【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、まず、ヒトTNF−αに対して、一定水準以上の結合能を示す「ヒトTNF−αに対するRNAアプタマー分子」が実際に存在するか否かに関して、選別を行った。さらに、仮に、一定水準以上の結合能を示す「ヒトTNF−αに対するRNAアプタマー分子」が存在する際には、その「ヒトTNF−αに対するRNAアプタマー分子」を構成する一本鎖核酸分子の塩基配列を特定することを試みた。
【0016】
一般に、対象分子に対する「RNAアプタマー分子」の探索には、「ランダム一本鎖核酸分子ライブラリー」を作製し、対象分子に対する結合能に関して、SELEX法を適用するスクリーニングが利用される。
【0017】
ヒトTNF−αは、157アミノ酸残基からなるタンパク質であり、そのホモ3量体と複合体を形成可能な「RNAアプタマー分子」は、5’末端の固定領域と、3’末端の固定領域との間に、ランダムな塩基配列を有する、51塩基長の部分(N
51)が挿入されている形態の「ランダム一本鎖RNA分子ライブラリー」中に存在していると予測した。
【0018】
本発明者らは、SELEX法を適用するスクリーニングに利用する、5’末端の固定領域と、3’末端の固定領域との間に、ランダムな塩基配列を有する、51塩基長の部分(N
51)が挿入されている形態の「ランダム一本鎖RNA分子ライブラリー」として、
5’末端の固定領域:GGAAGACCAG CCUUAAGAGGG;(21塩基) (配列番号:29)
51塩基長のランダム配列部分:(N
51);
3’末端の固定領域:CUAGUAUCCG GAACGUGAC;(19塩基) (配列番号:30)
を具える、全長90塩基長の「ランダム一本鎖RNA分子ライブラリー」を選択した。
【0019】
対象タンパク質として、市販のRecombinant Human TNF-α(PeproTech #300-01A)を利用して、該タンパク質に対する結合能を有する「RNAアプタマー分子」を探索した。
【0020】
SELEX・スクリーニング・ラウンドを延べ10ラウンド繰り返し、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能を有する「RNAアプタマー分子」の選別を行った。
【0021】
各ラウンドでは、バインディング・バッファ溶液として、HBS (50 mM HEPES pH 7.4, 150 mM NaCl) + 5 mM MgCl
2 + 5 mM KClを用いて、該タンパク質・RNA分子の複合体形成を行っている。タンパク質ならびに形成された複合体の回収は、ニトロセルロースフィルターを用いたFilter分離法を利用した。ニトロセルロースフィルター上に回収されているタンパク質・RNA分子の複合体から、一本鎖RNA分子を、次の溶出条件で溶出させる。該ニトロセルロースフィルターを組成:HBS (50 mM HEPES pH 7.4, 150 mM NaCl) + 7M Ureaの溶出バッファ溶液中に浸漬し、90℃で5分間加熱し、一本鎖RNA分子の“unfolding”処理を施す。該“unfolding”処理によって、一本鎖RNA分子の二次構造、ならびに三次構造は解消される結果、該一本鎖RNA分子は、変性剤の尿素の高濃度溶液中に溶出される。
【0022】
前記10ラウンドで採取された「RNAアプタマー分子」の一群から、逆転写によって調製されるcDNAを、それぞれ大腸菌に導入して、クローン化を行った。取得した各クローンについて、前記cDNAの塩基配列を特定した。各クローンについて、導入されているcDNAを鋳型として「RNAアプタマー分子」を調製し、表面プラズモン共鳴測定装置を利用して、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能の評価を行った。少なくとも、前記バインディング・バッファ溶液中における解離定数K
Dが、K
D≦10nMの条件を満たす「RNAアプタマー分子」を選択した。さらに、前記の選択条件を満足する「RNAアプタマー分子」について、その塩基配列を解析した。
【0023】
その結果、K
D≦10nMの条件を満たす「RNAアプタマー分子」として、選別された一群の「RNAアプタマー分子」中には、K
D≦10pMと見積もられる「RNAアプタマー分子」も存在することが判明した。
【0024】
前記10ラウンドで採取された「RNAアプタマー分子」の一群から、作製した一群のクローンにおいて、その「ランダムな塩基配列」部分が一致しているクローン数が2以上存在する、クローン・ファミリーを選別した。選別されたクローン・ファミリー中には、K
D≦10pMと見積もられる「RNAアプタマー分子」から作製されたクローンのファミリーも含まれている。このK
D≦10pMと見積もられる「RNAアプタマー分子」から作製されたクローンのファミリーの一つは、下記の塩基配列を有しており、そのcDNAを保持するクローンに、識別のための名称をTNF-130と付した。
【0025】
Clone:TNF-130中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
TCCCATATGGATCCCTTTTCACCGGTACCAATAGCAAATACCTAGACAGG
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:13)
「RNAアプタマー分子」 TNF-130:
5’−GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCCCAUAUGGAUCCCUUUUCACCGGUACCAAUAGCAAAUACCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC−3’ (配列番号:1)
さらに、前記10ラウンドで採取された「RNAアプタマー分子」の一群に対して、表面プラズモン共鳴測定装置を利用して、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能に関して、追加の2ラウンドのスクリーニングを行った。その際、RNA鎖を構成する各リボ核酸の2'−位のヒドロキシル基(−OH)をフッ素原子(−F)で置き換える修飾が施されている、2’F修飾RNA鎖型のアプタマー分子を作製した。追加の2ラウンドでは、2’F修飾RNA鎖型のアプタマー分子の一群をスクリーニングの対象としている。この追加の2ラウンドを含め、合計12ラウンドの選別を行った、Recombinant Human TNF-αに対する結合能を有する「RNAアプタマー分子」の群を回収した。
【0026】
前記合計12ラウンドの選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群についても、逆転写によって調製されるcDNAを、それぞれ大腸菌に導入して、クローン化を行った。取得した各クローンについて、前記cDNAの塩基配列を特定した。各クローンについて、導入されているcDNAを鋳型として「RNAアプタマー分子」を調製し、表面プラズモン共鳴測定装置を利用して、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能の評価を行った。
【0027】
その結果、前記合計12ラウンドで採取された「RNAアプタマー分子」の一群から、作製した一群のクローンにおいても、その「ランダムな塩基配列」部分が一致しているクローン数が2以上存在する、クローン・ファミリーを選別した。選別されたクローン・ファミリー中には、K
D≦10nMと見積もられる、2’F修飾RNA鎖型「RNAアプタマー分子」の鋳型のcDNAを保持するクローンのファミリーも含まれている。このK
D≦10nMと見積もられる、2’F修飾RNA鎖型「RNAアプタマー分子」の鋳型のcDNAを保持するクローンのファミリーは、下記の塩基配列を有しており、そのcDNAを保持するクローンに、それぞれ、識別のための名称を、TNF-458、TNF-505、TNF-508、TNF-510と付した。
【0028】
Clone:TNF-458中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
TGAGATATCGCTCCATTTTCAAATTTATCTATACAAACACTTTGATTCG
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:14)
TNF-485 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
Clone:TNF-505中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
TACAATATCTATCACCTTTTACTGGCTACGAGGAGCAAGTACCCAGACATG
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:15)
「RNAアプタマー分子」TNF-505 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
Clone:TNF-508中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
CTCCATATGGATCTCTGTTCCCCGCACCTGAGAGCCAATACCTTGACATC
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:16)
「RNAアプタマー分子」TNF-508 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
Clone:TNF-510中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
TCACATATGGATCCCTTTTCAACGGTACCAATAGCTTGCAGTTAAATACA
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:17)
「RNAアプタマー分子」TNF-510 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
なお、前記の各クローンのファミリーを鋳型として作製される「RNAアプタマー分子」も、合計10ラウンドの選別を経ており、前記2’F修飾RNA鎖型「RNAアプタマー分子」と同様に、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能を有すると、判断される。
【0029】
「RNAアプタマー分子」 TNF-458:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
「RNAアプタマー分子」 TNF-505:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
「RNAアプタマー分子」 TNF-508:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
「RNAアプタマー分子」 TNF-510:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
前記合計12ラウンドの選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群について、逆転写によって調製されるcDNAを、それぞれ大腸菌に導入して、クローン化を行った際、TNF-130と、上記のTNF-458、TNF-505、TNF-508、TNF-510は、いずれも、複数個のクローンを与えている。換言すると、前記合計12ラウンドの選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群中に、相当の比率で、これらの「RNAアプタマー分子」が含まれていることを示している。
【0030】
本発明者らは、K
D≦10nMの条件を満たす「RNAアプタマー分子」である、TNF-130において、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成に関与する立体構造上の特徴を推定するため、先ず、その二次構造の推定を行った。
図2に示す、TNF-130の推定された二次構造において、中心部に、内部ループ様の構造が構成されている点に着目した。TNF-130の「ランダム配列」領域において、この内部ループ様の構造の構成に関与している部分として、「5’−UUUUCACCGG−3’」と「5’−CUAGACAGG−3’」の二つの領域に着目した。
【0031】
一方、本発明者らは、選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群中に、相当の比率で含有されている「RNAアプタマー分子」は、そのRecombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能は、一定水準を超えたものであると判断した。本発明者らは、選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群について、そのcDNAの群を調製し、その塩基配列解析の結果に基づき、相当の比率で含有されている「RNAアプタマー分子」の有無を調べた。前記cDNAの群を対象とする、塩基配列解析は、Genome sequencer FLX systemを応用した、高速シークエンス解析を利用している。
【0032】
その結果、実際に、上記の選別条件を満たす「クローン・ファミリー」を構成していたTNF-130は、解析されたcDNAの群中に、「28/3153」程度の頻度で含有されていることが確認された。
【0033】
前記合計12ラウンドの選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群中に、TNF-130中の「5’−UUUUCACCGG−3’」と「5’−CUAGACAGG−3’」と類似性を示す部分配列を、同様な相対位置で具えている「RNAアプタマー分子」が、他にも含まれているか、否かを調査した。その結果、「5’−TTTTCACCGG−3’」と「5’−CTAGACAGG−3’」と類似性を示す部分配列を具え、解析されたcDNAの群中に、「32/3153」の頻度で含有されている「cDNA」として、下記の「RNAアプタマー分子」TNF-100のcDNAが見出された。この「RNAアプタマー分子」TNF-100のcDNAを、大腸菌に導入して、クローン化を行った。
【0034】
Clone:TNF-100中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
ATAAGTTCGGATCACCGGCCCAAAGCCTAGACCTAGGGGCTATAAATAC
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:21)
「RNAアプタマー分子」 TNF-100:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
AUAAGUUCGGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:9)
「RNAアプタマー分子」TNF-100は、上記バインディング・バッファ溶液中における解離定数K
Dが、K
D≦10nMの条件は満たしていないが、その解離定数K
Dが、K
D≦20nMの範囲である。
【0035】
二種の「RNAアプタマー分子」TNF-130とTNF-100について、その推定される二次構造を比較すると、
図3に示すように、中心部に、内部ループ様の構造が構成されているという共通性が見出された。この内部ループ様の構造の構成に関与する部分塩基配列を対比したところ、TNF-130中の「5’−UUUUCACCGG−3’」と「5’−CUAGACAGG−3’」と、TNF-100中の「5’−UCACCGG−3’」と「5’−CUAGAC−3’」との間で、明確な類似性が見出された。
【0036】
前記合計12ラウンドの選別を終えた「RNAアプタマー分子」の群中に、TNF-130中の「5’−UUUUCACCGG−3’」と「5’−CUAGACAGG−3’」と類似性を示す部分配列を、同様な相対位置で具えている「RNAアプタマー分子」が、他にも含まれていた。
【0037】
また、先の高速シークエンス解析を行ったcDNAの群中に、「5’−TTTTCACCGG−3’」と「5’−CTAGACAGG−3’」と類似性を示す部分配列を、同様な相対位置で具えているものが、TNF-100のcDNA以外にも、下記の三種:TNF-673,TNF-674,TNF-675が見出された。解析されたcDNAの群中に、それぞれ、TNF-673は、「4/3153」の頻度で、TNF-674は、「2/3153」の頻度で、TNF-675は、「1/3153」の頻度で含まれていた。この三種のcDNAも、大腸菌に導入して、クローン化を行った。
【0038】
Clone:TNF-673中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
CCGACATCCGGTCTTCTTCACCGGTAGAGTATATATAACCGCCTAGACAGG
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:18)
「RNAアプタマー分子」 TNF-673:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CCGACAUCCGGTCTTCUUCACCGGUAGAGUAUAUAUAACCGCCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:6)
Clone:TNF-674中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
CGTTAAATCCTAAGCGGATGGCCCCTTCACCGATCATAGGATCTAGACAGG
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:19)
「RNAアプタマー分子」 TNF-674:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CGUUAAAUCCUAAGCGGAUGGCCCCUUCACCGAUCAUAGGAUCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:7)
Clone:TNF-675中に保持されるcDNAの塩基配列:
5’-GGAAGACCAGCCTTAAGAGGG
TCGAAATATTACCCTTTTCACCGGCGAAAGTCGCATGACCGCCTAGACAGG
CTAGTATCCGGAACGTGAC-3’ (配列番号:20)
「RNAアプタマー分子」 TNF-675:
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCGAAAUAUUACCCUUUUCACCGGCGAAAGUCGCAUGACCGCCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:8)
本発明者らは、「RNAアプタマー分子」TNF-130とTNF-100の推定される二次構造において、共通して見出される、中心部に形成される、内部ループ様の構造が、実際に、Recombinant Human TNF-αとの複合体形成に関与することの検証を行った。すなわち、「RNAアプタマー分子」TNF-100に基づき、その中心部に形成される、内部ループ様の構造の構成が可能な部分塩基配列からなる、一本鎖RNA分子:TNF-m013を設計し、該TNF-m013のRecombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能を測定した。
図4に、一本鎖RNA分子:TNF-m013の推定される二次構造を、TNF-100の推定される二次構造と対比して示す。
【0039】
実際には、一本鎖RNA分子:TNF-m013の3’末端にPolyA鎖を付加してなる、3’末端PolyA鎖付加型RNA分子:TNF-m013+(A)
24を作製した。ビオチン化PolydUを、SAセンサ・チップ上に固定化されているStreptavidinタンパク質との結合を介してチップ上に固定化し、このビオチン化PolydUに、作製されたTNF-m013+(A)
24のPolyA鎖をハイブリダイズさせ、固定化する。この固定化されたTNF-m013+(A)
24と、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成・解離過程における、平衡解離定数K
Dの測定を行った。また、TNF-100の3’末端に、ビオチン化PolydU鎖とハイブリダイズ可能なPolyA鎖を付加してなる、3’末端PolyA鎖付加型RNA分子:TNF-100+(A)
24を作製した。ビオチン化PolydUを、SAセンサ・チップ上に固定化されているStreptavidinタンパク質との結合を介してチップ上に固定化し、このビオチン化PolydUに、作製されたTNF-100+(A)
24をのPolyA鎖をハイブリダイズさせ、固定化する。この固定化されたTNF-100+(A)
24と、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成・解離過程における、平衡解離定数K
Dの測定を行った。
【0040】
その結果、TNF-m013+(A)
24と、TNF-100+(A)
24で測定された、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成・解離過程における、結合速度定数k
a、解離速度定数k
d、平衡解離定数K
D=k
d/k
aは、ほぼ等しい値であることが確認される。従って、TNF-m013と、TNF-100は、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成に関与する立体構造は、本質的に同じであると判断される。すなわち、TNF-m013と、TNF-100は、
図4に示す推定二次構造、特には、その中心部に形成される、内部ループ様の構造を形成することで、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成を可能としていると、判断される。また、
図3に示す推定二次構造を考慮すると、「RNAアプタマー分子」TNF-130とTNF-100においては、共通して見出される、中心部に形成される、内部ループ様の構造を構成することで、Recombinant Human TNF-α(ホモ3量体)との複合体形成を可能としていると、推断された。
【0041】
本発明者らは、以上に述べた一連の検討の結果に基づき、本発明を完成するに至った。
【0042】
本発明の第一の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーは、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、下記のI-1〜I-5の塩基配列からなる群から選択される塩基配列の一本鎖RNA分子である
(I-1) TNF-130
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCCCAUAUGGAUCCCUUUUCACCGGUACCAAUAGCAAAUACCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:1)
(I-2) TNF-485
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
(I-3) TNF-505
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
(I-4) TNF-508
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
(I-5) TNF-510
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
ことを特徴とするアプタマーである。
【0043】
さらには、本発明の第一の形態は、RNA鎖を構成する各リボ核酸の2’−位のヒドロキシル基(−OH)をフッ素原子(−F)で置き換える修飾が施されている、2’F修飾RNA鎖型のアプタマーをも包含している。
【0044】
本発明の第一の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有する、2’F修飾RNA鎖型のアプタマーは、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、各リボ核酸の2’−位のヒドロキシル基(−OH)をフッ素原子(−F)で置き換える修飾が施されている、下記のI-2〜I-5の塩基配列からなる群から選択される塩基配列の一本鎖修飾RNA分子である
(I-2) TNF-485 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
ことを特徴とするアプタマーである。
【0045】
本発明の第二の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーの一例は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、下記のII-2〜II-4の塩基配列からなる群から選択される塩基配列の一本鎖RNA分子である
(II-2) TNF-674
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CGUUAAAUCCUAAGCGGAUGGCCCCUUCACCGAUCAUAGGAUCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:7)
(II-3) TNF-675
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCGAAAUAUUACCCUUUUCACCGGCGAAAGUCGCAUGACCGCCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:8)
(II-4) TNF-100
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
AUAAGUUCGGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:9)
ことを特徴とするアプタマーである。
【0046】
また、本発明の第二の形態は、ヒトTNF−αに対する結合能を有する一本鎖RNA分子に対して、その3’末端にPolyA鎖を付加してなる、3’末端PolyA鎖付加型のアプタマーをも包含している。すなわち、付加されている3’末端PolyA鎖と、固相表面に固定化されている、PolydU鎖との間でハイブリッド体を形成した状態で、ヒトTNF−αに対する結合能を有する一本鎖RNA分子も包含している。
【0047】
本発明の第二の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有する、3’末端PolyA鎖付加型のアプタマーの一例は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、3’−末端にPolyA配列が付加された、下記のII-4’の塩基配列からなる一本鎖RNA分子である
(II-4’) TNF-100+(A)
24
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
AUAAGUUCGGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC
AAAAA AAAAA AAAAA AAAAA AAAA-3’ (配列番号:11)
ことを特徴とするアプタマーである。
【0048】
本発明の第三の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーの一例は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、下記のIIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子である
(III) TNF-m013
5’-GGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCC-3’ (配列番号:10)
ことを特徴とするアプタマーである。
【0049】
また、本発明の第三の形態は、ヒトTNF−αに対する結合能を有する一本鎖RNA分子に対して、その3’末端にPolyA鎖を付加してなる、3’末端PolyA鎖付加型のアプタマーをも包含している。すなわち、付加されている3’末端PolyA鎖と、固相表面に固定化されている、PolydU鎖との間でハイブリッド体を形成した状態で、ヒトTNF−αに対する結合能を有する一本鎖RNA分子も包含している。
【0050】
本発明の第三の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有する、3’末端PolyA鎖付加型のアプタマーの一例は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、3’−末端にPolyA配列が付加された、下記のIII’の塩基配列からなる一本鎖RNA分子である
(III’) TNF-m013+(A)
24
5’-GGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCC
AAAAA AAAAA AAAAA AAAAA AAAA-3’ (配列番号:12)
ことを特徴とするアプタマーである。
【0051】
加えて、本発明は、上記の本発明の第一の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマー、本発明の第二の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマー、本発明の第三の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用する方法の発明を提供している。
【0052】
本発明にかかる、前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用する方法の発明の一例は、下記のヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法である。
【0053】
本発明にかかる「ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法」の第一の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法であって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αに対して特異的な反応性を有するモノクローナル抗体と、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを具えており、
前記モノクローナル抗体を利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを結合させ、
固定化されたヒトTNF−αに結合した、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーとして、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCCCAUAUGGAUCCCUUUUCACCGGUACCAAUAGCAAAUACCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:1)
(I-2) TNF-485
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
(I-3) TNF-505
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
(I-4) TNF-508
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
(I-5) TNF-510
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CGUUAAAUCCUAAGCGGAUGGCCCCUUCACCGAUCAUAGGAUCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:7)
(II-3) TNF-675
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCGAAAUAUUACCCUUUUCACCGGCGAAAGUCGCAUGACCGCCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:8)
(II-4) TNF-100
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
AUAAGUUCGGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013
5’-GGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCC-3’ (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーを使用する
ことを特徴とするアプタマーの使用方法である。
【0054】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーは、
該RNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の末端に標識が付されている形態を選択することができる。
【0055】
本発明にかかる「ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法」の第二の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法であって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αに対して特異的な反応性を有するモノクローナル抗体と、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを具えており、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、前記モノクローナル抗体を反応させ、
固定化されたヒトTNF−αと反応し、抗原抗体複合体を形成した、前記モノクローナル抗体を検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーとして、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130 (配列番号:1)
(I-2) TNF-485 (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F) (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F) (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F) (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F) (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674 (配列番号:7)
(II-3) TNF-675 (配列番号:8)
(II-4) TNF-100 (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013 (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーを使用する
ことを特徴とするアプタマーの使用方法である。
【0056】
その際、例えば、前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーは、
該アプタマー分子を担体に固定化するために利用される、PolyA鎖を、該RNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の3’−末端に連結してなる、3’−末端PolyA鎖付加RNAアプタマーである形態を選択することが好ましい。
【0057】
本発明にかかる「ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法」の第三の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法であって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αの固定化に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第一のRNAアプタマーと、
固定化されたヒトTNF−αの検出に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第二のRNAアプタマーを具えており、
前記第一のRNAアプタマーを利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、前記第二のRNAアプタマーを結合させ、
固定化されたヒトTNF−αに結合した、前記第二のRNAアプタマーを検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有する、前記第二のRNAアプタマーとして、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130 (配列番号:1)
(I-2) TNF-485 (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F) (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F) (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F) (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F) (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674 (配列番号:7)
(II-3) TNF-675 (配列番号:8)
(II-4) TNF-100 (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013 (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーを使用する
ことを特徴とするアプタマーの使用方法である。
【0058】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有する、第二のRNAアプタマーは、
該第二のRNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の末端に標識が付されている形態を選択することができる。
【0059】
本発明にかかる「ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法」の第四の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットを作製するために、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを使用する方法であって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αの固定化に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第一のRNAアプタマーと、
固定化されたヒトTNF−αの検出に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第二のRNAアプタマーを具えており、
前記第一のRNAアプタマーを利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、前記第二のRNAアプタマーを結合させ、
固定化されたヒトTNF−αに結合した、前記第二のRNAアプタマーを検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有する、前記第一のRNAアプタマーとして、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130 (配列番号:1)
(I-2) TNF-485 (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F) (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F) (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F) (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F) (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674 (配列番号:7)
(II-3) TNF-675 (配列番号:8)
(II-4) TNF-100 (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013 (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーを使用する
ことを特徴とするアプタマーの使用方法である。
【0060】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有する、第一のRNAアプタマーは、
該第一のアプタマー分子を担体に固定化するために利用される、PolyA鎖を、該第一のRNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の3’−末端に連結してなる、3’−末端PolyA鎖付加RNAアプタマーである形態を選択することが好ましい。
【0061】
また、本発明にかかる、前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用する方法の発明の他の一例は、上記の本発明の第一の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマー、本発明の第二の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマー、本発明の第三の形態にかかるヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用することで作製される、ヒトTNF−αの検出用キットの発明である。
【0062】
本発明にかかる、前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用することで作製される、ヒトTNF−αの検出用キットの発明の一例として、下記のヒトTNF−αの検出用キットを例示することができる。
【0063】
本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用することで作製される、ヒトTNF−αの検出用キット」の第一の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットであって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αに対して特異的な反応性を有するモノクローナル抗体と、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを具えており、
前記モノクローナル抗体を利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを結合させ、
固定化されたヒトTNF−αに結合した、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーは、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCCCAUAUGGAUCCCUUUUCACCGGUACCAAUAGCAAAUACCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:1)
(I-2) TNF-485
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
(I-3) TNF-505
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
(I-4) TNF-508
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
(I-5) TNF-510
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UGAGAUAUCGCUCCAUUUUCAAAUUUAUCUAUACAAACACUUUGAUUCG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UACAAUAUCUAUCACCUUUUACUGGCUACGAGGAGCAAGUACCCAGACAUG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CUCCAUAUGGAUCUCUGUUCCCCGCACCUGAGAGCCAAUACCUUGACAUC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F)
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCACAUAUGGAUCCCUUUUCAACGGUACCAAUAGCUUGCAGUUAAAUACA
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
CGUUAAAUCCUAAGCGGAUGGCCCCUUCACCGAUCAUAGGAUCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:7)
(II-3) TNF-675
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
UCGAAAUAUUACCCUUUUCACCGGCGAAAGUCGCAUGACCGCCUAGACAGG
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:8)
(II-4) TNF-100
5’-GGAAGACCAGCCUUAAGAGGG
AUAAGUUCGGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCCGGAACGUGAC-3’ (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013
5’-GGAUCACCGGCCCAAAGCCUAGACCUAGGGGCUAUAAAUAC
CUAGUAUCC-3’ (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーである
ことを特徴とする検出用キットである。
【0064】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーは、
該RNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の末端に標識が付されている形態を選択することができる。
【0065】
本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用することで作製される、ヒトTNF−αの検出用キット」の第二の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットであって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αに対して特異的な反応性を有するモノクローナル抗体と、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを具えており、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、前記モノクローナル抗体を反応させ、
固定化されたヒトTNF−αと反応し、抗原抗体複合体を形成した、前記モノクローナル抗体を検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーは、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130 (配列番号:1)
(I-2) TNF-485 (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F) (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F) (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F) (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F) (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674 (配列番号:7)
(II-3) TNF-675 (配列番号:8)
(II-4) TNF-100 (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013 (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーである
ことを特徴とする検出用キットである。
【0066】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーは、
該アプタマー分子を担体に固定化するために利用される、PolyA鎖を、該RNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の3’−末端に連結してなる、3’−末端PolyA鎖付加RNAアプタマーである形態を選択することが好ましい。
【0067】
本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用することで作製される、ヒトTNF−αの検出用キット」の第三の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットであって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αの固定化に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第一のRNAアプタマーと、
固定化されたヒトTNF−αの検出に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第二のRNAアプタマーを具えており、
前記第一のRNAアプタマーを利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、前記第二のRNAアプタマーを結合させ、
固定化されたヒトTNF−αに結合した、前記第二のRNAアプタマーを検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有する、前記第二のRNAアプタマーは、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130 (配列番号:1)
(I-2) TNF-485 (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F) (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F) (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F) (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F) (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674 (配列番号:7)
(II-3) TNF-675 (配列番号:8)
(II-4) TNF-100 (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013 (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーである
ことを特徴とする検出用キットである。
【0068】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有する、第二のRNAアプタマーは、
該第二のRNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の末端に標識が付されている形態を選択することができる。
【0069】
本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するアプタマーを使用することで作製される、ヒトTNF−αの検出用キット」の第四の態様は、
ヒトTNF−αの検出用キットであって、
該ヒトTNF−αの検出用キットは、
ヒトTNF−αの固定化に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第一のRNAアプタマーと、
固定化されたヒトTNF−αの検出に利用される、ヒトTNF−αに対する結合能を有する第二のRNAアプタマーを具えており、
前記第一のRNAアプタマーを利用して、ヒトTNF−αを固定化し、
固定化されたヒトTNF−αに、前記第二のRNAアプタマーを結合させ、
固定化されたヒトTNF−αに結合した、前記第二のRNAアプタマーを検出することで、ヒトTNF−αの検出を行う検出用キットであり、
該ヒトTNF−αの検出用キットが具える、ヒトTNF−αに対する結合能を有する、前記第一のRNAアプタマーは、
下記I-1〜I-5の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(I-1) TNF-130 (配列番号:1)
(I-2) TNF-485 (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (配列番号:5)
下記I-2〜I-5の塩基配列からなる一本鎖修飾RNA分子:
(I-2) TNF-485 (2'F) (配列番号:2)
(I-3) TNF-505 (2'F) (配列番号:3)
(I-4) TNF-508 (2'F) (配列番号:4)
(I-5) TNF-510 (2'F) (配列番号:5)
下記II-2〜II-4の塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(II-2) TNF-674 (配列番号:7)
(II-3) TNF-675 (配列番号:8)
(II-4) TNF-100 (配列番号:9)
下記IIIの塩基配列からなる一本鎖RNA分子:
(III) TNF-m013 (配列番号:10)
からなる群から選択されるアプタマーである
ことを特徴とする検出用キットである。
【0070】
その際、
前記ヒトTNF−αに対する結合能を有する、第一のRNAアプタマーは、
該第一のアプタマー分子を担体に固定化するために利用される、PolyA鎖を、該第一のRNAアプタマーを構成する一本鎖核酸の3’−末端に連結してなる、3’−末端PolyA鎖付加RNAアプタマーである形態を選択することが好ましい。
【0071】
本発明者らは、
図2に示す、TNF-130の推定された二次構造において、中心部に、内部ループ様の構造が構成されている点に着目した。TNF-130の「ランダム配列」領域において、この内部ループ様の構造の構成に関与している部分として、「5’−UUUUCACCGG−3’」と「5’−CUAGACAGG−3’」の二つの領域に着目した。
【0072】
さらに、本発明者らは、上述の二種の「RNAアプタマー分子」TNF-130とTNF-100について、その推定される二次構造を比較すると、
図3に示すように、中心部に、内部ループ様の構造が構成されているという共通性が見出されることに着目した。この内部ループ様の構造の構成に関与する部分塩基配列を対比したところ、TNF-130中の「5’−UUUUCACCGG−3’」と「5’−CUAGACAGG−3’」と、TNF-100中の「5’−UCACCGG−3’」と「5’−CUAGAC−3’」との間で、明確な類似性が見出されることに着目した。
【0073】
本発明者らは、SELEX法を適用するスクリーニングに利用する、
5’末端の固定領域:GGAAGACCAG CCUUAAGAGGG;(21塩基) (配列番号:29)
51塩基長のランダム配列部分:(N
51);
3’末端の固定領域:CUAGUAUCCG GAACGUGAC;(19塩基) (配列番号:30)
を具える、全長90塩基長の「ランダム一本鎖RNA分子ライブラリー」中から、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に、それぞれ、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列を含んでいる、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製し、この第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーに対して、ヒトTNF−αに対する結合能に基づき、スクリーニングを行うことで、より効率的に、前記第一のモチーフ配列と第二のモチーフ配列に相当する、二つの部分塩基配列を具え、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの選別がなされることに想到した。
【0074】
すなわち、上記の第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’と第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’を利用することで、予めスクリーニング対象の絞り込みを行うことで、より効率的なスクリーニングを行うことが可能となることに想到した。
【0075】
あるいは、前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に、それぞれ、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列を含んでいる、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製し、この第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーに対して、ヒトTNF−αに対する結合能に基づき、スクリーニングを行うことで、より効率的に、前記第三のモチーフ配列、第四のモチーフ配列と同じ、二つの部分塩基配列を具え、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの選別がなされることに想到した。
【0076】
すなわち、本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する方法」の第一の形態は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する方法であって、
該選別方法は、下記の工程1と工程2とを具えており、
(工程1)
下記の5’末端の固定領域と3’末端の固定領域、それに挟まれる、51塩基長のランダム配列部分(N
51)を具えた一本鎖RNA分子で構成されるランダム一本鎖RNA分子ライブラリー(RNAプール)中から、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)
51塩基長のランダム配列部分:(N
51);
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に、それぞれ、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列を含んでいる、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製する、第一の選別工程;
(工程2)
前記第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーから、ヒトTNF−αに対する結合能に基づき、前記第一のモチーフ配列と第二のモチーフ配列に相当する、二つの部分塩基配列を具え、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する、第二の選別工程;
該選別方法によって、前記第一のモチーフ配列と第二のモチーフ配列に相当する、二つの部分塩基配列を具え、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの選別がなされる
ことを特徴とするアプタマーの選別方法である。
【0077】
その際、前記工程1において、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に含まれる、前記第一の部分塩基配列と、第二の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製する形態を選択することができる。
【0078】
また、前記工程1において、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に含まれる、前記第一の部分塩基配列は、前記第二の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製する形態を選択することができる。
【0079】
本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する方法」の第二の形態は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する方法であって、
該選別方法は、下記の工程1と工程2とを具えており、
(工程1)
下記の5’末端の固定領域と3’末端の固定領域、それに挟まれる、51塩基長のランダム配列部分(N
51)を具えた一本鎖RNA分子で構成されるランダム一本鎖RNA分子ライブラリー(RNAプール)中から、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)
51塩基長のランダム配列部分:(N
51);
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に、それぞれ、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列を含んでいる、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製する、第一の選別工程;
(工程2)
前記第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーから、ヒトTNF−αに対する結合能に基づき、前記第三のモチーフ配列、第四のモチーフ配列と同じ、二つの部分塩基配列を具え、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する、第二の選別工程;
該選別方法によって、前記第三のモチーフ配列、第四のモチーフ配列と同じ、二つの部分塩基配列を具え、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの選別がなされる
ことを特徴とするアプタマーの選別方法である。
【0080】
その際、前記工程1において、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に含まれる、前記第三の部分塩基配列と、第四の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製する形態を選択することができる。
【0081】
また、前記工程1において、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に含まれる、前記第三の部分塩基配列は、前記第四の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している、一本鎖RNA分子を選択して、第一の候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーを作製する形態を選択することができる。
【0082】
加えて、本発明は、上述する「ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する方法」において利用される、「候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリー」の発明を提供している。
【0083】
すなわち、本発明にかかる「候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリー」の第一の形態は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの選別に利用される、候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーであって、
該部分ライブラリーは、
下記の5’末端の固定領域と3’末端の固定領域、それに挟まれる、51塩基長のランダム配列部分(N
51)を具えた一本鎖RNA分子で構成されるランダム一本鎖RNA分子ライブラリー(RNAプール)中から、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)
51塩基長のランダム配列部分:(N
51);
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に、それぞれ、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列を含んでいる、一本鎖RNA分子を選択して、作製される部分ライブラリーである
ことを特徴とする候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーである。
【0084】
その際、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に含まれる、前記第一の部分塩基配列は、前記第二の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している、一本鎖RNA分子を選択して、作製される部分ライブラリーである形態を選択することができる。
【0085】
本発明にかかる「候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリー」の第二の形態は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの選別に利用される、候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーであって、
該部分ライブラリーは、
下記の5’末端の固定領域と3’末端の固定領域、それに挟まれる、51塩基長のランダム配列部分(N
51)を具えた一本鎖RNA分子で構成されるランダム一本鎖RNA分子ライブラリー(RNAプール)中から、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)
51塩基長のランダム配列部分:(N
51);
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に、それぞれ、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列を含んでいる、一本鎖RNA分子を選択して、作製される部分ライブラリーである
ことを特徴とする候補一本鎖RNA分子の部分ライブラリーである。
【0086】
その際、
前記51塩基長のランダム配列部分(N
51)中に含まれる、前記第三の部分塩基配列は、前記第四の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している、一本鎖RNA分子を選択して、作製される部分ライブラリーである形態を選択することができる。
【0087】
さらに、本発明者らは、上述の本発明にかかる「ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーを選別する方法」を適用することで、下記の「ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」を選別することは可能であることに想到した。
【0088】
すなわち、本発明は、その塩基配列中に含まれる、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列によって、内部ループ構造が構成され、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの発明をも提供する。また、本発明は、その塩基配列中に含まれる、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列によって、内部ループ構造が構成され、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーの発明をも提供する。
【0089】
すなわち、本発明にかかる「第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’と第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’によって特徴付けられる、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」の第一の態様は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)と、
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)と、
前記5’末端の固定領域と3’末端の固定領域に挟まれる、51塩基長の配列部分を具えた一本鎖RNA分子であり、
前記51塩基長の配列部分中に、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列を含んでおり、
前記一本鎖RNA分子の二次構造中において、前記第一の部分塩基配列と第二の部分塩基配列は、内部ループ構造を構成する要素として存在している
ことを特徴とするアプタマーである。
【0090】
その際、
前記51塩基長の配列部分中に含まれる、前記第一の部分塩基配列は、前記第二の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している形態を選択することができる。
【0091】
さらに、前記51塩基長の配列部分中に含まれる、前記第一の部分塩基配列と、第二の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している形態を選択することができる。
【0092】
また、本発明にかかる「第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’によって特徴付けられる、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」の第一の態様は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)と、
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)と、
前記5’末端の固定領域と3’末端の固定領域に挟まれる、51塩基長の配列部分を具えた一本鎖RNA分子であり、
前記51塩基長の配列部分中に、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列を含んでおり、
前記一本鎖RNA分子の二次構造中において、前記第三の部分塩基配列と第四の部分塩基配列は、内部ループ構造を構成する要素として存在している
ことを特徴とするアプタマーである。
【0093】
その際、
前記51塩基長の配列部分中に含まれる、前記第三の部分塩基配列は、前記第四の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している形態を選択することができる。
【0094】
さらに、前記51塩基長の配列部分中に含まれる、前記第三の部分塩基配列と、第四の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している形態を選択することができる。
【0095】
さらには、本発明にかかる「第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’と第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’によって特徴付けられる、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」の第二の態様は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)と、
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)と、
前記5’末端の固定領域と3’末端の固定領域に挟まれる、中間領域の配列部分を具えた一本鎖RNA分子であり、
前記中間領域の配列部分中に、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列を含んでおり、
前記一本鎖RNA分子の二次構造中において、前記第一の部分塩基配列と第二の部分塩基配列は、内部ループ構造を構成する要素として存在している
ことを特徴とするアプタマーである。
【0096】
その際、
前記中間領域の配列部分中に含まれる、前記第一の部分塩基配列は、前記第二の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している形態を選択することができる。
【0097】
さらに、前記中間領域の配列部分中に含まれる、前記第一の部分塩基配列と、第二の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している形態を選択することができる。
【0098】
また、本発明にかかる「第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’によって特徴付けられる、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」の第二の態様は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、
5’末端の固定領域:GGAAG ACCAG CCUUA AGAGG G;(21塩基) (配列番号:29)と、
3’末端の固定領域:CUAGU AUCCG GAACG UGAC;(19塩基) (配列番号:30)と、
前記5’末端の固定領域と3’末端の固定領域に挟まれる、中間領域の配列部分を具えた一本鎖RNA分子であり、
前記中間領域の配列部分中に、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列を含んでおり、
前記一本鎖RNA分子の二次構造中において、前記第三の部分塩基配列と第四の部分塩基配列は、内部ループ構造を構成する要素として存在している
ことを特徴とするアプタマーである。
【0099】
その際、
前記中間領域の配列部分中に含まれる、前記第三の部分塩基配列は、前記第四の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している形態を選択することができる。
【0100】
さらに、前記中間領域の配列部分中に含まれる、前記第三の部分塩基配列と、第四の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している形態を選択することができる。
【0101】
さらに、本発明者らは、後述する、
図4に示すRecombinant Human TNF-α(ホモ3量体)に対する結合能を有する「RNAアプタマー分子」TNF−m013と「RNAアプタマー分子」TNF−100の推定される二次構造の対比結果に着目した。具体的には、その塩基配列中に含まれる、第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列によって、内部ループ構造が構成されると、ヒトTNF−αに対する結合能を発揮できることに想到した。また、その塩基配列中に含まれる、第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列によって、内部ループ構造が構成されると、ヒトTNF−αに対する結合能を発揮できることに想到した。
【0102】
すなわち、本発明にかかる「第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’と第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’によって特徴付けられる、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」の第三の態様は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、
第一のモチーフ配列:5’−UUUUCACCGG−3’に相当する、第一の部分塩基配列と、第二のモチーフ配列:5’−CUAGACAGG−3’に相当する、第二の部分塩基配列を含んでなる塩基配列からなる一本鎖RNA分子であり、
前記一本鎖RNA分子の二次構造中において、前記第一の部分塩基配列と第二の部分塩基配列は、内部ループ構造を構成する要素として存在している
ことを特徴とするアプタマーである。
【0103】
その際、
前記一本鎖RNA分子中に含まれる、前記第一の部分塩基配列は、前記第二の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している形態を選択することができる。
【0104】
さらに、前記一本鎖RNA分子中に含まれる、前記第一の部分塩基配列と、第二の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している形態を選択することができる。
【0105】
また、本発明にかかる「第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’によって特徴付けられる、ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマー」の第三の態様は、
ヒトTNF−αに対する結合能を有するRNAアプタマーであって、
該RNAアプタマーは、
第三のモチーフ配列:5’−UCACCGG−3’と同じ、第三の部分塩基配列と、第四のモチーフ配列:5’−CUAGAC−3’と同じ、第四の部分塩基配列を含んでなる塩基配列からなる一本鎖RNA分子であり、
前記一本鎖RNA分子の二次構造中において、前記第三の部分塩基配列と第四の部分塩基配列は、内部ループ構造を構成する要素として存在している
ことを特徴とするアプタマーである。
【0106】
その際、
前記一本鎖RNA分子中に含まれる、前記第三の部分塩基配列は、前記第四の部分塩基配列よりも、5’末端側に存在している形態を選択することができる。
【0107】
さらに、前記一本鎖RNA分子中に含まれる、前記第三の部分塩基配列と、第四の部分塩基配列との間に、少なくとも8塩基、例えば、8塩基以上25塩基以下の領域が存在している形態を選択することができる。