特許第6041359号(P6041359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041359アミドピリジルエーテル化合物及び組成物並びに寄生虫に対するそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041359
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】アミドピリジルエーテル化合物及び組成物並びに寄生虫に対するそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/81 20060101AFI20161128BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20161128BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20161128BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20161128BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20161128BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20161128BHJP
   A61K 31/4433 20060101ALI20161128BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20161128BHJP
   A01N 47/02 20060101ALI20161128BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20161128BHJP
   A01P 7/00 20060101ALI20161128BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20161128BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20161128BHJP
   C07D 401/12 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
   C07D213/81CSP
   A61P33/14
   A61K45/00
   A61P33/00 171
   A61P33/00
   A61K31/44
   C07D405/12
   A61K31/4433
   A01N43/40 101D
   A01N47/02
   A01P5/00
   A01P7/00
   A01P7/02
   A01P7/04
   !C07D401/12
【請求項の数】14
【全頁数】87
(21)【出願番号】特願2014-518979(P2014-518979)
(86)(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公表番号】特表2014-522834(P2014-522834A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】US2012044476
(87)【国際公開番号】WO2013003505
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年5月27日
(31)【優先権主張番号】61/501,492
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515136856
【氏名又は名称】メリアル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】メン チャールズ キュー
(72)【発明者】
【氏名】マリー クラレ ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーン−チャトゥーディ イッタ
(72)【発明者】
【氏名】ソウクリ ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジョンソン メアリー
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/008963(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/138475(WO,A2)
【文献】 国際公開第2005/085216(WO,A1)
【文献】 特表2010−526035(JP,A)
【文献】 特開平10−101647(JP,A)
【文献】 特表2008−517936(JP,A)
【文献】 特表2012−526071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造の1つを有する化合物









【請求項2】
請求項1の化合物を含む殺寄生虫剤組成物。
【請求項3】
1種以上の追加の活性薬をさらに含む、請求項の組成物。
【請求項4】
1種以上の寄生虫による非ヒト動物の感染又は侵襲の処置又は予防方法であって、有効量の請求項1の化合物を投与する工程を含んでなる方法。
【請求項5】
1種以上の寄生虫が、ノミ、マダニ、コダニ、蚊、ハエ、ハエ幼虫及びシラミ並びにその組合せから成る群より選択される、請求項の方法。
【請求項6】
1種以上の寄生虫が、ノミ及びマダニ並びにその組合せから成る群より選択される、請求項の方法。
【請求項7】
1種以上の寄生虫が、外部寄生虫若しくは内部寄生虫又はその組合せである、請求項の方法。
【請求項8】
外部寄生虫が節足動物である、請求項の方法。
【請求項9】
節足動物が、イエバエ(ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica))、クロイエバエ(Musca bezzi)、ノサシバエ(Haematobia irritans)、ツメトゲブユ(Simulium iwatens)、ウシヌカカ(Culicoides oxystoma)、アカウシアブ(Tabanus chrysurus)、普通の蚊、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus);シラミ害虫(シラミ亜目(Anoplura))、マダニ害虫(アカリナ(Acarina))、ノミ(シホナプテラ(Siphonaptera))から成る群より選択される、請求項の方法。
【請求項10】
節足動物が、ノイエバエ(Musca hervei)、アカイエカ(Culex pipiens)、ウシジラミ(ハエマトピヌス・オイリステルヌス(Haematopinus eurysternus))、ヒツジシラミ(ダマリニア・オビス(Damalinia ovis))、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longiconis)、オウシマダニ(Boophilus microplus)、ネコノミ、イヌノミおよびケオプスネズミノミからなる群より選ばれる請求項8の方法。
【請求項11】
節足動物がクテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(クテノセファリデス・カニス(Ctenocephalides canis))およびキセノプシルラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis)からなる群より選ばれる、請求項8の方法。
【請求項12】
内部寄生虫が蠕虫である、請求項の方法。
【請求項13】
内部寄生虫が、アンシロストーマ属(Ancylostoma)、アネカトル属(Anecator)、アスカリス属(Ascaris)、ブルギア属(Brugia)、ブノストムム属(Bunostomum)、キャピラリア属(Capillaria)、カベルチア属(Chabertia)、クーペリア属(Cooperia)、シアトストムム属(Cyathostomum)、シリコシクルス属(Cylicocyclus)、シリコドントホルス属(Cylicodontophorus)、シリコステファヌス属(Cylicostephanus)、クラテロストムム属(Craterostomum)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、ディペタロネマ属(Dipetalonema)、ディロフィラリア属(Dirofilaria)、ドラクンクルス属(Dracunculus)、エキノコックス属(Echinococcus)、エンテロビウス属(Enterobius)、ファスキオラ属(Fasciola)、フィラロイデス属(Filaroides)、ハブロネマ属(Habronema)、ヘモンクス属(Haemonchus)、メタストロンギルウス属(Metastrongylus)、モニエジア属(Moniezia)、ネカトル属(Necator)、ネマトジルス属(Nematodirus)、オエソファゴスツムム属(Oesophagostumum)、オンコセルカ属(Onchocerca)、オステルタギア属(Ostertagia)、蟯虫属(Oxyuris)、パラカリス属(Paracaris)、シストソーマ属(Schistosoma)、ストロンギルス属(Strongylus)、テニア属(Taenia)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、トキサスカリス属(Toxascaris)、トリキネラ属(Trichinella)、トリキュリス属(Trichuris)、トリオドントホラス属(Triodontophorous)、ウンキナリア属(Uncinaria)、ウケレリア属(Wuchereria)、捻転胃虫(Haemonchus contortus)、オステルターグ胃虫(Ostertagia circumcincta)、クーペリア・クルチセイ(Cooperia curticei)、ネマトディルス・バッタス(Nematodirus battus)及びその組合せから成る群より選択される、請求項の方法。
【請求項14】
内部寄生虫が、アナプロセファラ属(Anaplocephala)、ジピルイジウム属(Dipylidium)、ニッポストロンギルス属(Nippostrongylus)、トキソカラ属(Toxocara)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、アクセイ毛様線虫(Trichostrongylus axei)、皺胃毛様線虫(Trichostrongylus colubriformis)およびその組合せから成る群より選択される請求項7の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本明細書で開示する主題は、下記式I:
【0002】
【化1】
【0003】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、Ra、a、b及びdは本明細書に記載どおりである)
の2-アミドピリジルエーテル化合物、式Iの化合物を含む組成物、それらの調製方法及び寄生虫に対するそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
哺乳類及び鳥類等の動物は多くの場合、寄生虫侵襲されやすい。これらの寄生虫は、昆虫等の外部寄生虫、並びに糸状虫及び蠕虫等の内部寄生虫であり得る。ネコ及びイヌ等の飼育動物は下記外部寄生虫の1種以上に侵襲されることが多い:ネコ及びイヌのノミ(ネコノミ(Ctenocephalides felis)、クテノセファリデス属種(Ctenocephalides sp.)等)、マダニ(リピセファルス属種(Rhipicephalus sp.)、イクソデス属種(Ixodes sp.)、デルマセントル属種(Dermacentor sp.)、アムブリオンマ属種(Amblyoma sp.)等)、及びコダニ(ニキビダニ属種(Demodex sp.)、サルコプテス属種(Sarcoptes sp.)、オトデクテス属種(Otodectes sp.)等)、シラミ(トリコデクテス属種(Trichodectes sp.)、チェイレチエラ属種(Cheyletiella sp.)、リグノナツス属種(Lignonathus sp.)等)、蚊(アエデス属種(Aedes sp.)、クレクス属種(Culex sp.)、アノフェレス属種(Anopheles sp.)等)及びハエ(ヘマトビア属種(Hematobia sp.)、ムスカ属種(Musca sp.)、ストモキシズ属種(Stomoxys sp.)、デルマトビア属種(Dermatobia sp.)、コクリオミア属種(Coclyomia sp.)等)。
ノミは動物又はヒトの健康に悪影響を及ぼすのみならず、非常に多くの心理的ストレスを引き起こすので特に問題である。さらに、イヌ条虫(瓜実条虫(Dipylidium caninum))等のノミは、動物の病原因子の媒介物でもある。
同様に、マダニは、動物又はヒトの肉体的及び心理的健康にも有害である。しかしながら、マダニに関連する最も重要な問題は、それらがヒトにも動物にも疾患を引き起こす因子である病原因子の媒介物であることである。マダニによって引き起こされる主な疾患としては、ボレリア症(ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)に起因するライム病)、バベシア症(又はバベシア属種(Babesia sp.)に起因するピロプラズマ症)及びリケッチア症(ロッキー山紅斑熱としても知られる)が挙げられる。マダニも宿主に炎症又は麻痺を引き起こす毒素をも放出する。時には、これらの毒素は宿主に致命的である。
【0005】
さらに、コダニ及びシラミは、これらの寄生虫に作用する活性物質がほとどなく、それらは頻繁な処置を必要とするので、特に闘うのが困難である。
同様に、家畜は寄生虫侵襲されやすい。例えば、ウシは大量の寄生虫の影響を受ける。家畜に非常に多く見られる寄生虫は、マダニ属ブーフィルス(Boophilus)、特に種ミクロプラス(microplus)(ウシダニ)、シラホシナガタマムシ(decoloratus)及びアヌラツス(anulatus)のものである。ブーフィルス・ミクロプラス(Boophilus microplus)等のマダニは、家畜が草を食う牧草地に生存しているので特に防除するのが困難である。ウシ及びヒツジの他の重要な寄生虫は、重要性が低減する順序で以下のように列挙される:ハエ幼虫症、例えばヒトヒフバエ(Dermatobia hominis)(ブラジルのベルン(Berne)として知られる)及び新世界ラセンウジバエ(Cochlyomia hominivorax)(キンバエ(greenbottle));ヒツジハエ幼虫症、例えばヒロズキンバエ(Lucilia sericata)、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)(オーストラリア、ニュージーランド及び南アフリカのクロバエ幼虫感染症(blowfly strike)としても知られる)。これらは、その幼虫が動物寄生虫を構成するハエ;本来のハエ、すなわちその成虫が動物寄生虫を構成するもの、例えばハエマトビア・イリタンス(Haematobia irritans)(ノサシバエ);シラミ、例えばウシホソジラミ(Linognathus vitulorum)等;及びコダニ、例えばヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)及びヒツジキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes ovis)である。上記リストは排他的でなく、他の外部寄生虫が動物及びヒトに有害であることは技術上周知である。これには、例えば移動性双翅目幼虫がある。
【0006】
動物及びヒトは内部寄生虫感染にも苦しめられる。これには例えば、線虫又は回虫として記述される1群の寄生虫によって最もよく引き起こされる蠕虫症がある。これらの寄生虫は、ブタ、ヒツジ、ウマ及びウシの深刻な経済的損失をもたらすのみならず、飼育動物及び家禽に影響を及ぼす。動物及びヒトの胃腸管内に存在する他の寄生虫にはアンシロストーマ属(Ancylostoma)、ネカトル属(Necator)、アスカリス属(Ascaris)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、トリキネラ属(Trichinella)、キャピラリア属(Capillaria)、トキソカラ属(Toxocara)、トキサスカリス属(Toxascaris)、トリキリス属(Trichiris)、エンテロビウス属(Enterobius)並びに血液又は他の組織及び器官で見られる寄生虫、例えば糸条虫並びにストロンギロイデス属(Strogyloides)、トキソカラ属(Toxocara)及びトリキネラ属(Trichinella)の腸管外段階がある。
【発明の概要】
【0007】
寄生虫を処置するための技術には多くの殺虫剤が存在する。これらの殺虫剤は個々の寄生虫及びそれらの宿主に対してそれらの有効性が異なる。しかしながらこれらの殺虫剤の成果は、例えば、カルバマート、有機リン化合物及びピレスロイド系殺虫剤の場合のように、例えば、その治療薬への寄生虫による耐性の発生のため、常に良好なわけではない。従って、当該技術には種々多様の寄生虫に対する動物、例えば哺乳類、魚類及び鳥類のさらに有効な抗寄生虫製剤処置及び保護の必要性がある。さらに、当該技術には、動物の大きさ及び毛の性質に関係なく、いずれのタイプの飼育動物にも使用しやすく、かつ哺乳類、魚類及び鳥類の全身に振りかける必要のない抗寄生虫製剤の必要性がある。必要なものは、特に動物の中又は上の内部寄生虫又は外部寄生虫を防除するために、さまざまな害虫に有効な化合物である。
【0008】
概要
本開示は、一部は、式Iの化合物が外部寄生虫若しくは内部寄生虫又は両方を含めたさまざまな害虫に対する効力を有するという予想外の成果に基づいている。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は式Iの化合物に関する。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、単結晶、ナノ結晶、共結晶、分子錯体、水和物、無水物、溶媒和物、脱溶媒和物、クラスレート及び包接錯体を含めた結晶形並びに非結晶性ガラス及び非結晶性アモルファス形を含めた非結晶形から成る本発明の化合物の固体形に関する。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、式Iの化合物を含む殺虫剤組成物に関する。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、侵襲部位又はその周囲を式Iの化合物又はその組成物と接触させることによって、害虫の侵襲を処置する方法に関する。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、予防又は保護が必要な部位又はその周囲を式Iの化合物又はその組成物と接触させることによって、害虫の侵襲から領域を予防又は保護することに関する。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、動物又はその生息地を式Iの化合物又はその組成物と接触させることによって、害虫又はその生息地から、害虫の侵襲から動物を予防又は保護する方法に関する。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、本明細書で開示する化合物及び組成物の調製方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書で開示する2-アミドピリジルエーテル化合物及びその組成物は、害虫、特に内部寄生虫若しくは外部寄生虫又は両方に対して活性を有することが分かった。本明細書で開示する式Iの化合物は害虫に直接有用であるか或いは害虫が侵襲するか又は侵襲しそうな領域に使用することができる。本化合物は、動物に散布して寄生虫侵襲又は感染を処置又は予防するのにも有用である。これには、動物の寄生虫侵襲又は感染を予防及び/又は処置する方法、及び動物の寄生虫侵襲又は感染の処置における本化合物の使用或いは動物の寄生虫侵襲又は感染の処置用薬物の製造における使用が含まれる。
【0010】
I. 定義
本発明の化合物は、本化合物のラセミ混合物、特定の立体異性体及び互変異性形を包含するものとする。
本明細書では、用語「対象」又は「動物」には、温血及び冷血動物、例えば哺乳類、鳥類及び魚類が含まれる。哺乳類の例としては、限定するものではないが、ヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウマ、ロバ、イヌ、ネコ及び他の家畜又は飼育動物が挙げられる。鳥類の例としては、限定するものではないが、シチメンチョウ、ニワトリ、ダチョウ及び他の家畜又は飼育動物が挙げられる。
この開示にあるように、用語「害虫」又は「寄生虫」には、節足動物、腹足類及び線形動物が含まれる。用語「節足動物」には、昆虫、コダニ、クモ、サソリ、ムカデ、ヤスデ;ダンゴムシ及び結合類が含まれる。用語「腹足類」にはカタツムリ、ナメクジ及び他の柄眼類(Stylommatophora)が含まれる。用語「蠕虫」には、線形動物門、扁形動物門及び鉤頭動物門の虫、例えば:回虫、イヌ糸状虫(heartworms)、及び植物食性線形動物(線形動物門)、吸虫(吸虫綱)、条虫(条虫綱)及び鉤頭虫が含まれる。特に内部寄生虫及び外部寄生虫も含まれる。
【0011】
この出願の目的では、本明細書で特に指定のない限り、下記化学用語は以下に述べる専門用語論を有する。
(1) アルキルは、直線、分岐炭素鎖及び環式炭化水素基の両方を表し;個々のアルキル基への言及は直鎖に特異的である(例えばブチル=n-ブチル)。アルキルの一実施形態では、炭素原子数は1〜20であり、アルキルの他の実施形態では、炭素原子数は1〜12、1〜10又は1〜8個の炭素原子である。アルキルのさらに別の実施形態では、炭素原子数は1〜4個の炭素原子である。分子上のアルキル成分の位置によっては他の範囲の炭素数も考えられる。
C1-C10アルキルの例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル及びデシル並びにそれらの異性体が挙げられる。C1-C4-アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル又は1,1-ジメチルエチルを意味する。
アルキルに包含される環式アルキル基は「シクロアルキル」と呼ばれることもあり、単環又は複数の縮合環を有する炭素原子数3〜10のものが含まれる。シクロアルキル基の非限定例としてアダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
本明細書に記載のアルキル及びシクロアルキル基は、置換されていないか或いはアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、アジド、チオール、イミノ、スルホン酸、スルファート、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモニル、エステル、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバマート、ホスホン酸、ホスファート、ホスホナート、又は本発明の化合物の生物学的活性を阻害しない他のいずれかの生存可能な官能基で置換されることがあり、保護されていないか、又は当業者に周知なように、例えば、参照によってここに援用するGreene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Third Edition, 1999に教示されているように、必要に応じて保護され得る。
【0012】
(2) アルケニルは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直線と分岐の両炭素鎖を表す。アルケニルの一実施形態では、二重結合数は1〜3であり、アルケニルの別の実施形態では、二重結合数は1である。アルケニルの一実施形態では、炭素原子数は2〜20であり、アルケニルの他の実施形態では、炭素原子数は2〜12、2〜10又は2〜8である。アルケニルのさらに別の実施形態では、炭素原子数は2〜4である。分子上のアルケニル成分の位置によっては、炭素-炭素二重結合及び炭素数の他の範囲も考えられる。
「C2-C10-アルケニル」基は、鎖内に1つより多くの二重結合を含んでよい。例として、限定するものではないが、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-エテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル;1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル及び1-エチル-2-メチル-2-プロペニルが挙げられる。
【0013】
(3) アルキニルは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直線と分岐の両炭素鎖を表す。アルキニルの一実施形態では、三重結合数は1〜3であり;アルキニルの別の実施形態では、三重結合数は1である。アルキニルの一実施形態では、炭素原子数は2〜20であり、アルキニルの他の実施形態では、炭素原子数は2〜12、2〜10又は2〜8である。アルキニルのさらに別の実施形態では、炭素原子数は2〜4である。分子上のアルキニル基の位置によっては、炭素-炭素三重結合及び炭素数の他の範囲も考えられる。
例えば、本明細書で用いる用語「C2-C10-アルキニル」は、2〜10個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの三重結合を含む直鎖又は分岐不飽和炭化水素基、例えばエチニル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル、n-ブタ-1-イン-1-イル、n-ブタ-1-イン-3-イル、n-ブタ-1-イン-4-イル、n-ブタ-2-イン-1-イル、n-ペンタ-1-イン-1-イル、n-ペンタ-1-イン-3-イル、n-ペンタ-1-イン-4-イル、n-ペンタ-1-イン-5-イル、n-ペンタ-2-イン-1-イル、n-ペンタ-2-イン-4-イル、n-ペンタ-2-イン-5-イル、3-メチルブタ-1-イン-3-イル、3-メチルブタ-1-イン-4-イル、n-ヘキサ-1-イン-1-イル、n-ヘキサ-1-イン-3-イル、n-ヘキサ-1-イン-4-イル、n-ヘキサ-1-イン-5-イル、n-ヘキサ-1-イン-6-イル、n-ヘキサ-2-イン-1-イル、n-ヘキサ-2-イン-4-イル、n-ヘキサ-2-イン-5-イル、n-ヘキサ-2-イン-6-イル、n-ヘキサ-3-イン-1-イル、n-ヘキサ-3-イン-2-イル、3-メチルペンタ-1-イン-1-イル、3-メチルペンタ-1-イン-3-イル、3-メチルペンタ-1-イン-4-イル、3-メチルペンタ-1-イン-5-イル、4-メチルペンタ-1-イン-1-イル、4-メチルペンタ-2-イン-4-イル又は4-メチルペンタ-2-イン-5-イル等を表す。
【0014】
(4) アリールは、単環又は複数の縮合環を有するC6-C14芳香族炭素環式環構造を表す。アリール基として、限定するものではないが、フェニル、ビフェニル、及びナフチルが挙げられる。一部の実施形態ではアリールにはテトラヒドロナフチル、フェニルシクロプロピル及びインダニルが含まれる。アリール基は無置換であるか或いはハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、シクロアルコキシ、シクロアルケニルオキシ、ハロシクロアルコキシ、ハロシクロアルケニルオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ハロシクロアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニル-スルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、ハロアルケニルスルフィニル、ハロアルキニルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、ハロアルキル-スルホニル、ハロアルケニルスルホニル、ハロアルキニルスルホニル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ジ(アルキル)アミノ、ジ(アルケニル)-アミノ、ジ(アルキニル)アミノ、又はSF5から選択される1つ以上の成分で置換され得る。アリールの一実施形態では、該成分はフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェニルシクロプロピル及びインダニルであり;アリールの別の実施形態では、該成分はフェニルである。アリーロは2つの隣接部位で置換されているアリールを意味する。
【0015】
(5) アルコキシは-O-アルキルを表し、アルキルは(1)の定義どおりであり;
(6) アルコキシカルボニルは-C(=O)-O-アルキルを表し、アルコキシは(5)の定義どおりであり;
(7) 接頭辞としてのシクロ(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル)は、飽和又は不飽和環式環構造を表し、環内に3〜8個の炭素原子を有し、その範囲は上記アリールの定義とは別であり、明確に異なるものとする。シクロの一実施形態では、環サイズの範囲は4〜7個の炭素原子であり;シクロの別の実施形態では環サイズの範囲は3〜4である。分子上のシクロ成分の位置によっては炭素数の他の範囲も考えられ;
(8) ハロゲンは原子フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。「ハロ」(例えば用語ハロアルキルに示されるように)の命名は、単置換乃至ペルハロ置換の全ての度合いの置換を表し(例えばクロロメチル(-CH2Cl)、ジクロロメチル (-CHCl2)、トリクロロメチル(-CCl3))としてメチルで示されるように);
(9) ヘテロ環、ヘテロ環式又はヘテロシクロは、少なくとも1つの炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する完全に飽和したか又は不飽和の環式基、例えば、4〜7員単環式、7〜11員二環式、又は10〜15員三環式環系を表す。ヘテロ原子を含有するヘテロ環式基の各環は、窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を有してよく、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化され得る。ヘテロ環式基は、環又は環系のいずれのヘテロ原子又は炭素原子のところでも付着され得る。
【0016】
(10) ヘテロアリールは、環内に1個以上の酸素、窒素、及び硫黄ヘテロ原子を有する1〜15個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子の一価芳香族基を表し、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、又は1〜3個のヘテロ原子を有する。窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化され得る。該ヘテロアリール基は、単環(例えばピリジル又はフリル)を有するか又は付着点がヘテロアリール環原子を介するという条件で複数の縮合環を有することができる。好ましいヘテロアリールとして、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリンニル、フラニル、チエニル、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ベンゾフラニル、及びベンゾチエニルが挙げられる。ヘテロアリール環は無置換又はアリールについて上述した1つ以上の成分で置換され得る。
また典型的な単環式ヘテロ環式又はヘテロアリール基としては、限定するものではないが、ピロリジニル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、4-ピペリドニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルフォリニル、チアモルフォリニル、チアモルフォリニルスルホキシド、チアモルフォリニルスルホン、1,3-ジオキソラン及びテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、トリアゾリル等が挙げられる。
典型的な二環式ヘテロ環式基としては、限定するものではないが、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、テトラ-ヒドロイソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えばフロ[2,3-c]ピリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル]又はフロ[2,3-b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4-ジヒドロ-4-オキソ-キナゾリニル)、テトラヒドロキノリニル等が挙げられる。
典型的な三環式ヘテロ環式基としては、限定するものではないが、カルバゾリル、ベンジドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニル等が挙げられる。
【0017】
別に具体的に示すか又は文脈により明らかでない限り、本明細書で用いる「活性薬」又は「活性成分」又は「治療薬」は、本明細書に開示する2-アミドピリジルエーテル化合物又は2-アミドピリジルエーテル化合物と組み合わせた別の活性物質を意味する。
さらに出願人はいずれの以前に記載された製品、製品の製造方法又は製品の使用方法の権利をも留保し、それによってその権利を放棄することを開示するように、本発明はUSPTO(米国特許法第112条(35 U.S.C. 112)第1項)又はEPO(EPC第83条)の明細書記載要件及び実施可能要件を満たす、いずれの以前に開示された製品、製品の製造方法又は製品の使用方法をも本発明の範囲内に包含しないように意図されることに留意する。
この開示、特に特許請求の範囲及び/又は段落において、「含む(comprises)」、「構成される(comprised)」、「含んでなる(comprising)」等の用語は米国特許法の意味に起因する意味を有することができ;例えば、それらは「包含する(includes)」、「含まれる(included)」、「including(含める)」等を意味することができ;かつ「本質的に〜から成っている(consisting essentially of)」及び「本質的に〜から成る(consists essentially of)」等の用語は、米国特許法でそれらに属するとみなされている意味を有し、例えば、それらは明示的に示されていない要素を許容するが、従来技術で見られるか或いは本発明の基本的特徴又は新規の特徴に影響を及ぼす要素を除外することに留意する。
【0018】
II. 化合物
一実施形態では、本明細書に開示する主題は下記式I:
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、
Raは、水素、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ハロアルキル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルコキシ、ハロアルコキシアルキル、アルコキシカルボニル及びハロアルコキシカルボニルから成る群より選択され;
R1は水素又はアルキルであり;
R2及びR3は、水素、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、及びシアノから成る群よりそれぞれ独立に選択され、
或いはR2及びR3は、両者が結合している炭素と一緒になって置換又は無置換の3員〜7員環式、ヘテロ環式又はヘテロ芳香族環を形成し(置換基はそれぞれ互いに独立にシアノ、ニトロ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノであってよい);
aは0〜4の整数であり、
bは0〜4の整数であり、
dは0〜4の整数であり、,
R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、アルキルチオアルキル、ハロアルキル、アルキルオキシアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルスルホニルオキシアルキル、ニトロ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、及びジアミノであり;
R10及びR11は、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、チオール、 アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ、フェノキシ、アルコキシアルコキシ、シクロアルキルオキシ、ハロアルコキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、スルホニル、スルフィニル、及び無置換若しくは置換フェニル、無置換若しくは置換ベンジル、無置換若しくは置換アリールチオ、無置換若しくは置換アリールオキシ、又は無置換若しくは置換ヘテロアリール(置換基はそれぞれ独立に、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルコキシ、ジアルキルアミノアルコキシ、及びアルキルアミノアルキルの1つ以上であってよい)から成る群よりそれぞれ独立に選択され、
但し、
b及びdの少なくとも1つは0以外であり、かつ
R10及びR11の少なくとも1つは水素以外である)
の化合物に関する。
【0021】
式Iの好ましい化合物には、下記:
Raは、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルカルボニル、ハロ(C1-6)アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル、ハロ(C1-6)アルコキシカルボニル、C1-6アルキルチオカルボニル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルチオ、ハロ(C1-6)アルキルチオ、C1-6アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ(C1-6)アルキル、C1-6アルコキシカルボニル及びハロ(C1-6)アルコキシカルボニルから成る群より選択され;
R1は水素又はC1-6アルキルであり;
R2及びR3は、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-6アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、アルコキシ(C1-6)アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、及びシアノから成る群よりそれぞれ独立に選択され、
或いはR2及びR3は、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換の3員〜7員環式、ヘテロ環式又はヘテロ芳香族環を形成し(置換基はそれぞれ互いに独立にシアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-6アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルチオ、ハロ(C1-6)アルキルチオ、C1-6アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、アミノ、C1-6アルキルアミノ、又はジ(C1-6アルキル)アミノであってよい);
aは0〜4の整数であり、
bは0〜4の整数であり、
dは0〜4の整数であり、
R4、R5、R6 、R7、R8及びR9はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、ヒドロキシ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルチオ(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルオキシ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルスルフィニル(C1-6)アルキル、C1-6アルキルスルホニル(C1-6)アルキル、C1-6アルキルスルホニルオキシ(C1-6)アルキル、ニトロ、C1-6アルキルチオ、ハロ(C1-6)アルキルチオ、C1-6アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、又はジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R10及びR11は、水素、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、チオール、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、ヒドロキシ(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルチオ、ハロ(C1-6)アルキルチオ、アリールチオ、C1-6アルコキシ、フェノキシ、アルコキシ(C1-6)アルコキシ、C3-7シクロ(C1-6)アルキルオキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、スルホニル、スルフィニル、及び無置換若しくは置換フェニル、無置換若しくは置換ベンジル、無置換若しくは置換アリールチオ、無置換若しくは置換アリールオキシ、又は無置換若しくは置換ヘテロアリールから成る群よりそれぞれ独立に選択され(置換基は互いに独立に、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-6アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルキルチオ、ハロ(C1-6)アルキルチオ、C1-6アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルコキシ、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルコキシ、又はC1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルの1つ以上であってよい)、
但し、
b及びdの少なくとも1つは0以外であり、かつ
R10及びR11の少なくとも1つは水素以外である、
当該化合物が含まれる。
【0022】
本明細書に記載の種々の実施形態では置換基及び/又は変数の組合せは、該組合せの結果安定化合物となる場合に限り許容できる。
式Iの好ましい化合物には、bが1であり、かつdが0であるか、bが2であり、かつdが0であるか、bが1であり、かつdが1であるか、bが0であり、かつdが1であるか、又はbが0であり、かつdが2である当該化合物が含まれる。
式Iの好ましい化合物には、aが1又は2であるいずれの式Iの化合物も含まれる。R10及びR11が両方ともクロロ及びメチルから成る群より選択されるという条件で、aが0であり、
i) dが0以外であるか、又は
ii) RaがC1-6アルキル以外であるか、又は
iii) R2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になってシクロペンチル又はシクロヘキシル以外の環を形成している化合物も好ましい。
式Iの好ましい化合物には、R10及びR11が、水素、ハロゲン、分岐若しくは直鎖C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、ヒドロキシ(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ及び無置換若しくは置換フェニル(置換基は互いに独立に、ハロゲン、C1-6アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、C1-6アルコキシ、又はハロ(C1-6)アルコキシの1つ以上であってよい)から成る群よりそれぞれ独立に選択される当該化合物が含まれる。さらに好ましくは、R10及びR11は水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、メチル、エチル、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから成る群よりそれぞれ独立に選択される。
式Iの好ましい化合物には、aが1であり、R4及びR5が両方とも水素であり、bが0、1又は2であり、かつdが0、1又は2である、当該化合物が含まれる。これらの好ましい化合物では、bが1又は2であり、dが0であり、かつR6及びR7がいずれの場合も両方とも水素であることも好ましい。これらの好ましい化合物では、dが1又は2であり、bが0であり、かつR8及びR9がいずれの場合も両方とも水素であることも好ましい。これらの好ましい化合物では、bが1又は2であり、R6及びR7がいずれの場合も両方とも水素であり、dが1又は2であり、かつR8及びR9がいずれの場合も両方とも水素であることも好ましい。
式Iの好ましい化合物には、R1が水素又はメチルであり、R2及びR3が水素、C1-6アルケニル、シアノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ及びC1-6アルキルチオから成る群よりそれぞれ独立に選択されるか、或いはR2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換の3員〜7員環式、ヘテロ環式又はヘテロ芳香族環を形成している当該化合物が含まれる。これらの好ましい化合物では、R2及びR3が水素、C1-6アルケニル、C1-6アルキル及びC1-6アルキルチオから成る群よりそれぞれ独立に選択されることも好ましい。これらの好ましい化合物では、R2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換の3員〜7員環、ヘテロ環又はピリジンを形成するのも好ましい。さらに好ましくは、R2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ジチアニル、ジチオラニル及びジヒドロチエニルを形成する。最も好ましくは、R2及びR3は、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換シクロプロピル又は4-モルフォリニルを形成する。
【0023】
式Iの好ましい化合物には、Raが水素である、当該化合物が含まれる。
式Iの好ましい化合物には、R1が水素又はメチルである、当該化合物が含まれる。
式Iの好ましい化合物には、R2及びR3が、水素、C1-6アルケニル、シアノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ,アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ及びC1-6アルキルチオから成る群よりそれぞれ独立に選択されるか、或いはR2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換の3員〜7員環式、ヘテロ環式又はヘテロ芳香族環を形成している当該化合物が含まれる。R2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になるとき、好ましい環は置換若しくは無置換ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ジチアニル、ジチオラニル及びジヒドロチエニルである。好ましい化合物には、R2及びR3が、両者が結合している炭素と一緒になって置換若しくは無置換シクロプロピル又は4-モルフォリニルを形成する当該化合物が含まれる。好ましい化合物には、R2及びR3が、水素、C1-6アルケニル、C1-6アルキル及びC1-6アルキルチオから成る群よりそれぞれ独立に選択される化合物が含まれる。
式Iの好ましい化合物には下記化合物が含まれる。
【0024】
【化3】








【0025】
式Iの他の有用な化合物については本明細書の他のところに記載してある。
【0026】
III. 組成物
抗寄生虫製剤の種々の製剤化方法は技術上周知である。これらには、経口製剤、餌、栄養補助食品、粉末、シャンプー、濃縮溶液、懸濁液、マイクロエマルション、エマルション、経口水薬製剤、咀嚼製剤、経皮若しくは経粘膜パッチ又は液、ゲル又はペースト、吸入用溶液及び注射製剤がある。当該技術分野では抗寄生虫製剤の局部的な局所適用のための製剤も知られており、例えばすぐに使える溶液、ポアオン溶液、スポットオン製剤、ペースト製剤、シャンプー、粉末等が技術上周知である。
これらの製剤は、限定するものではないが、哺乳類、鳥類及び魚類を含めた動物に投与するように意図される。哺乳類の例としては、限定するものではないが、ヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウマ、ロバ、イヌ、ネコ及び他の家畜又は飼育動物が挙げられる。鳥類の例としては、シチメンチョウ、ニワトリ、ダチョウ及び他の家畜又は飼育動物が挙げられる。
組成物は、例えば、餌(例えば米国特許第4,564,631号参照)、栄養補助食品、トローチ、ロゼンジ剤(lozenges)、咀嚼剤、錠剤、硬又は軟カプセル剤、エマルション、水性又は油性懸濁液、水性又は油性溶液、経口水薬製剤、分散性粉末又は顆粒、プレミックス、シロップ又はエリキシル剤、腸溶性製剤又はペーストとして経口使用に適した形態であってよい。医薬組成物の製造技術で既知のいずれの方法によっても経口使用を意図した組成物を調製することができ、該組成物は、医薬的に上品かつ美味な製剤を提供するために甘味剤、苦味剤、香味剤、着色剤及び保存剤から成る群より選択される1種以上の薬剤を含むことができる。
【0027】
錠剤は、錠剤の製造に適した無毒の医薬的に許容できる賦形剤との混合物に活性成分を含むことができる。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、及び潤沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってよく、錠剤は未コーティングであってよく、或いは錠剤を既知技術でコーティングして胃腸管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長期間にわたって作用を持続させることができる。例えば、グリセリルモノステアラート又はグリセリルジステアラート等の時間遅延材料を利用してよい。米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;及び第4,265,874号(参照によってここに援用する)に記載の技術で錠剤をコーティングして、徐放用の浸透圧治療錠剤を形成してもよい。
経口用製剤は、活性成分を不活性な希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合する硬ゼラチンカプセル剤であってよい。
カプセル剤が軟ゼラチンカプセル剤であってもよく、活性成分を、水若しくは混和性溶媒、例えばプロピレングリコール、PEG及びエタノール、又は油媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィン、若しくはオリーブ油と混合する。
組成物が水中油又は油中水エマルションの形態であってもよい。油性相は植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば、液体パラフィン又はこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、大豆、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレアート(sorbitan monoleate)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートであってよい。エマルションは、甘味剤、苦味剤、香味剤、及び/又は保存料をも含有し得る。
【0028】
製剤の一実施形態では、本発明の組成物は、マイクロエマルションの形態である。マイクロエマルションは、液体担体ビヒクルとしてよく適合している。マイクロエマルションは水性相、油性相、界面活性剤及び共界面活性剤を含んでなる四成分系である。マイクロエマルションは半透明かつ等方性の液体である。
マイクロエマルションは、油性相中の水性相の微小滴の安定分散系から構成されるか又は逆に水性相中の油性相の微小滴から構成される。これらの微小滴のサイズは200nm未満である(エマルションでは1000〜100,000nmである)。界面膜は、交互の表面活性(SA)分子と共表面活性(Co-SA)分子で構成され、界面張力を下げることによって、マイクロエマルションを自発的に形成することができる。
油性相の一実施形態では、鉱油若しくは植物油から、不飽和ポリグリコシル化グリセリド若しくはトリグリセリドから、或いは該化合物の混合物から油性相を形成することができる。油性相の一実施形態では、油性相はトリグリセリドを含み;油性相の別の実施形態では、トリグリセリドが中鎖トリグリセリド、例えばC8-C10カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。油性相の別の実施形態では、油性相はマイクロエマルションの約2〜約15%;約7〜約10%;及び約8〜約9%v/vから成る群より選択される%v/vに相当するであろう。
水性相としては、例えば水又はグリコール誘導体、例えばプロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリエチレングリコール又はグリセロールが挙げられる。グリコール誘導体の一実施形態では、グリコールは、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル及びその混合物から成る群より選択される。一般的に、水性相はマイクロエマルションの約1〜約4%v/vの比率に相当するであろう。
マイクロエマルションの界面活性剤としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリグリコール化(polyglycolyzed)C8-C10グリセリド又はポリグリセリル-6ジオレアートが挙げられる。これらの界面活性剤に加えて、共界面活性剤として短鎖アルコール、例えばエタノール及びプロパノールが挙げられる。
いくつかの化合物は、上述した三成分、すなわち、水性相、界面活性剤及び共界面活性剤に共通している。しかしながら、同一製剤の各成分に異なる化合物を使用することは、熟練家の能力水準の十分に範囲内である。界面活性剤/共界面活性剤の量についての一実施形態では、共界面活性剤対界面活性剤の比は約1/7〜約1/2であろう。共界面活性剤の量についての別の実施形態では、約25〜約75%v/vの界面活性剤と約10〜約55%v/vの共界面活性剤がマイクロエマルションに存在するであろう。
【0029】
活性成分を植物油、例えば、ラッカセイ油(atachis oil)、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油、又は鉱油、例えば液体パラフィンに懸濁させることによって油性懸濁液を調製することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有し得る。スクロース、サッカリン又はアスパルテーム等の甘味剤、苦味剤、及び香味剤を添加して美味の経口製剤を提供することができる。アスコルビン酸等の抗酸化剤、又は他の既知の保存料を添加してこれらの組成物を保存することができる。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物に活性物質を含有し得る。該賦形剤は、懸濁剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムであり;分散剤又は湿潤剤は天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアラート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレアートであってよい。水性懸濁液は、1種以上の保存料、例えばエチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾアート、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤、及び1種以上の甘味剤及び/又は苦味剤、例えば前述したものを含んでもよい。
【0030】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存料とを含む混合物に活性成分を与える。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上述したもので例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、苦味剤及び着色剤が存在してもよい。
甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースを用いてシロップ剤及びエリキシル剤を調製することができる。該製剤は、粘滑薬、保存料、香味剤及び/又は着色剤をも含有し得る。
別の実施形態では、組成物はペースト形態であり得る。ペースト形態の実施形態の例としては、限定するものではないが、米国特許第6,787,342号及び第7,001,889号(それぞれ参照によってここに援用する)に記載のものが挙げられる。ペーストは、ヒュームド・シリカ;粘度調整剤;担体;任意に、吸収剤;及び任意に、着色料、安定剤、界面活性剤、又は保存料を含有することもできる。
ペースト製剤の調製方法は下記工程:
(a)混合することによって本明細書に記載の少なくとも1種の2-アミドピリジルエーテル化合物を担体に溶解又は分散させる工程;
(b)上記担体にヒュームド・シリカを添加し、このシリカが担体に分散されるまで混合する工程;
(c)工程(b)で形成された中間体を、工程(b)中に捕捉された空気を逃がすのに十分な時間沈殿させる工程;及び
(d)混合しながら粘度調整剤を中間体に添加して均一ペーストを生成する工程
を含む。
上記工程は例示であり、限定的でない。例えば、工程(a)が最後の工程であってよい。
ペーストは、限定するものではないが、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(POLYSORBATE 80又はTWEEN 80)、及びポリオキサマー(polyoxamer)(例えば、PLURONIC L 81)から成る群より選択される粘度調整剤;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、デンプン、並びにセルロース及びその誘導体から成る群より選択される吸収剤;及び二酸化チタン、酸化鉄、及びFD&C Blue #1 ALUMINUM LAKEから成る群より選択される着色料を含んでもよい。
【0031】
組成物は、無菌の注射用水性又は油性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、上述した適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用いる既知技術により調製される。無菌の注射製剤は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液のように、無毒の非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒中の無菌の注射溶液又は懸濁液であってもよい。利用し得る許容性ビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。エタノール、プロピレングリコールグリセロールホルマール又はポリエチレングリコール等の共溶媒を使用してもよい。フェノール又はベンジルアルコール等の保存料を使用してよい。
さらに、通常は無菌の固定油を溶媒又は懸濁媒体として利用する。この目的には合成モノ又はジグリセリドを含め、いずれのブランドの固定油をも利用し得る。さらに、オレイン酸等の脂肪酸は注射剤の調製に用途がある。
局所、経皮及び皮下製剤としては、エマルション、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、粉末、シャンプー、ポアオン製剤、すぐに使える製剤、スポットオン溶液及び懸濁液、ディップ及びスプレーが挙げられる。発明化合物又は組成物(その中の活性薬中に少なくとも1種の発明化合物を含む)、スポットオン若しくはポアオン組成物の局所適用は、発明化合物が皮膚を通って全身レベルに達するように吸収され、皮脂腺を通って分布されるか又は発明化合物が皮膚の表面に分布して被毛全体レベルを達成できるようにする。本化合物が皮脂腺を通って分布されると、本化合物はリザーバーとして作用することができ、それによって持続性効果(数か月まで)が生じ得る。スポットオン製剤は典型的に、動物全体以外の領域を意味する局所領域に適用される。局所領域の一実施形態では、その位置は両肩間である。局所領域の別の実施形態では、それはストライプ、例えば動物の頭から尾のストライプである。
ポアオン製剤は、参照によってここに援用する米国特許第6,010,710号に記載されている。ポアオン製剤は、有利には油性であり、かつ一般的に希釈剤又はビヒクルを含み、後者が希釈剤に溶けない場合は活性成分用の溶媒(例えば有機溶媒)をも含み得る。
本発明で使用できる有機溶媒としては、限定するものではないが、下記:アセチルクエン酸トリブチル、脂肪酸エステル、例えばジメチルエステル、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン、例えばN-メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル(CERAPHYL 230としても知られる)、トリアセチン、酢酸ブチル、酢酸オクチル、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、ジメチルスルホキシド、又は有機アミン、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、並びにフタル酸ジエチル、又はこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物が挙げられる。
【0032】
本発明の一実施形態では、製剤の医薬的又は獣医学的に許容できる担体は、C1-C10アルコール又はそのエステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルを含めて)、C10-C18飽和脂肪酸又はそのエステル、C10-C18一不飽和脂肪酸又はそのエステル、脂肪族二塩基酸のモノエステル又はジエステル、グリセロールモノエステル(例えばモノグリセリド)、グリセロールジエステル(例えばジグリセリド)、グリセロールトリエステル(例えばトリグリセリド、例えばトリアセチン)、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル又はグリコールカルボナート、種々グレードのポリエチレングリコール(PEG)又はそのモノエーテル、ジエーテル、モノエステル若しくはジエステル(例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル)、或いはその混合物を含む。
ビヒクル又は希釈剤としては、限定するものではないが、大豆油、ラッカセイ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ブドウ種子油、サンフラワー油、ヤシ油等の植物油;限定するものではないが、石油、パラフィン、シリコーン等の鉱油;脂肪族又は環式炭化水素或いは、例えば、中鎖(例えばC8〜C12)トリグリセリドが挙げられる。
【0033】
本発明の別の実施形態では、皮膚軟化及び/又は拡散及び/又は膜形成剤を添加することができる。皮膚軟化及び/又は拡散及び/又は膜形成剤の一実施形態は、下記:
(a)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、2-ピロリドン(限定するものではないが、N-メチルピロリドンが挙げられる)、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;レシチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、シリコーン油、ポリジオルガノシロキサン油(例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)油)、例えばシラノール官能性を含むもの、又は45V2油、
(b)アニオン界面活性剤、例えばアルカリ性ステアラート、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウム、トリエタノールアミンステアラート;アビエチン酸ナトリウム;アルキルスルファート(例えばラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム);ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;脂肪酸(例えばヤシ油から誘導されるもの)、
(c)カチオン界面活性剤、例えば式N+R'R"R"'R"",Y-(式中、基Rは任意にヒドロキシル化されていてよい炭化水素基であり、Y-は強酸のアニオン、例えばハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンである)の水溶性四級アンモニウム塩;使用可能な界面活性剤にはセチルトリメチルアンモニウムブロミドがある、
(d)式N+ HR'R"R'"(式中、基Rは任意にヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基である)のアミン塩;使用可能なカチオン界面活性剤にはオクタデシルアミン塩酸塩がある、
(e)非イオン界面活性剤、例えばソルビタンエステル(任意にポリオキシエチレン化されていてもよい(例えばPOLYSORBATE 80))、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリオキシプロピレン化脂肪アルコール、例えばポリオキシプロピレン-スチロールエーテル;ポリエチレングリコールステアラート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、
(f)両性界面活性剤、例えばベタインの置換ラウリル化合物;又は
(g)これらの薬剤の少なくとも2種の混合物
から成る群より選択される当該薬剤である。
【0034】
溶媒は2-アミドピリジルエーテル化合物の濃度及びこの溶媒中の該化合物の溶解度に応じて用いられる。可能な最低体積を追及するであろう。ビヒクルは100%への差を埋める。
皮膚軟化剤の量の一実施形態では、皮膚軟化剤を体積で0.1〜50%及び0.25〜5%の比率で使用する。
別の実施形態では、組成物は、参照によってここに援用する米国特許第6,395,765号に記載されているようにすぐに使える溶液形態であり得る。これらの製剤は動物の局所領域に適用すべきスポットオン又はポアオン製剤の形態であってよい。2-アミドピリジルエーテル化合物に加えて、すぐに使える溶液は結晶化抑制剤、有機溶媒及び有機共溶媒を含むことができる。
結晶化抑制剤の量の一実施形態では、結晶化抑制剤は、組成物中約1〜約30%(w/v)の比率で存在し得る。他の実施形態では、結晶化抑制剤は、約1〜約20%(w/v)及び約5〜約15%の比率で存在してよい。許容できる抑制剤は、製剤を適用するときにその添加が結晶の形成を抑制するものである。いくつかの実施形態では、製剤は本明細書に列挙するもの以外の結晶化抑制剤として機能する化合物を含んでよい。これらの実施形態では、液体担体中に10%(w/v)の2-アミドピリジルエーテル化合物と10%の抑制剤とを含んでなる0.3mlの溶液をスライドガラス上に20℃で沈着させて24時間放置する試験によって、結晶化抑制剤の適合性を決定することができる。次にスライドガラスを肉眼で観察する。抑制剤の添加がほとんど(例えば10個未満の結晶)又は全く結晶をもたらさないものが許容できる抑制剤である。
【0035】
一実施形態では、有機溶媒は、約2〜約35、約10〜約35又は約20〜約30から成る群より選択される範囲の比誘電率を有する。他の実施形態では、溶媒は約2〜約20、又は約2〜約10の比誘電率を有するであろう。組成物全体中のこの有機溶媒の含量は、組成物の100%へ補完する量に相当する。
上述したように、溶媒は、有機溶媒と有機共溶媒の混合物を含め、溶媒混合物を含んでよい。一実施形態では、有機共溶媒は約300℃未満又は約250℃未満の沸点を有する。他の実施形態では、共溶媒は約200℃未満、又は約130℃未満の沸点を有する。本発明のさらに別の実施形態では、有機共溶媒は約100℃未満、又は約80℃未満の沸点を有する。さらに他の実施形態では、有機共溶媒は、約2〜約40、約10〜約40、又は典型的に約20〜約30から成る群より選択される範囲の比誘電率を有するであろう。本発明のいくつかの実施形態では、この共溶媒は、組成物中に約1/15〜約1/2の有機共溶媒/有機溶媒質量/質量(W/W)比で存在し得る。いくつかの実施形態では、共溶媒は、乾燥促進剤として作用するように揮発性であり、かつ水及び/又は有機溶媒と混和性である。
本製剤は、空気中の酸化を抑制することを意図した抗酸化剤を含むこともでき、この薬剤は約0.005〜約1%(w/v)及び約0.01〜約0.05%から成る範囲から選択される比率で存在する。
【0036】
本発明に有用な結晶化抑制剤として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
(a)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、種々グレードのポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、2-ピロリドン(限定するものではないが、N-メチルピロリドンが挙げられる)、ジメチルスルホキシド、マンニトール、グリセロール、ソルビトール又はソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチン又はナトリウムカルボキシメチルセルロース;結晶形成を抑制できる本明細書に記載の溶媒;アクリル誘導体、例えばアクリラート及びメタクリラート又はアクリルモノマーから誘導される他のポリマー等;
(b)アニオン界面活性剤、例えばアルカリ性ステアラート(例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はステアリン酸アンモニウム);ステアリン酸カルシウム又はトリエタノールアミンステアラート;アビエチン酸ナトリウム;アルキルスルファート(限定するものではないが、ラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウムが挙げられる);ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;又は脂肪酸(例えばヤシ油);
(c)カチオン界面活性剤、例えば式N+R'R''R'"R""Y-(式中、R基は同一又は異なる任意にヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基であり、Y-は強酸のアニオン、例えばハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンである)の水溶性四級アンモニウム塩;セチルトリメチルアンモニウムブロミドは使用可能なカチオン界面活性剤の1つである;
(d)式N+HR'R''R'"(式中、R基は同一又は異なる任意にヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基である)のアミン塩;オクタデシルアミン塩酸塩は使用可能なカチオン界面活性剤の1つである;
(e)非イオン界面活性剤、例えばソルビタンの任意にポリオキシエチレン化されていてもよいエステル、例えばPOLYSORBATE 80、又はポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリエチレングリコールステアラート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;
(f)両性界面活性剤、例えばベタインの置換ラウリル化合物;又は
(g)上記(a)〜(f)に列挙した化合物の少なくとも2種の混合物。
【0037】
結晶化抑制剤の一実施形態では、結晶化抑制剤対を使用するであろう。このような対には、例えば、ポリマータイプの膜形成剤と表面活性剤との組合せがある。本明細書に記載の個々の結晶化抑制剤の2種以上、3種以上、4種以上又は5種以上でさえの混合物を含め、結晶化抑制剤の他の混合物も考えられる。これらの薬剤は、結晶化抑制剤として上述した化合物、又は等価の化合物から選択されるであろう。
膜形成剤の一実施形態では、該薬剤はポリマータイプのものであり、限定するものではないが、種々グレードのポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマーが挙げられる。
表面活性剤の一実施形態では、該薬剤には、限定するものではないが、非イオン界面活性剤製のものが含まれ;表面活性剤の別の実施形態では、該薬剤はソルビタンのポリオキシエチレン化エステルであり、表面活性剤のさらに別の実施形態では、該薬剤には、種々グレードのPOLYSORBATE、例えばPOLYSORBATE 80が含まれる。さらに別の実施形態では、結晶化抑制剤はヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、例えばポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油誘導体を含む。さらに別の実施形態では、結晶化抑制剤はポリエチレングリコールを含む。
別の実施形態では、膜形成剤及び表面活性剤を、別の所で述べている結晶化抑制剤の総量の限界内で同様又は同一の量で組み入れることができる。
注目に値する方法では、このように構成された対は、毛の上で結晶化しないという目的及び皮膚又は毛皮の美容上の外観の維持、すなわち、高濃度の活性材料にもかかわらず、粘着又は粘着性外観への傾向がないという目的を確保する。
【0038】
抗酸化剤の一実施形態では、該薬剤は当該技術で通常のものであり、限定するものではないが、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、チオ硫酸ナトリウム又はそれらの最高2種の混合物が挙げられる。
上述した製剤アジュバントは当業者には周知であり、商業的にか又は既知技術により得ることができる。これらの濃縮組成物は、一般的に上記定義どおりの構成成分の単純な混合によって調製され;有利には、出発点は主溶媒中で活性材料を混合することであり、次に他の成分又はアジュバントを添加する。
適用体積は、投与物質の量が安全かつ有効であることが示される限り制限されない。典型的に、適用体積は動物のサイズと体重並びに活性物質の濃度、寄生虫による侵襲の程度及び投与のタイプによって決まる。いくつかの実施形態では、適用体積は約0.3〜約5ml又は約0.3ml〜約1mlのオーダーであり得る。体積の一実施形態では、体積は、動物の体重に応じて、ネコに対しては約0.5mlのオーダー、イヌに対しては約0.3〜約3mlのオーダーである。
別の実施形態では、本発明のスポットオン製剤の適用は、該溶液を哺乳類又は鳥類に適用すると、持続性かつ広域性の効力をもたらすこともできる。スポットオン製剤は、動物の一般的には両肩間のスポットへの間欠適用のための濃縮溶液、懸濁液、マイクロエマルション又はエマルションの局所投与を可能にする(スポットオンタイプの溶液)。
スポットオン製剤では、担体は米国特許第6,426,333号(参照によってここに援用する)に記載の液体担体ビヒクルであってよく、一実施形態では、スポットオン製剤は溶媒と共溶媒を含み、溶媒はアセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル(CERAPHYL 230としても知られる)、トリアセチン、酢酸ブチル、酢酸オクチル、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、ジメチルスルホキシド、有機アミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン、例えばN-メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、フタル酸ジエチル脂肪酸エステル、例えばアジピン酸ジエチルエステル又はアジピン酸ジイソブチル、及びこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物から成る群より選択され、共溶媒は無水エタノール、イソプロパノール又はメタノールから成る群より選択される。
【0039】
一実施形態では、製剤の医薬的又は獣医学的に許容できる担体は、C1-C10アルコール又はそのエステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルが挙げられる)、C10-C18飽和脂肪酸又はそのエステル、C10-C18一不飽和脂肪酸又はそのエステル、脂肪族二塩基酸のモノエステル又はジエステル、グリセロールモノエステル(例えばモノグリセリド)、グリセロールジエステル(例えばジグリセリド)、グリセロールトリエステル(例えばリグリセリド、例えばトリアセチン)、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル又はグリコールカルボナート、種々グレードのポリエチレングリコール(PEG)又はモノエーテル、ジエーテル、そのモノエステル又はジエステル(例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル)、又はその混合物を含む。
液体担体ビヒクルは、任意に結晶化抑制剤を含むことができ、結晶化抑制剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、アミン塩、両性界面活性剤又はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、2-ピロリドン、例えばN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;レシチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、結晶の形成を抑制できる本明細書に記載の溶媒、及びアクリル誘導体、例えばアクリラート又はメタクリラート並びにアクリルモノマーから誘導される他のポリマー、或いはこれらの結晶化抑制剤の混合物が挙げられる。
スポットオン製剤は、活性成分を医薬的又は獣医学的に許容できるビヒクルに溶かすことによって調製される。或いは、動物の表面に治療薬の残留物を残すために活性成分の封入によってスポットオン製剤を調製することができる。これらの製剤は、該組合せ中の治療薬の質量に関しては、治療すべき宿主動物の種、感染の重症度とタイプ及び宿主の体重に応じて異なるであろう。
【0040】
剤形は、約0.5mg〜約5gの2-アミドピリジルエーテル化合物を含有し得る。剤形の一実施形態では、薬用量は約1mg〜約500mgの活性薬、典型的に約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、又は約1000mgである。
一実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物は、製剤中に約0.05%〜約50%質量/体積の濃度で存在する。他の実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物は製剤中に約0.1%〜約30%、約0.5%〜約20%(w/v)又は約1%〜約10%(w/v)の濃度で存在し得る。別の実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物は製剤中に約0.1〜2%質量/体積の濃度で存在する。さらに別の実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物は製剤中に約0.25〜約1.5%質量/体積の濃度で存在する。さらに別の実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物は製剤中に約1%質量/体積の濃度で存在する。
本発明の特に有利な実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物の用量は約0.1mg/kg〜約100mg/kgである。他の実施形態では、2-アミドピリジルエーテル化合物の用量は約0.5mg/kg〜約70mg/kg、約0.5mg/kg〜約50mg/kg又は約0.5mg/kg〜約30mg/kgである。他の好ましい実施形態では、用量は0.5mg/kg〜約30mg/kg、0.5mg/kg〜約20mg/kg又は0.5mg/kg〜約10mg/kgである。さらに典型的には、いくつかの実施形態では2-アミドピリジルエーテル化合物の用量は約0.1mg/kg〜5mg/kg、約0.1mg/kg〜約3mg/kg、又は約0.1mg/kg〜1.5mg/kgである。さらに他の実施形態では、用量は0.1mg/kg(0.02mg/ml)、約0.2mg/kg(0.04mg/ml)、約0.3mg/kg(0.06mg/ml)、約0.4mg/kg(0.08mg/ml)、約0.5mg/kg(0.1mg/ml)、約0.6mg/kg(0.12mg/ml)、約0.7mg/kg(0.14mg/ml)、約0.8mg/kg(0.16mg/ml)、約0.9mg/kg(0.18mg/ml)、約1.0mg/kg(0.2mg/ml)ほどであってよい。
【0041】
式Iの化合物又はそれらの塩を単独で又は他の活性物質、例えば、殺虫剤、誘引剤、滅菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、殺真菌剤、並びに毒性緩和剤(safener)、肥料及び/又は成長調節剤等との組合せとして、例えばプレミックス/レディミックスとしてそれらの調製品(製剤)の形態で使用することができる。
殺真菌剤の分類は技術上周知であり、FRAC(殺真菌剤耐性菌対策委員会(Fungicide Resistance Action Committee))の分類がある。任意に混合し得る殺真菌剤としては、限定するものではないが、メチルベンズイミダゾールカルバマート、例えばベンズイミダゾール及びチオファネート;ジカルボキシイミド;脱メチル化抑制剤、例えばイミダゾール、ピペラジン、ピリジン、ピリミジン、及びトリアゾール;フェニルアミド、例えばアシルアラニン、オキサゾリジノン、及びブチロラクトン;アミン、例えばモルフォリン、ピペリジン、及びスピロケタールアミン;ホスホロチオラート;ジチオラン;カルボキサミド;ヒドロキシ-(2-アミノ-)ピリミジン;アニリノ-ピリミジン;N-フェニルカルバマート;QoI剤(quinone outside inhibitors);フェニルピロール;キノリン;芳香族炭化水素;ヘテロ芳香族;メラニン生合成抑制剤-還元酵素;メラニン生合成抑制剤-脱水酵素;ヒドロキシアニリド(SBIクラスIII)、例えばフェンヘキサミド(fenhexamid);SBIクラスIV、例えばチオカルバマート及びアリルアミン;ポリオキシン;フェニル尿素;QiI剤(quinone inside inhibitors);ベンズアミド;ヘキセノピラヌロン酸(enopyranuronic acid)抗菌剤;ヘキソピラノシル抗菌剤;グルコピラノシル抗菌剤;グルコピラノシル抗菌剤;シアノアセトアミドオキシム;カルバマート;酸化的リン酸化の脱共役剤;有機スズ化合物;カルボン酸;ヘテロ芳香族;ホスホナート;フタルアミド酸;ベンゾトリアジン;ベンゼンスルホンアミド;ピリダジノン;カルボン酸アミド;テトラサイクリン抗菌剤;チオカルバマート;ベンゾ-トリアゾールBTH;ベンゾイソチアゾール;チアジアゾールカルボキサミド;チアゾールカルボキサミド;ベンズアミドキシム;キナゾリノン;ベンゾフェノン;アシルピコリド;無機化合物、例えば銅塩及び硫黄;ジチオカルバマート及び類縁体;フタルイミド;クロロニトリル;スルファミド;グアニジン;トリアジン;キノンが挙げられる。
任意に混合し得る他の殺真菌剤は、米国特許第7,001,903号及び第7,420,062号に記載の分類の化合物由来であってもよい。
【0042】
文献公知及びHRAC(除草剤抵抗性対策委員会(Herbicide Resistance Action Committee))により分類され、かつ本発明の化合物と併用し得る除草剤は、例えば以下のものである:アリールオキシフェノキシ-プロピオナート;シクロヘキサンジオン;フェニルピラゾリン;スルホニル尿素;イミダゾリノン、例えばイマザピック及びイマゼタピル;トリアゾロピリミジン;ピリミジニル(チオ)ベンゾアート;スルホニルアミノカルボニル-トリアゾリノン;トリアジン、例えばアトラジン;トリアジノン;トリアゾリノン;ウラシル;ピリダジノン;フェニル-カルバマート;尿素;アミド;ニトリル;ベンゾチアジアジノン;フェニル-ピリダジン;ビピリジリウム、例えばパラクアット(paraquat);ジフェニルエーテル;フェニルピラゾール;N-フェニルフタルイミド;チアジアゾール;チアジアゾール;トリアゾリノン;オキサゾリジンジオン;ピリミジンジオン;ピリダジノン;ピリジンカルボキサミド;トリケトン;イソオキサゾール;ピラゾール;トリアゾール;イソオキサゾリジノン;尿素、例えばリニュロン;ジフェニルエーテル;グリシン、例えばグリホサート;ホスフィン酸、例えばグルホシネート-アンモニウム;カルバマート;ジニトロアニリン、例えばペンジメタリン;ホスホロアミダート;ピリジン;ベンズアミド;安息香酸;クロロアセトアミド;メトラクロル;アセトアミド;オキシアセトアミド;テトラゾリノン;ニトリル;ベンズアミド;トリアゾロカルボキサミド;キノリンカルボン酸;ジニトロフェノール;チオカルバマート;ホスホロジチオアート;ベンゾフラン;クロロ-炭酸;フェノキシ-カルボン酸、例えば2,4-D;安息香酸、例えばジカンバ:ピリジンカルボン酸、例えばクロピラリド、トリクロピル、フルロキシピル及びピクロラム;キノリンカルボン酸;フタルアマートセミカルバゾン;アリールアミノプロピオン酸;アリールアミノプロピオン酸;有機ヒ素化合物。
任意に混合し得る他の除草剤は、米国特許第7,432,226号、第7,012,041号、及び第7,365,082号に記載されている。
適切な除草剤の毒性緩和剤としては、限定するものではないが、ベノキサコール、クロキントセト、シオメトリニル、シプロスルファミド、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトラート、フェンクロラゾール、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン、メフェンピル、メフェナート、ナフタル酸無水物及びオキサベトリニルが挙げられる。
【0043】
殺菌剤としては、限定するものではないが、ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ニッケルジメチルジチオカルバマート、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅及び他の銅調製品が挙げられる。
殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤には米国特許第7,420,062号及び第7,001,903号、米国特許出願第2008/0234331号(それぞれ参照によってここに援用する)、当業者に周知の文献に記載の当該化合物、及びIRAC(殺虫剤抵抗性対策委員会(Insecticide Resistance Action Committee))により分類されている化合物がある。殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤の例としては、限定するものではないが、カルバマート;トリアゼマート(triazemate);有機リン系殺虫剤;シクロジエノ有機塩素系殺虫剤;フェニルピラゾール;DDT;メトキシクロル;ピレスロイド;ピレスリン;ネオニコチノイド;ニコチン;ベンスルタプ;カルタプ塩酸塩;ネライストキシン(nereistoxin)類似体;スピノシン;アベルメクチン及びミルベマイシン;幼若ホルモン類似体;フェノキシカルブ;フェノキシカルブ;ハロゲン化アルキル;クロロピクリン;フッ化スルフリル;クリオリット;ピメトロジン;フロニカミド;クロフェンテジン;ヘキシチアゾクス;エトキサゾール;バチルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus);ジアフェンチウロン;有機スズ殺ダニ剤;プロパルギット;テトラジホン;クロルフェナピル;DNOC;ベンゾイル尿素;ブプロフェジン;シロマジン;ジアシルヒドラジン;アザジラクチン;アミトラズ;ヒドラメチルノン;アセキノシル;フルアクリピリム;METI殺ダニ剤;ロテノン;インドキサカルブ;メタフルミゾン;テトロン酸誘導体;アルミニウムホスフィド;シアニド;ホスフィン;ビフェナザート;フルオロアセタート;P450-依存性モノオキシゲナーゼ抑制剤;エステラーゼ抑制剤;ジアミド;ベンゾオキシマート;キノメチオナト;ジコホール;ピリダリル;ホウ砂;吐酒石;燻蒸剤、例えば臭化メチル;ジテラ;クランドサン;シンコシンが挙げられる。
【0044】
一般的な生物学的及び/又は物理化学的パラメーターに応じて、種々の方法で式Iの化合物を製剤化することができる。適切であると考えられる製剤の例は以下のとおりである:水和剤(wettable powder)(WP)、水溶性散剤(water-soluble powder)(SP)、水溶性濃縮剤(water-soluble concentrate)、乳化可能濃縮剤(emulsifiable concentrate)(EC)、乳剤(emulsion)(EW)、例えば水中油及び油中水乳剤、噴霧可能液剤、懸濁濃縮剤(suspension concentrate)(SC)、油又は水基剤に基づいた分散系、油と混和する溶液、カプセル懸濁剤(capsule suspension)(CS)、粉剤(dust)(DP)、種子粉衣(seed-dressing)製品、散布及び土壌適用の粒剤、微粒剤の形の粒剤(granule)(GR)、噴霧粒剤、コーティング粒剤及び吸着粒剤、水分散性粒剤(water-dispersible granule)(WG)、水溶性粒剤(water-soluble granule)(SG)、ULV製剤、マイクロカプセル剤及び蝋剤。
技術上周知、例えばByrn et al., “Solid-State Chemistry of Drugs”, 2nd Edition, SSCI Inc., (1999); Glusker et al., “Crystal Structure Analysis - A Primer”, 2nd Edition, Oxford University Press, (1985)の方法によって式(I)の化合物の固体形を調製することができる。
上記製剤は、それ自体既知の方法、例えば活性化合物を、少なくとも1種の溶媒又は希釈剤、乳化剤、分散剤及び/又は結合剤若しくは固定剤、撥水剤並びに任意に乾燥剤、UV安定剤、着色料、色素及び他の加工助剤の1種以上と混合することによって調製可能である。
これらの個々の製剤タイプは原則として既知であり、例えば、下記文献に記載されている:Winnacker-Kuchler, "Chemische Technologie" [Chemical Technology], Volume 7, C.Hauser Verlag, Munich, 4th Edition 1986; Wade van Valkenburg, "Pesticide Formulations", Marcel Dekker, N.Y., 1973; K.Martens, "Spray Drying Handbook", 3rd Ed.1979, G.Goodwin Ltd.London。
不活性材料、界面活性剤、溶媒及び他の添加剤等の必要な製剤化助剤も既知であり、例えば、下記文献に記載されている:
【0045】
水和剤は、水に均一に分散し得る製剤であり、式Iの化合物の他に、希釈剤又は不活性物質に加えて、イオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤(湿潤剤、分散剤)、例えば、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポリオキシエチル化脂肪アルコール、ポリオキシエチル化脂肪アミン、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルファート、アルカンスルホナート又はアルキルベンゼンスルホナート、リグノスルホン酸ナトリウム、2,2'-ジナフチルメタン-6,6'-ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム或いはナトリウムオレイルメチルタウリナートをも含む。水和剤を調製するためには、式Iの化合物を、例えば、ハンマーミル、ブロワミル及びエアジェットミル等の通常の装置で微細に粉砕し、同時又はその後に製剤化助剤と混合する。
乳化可能濃縮剤は、例えば、式Iの化合物を有機溶媒、例えばブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレン或いは高沸点芳香族又は炭化水素又はこれらの混合物に、1種以上のイオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤(乳化剤)を添加して溶かすことによって調製される。使用できる乳化剤は、例えば:アルキルアリールスルホン酸のカルシウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム又は非イオン乳化剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキシド/エチレンオキシド縮合物、アルキルポリエーテル、ソルビタンエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
粉剤は、微粉化固形物質、例えばタルク又は天然粘土、例えばカオリン、ベントナイト若しくはパイロフィライト、又は珪藻土と粉砕することによって得られる。
懸濁濃縮剤は水又は油を基礎とし得る。例えば、適切な場合は、例えば他の製剤タイプについて既に上述したように、界面活性剤を添加して、市販のビーズミルを用いて湿式粉砕することによって調製することができる。
乳剤、例えば、水中油乳剤(EW)は、例えば、撹拌機、コロイドミル及び/又は静的混合物を利用して、水性有機溶媒及び適切な場合は、例えば他の製剤タイプについて既に上述したように、界面活性剤を用いて調製可能である。
粒剤は、式Iの化合物を吸着性の造粒された不活性材料上に噴霧するか或いは砂、カオリナイト等の担体又は造粒された不活性材料の表面上に結合剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム又は鉱油を用いて活性物質濃縮物を散布することによって調製可能である。肥料粒剤の製造に慣習的な方法で、所望により肥料との混合物で適切な活性物質を造粒することもできる。
水分散性粒剤は、原則として、噴霧乾燥、流動床造粒、ディスク造粒、高速ミキサー内でのミキシング及び固形不活性材料なしの押出し等の通例の方法により調製される。ディスク、流動床、押出し及び噴霧粒剤を調製するためには、例えば、"Spray-Drying Handbook" 3rd ed.1979, G.Goodwin Ltd., London; J.E.Browning, "Agglomeration", Chemical and Engineering 1967, pages 147et seq.; "Perry's Chemical Engineer's Handbook", 5th Ed., McGraw-Hill, New York 1973, p.8-57の方法を参照されたい。一般的に、農芸化学製剤は、約0.1〜約99質量%及び約0.1〜約95質量%から成る群より選択される範囲の式Iの化合物を含む。
水和剤中の式Iの化合物の濃度は、例えば、約10〜約90質量%であり、100質量%への残余は通例の製剤成分で構成される。乳化可能濃縮剤の場合、式Iの化合物の濃度は、約1%〜約90質量%及び約5%〜約80質量%から成る群より選択される範囲に相当し得る。 粉剤の形態の製剤は、通常約1%〜約30質量%の式Iの化合物及び約5%〜約20質量%の式Iの化合物から成る群より選択される範囲で含む。噴霧可能溶液では、約0.05%〜約80質量%の式Iの化合物及び約2%〜約50質量%の式Iの化合物から成る群より選択される範囲を含む。水分散性粒剤の場合、式Iの化合物の含量は、部分的に式Iの化合物が液体であるか又は固形であるかによって、また造粒助剤、充填剤等を使用するかによって左右される。水分散性粒剤は、例えば、約1〜約95質量%及び約10%〜約80質量%から成る群より選択される範囲を含む。
【0046】
さらに、上記式Iの化合物の製剤は、妥当ならば、いずれの場合も通常の接着剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、皮膚浸透剤(penetrant)、保存料、不凍剤、溶媒、充填剤、担体、着色料、消泡剤、蒸発抑制剤、pH調整剤及び粘度調整剤を含む。
本発明の組成物にさらなる医薬的又は獣医学的に活性な成分を添加してもよい。いくつかの実施形態では、さらなる活性剤は、1種以上の殺寄生虫化合物(殺ダニ剤、駆虫剤、殺内外部寄生虫剤(endectocides)及び殺虫剤を含めて)であってよい。抗寄生虫剤は、殺外部寄生虫剤と殺内部寄生虫剤の両方を包含し得る。
本発明の組成物に含め得る獣医学的医薬品は技術上周知であり(例えばPlumb’ Veterinary Drug Handbook, 5th Edition, ed.Donald C.Plumb, Blackwell Publishing, (2005) or The Merck Veterinary Manual, 9th Edition, (January 2005)参照)、限定するものではないが、アカルボース、マレイン酸アセプロマジン、アセトアミノフェン、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム、酢酸、アセトヒドロキサム酸、アセチルシステイン、アシトレチン、アシクロビル、アルベンダゾール、硫酸アルブテロール、アルフェンタニル、アロプリノール、アルプラゾラム、アルトレノゲスト、アマンタジン、硫酸アミカシン、アミノカプロン酸、硫酸水素アミノペンタミド、アミノフィリン/テオフィリン、アミオダロン、アミトラズ、アミトリプチリン、ベシル酸アムロジピン、塩化アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム(ammonium molybdenate)、アモキシシリン、クラブラン酸カリウム、アムホテリシンBデスオキシコラート、脂質ベースのアムホテリシンB、アンピシリン、アンプロリウム、制酸剤(経口)、アンチベニン、アポモルフィオン、硫酸アプラマイシン、アスコルビン酸、アスパラギナーゼ、アスピリング、アテノロール、アチパメゾール、ベシル酸アトラキュリウム、硫酸アトロピン、アウルノフィン、アウロチオグルコース、アザペロン、アザチオプリン、アジスロマイシン、バクロフェン、バルビツレート系薬剤、ベナゼプリル、ベタメタゾン、塩化ベタネコール、ビサコジル、次サリチル酸ビスマス、硫酸ブレオマイシン、ウンデシレン酸ボルデノン、臭化物、メシル酸ブロモクリプチン、ブデノシド、ブプレノルフィン、ブスピロン、ブスルファン、酒石酸ブトルファノール、カベルゴリン、カルシトニンサルモン、カルシトロール、カルシウム塩、カプトプリル、カルベニシリンインダニルナトリウム、カルビマゾール、カルボプラチン、カルニチン、カルプロフェン、カルベジロール、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフィキシム、クロルスロン、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフタジジム、セフチオフールナトリウム、セフチオフール、セフチアキソン ナトリウム、セファレキシン、セファロスポリン、セファピリン、カルコアール(活性化)、クロランブシル、クロラムフェニコール、クロルジアゼポキシド、クロルジアゼポキシド+/-クリジニウムブロミド、クロロチアジド、マレイン酸クロルフェニラミン、クロルプロマジン、クロルプロパミド、クロルテトラサイクリン、絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、クロム、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クエン酸塩、クラリスロマイシン、フマル酸クレマスチン、クレンブテロール、クリンダマイシン、クロファジミン、クロミプラミン、クラオナゼパム、クロニジン、クロプロステノールナトリウム、クロラゼパート二カリウム、クロルスロン、クロキサシリン、リン酸コデイン、コルヒチン、コルチコトロピン(ACTH)、コシントロピン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シプロヘプタジン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン/アクチノマイシンD、ダルテパリンナトリウム、ダナゾール、ダントロレンナトリウム、ダプソン、デコキナート、メシル酸デフェロキサミン、デラコキシブ、酢酸デスロレリン、酢酸デスモプレッシン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、デトミジン、デキサメタゾン、デキスパンテノール、デキスラアゾキサン、デキストラン、ジアゼパム、ジアゾキシド(経口)、ジクロルフェンアミド、ジクロフェナクナトリウム、ジクロキサシリン、クエン酸ジエチルカルバマジン、ジエチルチルベストロール(DES)、ジフロキサシン、ジゴキシン、ジヒドロタキステロール(DHT)、ジルチアゼム、ジメンヒドリナート、ジメルカプロール/BAL、ジメチルスルホキシド、ジノプロストトロメタミン、ジフェニルヒドラミン、リン酸ジソピラミド、ドブタミン、ドクサート/DSS、メシル酸ドラセトロン、ドンペリドン、ドーパミン、ドラメクチン、ドキサプラム、ドキセピン、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、エデト酸カルシウム二ナトリウム.カルシウムEDTA、塩化エドロホニウム、エナラプリラ/エナラプリラト、エノキサパリンナトリウム、エンロフロキサシン、硫酸エフェドリン、エピネフリン、エポエチン/エリトロポイエチン、エプリノメクチン、エプシプランテル、エリスロマイシン、エスモロール、シピオン酸エストラジオール、エタクリン酸/エタクリン酸ナトリウム、エタノール(アルコール)、エチドロン酸ナトリウム、エトドラク、エトミダート、安楽死薬w/ペントバルビタール、ファモチジン、脂肪酸(必須/ω)、フェルバメート、フェンタニル、硫酸第一鉄、フィルグラスチム、フィナステリド、フィプロニル、フロルフェニコール、フルコナゾール、フルシトシン、酢酸フルドロコルチゾン、フルマゼニル、フルメタゾン、フルニキシンメグルミン、フルオロウラシル(5-FU)、フルオキセチン、プロピオン酸フルチカソン、マレイン酸フルボキサミン、ホメピゾール(4-MP)、フラゾリドン、フロセミド、ガバペンチン、ゲムシタビン、硫酸ゲンタマイシン、グリメピリド、グリピジド、グルカゴン、グルココルチコイド薬、グルコサミン/コンドロイチン硫酸、グルタミン、グリブリド、グリセリン(経口)、グリコピロレート、ゴナドレリン、グリッセオフルビン、グアイフェネシン、ハロタン、ヘモグロビングルタマー-200(オキシグロビン(登録商標))、ヘパリン、ヘタスタルク、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドラザリン、ヒドロクロロチアジド、酒石酸水素ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシ尿素、ヒドロキシジン、イホスフアミド、イミダクロプリド、ジプロピオン酸イミドカルブ、インペネム-シラスタチンナトリウム、イミプラミン、乳酸イナムリノン、インスリン、インターフェロンα-2a(ヒト組換え体)、ヨウ化物(ナトリウム/カリウム)、トコン(シロップ)、イポド酸ナトリウム、鉄デキストラン、イソフルラン、イソプロテレノール、イソトレチノイン、イソキスプリン、イトラコナゾール、イベルメクチン、カオリン/ペクチン、ケタミン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラクトロメタミン、ラクツロース、ロイプロリド、レバミソール、レベチルアセタム、レボチロキシンナトリウム、リドカイン、リンコマイシン、リオチロニンナトリウム、リシノプリル、ロムスチン(CCNU)、ルフェヌロン、リジン、マグネシウム、マンニトール、マルボフロキサシン、メクロレタミン、メクリジン、メクロフェナム酸、メデトミジン、中鎖トリグリセリド、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メラルソミン、メラトニン、メロキシカン、メルファラン、メペリジン、メルカプトプリン、メロペネム、メトホルミン、メタドン、メタゾールアミド、マンデル酸/馬尿酸メテナミン、メチマゾール、メチオニン、メトカルバモール、メトヘキシタールナトリウム、メトトレキサート、メトキシフルラン、メチレンブルー、メチルフェニデート、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダキソール、メキシレチン、ミボレルロン、ミダゾラムミルベマイシンオキシム、鉱油、ミノサイクリン、ミソプロストール、ミトタン、ミトキサントロン、硫酸モルヒネ、モキシデクチン、ナロキソン、デカン酸マンドロロン、ナプロキセン、ナルコト酸(オピエート)アゴニスト鎮痛薬、硫酸ネオマイシン、ネオスチグミン、ナイアシンアミド、ニタゾキサニド、ニテンピラム、ニトロフラントイン、ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウム、ニザチジン、ノボビオシンナトリウム、ナイスタチン、酢酸オクトレオチド、オルサラジンナトリウム、オメプロゾール、オンダンセトロン、オピエート止痢薬、オルビフロキサシン、オキサシリンナトリウム、オキサゼパム、塩化オキシブチニン、オキシモルホン、オキシトレトラサイクリン、オキシトシン、パミドロン酸二ナトリウム、パンクレプリパーゼ、臭化パンクロニウム、硫酸パロモマイシン、パロゼチン、ペンシラミン、一般情報ペニシリン、ペニシリンG、ペニシリンVカリウム、ペンタゾシン、ペントバルビタールナトリウム、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントキシフィリン、メシル酸ペルゴリド、フェノバルビタール、フェノキシベンズアミド、フェニルブタゾン(pheylbutazone)、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトインナトリウム、フェロモン、非経口ホスファート、フィトナジオン/ビタミンK-1、ピモベンダン、ピペラジン、ピルリマイシン、ピロキシカム、ポリ硫酸化グリコサミノグリカン、ポナズリル、塩化カリウム、塩化プラリドキシム、プラゾシン、プレドニゾロン/プレドニゾン、プリミドン、プロカインアミド、プロカルバジン、プロクロルペラジン、臭化プロパンテリン、プロピオニバクテリウム・アクネス注射、プロポホール、プロプラノロール、硫酸プロタミン、プソイドエフェドリン、サイリウム親水性粘漿薬(psyllium hydrophilic mucilloid)、臭化ピリドスチグミン、マレイン酸ピリラミン、ピリメタミン、キナクリン、キニジン、ラニチジン、リファンピン、s-アデノシル-メチオニン(SAMe)、サリン/高浸透圧性緩下剤、セラメクチン、セレギリン/l-デプレニル、セルトラリン、セベラマー、セボフルラン、シリマリン/ミルク・シスル、炭酸水素ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチボグルコン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ソマトトロピン、ソタロール、スペクチノマイシン、スピロノラクトン、スタノゾロール、ストレプトキナーゼ、ストレプトゾシン、サクシマー、塩化スクシニルコリン、スクラルファート、クエン酸スフェンタニル、スルファクロルピリダジンナトリウム、スルファジアジン/トリメトロプリム、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、スルファジメントキシン、スルファジメトキシン/オルメトプリム、スルファサラジン、タウリン、テポキサリン、テルビナフリン、硫酸テルブタリン、テストステロン、テトラサイクリン、チアセタルスアミドナトリウム、チアミン、チオグアニン、チオペンタールナトリウム、チオテパ、チロトロピン、チアムリン、チカルシリン二ナトリウム、チレタミン/ゾラゼパム、チルモクシン、チオプロニン、硫酸トブラマイシン、トカイニド、トラゾリン、テルフェナム酸、トピラマート、トラマドール、トリムシノロンアセトニド、トリエンチン、トリロスタン、酒石酸トリメプラキシンw/プレドニゾロン、トリペレンナミン、チルオシン、ウルドシオール、バルプロ酸、バナジウム、バンコマイシン、バソプレッシン、臭化ベクロニウム 、ベラパミル、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビタミンE/セレン、ワルファリンナトリウム、キシラジン、ヨヒンビン、ザフィルルカスト、ジドブジン(AZT)、酢酸亜鉛/硫酸亜鉛、ゾニサミド及びその混合物が挙げられる。
【0047】
一実施形態では、アリールピラゾール化合物、例えばフェニルピラゾール(例えばフィプロニル、ピリプロール)が本発明のアリーロアゾール(aryloazol)-2-イルシアノエチルアミノ化合物との併用に適し得る。該アリールピラゾール化合物の例としては、限定するものではないが、米国特許第6,001,384号;第6,010,710号;第6,083,519号;第6,096,329号;第6,174,540号;第6,685,954号及び第6,998,131号(それぞれMerial, Ltd., Duluth, GAに帰属する)に記載のものが挙げられる。
別の実施形態では、ノズリスポリン酸及びその誘導体(既知殺ダニ剤、駆虫剤、抗寄生虫及び殺虫剤の分類)を本発明の組成物に添加することができる。これらの化合物を用いてヒト及び動物の感染を処置又は予防することができ、例えば、米国特許第5,399,582号、第5,962,499号、第6,221,894号及び第6,399,786号に記載されている。本組成物は、技術上周知の1種以上のノズリスポリン酸誘導体を、例えば上で引用した文献に記載されているもの等、全ての立体異性体を含めて包含することができる。
別の実施形態では、アミノアセトニトリルクラス(AAD)の駆虫化合物、例えばモネパンテル(monepantel)(ZOLVIX)等を本発明の組成物に添加することができる。これらの化合物は、例えば、WO 2004/024704;Sager et al., Veterinary Parasitology, 2009, 159, 49-54;Kaminsky et al., Nature vol.452, 13 March 2008, 176-181に記載されている。
別の実施形態では、本組成物は、イソキサゾリンクラスの化合物の1種以上の化合物を含めるのが有利であり得る。これらの活性薬は、WO 2007/079162、WO 2007/075459及びUS 2009/0133319、WO 2007/070606及びUS 2009/0143410、WO 2009/003075、WO 2009/002809、WO 2009/024541、WO 2005/085216及びUS 2007/0066617及びWO 2008/122375(全て参照によってその全体をここに援用する)に記載されている。
別の実施形態では、本組成物は、有利には少なくとも1種の式Iの化合物をパラヘルクアミド(paraherquamide)化合物及びこれらの化合物の誘導体、例えばデルクアンテル(derquantel)と組み合わせて含むことができる(Ostlind et al., Research in Veterinary Science, 1990, 48, 260-61;及びOstlind et al., Medical and Veterinary Entomology, 1997, 11, 407-408参照)。このパラヘルクアミドファミリーの化合物は、スピロジオキセピノ(spirodioxepino)インドール核を含む既知分類の化合物であり、特定の寄生虫に対して活性を有する(Tet.Lett.1981, 22, 135; J.Antibiotics 1990, 43, 1380, and J.Antibiotics 1991, 44, 492参照)。さらに、構造的に関連するマルクホルチン(marcfortine)ファミリーの化合物、例えばマルクホルチンA〜Cも既知であり、本発明の製剤で併用することができる(J.Chem.Soc.- Chem.Comm.1980, 601 and Tet.Lett.1981, 22, 1977参照)。パラヘルクアミド誘導体へのさらなる言及は、例えば、WO 91/09961、WO 92/22555、WO 97/03988、WO 01/076370、WO 09/004432、米国特許第5,703,078号及び米国特許第第5,750,695号(全て参照によってその全体をここに援用する)で見つけられる。
【0048】
別の実施形態では、本組成物は、エモデプシド(emodepside)を含めたシクロ-デプシペプチド駆虫性化合物と併用してよい(Willson et al., Parasitology, Jan.2003, 126(Pt 1):79-86参照)。
いくつかの実施形態では、本組成物は、1種以上の抗線虫薬を含むことができ、これには、限定するものではないが、ベンズイミダゾール、イミダゾチアゾール、テトラヒドロピリミジン、有機リン酸クラスの化合物の活性薬が含まれる。いくつかの実施形態では、限定するものではないが、チアベンダゾール、カンベンダゾール、パルベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、フルベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、アルベンダゾール、シクロベンダゾール、フェバンテル、チオファネート及びそのo,o-ジメチル類似体等のベンズイミダゾールを本組成物に含めることができる。
他の実施形態では、本組成物は、限定するものではないが、テトラミソール、レバミソール及びブタミソール等のイミダゾチアゾール化合物を含めてよい。さらに他の実施形態では、本組成物は、限定するものではないが、ピランテル、オキサンテル、及びモランテル等のテトラヒドロピリミジン活性薬を含めてよい。適切な有機リン酸活性薬としては、限定するものではないが、クマホス、トリクロルホン、ハロキソン、ナフタロホス及びジクロルボスが挙げられる。
他の実施形態では、本組成物は、抗線虫化合物フェノチアジン、ピペラジン(中性化合物として及び種々の塩形で)、ジエチルカルバマジン、フェノール(ジソフェノール(disophenol)等)、ヒ素剤(例えばアルセナマイド)、エタノールアミン(例えばベフェニウム、テニウムクロシラート、及びメチリジン;シアニン色素(塩化ピルビニウム、パモ酸ピルビニウム及びヨウ化ジチアザニン等);イソチオシアナート(ビトスカナート等)、スラミンナトリウム、フタロフィン、及び種々の天然物(限定するものではないが、ヒグロマイシンB、サントニン及びカイニン酸が挙げられる)を含めてよい。
他の実施形態では、本組成物は抗吸虫(antitrematodal)薬を含めてよい。抗吸虫としては、限定するものではないが、ミラシル(miracil)、例えばミラシルD及びミラサン;プラジカンテル、クロナゼパム及びその3-メチル誘導体、オルチプラズ、ルカントン、ヒカントン、オキサムニキン、アモスカナート、ニリダゾール、ニトロキシニル、技術上周知の種々のビスフェノール化合物(ヘキサクロロフェン、ビチオノール、ビチオノールスルホキシド及びメニクロホラン等);種々のサリチルアニリド化合物(トリブロムサラン、オキシクロザニド、クリオキサニド、ラホキサニド、ブロチアニド、ブロモキサニド及びクロサンテル等);トリクラベンダゾール、ジアンフェネチド、クロルスロン、ヘトリン及びエメチンが挙げられる。
抗条虫化合物を有利に本組成物に使用することもでき、これには、限定するものではないが、種々の塩形のアレコリン、ブンアミジン、ニクロサミド、ニトロスカナート、パロモマイシン及びパロモマイシンIIがある。
さらに他の実施形態では、本組成物は、節足動物寄生虫に対して有効な他の活性薬を含めてよい。適切な活性薬として、限定するものではないが、ブロモシクレン、クロルダン、DDT、エンドスルファン、リンダン、メトキシクロル、トキサフェン、ブロモホス、ブロモホス-エチル、カルボフェノチオン、クロルフェンビンホス、クロルピリホス、クロトキシホス、シチオアート、ダイアジノン、ジクロレンチオン、ジエムトアート、ジオキサチオン、エチオン、ファンフル、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスピラート、ヨードフェンホス、マラチオン、ナレド、ホサロン、ホスメト、ホキシム、プロペタンホス、ロンネル、スチロホス、カルバリル、プロマシル、プロポクスル、アレトリン、シハロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレラート、フルシトリナート、ペルメトリン、フェノトリン、ピレトリン、レスメトリン、アミトラズ、安息香酸ベンジル、二硫化炭素、クロタミトン、ジフルベンズロン、ジフェニルアミン、ジスルフィラム、イソボルニルチオシアナトアセタート、メトロプレン、モノスルフィラム、ピレノニルブトキシド、ロテノン、酢酸トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、ディート、フタル酸ジメチル、及び化合物1,5a,6,9,9a,9b-ヘキサヒドロ-4a(4H)-ジベンゾフランカルボキシアルデヒド(MGK-11)、2-(2-エチルヘキシル)-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-イソインドール-1,3(2H)ジオン(MGK-264)、ジプロピル-2,5-ピリジンジカルボキシラート(MGK-326)及び2-(オクチルチオ)エタノール(MGK-874)が挙げられる。
【0049】
本発明の別の実施形態では、殺ダニ剤、駆虫剤及び殺虫剤として作用する1種以上の大環状ラクトンを本発明の組成物に添加することができる。また大環状ラクトンとしては、限定するものではないが、アベルメクチン、例えばアバメクチン、ジマデクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、セラメクチン並びにミルベマイシン、例えばミルベメクチン、ミルベマイシンD、モキシデクチン及びネマデクチンが挙げられる。前記アベルメクチン及びミルベマイシンの5-オキソ及び5-オキシム誘導体も含まれる。大環状ラクトンと他の活性薬との組合せの例は、米国特許第6,426,333号;第6,482,425号;第6,962,713号及び第6,998,131号(それぞれMerial, Ltd., Duluth, GAに帰属し、全て参照によってここに援用する)に記載されている。
大環状ラクトン化合物は技術上周知であり、商業的に又は技術上周知の合成法により得ることができる。広く利用可能な技術的及び商業的文献を参照されたい。アベルメクチン、イベルメクチン及びアバメクチンについては、例えば研究“Ivermectin and Abamectin”, 1989, by M.H.Fischer and H.Mrozik, William C.Campbell, published by Springer Verlag., “Macrocyclic Lactones in Antiparasitic Therapy”, 2002, by J Vercruysse and RS Rew published by CABI Publishing or Albers-Schonberg et al.(1981), “Avermectins Structure Determination”, J.Am.Chem.Soc., 103, 4216-4221を参照することができる。ドラメクチンについては“Veterinary Parasitology”, vol.49, No.1, July 1993, 5-15を参考にすることができる。ミルベマイシンについては、とりわけ、Davies H.G.et al., 1986, “Avermectins and Milbemycins”, Nat.Prod.Rep., 3, 87-121, Mrozik H.et al., 1983, Synthesis of Milbemycins from Avermectins, Tetrahedron Lett., 24, 5333-5336、米国特許第4,134,973号及びEP 0 677 054を参照することができる。
大環状ラクトンは天然物又はその半合成誘導体である。アベルメクチン及びミルベマイシンの構造は密接に関連しており、例えば、複雑な16員大環状ラクトン環を共有し;ミルベマイシンはアベルメクチンのグリコシド成分を欠いている。天然物アベルメクチンは、Albers-Schonbergらに帰属する米国特許第4,310,519号に開示され、22,23-ジヒドロアベルメクチン化合物はChabalaらの米国特許第4,199,569号に開示されている。また、とりわけKitanoの米国特許第4,468,390号、Beuvryらの米国特許第5,824,653号、EP0007812A1、英国特許明細書第1390336号、EP0002916、及びAncareのニュージーランド特許第237086号を参照されたい。天然に存在するミルベマイシンはAokiらの米国特許第3,950,360号並びに“The Merck Index” 12th ed., S.Budavari, Ed., Merck & Co., Inc.Whitehouse Station, New Jersey (1996)で引用されている種々の文献に記載されている。ラチデクチンは、“International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances (INN)”, WHO Drug Information, vol.17, no.4, pp.263-286, (2003)に記載されている。これらの分類の化合物の半合成誘導体は技術上周知であり、例えば、米国特許第5,077,308号、米国特許第4,859,657号、米国特許第4,963,582号、米国特許第4,855,317号、米国特許第4,871,719号、米国特許第4,874,749号、米国特許第4,427,663号、米国特許第4,310,519号、米国特許第4,199,569号、米国特許第5,055,596号、米国特許第4,973,711号、米国特許第4,978,677号、米国特許第4,920,148号及びEP0667054に記載されている。
【0050】
別の実施形態では、昆虫成長調整剤IGR)として知られる分類の殺ダニ剤又は殺虫剤を本発明の組成物に添加することもできる。この群に属する化合物は当業者に周知であり、種々多様の異なる化合物分類に相当する。これらの化合物は全て昆虫害虫の発生又は成長を妨害することによって作用する。昆虫成長調整剤は、例えば、米国特許第3,748,356号;米国特許第3,818,047号;米国特許第4,225,598号;米国特許第4,798,837号;米国特許第4,751,225号、EP0179022又はU.K.2140010並びに米国特許第6,096,329号及び第6,685,954号(両方ともMerial Ltd., Duluth, GAに帰属)に記載されている。使用に適したIGRの例としては、限定するものではないが、メトプレン、ピリプロキシフェン、ヒドロプレン、シロマジン、フルアズロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ピレスロイド、ホルムアミジン及び1-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル尿素が挙げられる。
組成物を形成するために式Iの少なくとも1種の化合物と併用できる殺寄生虫剤は、生物学的に活性なペプチド又はタンパク質であってよく、限定するものではないが、デプシペプチドが含まれ、これは、セクレチン受容体ファミリーに属するシナプス前受容体を神経筋接合部で刺激し、結果として寄生虫を麻痺及び死亡させることによって作用する。デプシペプチドの一実施形態では、デプシペプチドはエモデプシドである。
組成物を形成するために式Iの少なくとも1種の化合物と併用できる殺虫剤は、スピノシン(spinosyn)(例えばスピノサド(spinosad))又は置換ピリジルメチル誘導体化合物、例えばイミダクロプリド(imidacloprid)であってよい。この分類の薬剤は上述してあり、例えば、米国特許第4,742,060号又はEP 0 892 060に記載されている。特定の寄生虫の感染/侵襲を処置するために発明製剤にどの個々の化合物を使用できるかを決めることは、実務家の能力水準の十分範囲内であろう。外部寄生虫用に、併用できる活性薬には、限定するものではないが、ピレスロイド系、有機リン酸系及びネオニコチノイド系殺虫剤、例えばイミダクロプリド、並びにメタフルミゾン、アミトラズ等の化合物及びリアノジン受容体拮抗薬も含まれる。
適切な場合、駆虫薬、殺寄生虫剤及び殺虫剤を、農芸化学的使用に適するとして上述した化合物の群から選択してもよい。
【0051】
一般的に、式Iの少なくとも1種の化合物は、約0.1μg〜約500mgの用量で含まれる。いくつかの実施形態では、追加の活性薬は約1mg〜約500mg、約1mg〜約300mg、又は約1mg〜約100mgの用量で存在してよい。他の実施形態では、追加の活性薬は約1mg〜約50mg又は約1mg〜約20mgの用量で存在してよい。本発明の他の実施形態では、追加の活性薬は約1μg〜約10mgの用量で含まれる。
別の実施形態では、追加の活性薬は約5μg/kg〜約50mg/kgの用量で含まれる。他の実施形態では、追加の活性薬を約5μg/kg〜約30mg/kg、約5μg/kg〜約20mg/kg又は約5μg/kg 〜約10mg/kgの用量で含めてよい。さらに他の実施形態では、追加の活性薬を約10μg/kg〜約1mg/kg又は約50μg/kg〜約500μg/kg(動物の体重)の用量で含めてよい。さらに別の実施形態では、追加の活性薬は約0.1mg/kg〜約10mg/kg(動物の体重)の用量で含まれる。さらに別の実施形態では、追加の活性薬は約0.5mg/kg〜50mg/kgの用量で含まれる。
式I少なくとも1種の化合物と追加の活性薬の質量での比率は、例えば約5/1〜約10,000/1である。しかしながら、当業者は、対象とする宿主及びその使用に適した2-アミドピリジルエーテル化合物と追加の活性薬の比率を選択できるであろう。
本明細書に開示する主題は、処理前の種子の約0.0001〜1質量%の量で式Iの化合物を含む処理種子にも関する。
【0052】
IV. 使用方法
別の実施形態では、本明細書に記載の主題は、動物における内部寄生虫の侵襲又は感染を処置する方法であって、処置が必要な動物又は対象に、有効量の、本明細書に記載の少なくとも1種の2-アミドピリジルエーテル化合物を投与する工程を含んでなる方法に関する。本発明の化合物は内部寄生虫、外部寄生虫又は両方に対して優れた効力を示した。
一実施形態では、蠕虫種による内部寄生虫感染又は侵襲を処置するために本発明の化合物及び組成物を使用することができる。これらの蠕虫種としては、限定するものではないが、アナプロセファラ属(Anaplocephala)(アノプロセファラ属(Anoplocephala))、アンシロストーマ属(Ancylostoma)、アネカトル属(Anecator)、アスカリス属(Ascaris)、ブルギア属(Brugia)、ブノストムム属(Bunostomum)、キャピラリア属(Capillaria)、カベルチア属(Chabertia)、クーペリア属(Cooperia)、シアトストムム属(Cyathostomum)、シリコシクルス属(Cylicocyclus)、シリコドントホルス属(Cylicodontophorus)、シリコステファヌス属(Cylicostephanus)、クラテロストムム属(Craterostomum)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、ディペタロネマ属(Dipetalonema)、ジピルイジウム属(Dipylidium)、ディロフィラリア属(Dirofilaria)、ドラクンクルス属(Dracunculus)、エキノコックス属(Echinococcus)、エンテロビウス属(Enterobius)、ファスキオラ属(Fasciola)、フィラロイデス属(Filaroides)、ハブロネマ属(Habronema)、ヘモンクス属(Haemonchus)、メタストロンギルウス属(Metastrongylus)、モニエジア属(Moniezia)、ネカトール属(Necator)、ネマトジルス属(Nematodirus)、ニッポストロンギルス属(Nippostrongylus)、オエソファゴスツムム属(Oesophagostumum)、オンコセルカ属(Onchocerca)、オステルタギア属(Ostertagia)、蟯虫属(Oxyuris)、パラカリス属(Paracaris)、シストソーマ属(Schistosoma)、ストロンギルス属(Strongylus)、テニア属(Taenia)、トキソカラ属(Toxocara)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、トキサスカリス属(Toxascaris)、トリキネラ属(Trichinella)、トリキュリス属(Trichuris)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、トリオドントホラス属(Triodontophorous)、ウンキナリア属(Uncinaria)、ウケレリア属(Wuchereria)、及びこれらの組合せが挙げられる。
好ましい実施形態では、蠕虫は捻転胃虫(Haemonchus contortus)、オステルターグ胃虫(Ostertagia circumcincta)、アクセイ毛様線虫(Trichostrongylus axei)、皺胃毛様線虫(Trichostrongylus colubriformis)、クーペリア・クルチセイ(Cooperia curticei)、ネマトディルス・バッタス(Nematodirus battus)及びその組合せである。
【0053】
別の実施形態では、本明細書で開示する主題は、処置が必要な動物における外部寄生虫の侵襲又は感染を処置する方法であって、処置が必要な動物に有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む方法に関する。一実施形態では、外部寄生虫は節足動物である。好ましくは、節足動物は、イエバエ(ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica))、ノイエバエ(Musca hervei)、クロイエバエ(Musca bezzi)、ノサシバエ(Haematobia irritans)、ツメトゲブユ(Simulium iwatens)、ウシヌカカ(Culicoides oxystoma)、アカウシアブ(Tabanus chrysurus)、普通の蚊(アカイエカ(Culex pipiens))、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus);シラミ害虫(シラミ亜目(Anoplura))、ウシジラミ(ハエマトピヌス・オイリステルヌス(Haematopinus eurysternus))、ヒツジシラミ(ダマリニア・オビス(Damalinia ovis));マダニ害虫(アカリナ(Acarina))、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longiconis)、オウシマダニ(Boophilus microplus);ノミ(シホナプテラ(Siphonaptera))、ネコノミ(クテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis))、イヌノミ(クテノセファリデス・カニス(Ctenocephalides canis))及びケオプスネズミノミ(キセノプシルラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis))から成る群より選択される。
一実施形態では、感染又は侵襲はノミ、マダニ、コダニ、蚊、ハエ、シラミ、ホホアカクロバエ、ハエ幼虫及びその組合せによって引き起こされる。好ましくは、害虫又は寄生虫は、ハエ(ノサシバエ及びサシバエを含めて)、ノミ、マダニ及び蚊から成る群より選択される。
一実施形態では、本明細書で開示する主題は、動物における外部寄生虫感染又は侵襲を処置する方法であって、有効量の、本明細書に記載の少なくとも1種の2-アミドピリジルエーテル化合物を、第2の活性成分と組み合わせて動物に投与する工程を含んでなる方法に関する。
一実施形態では、寄生虫は外部寄生虫若しくは内部寄生虫又はその組合せである。
本方法は、害虫又は寄生虫を本明細書に記載の少なくとも1種の2-アミドピリジルエーテル化合物と接触させる工程を含む。本方法は、害虫又は寄生虫が侵襲又は居留する領域又はその近傍を接触させる工程を含む。予防的処置では、本方法は、害虫又は寄生虫が侵襲又は居留しやすい領域又はその近傍を接触させる工程を含む。
【0054】
本発明の主題は、本発明の組成物を用いて、哺乳類及び鳥類、特にイヌ及びネコの寄生虫を排除する方法でもある。
本発明の一実施形態では、本発明の直接ポアオン皮膚製剤は、動物の背中に、好ましくは背中のラインに沿って1つ以上の点に溶液を散布すると、持続性かつ広スペクトラムの効力を得ることができる。
直接ポアオン製剤を投与する実施形態によれば、本方法は、溶液を牧草地内で動物に散布し、及び/又は動物が牧草地に到着する前に散布することにあり、散布は好ましくは毎月繰り返し、好ましくは2カ月毎に繰り返す。
直接ポアオン製剤を投与する別の実施形態によれば、本方法は、家畜が「肥育場(Feed Lot)」に到着する前に溶液を散布することにあり、この散布が、動物を屠殺する前の最後の1回の散布であってもよい。
この方法は、動物の上に存在する寄生虫のみならずそれらの残渣及び糞便を排除することによって、動物の皮膚及び毛を浄化するのに役立ち得る。この結果は、動物がもはや寄生虫及び寄生虫がかむことによるストレスを受けないことであり、これは例えば動物の成長及び動物食糧配給用途にプラスの結果をもたらす。
別の実施形態では、スポットオン製剤の散布は、哺乳類又は鳥類に溶液を散布すると、持続性かつ広スペクトラムの効力を得ることもできる。
スポットオン製剤の投与は、時間的に間欠的であってよく、毎日、毎週、二週毎、毎月、二か月毎、年四回、又はさらに長期間毎であってよい。処理間の時間は、処理する寄生虫、侵襲の程度、哺乳類又は鳥類のタイプ及び動物が居住する環境等の要因によって決まる。個々の状況に特有の投与時期を決定することは、実務家の能力水準の十分範囲内である。本発明は、動物が強力な寄生虫の苦痛にさらされる環境内で寄生虫と永久的に闘う方法をも企図し、この場合、投与は毎日投与よりずっと少ない頻度である。例えば、イヌ及びネコに対して毎月本発明の処置を行なうのが好ましい。
スポットオン製剤の投与は、存在する寄生虫並びにそれらの廃棄物及び排泄物の除去によって動物の毛及び皮膚を浄化する方法をも提供する。このように処置された動物は、目に心地良く、触れた感じが良い毛を示す。
一実施形態では、本主題は、種子を害虫から保護する方法であって、種子を生物学的に有効な量の式Iの化合物と接触させる工程を含んでなる方法に関する。
【0055】
V. 製造品
一実施形態では、本主題は、害虫を防除するための装置であって、少なくとも1種の2-アミドピリジルエーテル化合物を含有する餌組成物と、この餌組成物を受けるのに適応しているハウジングとを含み、このハウジングは、ハウジング外の場所から餌組成物に害虫がアクセスできる開口を害虫が通過できる大きさの少なくとも1つの開口部を有し、ハウジングはさらに、害虫が活動する可能性があるか又は活動することが分かっている位置又はその近傍に置くのに適している装置にも関する。
【実施例】
【0056】
VI. 実施例
A. 式Iの化合物の調製方法
本明細書に記載の方法に従うか又は既知の方法(すなわち今までに使用された方法又は化学文献に記載の方法)の応用又は適応によって式Iの化合物を調製することができる。
全ての温度は摂氏で与えてあり;室温は20〜25℃を意味する。商業的供給源から試薬を購入するか又は文献手順に従って調製した。プロトン及びフッ素磁気共鳴(それぞれ1H NMR及び19F NMR)スペクトルをVarian INOVA NMR分光器[400MHz(1H)及び377MHz(19F)]、Bruker NMR分光器[400MHz(1H)及び377MHz(19F)]及びBruker NMR分光器[300MHz(1H)]で記録した。指示した溶媒中で全てのスペクトルを測定した。1H NMRでは、それぞれの溶媒ピークの残りのプロトンピークに関してテトラメチルシラン(TMS)の低磁場にppmで化学シフトを記録する。Shimadzu SP-20A 2010EVを用いてLC-MSスペクトルを得た。Shim-pack XR-ODS 2.2ミクロンC18 50×3.0mmカラム及び線形勾配:2分かけて0.1%ギ酸を含む水中10%アセトニトリルと0.1%ギ酸→100%アセトニトリルと0.1%ギ酸を利用し;100%アセトニトリルと0.1%ギ酸で1分間保持した。Ascentis(登録商標)Express C18 HPLCカラム、75×2.1mm、2.7uを用いるWaters Acquity HPLCシステム。カラム温度を40℃で保持した。溶媒A:5%アセトニトリル/水と0.1%v/vの酢酸中10mMolの酢酸アンモニウム。溶媒B:アセトニトリル。方法は1.5mL/分の流速で0.7分かけて0%B→100%Bへ、100%Bで0.15分間保持してから0.15分間初期条件に戻す。6130単四極子質量分光器及びSofTa(Westminster, CO) 300s ELSDを備えたAgilent 1200SL LC(Shimadzu Shim-pack XR-ODS、3.0×30mm、2.2μmを用いる)を50℃の温度及び1.5mL/分の流速、2μLの注入、移動相:(A)水と0.1%ギ酸及び1%アセトニトリル、移動相(B)メタノールと0.1%ギ酸:分で与えられる保持時間で用いた。方法の詳細:(I)UV/Visダイオードアレイ検出器G1315C及びAgilent 6130質量分析計を備えたBinary Pump G1312Bで、プラスイオン及びマイナスイオンエレクトロスプレーモードで220nm及び254nmにてUV検出、2.2分の線形勾配で15→95%(B)の勾配で行なう(II)95%(B)で0.8分保持(III)0.1分の線形勾配で95→15%(B)に減少(IV)15%(B)で0.29分保持。
スキーム1〜5は、5-(ブロモエチル)-2-クロロピリジンを経てカルボン酸及びエステル含有誘導体を得るための合成経路を示す。該誘導体は式Iの化合物の調製に有用である。
実施例1. 化合物I-4の合成
【0057】
【化4】
スキーム1. 化合物I-4を調製するための合成経路
【0058】
実施例2. 化合物I-1の合成。1000mLの丸底フラスコに2-クロロ-5-メチルピリジン(44g,344.83mmol,1.00当量)、ペルクロロメタン(500mL)、1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(60g,337.08mmol,0.98当量)、及びペルオキシ安息香酸無水物(1g)を入れた。結果として生じた溶液を加熱して一晩還流させた。濾過で固体を除去した。濾液を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:20)を用いて残渣をシリカゲルカラムにかけた。これにより22g(31%)の5-(ブロモメチル)-2-クロロピリジンを白色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 208 [M+H]+
【0059】
【化5】
スキーム2. 化合物I-1を調製するための合成経路
【0060】
実施例3. 化合物I-2の合成。1000mLの丸底フラスコに、5-(ブロモメチル)-2-クロロピリジン(22g,106.54mmol,1.00当量)、4-(トリフルオロメトキシ)フェノール(22g,123.53mmol,1.16当量)、アセトニトリル(300mL)、及び炭酸カリウム(22g,159.19mmol,1.49当量)を入れた。結果として生じた溶液を加熱して一晩還流させた。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。残渣を300mLのジクロロメタンに溶かした。濾過で固体を除去した。濾液を真空下で濃縮した。これにより25g(77%)の2-クロロ-5-((4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピリジンを淡黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 304 [M+H]+
【0061】
【化6】

スキーム3. 化合物I-2を調製するための合成経路
【0062】
実施例4. 化合物I-3の合成。1000mLの圧力タンク反応器に、2-クロロ-5-((4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピリジン(25g,82.32mmol,1.00当量)、メタノール(300mL)、トリエチルアミン(16.7g,165.02mmol,2.00当量)、及びPd(dppf)Cl2(2g)を入れた。上記にCO(g)を20気圧の圧力で導入した。結果として生じた溶液を1時間100℃で一晩撹拌した。結果として生じた混合物を冷却し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/石油エーテル(1:1)を用いて残渣をシリカゲルカラムにかけた。これにより15g(56%)の5-((4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピコリン酸メチルを淡黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 328 [M+H]+
【0063】
【化7】
スキーム4. 化合物I-3を調製するための合成経路
【0064】
実施例5. I-4の合成。500mLの丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(100mL)中の5-((4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピコリン酸メチル(15g,45.83mmol,1.00当量)の溶液と、水(100mL)中の水酸化リチウム(2.2g,92.05mmol,2.01当量)の溶液を入れた。結果として生じた溶液を加熱して1時間還流させた。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。溶液のpH値を酢酸で6に調整した。固体を濾過で収集し、オーブン内で減圧下にて乾燥させた。これにより9.6g(67%)の5-((4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピコリン酸を白色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 314 [M+H]+
1H-NMR: (400MHz, DMSO-d6, ppm): δ5.29(s, 2H), 7.15(m, 2H), 7.33(m, 2H), 8.06(m, 2H), 8.79(s, 1H).
19F-NMR: (376 MHz; DMSO-d6, ppm): -57.25 (s, 3F)
【0065】
【化8】
スキーム5. 化合物I-4を調製するための合成経路
【0066】
スキーム6〜19は、5-(ブロモエチル)ピコリナートを経てカルボン酸及びエステル含有誘導体を得る合成経路を示す。この誘導体は式Iの化合物の調製に有用である。
実施例6. I-548-0の合成
【0067】
【化9】
スキーム6. 化合物I-548-0を調製するための合成経路
【0068】
実施例7. I-548-100の合成。2Lの圧力タンク反応器にメタノール(1000mL)中の2-クロロ-5-メチルピリジン(100g,783.70mmol,1.00当量)の溶液、トリエチルアミン(158.6g,1.57mol,2.00当量)、及びPd(dppf)Cl2(5g)を入れた。上記にCO(g)を20気圧の圧力で導入し、加熱して一晩還流させた。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:50〜1:5)を用いて残渣をシリカゲルカラムにかけた。これにより50g(41%)の5-メチルピコリン酸メチルをオフホワイトの固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 152 [M+H]+
【0069】
【化10】
スキーム7. 化合物I-548-100を調製するための合成経路
【0070】
実施例8. I-548-101の合成。2000mLの4つ口丸底フラスコに、CCl4(1000mL)中の5-メチルピコリン酸メチル(85g,539.68mmol,1.00当量,96%)の溶液、N-ブロモスクシンイミド(110g,617.98mmol,1.10当量)及び過酸化ベンゾイル(3.5g,14.45mmol,0.03当量)を入れた。結果として生じた溶液を加熱して一晩還流させた。濾過で固体を除去した。濾液を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:30〜1:5)を用いて残渣をシリカゲルカラムにかけた。これにより15g(11%)の5-(ブロモメチル)ピコリン酸メチルを淡黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 232 [M+H]+
【0071】
【化11】
スキーム8. 化合物I-548-101を調製するための合成経路
【0072】
実施例9. I-548-102の合成。50mLの丸底フラスコに、アセトニトリル(20mL)中の5-(ブロモメチル)ピコリン酸メチル(500mg,2.09mmol,1.00当量,96%)の溶液、3-エチルフェノール(280mg,2.29mmol,1.05当量)、及び炭酸カリウム(900mg,6.51mmol,3.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を85℃で2時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮した。残渣を30mLの水で希釈し、2×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を混ぜ合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。これにより0.6g(92%)の5-((3-エチルフェノキシ)メチル)ピコリン酸メチルを褐色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 272 [M+H]+
【0073】
【化12】
スキーム9. 化合物I-548-102を調製するための合成経路
【0074】
実施例10. I-548-0の合成。500mLの丸底フラスコに、テトラヒドロフラン/水(2:1)(200mL)中の5-((3-エチルフェノキシ)メチル)ピコリン酸メチル(8g,25.65mmol,1.00当量,87%)の溶液及び水酸化リチウム水和物(4.95g,117.86mmol,4.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を40℃で45分間撹拌した。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。固体を濾過で収集した。固体のpH値を酢酸で6に調整した。濾過で固体を収集し、オーブン内で減圧下にて乾燥させた。これにより4.55g(67%)の5-((3-エチルフェノキシ)メチル)ピコリン酸を淡黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): [M+H]+ 258
1H-NMR: (400MHz, DMSO-d6, ppm) δ 8.78(s, 1H), 8.04(m, 2H), 7.21(m, 1H),
6.83(m, 3H), 5.24(s, 2H), 2.54(m, 2H), 1.16(m, 3H).
【0075】
【化13】
スキーム10. 化合物I-548-0を調製するための合成経路
【0076】
実施例11. I-544-0の合成。
【0077】
【化14】
スキーム11. 化合物I-554-0を調製するための合成経路
【0078】
実施例12. I-554-1の合成。50mLの丸底フラスコに、CH3CN(25mL)中の5-(ブロモメチル)ピコリン酸メチル(500mg,2.17mmol,1.00当量)の溶液、m-クレゾール(250mg,2.31mmol,1.05当量)、及び炭酸カリウム(900mg,6.52mmol,3.00当量)を入れた。この溶液を油浴内で加熱して2時間還流させた。結果として生じた混合物を真空下で濃縮し、50mLのH2Oで希釈した。結果として生じた溶液を3×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を混ぜ合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。これにより0.6g(89%)の5-(m-トリルオキシメチル)ピコリン酸メチルを褐色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): [M+H]+ 258
【0079】
【化15】
スキーム12. 化合物I-554-1を調製するための合成経路
【0080】
実施例13. I-554-0の合成。250mLの丸底フラスコに、テトラヒドロフラン/H2O(50ml/50mL)中の5-(m-トリルオキシメチル)ピコリン酸メチル(8.7g,33.85mmol,1.00当量)の溶液、及びLiOH.H2O(5.6g,133.33mmol,4.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を油浴内で50℃にて30分間撹拌した。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。固体を濾過で収集した。固体のpH値を酢酸(30%)で2〜3に調整した。固体を濾過で収集し、オーブン内で減圧下にて乾燥させた。これにより4.85g(57%)の5-(m-トリルオキシメチル)ピコリン酸を白色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 244 [M+H]+
1H-NMR: (300MHz, CDCl3, ppm) δ 2.370(s, 3H), 5.206(s, 2H), 6.829(m, 3H), 7.224(t, 1H), 8.045(m, 1H), 8.263(d, 1H), 8.720(s, 1H)
【0081】
【化16】
スキーム13. 化合物I-554-0を調製するための合成経路
【0082】
実施例14. I-546-0の合成。
【0083】
【化17】
スキーム14. 化合物I-546-0を調製するための合成経路
【0084】
実施例15. I-546-1の合成。50mLの丸底フラスコに、5-(ブロモメチル)ピコリン酸メチルを(500mg,2.17mmol,1.00当量)、3-ブロモ-5-フルオロフェノール(440mg,2.30mmol,1.06当量)、CH3CN(6mL)、及び炭酸カリウム(900mg,6.52mmol,3.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を85℃で60分間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣を20mLのH2Oで希釈した。結果として生じた溶液を3×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を混ぜ合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体を濾過して取り除いた。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。これにより0.62g(77%)の5-((3-ブロモ-5-フルオロフェノキシ)メチル)ピコリン酸メチルを黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 342 [M+H]+
【0085】
【化18】
スキーム15. 化合物I-546-1を調製するための合成経路
【0086】
実施例16. I-546-0の合成。250mLの丸底フラスコに、5-((3-ブロモ-5-フルオロフェノキシ)メチル)ピコリン酸メチル(9.2g,27.05mmol,1.00当量)、テトラヒドロフラン(100mL)、水(30mL)及びLiOH.H2O(3.41g,81.19mmol,3.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を45℃で60分間撹拌した。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。残渣を200mLのH2Oで希釈した。溶液のpH値を酢酸で5〜6に調整した。固体を濾過で収集し、2×100mLの石油エーテルで洗浄した。固体をオーブン内で減圧下にて乾燥させた。これにより7.37g(82%)の5-((3-ブロモ-5-フルオロフェノキシ)メチル)ピコリン酸を黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 326 [M+H]+
1H-NMR: (300MHz, CDCl3, ppm) δ 5.186 (s, 2H), 6.687 (m, 1H), 6.962 (m, 2H), 8.030(m, 1H), 8.316(d, 1H), 8.716(s, 1H)
【0087】
【化19】
スキーム16. 化合物I-546-0を調製するための合成経路
【0088】
実施例17. I-549-0の合成。
【0089】
【化20】
スキーム17. 化合物I-549-0を調製するための合成経路
【0090】
実施例18. I-549-1の合成。50mLの丸底フラスコに、5-(ブロモメチル)ピコリン酸メチル(500mg,2.17mmol,1.00当量)、3-(トリフルオロメトキシ)フェノール(410mg,2.30mmol,1.06当量)、CH3CN(6mL)、及び炭酸カリウム(900mg,6.52mmol,3.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を油浴内で85℃にて30分間撹拌した。結果として生じた混合物を真空下で濃縮した。残渣を20mLのH2Oで希釈し、2×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を混ぜ合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体を濾過して取り除いた。濾液を真空下で濃縮した。これにより0.56g(74%)の5-((3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピコリン酸メチルを黄褐色固体として得た。
【0091】
【化21】
スキーム18. 化合物I-549-1を調製するための合成経路
【0092】
実施例19. I-549-0の合成。500mLの丸底フラスコに、5-((3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピコリン酸メチル(8.2g,25.05mmol,1.00当量)、テトラヒドロフラン(100mL)、水(20mL)及びLiOH.H2O(4.20g,4.00当量)を入れた。結果として生じた溶液を45℃で1時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮した。結果として生じた溶液を50mLのH2Oで希釈した。溶液のpH値を酢酸で5〜6に調整した。固体を濾過で収集し、2×100mLの石油エーテルで洗浄した。固体をオーブン内で減圧下にて乾燥させた。これにより7.09g(90%)の5-((3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)メチル)ピコリン酸を淡黄色固体として得た。
LC-MS: (ES, m/z): 314 [M+H]+
1H-NMR: (300MHz, CDCl3, ppm) δ 5.200(s, 2H), 6.904(t, 3H), 7.351(t, 1H), 8.028(d, 1H), 8.297(d, 1H), 8.735(s, 1H).
【0093】
【化22】
スキーム19. 化合物I-549-0を調製するための合成経路
【0094】
スキーム20〜23は、カルボン酸I-475-0及びエステルI-475-3含有誘導体を6-クロロ-3-ピリジンメタノールを経て得るための合成経路を示す。これらの誘導体は式Iの化合物の調製に有用である。
実施例20. I-475-0の合成
【0095】
【化23】

スキーム20. 化合物I-475-0を調製するための合成経路
【0096】
実施例21. I-475-4の合成。窒素の不活性雰囲気でパージして維持した250mLの3つ口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(50mL)中の(6-クロロピリジン-3-イル)メタノール(10g,69.64mmol,1.00当量)の溶液、3-(トリフルオロメチル)フェノール(13.55g,83.59mmol,1.20当量)、及びトリフェニルホスフィン(21.93g,83.61mmol,1.20当量)を入れた。この後、0℃で撹拌しながらDIAD(16.90g,83.58mmol,1.20当量)を滴加した。結果として生じた溶液を室温で一晩撹拌した。酢酸エチル/石油エーテル(1/50〜1/10)を用いて残渣をシリカゲルカラムにかけた。これにより11.6g(58%)の2-クロロ-5-((3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)ピリジンを白色固体として得た。
【0097】
【化24】
スキーム21. 化合物I-475-4を調製するための合成経路
【0098】
実施例22. I-475-3の合成。250mLのオートクレーブ容器にメタノール(150mL)中の2-クロロ-5-((3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)ピリジン(8.63g,30.00mmol,1.00当量)、Pd(dppf)Cl2(1.30g,1.81mmol,0.06当量)、及びトリエチルアミン(6.07g,60.10mmol,2.00当量)の溶液を満たした。容器を窒素で3回及び一酸化炭素で3回パージした。容器を一酸化炭素で20気圧に加圧し、100℃に加熱した。結果として生じた溶液を5時間撹拌した。反応混合物を冷却した。固体を濾過して取り除いた。濾液を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/20〜1/10)を用いて残渣をシリカゲルカラムにかけた。これにより6g(64%)の5-((3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)ピコリン酸メチルを白色固体として得た。
【0099】
【化25】
スキーム22. 化合物I-475-3を調製するための合成経路
【0100】
実施例23. I-475-0の合成。500mLの丸底フラスコにテトラヒドロフラン/H2O(1:1)(100mL)中の5-((3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)ピコリン酸メチル(6.2g,19.92mmol,1.00当量)の溶液を入れた。この溶液に水酸化ナトリウム(925mg,23.12mmol,1.20当量)を加えた。結果として生じた溶液を室温で10分間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮してTHFを除去した。結果として生じた溶液を2×50mLの酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた水層のpH値を塩化水素水溶液(4.5mL,6mol/L)で5〜6に調整した。白色固体が生じた。この懸濁液をさらに1時間撹拌した。固体を濾過で収集した。固体をオーブン内で減圧下にて乾燥させた。これにより5.75g(97%)の5-((3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)ピコリン酸を白色固体として得た。
LC-MS (ES, m/z): 298 [M+H]+
1H-NMR: (400 MHz, DMSO, ppm): δ 13.36(s, 1H), 8.82(s, 1H), 8.11-8.06(m, 2H), 7.59-7.55(m, 1H), 7.39-7.33(m, 3H), 5.37(s, 2H)
19F-NMR: (376 MHz; DMSO-d6, ppm): -61.10 (s, 3F)
【0101】
【化26】

スキーム23. 化合物I-475-0を調製するための合成経路
【0102】
実施例24. 化合物125の合成。DMF(0.5mL)に溶かしたEDAC-HCl(1.5当量,0.15mmol,28mg)、HOBt(20mg,1.5当量,1.5mmol)、及びNMM(19uL,1.5当量,0.15mmol)の溶液にDMF(0.5mL)中のPh-SN-546-0(32mg,0.1mmol)の溶液を加えた。この混合物をDMF(0.5mL)中のイソブチルアミン(7.13mg,0.l5mmol,1.5当量)の溶液に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物にDMSO(500uL)を加えてから濃縮した。反応混合物にさらにDMSO(500uL)を加えてからGilson Prep HPLCシステムでVarian Pursuit XRs、C18、50×21.4mm、10uを用いて精製した。溶媒A:HPLC水、溶媒B:メタノール中10mMolの酢酸アンモニウムと0.1%v/vの水酸化アンモニウム。方法は、28mL/分で5分かけて40%B→100%B、100%Bで1分間保持した。
【0103】
【化27】
スキーム24. 化合物125を調製するための合成経路
【0104】
上記合成経路を利用して式Iの化合物を調製することができる。この経路を利用して、式Iの下記化合物を調製した:4、5、10、24、28、33、37、41、44、47、49、54、56、63、65、68、70、73、76、77、78、124、125、127、129、130及び132。
実施例25. エチレン型のリンカー化合物の合成。
【0105】
【化28】
【0106】
スキーム25はエチレン型リンカーを有する式Iの化合物を調製するめの合成経路を示す。
実施例26. ベンジル型リンカー化合物の合成
【0107】
【化29】
【0108】
スキーム26はベンジル型リンカーを有する式Iの化合物を調製するめの合成経路を示す。
実施例27. 5-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピリジン酢酸メチルエステル(I-087)の合成。
【0109】
【化30】
【0110】
スキーム27は式Iの化合物の調製に有用な中間化合物を調製するための合成経路を示す。
実施例28. K002の合成。6-クロロ-2-ピリジン酢酸メチルエステル(10g,58.2mmol)の懸濁液に濃硫酸(30mL)を加えて反応を70℃に4時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、濃縮し、結果として生じた残渣をH2O(1L)に懸濁させ、炭酸ナトリウムでpH=9に調整した。この溶液を酢酸エチルで抽出した。有機物を食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過かつ濃縮して粗生成物を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAC:70%ヘプタン)で精製して所望生成物(8.58g,79%)を得た。
LC-MS: (ES, m/z): 186 [M+H]+
1H-NMR: (400MHz, MeCN-d3, ppm): δ 3.66 (m, 5H), 7.36(d, 1H), 7.67(d, 1H), 8.26(s, 1H).
実施例29. I-054の合成。THF/MeOH(100mL/10mL)中のK002(19.34g,104.17mmol)の溶液を0℃に冷却してLiBH4(4.76g,215.64mmol)を加えた。反応混合物を室温に温めて一晩撹拌した。クエンチするため、反応を ℃に冷却して飽和NH4Cl溶液(500mL)を加えた。固形NH4Clを添加してpHをpH=7に調整した。水性混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過かつ濃縮した。粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して所望生成物(1.51g,70%)を清澄油として得た。
1H-NMR: (400MHz, CDCl3, ppm): δ 2.78 (t, 2H), 3.81 (m, 2H), 7.2 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 8.17 (s, 1H).
実施例30. I-066の合成。DMF(2mL)中のI-054(1.0g,6.33mmol)の溶液にイミダゾール(0.94g,13.8mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(1.25g,8.28mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、濃縮した。結果として生じた残渣を酢酸エチルと水に分配して抽出した。有機物を乾燥させ(MgSO4)、濾過かつ濃縮した。粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して所望化合物(1.80g,99%)を清澄油として得た。
1H-NMR: (400MHz, CDCl3, ppm): δ 0.1 (s, 6H), 0.88 (s, 9H) 2.83 (t, 2H), 3.81 (t, 2H), 7.28 (d, 1H), 7.54 (d, 1H), 8.27 (s, 1H).
実施例31. I-087の合成。40mLの高圧反応器に、I-066(4.28g,15.79mmol)、メタノール(14mL)、トリエチルアミン(3.3mL,23.69mmol)、及びPd(dppf)Cl2(1.16g)を入れた。上記にCO(g)を300psi(2.07×106Pa)の圧力で導入した。結果として生じた溶液を96℃で一晩撹拌した。結果として生じた混合物を冷却し、セライト(Celite(登録商標))のパッドを通して濾過し、濾液を真空下で濃縮した。ヘプタン/酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルパッドに注いだ。これにより4.6g(99%)の所望生成物を得た。
1H-NMR: (400MHz, CDCl3, ppm): δ 0.1 (s, 6H), 0.89 (s, 9H) 2.93 (t, 2H), 3.89 (t, 2H), 4.05 (s, 3H), 7.73 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.65 (s, 1H).
実施例32. 化合物206の合成。
【0111】
【化31】
【0112】
スキーム28は、化合物206を調製するための合成経路を示す。
実施例33. I-013の合成。THF/H2O/HOAc(20mL/20mL/60mL)中のI-087(3.54g,12mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して所望生成物(1.92g,91%)を得た。
1H-NMR: (400MHz, CDCl3, ppm): δ 2.88 (t, 2H), 3.85 (t, 2H), 3.93 (s, 3H), 7.68 (d, 1H), 7.99 (d, 1H), 8.54 (s, 1H).
実施例34. I-008の合成。100mLの丸底フラスコに4-トリフルオロメチルフェノール(0.17g,1.05mmol)、トリフェニルホスフィン(0.18g,1.05 mmol)及びトルエン(3mL)を満たした。トルエン/THF(2mL/7mL)中のI-013(0.19g,1.05mmol)の溶液を加えて10分間撹拌し、アゾジカルボン酸ジエチル溶液(0.53mL,トルエン中40%(v/v)溶液,1.15mmol)を加えて反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を逆相HPLCでGilson Prep HPLCシステムを用いてVarian Pursuit XRs、C18、50×21.4mm、10uを利用して精製した。溶媒A:HPLC水、溶媒B:メタノール。方法は28mL/分で5分かけて40%B→100%B、100%Bで2分保持した。適切な画分を濃縮して所望生成物(200mg,59%)を得た。
1H-NMR: (400MHz, CDCl3, ppm): δ 3.13 (t, 2H), 3.94 (s, 3H), 4.19 (t, 2H), 6.86 (d, 2H), 7.45 (d, 2H), 7.73 (d, 1H), 8.04 (d, 1H), 8.63 (s, 1H).
実施例35. 化合物206の合成。マイクロ波バイアルにI-008(0.032g,0.1mmol)及びイソブチルアミン(1mL)を満たした。反応混合物を3時間120℃及び75Wで加熱した。反応混合物を濃縮し、再びメタノール(3mL)に溶かし、逆相HPLCでGilson Prep HPLCシステムを用いてVarian Pursuit XRs、C18、50×21.4mm、10uを利用して精製した。溶媒A:HPLC水、溶媒B:メタノール。方法は28mL/分で5分かけて40%B→100%Bへ、100%Bで2分保持した。適切な画分を濃縮して所望生成物(27mg,74%)を得た。
LC-MS (ES, m/z): 367 [M+H]+
1H-NMR: (400MHz, CDCl3, ppm): δ 0.93 (d, 6H), 1.85 (m, 1H), 3.11 (t, 2H), 3.23 (t, 2H), 4.18 (t, 2H), 6.88 (d, 2H) 7.71 (d, 2H), 8.01 (br.t, 1H), 8.42 (s, 1H).
上記化学を利用して式Iのこれらの特定化合物のみならず、式Iの他の化合物をも調製した:47、219、220、221、209、9、12、13、14、15、132、133、134、135、140、205、47、138、222、225、223、237、238、240、241、242、243、275、278,及び279。
実施例36. 式Iの化合物の調製に有用な化合物の合成。
【0113】
【化32】
【0114】
スキーム29は、式Iの化合物の調製に有用な化合物の合成経路を示す。
実施例37. J-025の合成。200mLの丸底フラスコに、無水ジメチルホルムアミド(70mL)中の2-クロロ-5-ヒドロキシメチルピリジン(10g,69.6mmol,1.00当量)の溶液を入れた。イミダゾール(11.85g,174mmol,2.5当量)を固体として全て一度に加えた。溶解したら滴下漏斗を加え、無水ジメチルホルムアミド(30mL)中のtert-ブチルジメチルシリルクロリド(15.75g,104mmol,1.5当量)の溶液を5分間にわたって添加した。溶液を周囲温度で16時間撹拌した。結果として生じた混合物を水(250mL)中に注ぎ、5分間撹拌し、酢酸エチル(3×200mL)中に抽出した。有機層を混ぜ合わせ、食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、清澄油になるまで濃縮した。油を減圧下で乾燥させて所望生成物(J-025,17.9g,定量的)を得た。
LC-MS-J-025: (ES, m/z): 257 [M+H]+
1H-NMR-J-025: (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 8.23(s, 1H), 7.53-7.51(m, 1H), 7.20-7.18(m, 1H), 4.62(s, 2H), 0.83(s, 9H), 0.00(s, 6H)
【0115】
【化33】
【0116】
スキーム30は、式Iの化合物の調製に有用な化合物の合成経路を示す。
実施例38. J-086の合成。撹拌棒、冷却管、ゴム栓及び真空ラインに接続された閉鎖可能ガス入口を備えた、加熱マントル内のオーブン乾燥した500mLの3つ口フラスコをN2雰囲気下で冷却した。この装置に無水メタノール(100mL)中のJ-025(17.9g,69.6mmol,1.00当量)とNEt3(19.38mL,139mmol,2当量)の脱気溶液を満たした。Pd(dppf)Cl2を固体として加え、吸引及び窒素を利用してシステムを再び脱気した。2つのバルーンにCOを詰め、吸引によって雰囲気をCOに切り換えた。この赤色懸濁液を60℃で16時間撹拌した。セライトを通して反応混合物を濾過し、メタノールで洗浄した。収集されたパラジウム廃棄物を捨て、溶出液を減圧下で濃縮した。残渣を温トルエン(15mL)でスラリーにし、真空に接続されたエルレンマイヤーフラスコに挿入されたフリットガラス漏斗内の大きい(350g)シリカプラグ上に装填した。吸引を利用してプラグ上を通過する下記シーケンスから500mLの画分を収集することによって所望生成物を精製した(500mLのヘプタン、1L×10%のEtOAc-ヘプタン、2L×15%のEtOAc-ヘプタン、1L×20%のEtOAc-ヘプタン、1L×20%のEtOAc-ヘプタン)。濃縮後に油を減圧下で乾燥させて所望生成物を得た(J-086,16.4g,84%)。
LC-MS-J-086: (ES, m/z): 283 [M+H]+
1H-NMR-J-086: (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 8.75(s, 1H), 8.01-7.99(m, 1H), 7.70-7.69(m, 1H), 4.72(s, 2H), 3.89(s, 3H), 0.83(s, 9H), 0.00(s, 6H)
【0117】
【化34】
【0118】
スキーム31は、式Iの化合物の調製に有用な化合物である化合物J-086の合成経路を示す。
実施例39. J-093の合成。200mLの丸底フラスコに、J-086(16.4g,58.2mmol,1.00当量)のアセトニトリル(40mL)中の溶液を入れた。イソブチルアミン(25mL,251mmol,4当量)を加えて溶液を50℃で48時間加熱した。溶液を減圧下で黄色油になるまで濃縮し、トルエン(10mL)で希釈し、シリカカラム上に装填した(120g, 26分かけて0.5→20%のEtOAc-ヘプタン勾配)。所望画分を混ぜ合わせ、濃縮し、油を減圧下で乾燥させて所望生成物を白色の低融点固体として得た(J-093,15.92g,85%)。
LC-MS-J-093: (ES, m/z): 323 [M+H]+
1H-NMR-J-093: (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 8.38(s, 1H), 8.06-8.04(m, 1H), 7.99(b, 1H), 7.67-7.65(m, 1H), 4.69(s, 2H), 3.18(m, 3H), 1.81(m, 1H), 0.87-0.83(m, 15H), 0.00(s, 6H)
【0119】
【化35】
【0120】
スキーム32は、式Iの調製に有用な化合物である化合物J-086の合成経路を示す。
実施例40. J-096の合成。200mLの丸底フラスコに、J-096(15.92g,49.44mmol,1.00当量)のテトラヒドロフラン(20mL)中の溶液を入れた。酢酸(40mL)及び水(20mL)を加えて溶液を周囲温度で16時間撹拌した。溶液を減圧下で黄色油になるまで濃縮した。次にトルエン/メタノール(100mL(1:1))と6回共沸させて高真空ポンプ上に置いて所望生成物を油として得た(J-096,10.2g,定量的)。
LC-MS-J-093: (ES, m/z): 209 [M+H]+
1H-NMR-J-093: (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 8.50(s, 1H), 8.10-8.08(m, 2H), 7.80-7.78(m, 1H), 4.77(s, 2H), 3.27(t, J=6.5 x 2, 2H), 1.89(m, 1H), 0.96(d, J= 6.6, 6H)
【0121】
【化36】
【0122】
スキーム33は、式Iの化合物の調製に有用な化合物である化合物J-096の合成経路を示す。
実施例41. 化合物227の合成。撹拌棒を備えた40mLのバイアルに無水ジメチルホルムアミド(1mL)を入れ、冷蔵庫で金属反応ブロック内にて冷却した。J-096(80mg,0.38mmol,1.00当量)の無水ジメチルホルムアミド(2mL)中の溶液をバイアルに入れて冷蔵庫内で冷却した。(4-クロロ-3-トリフルオロメトキシ)ベンジルブロミド(143mg,0.50mmol,1.3当量)を無水ジメチルホルムアミド(1mL)に溶かして冷蔵庫で冷却した。NaH(12mg,0.50mmol,1.3当量)をガラスピペットを用いて冷却40mLバイアルに添加した。中身を旋回させ、ピペットでアルコール溶液を加えた。懸濁液を再び旋回させ、反応ブロックを冷蔵庫に戻した。30分後、ブロックを取り出し、ピペットで臭化物溶液を加えて反応ブロックを撹拌プレート上に周囲温度で16時間置いた。水を加えて(4mL)反応をクエンチした。生成物をEtOAc中に抽出し、減圧下で濃縮した。ヘプタン(1mL)及びアセトニトリル/メタノール(3mL(1:1))を加えて振盪させ、メタノール層を除去し、クロメレオン(chromeleon)HPLC(UV検出器、MeOH/H2O、方法:607-28)に流した。所望ピークの終結は所望生成物をもたらした(化合物227,47mg,30%)。
LC-MS-227: (ES, m/z): 414 [M+H]+
1H-NMR-227: (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 8.49(m, 1H), 8.17(dd, J=8及び0.6, 1H), 8.08(b, 1H), 7.80(dd, J=8及び2.1, 1H), 7.43(d, J=8.2, 1H), 7.31(s, 1H), 7.21(m, 1H), 4.61(s, 2H), 4.55(s, 2H), 3.28(t, J=6.5 x 2, 2H), 1.89(m, 1H), 0.96(d, J= 6.6, 6H).
【0123】
【化37】
【0124】
スキーム34は化合物227の合成経路を示す。
上記化学を利用して式Iのこれらの特定化合物のみならず、式Iの他の化合物をも調製した:227、228、229、232、234、216、228、256、257、258、259、260、263、264、266、268及び270。
当業者には当然のことながら、上記方法の態様の範囲内で、利用する合成工程の順序を変えてよく、順序は、とりわけ、特定基材中に存在する他の官能基の性質、主要中間体の有効性及び採用すべき保護基戦略(もしあれば)(例えば“Protective Groups in Organic Synthesis (Fourth Edition)”, eds.Peter G.M.Wuts及びTheodora W.Greene, Wiley-Interscience Publishers, (2007)参照)等の要因によって決まるであろう、明らかに、該要因は前記合成工程で用いる試薬の選択にも影響を与えるであろう。
本発明はさらに、本発明の全て又は一部のエナンチオマーを分離すること或いは本発明の鏡像異性的に濃縮された化合物を合成することを企図する。標準的な方法、例えば当業者に周知なように光学活性酸を利用する化学的分割によるか或いは本質的に光学活性(又は「キラル」)な固定相を利用するカラムクロマトグラフィー又は逆相カラムクロマトグラフィーを用いて全て又は一部のエナンチオマーを分離することによって本組成物を調製することができる。化合物の特定のエナンチオマーの形成及び/又は単離はルーチン的ではないので、全ての化合物の特定のエナンチオマーを得るために使用できる一般的方法はない。化合物の特定のエナンチオマーを得るために用いる方法及び条件は、それぞれの特定化合物に合わせて決定しなければならない。
下表1は、式Iの特定化合物を示す。
【0125】
表1







【0126】
B. 生物学的アッセイ
実施例42. マダニに対する化合物の接触活性を試験するためのスクリーニング方法。
試験化合物の溶液を用いてガラスバイアルの内壁を被覆し、2枚の濾紙を処理した。乾燥したら、1枚の濾紙をバイアルのキャップに置き、他方の濾紙をバイアルの底に置いた。各処理バイアルを10匹の成虫クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)(Brown Dog Tick)ではびこらせた。バイアルを制御環境(24℃、90〜95%の相対湿度)内で保持することによってマダニと残留物の接触を誘導し、適用後24、48時間で未処理コントロールと比較して評価を行なった。
実施例43. 摂取後のノミに対する化合物の活性を試験するためのスクリーニング方法
円筒状の試験容器に10匹の成虫ネコノミ(Ctenocephalides felis)を満たした。円筒状ウェルの一端をセルフシールの可撓性フィルムで閉じて、試験容器の上面に、ノミがフィルムを突き刺して円筒の中身を餌にすることができるような位置に置いた。次に試験化合物溶液をピペットでウシ血液に入れてウェルに加えた。ネコノミ(Ctenocephalides felis)を含む容器部分は20〜22℃及び40〜60%の相対湿度で維持し、処理血液を含むウェル部分は37℃及び40〜60%の相対湿度で維持した。適用後72時間に未処理コントロールと比較して評価を行なった。
実施例44. ハエに対する化合物の接触活性を試験するためのスクリーニング方法
ペトリ皿内に収容された濾紙を試験化合物の溶液を用いて処理し、濾紙を蒸発乾固させた。10%のスクロースで湿らせた脱脂綿の小片と10匹の成虫ハエ(ノサシバエ(Haematobia irritans)又はサシバエ(Stomoxys calcitrans))を各皿に添加した。皿に蓋をして室温で保持した。侵襲後4時間及び24時間に未処理コントロールと比較して評価を行なった。
実施例45. 蚊に対する化合物の活性を試験するためのスクリーニング方法
培養液及びDMSO中の試験化合物を含むマイクロタイタープレートのウェルに10匹の新生仔ネッタイシマカ(Aedes aegypti)幼虫を添加した。次にマイクロタイタープレートを22℃で維持し、L1幼虫を成長させた。2日で分析を行なって、コントロール幼虫と比べた処理幼虫の運動性の抑制を決定した。
実施例46. 捻転胃虫(H.contortus)に対する化合物の活性を試験するためのスクリーニング方法
培養液及びDMSO中の試験化合物を含むマイクロタイタープレートのウェルに12匹のL1捻転胃虫(Haemonchus contortus)幼虫を添加した。次にマイクロタイタープレートを27℃で維持し、L1幼虫を成長させた。3日で分析を行なってL3段階への成長の達成を決定した。試験化合物を含まないDMSOにさらした幼虫はコントロールとして役立った。
実施例47. イヌ糸状虫(D.immitis)ミクロフィラリアに対する化合物の活性を試験するためのスクリーニング方法
RPMI培地及びDMSO中の試験化合物を含むマイクロタイタープレートのウェルにイヌ糸状虫(Dirofilaria immitis)の400〜600匹のミクロフィラリアを添加した。次にマイクロタイタープレートを5%のCO2を含む環境内で37℃にて維持した。5日で評価を行なってミクロフィラリアの生存を決定した。試験化合物を含まないDMSOにさらしたミクロフィラリアはコントロールとして役立った。
【0127】





【0128】

【0129】

【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
「ノサシバエ」

【0134】
「マダニ」

【0135】
このように本発明の好ましい実施形態を詳述したが、上記パラグラフによって定義された本発明は、上記説明で述べた特定の詳細の多くの明白な変形が本発明の精神又は範囲から逸脱することなく可能であるので、上記説明で述べた特定の詳細に限定されないものと解釈すべきである。