(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁支持体は、前記ガイド孔部が形成された第1の絶縁支持体と、各々のガイド孔部に軸方向から連通して各々のコンタクトプローブの一部を収納する収納孔部が形成された第2の絶縁支持体とを組み合わせたものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査治具。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路等の検査対象物の検査を行う場合において、検査対象物と測定器側の検査用基板とを電気的に接続するために、コンタクトプローブが一般的に使用される。
【0003】
図15は、従来のコンタクトプローブ800を絶縁支持体831で支持した検査治具900の正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。なお、本図において、各コンタクトプローブ800の第1プランジャー801及び第2プランジャー802は、非断面で示している。
【0004】
本図に示す検査治具900は、ケルビン測定用である。ケルビン測定とは、電流供給用プローブ及び電圧監視用プローブを検査対象物5の電極、例えば電極バンプ5aに当接させて電気的特性を測定するものである(必要に応じて下記特許文献1又は2参照)。検査治具900では、相互に同一構成の2本のコンタクトプローブ800の一方を電流供給用プローブ、他方を電圧監視用プローブとする。
【0005】
各コンタクトプローブ800は、第1プランジャー801と、第2プランジャー802と、スプリング803と、チューブ804とを備える。第1プランジャー801は検査対象物5との接続部品であり、第2プランジャー802は検査用基板6(図示しない測定機器に接続される)との接続部品である。第1プランジャー801のフランジ部812は、先端側円柱部824よりも大径の円板形状であって、
図15(A)に示す状態でのコンタクトプローブ800の抜止めのため及び先端側円柱部824の突出長を揃えるために設けられる。先端側円柱部824の先端面は、分割山形状(ここでは8分割)であり、外周に中心から等角度間隔で山の頂点が存在する。
【0006】
図15に示すコンタクトプローブ800では、フランジ部812が隣のコンタクトプローブ800側に出っ張るため、隣り合うコンタクトプローブ800の先端側円柱部824同士を近づけて配置することができない。このため、以下に説明するコンタクトピッチを小さくすることができない。
【0007】
図16(A)は、
図15(B)のA-A'矢視図である。
図16(B)は、
図15(B)のB-B'断面図である。
図17は、
図15の第1プランジャー801の先端周辺部拡大図である。これらの図を参照し、隣り合うコンタクトプローブ800のコンタクトピッチP1について説明する。
【0008】
コンタクトピッチP1は、次式で示される。
P1=E+(F×2)+(G×2)+(H×2) …式1
E:絶縁支持体831の最小肉厚
F:絶縁支持体831とフランジ部812の側面との隙間
G:フランジ部812と先端側円柱部824との半径差
H:先端側円柱部824の側面(隣の先端側円柱部824と最も距離が近い側面)から先端面の山の頂点までの距離。※距離は、隣り合うコンタクトプローブ800同士を結ぶ方向に沿う距離である。先端側円柱部824の回転角度次第ではゼロになることもあるが、ここでは最大距離(
図16(A)の状態)とする。
【0009】
上記のとおり、フランジ部812の出っ張りは、コンタクトピッチP1に直接影響しており、狭ピッチ化の妨げとなっている。なお、上記の長さE〜HのうちEとFは、設計上ゼロにすることは不可能である(これ以上小さくできない下限値が存在する)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願人は既に、特願2011-7332号において、従来と比較してコンタクトピッチを狭めることの可能なコンタクトプローブを提案している(
図18〜
図20)。このコンタクトプローブは、フランジ部714を非円柱形として隣接するコンタクトプローブ側に出っ張らないようにすることで、隣接するコンタクトプローブの先端側円柱部719同士の距離を狭めている。また、フランジ部714の回り止め効果を利用して、隣接するコンタクトプローブの先端側円柱部719の接触部719aを山の頂点同士が最短距離となるような角度に保持している。これらの工夫により、次式に示すコンタクトピッチP2が実現されている。
P2=E+(F×2) …式2
E:絶縁支持体731の最小肉厚
F:絶縁支持体731と先端側円柱部719の側面との隙間
【0012】
式2で示すコンタクトピッチP2は、式1で示した従来のコンタクトピッチP1よりもΔP=(G×2)+(H×2)の分だけ狭くなっている。ここで、上述のとおり長さEとFは所定の下限値より小さくすることができないため、さらなる狭ピッチ化のためには、別の観点からの工夫が必要となる。
【0013】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、従来と比較してコンタクトピッチを狭める新たな工夫を施した検査治
具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある態様は、検査治具である。この検査治具は、
複数のコンタクトプローブと、前記複数のコンタクトプローブを並列に支持する絶縁支持体とを備え、
各々のコンタクトプローブは、一方が検査対象物との接続用で他方が検査用基板との接続用の第1及び第2プランジャーと、前記第1及び第2プランジャーを互いに離れる方向に付勢するスプリングとを有し、
前記絶縁支持体は、前記複数のコンタクトプローブがそれぞれ内側に延在する複数の貫通孔部を有し、
各々の貫通孔部は、各々のコンタクトプローブの第1プランジャーの先端部を摺動自在にガイドするガイド孔部を含み、
隣り合う所定の2つのガイド孔部の間の壁部に前記第1プランジャーの前記先端部の外径よりも小さい幅で前記第1プランジャーの長さ方向に延びる連結部が設けられて前記2つのガイド孔部が相互に連通し
、
前記連結部は、隣り合う前記第1プランジャーの前記先端部が互いに接触しない幅であり、
前記2つのガイド孔部を含む2つの貫通孔部の内側にそれぞれ延在する2つのコンタクトプローブは、各々の第1プランジャーの前記先端部において互いに最も近接し、前記先端部が検査対象物又は検査用基板との接触部を有する。
【0015】
前記2つのガイド孔部は互いに重ならない範囲で近接していてもよい。
【0016】
前記連結部の内面が丸穴の側面の一部であってもよい。
【0017】
前記絶縁支持体は、前記ガイド孔部が形成された第1の絶縁支持体と、各々のガイド孔部に軸方向から連通して各々のコンタクトプローブの一部を収納する収納孔部が形成された第2の絶縁支持体とを組み合わせたものであってもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現をシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来と比較してコンタクトピッチを狭める新たな工夫を施した検査治
具が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検査治具30の正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。
図2は、
図1(A)のH-H'断面図(スプリング開放状態)である。これらの図において、各コンタクトプローブ100の第1及び第2プランジャー1,2は、非断面で示している。
図3(A)は、
図1(B)のG-G'矢視図である。
図3(B)は、
図1(B)のJ-J'断面図である。
図3(C)は、第1プランジャー1を先端方向から見た図である。
図4は、
図1の第1プランジャー1の先端周辺部拡大図である。
図5は、
図3(A)を寸法説明用に拡大した拡大図である。
図6は、
図5において隣り合う先端側円柱部19同士が最も接近した場合の状態説明図である。
図7は、
図5におけるより詳細な寸法説明用拡大図である。
【0024】
本実施の形態の検査治具30は、ケルビン測定用であり、相互に同一構成の2本のコンタクトプローブ100の一方を電流供給用プローブ、他方を電圧監視用プローブとする。コンタクトプローブ100の軸方向をZ軸方向、後述のフランジ部14が突出する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向の双方と垂直な方向をY軸方向とする直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)を、
図1(A)に示すように定義する。
【0025】
コンタクトプローブ100は、第1プランジャー1と、第2プランジャー2と、スプリングとしてのコイルスプリング3と、チューブ4とを同軸に備える。第1プランジャー1は、検査対象物5との接続部品である。第2プランジャー2は、検査用基板6との接続部品である。銅又は銅合金等の導電性金属体であるチューブ4は、第1及び第2プランジャー1,2を摺動自在に保持するもので、第1及び第2プランジャー1,2の基端側とコイルスプリング3とを内部に収容する。例えばピアノ線やステンレス線等の一般的な導体金属材質で形成されたコイルスプリング3は、第1及び第2プランジャー1,2を互いに離れる方向に付勢するように第1及び第2プランジャー1,2に対して設けられ、第1及び第2プランジャー1,2に検査対象物5及び検査用基板6との接触力を与える。検査対象物5は、例えば電極が所定間隔で配列された半導体集積回路であり、図示の場合、電極バンプ5aが所定間隔で配列されたものである。検査用基板6は、測定器側に接続される電極パッド(図示せず)を電極バンプ5aに対応して所定間隔で有するものである。
【0026】
銅又は銅合金等の導電性金属体である第1プランジャー1は、基端側から順に、基端側円柱部11と、第1小径部12と、第2小径部13と、フランジ部14と、第3小径部17と、先端側円柱部19とを有する。同じく銅又は銅合金等の導電性金属体である第2プランジャー2は、基端側から順に、基端側円柱部21と、小径部22と、先端側円柱部29とを有する。コイルスプリング3は、第1及び第2プランジャー1,2の基端側円柱部11,21の端面間に設けられ、各端面に離間方向の付勢力を与える。円筒状のチューブ4は、軸方向の異なる2箇所の中間部側面に、リング状に内側に凹んだ絞り部401,402を第1及び第2プランジャー1,2の抜止めのために有する。
【0027】
第1プランジャー1において、基端側円柱部11は、絞り部401の内径よりも大径である。円柱状の第1小径部12は、絞り部401の内径よりも小径である。軸方向について第1小径部12の存在範囲内に絞り部401が位置する。したがって、基端側円柱部11が絞り部401に引っ掛かり、第1プランジャー1はチューブ4からの抜けが防止される。円柱状の第2小径部13は、絞り部401の内径よりも大径であり、常に一部がチューブ4内部に位置する。
【0028】
フランジ部14は、
図3(B),(C)に示すように、先端側円柱部19よりも大径の円板の側面を、軸方向(Z方向)から見て例えば略菱形となるように4面カットした形状である。なお、本図の例では、軸方向から見てフランジ部14のX方向両端の頂点に相当する側面部分14a,14bは、カットされずに円弧面となっている。換言すれば、フランジ部14は、4つの平面である側面141〜144を有し、側面141〜144(及びそれらと同一平面の延長面)で囲まれた領域が軸方向から見て略菱形となる形状である。そして、フランジ部14は、
図1(A)に示すように、X方向から見ると、先端側円柱部19よりも幅が狭く、かつ先端側円柱部19の存在幅内にある、すなわち先端側円柱部19の側面よりも外側に(軸方向と垂直な方向に)延びない。他方、
図2に示すように、Y方向から見ると、先端側円柱部19よりも幅が広く、かつ先端側円柱部19の側面よりも外側に(軸方向と垂直な方向に)延びる(突出する)。すなわち、
図3(C)に示すように、フランジ部14は、軸方向から見て、先端側円柱部19の側面の一部19b,19cから外側に延びる一方、当該一部19b,19cを除く部分からは外側に延びない。なお、
図3(C)に示すように、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びる一部19b,19cの範囲は、それぞれ軸方向から見て中心角θが90°以内であるとよい。また、フランジ部14は、軸方向から見て、中心軸からX方向に行くほど幅が狭くなるように延びる(先細に延びる)とよい。
【0029】
円柱状の第3小径部17は、基端がフランジ部14の先端側端面と連なる。先端側円柱部19は、チューブ4の外径よりも大径であり、そのため隣り合う先端側円柱部19、19の間隔がチューブ4、4の間隔よりも狭くなっている。先端側円柱部19の先端は、検査対象物5の電極バンプ5aと接触する接触部19aとなっている。接触部19aは、分割山形状(ここでは8分割)であり、外周に中心から等角度間隔(ここでは45°間隔)で山の頂点が存在する。なお、
図3(A),(C)では、山の稜線(凸部の稜線)を図示する一方、谷線の図示は省略している。
【0030】
第2プランジャー2において、基端側円柱部21は、絞り部402の内径よりも大径である。円柱状の小径部22は、絞り部402の内径よりも小径である。軸方向について小径部22の存在範囲内に絞り部402が位置する。したがって、基端側円柱部21が絞り部402に引っ掛かり、第2プランジャー2はチューブ4からの抜けが防止される。先端側円柱部29は、絞り部402の内径よりも大径であり、基端側が部分的にチューブ4内部に位置する。先端側円柱部29の先端は、検査用基板6の電極パッド(不図示)と接触する接触部29aとなっている。接触部29aは、例えば円錐形状である。
【0031】
検査治具30は、コンタクトプローブ100を複数本平行に配置するための貫通孔部32を所定間隔で有する絶縁支持体31を備え、各貫通孔部32にコンタクトプローブ100を挿入配置したものである。具体的には、第1プランジャー1、第2プランジャー2、コイルスプリング3及びチューブ4を一体的に組み立ててコンタクトプローブ100を構成したものを、絶縁支持体31の貫通孔部32に挿入配置する。なお、絶縁支持体31は、コンタクトプローブ100を貫通孔部32内に組み込むために、第1層31a及び第2層31bに分割された構造となっている。
【0032】
貫通孔部32の第1層31aに形成される第1のガイド孔部33は、第1プランジャー1の先端側円柱部19よりも若干大径の丸穴であって第1プランジャー1の先端側円柱部19を摺動自在に支持する。貫通孔部32の第2層31bの下端部に形成される第2のガイド孔部34は、第2プランジャー2の先端側円柱部29よりも若干大径の丸穴であって第2プランジャー2の先端側円柱部29を摺動自在に支持する。貫通孔部32の第2層31bの第2ガイド孔部34を除く部分に形成される中間孔部35(収納孔部)は、第1のガイド孔部33よりも小径で、チューブ4よりも若干大径であるとともに、第1層31aとの境界付近(フランジ部14の可動用のスペース)で
図2に示すようにX方向に広げられている。第1のガイド孔部33は、フランジ部14に係合してコンタクトプローブ100の抜け出しを規制する。第2のガイド孔部34は、チューブ4よりも小径であり、コンタクトプローブ100の一端に係合してチューブ4の抜け出しを規制する。
【0033】
図1(A),(B)、
図3(A)及び
図4に示すように、1つのバンプ電極5aに接触するように隣り合う2つの第1プランジャー1、1の先端側円柱部19、19をそれぞれ摺動自在に支持する2つの第1のガイド孔部33、33(隣り合う2つの第1のガイド孔部33、33)の間の壁部33aには、連通部としてのスリット33bが設けられている。スリット33bは、第1プランジャー1の先端側円柱部19の外径よりも小さい幅K(
図3(A))で、第1プランジャー1の長手方向(Z軸方向)に第1のガイド孔部33の全長に渡って延びる。スリット33bの幅方向(X軸方向)の中心位置と先端側円柱部19の同方向の中心位置は好ましくは相互に一致する。スリット33bにより隣り合う2つの第1のガイド孔部33が相互に連通する。
【0034】
検査治具30において、隣り合うコンタクトプローブ100、100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分(
図3(C)において符号19b,19cで示す部分以外の部分)同士が対面する。本実施の形態では、隣り合うコンタクトプローブ100、100のコンタクトピッチP4は、次式で示される(
図3(A)、
図4及び
図5参照)。
P4=E3+(F×2) …式3
E3:スリット33bが無いと仮定した場合の2つの第1のガイド孔部33、33の側面間距離
F:第1のガイド孔部33と先端側円柱部19の側面との隙間
【0035】
式3のE3は、絶縁支持体31の製造技術上の最小肉厚E(式1及び式2)よりも小さくすることができるため、本実施の形態のコンタクトピッチP4は、式1及び式2に示すコンタクトピッチP1及びP2よりも狭めることが可能である。ただし、
図6に示すように隣り合う先端側円柱部19、19同士が最も近接したときにも両者が接触しない(下記のP6が正の値を持つ)ことが必要となる。最近接時のピッチP6は次式で示される。
P6=P4−F2×2 …式4
P4:通常時のコンタクトピッチ(式3)
F2:第1のガイド孔部33の中心にある先端側円柱部19が隣の先端側円柱部19に最も接近するときの移動距離(
図5)
【0036】
式4におけるF2は、以下の式で求められる(
図7も参照)。
【数1】
R1:先端側円柱部19の半径
R2:第1のガイド孔部33の半径
K:スリット33bの幅
【0037】
式5のF2を式4に当てはめると、以下のようになる。すなわち、KはP6>0となるように設定される。
【数2】
【0038】
検査治具30の製造の流れは次のとおりである。まず、互いに重ならない大径貫通孔(第1のガイド孔部33に対応)を絶縁体に複数形成し、隣り合う2つの大径貫通孔の双方と部分的に重なる小径貫通孔(スリット33bに対応)を前記2つの大径貫通孔の間に形成して絶縁支持体31の第1層31aを成す。一方、
図8に示すように、絶縁支持体31の第2層31bを成す。
図8において、メイン孔部311は、
図1に示す第1及び第2プランジャー1,2の基端側、コイルスプリング3、チューブ4を収容するものである。メイン孔部311のX方向両側にメイン孔部311と連なって存在する所定深さのフランジ用穴部312,313は、メイン孔部311よりも小径で、フランジ部14のうち軸方向から見て先端側円柱部19の側面から外側に延長した部分がZ方向に移動する空間を確保する。加工順序としては、まずフランジ用穴部312,313の加工後に、メイン孔部311を加工する。続いて、絶縁支持体31の第2層31bの複数の貫通孔(複数の中間孔部35とガイド孔部34)の各々にコンタクトプローブ100を挿通し、各々のコンタクトプローブ100のうち絶縁支持体31の第2層31bから突出した部分が各々の第1のガイド孔部33を貫通するように絶縁支持体31の第1層31aを第2層31bに組み付ける。
【0039】
検査治具30を使用して検査を行う場合、検査治具30は検査用基板6上に位置決め載置され、この結果、コイルスプリング3が所定長だけ縮んで第2プランジャー2の先端側円柱部29の接触部29aが検査用基板6の電極パッドに弾接する。半導体集積回路等の検査対象物5が無い状態では、第1プランジャー1はフランジ部14が第1のガイド孔部33で規制されるまで突出方向に移動しており、先端側円柱部19の突出量は最大となっている。検査対象物5が検査治具30の絶縁支持体31に対して所定の間隔で対向配置されることにより、先端側円柱部19は後退してコイルスプリング3はさらに圧縮され、その結果、先端側円柱部19は検査対象物5の電極バンプ5aに弾接する。この状態で検査対象物5の検査が実行される。
【0040】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0041】
(1) 隣り合う2つの第1のガイド孔部33の間の壁部33aにスリット33bを設けるという新たな工夫により、従来と比較してコンタクトピッチを狭めることが可能となる。
【0042】
(2) 隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来の円柱形のフランジの場合と比較してコンタクトピッチを狭めることが可能となる。
【0043】
(3) フランジ部14が第1プランジャー1の回り止めとなるため、隣り合うコンタクトプローブ100の先端側円柱部19の接触部19aを、山の頂点同士が最短距離となるような角度に保持できる。このことも、従来と比較してコンタクトピッチを狭める点で有利である。
【0044】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る検査治具で用いる絶縁支持体31の第1層31aをZ軸方向から見た図である。本実施の形態の検査治具は、第1の実施の形態のものと比較して、絶縁支持体31の第1層31aにおいてスリット33bの内面が丸穴の側面の一部である点で相違し、その他の点で一致する。スリット33bの内面が丸穴の側面の一部であることにより、他の貫通孔と同様にスリット33bの加工にも一般的な汎用ドリルを使用可能で好ましい。
【0045】
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る検査治具の説明図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)、(C)は(B)のK-K'断面図である。本実施の形態の検査治具は、第1の実施の形態のものと比較して、チューブ4を無くした点で相違し、その他の点で一致する。すなわち、コンタクトプローブ300の第1プランジャー1は、
図1等に示す第1の実施の形態の基端側円柱部11、第1小径部12、第2小径部13をチューブ4と略同径の基端側円柱部411に置き換え、基端側円柱部411の基端側端面の中央部からそれより小径の棒状部412を軸方向に突出させた構成である。基端側円柱部411の基端側端面の縁部にはコイルスプリング3が当接する。棒状部412はコイルスプリング3の内側に延びる。コンタクトプローブ300の第2プランジャー2は、第1の実施の形態の基端側円柱部21、小径部22をチューブ4と略同径の基端側円柱部421に置き換え、基端側円柱部421の基端側端面の中央部からそれより小径の棒状部422を軸方向に突出させた構成である。基端側円柱部421の基端側端面の縁部にはコイルスプリング3が当接する。棒状部422はコイルスプリング3の内側に延びる。コイルスプリング3は、第1の先端側円柱部19よりも小径で、基端側円柱部411,421の基端側端面に離間方向の付勢力を与える。第1プランジャー1、第2プランジャー2およびコイルスプリング3がコンタクトプローブ300を構成している。複数のコンタクトプローブ300の配列は、第1の実施の形態と同じでよい。
【0046】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係る検査治具の説明図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)である。本実施の形態の検査治具は、
図1等に示す第1の実施の形態のものと比較して、コンタクトプローブ400の第1プランジャー1のフランジ部14が無くなった点で相違し、その他の点で一致する。この場合、第1プランジャー1の上方への抜け防止機能はチューブ4の絞り部401が持つことになり、フランジ部14による抜止めと比較して抜け防止力が弱いものの、例えば検査治具を上下ひっくり返して利用しない製品への適用には問題がない。
【0047】
図12(A)は、本発明の第5の実施の形態に係る検査治具における第1プランジャー1の先端周辺部拡大図である。
図12(B)は、第1プランジャー1の先端部側面図である。本実施の形態の検査治具は、
図1等に示す第1の実施の形態のものと比較して、第1プランジャー1の先端側円柱部19の接触部19aが特許文献1と同様に軸方向に対して斜めでさらにこの斜めとは異なる方向で互いに逆向きに傾いた2つの面で切断して切断面の中央部に稜線を設けた形状とされている点で相違し、その他の点で一致する。
【0048】
図13は、本発明の第6の実施の形態に係る検査治具のケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)における正断面図である。
図14(A)は、
図13のA-A'矢視図である。
図14(B)は、
図13のB-B'断面図である(コイルスプリング省略)。
【0049】
本実施の形態の検査治具は、
図1等に示す第1の実施の形態のものと比較して、第1プランジャー1の先端側円柱部19が断面半円形の先端側半円柱部190に変わっており、それに合わせてガイド孔部33の形状も丸穴から断面半円形に変わっている。先端側半円柱部190の先端は軸方向に対して斜めに切り欠かれている。隣り合う先端側半円柱部190は、円弧側同士が向かい合い、且つ、斜めに切り欠かれた傾斜面が互いに背中合わせとなるように配置される。また、スリット33bは絶縁支持体31の第1層31aだけでなく第2層31bにも延びている(隣り合う第1のガイド孔部33の間だけでなく、隣り合う中間孔部35の間にも延びている)。
【0050】
また、第1プランジャー1の基端側円柱部11は、先端側半円柱部190と同径で先端側半円柱部190から基端側に延び、チューブ4を兼ね備えた形状となっている。すなわち、基端側円柱部11の基端側端面から、所定深さに渡って穴部197が形成され、穴部197内にコイルスプリング3と第2プランジャー2の基端側円柱部21が位置する。穴部197は、開口側が例えばかしめ加工で小径化されており、つまり第1プランジャー1の基端側円柱部11の基端がかしめられてかしめ部11dが形成されており、第2プランジャー2の基端側円柱部21の抜けが防止される。ガイド孔部34は、第1プランジャー1の基端側円柱部11よりも小径で、かつ第2プランジャー2の先端側円柱部29よりも大径である。コイルスプリング3は、第2プランジャー2の基端側円柱部21の端面と穴部197の底面との間に設けられ、各端面に離間方向の付勢力を与える。第1プランジャー1、第2プランジャーおよびコイルスプリング3がコンタクトプローブ500を構成する。
【0051】
図13は、本実施の形態の検査治具を検査用基板6(端子は図示せず)上にセットした状態を示している。検査用基板6を絶縁支持体31の第2層31b下面に当接させると、第1プランジャー1の基端側円柱部11が第1層31aに当接したところで上方への移動が阻止されて、コイルスプリング3が圧縮される、これにより、第2プランジャー2は検査用基板6の端子(図示せず)に弾接され、第1プランジャー1は絶縁支持体31の外側(上方)に向かって付勢されている。
【0052】
本実施の形態では、絶縁支持体31の第1層31aのガイド孔部33を先端側半円柱部190の断面形状に合わせて半円形にすることによって、第1プランジャー1が回ってしまうのを防ぐことができるとともに、第1プランジャー1が絶縁支持体31の第2層31bから抜けでるのを防止することができる。
【0053】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0054】
ケルビン測定用の一組のコンタクトプローブは、同一形状でなくてよく、例えば電流供給用のコンタクトプローブを電圧監視用のものよりも大径にしてもよい。
【0055】
コンタクトプローブ及びソケットの用途はケルビン測定に限らず、電極バンプ5aがコンタクトプローブと同数存在するものであってもよい。