(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インダクタを通って流れる電流は、前記エネルギー変換デバイスのスイッチのオン状態への切替及びオフ状態への切替を考慮に入れて取得されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
前記インダクタを通って流れる電流は、オン状態への切替及びオフ状態への切替ごとに、前記電源から供給される電圧の1回の測定、前記エネルギー変換デバイスの出力における電圧の1回の測定、及び前記インダクタを通って流れる電流の1回の測定を考慮に入れて取得されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
前記エネルギー変換デバイスは、DC−DCステップダウン/ステップアップコンバータ及び/又はDC/ACコンバータであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MPPを決定するために、例えば太陽電池セルのアレイである電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することを可能にする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置に関する。当該電源の特性の決定を可能にする情報を取得する装置は、エネルギー変換デバイスの電源の端子間に配置されるキャパシタ上の電圧を監視する手段と、電源から供給される電流を監視する手段とを備え、エネルギー変換デバイスは、少なくとも1つのスイッチを備え、電圧を監視する手段は、エネルギー変換デバイスを通じたキャパシタの放電中に電圧を監視し、電源から供給される電流を監視する手段は、エネルギー変換デバイスを通じたキャパシタの放電中に電源から供給される電流を監視し、キャパシタ上の電圧は、少なくとも1つの数学関数を用いてスイッチの導通又は非導通を制御することによって減少することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法にも関する。当該方法は、
− 少なくとも1つの数学関数を用いてエネルギー変換デバイスのスイッチの導通又は非導通を制御することによって、エネルギー変換デバイスのキャパシタ上の電圧を減少させるステップと、
− エネルギー変換デバイスの電源の端子間に配置されるキャパシタ上の電圧を、エネルギー変換デバイスを通じたキャパシタの放電中に監視するステップと、
− 電源から供給される電流を、エネルギー変換デバイスを通じたキャパシタの放電中に監視するステップと
を含むことを特徴とする。
【0011】
これにより、例えば、MPPを求めるために、又は電源の障害を判断するために、又は電源のフィルファクターを求めるために、電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することができる。
【0012】
さらに、制御ループにおいて電圧に突然のステップ状の変化があった場合に、コンバータインダクタ上に現れる可能性のある電流ピークを制限することができる。
【0013】
特定の特徴によれば、少なくとも1つの数学関数は、一変数の一次多項式関数である。
【0014】
これにより、一次多項式関数が用いられる場合には、等間隔の電圧サンプルを得ることができ、所与のサンプリング周波数において電力対電圧曲線の任意の部分について同じ精度の電力サンプルが得られる。
【0015】
特定の特徴によれば、キャパシタの放電の持続時間は、所与の回数の測定を実行できるように規定される。
【0016】
これにより、任意の動作条件において、電源の電圧レベル及び電流レベルに依存することなく、常に同じ数のサンプルを得ることができる。
【0017】
さらに、キャパシタ放電の持続時間を調整することによって、監視される信号のサンプリング周波数に依存することなく、所望の数のサンプルを常に得ることができる。
【0018】
特定の特徴によれば、電源から供給される電流を監視する手段は、エネルギー変換デバイスのインダクタを通って流れる電流を監視し、キャパシタの電圧サンプルから当該キャパシタによって供給される電流を導出する。
【0019】
これにより、電源と直列に電流センサを追加することなく、電源から供給される電流を推定することができる。
【0020】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、電流センサによって監視される。
【0021】
これにより、他の構成要素やコンバータに関するコストを何ら追加することなく、通常入手可能な電流センサをインダクタと直列に配置して、制御の目的で利用することができる。
【0022】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、エネルギー変換デバイスのスイッチのオン状態への切替及びオフ状態への切替を考慮に入れて取得される。
【0023】
これにより、過渡状態中にサンプリングされる電流値は、定常状態の動作において生じる実際の平均電流値に等しいとは限らないが、任意の条件において、サンプリング周波数がエネルギー変換デバイスの切替周波数に等しい場合におけるインダクタ上の実際の平均電流を推定することができる。
【0024】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、オン状態への切替及びオフ状態への切替ごとに、電源から供給される電圧の1回の測定、エネルギー変換デバイスの出力における電圧の1回の測定、及びインダクタを通って流れる電流の1回の測定を考慮に入れて取得される。
【0025】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、インダクタの端子間の電圧から導出される。
【0026】
これにより、電源を特徴付けることを目的とするエネルギー変換デバイス内における電流センサの使用を回避し、コンバータのコストを更に削減することができる。
【0027】
特定の特徴によれば、エネルギー変換デバイスは、DC−DCステップダウン/ステップアップコンバータ及び/又はDC/ACコンバータである。
【0028】
これにより、電力曲線の特徴付けを行うために必要とされる全ての受動構成要素がシステム上で既に利用可能であるため、他の余分な構成要素を何ら追加する必要がない。
【0029】
本発明の特徴は、実施形態例の以下の説明を読むことによってさらに明確になる。当該説明は、添付図面を参照して行われる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明を実施することができるエネルギー変換システムの一例である。
【0032】
エネルギー変換システムは、太陽電池又は太陽電池のアレイ又は燃料電池のような電源PVを含む。電源PVの出力は、DC−DCステップダウン/ステップアップコンバータ及び/又はインバータとも呼ばれるDC/ACコンバータのようなエネルギー変換デバイスConvに接続されている。エネルギー変換デバイスConvは、負荷Loに電気エネルギーを供給する。
【0033】
電源PVは負荷Loに電流を供給する。電流は負荷Loによって使用される前に変換デバイスConvによって変換される。
【0034】
図2は、電源の出力電圧に対する出力電流の変動を表す曲線の一例である。
【0035】
図2の横軸には電圧値が示されている。電圧値は0値と開回路電圧V
OCとの間にある。
【0036】
図2の縦軸には電流値が示されている。電流値は0値と短絡電流I
SCとの間にある。
【0037】
任意の所与の光レベル及び太陽電池アレイ温度に対して、太陽電池アレイが動作可能な無限個の電流−電圧のペア、すなわち動作点が存在する。しかしながら、所与の光レベル及び太陽電池アレイ温度に対して存在するMPPは、唯一つである。
【0038】
図3は、本発明によるエネルギー変換デバイスの一例を表す。
【0039】
電源PVの正端子はキャパシタC
INの第1の端子に接続され、電源PVの負端子はキャパシタC
INの第2の端子に接続されている。
【0040】
キャパシタC
IN上の電圧は、電圧測定手段V1によって監視されている。キャパシタC
IN上の電圧は、電源PVによって供給される電圧V
PVに等しい。
【0041】
キャパシタC
INの第1の端子は、スイッチIG1に接続されている。
【0042】
例えば、スイッチIG1はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり、キャパシタC
INの第1の端子はスイッチIG1のコレクタに接続されている。
【0043】
エネルギー変換デバイスConvコンバータが昇圧モード(ステップアップ構成)で動作している場合、スイッチIG1は常にオン状態、すなわち導通モードにある。
【0044】
スイッチIG1のエミッタは、ダイオードD1のカソードに接続されている。ダイオードD1のアノードは、電源PVの負端子に接続されている。
【0045】
スイッチIG1のエミッタは電流測定手段MI
Lの第1の端子にも接続されており、電流測定手段はインダクタLを通って流れる電流I
Lを測定する。また、電流測定手段MI
Lの第2の端子は、インダクタLの第1の端子に接続されている。
【0046】
もし、インダクタLを通って流れる電流I
Lを測定する電流センサが存在しない場合には、スイッチIG1のエミッタがインダクタLの第1の端子に接続される。
【0047】
インダクタLの第2の端子は、スイッチM1に接続されている。
【0048】
スイッチM1は、例えば、NMOSFET(Nチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)である。
【0049】
インダクタLの第2の端子は、NMOSFET M1のドレインに接続されている。NMOSFETのソースは、電源PVの負端子に接続されている。
【0050】
NMOSFETのゲートは、以下で開示される信号Pwmを用いてDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)によって制御されるドライバ回路によって駆動される。
【0051】
DSPは、動作が昇圧モード(ステップアップコンバータ)である場合には、一定の出力電圧値V
DCを得るために、スイッチM1を制御することによって、電源から供給される電圧及び電流を変化させる。
【0052】
インダクタLの第2の端子は、ダイオードD
Oのアノードにも接続されている。
【0053】
ダイオードD
Oのカソードは、キャパシタC
Oの第1の端子に接続されている。キャパシタC
Oの第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0054】
ダイオードD
Oのカソードは、インダクタLの第2の端子と電源PVの負端子との間の電圧を測定する電圧測定手段V2の第1の端子に接続されている。
【0055】
コンバータConvの出力電圧は、V
DCと呼ばれる。
【0056】
測定手段V1及びV2によって測定される電圧V
PV及びV
DC並びに電流測定手段MI
Lによって測定される電流I
Lは、DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)の内部に含まれるアナログ/ディジタルコンバータADCによってディジタルデータに変換される。
【0057】
DSPは、
図1には示されていないバスによって互いに接続される構成要素、並びに
図4、
図7、及び
図9において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムによって制御されるプロセッサ100に基づくアーキテクチャを有している。
【0058】
バスは、プロセッサ100を、リードオンリーメモリROM103、ランダムアクセスメモリRAM102、及びアナログ/ディジタル変換器ADCに接続する。
【0059】
リードオンリーメモリROM103は、
図4、
図7、及び
図9に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、当該プログラム命令は、エネルギー変換デバイスConvに電源が投入されるとランダムアクセスメモリRAM102に転送される。
【0060】
RAMメモリ102は、変数を受け取るように意図されるレジスタと、
図4、
図7、及び
図9に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを含んでいる。
【0061】
DSPは、MPPT(最大電力点トラッカー)制御ブロックMp、キャパシタ放電制御ブロックDis、スイッチSw、減算手段Dif、コントローラPi、キャリア生成モジュールCar、及びコンパレータCompを備えている。
【0062】
ここで、MPPT制御ブロックMp、キャパシタ放電制御ブロックDis、スイッチSw、減算手段Dif、コントローラPi、キャリア生成モジュールCar、及びコンパレータCompは、ソフトウェアの形態で実装することも出来ることに留意されたい。
【0063】
アナログ/ディジタルコンバータADCの出力は、MPPT制御ブロックMp、キャパシタ放電制御ブロックDis、及び減算手段Difに与えられる。
【0064】
MPPT制御ブロックMpはディジタル変換された電圧V
PVを受信し、また電流センサが存在する場合には、ディジタル変換された電流I
Lも受信する。キャパシタ放電制御ブロックDisは、ディジタル変換された電圧V
PV、V
DCを受信し、また電流センサが存在する場合には、ディジタル変換された電流I
Lも受信する。
【0065】
スイッチSwは、MPPT追跡フェーズにおいて、又は
図4を参照しながら開示されるキャパシタC
INの放電フェーズにおいて、コンバータConvの動作モードを選択できるようにする。
【0066】
スイッチSwの出力の電圧はV
PVREFで示され、減算手段Difによってディジタル変換された電圧V1から減算される。
【0067】
減算手段Difの出力誤差εは、コントローラPiによって制御されてコンパレータCompに与えられ、コンパレータはその誤差をキャリア生成モジュールCarによって与えられるキャリア信号V
Carrierと比較する。キャリア信号V
Carrierは周波数f
SWで動作し、通常は三角波形又は鋸波形である。
【0068】
コントローラPiは、比例積分(PI)コントローラ又は比例積分微分(PID)コントローラとすることができる。
【0069】
コンパレータCompの出力は、制御信号Pwmを与える。
【0070】
図4は、本発明による、MPPの決定を可能にする情報を求めるためのアルゴリズムの一例である。
【0071】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ100によって実行される。
【0072】
電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムは、少なくとも、キャパシタC
IN上の電圧V1、電圧V2、及び電流センサが存在する場合には電流I
Lを監視する。
【0073】
ステップS400において、フェーズPH1が始まる。フェーズPH1は、
図5(a)〜
図5(e)に示されている。
【0074】
図5(a)は、本発明によって得られる電源電圧変動の一例である。
【0075】
図5(a)の横軸には時間が表示され、
図5(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0076】
図5(b)は、本発明によって電源の動作を制御するために用いられる基準電圧の一例である。
【0077】
図5(b)の横軸には時間が表示され、
図5(b)の縦軸には電圧が表示されている。
【0078】
図5(c)は、本発明によって得られる電源電流変動の一例である。
【0079】
図5(c)の横軸には時間が表示され、
図5(c)の縦軸には電流が表示されている。
【0080】
図5(d)は、本発明によって得られるインダクタ電流変動の包括線の一例である。
【0081】
図5(d)の横軸には時間が表示され、
図5(d)の縦軸には電流が表示されている。
【0082】
斜線のエリアは、インダクタ電流変動の包絡線を表している。
【0083】
図5(e)は、本発明によって電源の動作を制御するために少なくとも1つのスイッチを制御するために用いられるパターンの包絡線の一例である。
【0084】
図5(e)の横軸には時間が表示され、
図5(e)の縦軸には電圧が表示されている。
【0085】
斜線のエリアは、Pwm信号変動の包絡線を表している。
【0086】
フェーズPH1の間、エネルギー変換デバイスConvは、例えば昇圧(ステップアップ)DC/DCコンバータとしての役割を果たす。ここで、エネルギー変換デバイスは、降圧(ステップダウン)DC/DCコンバータとしての役割を果たすこともできることに留意されたい。
【0087】
フェーズPH1の間、エネルギー変換デバイスConvは、電源の動作点を制御し、例えば山登り法(Perturb and Observe:P&O)最大電力点追跡(MPPT)モードで動作する。
【0088】
フェーズPH1の間、スイッチSwは、MPPT制御ブロックMpによって与えられる基準電圧を、電源PVによって与えられて測定手段V1によって測定された後にディジタル変換された電圧V
PVと比較できるようにする。
【0089】
V
PVREFとV
PVとの差によって生成される誤差εは、コントローラPiによって補償される。コントローラは、V
Cont信号を生成する比例積分微分(PID)コントローラ、又は比例積分(PI)コントローラとすることができる。
【0090】
その後、V
Cont信号は、キャリア波形V
carrierと比較される。キャリア波形は、最大値V
M及び周波数f
SWを有する三角波形又は鋸波形とすることができる。
【0091】
V
carrier<V
Contである場合には、スイッチM1は導通状態、すなわちオンであり、そうでない場合には、スイッチM1は非導通状態、すなわちオフである。
【0092】
フェーズPH1の間、電源PVによって与えられる電圧V
PVは、例えば毎秒、MPPTブロックMpによって規定される所望の値V
PVREFに概ね調整される。一方、出力電圧V
DCは理論的には一定である。
【0093】
例えば、出力電圧V
DCは、バッテリによって印加することができる。あるいは、出力電圧V
DCは、グリッド接続用途であるか否か等の用途の種類に応じて、特定の制御ループを通じて出力電圧V
DCを調整するインバータの調整済みDCリンクとすることができる。
【0094】
フェーズPH1の間、
図5(a)に示されるような電圧V
PVと、その結果として
図5(c)に示されるような電流I
PVは、MPPTアルゴリズムによって与えられて定期的に更新される基準値V
PVREFに追従する。
【0095】
図5(d)に示されるように、スイッチM1が切り替わるのに応じて、電流I
Lは変化する。
【0096】
次のステップS401において、フェーズPH2が始まる。
【0097】
フェーズPH2は、MPPTブロックMpによって用いられる電圧値V
MPPと、例えばエネルギー変換デバイスConvの最小許容動作電圧値である最小電圧値V
MINとの間における電源PVの電力曲線が得られる期間に対応する。
【0098】
本発明によれば、フェーズPH2の持続時間は、所与の回数N回の測定を実行できるように規定され、例えばNは100に等しい。
【0099】
1つのサンプルは、電圧測定手段V1によって実行されるV
PVの1回の測定、電圧測定手段V2によって実行されるV
DCの1回の測定、及び電流測定手段MI
Lによって実行されるI
Lの1回の測定に対応する。
【0100】
サンプルは、アナログ/ディジタルコンバータADCのサンプリング周波数f
SAMPで取得される。ある場合には、サンプリング周波数f
SAMPはf
SWに等しい。
【0101】
フェーズPH2の持続時間は、Δt=N
*f
SAMPとして設定される。
【0102】
フェーズPH2の間、基準値V
PVRFEとその制御ループによって、電源PVの電圧V
PVが本明細書においてV
MINと呼ばれる最小電圧値まで低減され、キャパシタC
INは放電される。
【0103】
フェーズPH2の間、スイッチSwは、放電ブロックDisによって与えられる電圧を、電源によって与えられて測定手段V1によって測定された後にディジタル変換された電圧V
PVと比較できるようにする。放電ブロックDisは、ここではPH1におけるV
MPP値に対応する初期値V
PVからV
MINまで減少する所与の数学関数に従って規定される電圧V
PVREFを与える。
【0104】
例えば、数学関数は、一変数の一次多項式関数のような一次関数である。
【0105】
フェーズPH2の間、ステップS402において、フェーズPH2中に得られたV
PV及びI
Lの全てのサンプルが格納される。
【0106】
ここで、電流測定手段MI
Lが存在しない場合には、電圧V
DCのサンプルも格納されることに留意されたい。
【0107】
次のステップS403において、電圧V
PVのサンプルを用いて、キャパシタC
INを通る電流I
CINを評価する。I
CINの求め方は、
図9を参照しながら更に詳細に開示される。
【0108】
次のステップS404において、電流変動の過渡状態におけるI
Lの平均値を求めるために、I
Lの電流サンプルが処理される。
【0109】
図5(d)及び
図5(e)に示されるように、電流I
LはスイッチM1が切り替わるのに応じて変化する。
【0110】
フェーズPH2中におけるI
L及びPwmの変動を更に拡大した図が
図6(a)及び
図6(b)に示されている。
【0111】
図6(a)は、
図4のアルゴリズムにおいて開示される第2フェーズ中におけるインダクタ電流変動の一例である。
【0112】
図6(a)の横軸には時間が表示され、
図6(a)の縦軸には電流が表示されている。
【0113】
図6(b)は、
図4のアルゴリズムにおいて開示される第2フェーズ中において少なくとも1つのスイッチを制御するために用いられるパターンの一例である。
【0114】
図6(b)の横軸には時間が表示され、
図6(b)の縦軸には電圧が表示されている。
【0115】
フェーズPH2の間、Pwm信号のデューティサイクルは、サンプリング周波数f
SAMPに従って絶えず変化する。ここで、f
SAMP=f
SWであれば、各切替周期についてデューティサイクルは一定であることに留意されたい。
【0116】
スイッチM1が導通するか否かに従って、電流I
Lは増減する。
【0117】
Pwmのデューティサイクルが過渡状態中に変化するのに応じて、電圧V
PVもI
Lの勾配のように変化する。そのような状況は、電流測定手段MI
LのみによってI
PV値を知ることが望ましい場合に、電流I
Lの指標を劣化させる。
【0118】
ここで、f
SAMP=f
SWである定常状態において、信号V
Carrierがゼロ値にある瞬間にサンプリングが行なわれる場合には、測定される電流I
Lの値はその平均値に対応し、平均値は電流I
PVの値に等しいことに留意されたい。しかしながら、このことは過渡状態、すなわちフェーズPH2中においては、信号V
Carrierがゼロ値にある瞬間に常にサンプリングが行なわれるので、もはや当てはまらない。この場合、測定される電流I
Lの値は、電流I
Lの平均値には対応しない。
【0119】
フェーズPH2中におけるそのような変動は、
図7を参照しながら以下に開示されるアルゴリズムによって考慮される。
【0120】
次のステップS405において、電源特性が求められる。
【0121】
電源PVから供給される
図5(c)に示されるような電流I
PVは、電流I
CINと電流I
Lの平均値とを合計することによって求められる。電流I
CINを評価するために
図9において用いられる方法に起因してフェーズPH2中に現れる可能性のある高周波リップルは、当該方法自体によって既にフィルタリングされていることに留意されたい。
【0122】
図10は、本発明によって取得することができる電力対電圧曲線の一例である。
【0123】
図10の横軸には電圧V
PVが表示されており、縦軸には電源PVによって出力される電力が表示されている。
【0124】
曲線における太い部分は、V
PVがV
MAX値(フェーズPH1において用いられたV
MPP以上とすることができる)からV
MINまで変化する場合を考慮して、本発明によって求められるI
PV及びV
PVから得られる曲線部分を表している。
【0125】
MPPは、電源が出力することのできる最大電力に対応する。
【0126】
新たなMPP情報は、MPPTブロックMpに与えられる。
【0127】
次のステップS406において、フェーズPH3が始まる。エネルギー変換デバイスConvは、新たに求められたMPP値を用いて電源PVの動作を制御し、再びP&O最大電力点追跡MPPTモードにおいて動作する。
【0128】
フェーズPH3の開始時にV
PVREFが既に設定されていても、
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、電源PVの電圧が基準に追従するために更なる時間を要する場合がある。これは、フェーズPH3中において、電源PVから供給されるエネルギーが全体として入力キャパシタC
INに与えられるという事実に起因する。
【0129】
次のステップS407において、フェーズPH4が始まる。電圧値V
PVはV
PVREFに極めて近く、それは誤差が非常に小さいことを意味している。電源PVは、この瞬間から負荷Loに電力を供給し始める。最終的に電圧値V
PVは所望のV
PVREF値に収束し、P&O MPPTアルゴリズムは、フェーズPH1において開示されたような通常条件で再び動作する。
【0130】
図7は、
図4のアルゴリズムにおいて開示されたような第2フェーズ中において、インダクタ電流の平均値を求めるために用いられるアルゴリズムである。
【0131】
図7のアルゴリズムは、f
SAMP=f
SWである場合に、第2フェーズPH2中においてインダクタ電流I
Lの平均値を求めるために用いられる。
【0132】
ステップS700において、電流I
Lのサンプル並びに電圧V
PV及びV
DCのサンプルが取得される。
【0133】
次のステップS701において、スイッチM1のオンへの切替中及びオフへの切替中の電流I
Lの変動が、オン状態からオフ状態又はオフ状態からオン状態への移行時刻において、Pwm信号値に関連する電流I
Lのサンプル並びにV
PV及びV
DCの電圧サンプルからそれぞれ復元される。言い換えると、高周波電流リップルが完全に再生される。
【0134】
電流I
Lの変動の例が
図8(a)〜
図8(c)に示されている。
【0135】
図8(a)〜
図8(c)は、インダクタ電流波形を再生するために用いられる曲線、及び
図4のアルゴリズムにおいて開示されるような第2フェーズ中にインダクタ電流の平均を求めるために用いられる曲線を表している。
【0136】
図8(a)は、2つの連続する切替周期において2つの連続したサンプルが得られる瞬間を表している。
【0137】
図8(b)は、信号Pwmの電圧変動、及びキャリア生成モジュールCarによって生成されるキャリア信号V
Carrierと比較される信号V
Contによって与えられる電圧を表している。
【0138】
移行時刻t
1及びt
2は、正確にV
Cont=V
Carrierである瞬間である。ただし、V
ContはコントローラPiによって生成される補償済み制御信号である。
【0139】
信号Pwmがハイであるとき、電流I
Lは、V
PVをインダクタ値Lで除算して持続時間(この場合には、t
0からt
1まで、及び、t
2からt
3まで)を乗じた値に等しい勾配で増加する。この持続時間は単に、DSP内のV
Cont及びV
Carrierを監視することによって得られる。
【0140】
信号Pwmがローであるとき、電流I
Lは、V
PVからV
DCを引いた値をインダクタ値Lで除算して持続時間(この場合には、t
1からt
2まで)を乗じた値に等しい勾配で減少する。この持続時間は単に、DSP内のV
Cont及びV
Carrierを監視することによって得られる。
【0141】
そして、サンプル及び信号Pwmから、
図8(c)に示されるようなI
Lの電流変動を再構成することができる。
【0142】
次のステップS702において、I
Lの再構成された電流変動、及びf
SWよりもはるかに小さく例えばf
SWの半分未満のカットオフ周波数を有するディジタルローパスフィルタを用いて、I
Lの平均値が求められる。
【0143】
図9は、本発明による、入力キャパシタを通る電圧及び電流を求めるためのアルゴリズムの一例である。
【0144】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ100によって実行される。
【0145】
一般的見地から、本アルゴリズムによって、所与のサンプルに対するキャパシタ電流I
CINは、キャパシタC
INの静電容量値に所与のサンプルの電圧導関数を乗じることによって求められる。電圧導関数は、フィッティング数学関数、例えば実係数を有する多項式関数によって得られる。
【0146】
フィッティング数学関数は、所与の時間サンプルについての処理された電圧を取得するために、連続的な時間サンプルx
i(i=1〜N)において測定された電圧y
iと関数f(x
i)との差の二乗和を最小化することによって得られる。これは、以下のように行われる。
【0147】
N個のサンプル(x
1,y
1),(x
2,y
2)...(x
N,y
N)が与えられると、必要とされるフィッティング数学関数を、例えば以下の形に書くことができる。
【数1】
ただし、f
j(x)(j=1,2...K)はxの数学関数であり、C
j(j=1,2...K)は当初は未知の定数である。
【0148】
f(x)とyの実際の値との差の二乗和は、以下によって与えられる。
【数2】
【0149】
この誤差項は、定数C
j(j=1,2,...K)の各々についてEの1階偏導関数を取り、その結果をゼロにすることによって最小化される。したがって、対称なK元連立方程式が得られ、これがC
1、C
2、...、C
Kについて解かれる。この手順は、最小平均二乗(LMS)アルゴリズムとしても知られている。
【0150】
V
PVの電圧サンプルについて、各サンプルに対して移動する所定の窓における適切な数学関数、例えば実係数を有する多項式関数のフィッティングに基づいて曲線が取得される。したがって、電圧はフィルタリングされ、その導関数を窓の中心点すべてに対して非常に簡単かつ直接的な方法で同時に計算することができる。これにより、いかなる追加の電流センサも必要とすることなく電流が求められる。
【0151】
ステップS900において、プロセッサ100は、フェーズPH2中に得られたV
PVのN個のサンプルを取得する。例えば、少なくとも100個のサンプルが取得される。各サンプルは2次元ベクトルであり、その係数は、電圧値とその電圧が測定された時刻である。
【0152】
次のステップS901において、プロセッサ100は、移動窓のサイズを決定する。移動窓のサイズは、適切な数学関数、例えば実係数を有する多項式関数のフィッティングに基づいて曲線を求めるために用いられるサンプルの数Nptを表す。移動窓のサイズは奇数である。例えば、移動窓のサイズは21に等しい。
【0153】
次のステップS902において、プロセッサ100は、移動窓の中心点Ncを求める。
【0154】
次のステップS903において、プロセッサ100は、変数iを値Nptに設定する。
【0155】
次のステップS904において、プロセッサ100は、変数jをi−Nc+1に設定する。
【0156】
次のステップS905において、プロセッサ100は、変数kを1に設定する。
【0157】
次のステップS906において、プロセッサ100は、x(k)の値をサンプルjの時刻係数に設定する。
【0158】
次のステップS907において、プロセッサ100は、y(k)の値をサンプルjの電圧係数に設定する。
【0159】
次のステップS908において、プロセッサ100は、変数kを1インクリメントする。
【0160】
次のステップS909において、プロセッサ100は、変数jを1インクリメントする。
【0161】
次のステップS910において、プロセッサ100は、変数jがiとNcとの和から1を引いた値より厳密に小さいか否かを検査する。
【0162】
変数jがiとNcとの和から1を引いた値より厳密に小さい場合、プロセッサ100はステップS906に戻る。そうでない場合、プロセッサ900はステップS911に移る。
【0163】
ステップS911において、プロセッサ100は、最小平均二乗アルゴリズムと、S910の条件に達するまでステップS906及びS907においてサンプリングされたすべてのx(k)値及びy(k)値とを用いて、フィッティング数学関数、例えば多項式関数y(x)=ax
2+bx+cを求める。
【0164】
プロセッサ100は、二次多項式関数のa、b、及びcの実係数
【数3】
を取得する。
【0165】
次のステップS912において、プロセッサ100は、以下の式に従ってフィルタリングされた電圧値と必要とされる電流を評価する。
【数4】
【0166】
次のステップS913において、プロセッサ900は、変数iを1単位インクリメントする。
【0167】
次のステップS914において、プロセッサ100は、iがNからNcを引いた値より厳密に小さいか否かを検査する。
【0168】
iがNからNcを引いた値より厳密に小さい場合、プロセッサ100はステップS904に戻る。そうでない場合、プロセッサ300はステップS915に移り、本アルゴリズムによって求められた電圧と電流のペアを出力する。
【0169】
その後、プロセッサ100は、本アルゴリズムを中断し、
図4のアルゴリズムのステップS404に戻る。
【0170】
ここで、電流センサを用いてインダクタを通って流れる電流を監視する代わりに、
図9に開示されるアルゴリズムと類似のアルゴリズムを用いることによって、例えば、スイッチM1がオフ状態にある場合にはV
PVからV
DCを減算し、M1がオン状態にある場合には電圧がV
PVに等しいと仮定することによって、インダクタL上の電圧の測定からインダクタを通って流れる電流を監視することができることに留意されたい。
【0171】
ここで、何らかの導関数を評価する代わりに、電圧測定値のみによってインダクタを通る電流を評価するのに適した適切な数値積分法を用いる必要があることに留意されたい。
【0172】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。