には、ギャップ13を介してキャビティ10の外部から内部へと圧力伝達媒体が流動することに伴い、内圧は時間の経過とともに、外圧よりも遅れながら、かつ外圧の変動よりも緩やかな応答で上昇する。その結果、内圧が外圧に徐々に近づくので、キャビティ10の外部と内部との圧力が均衡状態になり始め、カンチレバー4の撓みが徐々に小さくなり、センサ出力が徐々に低下する。そして、内圧が外圧に等しくなると、圧力差に応じたカンチレバー4の撓み変形が解消されて元の状態に復帰し、圧力センサ1のセンサ出力が再びゼロになる。
【0029】
ここで、カンチレバー4の撓み変形およびギャップ13の開きの増大が抑制されることによって、キャビティ10の外部から内部への圧力伝達媒体の流動量の増大が抑制される本実施形態の圧力センサ1では、カンチレバー4の撓み変形は緩やかに解消され、元の状態に戻るまで(つまり圧力差に応じたカンチレバー4の撓み変形が無くなるまで)の緩和時間が長く確保され、圧力変動が長時間に亘って維持される。
これに対して、圧力制御部6が省略された比較例では、カンチレバー4の撓み変形は急速に解消され、元の状態に戻るまで(つまり圧力差に応じたカンチレバー4の撓み変形が無くなるまで)の緩和時間がより短くなる。
【0030】
このように、本実施形態の圧力センサ1では、
図4に示すように、圧力制御部6が省略された比較例に比べて、より低い、例えば0.1以上かつ1Hz以下の周波数帯域の圧力変動であっても感度良く検出することができる。さらに、検出できる下限周波数(例えば、所望のセンサ感度Aに対する下限周波数Fc)を比較例の下限周波数(例えば、所望のセンサ感度Aに対する下限周波数Fc0>Fc)よりも下げることができる。
そして、カンチレバー4の変位に基づいたセンサ出力(出力信号)の変動をモニタすることで、キャビティ10の外部の圧力変動を検出することができる。
特に、SOI基板2のシリコン活性層2cを用いて半導体プロセス技術によりカンチレバー4を形成できるので、従来の圧電素子に比べて薄型化(例えば、数十〜数百nm)し易い。したがって、微小な圧力変動の検出を精度よく行うことができる。
【0031】
以下に、本実施形態の圧力センサ1の動作について説明する。なお、以下に説明するステップS01からステップS05の処理と、ステップS11からステップS13の処理とは、所定周期などによって繰り返し実行される。
先ず、例えば
図5に示すステップS01においては、検出回路22から出力された検出出力、つまりカンチレバー4の変位の検出値と、所定値記憶部23に記憶されている所定値とを比較し、比較結果(例えば、検出値と所定値との差など)を出力する。
【0032】
次に、ステップS02においては、カンチレバー4の変位の検出値を所定値に追従させるフィードバック制御などによって、この検出値を所定値に追従させるために必要とされる指令値を出力し、この指令値に応じてキャビティ10の内部の圧力を変更する内圧変更部27を動作させる。
【0033】
次に、ステップS03においては、信号処理回路25から出力される指令値(信号処理出力)が所定の上限値を超えるか否か、または指令値に応じて駆動回路26から内圧変更部27に出力される駆動出力の値が所定上限値を超えるか否かなどの判定によって、駆動出力または信号処理出力が飽和したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、リターンに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
そして、ステップS04においては、内圧変更部27を所定の初期状態に戻すことを指示するリセット信号を信号処理回路25から駆動回路26に出力する。
そして、ステップS05においては、内圧変更部27を所定の初期状態に戻し、リターンに進む。
【0034】
また、例えば
図6に示すステップS11においては、所定の停止指示に応じて圧力制御部6による制御動作を停止させる。
【0035】
次に、ステップS02においては、検出回路22から出力された検出出力、つまり検出回路22によって検出されたカンチレバー4の変位の検出値が、所定の下限閾値を超えたか否か、または所定の許容範囲内の値となったか否か、または所定条件を満たしたか否かなどを判定する。
これらの判定結果の何れかが「YES」の場合には、ステップS13に進み、ステップS13においては、圧力制御部6による制御動作を開始し、上述したステップS12に戻る。
一方、これらの判定結果の全てが「NO」の場合には、リターンに進む。
【0036】
上述したように本実施形態の圧力センサ1によれば、外圧の圧力変動に対してカンチレバー4の変位を抑制することができ、圧力変動の検出を精度良く行うことができるとともに、検出できる下限周波数を下げることができ、かつ低周波帯域の圧力変動を感度良く検出することができる。さらに、ダイナミックレンジを増大させることができるとともに、カンチレバー4の変位とキャビティ10の外部の圧力変動の検出値との対応関係の線形性を向上させることができる。
また、センサ本体3の少なくとも一部を成すように圧電アクチュエータ31を備えるだけの単純な構成によって、キャビティ10の内部の圧力を変更することができ、構成が複雑化することを防止することができる。
【0037】
なお、上述した実施形態において、信号処理回路25がリセット信号を出力する機能は省略されてもよい。
【0038】
(第1変形例)
なお、上述した実施形態においては、例えば
図7に示す第1変形例のように、内圧変更部27は、板状の圧電アクチュエータ31の代わりに、センサ本体3の周壁部3bの少なくとも一部を成すようにして設けられた環板状の圧電アクチュエータ32を備えてもよい。
この第1変形例の圧電アクチュエータ32は、駆動回路26から出力された信号に応じて、センサ本体3の周壁部3bを伸縮させるようにして変形する。これによって、キャビティ10の容積を変更し、キャビティ10の内部の圧力を増大または低下させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定値に追従させる。
この第1変形例によれば、圧力センサ1の構成が複雑化することを防止しつつ、剛性を向上させることができる。
【0039】
(第2変形例)
なお、上述した実施形態においては、例えば
図8に示す第2変形例のように、内圧変更部27は、センサ本体3の少なくとも一部を成し、変形または変位によってキャビティ10の容積を変更することによってキャビティ10の圧力を変更可能な可変部材33と、駆動力の発生または変形によって可変部材33を変形または変位させるアクチュエータ34と、を備えてもよい。
この第2変形例の可変部材33は、例えばセンサ本体3の少なくとも一部を成すようにして設けられた膜状部材33aを備え、膜状部材33aは、センサ本体3の内部と外部とを連通する貫通孔3aを塞ぐように設けられ、キャビティ10の内部または外部に向かい撓み変形可能である。
アクチュエータ34は、例えば圧電アクチュエータまたは電磁アクチュエータなどであって、センサ本体3に固定された固定部材35によって支持されるとともに、膜状部材33aに接続されている。アクチュエータ34は、駆動回路26から出力された信号に応じて伸縮変形することによって、膜状部材33aをキャビティ10の内部または外部に向かい撓み変形させる。これによって、キャビティ10の容積を変更し、キャビティ10の内部の圧力を増大または低下させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定値に追従させる。
この第2変形例によれば、キャビティ10の内部の圧力を変更する際の可変範囲を増大させることができ、圧力センサ1の剛性を向上させることができる。
【0040】
(第3変形例)
なお、上述した第2変形例においては、例えば
図9に示す第3変形例のように、可変部材33は、例えばセンサ本体3の少なくとも一部を成すようにして設けられた板状部材33bを備えてもよい。この第3変形例の板状部材33bは、センサ本体3の内部と外部とを連通する貫通孔3aを塞ぐように設けられ、キャビティ10の内部に向かいまたはキャビティ10の外部に向かい変位可能である。
この第3変形例のアクチュエータ34は、センサ本体3に固定された固定部材35によって支持されるとともに、板状部材33bに接続され、例えば、ベローズ型の伸縮管34aと、伸縮管34aを伸縮変形させるアクチュエータ部34bと、を備えている。伸縮管34aの内部にはアクチュエータ部34bが配置され、伸縮管34aおよびアクチュエータ部34bの伸縮方向の両端が1対の端面板34cによって挟み込まれている。アクチュエータ部34bは、例えば圧電アクチュエータまたは電磁アクチュエータなどであって、駆動回路26から出力された信号に応じて伸縮変形することによって、伸縮管34aを伸縮変形させ、端面板34cを介して板状部材33bをキャビティ10の内部または外部に向かい変位させる。これによって、キャビティ10の容積を変更し、キャビティ10の内部の圧力を増大または低下させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定の目標値に追従させる。
この第3変形例によれば、キャビティ10の内部の圧力を変更する際の可変範囲を増大させることができ、圧力センサ1の剛性を向上させることができる。
【0041】
(第4変形例)
なお、上述した第3変形例においては、例えば
図10に示す第4変形例のように、アクチュエータ34は、固定部材35によって支持されたモータ34dを備えてもよい。この第4変形例の可変部材33は、例えばセンサ本体3の少なくとも一部を成すようにして設けられた筒状部材33cを備えている。この第4変形例の筒状部材33cは、センサ本体3の内部と外部とを連通する貫通孔3aを塞ぐように設けられ、キャビティ10の内部に向かいまたはキャビティ10の外部に向かい変位可能である。
この第4変形例のモータ34dは、回転軸に形成された雄ねじ部34eを、筒状部材33cの凹部に形成された雌ねじ部33dに噛み合わせて、モータ34dの回転運動を筒状部材33cの直線運動に変換可能である。モータ34dは、駆動回路26から出力された信号に応じて回転軸を回転駆動する駆動力を発生させ、筒状部材33cをキャビティ10の内部または外部に向かい変位させる。これによって、キャビティ10の容積を変更し、キャビティ10の内部の圧力を増大または低下させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定の目標値に追従させる。
この第4変形例によれば、キャビティ10の内部の圧力を変更する際の可変範囲を増大させることができる。
【0042】
(第5変形例)
なお、上述した実施形態においては、例えば
図11に示す第5変形例のように、内圧変更部27は、キャビティ10の温度を変更可能なヒータ36を備えてもよい。
この第5変形例のヒータ36は、センサ本体3に設けられ、駆動回路26から出力された信号に応じて、放熱することによってキャビティ10の温度を上昇させる。これによって、キャビティ10の内部の圧力を増大させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定の目標値に追従させる。なお、この第5変形例においては、ヒータ36に近接するセンサ本体3の内面上に熱交換用のフィン36aを備えてもよい。
この第5変形例によれば、圧力センサ1が大型化したり、構成が複雑化することを防止することができる。
【0043】
(第6変形例)
なお、上述した実施形態においては、例えば
図12に示す第6変形例のように、内圧変更部27は、キャビティ10の温度を変更可能なペルチェ素子などの熱電素子37を備えてもよい。内圧変更部27は、センサ本体3の少なくとも一部を成し、環板状の熱絶縁層37aと、熱絶縁層37aの内部に配置された熱電素子37とともに熱絶縁層37aを厚さ方向の両側から挟み込む1対の熱伝導層37bと、を備えている。
この第6変形例の熱電素子37は、駆動回路26から出力された信号に応じて、放熱または吸熱することによってキャビティ10の温度を上昇または下降させる。これによって、キャビティ10の内部の圧力を増大または低下させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定の目標値に追従させる。なお、この第6変形例においては、センサ本体3の内面の一部を成す熱伝導層37bの表面上に熱交換用のフィン37cを備えてもよい。
この第6変形例によれば、キャビティ10の内部の圧力を詳細かつ精度良く制御することができる。
【0044】
(第7変形例)
なお、上述した実施形態においては、例えば
図13に示す第7変形例のように、内圧変更部27は、キャビティ10の温度を変更可能な赤外線源38を備えてもよい。
この第7変形例の赤外線源38は、駆動回路26から出力された信号に応じて、センサ本体3の内部に赤外線を放射することによってキャビティ10の温度を上昇させる。これによって、キャビティ10の内部の圧力を増大させ、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定の目標値に追従させる。なお、この第7変形例においては、センサ本体3の内面上にフィン状などの形状を有する赤外線吸収部材38aを備えてもよい。
この第7変形例によれば、圧力センサ1が大型化することを防止し、キャビティ10の内部の圧力を遠隔的に制御することができる。
【0045】
(第8変形例)
なお、上述した実施形態においては、例えば
図14に示す第8変形例のように、所定値記憶部23の代わりに、ローパスフィルタ41を備えてもよい。
この第8変形例のローパスフィルタ41は、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値に対して、所定の低域通過処理を行ない、処理後の検出値を比較回路24に出力する。比較回路24は、検出回路22から出力された検出出力、つまり検出回路22によって検出されたカンチレバー4の変位の検出値と、ローパスフィルタ41から出力された処理後の検出値とを比較し、比較結果(例えば、差など)を出力する。
この第8変形例によれば、圧力センサ1の出力が不安定な場合などであっても、フィードバック制御を適正に行なうことができる。
【0046】
(第9変形例)
なお、上述した実施形態においては、内圧変更部27は、キャビティ10の内部と外部とに存在する圧力伝達媒体を、キャビティ10の内部と外部との間で流通させることによってキャビティ10の圧力を変更可能なポンプなどを備えてもよい。
この第9変形例によれば、内圧変更部27は、駆動回路26から出力された信号に応じて、キャビティ10の内部と外部との間の圧力伝達媒体の流通を制御することによって、キャビティ10の内部の圧力を制御する。これによって、検出回路22から出力されるカンチレバー4の変位の検出値を所定の目標値に追従させる。