特許第6041612号(P6041612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041612
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】船舶用操作ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/22 20060101AFI20161206BHJP
   B63H 25/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B63H21/22 Z
   B63H25/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-223282(P2012-223282)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-73801(P2014-73801A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198318
【氏名又は名称】株式会社IHI検査計測
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】多武保 理
(72)【発明者】
【氏名】森田 精治
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 英敏
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−037000(JP,U)
【文献】 実開昭53−020796(JP,U)
【文献】 特開平10−123328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B,B63J,B63H,B63C,
B63G,B60Q11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作本体と、前記操作本体に連結するとともに該操作本体上に突出して設けられた操作ハンドルと、を備える、船舶を操縦するための船舶用操作ハンドル装置であって、
前記操作ハンドルは、前記操作本体に対して回動軸を中心に回動可能に設けられて、船舶の旋回を制御するための筒状の回動部と、前記回動部に対してその周方向に回動可能に設けられて、船舶の内燃機関のスロットルを制御するレバーと、を有して構成され、
前記操作本体には、第1光源と該第1光源からの光を伝搬する導光部材とが互いに非接触の状態で設けられ、
前記回動部の外周面には、その周方向に沿って透光により視認可能となるスロットル目盛が設けられ、
前記回動部内には、前記操作本体内の導光部材が延出してきて前記スロットル目盛の内側に配置され、これによって前記導光部材で伝搬された前記第1光源からの光が前記スロットル目盛に向けて射出されるように構成され、
前記第1光源は、前記操作本体に対して固定され、
前記導光部材は、前記回動部の回動に追従可能に設けられる
ことを特徴とする船舶用操作ハンドル装置。
【請求項2】
前記導光部材は、光ファイバであり、該光ファイバの側面からの洩れ光が前記スロットル目盛に向けて射出するように構成されていると共に、
前記第1光源側と反対の先端側が前記スロットル目盛に沿って円弧状に湾曲している
ことを特徴とする請求項1記載の船舶用操作ハンドル装置。
【請求項3】
前記第1光源は、前記回動軸よりも下方に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の船舶用操作ハンドル装置。
【請求項4】
前記操作ハンドルには、前記回動部と一体に回動する回動板が設けられ、
前記回動板には旋回目盛が設けられ、
前記操作本体には、前記旋回目盛に光を照射することで該旋回目盛を視認可能にする第2光源が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の船舶用操作ハンドル装置。
【請求項5】
前記第2光源の、前記旋回目盛と反対の側には、前記第2光源からの光を反射するリフレクタが設けられていることを特徴とする請求項記載の船舶用操作ハンドル装置。
【請求項6】
前記第1光源には、その発光強度を調整する調光部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の船舶用操作ハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用操作ハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶主機関を遠隔操縦する船舶用操作ハンドル装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、タグボートなどの作業用船舶では、その操縦ハンドルとして、360°の旋回機構部を有するとともに、スロットルを制御する機構を備えたものがある。
【0003】
このようなタグボートなどでは、夜間においても作業を行うべく、夜間において水上を航行することがある。したがって、その操作ハンドルについては、夜間でのハンドル操作を可能にするため、オペレーターが各種の目盛などを視認可能にするための照明が必要となる。
【0004】
ところで、一般に船舶では、夜間においては船の位置を示す航行灯以外の照明が外に洩れ出ることがなく、また窓などに映り込むこともないように遮光するなどの対策が採られている。これは、例えば窓に映り込んだ光が標識信号や他の物体などとして別の船舶から誤認識されることを防止するためである。
【0005】
したがって、オペレーターが各種の目盛などを視認可能にするための照明についても、その光が窓に映り込むと、前記したように海上のブイ標識や灯台の灯り、船の航行灯などとして誤認識されるおそれがある。
そこで、このような照明については、特に目盛の近傍に配設し、外に洩れ出たり窓に映り込むことがないようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−162690号公報
【特許文献2】特開平6−115496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような目盛などを視認可能にするための照明としては、電気により発光する光源を用いるのが一般的である。しかし、その場合には操縦ハンドルの本体部から電気の供給を受ける必要があるが、360°の旋回機構部を通って目盛の近傍に配設した光源に電気を供給するには、接触式のスリップリングを用いるか、もしくは、非接触電源を用いる必要がある。
【0008】
しかしながら、接触式のスリップリングを用いた場合、船舶のように振動が多い環境では接触不良を起こし易いなど、信頼性に問題がある。
また、非接触電源は、システムが大きくコストが高いため、採用するのが困難である。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、夜間に光が外へ洩れ出たり窓に映り込むことがないよう構成され、しかも振動の影響もほとんど受けることのない目盛用の照明を備えた、船舶用操作ハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の船舶用操作ハンドル装置は、操作本体と、前記操作本体に連結するとともに該操作本体上に突出して設けられた操作ハンドルと、を備える、船舶を操縦するための船舶用操作ハンドル装置であって、
前記操作ハンドルは、前記操作本体に対して回動軸を中心に回動可能に設けられて、船舶の旋回を制御するための筒状の回動部と、前記回動部に対してその周方向に回動可能に設けられて、船舶のスロットルを制御するレバーと、を有して構成され、
前記操作本体には、第1光源と該第1光源からの光を伝搬する導光部材とが互いに非接触の状態で設けられ、
前記回動部の外周面には、その周方向に沿って透光により視認可能となるスロットル目盛が設けられ、
前記回動部内には、前記操作本体内の導光部材が延出してきて前記スロットル目盛の内側に配置され、これによって前記導光部材で伝搬された前記第1光源からの光が前記スロットル目盛に向けて射出されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記船舶用操作ハンドル装置において、前記操作ハンドルには、前記回動部と一体に回動する回動板が設けられ、前記回動板には旋回目盛が設けられ、前記操作本体には、前記旋回目盛に光を照射することで該旋回目盛を視認可能にする第2光源が設けられていることが好ましい。
また、この船舶用操作ハンドル装置において、前記第2光源の、前記旋回目盛と反対の側には、前記第2光源からの光を反射するリフレクタが設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記船舶用操作ハンドル装置において、前記導光部材は光ファイバであり、該光ファイバの側面からの洩れ光が前記スロットル目盛に向けて射出するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記船舶用操作ハンドル装置において、前記第1光源には、その発光強度を調整する調光部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の船舶用操作ハンドル装置によれば、操作本体に第1光源と該第1光源からの光を伝搬する導光部材とが互いに非接触の状態で設けられ、回動部内に、前記操作本体内の導光部材が延出してきてスロットル目盛の内側に配置され、これによって導光部材で伝搬された第1光源からの光がスロットル目盛に向けて射出されるように構成されているので、夜間においてもスロットル目盛を透過してきた光によってスロットル目盛を容易に視認することができる。また、スロットル目盛の視認を可能にする光(照明)は、スロットル目盛から透過しただけの僅かな光なので、これが船外へ洩れ出たり窓に映り込むことがない。
さらに、操作本体に配置された第1光源と操作本体から回動部内にまで延出する導光部材とは、互いに非接触の状態になっているので、第1光源から導光部材への光の伝搬が船舶の振動にほとんど影響されることなく、したがってスロットル目盛の視認が振動に影響されることなく常に可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る船舶用操作ハンドル装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示した船舶用操作ハンドル装置の側断面図である。
図3】ブラックライトLEDと旋回目盛盤との関係を模式的に示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図4】船舶用操作ハンドル装置の内部構造を模式的に示す図である。
図5】導光部材のスロットル目盛に光を射出する部位を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)は側断面図、(c)は正面断面図である。
図6】導光部材のスロットル目盛に光を射出する部位の変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の船舶用操作ハンドル装置を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に係る船舶用操作ハンドル装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図、図2図1に示した船舶用操作ハンドル装置の側断面図であり、これらの図において符号1は船舶用操作ハンドル装置である。この船舶用操作ハンドル装置1は、船舶を操縦するためのもので、図1に示すように操作本体2と、操作本体2に連結するとともに該操作本体2上に突出して設けられた操作ハンドル3と、を備えて構成されている。
【0017】
操作本体2は、本体部4と本体部4上に配置された固定板5とを備えたものである。本体部4には、図2に示すように操作ハンドル3の動作が伝えられることで作動するレゾルバ6やポテンショメータ7が設けられている。固定板5は、本体部4上に固定された矩形板状のもので、本実施形態ではその一方の長辺側に、第2光源としてのブラックライトLED8が設けられている。ブラックライトLED8は、わずかに眼で見える長波長の紫外線(紫外光)を放射するもので、例えば操作本体2に設けられた電源(図示せず)をもって電気を供給している。
【0018】
また、固定板5には、図3(a)、(b)に示すようにブラックライトLED8の上部及び外方を覆ってリフレクタ9が設けられている。リフレクタ9は、遮光機能及び反射機能を有する材質、例えばアルミニウム等の金属板、あるいは金属メッキを施した樹脂板などからなるもので、固定板5の中心を向く側のみを開口し、それ以外を閉じて形成配置されたものである。このような構成によってブラックライトLED8は、これから射出した紫外光を固定板5の中心側にのみ、すなわち図3(b)に示すように旋回目盛10の所定部分及び補助目盛11のみに射出するようになっている。
【0019】
図1に示すように操作ハンドル3は、全体が操作本体2(固定板5)に対して図2に示す回動軸17、すなわち固定板5と直交する軸を中心に360°回動可能に設けられたもので、円盤状の旋回目盛盤(回動板)12と円筒状の回動部13とレバー14とを有するとともに、旋回目盛盤12と回動部13とを連結させるための四角筒状の連結部15を有して構成されている。
【0020】
旋回目盛盤12は、図1に示すようにその側周面に船舶を旋回させるための指標となる前記旋回目盛10を形成したものである。ここで、旋回目盛10は、図3(b)に示したように数字や線分が旋回目盛盤12に対して彫刻されている。そして、さらにこの旋回目盛10には、本実施形態では昼光や蛍光灯の下では白色であり、前記ブラックライトLED8からの紫外光を受けて発光する塗料(インビジブル塗料)が塗布されている。したがって、旋回目盛10は、夜間において照明が無い状態でも、図3(a)、(b)に示すようにブラックライトLED8から紫外光を受けるとこの受光部分が発光し、オペレーターによって目盛が視認できるようになっている。
【0021】
図1に示すように回動部13は、有底円筒状の円筒部13aを一対有し、これら円筒部13a、13a間にレバー14を回動可能に挟持したもので、各円筒部13aの中心軸が固定板5と平行になるように連結部15上に配設されている。一対の円筒部13aのうちの一方には、その側周面に周方向に沿ってスロットル目盛16が形成されている。スロットル目盛16は、レバー14によってエンジン等の内燃機関のスロットルを制御するための指標であり、レバー14の可動範囲、すなわちレバー14による制御範囲に対応して設けられている。
【0022】
このようなスロットル目盛16は、例えば円弧板状に形成された透光性の樹脂板やガラス板に目盛としての数字や線分が印刷又は彫刻され、これによって目盛としての数字や線分となる部位が影となることにより、透光によって視認可能に形成されたものである。あるいは、円弧板状に形成された透光性の樹脂板やガラス板に非透光性の塗料が塗布されるとともに、目盛としての数字や線分となる部位には前記塗料が塗布されず、これによって目盛としての数字や線分となる部位が透光性に形成されることにより、透光によって視認可能に形成されたものである。あるいは、非透光性で円弧板状の樹脂板や金属板に、目盛としての数字や線分となる部位が切り欠かれ、これによってこれら切欠部分が透光性の目盛として機能するように形成されたものである。
【0023】
レバー14は、前記したように一対の円筒部13a、13a間に挟持され、これら円筒部13a、13aの中心軸を回動軸として、円筒部13aの周方向に回動可能に設けられたものである。このレバー14には、前記スロットル目盛16を指し示す指示針(図示せず)が設けられている。これによってオペレーターは、レバー14の回動操作によって制御したスロットルの状態を、指示針がスロットル目盛16を指し示すことにより、視認できるようになっている。
【0024】
このような構成からなる船舶用操作ハンドル装置1は、レバー14を操作して操作ハンドル3を固定板5の面方向に回動させると、その回動角度が図2に示す回動軸17やギア18等を介してDCレゾルバ6に検出される。そして、検出された回動角度に対応して船舶が旋回するよう、図示しない制御装置によって対応する機関が制御されるようになっている。その際、前記旋回目盛10を指標とし、さらにこれに補助目盛11を組み合わせることにより、オペレーターは操作ハンドル3によって制御している旋回角が視認できるようになっている。
【0025】
また、レバー14を回動部13(円筒部13a)に対して回動操作すると、その回動軸(図示せず)に設けられたピニオン19とこれに歯合するラック20とによって回動動作が昇降動作に変換される。そして、この昇降動作による昇降量が前記回転軸17等を介してポテンショメータ7で検出される。検出された昇降量に対応して、制御装置はエンジン等の内燃機関のスロットルを制御するようになっている。その際、前記スロットル目盛16を指標とすることにより、オペレーターはレバー14によって制御しているスロットルの状態が視認できるようになっている。
【0026】
ここで、夜間の航行時には、前述したように旋回目盛10、補助目盛11やスロットル目盛16を視認するのに必要な光(照明)が、船外に洩れたり窓に映り込むことが禁じられている。そこで、本実施形態では、旋回目盛10、補助目盛11については、図3(a)、(b)に示したようにブラックライトLED8を用いるとともに、旋回目盛10や補助目盛11に、ブラックライトLED8からの紫外光を受けて発光する塗料を塗布している。これにより、照明が無い状態でも、ブラックライトLED8から旋回目盛10や補助目盛11に向けて紫外光を照射することにより、紫外光を受光した部分が発光し、オペレーターによって目盛が視認できるようになっている。
【0027】
また、スロットル目盛16については、図2に示すように操作本体2の本体部4の前記回動軸17の下方に第1光源としてのLED(発光ダイオード)21を設け、このLED21に対して非接触状態で導光部材22を配置し、この導光部材22によってLED21からの光をスロットル目盛16に向けて射出することにより、夜間においてもスロットル目盛16の視認を可能にしている。
【0028】
図4は、船舶用操作ハンドル装置1の内部構造の、特に前記LED21及び導光部材22の接続部分について模式的に示す図である。
前記LED21は、図4に示すように保持部材23に保持された状態で第1の袋ナット24内に収容され、クランプ25及び固定プレート26によって保持部材23が押圧されることにより、第1の袋ナット24内に固定されている。また、固定プレート26はナット27を介して第2の袋ナット27によって固定されており、これによってクランプ25も固定されている。
【0029】
また、LED21は、配線29を介して任意の位置に配置された電源30に接続されている。そして、LED21と電源30との間には、配線29中に調光用の抵抗器からなる調光部31が設けられている。この調光部31は、船舶用操作ハンドル装置1を配置する操作盤(図示せず)に設けられたもので、LED21の発光強度を調整するためのものである。
【0030】
また、前記第2の袋ナット28には、その貫通孔28a内に導光部材22が挿通している。導光部材22は、本実施形態では光ファイバ22aによって形成されたもので、その一端側にスリーブ32が外挿され、固定されている。そして、導光部材22は、このスリーブ32を介して第2の袋ナット28の貫通孔28a内に360°回動可能に挿通させられている。スリーブ32には、その側周面にフランジ部32aが形成されている。このフランジ部32aは、クランプ25と第2の袋ナット28との間に配置されており、これによってスリーブ32は、LED21に対し、その略直上でかつ所定間隔をおいて配置されている。したがって、スリーブ32に内挿されている導光部材22は、その端面がLED21に対し所定間隔をおいて(非接触状態にて)対向した状態で、配置されている。
【0031】
ここで、スリーブ32のフランジ部32aは、クランプ25と第2の袋ナット28の蓋部(貫通孔28aの外周部)との間にあそびを持って配置されており、これによって導光部材22は、振動等によって不測の外力が加わっても、第2の袋ナット28の貫通孔28a内を移動することで外力を吸収できるようになっている。
また、導光部材22の端面とLED21との間の距離は、前記の外力によって導光部材22が移動した際にも、導光部材22がLED21に接触することがない距離であり、かつ、LED21からの光が確実に導光部材22に入射する距離、例えば2〜5mm程度とされる。
【0032】
また、導光部材22は、例えば図2に示すようにレバー14の回動軸17内に形成された貫通孔(図示せず)を通り、操作本体2から操作ハンドル3内にまで延出している。すなわち、回動軸17内を通ることで旋回目盛盤12、連結部15を通過し、回動部13の一方の円筒部13aにまで延出している。そして、その先端側(LED21側と反対の側)が円筒部13aの側周面に沿って円弧状に曲げられ、これによって円筒部13aに形成されたスロットル目盛16の内側に位置させられている。
【0033】
ここで、図5(a)〜(c)に示すように円弧状に曲げられてスロットル目盛16の内側に位置させられた部位33は、導光部材22を構成する光ファイバ22aの側周面が光を洩れ出すことにより、側面発光をなすように形成されている。具体的には、光ファイバ22aとして側面発光をなすタイプのものが用いられるか、あるいは、前記部位33において光ファイバ22aのクラッドに傷が付けられ、そこから光が洩れ出るように形成されたものが用いられる。
【0034】
また、部位33では、光ファイバ22aの、スロットル目盛16側以外の側方を覆って、反射板34が設けられている。反射板34は、遮光機能及び反射機能を有する材質、例えばアルミニウム等の金属板、あるいは金属メッキを施した樹脂板などからなるもので、例えば2枚が側面視V字状に組まれ、スロットル目盛16を形成する板材との間で側面視三角形をなすように配置されている。そして、これら反射板34とスロットル目盛16との間に光ファイバ22aが配置されることにより、光ファイバ22aの側周面から出た光は、スロットル目盛16に向けて直接、あるいは反射板34で反射して間接的に射出されるようになっている。
なお、光ファイバ22aの先端面には、図5(b)に示すように光洩れを防止するためのマスク35が設けられており、これによってスロットル目盛16に向けて光が効率よく射出されるようになっている。
【0035】
このような構成からなる船舶用操作ハンドル装置1にあっては、操作本体2にLED(第1光源)21と導光部材22とを非接触状態で設け、回動部13内に、前記導光部材22を延出させてスロットル目盛16の内側に配置し、これによって導光部材22で伝搬されたLED21からの光をスロットル目盛16に向けて射出するようにしたので、夜間においてもスロットル目盛16を透過してきた光によってスロットル目盛16を容易に視認することができる。また、スロットル目盛の視認を可能にする光(照明)は、導光部材22を伝搬してスロットル目盛16から透過しただけの僅かな光なので、これが船外へ洩れ出たり窓に映り込むことがない。
【0036】
さらに、操作本体2に配置されたLED21と操作本体2から回動部13内にまで延出する導光部材22とは、互いに非接触の状態になっているので、導光部材22はLED21に干渉されることなく、回動部13の360°回動に追従するようになる。また、LED21と導光部材22とが非接触の状態になっているので、LED21から導光部材22への光の伝搬が船舶の振動にほとんど影響されることなく、したがってスロットル目盛16の視認が振動に影響されることなく常に可能になる。
【0037】
また、操作本体2に、補助目盛11と旋回目盛盤12の旋回目盛10とを光らせるブラックライトLED8を設けているので、夜間において照明が無い状態でも、ブラックライトLED8から旋回目盛10や補助目盛11に向けて紫外光を照射し、紫外光を受光した部分を発光させることにより、これら旋回目盛盤12や補助目盛11を容易に視認することができる。
【0038】
また、前記ブラックライトLED8の、旋回目盛10と反対の側に、ブラックライトLED8からの光を反射するリフレクタ9を設けているので、ブラックライトLED8から射出した紫外光を固定板5の中心側にのみ、すなわち旋回目盛10の所定部分及び補助目盛11のみに射出することができる。したがって、ブラックライトLED8から射出した紫外光が直接窓に射出されることなどにより、紫外光が船外に洩れ出たり窓に映り込むことを防止することができる。また、紫外光を受光することで発光した光も、旋回目盛盤12や補助目盛11を視認可能にするだけの僅かな光なので、これが船外へ洩れ出たり窓に映り込むこともない。
【0039】
また、導光部材22として光ファイバ22aを用いているので、光ファイバ22aを円弧状に曲げることにより、円筒部13aの側周面に沿って円弧板状に形成されたスロットル目盛16に対し、これに沿って光ファイバ22aをその内側に容易に配置することができる。したがって、その側周面からの洩れ光をスロットル目盛16に向けて容易に射出することができる。
【0040】
また、LED21に、その発光強度を調整する調光部31を設けているので、夜間だけでなく夕方や朝方など、室内の明るさに応じてLED21の発光強度を適宜に調整することができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではスロットル目盛16に対して直接光を射出する部位33に、導光部材22としての光ファイバ22aを用いたが、本発明の導光部材としては、LED(第1光源)21からの光を伝搬する部位については基本的に光ファイバを用いるものの、スロットル目盛16に対して直接光を射出する部位については、例えば図6(a)、(b)に示すような光を拡散する樹脂40を用いることができる。
【0042】
すなわち、円弧板状に形成されたスロットル目盛16に対して、該スロットル目盛16に沿ってその内面側に円弧板状の樹脂40を配置する。樹脂40は、アクリル等の透光性樹脂からなるもので、LED(第1光源)21からの光を伝搬する光ファイバ22aに接続され、これによって導波路として機能させるようになっている。具体的には、図6(b)に示すように樹脂40の側面及び底面(スロットル目盛16と反対の側の面)に反射材41を設けておくとともに、スロットル目盛16側の面に波状の凹凸を設けて散乱面40aとしておく。反射材41としては、光反射率の高い金属や白色塗料などが用いられる。
【0043】
このように構成することで、光ファイバ22aによってLED21から伝搬された光は、樹脂40内を通りスロットル目盛16に向けて直接、あるいは反射材41で反射して間接的に射出するようになる。したがって、夜間においてもスロットル目盛16を透過してきた光によってスロットル目盛16を容易に視認することができるようになる。
【0044】
また、前記実施形態では旋回目盛10や補助目盛11に対してブラックライトLED8からの紫外光を照射し、受光した部分を発光させるように構成したが、例えば旋回目盛10についてもスロットル目盛16と同様に、透光によって視認可能となるように構成してもよい。すなわち、透光によって視認可能となるように構成した旋回目盛10に対して、円環状に形成した光ファイバ22a、あるいは図6(a)、(b)に示した樹脂40を円環状に形成したものを、旋回目盛盤12内に配置し、かつ旋回目盛10の内側に配置する。これにより、夜間においても旋回目盛10を透過してきた光により、旋回目盛10を容易に視認することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…船舶用操作ハンドル装置、2…操作本体、3…操作ハンドル、8…ブラックライトLED、9…リフレクタ、10…旋回目盛、11…補助目盛、12…旋回目盛盤(回動板)、13…回動部、13a…円筒部、14…レバー、16…スロットル目盛、17…回動軸、21…LED(第1光源)、22…導光部材、22a…光ファイバ、31…調光部、40…樹脂、41…反射材
図1
図2
図3
図4
図5
図6