(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて、本発明にかかるエアバッグ装置の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態のエアバッグ11を示す図である。
図1(a)は、エアバッグ11の全体図である。
図1(b)は、エアバッグ11の裏側から見たスリット付近の拡大図である。
【0024】
第1実施形態のエアバッグ11は、基布11aを縫製して風船状に形成され、略楕円形の形状を有し、内側にガスを注入されることで膨張する。エアバッグ11は、膨張時に歩行者等の衝突対象との衝撃を緩和させるものである。
【0025】
エアバッグ11は、基布11aと、スリット11bと、取付孔11cと、を有する。
【0026】
スリット11bは、基布11aの一部に切り込みを入れたもので、後述するインフレータ等を挿入する部分である。第1実施形態のスリット11bは、エアバッグ11の長手方向Aに対して、約45°の方向で形成されることが好ましい。
【0027】
取付孔11cは、後述するインフレータの取付部が挿入される孔である。取付孔11cは、エアバッグ11の長手方向Aに沿って、少なくともインフレータの取付部と同じ数、形成されることが好ましい。取付孔11cをエアバッグ11の長手方向Aに沿って設けることで、筒状のインフレータの長手方向に揃えることができ、エアバッグ11を安定して保持することが可能となる。
【0028】
図2は、第1実施形態のインフレータ12及びインフレータ支持部材13を示す図である。
【0029】
第1実施形態のインフレータ12は、インフレータ本体12aと、フロントピラーに対して取り付けるための取付部12bと、を有する。
【0030】
インフレータ本体12aは、円筒形状の内部に圧縮ガスを充填し、エアバッグ11内にガスを流入させてエアバッグ11を膨張させるものである。取付部12bは、インフレータ本体12aから突出した棒状の部材であり、フロントピラー等の車体に挿通してインフレータ12を取り付けるものである。取付部12bは、車体に対して安定して取り付けられるように、少なくとも2つ設けることが好ましい。
【0031】
インフレータ支持部材13は、インフレータ本体12aを載置する載置部13aと、載置部13aに隣接し載置部13a側を開口させた筒状に形成され、インフレータ本体12aを収納する収納部13bと、を有する。載置部13aの収納部13bとは反対側には、切り込み13cが形成されている。
【0032】
インフレータ12とインフレータ支持部材13は、インフレータ12の取付部12bをインフレータ支持部材13の切り込み13cに挿入し、インフレータ本体12aを載置部13aに載置した後、インフレータ12をインフレータ支持部材13の載置部13a側から収納部13b側へ差し込む動作だけで、簡単に組み付けることが可能となる。
【0033】
図3は、第1実施形態のエアバッグ11にインフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入する状態を示す図である。
図4は、第1実施形態のエアバッグ11にインフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入した後の状態を、エアバッグ11を透過して示す図である。
【0034】
図3に示すように、インフレータ12及びインフレータ支持部材13は、一体となって、エアバッグ11のスリット11bから挿入される。インフレータ12及びインフレータ支持部材13をエアバッグ11に挿入した後、
図4に示すように、インフレータ12の取付部12bは、エアバッグ11の取付孔11cに挿通される。したがって、インフレータ12及びインフレータ支持部材13は、インフレータ12の取付部12bを除いてエアバッグ11の内部に配置される。
【0035】
すなわち、エアバッグ11は、インフレータ12を挿入するスリット11bを有するので、エアバッグ11内にインフレータ12を容易に挿入することが可能となる。また、インフレータ12は、本体から突出した取付部12bを有し、エアバッグ11は、スリット11bの両側に取付孔11cを有し、インフレータ12の取付部12bは、エアバッグ11の取付孔11cを挿通するので、エアバッグ11内にインフレータ12を挿入した後、スリット11b上にインフレータ12が設置されるため、膨張後のガス漏れを低減することが可能となる。
【0036】
図5は、第1実施形態のエアバッグ11を、インフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入した後、折りたたんだ状態を示す図である。
【0037】
インフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入した後、エアバッグ11は、コンパクトに折り畳まれる。折り畳み方は、ロール状に折り畳んでも、蛇腹状に折り畳んでもよい。
【0038】
このように、エアバッグ11を、インフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入した後、折り畳む構成とするので、小型で取り付け部分の設計の自由度を高くすると共に、組み付け性を良くすることが可能となる。
【0039】
図6は、第1実施形態のエアバッグ装置10を示す図である。
図7は、エアバッグ装置10のインフレータ12の取付部12b付近の分解図である。
【0040】
図6に示すように、エアバッグ装置10は、インフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入した後、折り畳んだ状態のエアバッグ11を、カバー14で覆い、モジュール化したものである。
【0041】
カバー14は、カバー本体14aと、取付孔14bと、拡開部14cと、を有する。取付孔14bは、インフレータ12の取付部12bを挿通する孔である。拡開部14cは、エアバッグ11の膨張時にカバー本体14aを拡開させる部分である。
【0042】
エアバッグ装置10を形成するには、
図5に示したような、インフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入した後、折りたたんだ状態のエアバッグ11を、インフレータ支持部材13の取付部13bに取付孔14bを挿通したカバー本体14aで包み、拡開部14cを縫製する。
【0043】
このように、インフレータ12を内側に取り付け、折り畳んだ状態のエアバッグ11を覆ってモジュール化するカバー14を備えるので、組み付けを容易にすることが可能となる。
【0044】
図8は、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11c付近の他の例を示す図である。
【0045】
図8に示す例では、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11c付近に第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2を積層している。
図8(a)は、エアバッグ11、第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2の積層状態を示す図であり、
図8(b)は、エアバッグ11のスリット11b、第1パッチスリット11
1b及び第2パッチスリット11
2bの状態を示す図である。
【0046】
第1パッチ11
1は、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11cが覆われる程度の大きさであって、基布11aと同様の材料の薄膜を用いた第1パッチ本体11
1aと、エアバッグ11のスリット11bに対して中央付近で交差する角度に形成された第1パッチスリット11
1bと、インフレータ12の取付部12bが挿通される第1パッチ孔11
1cと、を有する。
【0047】
第2パッチ11
2は、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11cが覆われる程度の大きさであって、基布11aと同様の材料の薄膜を用いた第2パッチ本体11
2aと、エアバッグ11のスリット11b及び第1パッチ11
1の第1パッチスリット11
1bに対して中央付近で交差する角度に形成された第2パッチスリット11
2bと、インフレータ12の取付部12bが挿通される第2パッチ孔11
2cと、を有する。
【0048】
図8(a)に示すように、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11cの付近の基布11a、第1パッチ本体11
1a、及び第2パッチ本体11
2aは、重ねて取り付けている。
【0049】
したがって、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11cの付近の強度を高めることが可能となる。
【0050】
また、
図8(b)に示すように、エアバッグ11のスリット11b、第1パッチスリット11
1b及び第2パッチスリット11
2bは、それぞれ角度が異なっている。例えば、エアバッグ11のスリット11bは、方向Aに対して45°傾斜させ、第1パッチスリット11
1bは、方向Aに対してスリット11bとは逆方向に45°傾斜させ、第2パッチスリット11
2bは、方向Aに対して90°に設けられている。
【0051】
第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2を積層せず、エアバッグ11のスリット11bのみの場合、エアバッグ11の基布11aの内側と外側の間の空隙は、線状となる。これに対して、第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2を積層し、各スリットの角度を異ならせて設けることで、
図8(b)に示すように、エアバッグ11のスリット11b、第1パッチスリット11
1b及び第2パッチスリット11
2bに共通の空隙は、各スリットの重なった中心点Oのみとなる。
【0052】
したがって、エアバッグ11の膨張時のガス漏れを低減することが可能となる。
【0053】
なお、
図8に示した例では、上からエアバッグ11、第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2と積層している。すなわち、エアバッグ11の外側に第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2を積層している。しかしながら、この順に限らず、例えば、第1パッチ11
1及び第2パッチ11
2は、エアバッグ11の内側に積層してもよい。また、第1パッチ11
1又は第2パッチ11
2の一方を内側、他方を外側に積層してもよい。すなわち、積層する順番は、特定しなくてもよい。
【0054】
図9は、第1実施形態のエアバッグ11を折りたたんだ状態の他の例を示す図である。
【0055】
この例では、
図5に示したように折り畳んだ状態から、エアバッグ11の方向Aの長さがさらに短くなるように折り畳んだものである。このように、折り畳むことによって、さらにコンパクトに収納することができ、エアバッグ装置10のモジュールを小さくすることが可能となる。
【0056】
図10は、第1実施形態のカバー14と収納部材15を示す図である。
図10(a)は、カバー14及び収納部材15が閉じた状態、
図10(b)は、カバー14及び収納部材15が開いた状態を示す。ただし、エアバッグ装置10のうち、カバー14のみ示しており、残りは省略している。
【0057】
図6に示したエアバッグ装置10は、
図10(a)に示すように、加飾部材としての収納部材15に収納される。収納部材15は、例えば、ピラーに取り付けられる外装部品やピラー構造体等でよく、収納部材本体15aと、拡開部15bと、を有する。収納部材本体15aは、エアバッグ装置10を収納する部材である。拡開部15bは、エアバッグの膨張時に拡開する部分である。カバー14の拡開部14cと収納部材15の拡開部15bは、図示しないエアバッグに対してほぼ同じ方向に配置することが好ましい。
【0058】
カバー14の拡開部14cと収納部材15の拡開部15bを図示しないエアバッグに対してほぼ同じ方向に配置することで、
図10(b)に示すように、カバー14の拡開部14cと収納部材15の拡開部15bの拡開位置がほぼ同じとなる。したがってエアバッグの膨張時にカバー14の拡開部14cと収納部材15の拡開部15bは、円滑に拡開することが可能となる。また、拡開時に、カバー14は、収納部材15の拡開部15bを覆う構造とすることによって、収納部材15の拡開部15bでエアバッグに傷をつけることが低減される。
【0059】
図11は、第1実施形態のエアバッグ11が膨張した状態を示す図である。
【0060】
衝撃等の感知によってインフレータ12からガスが発生すると、インフレータ12からガスが噴出し、
図11に示すように、エアバッグ11が膨張する。エアバッグ11が膨張すると、カバー14は、エアバッグ11の下方に拡がる。
【0061】
このように、第1実施形態のエアバッグ装置10は、インフレータ12がエアバッグ11の基布11aの内部に配置されているので、インフレータ12とエアバッグ11の間の配管が必要なくなり、エアバッグ11の膨張の時間を短くすることが可能となる。また、エアバッグ11が膨張すると、カバー14がエアバッグ11の下方に拡がるので、エアバッグ11と他の部材との干渉を低減することが可能となる。
【0062】
次に、エアバッグ装置10を車両1に搭載した状態を説明する。
【0063】
図12は、第1実施形態のエアバッグ装置10を搭載した車両1の斜視図である。
図13は、第1実施形態の車両のフロントピラー付近の断面図である。
【0064】
図中、1は車両、2はフロントピラー、3はウインドシールド、4はドア、10はエアバッグ装置、12はインフレータ、14はカバー、15は収納部材である。
【0065】
車両1は、図示しないメンバーあるいはエンジンルームフレームとルーフを連結するフロントピラー2を有する。また、フード、ルーフ及びフロントピラー2に囲まれ、シールを介して取り付けられたウインドシールド3を有する。また、フロントピラー2を挟んで、ウインドシールド3の反対側にドア4を有する。
【0066】
図13に示すように、フロントピラー2は、車体を形成するフレームピラー2aと、車室側で内装材を形成する内装ピラー2bと、エアバッグ装置10が収納される収納部材15と、を有する。エアバッグ装置10は、インフレータ12から突出した取付部12bを、フレームピラー2aの取付孔2cに挿入し、ナット等によって固定することで取り付けられる。
【0067】
収納部材15は、収納部材本体15aと、拡開部15bと、収納部材本体15aを折り曲げ可能な折曲部15cと、インフレータ12から突出した取付部12bが挿通する挿通孔15dと、を有する。収納部材15は、エアバッグ装置10と同様に、インフレータ12から突出した取付部12bを、挿通孔15dに挿通した状態で、フレームピラー2aの取付孔2cに挿入し、ナット等によって固定することで取り付けられる。すなわち、エアバッグ装置10は、インフレータ12をエアバッグ内に内蔵したモジュールの状態で、車両1のフロントピラー2に収納される。
【0068】
このように、エアバッグ装置10は、インフレータ12をエアバッグ内に内蔵したモジュールの状態で、車両1のフロントピラー2に収納されるので、小型で組み付け性を良好にすることが可能となる。
【0069】
図14は、第1実施形態のエアバッグ装置10が膨張した状態の車両1の斜視図である。
図15は、
図14のアバッグ装置10付近を拡大した図である。
図16は、
図15は第1実施形態の車両のフロントピラー付近の断面図である。
【0070】
図12及び
図13に示すような収納状態にあるエアバッグ装置10は、車両1が図示しない衝突対象と衝突し、車両1に発生した衝撃力を図示しない検知部等で検知した場合、その検知信号に基づき制御部等により作動される。
【0071】
エアバッグ装置10は、作動を始めると、インフレータ12からエアバッグ11内にガスを流入させ、エアバッグ11を膨張させる。エアバッグ11が膨張すると、膨張圧力により、カバー14が開く。その後、エアバッグ11全体が折り畳まれた状態から完全に外部に露出する。そして、エアバッグ11は、完全に膨張する。膨張完了段階のエアバッグ装置10の状態を以下に説明する。
【0072】
膨張完了段階では、エアバッグ11は、フロントピラー2の前方で、フロントピラー2に沿う方向に展開する。また、
図16に示すように、膨張完了段階では、エアバッグ11は、収納部材15により、フロントピラー2の前方及びウインドシールド3の方向へ膨張方向が規制される。
【0073】
このように、エアバッグ11は、収納部材15により、フロントピラー2の前方及びウインドシールド3の方向へ膨張方向が規制されるので、歩行者等の衝突対象と衝突した際に、エアバッグ11がウインドシールド3とは反対方向であるフロントピラー2の外側に逃げてしまうことを低減することができ、フロントピラー2の前方で衝突対象を受けることが可能となる。
【0074】
また、
図16に示すように、エアバッグ11膨張時に、ウインドシールド3の表面からウインドシールド3に隣接する収納部材15の拡開部15bの先端までの距離は、ウインドシールド3の表面からワイパーゴム5aの上端までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0075】
このように、収納部材15の拡開部15bの先端のウインドシールド3からの高さを設定することにより、エアバッグ11の基布11aとワイパー5との干渉が低減され、エアバッグ11の基布11a及びワイパー5の損傷を低減することが可能となる。
【0076】
図17は、車両1のフロントピラー2の形状が異なる場合のエアバッグ11の膨張時の断面図である。
【0077】
図17に示すフロントピラー2は、
図16に示した収納部材15を有しておらず、図示しない外装部品のみを用いる。すなわち、
図17に示すフロントピラー2は、車体を形成するフレームピラー2aと、車室側で内装材を形成する内装ピラー2bと、を有する。エアバッグ装置10は、インフレータ12から突出した取付部12bを、フレームピラー2aの取付孔2cに挿入し、ナット等によって固定することで取り付けられる。また、フレームピラー2aは、膨張前のエアバッグ装置10を内蔵する凹部2dを有する。
【0078】
このような形状のフロントピラー2の場合、凹部2dにエアバッグ装置10を収納することができ、収納部材15を使用する必要がなく、凹部2dを覆う外装部品のみを使用すればよいので、低コストで、組み付け性を良好にすることが可能となる。
【0079】
図18は、第2実施形態のエアバッグ11にインフレータ12及びインフレータ支持部材13を挿入し、折りたたむ過程を示す図である。
【0080】
第2実施形態のエアバッグ11は、L字状の基布11aを使用する。そのため、折り畳みの方法が第1実施形態と若干異なる。
【0081】
図18(a)に示すように、インフレータ12及びインフレータ支持部材13は、一体となって、エアバッグ11のスリット11bから挿入され、インフレータ12の取付部12bは、エアバッグ11の取付孔11cに挿通される。したがって、インフレータ12及びインフレータ支持部材13は、インフレータ12の取付部12bを除いてエアバッグ11の内部に配置される。
【0082】
続いて、
図18(b)に示すように、エアバッグ11のL字状の基布11aのA方向に対して交差する方向に突出している突部11dのうち、端部からインフレータ12及びインフレータ支持部材13までの部分を折り畳む。
【0083】
続いて、
図18(c)に示すように、エアバッグ11のL字状の基布11aのA方向に対して交差する方向に突出している突部11dを折り畳み全体を長方形状とする。
【0084】
続いて、
図18(d)に示すように、エアバッグ11は、コンパクトに折り畳まれる。折り畳み方は、ロール状に折り畳んでも、蛇腹状に折り畳んでもよい。
【0085】
図19は、第2実施形態のエアバッグ11の膨張時の状態を示す図である。
【0086】
第2実施形態のエアバッグ11は、突部11dを有するL字状の基布11aを使用する。そのため、
図14に示した車両1に用いた場合、エアバッグ11が膨張すると、突部11dは、ウインドシールド3の上方に突出し、ワイパー5と干渉するおそれがある。
【0087】
そこで、第2実施形態のエアバッグ装置10は、エアバッグ11とカバー14の間にプロテクタクロス16を設ける。プロテクタクロス16は、エアバッグ11の基布11aと同様にL字状の形状とする。
【0088】
また、
図16に示した第1実施形態と同様に、エアバッグ11膨張時に、ウインドシールド3の表面からウインドシールド3に隣接する収納部材15の拡開部15bの先端までの距離は、ウインドシールド3の表面からワイパーゴム5aの上端までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0089】
このように、第2実施形態のエアバッグ11は、L字状の基布11aを使用することによって、より安定な状態で広い範囲に膨張することで歩行者等を適切に、且つ、ソフトに受け止めることが可能となる。
【0090】
また、この場合、エアバッグ11の膨張時に、少なくとも突部11dと車両との間に配置されるプロテクタクロス16を用いることによって、エアバッグ11の基布11aがワイパー5と干渉することを低減することが可能となる。さらに、エアバッグ11の膨張時に基布11aによってワイパー5が破損することを低減することが可能となる。
【0091】
図20は、第2実施形態のエアバッグ11の折り畳み状態の実施例1を示す図である。
【0092】
第2実施形態のエアバッグ11を折り畳む方法の実施例1は、
図20に示すように、エアバッグ11を蛇腹状に折り畳み、折り畳まれたエアバッグ11の周囲を囲むように、プロテクタクロス16を折り畳む。
【0093】
図21は、第2実施形態のエアバッグ11の折り畳み状態の実施例2を示す図である。
【0094】
第2実施形態のエアバッグ11を折り畳む方法の実施例2は、
図21に示すように、エアバッグ11とプロテクタクロス16を共に蛇腹状に折り畳む。
【0095】
図22は、第2実施形態のエアバッグ11の折り畳み状態の実施例3を示す図である。
【0096】
第2実施形態のエアバッグ11を折り畳む方法の実施例3では、
図22に示すように、エアバッグ11とプロテクタクロス16を共にロール状に折り畳み、折り畳まれたエアバッグ11の周囲を囲むように、プロテクタクロス16を折り畳む。
【0097】
図23は、第2実施形態のエアバッグ11の折り畳み状態の実施例4を示す図である。
【0098】
第2実施形態のエアバッグ11を折り畳む方法の実施例4では、
図23に示すように、エアバッグ11をロール状に折り畳み、折り畳まれたエアバッグ11の周囲を囲むように、プロテクタクロス16を折り畳む。
【0099】
このように構成された本実施形態のエアバッグ装置10によれば、基布11aを縫製してガスにより膨張可能なエアバッグ11と、本体12aをエアバッグ11の基布11aの内側に取り付けられ、ガスを噴出するインフレータ12と、を備え、インフレータ12を内側に取り付け、折り畳んだ状態のエアバッグ11を、車両外側でフロントピラー2もしくはフロントピラー周辺に配置された収納部材15に配置するので、小型に構成され、フロントピラー2の設計の自由度を高くすると共に、フロントピラー2に対する組み付け性が良く、安定な状態で膨張することで歩行者等を適切に、且つ、ソフトに受け止めるエアバッグ装置10を提供することが可能となる。
【0100】
また、エアバッグ11は、インフレータ12を挿入するスリット11bを有するので、エアバッグ11内にインフレータ12を容易に挿入することが可能となる。
【0101】
また、インフレータ12は、本体から突出した取付部12bを有し、エアバッグ11は、スリット11bの両側に取付孔11cを有し、インフレータ12の取付部12bは、エアバッグ11の取付孔11cを挿通するので、エアバッグ11内にインフレータ12を挿入した後、スリット11b上にインフレータ12が設置されるため、膨張後のガス漏れを低減することが可能となる。
【0102】
また、インフレータ12を挿入するスリット11
1b及びスリット11
1bの両側に取付孔11
1cを有するパッチ部材11
1を備え、エアバッグ11の取付孔11cとパッチ部材11
1の取付孔11
1cとを重ねて取り付けるので、エアバッグ11のスリット11b及び取付孔11cの付近の強度を高めることが可能となる。
【0103】
また、エアバッグ11のスリット11bとパッチ部材11
1のスリット11
1bは、所定の方向に対する角度が異なるので、エアバッグ11の膨張時のガス漏れを低減することが可能となる。
【0104】
また、インフレータ12を内側に取り付け、折り畳んだ状態のエアバッグ11を覆ってモジュール化するカバー14を備えるので、フロントピラー2への組み付けが容易となる。
【0105】
また、エアバッグ11の基布11aは、L字状を形成する突部11dを有し、エアバッグ11の膨張時に、少なくとも突部11dとウインドシールド3との間に配置されるプロテクタクロス16を備えるので、より安定な状態で広い範囲に膨張することで歩行者等を適切に、且つ、ソフトに受け止めることが可能となると共に、エアバッグ11の基布11aがワイパー5と干渉することを低減することが可能となる。