(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2金属膜が、前記p型窒化物半導体層の主面に垂直な方向から見た平面視において前記第1金属膜よりも前記n型電極の近くに位置する縁部を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子。
前記第2金属膜が、前記p型窒化物半導体層の主面に垂直な方向から見た平面視において前記第1金属膜を覆うように形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る発光素子1の模式的な平面図である。
図2は、
図1の切断面線II−IIにおける断面図である。
図3は、
図1の切断面線III−IIIにおける断面図である。
図4は、発光素子1の模式的な斜視図である。
発光素子1は、透明基板2と、n型窒化物半導体層3と、発光層4と、p型窒化物半導体層5と、n型電極35と、p型電極40と、絶縁膜8と、絶縁管層9と、バリア層15と、接合層16とを備えている。n型電極35は、n型窒化物半導体層3に接続されており、n側外部接続部10(外部接続部)と、接続ポスト部11とを有している。p型電極40は、p型窒化物半導体層5に接続されており、透明導電膜6と、第1金属膜7と、第2金属膜42と、p側外部接続部12(外部接続部)と、コンタクト13と、エッチングストップ層14とを有している。
【0020】
透明基板2上に、n型窒化物半導体層3、発光層4、p型窒化物半導体層5、透明導電膜6、第1金属膜7、第2金属膜42および絶縁膜8が、この順番で積層されている。
透明基板2は、発光層4の発光波長(たとえば450nm)に対して透明な材料(たとえばサファイア、GaNまたはSiC)からなり、所定の厚さを有している。透明基板2は、その厚さ方向から見た平面視において、
図2における左右方向に長手方向を有し、
図2における奥行き方向に短手方向を有する矩形形状に形成されている(
図1参照)。透明基板2の長手方向寸法は、たとえば、約1000μmであり、透明基板2の短手方向寸法は、たとえば、約500μmである。透明基板2では、
図2における下面が表面2Aであり、
図2における上面が裏面2Bである。表面2Aは、光が取り出される光取出し面である。裏面2Bは、透明基板2におけるn型窒化物半導体層3との接合面である。透明基板2の裏面2Bには、n型窒化物半導体層3側へ突出する凸部17が複数形成されている。複数の凸部17は、離散配置されている。具体的には、複数の凸部17は、透明基板2の裏面2Bにおいて、互いに間隔を空けて行列状に配置されていてもよいし、千鳥状に配置されていてもよい。各凸部17は、SiNで形成されていてもよい。
【0021】
n型窒化物半導体層3は、透明基板2上に積層されている。n型窒化物半導体層3は、透明基板2の裏面2Bの全域を覆っている。n型窒化物半導体層3は、n型の窒化物半導体(たとえば、GaN)からなっていて、発光層4の発光波長に対して透明である。「発光波長に対して透明」とは、具体的には、たとえば、発光波長の透過率が60%以上の場合をいう。n型窒化物半導体層3について、
図2において透明基板2の裏面2Bを覆う下面を表面3Aといい、表面3Aとは反対側の上面を裏面3Bということにする。透明基板2の厚さ方向(n型窒化物半導体層3の厚さ方向でもある)から見た平面視において、n型窒化物半導体層3の裏面3Bの端部には、表面3A側へ凹んだ段付部分3Cが形成されている。
【0022】
発光層4は、n型窒化物半導体層3上に積層されている。発光層4は、n型窒化物半導体層3の裏面3Bにおいて段付部分3C以外の全域を覆っている。発光層4は、この実施形態では、Inを含む窒化物半導体(たとえばInGaN)からなり、その厚さは、たとえば、約100nmである。発光層4の発光波長は、たとえば440nm〜460nmである。
【0023】
p型窒化物半導体層5は、発光層4と同一パターンで発光層4上に積層されている。そのため、平面視において、p型窒化物半導体層5の領域は、発光層4の領域と一致している。p型窒化物半導体層5は、p型の窒化物半導体(たとえば、GaN)からなっていて、発光層4の発光波長に対して透明である。このように、n型半導体層であるn型窒化物半導体層3とp型半導体層であるp型窒化物半導体層5とで発光層4を挟んだ発光ダイオード構造が形成されている。p型窒化物半導体層5の厚さは、たとえば、約200nmである。この場合、n型窒化物半導体層3、発光層4およびp型窒化物半導体層5の全体の厚さは、たとえば、約4.5μmである。
図2におけるp型窒化物半導体層5の上下の面が、p型窒化物半導体層5の主面5Aであり、この主面5Aに垂直な方向は、透明基板2の厚さ方向であり、n型窒化物半導体層3、発光層4、p型窒化物半導体層5、p側透明導電膜6、第1金属膜7および第2金属膜42の積層方向でもある。
【0024】
透明導電膜6は、p型窒化物半導体層5とほぼ相似しつつp型窒化物半導体層5より少し小さいパターンでp型窒化物半導体層5上に積層されている。透明導電膜6は、ZnO(酸化亜鉛)またはITO(酸化インジウム錫)からなり、発光層4の発光波長に対して透明である。この実施形態では、透明導電膜6は、ITOからなる。透明導電膜6の厚さは、たとえば約100nm〜200nmである。また、平面視における透明導電膜6は、たとえば、約500μmの短辺と約1000μmの長辺とを有する長方形状である。
【0025】
第1金属膜7は、透明導電膜6と同一パターンで透明導電膜6上に積層されている。そのため、p型窒化物半導体層5上に積層された透明導電膜6は、第1金属膜7とp型窒化物半導体層5との間に配置されている。
第1金属膜7は、Ag層36と、拡散防止層37とを含む。
Ag層36は、Ag、または、Pd(パラジウム)、Nd(ネオジム)およびBi(ビスマス)の少なくともいずれかとAgとを含む合金からなる。各材料の配合比率は、Agが98%程度であり、Pd、NdおよびBiの少なくともいずれかが数%程度である。Pd、NdおよびBiは、Agイオンのマイグレーションを抑制するために添加されている。Ag層36の厚さは、たとえば約100nmである。
【0026】
拡散防止層37は、TiW(チタンタングステン)、TiN(チタンナイトライド)、TaN(タンタルナイトライド)またはWN(タングステンナイトライド)からなる。この実施形態の拡散防止層37は、TiWからなる。拡散防止層37は、Ag層36と同一パターンでAg層36上に積層されている。拡散防止層37は、Ag層36の透明導電膜6とは反対側の表面36A(
図2における上面)の全域を覆っていて、Ag層36に含まれたAgの拡散を防止する機能を有している。拡散防止層37の厚さは、たとえば約10nmである。
【0027】
第1金属膜7は、導電性が良好である。
第2金属膜42は、Al、Au、およびCuのうちの一種以上を含む金属(Agに比べてイオン化しにくい金属またはマイグレーションしにくい金属)からなり、Agを含まない。この実施形態の第2金属膜42は、Alからなる。
第2金属膜42は、第1金属膜7に電気的に接続された接続部43と、シールド部44とを一体的に有している。接続部43は、第1金属膜7の表面7Aにおいて、
図2における右端部の上に、エッチングストップ層14を介して積層されていて、透明基板2の厚さ方向において表面7Aから離れる方向(
図2における上方)へ向けて柱状に突出している。シールド部44は、第1金属膜7とほぼ同じパターンで第1金属膜7上に配置されている。シールド部44の厚さは、たとえば約100nmである。前記積層方向(透明基板2の厚さ方向でもある)におけるシールド部44と第1金属膜7との間に接続部43が架設されており、シールド部44は、第1金属膜7に対して当該積層方向に間隔(接続部43およびエッチングストップ層14の厚さの合計に相当する)を開けて対向している。p型窒化物半導体層5上に透明導電膜6が積層され、透明導電膜6上に第1金属膜7が積層されているから、第2金属膜42は、第1金属膜7に対してp型窒化物半導体層5とは反対側に配置されている。
【0028】
エッチングストップ層14は、第1金属膜7の拡散防止層37上において、平面視で第2金属膜42の接続部43と一致する位置に積層されており、平面視において接続部43よりも大きく形成されている。エッチングストップ層14は、導電性材料で形成されており、具体的には、Cr(クロム)およびPt(白金)を拡散防止層37側からこの順番で積層することで構成されている。エッチングストップ層14は、第1金属膜7と第2金属膜42の接続部43とに挟まれている。第2金属膜42の接続部43は、エッチングストップ層14を介して第1金属膜7に電気的に接続されている。
【0029】
絶縁膜8は、SiO
2(酸化シリコン)、SiON(窒化酸化シリコン)およびSiN(窒化シリコン)のうちの一種以上を含む絶縁性材料で形成されている。絶縁膜8は、間隔充填部8Aと、金属膜被覆部8Bと、延設部8Cとを一体的に有している。間隔充填部8Aは、第1金属膜7の拡散防止層37と第2金属膜42のシールド部44との間隔に入り込んでいて、第1金属膜7とシールド部44との間隔を充填している。金属膜被覆部8Bは、第2金属膜42のシールド部44における第1金属膜7とは反対側の表面42A(
図2における上面)の全域を覆っている。延設部8Cは、平面視における金属膜被覆部8Bの端部(間隔充填部8Aの端部でもある)から透明基板2側へ延びている。延設部8Cは、平面視における発光層4、p型窒化物半導体層5、透明導電膜6、第1金属膜7および第2金属膜42のそれぞれの外側端面と、n型窒化物半導体層3の段付部分3Cとを全域に亘って覆っている。発光層4の外側端面は、発光層4においてn型窒化物半導体層3およびp型窒化物半導体層5の間から露出した端面4Aである。
【0030】
絶縁管層9は、絶縁性材料(ここでは、絶縁膜8と同じ材料)で形成されている。絶縁管層9は、絶縁膜8の金属膜被覆部8Bから連続しており、透明基板2の厚さ方向に沿って透明基板2側へ延びる管状の層であり、絶縁膜8の一部とみなすことができる。この実施形態では、絶縁管層9は、円管状であり、その外側の直径は、30μm以上50μm以下であり、その厚さは10μm〜20μm程度である。絶縁管層9は、第2金属膜42のシールド部44、第1金属膜7、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5および発光層4を貫通して、n型窒化物半導体層3の厚さ途中まで到達している。絶縁管層9の直径は、シールド部44を貫通する位置と、第1金属膜7を貫通する位置とにおいて少なくとも異なっている。
【0031】
絶縁管層9は、複数設けられており、複数の絶縁管層9は、平面視において離散して配置されている。具体的に、複数の絶縁管層9は、平面視において、均等に分散配置されている。
複数の絶縁管層9は、
図1に示すように、平面視において交差する2方向(透明基板2の長手方向および短手方向)に沿って行列状に規則配列されていてもよいし、平面視で千鳥状に配列されていてもよい。この実施形態では、絶縁管層9の数は、15であり、3行5列の行列状に配置されている。この場合、行方向が透明基板2の短手方向に一致し、列方向が透明基板2の長手方向に一致している。
【0032】
図2を参照して、第2金属膜42のシールド部44では、各絶縁管層9が形成された位置に、絶縁管層9が挿通された丸い貫通穴44Aが形成されている。各貫通穴44Aは、シールド部44を厚さ方向に貫通している。シールド部44には、貫通穴44Aを縁取る縁部44Bが設けられている。第1金属膜7では、各絶縁管層9が形成された位置に、絶縁管層9が挿通された丸い貫通穴7Bが形成されている。各貫通穴7Bは、第1金属膜7(Ag層36および拡散防止層37の両方)を厚さ方向に貫通している。第1金属膜7には、貫通穴7Bを縁取る縁部7Cが設けられている。透明導電膜6では、各絶縁管層9が形成された位置に、絶縁管層9が挿通された丸い貫通穴6Aが形成されている。各貫通穴6Aは、透明導電膜6を厚さ方向に貫通している。各貫通穴6Aは、平面視で同じ位置にある貫通穴7Bに対して透明基板2側から連通している。p型窒化物半導体層5および発光層4のそれぞれにおいて、各絶縁管層9が形成された位置には、絶縁管層9が挿通された丸い貫通穴38が形成されている。各貫通穴38は、p型窒化物半導体層5および発光層4の両方を厚さ方向に貫通している。各絶縁管層9においてn型窒化物半導体層3に位置する部分の直径は、貫通穴38の直径と同じである。
【0033】
各絶縁管層9が形成された位置では、平面視において、第2金属膜42のシールド部44の貫通穴44Aと、第1金属膜7の貫通穴7Bと、透明導電膜6の貫通穴6Aと、p型窒化物半導体層5および発光層4の貫通穴38とが同心状に配置されている(
図1も参照)。貫通穴44Aの直径R1と、貫通穴7Bの直径R2と、貫通穴6Aの直径R3と、貫通穴38の直径R4との関係は、この実施形態では、R4<R1<R2=R3となっている。そのため、
図1における左端下端の絶縁管層9を参照して、平面視では、貫通穴7Bおよび貫通穴6A(
図1における2点鎖線の円)の内側に貫通穴44A(
図1における1点鎖線の円)が位置しており、貫通穴44Aの内側に貫通穴38(
図1における破線の円)が位置している。
【0034】
図2を参照して、n側外部接続部10は、絶縁膜8の金属膜被覆部8B上において
図2における左側に偏った領域に積層されている。n側外部接続部10は、金属膜被覆部8Bを挟んで第2金属膜42のシールド部44に対向している。これにより、金属膜被覆部8Bによってn型電極35のn側外部接続部10と第2金属膜42とを互いに絶縁することができる。n側外部接続部10は、平面視において、
図1および
図2における左右方向(透明基板2の長手方向)において長手の矩形状に形成されており、平面視における絶縁膜8(金属膜被覆部8B)の半分以上の領域を占めていて、当該領域における絶縁膜8に接触している(
図1参照)。n側外部接続部10は、導電性材料(たとえば、Al(アルミニウム)やAg(銀))からなり、この実施形態ではAlからなる。n側外部接続部10の厚さは、100nm以上であり、好ましくは、約350nmである。
図1を参照して、n側外部接続部10は、
図1において左右方向に延びる1対の長手縁10Aと、1対の長手縁10Aと直交して延びる1対の短手縁10Bとを含んでいる。長手縁10Aおよび短手縁10Bは、平面視におけるn側外部接続部10の外形(輪郭)を規定する辺である。
【0035】
平面視において、複数の絶縁管層9のうち、1つの絶縁管層9は、矩形状のn側外部接続部10の重心位置Gに配置されていて、残りの絶縁管層9は、重心位置Gを基準(対称の中心)として点対称となるように配置されている。また、複数の絶縁管層9は、n側外部接続部10の長手縁10Aおよび短手縁10Bに沿って配置された第1縁側絶縁管層9Aを含んでいる。
図1では、12個の第1縁側絶縁管層9Aが、全体で矩形の額縁状をなしていて、n側外部接続部10の外形線(長手縁10Aおよび短手縁10B)を縁取るように外形線に隣接して配置されている。
【0036】
接続ポスト部11は、導電性材料(ここでは、n側外部接続部10と同じ材料)で形成されている。接続ポスト部11は、n側外部接続部10と同じ材料で形成されている場合、n側外部接続部10と一体化していてもよく、n側外部接続部10の一部と考えることもできる。接続ポスト部11は、n側外部接続部10から連続しており、透明基板2の厚さ方向に沿って透明基板2側へ延びる柱状に形成されている。この実施形態では、接続ポスト部11は、直線状の円柱形状である。接続ポスト部11は、複数設けられている。この実施形態では、接続ポスト部11は、絶縁管層9と同じ数(15個)だけ設けられている。
【0037】
図2を参照して、各接続ポスト部11は、絶縁膜8を貫通して、対応する絶縁管層9の中空部分に埋め込まれている。この状態で、各接続ポスト部11は、絶縁膜8(間隔充填部8Aおよび金属膜被覆部8B)および絶縁管層9を通って、n型窒化物半導体層3に接続されている。そのため、接続ポスト部11は、n型窒化物半導体層3とn側外部接続部10とを接続している。接続ポスト部11は、絶縁管層9を通ることによって、第2金属膜42(シールド部44)、第1金属膜7、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5および発光層4から分離絶縁されている。つまり、絶縁膜8(絶縁管層9を含む)は、n型電極35(接続ポスト部11)と、p型電極40(透明導電膜6、第1金属膜7および第2金属膜42)とを互いに絶縁している。
【0038】
n型窒化物半導体層3に対する円柱形状の接続ポスト部11の接触部18は、円形状である。接触部18の直径は、たとえば20μm以上40μm以下であってもよく、接続ポスト部11の寸法誤差や隣り合う接続ポスト部11の間隔の誤差を踏まえると、好ましくは、30μm程度である。接触部18の直径を20μmよりも小さくすると、接触部18における電気抵抗(接触抵抗)が増大する。
【0039】
接続ポスト部11(接続ポスト部11をn側外部接続部10の一部とする場合には、n側外部接続部10)は、Al、TiW、Ti(チタン)、Pt(プラチナ)およびAuSn(金錫)を、n型窒化物半導体層3に近い側(透明基板2側)からこの順番で積層することによって構成されていてもよい。この場合、AuSnが殆どの厚みを占めている。
図1を参照して、(透明基板2の厚さ方向から見た)平面視において、円管状の絶縁管層9の円中心と、絶縁管層9の中空部分に埋め込まれた円柱状の接続ポスト部11の円中心とは、一致している。したがって、平面視において、複数の接続ポスト部11は、複数の絶縁管層9と同じ配列パターンで配列されている。つまり、複数の接続ポスト部11は、平面視において、行列状をなすように、均等に分散配置されている。
【0040】
接続ポスト部11の直径R5は、p型窒化物半導体層5および発光層4における貫通穴38の直径(n型窒化物半導体層3における絶縁管層9の直径でもある)R4よりも小さい(
図2参照)。
左端下端の絶縁管層9を参照して、前述したように、各絶縁管層9では、平面視において、第1金属膜7の貫通穴7Bの内側に第2金属膜42の貫通穴44Aが位置している。そのため、各絶縁管層9では、平面視において、第2金属膜42のシールド部44において貫通穴44Aを縁取る縁部44Bは、第1金属膜7(貫通穴7Bを縁取る縁部7C)よりも接続ポスト部11(n型電極35)の近くに位置している。換言すれば、第2金属膜42の接続ポスト部11との最近接部である縁部44Bは、第1金属膜7の接続ポスト部11との最近接部である縁部7Cよりも接続ポスト部11に近接している。
【0041】
図2を参照して、p側外部接続部12は、この実施形態では、n側外部接続部10と同じ材料(この実施形態ではAl)からなり、絶縁膜8(金属膜被覆部8B)上において
図2における右側に偏った領域に積層されている。p側外部接続部12は、平面視において、n側外部接続部10よりも小さいが、たとえば、n側外部接続部10と同じ厚さを有している。p側外部接続部12は、n側外部接続部10の長手方向(
図1および
図2における左右方向)に対して直交する方向(
図2の紙面に直交する方向)に長手である(
図1参照)。絶縁膜8上において、左側に偏って形成されたn側外部接続部10と、右側に偏って形成されたp側外部接続部12とは、たとえば約60μmの距離を隔てることによって分離絶縁されている。
【0042】
コンタクト13は、導電性材料(ここでは、p側外部接続部12と同じ材料)で形成されている。コンタクト13は、p側外部接続部12から連続しており、透明基板2の厚さ方向に沿って透明基板2側へ延びる柱状に形成されている。コンタクト13は、複数(ここでは、3つ)設けられている。複数のコンタクト13は、p側外部接続部12の長手方向(
図2の紙面に直交する方向)に沿って並んでいる(
図1参照)。各コンタクト13は、絶縁膜8を貫通して、第2金属膜42の表面42Aに接続されている。そのため、コンタクト13につながったp側外部接続部12は、コンタクト13を介して第2金属膜42に電気的に接続されており、第2金属膜42およびエッチングストップ層14を介して第1金属膜7に電気的に接続されている。コンタクト13およびエッチングストップ層14は、透明基板2の長手方向(
図2における左右方向)で同じ位置に形成されていてもよいし、平面視で互いに重なる位置に形成されていてもよい。
【0043】
コンタクト13(コンタクト13をp側外部接続部12の一部とする場合には、p側外部接続部12)は、Al、TiW、Ti、PtおよびAuSnを、透明基板2側からこの順番で積層することによって構成されていてもよい。この場合、AuSnが殆どの厚みを占めている。
バリア層15は、n側外部接続部10上に、n側外部接続部10と同一パターンで積層されているとともに、p側外部接続部12上に、p側外部接続部12と同一パターンで積層されている。バリア層15は、Ti(チタン)およびPtをn側外部接続部10およびp側外部接続部12側からこの順番で積層して構成されている。
【0044】
接合層16は、n側外部接続部10上のバリア層15上に、n側外部接続部10と同一パターンで積層されているとともに、p側外部接続部12上のバリア層15上に、p側外部接続部12と同一パターンで積層されている。接合層16は、たとえば、Ag、TiもしくはPtまたはこれらの合金からなる。接合層16は、半田またはAuSn(金錫)からなってもよい。この実施形態では、接合層16は、AuSnからなる。バリア層15によって、接合層16からn側外部接続部10およびp側外部接続部12へのSn(錫)の拡散が抑えられている。
【0045】
接合層16において、n側外部接続部10上およびp側外部接続部12上のバリア層15と接する面が下面であり、この下面とは反対側の上面を接合面16Aということにする。n側外部接続部10側の接合層16の接合面16Aと、p側外部接続部12側の接合層16の接合面16Aとはいずれも平坦面であり、同じ高さ位置(透明基板2の厚さ方向における位置)において面一になっている。前述したようにn側外部接続部10とp側外部接続部12とが分離絶縁されているので、n側外部接続部10側の接合層16と、p側外部接続部12側の接合層16とは、分離絶縁されている。
【0046】
n型窒化物半導体層3において段付部分3Cを除く部分と、発光層4と、p型窒化物半導体層5とは、平面視において一致していて、
図1および
図2の左右方向(透明基板2の長手方向)に長手の矩形状である(
図1参照)。一方、透明導電膜6と、第1金属膜7とは、平面視において一致していて、
図1および
図2の左右方向に長手で発光層4およびp型窒化物半導体層5より少し小さい矩形状である(
図1参照)。
【0047】
また、第1金属膜7に対して間隔充填部8Aを挟んで対向している第2金属膜42のシールド部44は、透明基板2の厚さ方向から見た平面視において第1金属膜7と重なり合っている。
図1では、平面視におけるシールド部44の輪郭(外縁)示す長方形が1点鎖線で示されている。
図1では、平面視において、シールド部44の輪郭の内側に第1金属膜7の輪郭(2点鎖線の長方形)が位置しているが、シールド部44の輪郭と第1金属膜7の輪郭とが一致していてもよい。そして、前述したように、各絶縁管層9では、平面視において、第1金属膜7の貫通穴7Bの内側に第2金属膜42の貫通穴44Aが位置している。そのため、平面視において、第1金属膜7の全部が第2金属膜42(シールド部44)によって覆われている。
【0048】
なお、
図1では、シールド部44の輪郭は、発光層4およびp型窒化物半導体層5の輪郭(破線の長方形)の内側にあるが、一致していてもよいし、外側にあってもよい。
第2金属膜42において貫通穴44Aを縁取る縁部44Bは、平面視において、第2金属膜42の中でn型電極35(接続ポスト部11)に最も近い部分である。また、第1金属膜7において貫通穴7Bを縁取る縁部7Cは、平面視において、第1金属膜7の中でn型電極35(接続ポスト部11)に最も近い部分である。そして、前述したように、各絶縁管層9において、縁部44Bは、平面視で縁部7Cよりも接続ポスト部11に近接していることから、第1金属膜7のいずれの部分よりもn型電極35に近い。また、
図2を参照して、第2金属膜42のシールド部44は、透明基板2の厚さ方向において、第1金属膜7よりもn型電極35のn側外部接続部10に近い。つまり、第1金属膜7のどの部分に注目しても、その注目部分よりも第2金属膜42の縁部44Bの方がn型電極35に近い。そのため、第2金属膜42は、第1金属膜7とn型電極35との間(換言すれば、第1金属膜7に対してp型窒化物半導体層5とは反対側)に配置されている。
【0049】
n型窒化物半導体層3、発光層4、p型窒化物半導体層5、透明導電膜6、第1金属膜7および第2金属膜42(シールド部44)のそれぞれは、絶縁管層9および接続ポスト部11が形成されていない領域では、透明基板2の長手方向における全域に亘って存在している(
図3参照)。平面視において、n側外部接続部10、p側外部接続部12、バリア層15および接合層16は、発光層4(p型窒化物半導体層5、透明導電膜6、第1金属膜7、第2金属膜42)の内側に位置している(
図1参照)。
【0050】
この発光素子1では、n側外部接続部10とp側外部接続部12との間に順方向電圧を印加すると、p側外部接続部12からn側外部接続部10へ向かって電流が流れる。電流は、p側外部接続部12からn側外部接続部10へ向かって、コンタクト13、第2金属膜42、エッチングストップ層14および第1金属膜7を、この順番で流れる。第1金属膜7は、導電性が良好なので、電流は、第1金属膜7において平面視における全域に広がり、その後、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5、発光層4、n型窒化物半導体層3および接続ポスト部11を、この順番で流れる。このように電流が流れることによって、n型窒化物半導体層3から発光層4に電子が注入され、p型窒化物半導体層5から発光層4に正孔が注入され、これらの正孔および電子が発光層4で再結合することにより、波長440nm〜460nmの青色の光が発生する。この光は、n型窒化物半導体層3および透明基板2をこの順で透過して透明基板2の表面2Aから外部に取り出される。
【0051】
この際、発光層4からp型窒化物半導体層5側に向かう光も存在し、この光は、p型窒化物半導体層5および透明導電膜6をこの順で透過して、透明導電膜6と第1金属膜7との界面で反射される。反射した光は、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5、発光層4、n型窒化物半導体層3および透明基板2をこの順で透過して透明基板2の表面2Aから取り出される。また、第1金属膜7を透過した光が存在しても、この光は、絶縁膜8(間隔充填部8A)と第2金属膜42のシールド部44との界面で反射される。この光は、間隔充填部8A、絶縁管層9、接続ポスト部11、第1金属膜7、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5、発光層4、n型窒化物半導体層3および透明基板2を透過して透明基板2の表面2Aから取り出される。つまり、発光層4からの光を、透明導電膜6を透過させて第1金属膜7で反射させ、再び透明導電膜6を透過させてn型窒化物半導体層3から放出させることができる。
【0052】
また、第1金属膜7で反射されずに、絶縁管層9内を進む光も存在し、この光は、絶縁管層9および絶縁膜8を透過して、絶縁膜8とn側外部接続部10およびp側外部接続部12との界面で反射される。反射した光は、絶縁膜8、絶縁管層9、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5、発光層4、n型窒化物半導体層3および透明基板2を透過して透明基板2の表面2Aから取り出される。つまり、この発光素子1は、第1の反射電極層としての第1金属膜7のほかに、第2の反射電極層としてのn側外部接続部10およびp側外部接続部12を備えている。第1および第2電極層10,12が反射電極層としての機能を有すためには、第1および第2電極層10,12の厚さは、100nm以上である必要がある。
【0053】
前述したように、透明基板2の裏面2Bには、複数の凸部17が形成されている。これらの凸部17によって、n型窒化物半導体層3側から透明基板2へ向かって様々な角度から透明基板2の裏面2Bに入射される光が透明基板2の裏面2Bで全反射することを抑制できる。これにより、n型窒化物半導体層3から透明基板2へ向かう光が、n型窒化物半導体層3と透明基板2との界面においてn型窒化物半導体層3側へ反射することが抑制される。また、各凸部17は、n型窒化物半導体層3内で乱反射することでとどまっている光を透明基板2側へ導くこともできる。よって、光の取り出し効率が向上する。
【0054】
そして、このようにn側外部接続部10とp側外部接続部12との間に順方向電圧を印加すると、p型電極40とn型電極35との間で電界が発生する。前述した第2金属膜42が存在しない場合には、各絶縁管層9において、第1金属膜7の貫通穴7Bの縁部7Cと、接続ポスト部11やn側外部接続部10(n型電極35)との間に電界が発生するのだが、第2金属膜42は、この電界を遮蔽するように、第1金属膜7と接続ポスト部11やn側外部接続部10との間に配置されている。
【0055】
図2は、模式的な断面図であるため、各層や膜が実際よりも厚く示されているが、第1金属膜7の表面7Aと絶縁膜8上のn側外部接続部10との間隔(透明基板2の厚さ方向における間隔)は、数100nmと比較的狭い。これに対し、接続ポスト部11と第1金属膜7の縁部7Cや第2金属膜42の縁部44Bとの間隔(透明基板2の厚さ方向に直交する方向における間隔)は、数10μmであって、第1金属膜7の表面7Aとn側外部接続部10との間隔に比べて桁違いに広い。そのため、第2金属膜42は、透明基板2の厚さ方向の電界を主に遮蔽するように、第1金属膜7とn型電極35との間に配置されている。
【0056】
以上のように、発光素子1では、第1金属膜7と第2金属膜42とが等電位となって第1金属膜7と第2金属膜42との間の電界が零になった状態で、第1金属膜7とn型電極35との間が第2金属膜42によって遮られているので、p型電極40とn型電極35との間で発生した電界は、第1金属膜7の周りでは弱くなる。そのため、第1金属膜7のAgがイオンになっても、Agイオンは、当該電界の影響を受けにくくなるので、n型電極35側へ引き寄せられない。その結果、Agのマイグレーションを抑制することができる。
【0057】
また、前述したように第1金属膜7と接続ポスト部11(n型電極35)との間の電界を遮蔽するように第2金属膜42が配置されているので、第1金属膜7の周りの電界を確実に弱めることができる。
また、第1金属膜7と第2金属膜42のシールド部44との間隔に入り込んだ間隔充填部8Aによって第1金属膜7とシールド部44とを透明基板2の厚さ方向で互いに離間させることができるので、シールド部44側の電界が第1金属膜7に及ぶことを抑制できる。なお、間隔充填部8A(絶縁膜8)以外のものを第1金属膜7とのシールド部44との間隔に入り込ませることによって、第1金属膜7とシールド部44とを互いに離間させてもよい。または、第1金属膜7上にシールド部44を直接積層してもよい。ただし、シールド部44がAlを含む場合には、Alと透明導電膜6のITOとの接触に起因するガルバニック腐食を防止するために、シールド部44を透明導電膜6から離間させておく必要がある。Alでは、ガルバニック腐食が生じると、反射率が低下してしまうからである。
【0058】
図5A〜
図5Kは、
図2に示す発光素子の製造方法を示す図解的な断面図である。
まず、
図5Aに示すように、透明基板2の裏面2Bに、SiNからなる層(SiN層)を形成し、レジストパターン(図示せず)をマスクとするエッチングにより、このSiN層を、複数の凸部17に分離する。次いで、透明基板2を反応容器(図示せず)内に配置して反応容器内にガス(シランガス等)を流すことによって、透明基板2の裏面2B上に半導体層をエピタキシャル成長させる処理が行われる。その際、ガスの流量比を変えることで、透明基板2の裏面2B上に、n型窒化物半導体層3、発光層4およびp型窒化物半導体層5を、この順番で連続的に形成することができる。
【0059】
次いで、
図5Bに示すように、たとえばリフトオフ法を用いて、透明導電膜6をパターン形成する。なお、エッチングによって透明導電膜6を形成してもよい。透明導電膜6は、各絶縁管層9(
図1および
図2参照)と一致する位置に、透明導電膜6を貫通する貫通穴6Aを有するパターンに形成され。各貫通穴6Aからp型窒化物半導体層5が露出することになる。また、透明導電膜6において、平面視で段付部分3C(
図2参照)と一致する予定の部分と当該部分に内側から隣接する部分(
図5Bにおける左右の端部)は、透明導電膜6のパターニングの際に除去されている。
【0060】
次いで、透明導電膜6の上、および、p型窒化物半導体層5において透明導電膜6からが露出された部分の上の全域に亘って、Agの合金(第1金属膜7のAg層36の材料)の層(第1層)をスパッタリングによって形成する。さらに、当該第1層の上の全域に亘って、TiW(拡散防止層37の材料)の層(第2層)をスパッタリングによって形成する。これらの第1層および第2層に対して、
図5Cに示すように、透明導電膜6と同一パターンのレジストパターン20をマスクとするドライエッチングを施す。これにより、第1層および第2層の各層が選択的に一括除去される。除去後に残った第1層が、Ag層36となって、透明導電膜6上に、透明導電膜6と同一パターンで形成される。また、除去後に残った第2層が、拡散防止層37となって、Ag層36上に、Ag層36と同一パターンで形成される。これにより、第1金属膜7が完成する。なお、透明導電膜6および第1金属膜7を、共通のレジストパターンによるドライエッチングによって一括形成してもよい。第1金属膜7(Ag層36および拡散防止層37の両方)には、平面視で透明導電膜6の各貫通穴6Aと一致する位置に、貫通穴6Aと同じ大きさの貫通穴7Bが形成されている。
【0061】
次いで、
図5Dに示すように、レジストパターン20を除去してから、別のレジストパターン22を第1金属膜7上に形成する。レジストパターン22には、平面視で第1金属膜7の各貫通穴7Bと一致する位置に、貫通穴7Bより小さい開口23が形成されている。レジストパターン22は、平面視で段付部分3C(
図2参照)と一致する予定の部分には形成されていない。そのため、レジストパターン22は、第1金属膜7上と、第1金属膜7において貫通穴7Bを区画する側面と、透明導電膜6において貫通穴6Aを区画する側面と、第1金属膜7および透明導電膜6の平面視における外枠をなす面(
図5Dにおける左右の端面)とに渡って形成されている。
【0062】
次いで、レジストパターン22をマスクとするドライエッチングにより、p型窒化物半導体層5、発光層4およびn型窒化物半導体層3のそれぞれを選択的に除去する。これにより、平面視においてレジストパターン22の各開口23と一致する位置には、p型窒化物半導体層5および発光層4を貫通して、n型窒化物半導体層3の厚さ途中まで到達するトレンチ24(この実施形態では円筒状のトレンチ)が形成され、n型窒化物半導体層3に段付部分3Cが形成される。p型窒化物半導体層5および発光層4においてトレンチ24が形成された部分は、前述した貫通穴38である。
【0063】
次いで、
図5Eに示すように、レジストパターン22を除去する。すると、各トレンチ24は、平面視で同じ位置にある貫通穴6A,7Bに連続している。平面視で同じ位置で連続する貫通穴6A,7Bおよびトレンチ24は、1つのトレンチ25を構成している。トレンチ25は、平面視で絶縁管層9と一致する複数(ここでは、15個)の分散した位置に形成されている。各トレンチ25は、この実施形態では、透明基板2の厚さ方向に直線的に延びる円筒状であり、その断面の円形状は、透明導電膜6とp型窒化物半導体層5との境界において一段小さくなってからn型窒化物半導体層3へ延びている。各トレンチ25は、第1金属膜7、透明導電膜6、p型窒化物半導体層5および発光層4を貫通して、n型窒化物半導体層3の厚さ途中まで到達している。トレンチ25の半導体層表面(p型窒化物半導体層5の表面)からの深さ(透明基板2の厚さ方向における寸法)は、たとえば、約1.5μmである。また、p型窒化物半導体層5および発光層4のそれぞれにおいて平面視で段付部分3Cと一致する部分(
図5C参照)は、ドライエッチングによるトレンチ25の形成と同時に除去されている。n型窒化物半導体層3は、各トレンチ25の底側と段付部分3Cとで露出されている。
【0064】
次いで、第1金属膜7(拡散防止層37)上において平面視で第2金属膜42の接続部43(
図2参照)と一致する予定の位置に、たとえばリフトオフ法を用いて、エッチングストップ層14を形成する。
次いで、
図5Fに示すように、第1金属膜7(拡散防止層37)上およびエッチングストップ層14上に、たとえばCVD法によって、SiNからなる層(SiN層)26を形成する。SiN層26は、各トレンチ25内に埋め尽くされるとともに、平面視における発光層4、p型窒化物半導体層5、透明導電膜6および第1金属膜7のそれぞれの外側端面と、n型窒化物半導体層3の段付部分3Cとを全域に亘って覆うように形成される。SiN層26において、拡散防止層37上およびエッチングストップ層14上にある部分は、絶縁膜8の間隔充填部8Aとなり、平面視における発光層4、p型窒化物半導体層5、透明導電膜6および第1金属膜7のそれぞれの外側端面と、n型窒化物半導体層3の段付部分3Cとを覆っている部分は、延設部8Cとなる。また、SiN層26において、トレンチ25内に埋め込まれた部分は、絶縁管層9を形成することになる。
【0065】
次いで、絶縁膜8上に、レジストパターン45を形成する。レジストパターン45には、平面視でエッチングストップ層14と一致する位置に、開口46が形成されている。そして、このレジストパターン45をマスクとするドライエッチングにより、平面視においてレジストパターン45の開口46と一致する位置の絶縁膜8がレジストパターン45側から除去される。開口46におけるエッチングは、エッチングストップ層14で停止する。つまり、エッチングストップ層14が、その直下にある拡散防止層37をドライエッチングから保護するので、拡散防止層37までエッチングされてしまうことを防止できる。その結果、平面視においてレジストパターン45の開口46と一致する位置には、絶縁膜8を貫通してエッチングストップ層14まで到達するトレンチ41が形成される。開口46の数は任意に設定できるので、トレンチ41は、開口46と同じ数だけ形成される。トレンチ41が複数形成された場合、これらのトレンチ41は、平面視における透明基板2の短手方向(
図5Fの紙面に直交する方向)において等間隔で並んでいる。
【0066】
次いで、レジストパターン45を除去し、
図5Gに示すように、たとえば蒸着により、Alからなる層(Al層47)を絶縁膜8(間隔充填部8A)上の全域に形成する。Al層47は、トレンチ41内に埋め尽くされる。トレンチ41内のAl層47は、第2金属膜42の接続部43となる。
次いで、
図5Hに示すように、Al層47上に、レジストパターン48を形成する。Al層47上のレジストパターン48は、平面視において、第1金属膜7の全域を覆いつつ、全域に亘って第1金属膜7からはみ出すように形成される。レジストパターン48において平面視で各トレンチ25と一致する位置には、開口49が形成されている。そして、このレジストパターン48をマスクとするドライエッチングにより、絶縁膜8上のAl層47がパターニングされて、第2金属膜42のシールド部44となる。シールド部44において、平面視で開口49と一致する位置には、前述した貫通穴44Aが形成されている。
【0067】
次いで、レジストパターン48を除去し、
図5Iに示すように、第2金属膜42のシールド部44上および間隔充填部8A上(シールド部44からはみ出た領域)に、たとえばCVD法によって、SiNからなる層(SiN層)26を形成する。SiN層26は、平面視におけるシールド部44の外側端面を覆い、シールド部44の貫通穴44Aを埋め尽くすように形成される。SiN層26において、シールド部44上にある部分(シールド部44よりも透明基板2から離れた部分)は、絶縁膜8の金属膜被覆部8Bとなる。これにより、絶縁膜8が完成する。
【0068】
次いで、
図5Jに示すように、絶縁膜8(金属膜被覆部8B)上に、レジストパターン27を形成する。レジストパターン27には、平面視で各接続ポスト部11(
図2参照)と一致する予定の位置に、開口28が形成されていて、平面視で各コンタクト13(
図2参照)と一致する予定の位置に、開口29が形成されている。
次いで、これにより、平面視においてレジストパターン27の各開口28と一致する位置の絶縁膜8およびSiN層26がレジストパターン27側から除去される。このドライエッチングの条件は、n型窒化物半導体層3や第2金属膜42がエッチングされない条件になっている。そのため、各開口28におけるエッチングは、トレンチ25の底面におけるn型窒化物半導体層3の手前でストップする。これにより、平面視においてレジストパターン22の各開口28と一致する位置には、絶縁膜8およびSiN層26を貫通してn型窒化物半導体層3まで到達するトレンチ30が形成される。
【0069】
トレンチ30は、透明基板2の厚さ方向に延びる円筒状であり、その断面の円形状は、透明基板2の厚さ方向における全域に亘って同じ大きさである。トレンチ30は、接続ポスト部11と同じ数(ここでは、15個)形成されていて、各トレンチ30は、いずれかのトレンチ25および(シールド部44の)貫通穴44Aの内側に配置されている。各トレンチ25がn型窒化物半導体層3の厚さ途中まで到達しているので、各トレンチ30も、n型窒化物半導体層3の厚さ途中まで到達している。各トレンチ30の底では、n型窒化物半導体層3が露出されている。各トレンチ25内に埋め尽くされたSiN層26は、トレンチ30が形成されることによって、絶縁管層9となる。
【0070】
また、各開口29におけるエッチングは、第2金属膜42のシールド部44上で停止する。その結果、平面視においてレジストパターン42の各開口29と一致する位置には、絶縁膜8を貫通してシールド部44まで到達するトレンチ31が形成される。トレンチ31は、第2コンタクト13と同じ数(ここでは、3個)だけ形成され、これらのトレンチ31は、平面視における透明基板2の短手方向(
図5Jの紙面に直交する方向)において等間隔で並んでいる。
【0071】
次いで、レジストパターン27を除去してから、
図5Kに示すように、たとえば蒸着により、Alからなる層(Al層32)を絶縁膜8上の全域に形成する。Al層32は、各トレンチ30内および各トレンチ31内に埋め尽くされる。トレンチ30内のAl層32は、接続ポスト部11となり、トレンチ31内のAl層32は、コンタクト13となる。
次いで、絶縁膜8上のAl層32上の全域に、たとえばスパッタ法によって、Tiからなる層(Ti層)と、Ptからなる層(Pt層)とをAl層32側からこの順番で積層する。これにより、Ti層およびPt層の積層構造からなるバリア層15がAl層32上に形成される。
【0072】
次いで、バリア層15上の全域に、たとえば電解めっき法によって、AuSnからなる層(AuSn層)を形成する。AuSn層は、接合層16である。
次いで、レジストパターン(図示せず)をマスクとして用いるエッチングにより、絶縁膜8上のAl層32、バリア層15および接合層16のそれぞれを、平面視における透明基板2の長手方向において、コンタクト13と、コンタクト13に最も近い接続ポスト部11との間で二分する。これにより、
図2に示すように、絶縁膜8上のAl層32において、平面視で全ての接続ポスト部11を覆う部分が、n側外部接続部10となり、平面視で全てのコンタクト13を覆う部分が、p側外部接続部12となる。n側外部接続部10およびp側外部接続部12は、分離絶縁された状態で絶縁膜8上に形成されている。n側外部接続部10が形成されることでn型電極35が完成し、p側外部接続部12が形成されることでp型電極40が完成する。以上の結果、発光素子1が完成する。
【0073】
発光素子1は、たとえば、透明基板2の元基板としての1枚のウエハ(図示せず)上に多数同時に形成される。そこで、必要に応じてウエハを研削・研磨して厚みを調整した後に、ウエハを、レーザスクライバ等を用いてダイシングすると、最終的に
図1〜
図4に示す構造の発光素子1が個別に切り出される。
接続ポスト部11が埋め込まれるトレンチ30は、接続ポスト部11と同じ大きさの円形状の断面を有しており、その直径(内径)は、20μm以上40μm以下である。これに対し、コンタクト13が埋め込まれるトレンチ31は、平面視においてトレンチ30よりも大きい(
図1参照)。そのため、前述したように、絶縁膜8上にAl層32を形成する際に(
図5K参照)、各トレンチ31内にAl層32を埋め尽くすと、絶縁膜8には、各トレンチ31の跡90が凹みとなって現れ、最終的には、第2電極12上の接合層16の接合面16Aにも現れる(
図4参照)。しかし、複数のトレンチ31は、透明基板2の短手方向において間隔を隔てているので(
図1参照)、これらのトレンチ31が1列につながっている場合に比べて、各トレンチ31の跡90は、とても小さく目立たない。そのため、第2電極12上の接合層16の接合面16Aはほとんど平坦になる。
【0074】
図6は、サブマウントの構造を図解的に示す断面図である。
図6に二点鎖線で示すように、発光素子1は、接合層16によってサブマウント50に接合され、発光素子1およびサブマウント50は、発光素子ユニット64を構成する。
サブマウント50は、サブマウント基板51と、絶縁層52と、電極層53と、接合層54とを備えている。
【0075】
サブマウント基板51はたとえばSiからなる。絶縁層52は、たとえばSiO
2からなり、サブマウント基板51の主面51A(
図6における上面)の全域を覆っている。
電極層53は、たとえばAlからなる。電極層53は、絶縁層52上において分離された2つの領域に設けられており、
図6では、2つの電極層53が、左右に隔てた状態で絶縁層52上に形成されている。2つの電極層53のうち、
図6における左側の電極層53を第1マウント電極層53Aといい、
図6における右側の電極層53を第2マウント電極層53Bということにする。第1マウント電極層53Aと第2マウント電極層53Bとは、第1電極11および第2電極12の間隔とほぼ等しい間隔、たとえば、60μm程度の間隔を隔てて分離絶縁されて配置されている。
【0076】
接合層54は各電極層53上に積層されている。接合層54は、この実施形態では、サブマウント基板51側のTi層55と、Ti層55上に積層されたAu層56とを含む2層構造である。接合層54において電極層53に接触している面とは反対側の面(
図6における上面)が、表面54Aとされる。表面54Aは、平坦面であり、各電極層53上の接合層54の表面54Aは、面一になっている。
【0077】
図7は、サブマウントの模式的な平面図である。
平面視において、第1マウント電極層53A上の接合層54は、発光素子1のn側外部接続部10上の接合層16と同じ大きさであり、第2マウント電極層53B上の接合層54は、発光素子1のp側外部接続部12上の接合層16と同じ大きさである(
図1参照)。
【0078】
図8Aは、発光装置の構造を図解的に示す断面図である。
図8Aを参照して、発光装置60は、発光素子ユニット64(発光素子1およびサブマウント50)と、支持基板61とを含んでいる。
支持基板61は、絶縁性材料で形成された絶縁基板62と、絶縁基板62の両端から露出するように設けられて、発光素子1と外部とを電気的に接続する金属製の一対のリード63とを有している。絶縁基板62は、たとえば平面視矩形に形成されており、その対向する一対の辺に沿って一対のリード63がそれぞれ帯状に形成されている。各リード63は、絶縁基板62の一対の端縁に沿って、上面から側面を渡って下面に至るように折り返され、横向きU字形断面を有するように形成されている。
【0079】
発光素子ユニット64の組立に際しては、たとえば、サブマウント50を、
図8Aに示すように、接合層54の表面54Aが上を向くような姿勢にする。また、
図2に示す発光素子1を、接合層16の接合面16Aが下を向くような姿勢(
図2とは上下が逆の姿勢)にし、
図8Aの姿勢にあるサブマウント50に対して上から対向させる。このとき、発光素子1では、p型窒化物半導体層5がサブマウント50のサブマウント基板51の主面51Aに対して上から対向している。
【0080】
発光素子1をサブマウント50に接近させると、
図8Aに示すように、発光素子1の接合層16の接合面16Aと、サブマウント50の接合層54の表面54Aとが面接触する。具体的には、n側外部接続部10側の接合層16の接合面16Aが、第1マウント電極層53A側の接合層54の表面54Aに対して面接触し、p側外部接続部12側の接合層16の接合面16Aが、第2マウント電極層53B側の接合層54の表面54Aに対して面接触する。この状態でリフロー(熱処理)を行えば、n側外部接続部10と第1マウント電極層53Aとが接合層16,54を介して接合され、かつp側外部接続部12と第2マウント電極層53Bとが接合層16,54を介して接合される。接合層16と接合層54とが融解・固着して互いに接合すると、発光素子1が、電極層53および接合層54を介してサブマウント50のサブマウント基板51に接合され、サブマウント50にフリップチップ接続される。n側外部接続部10およびp側外部接続部12の両方が絶縁膜8上に配置されているので、サブマウント基板51に対して発光素子1における絶縁膜8側を対向させることによって、サブマウント基板51に発光素子1をフリップチップ接続することができる。フリップチップ接続の結果、発光素子1とサブマウント50とが一体化した発光素子ユニット64が得られる。
【0081】
前述したように、第2電極12上の接合層16の接合面16Aには、各トレンチ31の跡90があるがとても小さいので、この接合面16Aは、ほとんど平坦である(
図4参照)。そのため、この接合面16Aと、第2マウント電極層53B側の接合層54の表面54Aとの面接触に対して、各トレンチ31の跡90が影響を与えることはなく、これらの接合面16Aおよび表面54Aは、ほぼ全域に亘って面接触している。また、発光素子1側のn側外部接続部10とp側外部接続部12とが、約60μmという十分な距離を隔てていて、サブマウント50側の第1マウント電極層53Aと第2マウント電極層53Bとが、同様に十分な距離を隔てている。そのため、多少の取り付け誤差があっても、n側外部接続部10が第2マウント電極層53Bに接続されたり、p側外部接続部12が第1マウント電極層53Aに接続されたりすることがないので、発光素子1をサブマウント50に確実にフリップチップ接続できる。
【0082】
サブマウント50のサブマウント基板51を絶縁基板62の一表面に対向させることで、発光素子ユニット64は、当該絶縁基板62に接合される。そして、n側外部接続部10に接続された第1マウント電極層53Aと、第1マウント電極層53A側のリード63とが、ボンディングワイヤ65によって接続される。また、p側外部接続部12に接続された第2マウント電極層53Bと、第2マウント電極層53B側のリード63とが、ボンディングワイヤ65によって接続される。これにより、発光素子ユニット64と支持基板61とが一体化されて発光装置60が完成する。
【0083】
図8Bに図解的な斜視図を示すように、支持基板61は、長尺形状(帯状)に形成されていてもよく、このような長尺な支持基板61の表面に、複数の発光素子ユニット64が実装されてLED(発光ダイオード)バーを構成していてもよい。
図8Bには、支持基板61の一表面に複数の発光素子ユニット64が直線状に一列に配列された発光装置60が示されている。このような発光装置60は、たとえば、液晶表示装置のバックライト用光源として用いることができる。なお、支持基板61上の複数の発光素子ユニット64は、直線状に一列に配列されている必要はなく、2列に配列されていてもよいし、千鳥状に配列されていてもよい。また、各発光素子ユニット64上に、蛍光体を含んだ封止樹脂をポッティングしてもよい。
【0084】
図9は、発光素子ユニット64を用いた発光素子パッケージの模式的な斜視図である。
発光素子パッケージ70は、
図8Aに示した構造の発光装置60と樹脂パッケージ71と封止樹脂72とを含んでいる。
樹脂パッケージ71は、樹脂が充填されたリング状のケースであり、その内側に発光素子ユニット64を収容して(覆って)側方から包囲して保護した状態で、支持基板61に固定されている。樹脂パッケージ71の内壁面は、発光素子ユニット64の発光素子1から出射された光を反射させて外部へ取り出すための反射面71aを形成している。この実施形態では、反射面71aは、内方に向かうに従って支持基板61に近づくように傾斜した傾斜面からなり、発光素子1からの光を光取り出し方向(透明基板2の法線方向)に向かって反射するように構成されている。
【0085】
封止樹脂72は、発光素子1の発光波長に対して透明な透明樹脂(たとえば、シリコーンやエポキシなど)からなり、発光素子1およびボンディングワイヤ65などを封止している。または、この透明樹脂に蛍光体を混合してもよい。発光装置60が青色発光し、蛍光体として黄色発光のものを配置すると、自然発光が得られる。
図9には、支持基板61上に一つの発光素子ユニット64が実装されている構造を示したが、むろん、支持基板61上に複数個の発光素子ユニット64が共通に実装されていて、それらが封止樹脂72によって共通に封止されていてもよい。
【0086】
以上のほかにも、この発明はさらに種々の実施形態をとり得る。たとえば、前述の実施形態では、接続ポスト部11が円柱形状を有する例を示したが、接続ポスト部11は多角柱形状を有していてもよい。また、接続ポスト部11は、その軸直角断面形状が軸方向に沿って一様である必要はなく、たとえば、接触部18から離れるに従って断面積が大きくなるように設計されていてもよい。また、前述の実施形態では、窒化物半導体としてGaNを例示したが、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)などの他の窒化物半導体が用いられてもよい。窒化物半導体は、一般には、Al
xIn
yGa
1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)と表わすことができる。
【0087】
また、平面視において、第1金属膜7の全部が第2金属膜42によって覆われていたが(
図1参照)、第1金属膜7においてn型電極35に最も接近する一部(貫通穴7Bの縁部7C)が、第2金属膜42(シールド部44の縁部44B)によって覆われていればよい。つまり、第1金属膜7の周りの電界を弱めるために、シールド部44の貫通穴44Aの直径R1が、貫通穴7Bの直径R2以下であればよい(
図2参照)。