特許第6041392号(P6041392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041392
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ウイング車の荷台端部構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/08 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   B60J7/08 P
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-269917(P2013-269917)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123882(P2015-123882A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 優一
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−080548(JP,A)
【文献】 実開平01−134561(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3060976(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3069197(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室を開閉自在なウイング車の前方又は後方の荷台端部構造であって、
前記荷室の上方を区画する天井面体の前方又は後方の縁部に固定されて車幅方向に延びるアルミ合金製の天井端縁部材と、
前記天井端縁部材の下面に第1の締結部材によって締結固定され、前記天井面体を開閉移動させるシリンダのロッドが連結される鋼製のシリンダロッド連結基材と、を備え、
前記天井端縁部材の上面には、後方又は前方へ延びて前記天井面体の上面を形成するルーフシートが、前記第1の締結部材の上方を覆った状態で固定され
前記荷室の前方又は後方は、前方面体又は後方面体によって区画され、
前記天井端縁部材の下面には、前後1対の上被係合部が形成され、上シール部材には、前記前後の上被係合部にそれぞれ係合可能な前後1対の上係合部が形成され、
前記前後の上被係合部に前記前後の上係合部をそれぞれ係合することによって、前記上シール部材が前記天井端縁部材の下面に取り付けられ、
前記天井端縁部材の下面に取り付けられた前記上シール部材は、前記天井面体が前記荷室を閉じる閉状態で前記前方面体の上端縁又は前記後方面体の上端縁に密着し、
前記ルーフシートは、前記前後の上被係合部の間の前記上シール部材の上方で第2の締結部材によって前記天井端縁部材に締結固定される
ことを特徴とするウイング車の荷台端部構造。
【請求項2】
請求項1に記載のウイング車の荷台端部構造であって、
前記天井端縁部材の上面には、前記第1の締結部材の端部が前記天井端縁部材の上面から突出しないように前記締結部材の前記端部を収容する凹部が形成され、
前記ルーフシートは、平板状であり、前記凹部の上方を閉止した状態で前記天井端縁部材の上面に固定される
ことを特徴とするウイング車の荷台端部構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のウイング車の荷台端部構造であって、
前記天井面体の車幅方向の外端縁に対して結合されて荷室の側方を区画する側方面体の前方又は後方の縁部には、上下方向に延びるアルミ合金製の側面端縁部材が固定され、
前記側面端縁部材の内面には、縦被係合部が形成され、縦シール部材には、前記縦被係合部に係合可能な縦係合部が形成され、
前記縦被係合部に前記縦係合部を係合することによって、前記縦シール部材が前記側面端縁部材の内面に取り付けられ、
前記側面端縁部材の内面に取り付けられた前記縦シール部材は、前記閉状態で前記前方面体又は前記後方面体の側端縁に密着する
ことを特徴とするウイング車の荷台端部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷室を開閉自在なウイング車の前方又は後方の荷台端部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウイング車両におけるウイング昇降用シリンダのシリンダーピン取付構造が記載されている。この構造では、車幅方向の断面形状がL字状をなす一対のウイングルーフの車体内方の側縁がヒンジによってセンタービームに螺着され、前・後部門構の上部には、ウイングルーフをヒンジの周りに回動させる油圧シリンダが設けられ、油圧シリンダの先端金具は、ルーフレールの庫内側に設けたシリンダトップブラケットに連結される。また、ルールレールの下面にシリンダロッド連結基材が固定され、シリンダロッド連結基材にシリンダトップブラケットが固定された状態が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−80548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造において、シリンダロッド連結基材は、油圧シリンダからの駆動力が入力する部材であり、高い剛性が要求される。また、ルーフレール(天井端縁部材)から荷室への浸水抑制のため、ルーフレールの穿孔箇所は少ない方が好ましい。このような理由から、ルーフレール及びシリンダロット連結基材の両者を鋼材によって形成し、ルーフレールとシリンダロット連結基材とを溶接によって接合する構造が一般的であり、シリンダロッド連結基材の剛性を確保しつつ、浸水の抑制と軽量化とを図ることが難しい。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑み、シリンダロッド連結基材の剛性を確保しつつ、浸水の抑制と軽量化とを図ることが可能なウイング車の荷台端部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、荷室を開閉自在なウイング車の前方又は後方の荷台端部構造であって、荷室の上方を区画する天井面体の前方又は後方の縁部に固定されて車幅方向に延びるアルミ合金製の天井端縁部材と、天井端縁部材の下面に第1の締結部材によって締結固定され、天井面体を開閉移動させるシリンダのロッドが連結される鋼製のシリンダロッド連結基材と、を備える。
【0007】
天井端縁部材の上面には、後方又は前方へ延びて天井面体の上面を形成するルーフシートが、第1の結部材の端部(頭部)の上方を覆った状態で固定される。
荷室の前方又は後方は、前方面体又は後方面体によって区画される。天井端縁部材の下面には、前後1対の上被係合部が形成され、上シール部材には、前後の上被係合部にそれぞれ係合可能な前後1対の上係合部が形成される。前後の上被係合部に前後の上係合部をそれぞれ係合することによって、上シール部材が天井端縁部材の下面に取り付けられる。天井端縁部材の下面に取り付けられた上シール部材は、天井面体が荷室を閉じる閉状態で前方面体の上端縁又は後方面体の上端縁に密着する。ルーフシートは、前後の上被係合部の間の上シール部材の上方で第2の締結部材によって天井端縁部材に締結固定される。
【0008】
上記構成では、シリンダロッド連結基材を鋼製としたので所望の剛性を確保することができ、また天井端縁部材をアルミ合金製としたので軽量化を図ることができる。
天井端縁部材には第1の締結部材を挿通するための第1の挿通孔が形成されるが、第1の締結部材の上方をルーフシートが覆うので、第1の挿通孔を介した荷室への浸水をルーフシートによって抑制することができる。
また、前後の上被係合部に前後の上係合部をそれぞれ係合することによって上シール部材を天井端縁部材に取り付けることができるので、上シール部材の取り付け作業性が向上する。
さらに、ルーフシート及び天井端縁部材には、第2の締結部材を挿通するための第2の挿通孔が形成されるが、第2の挿通孔は前後の上被係合部の間で上シール部材の上方に形成されるので、第2の挿通孔を介した荷室への浸水を上シール部材によって抑制することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様の荷台端部構造であって、天井端縁部材の上面には、第1の締結部材の端部が天井端縁部材の上面から突出しないように締結部材の端部を収容する凹部が形成される。ルーフシートは、平板状であり、凹部の上方を閉止した状態で天井端縁部材の上面に固定される。
上記構成では、天井端縁部材には第1の締結部材を挿通するための挿通孔が形成されるが、第1の締結部材の端部が収容される凹部の上方をルーフシートが閉止するので、挿通孔を介した荷室への浸水をルーフシートによって抑制することができる。
【0010】
第2の締結部材の端部が凹部に収容されて天井端縁部材の上面から突出しないので、平板状のルーフシートによって凹部の上方を閉止することができ、荷室の上面が部分的に高くなるのを防止することができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の荷台端部構造であって、天井面体の車幅方向の外端縁に対して結合されて荷室の側方を区画する側方面体の前方又は後方の縁部には、上下方向に延びるアルミ合金製の側面端縁部材が固定される。側面端縁部材の内面には、縦被係合部が形成され、縦シール部材には、縦被係合部に係合可能な縦係合部が形成され、縦被係合部に縦係合部を係合することによって、縦シール部材が側面端縁部材の内面に取り付けられる。側面端縁部材の内面に取り付けられた縦シール部材は、閉状態で前方面体又は後方面体の側端縁に密着する。なお、縦シール部材は、上シール部材と一体的に連続していてもよく、別体であってもよい。



【0015】
上記構成では、上被係合部に上係合部を係合することによって上シール部材を天井端縁部材に取り付けることができるので、上シール部材の取り付け作業性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シリンダロッド連結基材の剛性を確保しつつ、浸水の抑制と軽量化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の荷台を備えたキャブオーバートラックを模式的に示す斜視図である。
図2図1の荷台を前斜め下方から視た外観斜視図である。
図3図2の荷室の前端内側を後斜め下方から視た斜視図である。
図4図2の荷室の前端外側を前斜め上方から視た斜視図である。
図5図2の荷室の前端右上隅を荷室内側から視た斜視図である。
図6】ルーフレールフロントの断面図である。
図7】ルーフレールフロントに取り付ける前のルーフガスケットの断面図である。
図8】ポストサイドフロントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。各図において、FRは車両前方を、UPはウイングを閉じた状態での上方をそれぞれ示す。また、特に説明していない場合、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を示す。
【0019】
図1に示すように、キャブオーバートラックのウイング屋根式の荷台1は、床2と前壁(前方面体)3と後壁(後方面体)4とセンターフレーム5と左右一対のウイング6,6と左右一対の煽り7,7等から構成されている。
【0020】
前壁3は、車体フレームに固定される矩形枠状の前フレーム8と、周縁部が前フレーム8に固定される前パネル19とを備え、車両のキャブ20の後面20aに対向配置されて荷室21の前方を区画する。前フレーム8は、荷台1の前部の左右に立設された一対の前支柱9,9と、車幅方向に沿って配置されて左右の前支柱9,9の上端同士を連結するフロントアッパクロスフレーム10とを有する。
【0021】
後壁4は、車体フレームに固定される矩形枠状の後フレーム11と、後フレーム11に回転自在に支持されて荷台1の後方を開閉する左右の開閉扉12,12とを有し、荷室21の後方を区画する。後フレーム11は、荷台1の後部の左右に立設された一対の後支柱13,13と、車幅方向に沿って配置されて左右の後支柱13,13の上端同士を連結するリヤアッパクロスフレーム14とを有する。センターフレーム5は、前後方向に沿って配置され、フロントアッパクロスフレーム10の左右のほぼ中央とリヤアッパクロスフレーム14の左右のほぼ中央とを連結する。
【0022】
各ウイング6は、荷室21の上方を区画する天井面体17と、天井面体17の車幅方向外側の端縁から下方へ略垂直に延びて荷室21の側方上部を区画する側方面体18とを備えた略L状断面を有する。左右のウイング6,6は、センターフレーム5の左右両側に配置され、各ウイング6の天井面体17の車幅方向内側の端縁部(後述するルーフレールインナ30)がセンターフレーム5に回転自在に支持され、センターフレーム5を中心として左右対称に構成されている。フロントアッパクロスフレーム10及びリヤアッパクロスフレーム14と各ウイング6との間には、それぞれ開閉用油圧シリンダ16(図1には後方のみ図示、図5には前方右側を図示)が設けられ、開閉用油圧シリンダ16によって左右のウイング6,6が閉止位置と開放位置との間で開閉駆動される。走行時などの通常時は、各ウイング6を閉止位置に設定して荷室21を閉じ、フォークリフトなどによって荷室21の側方から荷役作業を行う場合は、各ウイング6を開放位置に設定して荷室21の側方を開く。
【0023】
図2図4に示すように、天井面体17は、ルーフレールインナ(天井内縁部材)30、ルーフレールアウタ(天井外縁部材)31、ルーフレールフロント(天井端縁部材)32、ルーフレールリヤ(天井端縁部材、図1参照)33、複数のクロスルーフフレーム34、及び複数のルーフシート(天井パネル)35等から構成される。
【0024】
ルーフレールインナ30、ルーフレールアウタ31、ルーフレールフロント32、ルーフレールリヤ33、クロスルーフフレーム34、及び上記センターフレーム5は、押出型に応じた断面形状が長手方向に連続するアルミ合金製の長尺の押出型材である。ルーフシート35は、アルミ合金製の平板状のパネル材である。
【0025】
ルーフレールインナ30及びルーフレールアウタ31は、天井面体17の車幅方向の内縁部及び外縁部にそれぞれ固定されて前後方向に延びる。ルーフレールフロント32及びルーフレールリヤ33は、天井面体17の前方及び後方の端縁部にそれぞれ固定されて車幅方向に延びる。ルーフレールフロント32の両端部は、ルーフレールインナ30の前端部及びルーフレールアウタ31の前端部にそれぞれ結合され、ルーフレールリヤ33の両端部は、ルーフレールインナ30の後端部及びルーフレールアウタ31の後端部にそれぞれ結合され、ルーフレールインナ30とルーフレールアウタ31とルーフレールフロント32とルーフレールリヤ33とは、矩形状のルーフ枠体を形成する。複数のクロスルーフフレーム34は、ルーフ枠体の内側を複数の同形状の矩形領域に分割するように前後方向に沿って略等間隔に並列配置され、各クロスルーフフレーム34の両端は、ルーフレールインナ30及びルーフレールアウタ31にそれぞれ結合される。複数(矩形領域と同数)のルーフシート35の各々は、ルーフ枠体の各矩形領域よりも僅かに大きい矩形板形状であり、車幅方向の内端縁部がルーフレールインナ30の上面に、外側端縁がルーフレールアウタ31の上面に、前端縁部がルーフレールフロント32又はクロスルーフフレーム34の上面に、後端縁部がクロスルーフフレーム34又はルーフレールリヤ33の上面にそれぞれ結合される。複数のルーフシート35は、複数の矩形領域をそれぞれ閉止して、全体として天井面体17の外面(上面)を構成する。天井面体17の内面(下面)には、木製の内装パネル(図示省略)が必要に応じて適宜固定される。
【0026】
側方面体18は、レールアッパサイド(側面上縁部材)40、レールロアサイド(側面下縁部材)41、ポストサイドフロント(側面端縁部材)42、ポストサイドリヤ(側面端縁部材、図1参照)43、複数のクロスサイドフレーム44、及び複数のサイドシート(側面パネル)45等から構成される。レールアッパサイド40がルーフレールアウタ31に結合されることによって、天井面体17と側方面体18とが略L状断面のウイング6を形成する。
【0027】
レールアッパサイド40とレールロアサイド41とポストサイドフロント42とポストサイドリヤ43とクロスサイドフレーム44とは、押出型に応じた断面形状が長手方向に連続するアルミ合金製の長尺の押出型材である。サイドシート45は、アルミ合金製の平板状又は波板状のパネル材である。
【0028】
レールアッパサイド40及びレールロアサイド41は、側方面体18の上縁部及び下縁部にそれぞれ固定されて前後方向に延びる。ポストサイドフロント42及びポストサイドリヤ43は、側方面体18の前方及び後方の端縁部にそれぞれ固定されて上下方向に延びる。ポストサイドフロント42の両端部は、レールアッパサイド40の前端部及びレールロアサイド41の前端部にそれぞれ結合され、ポストサイドリヤ43の両端部は、レールアッパサイド40の後端部及びレールロアサイド41の後端部にそれぞれ結合され、レールアッパサイド40とレールロアサイド41とポストサイドフロント42とポストサイドリヤ43とは、矩形状のサイド枠体を形成する。複数のクロスサイドフレーム44は、サイド枠体の内側を複数の同形状の矩形領域に分割するように前後方向に沿って略等間隔に並列配置され、各クロスサイドフレーム44の両端は、レールアッパサイド40及びレールロアサイド41にそれぞれ結合される。クロスルーフフレーム34とクロスサイドフレーム44とは同数であり、天井面体17から側方面体18に亘って連続するように前後方向において略同位置に配置される。複数(矩形領域と同数)のサイドシート45の各々は、サイド枠体の各矩形領域よりも僅かに大きい矩形板形状であり、上端縁部がレールアッパサイド40の外面に、下端縁部がレールロアサイド41の外面に、前端縁部がポストサイドフロント42又はクロスサイドフレーム44の外面に、後端縁部がクロスサイドフレーム44又はポストサイドリヤ43の外面にそれぞれ結合される。複数のサイドシート45は、複数の矩形領域をそれぞれ閉止して、全体として側方面体18の外面(側面)を構成する。
【0029】
左右のルーフレールインナ30,30の車幅方向の内縁部の上方のルーフシート35,35には、キャンバスシート23の車幅方向の外縁部が固着されている。キャンバスシート23は、軟質樹脂製のシート材であり、センターフレーム5の略全域において、センターフレーム5の上面及びセンターフレーム5とルーフレールインナ30との間隙を上方から覆う。
【0030】
次に、ルーフレールフロント32及びポストサイドフロント42について説明する。なお、左右のルーフレールフロント32,32と左右のルーフレールリヤ33,33は同様の構成であり、左右のポストサイドフロント42,42と左右のポストサイドリヤ43,43は同様の構成であるため、右側のルーフレールフロント32及びポストサイドフロント42について詳細に説明し、他の説明を省略する。
【0031】
図5図7に示すように、ルーフレールフロント32の下面の前後方向の略中央には、シリンダロッド連結基材50がリベット(締結部材)51によって締結固定される。シリンダロッド連結基材50は、U状断面を有する鋼製のチャンネル材であり、下方に開放する姿勢でルーフレールフロント32に固定される。
【0032】
シリンダロッド連結基材50の底面には、中央部にU字溝53を有する平鋼製の1対のシリンダトップブラケット52,52が固定される。開閉用油圧シリンダ16の本体(シリンダ本体)は、フロントアッパクロスフレーム10(図1参照)に回転自在に支持され、開閉用油圧シリンダ16のロッド16aは、ロッド16aの先端金具54にシリンダピン(図示省略)を差し込み、U字溝53にシリンダピンの両端部を挿入し、U字溝53のU字開口側を閉止するようにボトムプレート55,55をシリンダピンの上からシリンダトップブラケット52,52に対して固着することによって、シリンダロッド連結基材50に回転自在に連結される。
【0033】
ルーフレールフロント32の上面には、リベット51の端部(頭部)51aがルーフレールフロント32の上面から突出しないようにリベット51の端部51aを収容する凹部56が曲折形成される。平板状のルーフシート35は、凹部56の上方を閉止した状態でルーフレールフロント32の上面に固定される。
【0034】
ルーフレールフロント32の下面の前部(シリンダロッド連結基材50の前方)には、天井面体17が荷室21を閉じる閉状態で前壁3の上端縁(前フレーム8の上面前縁から上方に突出するフランジ状の上端縁)3aに密着して水の浸入を防止するガスケット(上シール部材、縦シール部材)57が取り付けられる。
【0035】
ガスケット57は、扁平管形状で弾性を有する長尺の合成ゴム製である。ガスケット57の上面部には、上方に突出する前後1対の係合突起(上係合部、縦係合部)58,58が一体形成されている。係合突起58は、鏃状の先端部を有し、長手方向に連続して延びる。ルーフレールフロント32の下面には、下方に開口する前後1対の係合凹部(上被係合部)59,59が形成され、前後の係合突起58,58を前後の係合凹部59,59にそれぞれ係合することによって、ガスケット57がルーフレールフロント32の下面に取り付けられる。ガスケット57の装着作業では、係合凹部59,59の開口位置に係合突起58,58を合わせ、ローラ(図示省略)等によってガスケット57の下面部をルーフレールフロント32の下面に向けて外側から押圧して、係合突起58,58を係合凹部59,59に係合する(図7参照)。係合完了後、左右の係合突起58,58の間でガスケット57の下面部の外側からルーフレールフロント32の下面に向けてビス(図示省略)を打ち込む。ビスは、その頭部がガスケット57の下面部を貫通してルーフレールフロント32に打ち込まれ、ガスケット57の上面部をルーフレールフロント32に固定する。
【0036】
ルーフシート35は、ガスケット57の上方でリベット(締結部材)60によってルーフレールフロント32に締結固定される。なお、ルーフシート35の固定はガスケット57の装着前に行われ、ガスケット57を固定するビスは、ルーフシート35を固定するリベット60と重ならない位置に打ち込まれる。
【0037】
図8に示すように、ポストサイドフロント42の内面(車幅方向内側の側面)の前部には、天井面体17から連続して延びるガスケット57が取り付けられる。ガスケット57は、側方面体18が荷室21を閉じる閉状態で前壁3の側端縁(前フレーム8の側面前縁から車幅方向外側に突出するフランジ状の側端縁)3bに密着して水の浸入を防止する。
【0038】
ポストサイドフロント42の内面には、車幅方向内側に開口する前後1対の係合凹部(縦被係合部)61,61が形成され、前後の係合突起58,58を前後の係合凹部61,61にそれぞれ係合することによって、ガスケット57がポストサイドフロント42の内面に取り付けられる。ガスケット57の装着作業は、ルーフレールフロント32の場合と同様である。
【0039】
本実施形態によれば、シリンダロッド連結基材50を鋼製としたので所望の剛性を確保することができ、またルーフレールフロント32をアルミ合金製としたので軽量化を図ることができる。
【0040】
ルーフレールフロント32にはビス51を挿通するための挿通孔が形成されるが、ビス51の端部51aが収容される凹部56の上方をルーフシート35が閉止するので、挿通孔を介した荷室21への浸水をルーフシート35によって抑制することができる。
【0041】
ビス51の端部51aが凹部56に収容されてルーフレールフロント32の上面から突出しないので、平板状のルーフシート35によって凹部56の上方を閉止することができ、荷室21の上面が部分的に高くなるのを防止することができる。
【0042】
係合凹部59,61に係合突起58を係合することによってガスケット57をルーフレールフロント32及びポストサイドフロント42に取り付けることができるので、ガスケット57の取り付け作業性が向上する。
【0043】
ルーフシート35及びルーフレールフロント32には、リベット60を挿通するための挿通孔が形成されるが、挿通孔はガスケット57の上方に形成されるので、挿通孔を介した荷室21への浸水をガスケット57によって抑制することができる。
【0044】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0045】
例えば、本実施形態では、ウイング屋根式の荷台を有するトラックを例示して説明したが、本発明は、ウイング屋根式の荷台を有するトレーラやセミトレーラに対しても適用可能である。
【0046】
ルーフレールフロント32及びルーフレールリヤ33の双方をアルミ合金製としたが、一方をアルミ合金製とし、他方を他の金属製(例えば鋼製)としてもよい。
【0047】
天井面体17から側方面体18へ一体的に連続するガスケット57を設けたが、天井面体17側のガスケット(上シール部材)と側方面体側のガスケット(縦シール部材)とが分離していてもよい。
【0048】
また、ガスケット57の上係合部及び縦係合部を係合突起58とし、ルーフレールフロント32及びルーフレールリヤ33の上被係合部及び縦被係合部を係合凹部56,61としたが、これらの形状は上記に限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1:荷台
3:前壁(前方面体)
3a:前壁の上端縁
3b:前壁の側端縁
4:後壁(後方面体)
5:センターフレーム
6:ウイング
7:煽り
10:フロントアッパクロスフレーム
16:開閉用油圧シリンダ
16a:ロッド
17:天井面体
18:側方面体
21:荷室
23:キャンバスシート
30:ルーフレールインナ(天井内縁部材)
31:ルーフレールアウタ(天井外縁部材)
32:ルーフレールフロント(天井端縁部材)
33:ルーフレールリヤ(天井端縁部材)
34:クロスルーフフレーム
35:ルーフシート(天井パネル)
40:レールアッパサイド(側面上縁部材)
41:レールロアサイド(側面下縁部材)
42:ポストサイドフロント(側面端縁部材)
43:ポストサイドリヤ(側面端縁部材)
44:クロスサイドフレーム
45:サイドシート(側面パネル)
50:シリンダロッド連結基材
51,60:リベット(締結部材)
51a:リベットの端部(頭部)
56:係合凹部(上被係合部)
57:ガスケット(上シール部材、縦シール部材)
58:係合突起(上係合部、縦係合部)
59:係合凹部(上被係合部)
61:係合凹部(縦被係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8