特許第6041556号(P6041556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041556インモールドラベル成形用ラベル形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041556
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】インモールドラベル成形用ラベル形成装置
(51)【国際特許分類】
   B31D 1/02 20060101AFI20161128BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20161128BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20161128BHJP
   B23K 26/40 20140101ALI20161128BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20161128BHJP
   B23K 26/06 20140101ALI20161128BHJP
   B65C 9/18 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
   B31D1/02 A
   B29C45/14
   B23K26/38 Z
   B23K26/40
   B23K26/08 Z
   B23K26/06
   !B65C9/18
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-149448(P2012-149448)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-8767(P2014-8767A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】506329292
【氏名又は名称】スターテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081466
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 研一
(72)【発明者】
【氏名】菱川 辰巳
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−101922(JP,A)
【文献】 特開2011−230338(JP,A)
【文献】 特開2002−224748(JP,A)
【文献】 特開平06−063988(JP,A)
【文献】 特開2007−203305(JP,A)
【文献】 特開2008−286865(JP,A)
【文献】 特開2010−253810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 1/00−B31D99/00
B23K26/06
B23K26/08
B23K26/38
B23K26/40
B29C45/14
B65C 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送方向の列方向及び移送直交方向の行方向に多数のラベル図柄が所要の間隔をおいて印刷されて卷回されたシートロールから導出されたラベルシートを巻取り動作に伴ってラベル形成領域へ順次移送してラベル形成手段によりインモールドラベル成形用ラベルを形成するインモールドラベル成形用ラベル形成装置において、
ラベルシートは、ラベル形成領域に対して垂直状態で平面状に展開した状態に掛渡されると共に、
ラベル形成手段は、ラベル形成領域において垂直状態に掛渡されたラベルシートの移送直交方向に印刷されたラベル図柄に対してレーザ光を移送方向及び移送直交方向へ出力して熱溶融切断するレーザ光出力手段からなり、
ラベル形成領域に垂直状態で掛渡されたラベルシートにおけるレーザ光出力手段側の反対側に、ラベル形状と一致する平面形状に形成された吸着保持板を、ラベルシートに近付く保持位置とラベルシートから遠ざかる離間位置の間で反転回動可能に設け、
垂直状態に掛渡されたラベルシートのラベル図柄箇所がラベル形成領域に移送された際に、保持位置に回動した吸着保持板に対してラベルシートのラベル図柄箇所を平面状に吸着して保持するインモールドラベル成形用ラベル形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
ラベル形成領域に垂直状態で掛渡されたラベルシートのレーザ光出力手段側に、垂直状態に掛渡されたラベルシートに向かって圧縮空気を噴射する噴射部材を設け、
垂直状態に掛渡されたラベルシートのラベル図柄箇所がラベル形成領域に移送された際に、噴射部材から圧縮空気を保持位置に回動された吸着保持板に向かって噴射して吸着保持板にラベルシートを押し付けて平面状にするインモールドラベル成形用のラベル形成装置。
【請求項3】
請求項2において、
ラベル形成領域には垂直状態で掛渡されたラベルシートが挿通可能な間隙を設けて対向配置され、一方にレーザ光が通過可能な開口が形成されると共に他方に吸着保持板が遊嵌される開口が形成される一対のシート案内板を設け、
他方のシート案内板の開口内に遊嵌された吸着保持板によりラベルシートのラベル図柄箇所を平面状に吸着保持した状態でレーザ光出力手段から出力されて一方のシート案内板の開口を通過するレーザ光をラベル図柄に沿って照射してインモールドラベル成形用ラベルを形成するインモールドラベル成形用のラベル形成装置。
【請求項4】
請求項1において、
ラベル形成領域の搬入側及び搬出側には、上下方向へ所要の間隔をおいて上下一対の転向ロールを配置し、
ラベル形成領域に対してラベルシートを垂直状態で、平面状に展開した状態で掛渡し可能にしたインモールドラベル成形用ラベル形成装置。
【請求項5】
請求項4において、
少なくともラベル形成領域の搬入側に設けられる転向ロールは、軸線方向中間部が大径で、軸線方向端部に至るに従って徐々に小径になるクラウンロールとしたインモールドラベル成形用ラベル形成装置。
【請求項6】
請求項1において、
吸着保持板は、ラベルシートの移送直交方向へ移動可能に支持された複数個からなると共に隣り合う各吸着保持板は、互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ移動するインモールドラベル成形用のラベル形成装置。
【請求項7】
請求項1において、
レーザ光出力手段は、ラベルシートの移送直交方向へ移動可能に設けられた第1可動体及び該第1可動体に対して移送方向へ移動可能に設けられた第2可動体と、該第2可動体に設けられ、ラベル形成領域において垂直状態に掛渡されたラベルシートの各ラベル図柄に対してレーザ光を出力する1個以上の出力ヘッドと、
レーザ光を発振するレーザ光発振手段と、
レーザ光発振手段から出力されるレーザ光を出力ヘッドへ伝播する導波管と、
からなり、
第1及び第2可動体の移動に伴って出力ヘッドをラベル図柄に沿って移動させながらレーザ光を出力してラベルを形成するインモールドラベル成形用ラベル形成装置。
【請求項8】
請求項7において、
レーザ光出力手段は、
ラベル形成領域に移送されたラベルシートに対して所要の間隔をおいて固定的に設けられ、レーザ光発振手段から出力されて収斂されたレーザ光を移送直交方向に配置された各ラベル図柄の外形に沿って走査する1以上のレーザ光走査手段からなり、
ラベル形成領域に移送されたラベルシートの各ラベル図柄に対してレーザ光発振手段から出力されるレーザ光をレーザ光走査手段によりラベル図柄に沿って出力して溶融切断することによりラベルを形成するインモールドラベル成形用ラベル形成装置。
【請求項9】
請求項7において、
レーザ光走査手段は、出力軸に反射ミラーが固定された少なくとも2台のガルバノモータ、fθレンズ及びモータドライバからなるインモールドラベル成形用のラベル形成装置。
【請求項10】
請求項7において、
レーザ光走査手段は、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転用電動モータ、fθレンズ、光学系反射ミラーからなるインモールドラベル成形用のラベル形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内にラベルを装着した状態で金型間に合成樹脂を射出して表面にラベルが一体化された樹脂成形品を成形するインモールドラベル成形において多数のラベルが印刷されたラベルシートからラベルを形成するインモールドラベル成形用ラベル形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に示すインモールドラベル成形用ラベル形成装置を提案した。該ラベル形成装置は、インモールドラベル成形に使用する所望形状のラベルが少なくとも移送直交方向に対して複数印刷されて卷回されたシートロールからラベルシートを、ラベル1枚分の送り量で移送して巻取りリールに巻き取ってラベル形成領域に対してラベルシートにおけるラベル個所を水平状態で順次移送するラベルシート供給巻取り手段と、ラベル形成領域に移送されたラベルシートにおけるラベル箇所に対してラベルの外形に沿ってレーザ光を出力して溶融切断するレーザ光切断手段を備えた構造からなる。
【0003】
上記ラベル形成装置にあっては、ラベル形成領域に対してラベルシートを水平状態で移送するため、該ラベル形成領域においてラベルシートに皺等による凹凸になったり、重なり合ったりしていないことが要求される。皺や重なり等が発生した状態でラベルシートからラベルを切断すると、ラベルの切断縁が不連続になり、このように切断されたラベルを使用してインモールドラベル成形を実行すると、インモールドラベル成形品の外観品質が悪くなる問題を有している。
【0004】
また、上記ラベル形成装置のラベルシート供給巻取り手段は、巻取り側に駆動力を付与してラベル形成領域に対してラベルシートのラベル箇所を順次移送している。このため、ラベルが切断されていない状態のラベルシートを巻き取って移送する際には、該ラベルシートを水平状態で、平面状に展開した皺等のない状態で移送することができるが、ラベル切断後のラベルシートにあっては、ラベル図柄箇所に抜き穴が形成されることにより移送方向に対して分断されている。また、多数の抜き穴が形成されたラベルシートを巻き取る際には、該ラベルシートに対して巻取り力が不均一に作用し、平面状に展開した状態で巻き取ることができ、この巻取りに伴ってラベル形成領域に移送されるラベルシートに皺等が発生する問題を有している。
【0005】
上記問題を解決するため、ラベル形成装置にあっては、ラベルシートのラベル形成領域に、切断箇所にて昇降可能に設けられ、ラベルシートを支承する昇降テーブル、上昇する昇降テーブルに当接して支承されたラベルシートを挟持する規制部材により構成される修正手段を設け、昇降テーブル及び規制部材に挟持されたラベルシートの位置ずれを規制している。
【0006】
しかし、上記したようにラベル切断後のラベルシートにあっては、移送方向に対して繋がっている個所とラベルに対応する大きさの孔が形成されて分断されている個所とでは、作用する巻取り力が大きく異なって皺等が大きくなったり、蛇行したりするため、上記した修正手段では、ラベルシートの巻取りにより発生した皺等を完全に平面状に展開した状態へ修正したり、蛇行を規制したりすることが困難であった。
【0007】
また、ラベルシートにおけるラベル形成領域に応じた移送路中に修正手段を設け、ラベルシートをセットする際には、ラベルシートにおける移送直交方向の両端部が昇降テーブルと規制部材の間に位置するように掛渡さなければならず、装置自体の構造が複雑化すると共にラベルシートの掛渡し作業に手間が掛かり、ラベルの形成作業効率が悪くなる問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−230338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、ラベルシートを水平状態で移送する際に皺等が発生したり、蛇行したりしてラベルを高い精度で切断形成することができず、インモールドラベル成形品の成形品質が悪くなる点にある。また、ラベルの切断により抜き穴が形成されたラベルシートを巻き取ってラベル形成領域へ移送する際に、ラベルシートに作用する巻取り力が不均一になって皺等を発生させたり、蛇行したりする点にある。更に、ラベル形成領域に移送されたラベルシートの移送直交方向両端部を挟持して持ち上げることにより皺等を修正する修正手段を設ける場合にあっては、装置自体の構造が複雑化すると共にラベルシートの掛渡し作業に手間が掛かり、ラベルの形成作業効率が悪くなる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、移送方向の列方向及び移送直交方向の行方向に多数のラベル図柄が所要の間隔をおいて印刷されて卷回されたシートロールから導出されたラベルシートを巻取り動作に伴ってラベル形成領域へ順次移送してラベル形成手段によりインモールドラベル成形用ラベルを形成するインモールドラベル成形用ラベル形成装置において、ラベルシートは、ラベル形成領域に対して垂直状態で平面状に展開した状態に掛渡されると共に、ラベル形成手段は、ラベル形成領域において垂直状態に掛渡されたラベルシートの移送直交方向に印刷されたラベル図柄に対してレーザ光を移送方向及び移送直交方向へ出力して熱溶融切断するレーザ光出力手段からなり、ラベル形成領域に垂直状態で掛渡されたラベルシートにおけるレーザ光出力手段側の反対側に、ラベル形状と一致する平面形状に形成された吸着保持板を、ラベルシートに近付く保持位置とラベルシートから遠ざかる離間位置の間で反転回動可能に設け、垂直状態に掛渡されたラベルシートのラベル図柄箇所がラベル形成領域に移送された際に、保持位置に回動した吸着保持板に対してラベルシートのラベル図柄箇所を平面状に吸着して保持することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ラベルシートを移送する際に皺等の発生を低減したり、蛇行を規制したりして高い精度でラベルを切断形成してインモールドラベル成形品を高品質化することができる。また、ラベルが切断されて抜き穴を有したラベルシートを巻き取って次のラベル図柄をラベル形成領域へ移送する際に、ラベルシートに対する巻取り力が不均一化するのを抑制し、皺等の発生を低減したり、蛇行を規制したりすることができる。更に、ラベル形成領域に移送されたラベルシートの移送直交方向両端部を挟持して持ち上げて皺等を修正する修正手段を設けることなく、皺等の発生や蛇行を防止し、装置の構造を簡易化すると共にラベルシートの掛渡し作業を容易に行い、ラベルの形成作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】インモールドラベル成形用ラベル形成装置の概略を示す斜視図である。
図2】出力ヘッドの移動機構を示す説明図である。
図3】ラベル保持機構を示す説明図である。
図4】ラベルシートの正面に吸着保持板を位置させた状態を示す説明図である。
図5】圧縮空気によりラベルシートを吸着保持板に押し付けた状態を示す説明図である。
図6】ラベル図柄の外縁に対する出力ヘッドの移動状態を示す説明図である。
図7】ラベルを吸着保持した吸着保持板を反転回動した状態を示す説明図である。
図8】吸着保持板相互を近づけた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ラベル形成領域に垂直状態で掛渡されたラベルシートにおけるレーザ光出力手段側の反対側に、ラベル形状と一致する平面形状に形成された吸着保持板を、ラベルシートに近付く保持位置とラベルシートから遠ざかる離間位置の間で反転回動可能に設け、垂直状態に掛渡されたラベルシートのラベル図柄箇所がラベル形成領域に移送された際に、保持位置に回動した吸着保持板に対してラベルシートのラベル図柄箇所を平面状に吸着して保持することによりラベルシートを高品質に切断形成することを実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図3に示すように、本発明に係るインモールドラベル成形用ラベル形成装置1における架台3(図1において二点鎖線で示す。)の図示右方には、上部にシートロール5が従転可能に支持されると共に下部にラベル7が打抜かれたスクラップシート13cを巻き取る巻取りロール9が回転可能に支持され、該巻取りロール9には、サーボモータ等の数値制御可能に巻取り用電動モータ11が連結される。
【0015】
なお、シートロール5を従転するように支持する代わりに該シートロール5を巻取りロール9の回転駆動速度より遅い回転速度で駆動して移送するラベルシート13に張力を与えて皺や蛇行の発生を低減する構成としてもよい。
【0016】
上記シートロール5には、移送直交方向に対し、本例では4個で、移送方向に対して所要の間隔をおいて多数のラベル図柄13aが印刷された所要の長さのラベルシート13(図1において一点鎖線で示す。)が卷回され、該シートロール5から導出されたラベルシート13は、転向ロール15a、テンションロール15b等を介して架台3の図示左側面に沿った垂直状態で、かつラベル図柄13aが外側を向くように掛渡された後に、同様の転向ロール15a、テンションロール15b等を介して巻取りロール9に巻き取られるように掛渡される。
【0017】
なお、巻取りロール9に巻き取られるラベルシート13は、後述するレーザ光によりラベル7の切断分離により該ラベル7に一致する抜き穴13bが形成される。以後においては、説明の便宜上、抜き穴13bが形成されたラベルシートをスクラップシート13cとする。
【0018】
また、ラベルシート13の移送直交方向両端部には、架台3のラベル形成領域に設けられたフォトセンサー(図示せず)により検出される検出孔等が移送方向に対するラベル図柄13a相互の間隔に対応して形成され、フォトセンサーにより検出孔が検出された際にラベルシート13の移送を停止してラベル図柄13aをラベル形成領域に位置させる。
【0019】
更に、図に示すテンションロール15bに付いては、架台3に固定される複数個の固定側テンションロール及び該固定側テンションロールに対して引張ばね等の弾性部材またはテンションロールの自重により遠ざかる方向へ付勢される搖動アーム(いずれも図示せず)に取り付けられる複数個の搖動側テンションロールを互いに向い合せて配置し、固定側テンションロールに対して搖動側テンションロールを遠ざかる方向へ付勢して順に掛渡されたラベルシート13に張力を付与する構成であるが、弾性部材及びアームに付いては、図示を省略する。
【0020】
上記架台3における図示左側面内側には、図示する前後方向に延出する固定盤17が設けられ、該固定盤17には、図示する前後方向へ延出する上下一対の直線ガイド部材19が固定される。そして該直線ガイド部材19には、前後可動体21が図示前後方向へ移動するように支持される。
【0021】
該前後可動体21には、軸線が上記前後方向へ延出し、軸線方向各端部が上記固定盤17に回転するように支持された送りねじ23が摺動可能に噛合わせされる。該送りねじ23の一方軸端部には、固定盤17に設けられた数値制御可能なサーボモータ等の前後動用電動モータ25が連結され、前後用電動モータ25の駆動に伴って正逆回転する送りねじ23により前後可動体21が上記前後方向へ移動される。
【0022】
上記前後可動体21には、図示する上下方向へ延出する前後一対の直線ガイド部材27が固定され、該直線ガイド部材27には、上下可動体29が図示上下方向へ移動するように支持される。該上下可動体29には、軸線が上記前後方向へ延出し、軸線方向各端部が上記前後可動体21に回転するように支持された送りねじ(図示せず)が摺動可能に支持される。該送りねじの一方軸端部には、前後可動体21に設けられた数値制御可能なサーボモータ等の上下用電動モータ33が駆動連結され、上下用電動モータ33の駆動に伴って正逆回転する送りねじにより上下可動体29が上下方向へ移動される。
【0023】
上記上下可動体29には、上下方向に軸線を有した中空円筒状の導波管35が固定され、該導波管35の上端部には、水平方向に軸線を有して図示する左方へ延出する出力ヘッド37が第1反射部材39を介して接続される。上記出力ヘッド37は、架台3の図示する左側面に対して上下方向へ平面状に掛渡されたラベルシート13に対してレーザ光を所要のビーム径に収斂する光学レンズ(図示せず)が内蔵される。上記導波管35の下部は、複数個の管が軸線方向へ摺動するように支持されて上下方向へ伸縮するテレスコーピック型の伸縮導波管部35aに形成される。
【0024】
一方、架台3の内部には、取付け盤41が固定され、該取付け盤41上には、レーザ光発振装置43が設けられる。該レーザ光発振装置43の出力部には、図示する水平左右方向に軸線を有した導波管45が接続され、該導波管45の出力側には、図示する水平前後方向に軸線を有し、複数個の管が軸線方向へ摺動するように支持されて前後方向へ伸縮する伸縮導波管47が第2反射部材49を介して接続される。そして上記伸縮導波管47は、上記導波管35の伸縮導波管部35aに第3反射部材51を介して接続される。
【0025】
上記第1乃至第3反射部材39,49,51は、それぞれの導波管35、45及び伸縮導波管47内を伝播するレーザ光の光軸を直交方向へ転向する反射ミラー(図示せず)が内蔵される。
【0026】
一方、ラベル形成領域(レーザ光の出力領域)に応じた架台3には、ラベルシート13の厚さより若干広い間隔をおいて相対する一対のシート案内板53a・53bが取り付けられる。出力ヘッド側のシート案内板53aには、レーザ光の出力領域に対応する大きさの開口53cが形成され、出力ヘッド37から出力されるレーザ光を通過させると共に吸着保持板67側のシート案内板53bとの協働により切断個所へ移送されるラベルシート13を平面状にさせる。また、吸着保持板67側のシート案内板53bには、該吸着保持板67の外径より若干大きい相似形の開口53dが形成され、ラベルシート13からラベル7を切断する際に開口53d内に吸着保持板67を、外縁との間に間隙を有した状態で進入させる。
【0027】
なお、図示した開口53aは、長方形状としたが、後述する吸着保持板67より若干大きい相似形状、従ってラベル7より若干大きい相似形状としてもよい。
【0028】
また、上記一方のシート案内板53aの上方に応じた架台3には、一対のシート案内板53a・53b間において垂直状態に掛渡されたラベルシート13に対して圧縮空気を噴射する複数の噴射部材54が設けられ、ラベルシート13の背面に噴射される圧縮空気により該ラベルシート13を後述する吸着保持板67へ平面状に押し付けて皺等の発生を防止する。
【0029】
また、上記他方のシート案内板53b側の架台3には、ラベル保持機構55が、上記側面に沿って掛渡されたラベルシート13の正面に相対して設けられる。該ラベル保持機構55の取付けフレーム57は、図示前後方向に延出し、かつ取付けフレーム57の中心に対して上方へずれた長手方向両端部を中心に架台3に対して回動するように支持される。該取付けフレーム57は、架台3に設けられたシリンダ及びリンクまたは電動モータ等の反転回動部材59に連結され、該反転回動部材59の作動により反転回動される。
【0030】
上記取付けフレーム57には、長手方向中心部から長手方向両端部へそれぞれ延出する2本の直線ガイド61が取り付けられ、各直線ガイド61には、2個の可動ブロック63が長手方向へ移動するように支持される。各可動ブロック63には、取付けフレーム57にそれぞれ取り付けられたシリンダ等の作動部材65が連結され、各直線ガイド61に支持された各可動ブロック63を、互いに近づく受け渡し位置及び遠ざかる吸着保持位置へ移動させる。
【0031】
各可動ブロック63には、ラベル7の外形状に一致する形状の吸着保持板67がそれぞれ取り付けられ、各吸着保持板67には、負圧発生源(図示せず)に接続された多数の吸引孔(図示せず)が形成される。
【0032】
各吸着保持板67は、反転回動部材59の作動によりその吸着保持面が架台3の側面に垂直状態で掛渡されたラベルシート13の他面に近接して上記した支持板53との協働により掛渡されたラベルシート13を保持する位置と吸着保持面が下方を向く位置の間で反転回動される。
【0033】
次に、上記のように構成されたインモールドラベル成形用ラベル形成装置1によるラベル7の形成作用を説明する。
シートロール5から導出されたラベルシート13は、テンションロール15bを経て架台3の図示左側面上部にて転向ロール15aにより下方へ転向された後に該側面に沿って垂直状態で、かつ支持板53及びラベル保持機構55間を通過し、架台3の図示左側面下部にて転向ロール15aにより転向された後にテンションロール15bを経て巻取りロール9に卷回されるように掛渡される。
【0034】
そして該ラベルシート13は、巻取り用電動モータ11の駆動に伴って移送されてラベル図柄13aに対応する検出孔がフォトセンサーにより検出された際に、巻取り用電動モータ11の駆動を停止してラベル図柄13aをラベル形成領域に位置させる。
【0035】
ラベルシート13におけるラベル図柄13aがラベル形成領域に位置されると、反転駆動部材59を作動して取付けフレーム57を回動して各吸着保持板67を、その吸着保持面が掛渡されたラベルシート13の正面に近接して負圧吸着させる。(図4参照)
【0036】
各吸着保持板67に対してラベルシート13を負圧吸着させるに先立って一対のシート案内板53a・53b間内に対してエアー噴射部材54から圧縮空気を噴射し、圧縮空気の圧力で垂直状態に掛渡されたラベルシート13をそれぞれの吸着保持板67へ押し付けて平面状にさせる。これにより各吸着保持板67の吸着保持面に対してラベルシート13を皺等のない平面状態で吸着保持させる。(図5参照)
【0037】
上記状態にて制御手段の記憶出段(いずれも図示せず)に記憶されたラベル図柄13aのパターンデータやラベルシート13における移送直交方向に対するラベル図柄13aの間隔データ等に基づいて前後用電動モータ25を駆動して前後可動体21を図示する前後方向へ移動させると共に上下用電動モータ33を駆動して上下可動体29を上下方向へ移動させて出力ヘッド37を二次元方向へ移動しながらレーザ光発振装置43から発振して導波管45、伸縮導波管47及び導波管35内を伝播するレーザ光をラベルシート13におけるラベル図柄13aの外縁に沿って出力する。(図6参照)
【0038】
これによりラベルシート13におけるラベル図柄13aは、吸着保持板67の吸着保持面に吸着保持された状態で外縁に沿って出力されるレーザ光の熱エネルギーにより溶融切断される。
【0039】
上記動作の繰り返しによりラベルシート13の移送直交方向に印刷された複数(4個)の各ラベル図柄13aの外縁に沿ってレーザ光を順に出力して4枚のラベル7が形成されると、反転回動部材59を作動して取付けフレーム57を、吸着保持されたラベル7が下方を向くように回動させる。(図7参照)
【0040】
取付けフレーム57を回動開始するタイミング又は取付けフレーム57が回動したタイミングでそれぞれの作動部材65を作動し、各直線ガイド61に支持されたそれぞれの可動ブロック63を互いに近づく方向へ移動してそれぞれの吸着保持板67を、ラベル7を吸着保持して樹脂成形機の金型内に装着する疑似コア(いずれも図示せず)の相互間隔に一致させる。(図8参照)
【0041】
上記動作と同期したタイミング又は動作後のタイミングで巻取り用電動モータ11を駆動して巻取りロール9を回転し、ラベル図柄13aが分離された抜き穴13bが形成されたスクラップシート13cをラベル図柄13a、1枚分、垂直状態で下方へ移送して次位のラベル図柄13aをラベル形成領域に位置させる。
【0042】
このとき、ラベルシート13のスクラップシート13cに4個の抜き穴13bが移送直交方向に形成されているため、スクラップシート13cに対して巻取り力が不均一に作用して皺等を発生させる恐れがあるが、ラベルシート13自体、垂直状態で平面状に広げられた状態で移送されるため、次にラベル形成領域へ移送されるラベルシート13に皺等が発生するのを抑制することができる。
【0043】
本実施例は、ラベル形成領域に対して垂直状態で平面状に掛渡されたラベルシート13におけるラベル図柄13aの外縁に沿ってレーザ光を出力してラベル7を形成した後にラベル図柄13aの抜け穴13bを有したスクラップシート13cを垂直状態で巻き取って次位のラベル図柄13aをラベル形成領域へ移送するため、巻取りに伴ってラベルシート13に皺等が発生するのを抑制し、ラベル形成領域に対し、次位のラベル図柄13aが印刷されたラベルシート13を平面状に展開した状態で移送することができる。
【0044】
上記説明は、説明の便宜上、上下可動体29に1個の出力ヘッド37を取り付けた構成としたが、上下可動体29に対し、ラベルシート13における移送直交方向に印刷されたラベル図柄13aの数に応じた個数の出力ヘッド37を取り付けてラベル7の切断時間を短縮するように構成してもよい。
【0045】
また、上記説明は、説明の便宜上、ラベルシート13における移送直交方向1行分の4個のラベル図柄13aに対してレーザ光を順に出力してラベル7を形成する構成としたが、上下可動体29に対して上下方向に2個以上の出力ヘッド37を移送方向に対するラベル図柄13a相互の間隔をおいて取り付け、一度の作業によりラベルシート13における複数行のラベル図柄13aに対してレーザ光を同時に出力してラベル7を同時に形成する構成としてもよい。
【0046】
上記説明は、前後可動体21を前後方向へ、また上下可動体29を上下方向へそれぞれ移動制御して出力ヘッド37を垂直状態に掛渡されたラベルシート13に対して二次元移動させてラベル図柄13a外縁に沿ってレーザ光を出力する構成としたが、ラベル形成領域に対応する架台3に、出力軸に反射ミラーが固定された2台のガルバノモータ、反射レーザ光を所要のビーム径に収斂するfθレンズ等またはポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転用電動モータ、fθレンズ、光学系反射ミラー等のレーザ光走査装置を設け、レーザ光走査装置によりラベルシート13の移送直交方向に印刷された各ラベル図柄13aに対してレーザ光を順に走査してラベル7を切断する構成としてもよい。
【0047】
上記説明は、ラベル7のラベル形成領域に応じ架台3の側面上部(搬入側)及び下部(搬出側)に円筒状の転向ロール15aを設け、ラベル形成領域に対してラベルシート13を垂直状態で平面状に広がった状態で掛渡す構成としたが、少なくとも搬入側の転向ロール15a、テンションロール15bの固定側テンションロールを、軸線方向中間部が大径で、軸線方向端部側へ徐々に小径になるテーパ状の外周面を有したクラウンロールとする構成であってもよい。
【0048】
これにより各クラウンロールに掛渡されたラベルシート13を平面状に修正することができ、ラベル形成領域へ移送されるラベルシート13にあっては、移送に伴う蛇行の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 インモールドラベル成形用ラベル形成装置
3 架台
5 シートロール
7 ラベル
9 巻取りロール
11 巻取り用電動モータ
13 ラベルシート
13a ラベル図柄
13b 抜き穴
13c スクラップシート
15a 転向ロール
15b テンションロール
17 固定盤
19 直線ガイド部材
21 前後可動体
23 送りねじ
25 前後動用電動モータ
27 直線ガイド部材
29 上下可動体
33 上下用電動モータ
35 導波管
35a 伸縮導波管部
37 出力ヘッド
39 第1反射部材
41 取付け盤
43 レーザ光発振装置
45 導波管
47 伸縮導波管
49 第2反射部材
51 第3反射部材
53a・53b シート案内板
53c 開口
53d 開口
54 噴射部材
55 ラベル保持機構
57 取付けフレーム
59 反転回動部材
61 直線ガイド
63 可動ブロック
65 作動部材
67 吸着保持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8