(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用空気調和装置は自動車の室内を冷暖房するためのエアコンモジュールを含む。
このようなエアコンモジュールは、圧縮器の駆動によって吐出される熱交換媒体が凝縮器、レシーバードライヤー、膨張バルブ、及び蒸発器を経てさらに圧縮器に循環する過程で、蒸発器による熱交換によって自動車の室内を冷房するか、または冷却水をヒータに流入して熱交換させることによって室内を暖房するように構成される。
一方、最近、エネルギー効率と環境汚染の問題に対する関心が高まり、内燃機関自動車を実質的に代替できる環境にやさしい自動車の開発が要求されており、このような親環境自動車は、普通、燃料電池や電気を動力源として駆動される電気自動車と、エンジンと電気バッテリを併用して駆動されるハイブリッド自動車に大別される。
【0003】
このような親環境車両のうちの電気自動車は内燃機関エンジンが装着されていないため、ヒータ熱源として使用できるエンジン廃熱がない。このため、熱源として電気式ヒータを使用している。しかし、電気式ヒータの過度な電力消耗によって車両の走行距離が減少する短所がある。これを克服するために、暖房時に効率が良い車両用ヒートポンプシステムが電気式ヒータの代わりに提示されている。
このようなヒートポンプシステムは、夏季冷房モードの時には圧縮器で圧縮された高温、高圧の気相冷媒が、凝縮器によって凝縮された後に、レシーバードライヤー及び膨張バルブを経て、蒸発器での蒸発によって室内の温度及び湿度を低くするが、冬季暖房モードの時には高温、高圧の気相冷媒をヒータ媒体として利用するという特徴を有している。(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
つまり、電気自動車は、暖房モードで高温、高圧の気相冷媒がバルブによって室外凝縮器でない室内凝縮器に流動して、吸入された外気との熱交換が行われ、熱交換された外気がPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを通過して車両の室内に流入することによって、車両の室内温度を高める。
そして、室内凝縮器に流入した高温、高圧の気相冷媒は吸入された外気との熱交換によって凝縮されて、さらに液冷媒として吐出される。
【0005】
上記のような従来のヒートポンプシステムは、外部空気を冷媒との熱交換媒体として利用する空冷式が適用される。
また、冬季の極低温または低温状態の外気と熱交換された冷媒が、室内凝縮器から熱交換されて超低温状態で排出されて外部凝縮器に流入することにより、外部凝縮器の表面に結露または結氷が発生して、熱交換媒体の熱交換効率と暖房性能及び効率が低下し、冷房モードから暖房モードへ切り替わる時、蒸発器の外部に残留した凝縮水によって湿度が増加して、車両の車窓が曇る現象が発生する。
【0006】
これを防止するために、外部凝縮器の表面の結露や結氷を除去する除霜モードではコンプレッサーの作動を中止して、PTCヒータだけで暖房を行わなければならないことによって、暖房性能がきわめて低下すると同時に、電源使用量の増加により暖房走行時に走行距離が短縮される問題点がある。
また、室内凝縮器からの液冷媒が圧縮器に吸入される時、気相冷媒に切り替えられる熱源が不足しているため、圧縮効率が低下し、外気温度が低い場合には暖房性能が顕著に劣り、システムが不安定になる。このため、大量の液冷媒が圧縮器に流入することになり、圧縮器の耐久性が低下する問題点もある。
さらに、車両室内の湿気除去のための別途の除湿モードでは、2ウェイ(2−way)バルブの頻繁な開閉作動による騒音及び振動が発生する問題点も有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、暖房性能及び効率と除湿性能を向上させ、かつ極低温時には外部結露を防止する車両用ヒートポンプシステム及びその制御方法を提供することにある。
また、他の目的とするところは、車両の全体的な走行距離を増加させた車両用ヒートポンプシステム及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の車両用ヒートポンプシステムは、車両に構成されて冷却ラインを通して電装品に冷却水を供給及び循環させるクーリング手段と、車両室内の冷暖房を調節するように冷媒ラインによって連結するエアコン手段とを含む車両用ヒートポンプシステムにおいて、クーリング手段は車両の前面に構成されて、ウォータポンプによって冷却ラインに沿って冷却水を循環させ、供給される冷却水を外気との熱交換によって冷却させるラジエータと、ラジエータに風を送風するクーリングファンとを含み、冷却ラインと連結して冷却水が循環し、モードによって電装品から発生する廃熱源を選択的に利用して冷却水の水温を変化させ、エアコン手段の冷媒ラインと連結して流入した冷媒を冷却水と熱交換させる熱交換器をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
エアコン手段は、暖房、冷房、及び除湿モードによって蒸発器を通過した外気が内部凝縮器とPTCヒータに流入するように選択的に調節する開閉ドアを内部に備えたHVAC(heating, ventilation, and air conditioning)モジュール、蒸発器と冷媒ラインによって連結され、気体状態の冷媒を圧縮させる圧縮器、圧縮器と蒸発器の間の冷媒ライン上に備えられ、圧縮器に気体冷媒だけを供給するアキュムレータ、車両のエンジンルームに備えられて冷媒ラインによって連結され、冷媒を凝縮させる外部凝縮器、圧縮器から排出される冷媒を車両のモードによって内部凝縮器または外部凝縮器に選択的に供給する第1バルブ、内部凝縮器を通過した冷媒の供給を受けて膨張させる第1膨張バルブ、第1膨張バルブによって膨張した冷媒を外部凝縮器または熱交換器に選択的に供給する第2バルブ、外部凝縮器または熱交換器を通過した冷媒を蒸発器またはアキュムレータに選択的に供給する第3バルブ、及び蒸発器と第3バルブの間に備えられ、第3バルブの開閉によって流入する冷媒を膨張させる第2膨張バルブを含むことを特徴とする。
【0011】
圧縮器と第1バルブを連結する冷媒ライン上には、圧力センサーが装着されたこと特徴とする。
第1、第2、第3バルブは、3ウェイ(3−way)バルブからなることを特徴とする。
クーリング手段とエアコン手段はそれぞれ制御器と連結され、制御器の制御信号によって作動することを特徴とする。
【0012】
上記の構成を有する本発明の車両用ヒートポンプシステムの制御方法は、
車両に構成されて冷却ラインを通して電装品に冷却水を供給及び循環させるクーリング手段と、車両室内の冷暖房を調節するように冷媒ラインによって連結するエアコン手段とを含み、
前記クーリング手段が、車両の前面に構成されて、ウォータポンプによって前記冷却ラインに沿って冷却水を循環させ、供給される冷却水を外気との熱交換によって冷却させるラジエータと、前記ラジエータに風を送るクーリングファンと、前記冷却ラインと連結して冷却水が循環し、モードによって前記電装品から発生する廃熱源を選択的に利用して冷却水の水温を変化させ、前記エアコン手段の前記冷媒ラインと連結して流入した冷媒を冷却水と熱交換させる熱交換器と、を含み、
前記エアコン手段が、暖房、冷房、及び除湿モードによって蒸発器を通過した外気が内部凝縮器及びPTCヒータに流入するように選択的に調節する開閉ドアを内部に備えたHVACモジュールと、前記蒸発器と前記冷媒ラインによって連結されて気体状態の冷媒を圧縮する圧縮器と、前記圧縮器及び前記蒸発器の間の前記冷媒ライン上に備えられて前記圧縮器に気体冷媒だけを供給するアキュムレータと、車両のエンジンルームに備えられ前記冷媒ラインによって連結されて冷媒を凝縮させる外部凝縮器と、前記圧縮器から排出される冷媒を車両のモードによって前記内部凝縮器又は前記外部凝縮器に選択的に供給する第1バルブと、前記内部凝縮器を通過した冷媒の供給を受けて膨張させる第1膨張バルブと、前記第1膨張バルブによって膨張した冷媒を前記外部凝縮器又は前記熱交換器に選択的に供給する第2バルブと、前記外部凝縮器又は前記熱交換器を通過した冷媒を前記蒸発器又は前記アキュムレータに選択的に供給する第3バルブと、前記蒸発器及び前記第3バルブの間に備えられて前記第3バルブの開閉によって流入する冷媒を膨張させる第2膨張バルブと、を含み、
前記圧縮器と前記第1バルブを連結する前記冷媒ライン上に圧力センサが装着され、
前記第1、第2、第3バルブは、3ウェイ(3−way)バルブからなり、
前記クーリング手段及び前記エアコン手段はそれぞれ制御器と連結されて前記制御器の制御信号によって作動する車両用ヒートポンプシステムであって、
前記制御器は、使用者の選択によって暖房モード、冷房モード、及び除湿モードでそれぞれ作動させるための車両用ヒートポンプシステム制御方法において、暖房モードで、クーリング手段
が、電装品から発生する廃熱源によって熱交換器に流入した冷却水の温度を上昇させ、冷媒ラインを通して熱交換器に流入した冷媒との熱交換によって冷媒の温度を上昇させ、エアコン手段
が、熱交換器で冷却水との熱交換によって温度が上昇した冷媒を、第3バルブの開放によって冷媒ラインに沿ってアキュムレータと圧縮器を通過させて高温高圧状態の気体冷媒に圧縮させた状態で、第1バルブの作動によってHAVCモジュールの内部凝縮器に供給し、内部凝縮器を通過した冷媒は、第1膨張バルブによって膨張させた状態で、第2バルブの作動によって熱交換器に供給して循環させ、外部からHAVCモジュールの蒸発器を通過した外気が内部凝縮器を通過するように開閉ドアを開放させ、流入した外気が内部凝縮器を通過しながらPTCヒータの選択的な作動と共に車両の室内を暖房することを特徴とする。
【0013】
冷房モードにおいて、クーリング手段は、クーリングファンが作動してラジエータに流入した冷却水を冷却させた状態で、ウォータポンプの作動によって電装品を冷却しながら熱交換器に流入させて、熱交換器に流入した低温の冷却水と熱交換によって冷媒の温度を低くし、エアコン手段は、外部凝縮器を通過しながら冷却された低温の冷媒が、HAVCモジュールの蒸発器と連結された第2膨張バルブに流入するように第3バルブを作動させて膨張した冷媒を蒸発器に供給し、蒸発器で外気との熱交換によって蒸発した冷媒を排出して、アキュムレータと圧縮器を通過して圧縮させた状態で、第1バルブの作動によって外部凝縮器と連結された冷媒ラインを開放させて外部凝縮器に供給して循環させ、蒸発器に流入した冷媒によって蒸発器を通過しながら冷却された外気が内部凝縮器に流入しないように開閉ドアを閉鎖して、冷却された外気を車両の内部に直接流入させて車両の室内を冷房することを特徴とする。
【0014】
除湿モードにおいて、クーリング手段は、クーリングファンが作動してラジエータに流入した冷却水を冷却させ、ウォータポンプの作動によって電装品を冷却しながら熱交換器に流入させて、熱交換器に流入した低温の冷却水と熱交換によって冷媒の温度を低くし、エアコン手段は熱交換器を通過して冷却された低温の冷媒が、HAVCモジュールの蒸発器と連結された第2膨張バルブに流入するように第3バルブを開放させて膨張した冷媒を蒸発器に供給し、蒸発器で外気との熱交換によって蒸発した冷媒を排出してアキュムレータと圧縮器を通過して圧縮させた状態で、第1バルブの作動によって内部凝縮器と連結された冷媒ラインを開放させて内部凝縮器に冷媒を供給し、内部凝縮器を通過した冷媒は第1膨張バルブによって膨張させた状態で、熱交換器に供給されるように第2バルブを作動させて循環させ、外部からHAVCモジュールの蒸発器を通過しながら冷却された外気が内部凝縮器を通過するように開閉ドアを開放させて、流入した外気が内部凝縮器とPTCヒータを通過しながら車両の室内を除湿することを特徴とする。
【0015】
除湿モードは、制御器が第1膨張バルブ及び第2膨張バルブの開度量の調節によって冷媒の膨張量を調節することを特徴とする。
暖房モード、冷房モード、及び除湿モードは、制御器が電装品から発生する廃熱源の温度状態と、冷却水と冷媒の温度状態に応じて、クーリングファンの風量とウォータポンプの流量を制御することを特徴とする。
クーリング手段は、熱交換器とウォータポンプを直接繋ぐバイパスとバイパスの入口に設けた第4バルブ190をさら含み、暖房モード及び除湿モードによって、冷却水がラジエータをバイパスするように調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用ヒートポンプシステム及びその制御方法によれば、冷却水を熱交換媒体として使用する熱交換器を適用し、電装品から発生する廃熱源を利用して冷媒と熱交換させることによって、全体的な暖房性能及び効率と除湿性能を向上させ、極低温時に、外部に設けられた外部凝縮器の外部結露を防止することができる。
また、暖房モードにおいて、極低温時のアイドル状態及び走行条件では、PTCヒータと共に全体的なシステムを同時に駆動させることによって、電源使用量が増加することを防止すると同時に、暖房負荷を減少させて同一のエネルギーで車両の全体的な走行距離を増加させる長所がある。
そして、車両の冷房モードでは外部凝縮器を通じた空冷式方式のエアコンシステムを維持することができるので、冷房性能を維持することができ、除湿モードでは3ウェイ(3−Way)バルブを採用することよって頻繁な開閉作動を減らし、バルブの開閉作動による騒音及び振動発生を低減させることができる。。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施例に係る車両用ヒートポンプシステムの構成図である。
図面に示したとおり、本発明の実施例に係る車両用ヒートポンプシステム100及びその制御方法は、電装品111から発生する廃熱源を利用して冷却水と冷媒を相互熱交換させることによって、暖房性能、暖房効率及び除湿性能を向上させ、極低温時には外部凝縮器164の外部結露を防止する。
また、車両の暖房モードでの暖房負荷を減少させることによって、同一のエネルギー量に対する車両の全体的な走行距離を増加させる。
そのために、本発明の実施例に係る車両用ヒートポンプシステム100は、
図1に示したとおり、基本的に車両に搭載されて、冷却水が流動する冷却ライン(Colling Line:以下、「C.L」という)を通して、電装品111とハイブリッド車両の場合、図示しないエンジンに冷却水を供給及び循環させるクーリング手段110と、車両の室内の冷暖房を調節するように冷媒が流動する冷媒ライン(Refrigerant Line:以下、「R.L」という)を有するエアコン手段150とを含んで構成される。
【0020】
本実施例において、クーリング手段110は、車両の前面に構成され、ウォータポンプ113によって冷却ライン(C.L)に沿って冷却水を循環させて、供給される冷却水を外気との熱交換によって冷却させるラジエータ115と、ラジエータ115に風を送風するようにラジエータ115の後方に装着されるクーリングファン117とを含んで構成される。
そして、車両用ヒートポンプシステム100は、電装品111とラジエータ115の間に配置されて、冷却ライン(C.L)と冷媒ライン(R.L)がそれぞれ連結される熱交換器130をさらに含む。
熱交換器130は、冷却ライン(C.L)と連結されて内部に冷却水が循環し、車両の暖房、冷房、及び除湿モードによって電装品111から発生する廃熱源を選択的に利用して冷却水の水温を変化させることによって、冷媒ライン(R.L)を通して流入した冷媒を冷却水と熱交換させる。
つまり、熱交換器130は、冷却水を熱交換媒体として使用して、冷媒と熱交換させる水冷式熱交換器からなる。
【0021】
このような熱交換器130は、内部に温度センサー(図示せず)が取り付けられ、温度センサーは流入した冷却水の水温と冷媒の温度を感知する。
本実施例において、エアコン手段150は、HVAC(Heating、Ventilation、and Air Conditioning)モジュール151、圧縮器161、アキュムレータ163、外部凝縮器164、第1バルブ165、第2バルブ167、第3バルブ169、第1膨張バルブ171、及び第2膨張バルブ173で構成される。これらの各構成についてさらに詳細に説明する。
まず、HVACモジュール151は、通過する空気を冷却する蒸発器157と、蒸発器157を通過した空気を加熱する内部凝縮器153を含み、冷房、暖房、及び除湿モードによって、蒸発器157を通過した外気が内部凝縮器153とPTCヒータ155に選択的に流入するように調節する開閉ドア159が内部に具備される。
【0022】
つまり、開閉ドア159は、車両の暖房時に、蒸発器157を通過した外気が内部凝縮器153とPTCヒータ155に流入するように内部凝縮器153とPTCヒータ155への流路を開放し、一方、冷房時には、蒸発器157を通過して冷却された外気が車両の内部に直接流入するように、内部凝縮器153とPTCヒータ155への流路を閉鎖する。
本実施例において、圧縮器161は蒸発器157と冷媒ライン(R.L)によって連結され、気体状態の冷媒を圧縮する。
そして、アキュムレータ163は圧縮器161と蒸発器157の間の冷媒ライン(R.L)上に備えられ、圧縮器161に気体冷媒だけが供給されるように内部に液体冷媒を貯蔵し、貯蔵された液体冷媒を気化させてさらに圧縮器161に気体冷媒を供給して、圧縮器161の効率及び耐久性を向上させる。
【0023】
外部凝縮器164は、車両の乗客室の外部にあるラジエータ115の前方に備えられ、冷媒ライン(R.L)によって圧縮器161と連結されて、圧縮器161から排出された冷媒の供給を受けて凝縮させる。
本実施例において、第1バルブ165は、圧縮器161から排出される冷媒を車両のモードに応じて内部凝縮器153または外部凝縮器164に選択的に供給する。
第1膨張バルブ171は、内部凝縮器153を通過した冷媒を冷媒ライン(R.L)によって供給を受けて膨張させる。
ここで、圧縮器161と第1バルブ165の間の冷媒ライン(R.L)上には圧力センサー175が装着されて、圧縮器161から圧縮された状態で排出される冷媒の圧力を感知する。
【0024】
第2バルブ167は、第1膨張バルブ171によって膨張した冷媒を外部凝縮器164または熱交換器130に選択的に供給する。
第3バルブ169は、熱交換器130または外部凝縮器164を通過した冷媒を蒸発器157またはアキュムレータ163に選択的に供給する。
そして、第2膨張バルブ173は、蒸発器157と第3バルブ169の間に備えられ、第3バルブ169の開閉によって流入する冷媒を膨張させて蒸発器157に供給する。
ここで、第1バルブ165は冷媒を内部凝縮器153または熱交換器130に供給し、第2バルブ167は冷媒を熱交換器130または外部凝縮器164に供給し、第3バルブ169は冷媒をアキュムレータ163または第2膨張バルブ173に供給するように、冷媒ライン(R.L)を選択的に開閉して連結させる3ウェイ(3−way)バルブからなる。
【0025】
上記の構成を有するクーリング手段110とエアコン手段150はそれぞれ制御器180と連結され、制御器180の制御信号によって作動する。
つまり、制御器180は使用者の選択による車両の暖房モード、冷房モード、及び除湿モードと、熱交換器130の温度センサーから出力された信号によって、クーリング手段110のクーリングファン117とウォータポンプ113を制御する。
また、制御器180は、車両のモードによってエアコン手段150でHVACモジュール151の開閉ドア159の開閉作動を制御すると同時に、第1バルブ165、第2バルブ167、及び第3バルブ169の開閉作動を制御し、第1膨張バルブ171及び第2膨張バルブ173を制御して冷媒の膨張量を制御する。
【0026】
以下、上記のとおり構成された本発明の実施例に係る車両用ヒータポンプシステムの作動及び制御方法について、
図2乃至
図4に基づいて具体的に説明する。
図2乃至
図4は、それぞれ本発明の実施例に係る車両用ヒートポンプシステムの暖房モード、冷房モード、及び除湿モードの作動状態図である。
ここで、車両用ヒートポンプスシステム100の暖房モード、冷房モード、及び除湿モードは、使用者の選択または自動調節によって作動できる。
【0027】
最初に、車両用ヒートポンプシステム100の暖房モード時の作動及び制御方法について、
図2に基づいて説明する。
図2に示したとおり、暖房モードで、クーリング手段110は、電装品111から発生する廃熱源を利用して冷却水の温度を上昇させた状態で、冷却ライン(C.L)によって連結された熱交換器130に流入させる。
この時、クーリングファン117は、作動が中止されるか、または風速を低下させることによって、ラジエータ115に流入した冷却水の冷却を遅延または防止する。
このような状態で、熱交換器130は、冷媒ライン(R.L)を通して流入した冷媒との熱交換によって、冷媒の温度を上昇させる。
【0028】
ここで、制御器180は、熱交換器130に装着された温度センサー(図示せず)によって冷却水と冷媒の温度を判断し、電装品111から発生する廃熱源の温度状態、冷却水の温度状態、及び冷媒の圧力状態によって、ウォータポンプ113の流量を制御したり、クーリングファン117の風量を制御する。
そして、エアコン手段150は、熱交換器130の内部で冷却水との熱交換によって温度が上昇した冷媒を、第3バルブ169の開放によって冷媒ライン(R.L)に沿ってアキュムレータ163と圧縮器161を順に通過させる。
そのために、冷媒は、圧縮器161を通過しながら高温高圧状態の気体冷媒に圧縮されて、内部凝縮器153と連結された冷媒ライン(R.L)が第1バルブ165によって開放されて、内部凝縮器153に流入する。
【0029】
ここで、圧縮器161と第1バルブ165の間の冷媒ライン(R.L)上に装着された圧力センサー175は、圧縮器161から排出される冷媒の圧力を測定して、制御器180にその測定値を出力する。
制御器180は、圧力センサー175から出力された測定値によって冷媒の圧力を判断し、要求された車両状態に応じて第1バルブ165の開度量を調節する。
内部凝縮器153を通過した冷媒は、第1膨張バルブ171によって膨張した状態で冷媒ライン(R.L)に沿って移動し、第2バルブ167の作動によって熱交換器130に流入して、前述のような作動を繰り返すことによって冷媒ライン(R.L)に沿って循環する。
【0030】
つまり、暖房モードでは、高温高圧状態の気体冷媒が内部凝縮器153に供給されると、制御器180が、外部からHAVCモジュール151の蒸発器157を通過した外気が内部凝縮器153を通過するように、開閉ドア159を作動させる。
そのために、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない蒸発器157を通過する時、冷却されない状態で流入し、内部凝縮器153を通過する時、高温状態に加熱され、PTCヒータ155の選択的な作動よりさらに加熱されて車両の室内に供給される。これによって、車両の室内の暖房が行われる。
【0031】
次に、本実施例において、車両用ヒートポンプシステム100の冷房モード時の作動及び制御方法について、
図3に基づいて説明する。
まず、冷房モードにおいてクーリング手段110は、
図3に示したとおり、制御器180によってクーリングファン117が作動して、ラジエータ115に流入した冷却水を冷却する。
この時、クーリングファン117は、最大速度で作動して、ラジエータ115を通過する冷却水を最大限冷却する。
このような状態で、冷却された冷却水は、ウォータポンプ113の作動によって冷却ライン(C.L)に沿って循環して、電装品111を冷却させる。
ここで、制御器180は、熱交換器130に装着された温度センサーによって冷却水の温度を判断し、電装品111から発生する廃熱源の温度状態、冷却水の温度状態に応じて、ウォータポンプ113の流量を制御したり、クーリングファン117の風量を制御する。
【0032】
そして、エアコン手段150は、第1バルブ165が外部凝縮器164と連結された冷媒ライン(R.L)を開放することによって、圧縮器161から排出された冷媒を外部凝縮器164に供給して凝縮させる。
この時、外部凝縮器164は、車両の前方でラジエータ115の前面に配置されることによって、内部に流入した冷媒を走行風とクーリングファン117の風量によって冷却及び凝縮させる。
その後、制御器180は、外部凝縮器164を通過した冷媒がHAVCモジュール151の蒸発器157と連結された第2膨張バルブ173に流入するように第3バルブ169を作動させて、冷媒ライン(R.L)を開放する。
第2膨張バルブ173に流入した低温の冷媒は膨張した状態で、冷媒ライン(R.L)に沿って蒸発器157に供給される。
【0033】
その後、冷媒は、蒸発器157で外気との熱交換によって蒸発し、冷媒ライン(R.L)に沿って、アキュムレータ163と圧縮器161を通過して圧縮される。
上記の作動によって圧縮された冷媒は、第1バルブ165の作動によってさらに外部凝縮器164と連結された冷媒ライン(R.L)の開放によって外部凝縮器164に流入し、上記の作動を繰り返して冷媒ライン(R.L)に沿って循環する。
ここで、HVACモジュール151に流入した外気は、蒸発器157に流入した低温状態の冷媒によって蒸発器157を通過する時、冷却される。
この時、開閉ドア159は、冷却された外気が内部凝縮器153とPTCヒータ155を通過しないように、内部凝縮器153に向かう流路を閉鎖して、冷却された外気を車両の内部に直接流入させることによって冷房が行われる。
【0034】
次に、車両用ヒートポンプシステム100の除湿モード時の作動及び制御方法について、
図4に基づいて説明する。
まず、除湿モードにおいてクーリング手段110は、
図4に示したとおり、制御器180によってクーリングファン117が作動して、ラジエータ115に流入した冷却水を冷却させる。
このような状態で、冷却された冷却水は、ウォータポンプ113の作動によって冷却ライン(C.L)に沿って循環して、電装品111を冷却させながら熱交換器130に流入し、熱交換器130に流入した低温の冷却水との熱交換によって冷媒の温度を下げる。
【0035】
ここで、制御器180は、熱交換器130に装着された温度センサーによって冷却水と冷媒の温度を判断し、電装品111から発生する廃熱源の温度状態、冷却水の温度状態、及び冷媒の圧力状態に応じて、ウォータポンプ113の流量や、クーリングファン117の風量を制御する。
そして、エアコン手段150は、熱交換器130を通過する時、低温状態の冷却水との熱交換によって冷却された低温の冷媒を、HAVCモジュール151の蒸発器157と連結された第2膨張バルブ173に流入するように、第3バルブ169の作動によって冷媒ライン(R.L)を開放する。
これにより、第2膨張バルブ173に流入した低温の冷媒は、膨張した状態で冷媒ライン(R.L)に沿って蒸発器157に供給される。
【0036】
その後、冷媒は蒸発器157で外気との熱交換によって蒸発され、冷媒ライン(R.L)に沿ってアキュムレータ163と圧縮器161を通過しながら高温高圧状態の気体冷媒に圧縮される。
圧縮された気体冷媒は、内部凝縮器153と連結された冷媒ライン(R.L)が第1バルブ165によって開放されて、内部凝縮器153に供給される。
ここで、圧縮器161と第1バルブ165の間の冷媒ライン(R.L)上に装着された圧力センサー175は、圧縮器161から排出される冷媒の圧力を測定して、制御器180にその測定値を出力する。
制御器180は、圧力センサー175から出力された測定値によって冷媒の圧力を判断して、要求された車両状態に応じて第1バルブ165の開度量を調節する。
【0037】
そして、内部凝縮器153を通過した冷媒は、第1膨張バルブ171によって膨張した状態で、第2バルブ167の作動によって熱交換器130と連結された冷媒ライン(R.L)に沿って熱交換器130に流入し、上記の作動を繰り返して冷媒ライン(R.L)に沿って循環する。
この場合、制御器180は、第1膨張バルブ171及び第2膨張バルブ173の開度量を調節することによって、冷媒の膨張量を調節する。
ここで、HVACモジュール151に流入する外気は、蒸発器157に流入した低温状態の冷媒によって、蒸発器157を通過する時、冷却されると同時に除湿される。
この時、開閉ドア159は、除湿され冷却された外気が内部凝縮器153を通過するように、内部凝縮器153と連結された側の流路を開放させる。蒸発器157において冷却され除湿された外気は、内部凝縮器153によって再び加熱されて車両の内部に流入する。これによって、車両の室内を除湿することができる。
【0038】
一方、本発明の実施例に係る車両用ヒートポンプシステム制御方法の説明において、暖房モードで外気と共にPTCヒータ155が作動することを一実施例として説明しているが、これに限定されるものではなく、使用者の選択による暖房温度の設定によってPTCヒータ155の作動有無を選択して実現することができる。
本発明に係る車両用ヒートポンプシステム100及びその制御方法によれば、冷却水を熱交換媒体として使用する熱交換器130を適用し、電装品111から発生する廃熱源を利用して冷媒と熱交換させることによって、全体的な暖房性能及び効率と除湿性能を向上させ、極低温時に、外部に設けられた外部凝縮器164の外部結露を防止することができる。
【0039】
また、暖房モードにおいて、極低温時のアイドル状態及び走行条件では、PTCヒータ155と共に全体的なシステムを同時に駆動させることによって、電源使用量が増加することを防止して暖房負荷を減少させて、エネルギー消費単位当りの車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
そして、車両の冷房モードにおいては、冷却水を低温の冷媒と熱交換させて水温を下げることができるので、冷房性能を向上させることができる。また、各モードで作動する第1バルブ165、第2バルブ167、及び第3バルブ169を3ウェイ(3−Way)バルブとすることにより、頻繁な開閉作動を減らして、バルブ開閉作動による騒音及び振動発生を低減させることができる。
さらに、熱交換器130において、熱交換媒体として冷却水を使用することによって、各構成要素の構造を簡素化すると同時に、一つのラジエータ115で電装品111を冷却させることができるので、全体的なシステムパッケージをコンパクトにすることができ、ラジエータ115の効率を向上させることができる。
【0040】
一方、本発明の実施例に係る車両用ヒートポンプシステム及びその制御方法の説明において、第1、第2、第3バルブを設けたものを一実施例として説明したが、これに限定されるものではなく、冷却ラインと冷媒ライン上に別途の2ウェイ(2−Way)バルブを適用して、作動流体をバイパスさせたり、流量を調節することができる。
例えば、
図4に示したとおり、クーリング手段110は、熱交換器130とウォータポンプ113を直接繋ぐバイパスとバイパスの入口に設けた第4バルブ190をさら含み、これによって、ヒートポンプシステム制御方法は、第4バルブ190によって暖房モード及び除湿モードにおいて、冷却水がラジエータ115をバイパスするように制御することができる。
【0041】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。